(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045437
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自己ロック式中空シャフト挟持機構
(51)【国際特許分類】
B23B 31/20 20060101AFI20240326BHJP
B23B 31/26 20060101ALI20240326BHJP
B23Q 3/12 20060101ALI20240326BHJP
B23B 31/117 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B23B31/20 F
B23B31/26
B23Q3/12 B
B23B31/117 601E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016377
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2020515287の分割
【原出願日】2018-05-24
(31)【優先権主張番号】17000895.7
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17000896.5
(32)【優先日】2017-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17000908.8
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17192549.8
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519418145
【氏名又は名称】レビクロン ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】519417964
【氏名又は名称】デュポン、ラルフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュポン、ラルフ
(57)【要約】
【課題】自己ロック式中空シャフト挟持機構を提供すること。
【解決手段】挟持デバイス1は、挟持されるべき部品2の内周面領域内の内部凹部25と係合するための第1の外部突出部103、及び、挟持凹部3の内周面領域内の内部凹部36と係合するための第2の外部突出部104を有するコレット10であって、第1の外部突出部103及び/又は第2の外部突出部104のうちの少なくとも一方が、コレット10又はコレット10の一区間の径方向外方運動により挟持されるべき部品2を挟持凹部3内に軸方向に引き込むために、第1の外部テーパ1031及び/又は第2の外部テーパ1041をそれぞれ含む、コレット10と、コレット10の径方向外方運動を実施するための外部テーパ付き区間131、132を含む動作スタッド13と、を備える。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挟持デバイス(1)が配置される挟持凹部(3)内に挟持されるべき部品(2)を保持するための挟持デバイス(1)であって、
- 前記挟持されるべき部品(2)の内周面領域内の内部凹部(25)と係合するための第1の外部突出部(103)、及び、前記挟持凹部(3)の内周面領域内の内部凹部(36)と係合するための第2の外部突出部(104)を含むコレット(10)であって、前記第1の外部突出部(103)及び/又は前記第2の外部突出部(104)のうちの少なくとも一方が、前記挟持されるべき部品(2)を前記コレット(10)又は前記コレット(10)の一区間の径方向外方運動により前記挟持凹部(3)内に引き込むために、第1の外部テーパ(1031)及び/又は第2の外部テーパ(1041)をそれぞれ含む、コレット(10)と、
- 前記コレット(10)の前記径方向外方運動を実施するための外部テーパ付き区間(131、132)を含む動作スタッド(13)と、
を備え、
前記コレット(10)が、
- 前記動作スタッド(13)の前記外部テーパ、及び、
- 前記コレット(10)、又は前記コレット(10)と前記動作スタッド(13)との間の一部分
を互いに固定する前記動作スタッド(13)の軸方向における運動によって自己ロック可能であることを特徴とする、挟持デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持されるべき部品を主部品にしっかりと取り付けるためのデバイスに関し、部品は、挟持デバイスの少なくとも一部分を含む主部品の挟持凹部内に挟持される。挟持デバイスは、挟持されるべき部品の内周面領域内の内部凹部と係合するための第1の外部突出部、及び、主部品の内部凹部と係合するための第2の外部突出部を含む、コレットを備える。第1の外部突出部及び/又は第2の外部突出部のうちの少なくとも一方は、コレットの径方向外方運動により挟持されるべき部品を挟持凹部内に引き込むために、第1の外部テーパ及び/又は第2の外部テーパをそれぞれ含む。挟持デバイスは、コレットの径方向外方運動を実施するための少なくとも1つの外部テーパ付き区間(external tapered section)を含む動作スタッド(operation stud)をさらに備える。本発明はさらに、挟持デバイスを含むスピンドル、及び、挟持されるべき部品を挟持する方法に関する。
【0002】
挟持されるべき部品は、挟持デバイスから分離可能な部品である。部品は、挟持デバイスが動作されたときに挟持されるべきである。よって、被挟持部品は、主部品に取り付けられる。挟持されるべき部品は、互いに相互接続されるいくつかのピースを含み得る。
【0003】
内部に挟持デバイスが配置される挟持凹部は、シャフトの内側に配置され得る。主部品は、回転若しくは位置決め目的のためのシャフト、又は、挟持デバイスを担持する回転不能部品であり得る。シャフトはまた、いくつかの目的のために固定され得る。スピンドルは、本特許出願では、シャフトを担持する軸受システムと、挟持されるべき部品が固定され得るこのシャフトとを含むデバイスであり、挟持されるべき部品は、シャフトと一緒に位置決めされ且つ移動され得る。挟持デバイスは、挟持されるべき部品を固定し且つ位置決めするために、また、場合により、挟持されるべき部品を中心に配置し且つ/又は位置合わせするために、挟持されるべき部品を保持する。
【背景技術】
【0004】
図1Aは、German company OTT-JAKOB Spanntechnik GmbH、Lengenwang、Germanyによって販売されている現況技術の中空シャフト・テーパ挟持機構100の第1のバリエーションを示す。挟持されるべき部品2は、ツール・ホルダ20である。挟持凹部3を有するシャフト38及びシャフト内に挟持されるべき部品2の断面が示されており、二重点破線で描かれている。挟持凹部は、シャフト38内の軸方向穴の一部分を含む。この第1のバリエーションは、挟持力生成ユニット4を備える。挟持力生成ユニット4は、例えば、単一のばね若しくは多重のばね、又は円盤ばねパッケージ41を含んで、挟持デバイス1に張力を導く動作バー12に予荷重を付与する。予荷重に逆らって、シャフト38において圧縮性の対向力が生成される。これらの力は、挟持されるべき部品2が挟持されている限り、挟持デバイス1に印加される。被挟持部品を解放するために、動作バーは、挟持デバイスに向かう方向に移動され、それにより、力生成ユニット4によって生成される予荷重が同時に増大する。したがって、被挟持部品2を解放するのに高荷重が必要とされ、このことはまた、シャフトを担持する軸受システムに影響を及ぼす。
【0005】
動作バー12は軸方向穴121を有し、それを通じて、洗浄用の空気及び/又は流体が、挟持機構を経て挟持されるべき部品2まで案内され得る。
【0006】
図1Bは、
図1の挟持デバイス1Aをより詳細に示す。挟持行為において、動作スタッド13に接続されている動作バー12により、力生成ユニット4から挟持デバイス1に予荷重が付与される。動作スタッド13は、動作スタッド13の外周面を覆って配置されている少なくとも1つのコレット・セグメント11を備えるコレット10に接触する。動作スタッド13は、動作スタッド13の中間区間に第1の外部テーパ付き区間131をさらに備え、この第1の外部テーパ付き区間131は、コレット・セグメント11の内部テーパ付き区間101と係合される。動作スタッド13は、動作スタッド13の端部に第2の外部テーパ付き区間132をさらに備え、この第2の外部テーパ付き区間132は、コレット・セグメント11のさらなる内部テーパ付き区間102と係合される。動作バー12が-それと一緒に動作スタッド13が-
図1Bでの右側に軸方向に移動されるときはいつでも、動作スタッドの外部テーパ付き区間131、132が、コレット・セグメント11を径方向外方に移動させる。コレット・セグメント11がシャフト38の中心線33の方向に移動しないように、コレット・セグメント11は、ブッシュ15によって支持されており、このブッシュ15は、いかなる軸方向推力をも力伝達リング16を介してシャフト38の内側の軸方向面371に伝達する。
【0007】
中空シャフト挟持機構100、200の基本原理は、挟持されるべき部品2をコレット・セグメント11によりシャフト38の軸方向面32に対して把持し、挟持し、且つ予荷重を付与することである。挿入区間21は、外部テーパ24を有し、この外部テーパ24は、挿入区間21がシャフト38内に完全に挿入されたときにシャフト38の内部テーパ34との干渉嵌まりを有し、それにより、挟持されるべき部品の軸方向面22が、シャフトの軸方向面32に接触する。これは、軸方向面22及び32が接触するために被挟持部品2及び/又はシャフト38が弾性的に変形される必要があることを意味する。これは、挟持されるべき部品2の形状公差が大きい場合でさえ、挟持されるべき部品2及びシャフト38の非常に優れた位置合わせ、並びに径方向及び軸方向における並外れた再現性につながる。説明されたような軸方向の挟持を達成するには、コレット・セグメント11は、シャフト38の凹部36のテーパ付き面上で外方に摺動する必要がある。凹部25は、独国規格DIN69893に従った形状を有することが好ましい。挿入区間21をシャフト38から放出するために、動作バー12は、動作バー12の端部に接続されている動作スタッド13の軸方向放出面136が挿入区間21を押して内部テーパ34と部品2の外側テーパ24との間のプレス嵌めから外すまで、
図1Bでの左側に移動され得る。挟持されるべき部品2を放出するために、外部の機構が、シャフトの軸方向における円盤ばねパッケージ41の予荷重、シャフト38の内部テーパ34と挟持されるべき部品2の外部テーパ24との間のテーパ接続の予荷重、並びに摩擦損失を克服しなければならない。次いで、この放出荷重は、動作バー12を通じて動作スタッド13に伝達される。
【0008】
コレット・セグメント11は、挿入区間21の外部テーパ24をシャフト38の内部テーパ34内に引き込んでそれらを干渉嵌めさせるために、動作バー12の軸方向移動とともに径方向外方に移動し得る。そのために、各コレット・セグメント11は、被挟持部品2の挿入区間21の内側のテーパ付き凹部25内へ径方向に摺動する外部テーパ1031を含む外部突出部103と、シャフトの内側のテーパ付き区間361上で径方向外側に摺動する別のテーパ付き区間104とを備える。したがって、スタッド13の軸方向運動が、コレット・セグメント11の径方向運動を生じさせる。被挟持部品2の内側の内部テーパ付き区間25、及び、シャフトの内側の内部テーパ36を通じて、被挟持部品2とシャフト38との間に軸方向荷重が生成される。それにより、シャフト38のテーパ34と被挟持部品2のテーパ24との間の干渉テーパ嵌まりは、被挟持部品2の軸方向面22がシャフト38の軸方向面32に接触するまで、よりきつくされる。
【0009】
動作バー12及び挟持力生成ユニット4は、スピンドル・シャフト38と一緒に回転する。この状況の否定的側面は、破損しやすくまた高度且つ一貫性のない不均衡状態を生じさせる傾向がある、細長い回転動作バー12が必要とされることである。
【0010】
別の現況技術の中空シャフト・テーパ挟持システム200が、
図2Bに示されている。そのいくつかの特徴は、
図1A及び
図1Bに示された挟持システム100を動作させるのに必要とされる特徴に似ており、同じ参照記号が付けられている。Company Rohm GmbH、Sontheim、Germanyは、
図1Aにおける円盤ばねパッケージ41及び
図1Aにおける動作ロッド12を含むばねベースの予荷重生成ユニットを、
図1Bに照らして説明された現況技術のシステムに対応するスタッド13に取り付けられたロック・ユニット5に置き換えた。
図1Bにおけるように、右側及びシャフト38内へのスタッド13の軸方向運動が、セグメント化されたコレット10の径方向運動を生じさせ、この径方向外方運動が、挟持されるべき部品2を、部品の軸方向面22がシャフトの軸方向面32に接触するまで、テーパ34と24との間のテーパ干渉嵌めに引き込む。スタッド13及びセグメント化されたコレット10が、
図1Aで説明されたようなばねベースの予荷重機構と連動する標準的な構成要素である場合、ロック・ユニット5は、スタッド13に荷重を伝達すること、並びに、さらなる2つのテーパ521と171との間での分割二重テーパ付きチューブ51の挟持によりこの状態をロックすることを可能にする。分割二重テーパ付きチューブ51は、挟持後にスタッドがそれ以上軸方向に移動することができず且つ挟持方向に予荷重を付与されたままでいるように、スタッド13に取り付けられる。分割二重テーパ付きチューブ51は、内部テーパ付き区間511及び外部テーパ付き区間512を備える。この分割二重テーパ付きチューブ51の内側には、分割二重テーパ付きチューブ51の内側テーパ付き区間511と再度嵌合する外側テーパ付き区間171を備えるロック-解放バー17が配置される。ロック-解放バー17は、分割二重テーパ付きチューブ51の内側で軸方向に移動することができる。テーパ付きブッシュ52が、シャフト38内に取り付けられて、分割二重テーパ付きチューブ51の外側テーパ付き区間512を取り囲む。ロック-解放バー17が
図2での右側に軸方向にシャフト38内へ移動されるときはいつでも、その外側テーパ付き領域171は、短い動作ロッド12を通じてスタッド13に取り付けられた分割二重テーパ付きチューブ51の内側テーパ付き区間511に接触する。
図2での右側に向かってロック解放バー17に加えられる定められた軸方向荷重が、スタッド13を軸方向に移動させ、したがって、部品2を挟持するコレット・セグメント11を軸方向外方に移動させる。
【0011】
挟持されるべき部品2の中空の挿入区間21をテーパ24と34との間でのテーパ干渉嵌まりに引き込んだ後、ロック-解放バー17は、分割二重テーパ付きチューブ51をさらに広げる。すると、分割二重テーパ付きチューブ51は、その外側テーパ付き区間512及びブッシュ52の内側テーパ付き区間521により、それ自体を自己ロックする。この結果、ロック・ユニット5は、部品2の挟持に予荷重を付与し且つロックしている。したがって、動作スタッド13に接続されるロック・ユニット5は、
図1A及び
図1Bに関して説明されたばねベースの挟持力生成ユニット4に取って代わる。
【0012】
被挟持部品2を放出するには、ロック-解放バー17は、その軸方向端面173が分割二重テーパ付きチューブ51の内部軸方向面513に当たるまで、
図2での左側に軸方向に移動しなければならない。そのために、ロック-解放17バーに加えられる軸方向荷重は、分割二重テーパ付きチューブ51のテーパのテーパ干渉嵌まりの予荷重を克服する必要がある。分割二重テーパ付きチューブ51の内部軸方向面513に接触した後、ロック-解放バー17は、前進して、スタッド13の軸方向端面136が被挟持部品2の内部軸方向面26に当たるまで、接続されたスタッド13を軸方向に押す。この結果、ロック-解放バー17に加えられる軸方向荷重は、被挟持部品2を放出するために、部品2のテーパ24とシャフト38のテーパ34との間のテーパ推定嵌まりの軸方向予荷重を克服する必要がある。
【0013】
図1A及び
図1Bに示された中空シャフト挟持機構100とは異なり、
図2に示された中空シャフト挟持機構200の挟持力生成ユニット4は、自己ロックする。これは、ロック-解放バー17により外部から動作され得る。ロック-解放バー17を挿入区間21から離れる方向に引っ張ると、コレット10は、
図1A及び
図1Bにおける機構100に対して説明されたように、部品2を挟持する。コレット10が挟持されるべき部品2をシャフト38の軸方向接続面32に向かって圧迫し、挟持されるべき部品2がその最終位置に達すると、ロック-解放バー17を通じて印加される力による動作スタッド13のさらなる運動は不可能である。それに沿って動作スタッド13が移動され得る距離は、動作スタッド13、コレット・セグメント11、シャフト38の内部凹部36、挟持されるべき部品2の内部テーパ付き区間25の幾何形状、及びロック-解放バー17を通じて印加される力に依存する。これらの部品のテーパは、挟持中に関連する部品の運動とともに傾くので、動作スタッド13の運動は、幾何形状、及びロック-解放バー17を通じて印加される挟持力によって制限される。この挟持力のみが、やはり予荷重を作り出す関連する部品の弾性変形に起因する軸方向運動に関与する。したがって、ロック-解放バー17が、実際の幾何形状が可能とするのよりも
図2における右側に引っ張られると、現況技術の挟持機構100における挟持力生成ユニット4に類似した自己ロックの予荷重が達成される。次いで、ロック-解放バー17は、スピンドル・シャフト38に挟持される。この状態では、動作バー12は、部品2を挟持するために、ロック・ユニット5から挟持デバイス1に恒久的に張力を伝達する。
【0014】
この解決法は、部品を挟持するのにシャフト内部ばねの予荷重を必要としないが、重い否定的側面を有する。浅い角度のテーパ171、511、512、521の4つの接続の一連の連携は、構成要素17、51、及び52の非常に厳しい製造公差を必要とする。プッシュ-プル・バー17及びその行程の軸方向調整は、公差に非常に敏感であり、且つ、様々な調整機構を必要とする。また、部品2を排出するときに、ロック-解放バーと分割二重テーパ付きチューブ51と内側テーパ付きブッシュ52との間のテーパ接続の挙動は、物理的に決定されない。ロック-解放バー17が左側に軸方向に移動することができるようにロック-解放バー17と分割二重テーパ付きチューブ51との間のテーパ接続が最初にロック解除しなければならないことが意図されている場合、印加される荷重が分割二重テーパ付きチューブ51と内側テーパ付きブッシュ52との間のテーパ接続を終わらせることが起こり得る。これは、再び、自己ロック機能に、そのロック機能を解放するよりもロック機能を強化させる。この挙動は、試験中に数回発見されており、被挟持部品2は、それ以上排出され得なかった。また、動作スタッド13、セグメント化されたコレット10、及びロック・ユニット5を含む、挟持デバイス1に必要とされる多数の部品、並びにその不確定な軸方向挙動は、シャフト回転下でのシャフトの釣合せ及び動力学に関する重大な問題をもたらす。構成要素17、51、及び52間の4つのテーパ接続の一連の連携は、組み合わせられた挟持及びロック・ユニットを、トライボロジー効果に対して非常に敏感にする。ロック・ユニット5が乾ききったとき、又は、関連する部品のめっきが機能しなくなったときはいつでも、たとえ部品2が排出されることになっていてもロック・ユニット5がロックする。これは、このシステムの寿命が500,000回の挟持及び排出サイクルに制限されている分野において、深刻な問題をもたらした。
【0015】
挟持機構200の1つの深刻な欠点は、多くの単一の構成要素を伴う複雑な設計であり、このことはやはり、釣合せ及び力学的整合性に関して、非常にコストのかかる製造と、不十分な挙動とをもたらす。また、長い軸方向距離にわたる浅い角度の4つのテーパ接続の一連の連携は、内力に関して、したがって、ライフ・サイクル時間、経時的な一貫性、及び早期摩耗に関して、重大な問題を生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、関連する部品の数、複雑さ、摩耗、信頼性、不均衡状態、及び動的挙動に関して現況技術の解決法100、200に伴う欠点を克服することであり、また、確実に且つ向上された正確さで動作され得るより単純な挟持機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施例に関する。
【0018】
本発明の主題は、挟持されるべき部品を挟持凹部内で保持するための挟持デバイスであり、この挟持デバイスにおいて、コレットは、
- 動作スタッドの外部テーパ、及び、
- コレット、又はコレットと動作スタッドとの間の一部分
を互いに可逆的に固定することよって自己ロック可能である。固定により、動作スタッド及びコレットがそれらの相対位置において保持される。この接続を解放しようとする可能性のある力が、コレット及び動作スタッドの解放する相対運動の方向に有効であり得るが、自己ロックの摩擦力は、接続が解放されないように、この方向においてより強い。挟持デバイスの構造におけるこの特別なポイントにおいて、これを実現するためのいくつかの方法が存在する。
【0019】
本発明の解決法によれば、現況技術の機構100に見出され得るような予荷重生成ユニットがなしで済まされ得る。また、コレットに取り付けられた恒久的に予荷重を付与される特注の動作ロッドを介して全軸方向挟持力を恒久的に送達する専用のロック・ユニットが、必要とされない。特異的な形状の少なくとも1つのテーパ接続を通じた動作スタッドとコレットとの間の直接のコンタクトは、シャフトの軸方向における多数の部品に沿って予荷重を伝達する必要性を回避する。挟持状態では、挟持力は、動作スタッドを通じてコレットに伝達されるだけであることが好ましい。動作スタッド及びコレットは、どちらも、挟持凹部の内周面を形成するシャフト内に位置している。現況技術の解決法100及び200と同様に、動作スタッドの軸方向運動は、コレット・セグメントの径方向運動を生じさせることができ、コレット・セグメントは、一方の端部において、挟持されるべき部品のテーパ付き凹部上を径方向外方に摺動することができる。コレット・セグメントは、他方の端部において、シャフトの内側輪郭内の別のテーパ付き凹部上を径方向外方に摺動することができる。シャフト内のテーパ付き凹部、及び、この凹部内へのコレットの径方向運動は、任意選択のものである。コレット・セグメントは、シャフトと挟持されるべき部品との間で軸方向力を伝達することができるように、シャフト内での軸方向支持を有することが好ましい。テーパ付き内部凹部内へのコレット・セグメントの径方向運動は、挟持されるべき部品とシャフトとの間に軸方向力を作りだし得る。コレット・セグメントの径方向運動は、挟持されるべき部品の軸方向面及びシャフトの軸方向面が接触するまで、部品をシャフトのテーパ内に引き込むことができる。挟持行為中、コレット・セグメント及び動作スタッドは、それらに加えられる作用荷重の方向に弾性的に変形し得る。したがって、これらの部品は、エネルギーを蓄え、且つ、接続部に予荷重を付与することができる。動作スタッドとコレット・セグメントとの間の接触面は、それらが自己ロックするような形状である。挟持中に蓄えられる弾性エネルギーと一緒に、システムは、予荷重を付与されるだけでなく、挟持後に自己ロックされ得る。挟持の後、動作ロッド上の挟持力は、解放され得る。
【0020】
現況技術の解決法100におけるような予荷重ユニット、又は、
図2に示された現況技術の挟持システム200に見出され得るような下流のロック・ユニットは、必要とされない。動作スタッドは、コレットと一緒に回転可能であることが、好ましい。
【0021】
本発明による挟持デバイスの利点は、動作スタッドを直接押す又は引くことより挟持の動作が達成され得ることである。動作スタッドを移動させるために、動作スタッドとロック/解放バーとの間の中間部品は必要とされない。この直接接続は、ロック/解放バーが、挟持が完了されるロック位置を動作スタッド自体と同じ精度で有することを可能にする。それは、OTT-JAKOBシステムにおけるようなばねの様々なテンショニングのために、又は、現況技術によるRohmシステムにおけるようなロック-解放バーと動作スタッドとの間の多くの可動部品のために、異なることはない。
【0022】
以下で説明されるように、コレットが、動作スタッドの外部テーパとコレット又はコレットと動作スタッドとの間の一部分との間の摩擦力によって自己ロック可能であることが、可能である。動作スタッドが、動作スタッドとコレットとの間の形状嵌まり(form fit)により解放運動方向において固定されることも、可能である。この目的のために、例えば、動作スタッドの第1及び/若しくは第2の外部テーパ付き区間の表面、並びに/又はコレットの対応する表面に、ステップ若しくは/及びノッチが組み入れられ得る。このようにして、自己ロック可能なテーパの機能が生成され得る。ステップ又はノッチ間には、スタッドをコレット内へ摺動させるときにコレットを広げるために、テーパ付き割込み区間が設けられ得る。この場合でも、テーパ付き区間は、テーパの全体形状を有する。中間のステップは、ステップ間のテーパ付き割込み小区間の傾斜に対して反対方向に傾くことができる。次いで、コレットからの径方向力は、スタッドが解放方向に移動し得えないようにする。別の可能性は、動作スタッドのテーパ付き区間にねじ山を設け、コレットの対抗表面に相手ねじ山(counter thread)を設けることである。コレットは、セグメントを有することができ、それぞれのセグメントの内側には、非連続的なねじ山の一部分が配置され得る。動作スタッドのテーパ付き区間上のねじ山は、一定のピッチを有することが好ましい。動作スタッドを回転させて動作スタッドをコレットにねじ込むことにより、コレットは、挟持行為を行うことができる。この場合、自己ロック又は少なくともその一部分は、ねじ接続によって実現される。
【0023】
シャフトは、その中でシャフトが回転することができるスピンドルの一部分であってもよい。シャフトは、軸方向軸受により軸方向においてスピンドルに固定されてもよいが、軸方向に浮動してもよい。挟持デバイスは、或いは、回転不能なシャフトを備え得るデバイスにおいて使用されてもよい。回転不能なシャフトは、例えばその軸によってそれを移動させることができる機械又はロボットでの正確な位置決めのために、例えば、ツール、測定プローブ若しくは切削ツール、又は加工物を挟持することができる。挟持デバイスは、測定デバイス又はロボット内に配置され得る。
【0024】
本出願の文脈における「外部の」という用語は、「外側に配置された」を意味するものとし、ここではコレット又は動作スタッドの外側に配置されることを意味する。反対に、「内部の」は、部品内の凹部の任意の内側面におけることを意味する。「外部から動作可能」は、挟持デバイスが、挟持デバイスとの固定された接続を通じた直接相互作用を伴わずに、しかしロック-解放バーなどの何らかの動作手段により、動作され得ることを意味する。
【0025】
本特許出願において、動作スタッドは、本出願において説明されたような動作スタッドの機能を有する挟持デバイスの独立した部品又は部品の一区間を意味する。動作スタッドは、1つの単体部品であることが好ましいが、2つ以上の部品を含むことも可能である。
【0026】
コレットが、接続されない2つ以上の部品を含み得る。そのような部品は、例えばリングの形状を有し得る別の部品により、互いに接続され得る。しかし、コレットは、その中でセグメントが移動可能である1つの単体であってもよい。
【0027】
コレットはまた、動作スタッドとコレットとの間に配置される1つ又は複数の内側部品を有してもよく、それらの部品は、径方向外方に移動可能であり、また、それらの部品は、コレットの第1及び/又は第2の外部突出部から分離可能である。これは、突出部の軸方向運動を、スタッド及びその外部テーパの軸方向運動の力からより独立したものにすることができる。コレットの内側部品は、シャフトに対して軸方向に移動不可能であることが好ましい。このようにして、動作スタッドの外部テーパ付き区間は、コレットの内側部品に作用して、動作スタッドが軸方向に移動されるときにそれらを径方向外方に移動させることができる。
【0028】
本特許出願では、テーパは、幾何学的に正確なテーパを意味するだけではなく、挟持中の動作スタッドとコレットとの間の接触位置において増大する寸法、特に動作スタッドの挟持運動の反対方向に増大する直径を有する、任意の他の適切な形状をも意味するものとする。テーパ、特にコレットの外部突出部の外部テーパはまた、特に外部テーパに対する反対表面にもテーパが付けられている場合、その反対表面と比較してより小さなテーパ領域を有することができる。このことはまた、コレットの内部テーパ付き区間及び動作スタッドの外部テーパ付き区間にも当てはまる。エッジのテーパ付き部分が、テーパ付き反対表面上で摺動するように構成されることが、可能である。テーパはまた、対応する表面を含む反対表面がテーパ上で自己ロックすることがきるように、その外周表面上にステップ又はノッチを有し得る。テーパは、必ずしも一定のテーパ角度を有する必要はない。また、例えば、球形状、楕円体、卵形体、又は全体的に一方向に増大する直径を有する任意の他の幾何形状の適した部分が、本発明によるテーパとされ得る。また、テーパ及びその反対テーパは、異なる軸方向長さを有してもよい。
【0029】
コレットの外側への径方向運動は、コレットの1つの又は両方の外部突出部において行われ得る。1つの突出部のみが径方向外方に移動される場合、挟持されるべき部品と係合し得る突出部が移動されることが、好ましい。この運動中、挟持されるべき部品は、挟持され得る。被挟持部品の自己ロック及び予荷重は、挟持のためになされたのとは反対の方向におけるコレットの運動により、再度解放され得る。コレットの他方の突出部は、挟持されるべき部品を挟持するための突出部の運動中、シャフトの内側の凹部内に残ることができる。
【0030】
本特許出願による自己ロックは、特に現況技術により、とりわけRohmにより、動作スタッドに挟持デバイスの外側から力を印加することなしに、挟持デバイスが挟持状態を維持できることを意味する。
【0031】
自己ロックは、動作スタッドとコレットとの間の摩擦力によって行われ得る。動作スタッドの移動方向における摩擦力は、接触面間の摩擦係数を乗じた垂直力として計算され得る。摩擦力は、動作スタッドとコレットとの間の少なくとも1つのコンタクト領域上で有効である。コンタクト領域は、上記で定められたようにテーパが付けられてもよい。好ましくはテーパ内のステップ若しくはノッチ又はねじ山による形状嵌まりの可能性も存在し、この形状嵌まりはまた、摩擦による自己ロックと組み合わせられてもよい。摩擦による自己ロックは、並進的であり得る動作スタッドの移動方向において行われてもよく、又は、ねじ山機能の場合には、回転方向において行われてもよい。自己ロックは、動作スタッドの軸方向運動によって予荷重を生成することができる動作スタッドの1つ又は複数の領域において行われてもよい。
【0032】
動作スタッドは、動作スタッドの第1の外部テーパ付き区間及び動作スタッドの第2の外部テーパ付き区間のうちの少なくとも1つを備えることが好ましい。
- 動作スタッドの第1の外部テーパ付き区間の少なくとも一区間の表面と動作スタッドの挟持運動の方向との間の第1の挟持角度、及び、
- 動作スタッドの第2の外部テーパ付き区間の少なくとも一区間の表面と動作スタッドの挟持運動の方向との間の第2の挟持角度
のうちの少なくとも一方は、動作スタッドがその第1及び第2の外部テーパ付き区間並びにコレット又はコレットと動作スタッドとの間の一部分においてコンタクトしている面の摩擦によって自己ロック可能であるほどに小さい。機械工学の基本として、テーパ接続の自己ロックは、テーパ角度、及び、接触する接続の面間の摩擦係数に依存する。より一般的に言えば、自己ロックの場合、接触する面間の垂直力と摩擦係数とを掛けたものとして計算される摩擦力は、いかなる外力もなしに接続を解くために摩擦力に逆らって作用している力よりも、常に大きい。摩擦パートナーの材料に応じて、テーパ角度であり得る挟持角度は、変化し得る。
【0033】
自己ロックをより確実なものにするために、以下の式は、動作スタッドの第1又は第2の外部テーパ付き区間の少なくとも一部分の半角に対して有効であることが好ましい:
α<1/2arctan(μ)
式中、μは、摩擦係数であり、αは、動作スタッドのその中心線に対して測定された外部テーパの半角である。挟持角度は、摩擦による自己ロックの目的のために接触する材料の摩擦係数の逆正接よりも小さいことが、好ましい。
【0034】
或いは、又はさらに、第1及び/又は第2の挟持角度は、それぞれ、コンタクトする材料がどちらも鋼鉄である場合には、6°よりも小さい。この材料の組合わせに対して、0.15の静止摩擦係数が、本特許出願における定義とされ得る。これは、非常に簡単にロック解除可能ではない自己ロックの量に対応する。他の材料の組合わせが存在する場合、第1及び第2の挟持角度は、それぞれ、
α<6°・(逆正接μ/逆正接0.15)
によって計算され得る角度αよりも小さくてよく、式中、μは、任意の他の材料の組合わせの摩擦係数である。これにより、他の材料の組合わせによる自己ロックの信頼性が、鋼鉄-鋼鉄の組合わせに類似することになる。本特許出願における動作スタッドでの自己ロックに関する全ての摩擦係数は、静止摩擦係数であるとする。
【0035】
或いは、又はさらに、被挟持部品とシャフトとの間の軸方向挟持力は、動作スタッドとコレットとの間の自己ロック接続を失うのに必要とされる力の14倍未満であることが好ましい。被挟持部品とシャフトとの間の軸方向力と解放力とのこの関係は、非常に簡単には解放され得ない確実な自己ロックを生じさせる挟持角度に対応する。
【0036】
コレットと動作スタッドとの間の一部分は、例えば、この摩擦係数を得るための固有の摩擦特性又はコーティングを有する中空テーパであり得る。また、この部分は、摩耗した場合には、より容易に交換され得る。
【0037】
本出願におけるテーパに関する全ての角度は、挟持運動の方向が一致する場合、半角であり、これは、それらが好ましくは動作スタッドの挟持運動の方向に対応するテーパ中心線に対してテーパ表面から測定されることを意味する。中心線は、テーパの回転軸であってもよく、又は、テーパが円形断面を有さない場合、例えば1つ又は複数の断面における領域の中心を横断し得る、平均中心線であってもよい。
【0038】
動作スタッドは、コレットと相互作用するための2つの外部テーパ付き区間を有し得る。外部テーパ付き区間のそれぞれは、自己ロックするものであってよい。しかし、動作スタッドが単に1つの自己ロック式外部テーパ付き区間を有することが十分とされる場合もある。
【0039】
動作スタッドの少なくとも1つの外部テーパ付き区間は、第1及び第2のテーパ付き小区間を含むことが好ましい。各小区間は、同じ区間の他の小区間の係合を伴わずにコレットと係合可能であることが好ましく、この場合、第1の小区間は、第2の小区間の第2の小区間作動角度とは異なる第1の小区間作動角度を有する。異なる角度により、様々なタイプの作動が、1つのテーパ付き区間によって行われ得る。例えば、コレットのための急速位置決めストロークが行われ得る。部品を挟持するための挟持ストロークが、追加として又はその代わりに行われ得る。
【0040】
動作スタッドの挟持運動中、第1の小区間は、第2の小区間が係合可能である前にコレットと係合可能であり得ることが、好ましい。
【0041】
第1の小区間作動角度は、挟持されるべき部品を把持するための把持角度であることが、好ましい。把持は、迅速に且つ挟持を伴わずに行われ得る。第2の小区間作動角度は、第2の小区間の係合中の動作スタッドの運動に関するコレット・セグメントの径方向運動が第1の小区間の係合中の動作スタッドの同じ運動に関するコレット・セグメントの径方向運動よりも小さいような挟持角度であることが、好ましい。このようにして、第1の小区間は、コレットの径方向運動の速度の上昇を目標とし、一方で、第2の小区間は、同じ方向においてコレットに加えられる力の増大を目標とする。
【0042】
動作スタッドの第1及び第2の外部テーパ付き区間のうちの少なくとも一方に2つの小区間が存在する場合、少なくとも1つの第2の小区間が、6°未満の第2の小区間挟持角度を有することが、好ましい。少なくとも1つの第1の小区間は、6°よりも大きい作動角度を有することができる。そのような小区間により、動作スタッドをコレットに沿って摺動させたときに、様々な挟持速度を実現することができる。コレットの高い径方向速度が、挟持されるべき部品を把持するために実現されてもよく、また、コレットのより遅い径方向速度が、増大された力により挟持されるべき部品に予荷重を付与するために実現されてもよい。
【0043】
動作スタッドの第1の外部テーパ付き区間及び第2の外部テーパ付き区間のうちの一方のみ、特に挟持凹部のより近くに配置される外部テーパ付き区間が、第1及び第2の小区間を含むことが、好ましい。この場合小区間に分割されない外部テーパ付き区間、及び第2の外部テーパ付き小区間は、6°未満の挟持角度を有することが、好ましい。
【0044】
挟持デバイスは、
- 挟持デバイスを通して、特に動作スタッドを通して任意の液体又は気体を案内するための内部挟持デバイス・チャネルであって、妥当な場合挟持デバイス及びスピンドルとともに回転することができる挟持デバイス・チャネルと、
- 挟持デバイスの回転可能な挟持デバイス・チャネルをロック-解放バー内の供給チャネルに接続するための回転式フィードスルーであって、ロック-解放バーが好ましくは回転不能である、回転式フィードスルーと
を備えることが、好ましい。
これは別の発明であると見なされ、出願人は、それを別に請求するために、その権利を保有する。
【0045】
この設計は、媒体がスピンドルの回転不能な部品からロック-解放バーを貫く供給チャネルを通って被挟持部品まで流れることを可能にし、被挟持部品は、回転することができるか、又は、中心線の周りに位置決めされ得る。媒体は、供給チャネルから回転式フィードスルーを通り、次いで挟持デバイス・チャネルを通って被挟持部品まで流れることができる。ロック-解放バーは、取り付けられた状態ではシャフトの内側に配置されていることが、好ましい。媒体は、例えば、特に機械加工工程のための冷却剤及び/若しくは潤滑剤、又は空気若しくは不活性ガスのような任意の気体であり得る。
【0046】
シャフトは、シャフトを駆動するスピンドルの内側に配置され得る。シャフトは、シャフトとスピンドルとの間に配置される軸受システムによって担持され得る。ロック-解放バーは、回転不能であるように、スピンドルに取り付けられ得る。
【0047】
挟持デバイス・チャネルは、動作スタッドの中心を貫いて延在することが好ましい。動作スタッドは、挟持されるべき部品に向かうその端部において開口していることが好ましい。媒体は、そのような開口部を通って被挟持部品まで流れることができる。
【0048】
回転式フィードスルーは、シャフトの軸方向において着脱可能であることが好ましい。回転式フィードスルーは、組み立てられた状態において互いに回転可能である少なくとも2つの部品に分割され得ることが好ましい。第1の部品は、動作スタッドの回転式フィードスルー相手部品であってもよい。第2の部品は、別の部品又は別の部品の一区間であり得る回転式フィードスルー・リングであってもよい。2つの部品を互いに取り外すための場所は、2つの部品の間に配置される例えば気体軸受又は液体軸受である流体軸受の間隙であってもよい。
【0049】
挟持機構を備えるシャフトは、好ましくは動作スタッドからのロック-解放バーの係脱の後で、ロック-解放バーが配置されているスピンドルから引き抜かれ得ることが好ましい。回転式フィードスルーは、この過程によって離脱されることが好ましい。シャフトをスピンドルから取り外すのに、さらなる行為は必要とされないことが好ましい。シャフト又はシャフトと一緒に引き抜かれ得る部品とスピンドルの残りの部品との間の全ての接続部品は、軸受、好ましくは気体軸受とされ得る。1つ又は複数の軸受の部品を含み得る引出し可能なシャフト組立体を除く全ての軸受部品は、スピンドルが引き出されるときにスピンドル又はハウジング内に残ることができる。
【0050】
シャフト組立体が、シャフト、コレット、及びシャフトに配置され且つ/又はシャフトとともに回転可能な部品、特に1つ又は複数の軸受の部品を備える。
【0051】
回転式フィードスルーは、気体静力学的、気体動力学的、液体静力学的、又は液体動力学的な径方向軸受であることが好ましい。そのような軸受は、挟持デバイスにおいて働くロック-解放バーを担持し、支持し、且つ/又は案内することができる。そのような軸受の内輪は、ロック-解放バー及び挟持デバイスの両方に取り付けられ得るか又はその一区間であってもよく、一方で、外輪は、ロック-解放バー及び挟持デバイスのどちらかに取り付けられ得る。回転式フィードスルーは、ロック-解放バーの内側に配置されることが好ましい。しかし、動作スタッドの一区間の内側に回転式フィードスルーを配置することも可能である。軸受は、回転式フィードスルーを通して案内される気体又は流体が、ロック-解放バーが配置されている穴を通ってシャフト内に流れること又はこのシャフト内に組み立てられている挟持システム内に流れることを防ぐために、シーリングとして働くことができることが好ましい。流体軸受又は気体軸受、特に気体軸受の小さな間隙により、加圧された媒体、例えば少なくとも10バール、好ましくは少なくとも50バールの圧力を持つ媒体を密閉することが可能である。静圧気体軸受は、10バール超の圧力を使用する高圧静圧気体軸受であり得る。軸受に供給するための流体又は気体は、ロック-解放バー内の専用の穴を介して供給され得る。ロック-解放バー内の媒体供給チャネルから、又はロック-解放バーへの専用の外部供給源により、軸受に流体を供給することも可能である。
【0052】
流体軸受又は気体軸受に基づく容易に分離可能な回転式フィードスルーの発想は、単一の発明と見なされ、出願人は、それを別に請求する権利を保有する。
【0053】
動作スタッドは、コレットと係合する長さにわたって、それが最大限に径方向外方に変位されて動作スタッドにおいて考慮される軸方向位置よりも挟持されるべき部品からさらに遠くに配置される位置において、コレットの任意の内径に等しいかそれよりも小さい最大直径を有することが、好ましい。このようにして、また、好ましくは、エンド・ストップによって制限されていない場合、及び/又はツールが挟持されていない場合には、動作スタッドは、ツールを挟持するために、その作動の方向に移動され得る。したがって、シャフトは、動作スタッドを取り外すこと又はスピンドルの内側の挟持-解放バーから動作スタッドを離脱させることなしに、コレットと一緒にスピンドルから軸方向に取り外され得る。シャフトが取り外されると、動作スタッドは、点検作業又は交換のためにアクセス可能になる。 シャフト組立体はまた、スピンドルからそれを取り外す方向において、スピンドルへの軸方向接続を有さないことが好ましい。
【0054】
挟持デバイスは、径方向に延在する案内スロットをその外周面に有する案内リングを備えることが、好ましい。案内スロットのそれぞれは、1つの単一のコレット・セグメントを径方向に、好ましくは軸方向にも案内するように構成される。シャフトに対するコレットの角度位置の変化が回避可能であることが、好ましい。或いは、又はさらに、中心軸に直角をなす軸の周りでの傾きが、案内リングによって回避可能とされ得る。案内スロットは、案内リングの径方向外周面の軸方向長さ全体にわたって軸方向に延在し得る。案内リングは、コレット・セグメントのように、軸方向に短くてもよい。案内リングの外周は、その外周面にねじ山を有することが好ましい。このねじ山により、案内リングは、シャフト内に、好ましくはシャフトの挿入区間内にねじ込まれ得る。案内リングがシャフトから取り外されるときに、コレットは、好ましくは案内リングと一緒に、中空スピンドル端部から引き出され得ることが好ましい。案内リングは、シャフトの中空区間の内側の相手表面上で案内リングを中心に配置するためのセンタリング・ショルダとして働くことができる1つ又は複数の軸方向突出部を備え得る。
【0055】
案内リングは、別の発明と見なされ、出願人は、それを別の出願として請求する権利を保有する。
【0056】
本発明のさらなる態様では、上記の挟持デバイスを備える回転又は位置決めデバイス、特にスピンドルが提案される。
【0057】
回転デバイスは、その回転デバイスにより相当な回転速度が得られることを意味する。位置決めデバイスは、回転運動及び/又は並進運動により被挟持部品を位置決めするためのデバイスである。提案される挟持デバイスによって得られる挟持の精度は、特に再現性に関して、位置決めに有利である。これは、回転デバイスにおける不均衡さの問題及び回転子の動力学に関して有利である。
【0058】
本特許出願によるスピンドルは、シャフトが径方向及び/又は軸方向において位置合わせされることを可能にする軸受システムを含むデバイスである。スピンドルは、モータを含んでもよいし、含まなくてもよい。スピンドル内の挟持デバイスは、軸方向及び径方向において被挟持部品を挟持してスピンドルに配置するために、被挟持部品を保持し且つ挟持することができる。
【0059】
シャフトが、シャフトの挟持端部から始まる軸方向シャフト貫通穴を有することが好ましく、この場合、挟持デバイスは、ロック-解放バーによる挟持デバイスへの作用により、また専用の挟持力生成ユニット又は専用のロック・ユニットの作用を伴わずに動作可能であり、ロック-解放バーは、好ましくは、回転に関してスピンドル固定子に固定される。シャフトとともに回転する挟持力生成ユニットが存在しないことが、好ましい。具体的には、挟持力の主な部分を生成するための軸方向力が、挟持過程においてのみ動作スタッドに印加される。挟持力の主な部分を生成するためにコレットの挟持状態において動作スタッドに恒久的な軸方向力が印加されないことが、好ましい。
【0060】
スピンドル貫通穴は、必ずしも中ぐりによって作り出される必要はない。スピンドルは、中空シャフトの形態を有することが好ましい。
【0061】
スピンドル・シャフトは、スピンドルから引出し可能であることが好ましく、この場合、動作スタッドは、ロック-解放バーに接続されており、且つ、スピンドル内に残る。
【0062】
スピンドル・シャフトは、スピンドルから引出し可能であることが好ましく、この場合、挟持デバイスは、シャフトとともに引出し可能であり、ロック-解放バーは、スピンドル内に残る。
【0063】
シャフトは、部品を挟持することなしに部品の高速把持を行うために予荷重が付与される再調整ばねを備えることが、好ましい。このために、再調整ばねは、挟持の方向において動作スタッドに予荷重を付与するように、動作スタッドとシャフトとの間で効力を発する。再調整ばねは、巻ばねであってもよい。この場合、再調整ばねは、動作スタッドの周りに配置されることが、好ましい。さらに、そのような再調整ばねにより、回転及び遠心荷重下でのコレットの径方向運動が、動作スタッドの軸方向位置を再調整することによって補償され得る。挟持されるべき部品の挟持は、回転を止めた後で維持される。再調整ばねは、動作スタッドとスピンドル・シャフト又はコレットとの間に配置されることが好ましい。再調整ばねは、部品を解放するときの動作スタッドの運動方向に圧縮可能であることが好ましい。
【0064】
ロック-解放バーは、ロック-解放バーとシャフトとの間のバー軸受によって支持されることが好ましく、この場合、バー軸受は、ジャーナル軸受、静圧軸受、動圧軸受、又は気体静圧軸受及び/若しくは気体動圧軸受であることが好ましい。バー軸受は、径方向軸受であることが好ましい。
【0065】
挟持されるべき部品を挟持するための専用のシャフトの開口端部からのスピンドル貫通穴のより深い部分を封止するために、動作スタッドとシャフトとの間にスタッド・シーリングが配置されることが、好ましい。
【0066】
本発明の別の態様では、挟持されるべき部品をシャフトにおいて挟持するための方法が提案される。この方法によれば、外部テーパ付き区間を含む動作スタッドをシャフトの軸方向に移動させ、その移動がコレットを径方向外方に移動させて、挟持されるべき部品を挟持することにより、挟持デバイスの自己ロックが達成される。挟持力が増大し始めると、動作スタッドは、動作スタッドの外部テーパ付き区間とコレット又はコレットと動作スタッドとの間の一部分との間の摩擦が挟持デバイスの自己ロックをもたらすように、同じ軸方向にさらに移動される。
【0067】
このために、動作スタッドの外部テーパ付き区間と軸方向運動の方向との間の角度は、6°未満であることが好ましい。
【0068】
挟持されるべき部品を挟持するために、コレットは、予荷重を付与され得る。挟持は、挟持されるべき部品のシャフトに対する軸方向運動によって行われ得る。挟持凹部は、好ましくはテーパ付けされているので、軸方向運動はまた、径方向の挟持につながる。
【0069】
本発明の一実施例として、部品をスピンドル・シャフト内にしっかりと、安全に、且つ再現可能に、しかし取外し可能でもあるように挟持するための機構が、提案される。挟持機構は、挟持されるべき部品の内部テーパ付き区間と係合するための外部挟持テーパ、及び、シャフトの内部テーパ付き区間と係合するための第2の外部挟持テーパを含む、セグメント化されたコレットを備え得る。被挟持部品は、中空シャフト・テーパ機構における最新技術であるこの機構により、シャフトに逆らって予荷重を付与され得る。挟持デバイスは、3つの外部テーパ付き区間によりセグメント化されたコレットを作動させるための中央動作スタッドをさらに備え得る。その場合、中央スタッドの中間に位置する深くテーパ付けされた区間が、軸方向に移動された場合に、セグメント化されたコレットの迅速な径方向運動を可能にする。シャフトと挟持されるべき部品との係合に向けて軸方向に移動された場合、それは、中空部品をスピンドル・シャフトから取り外すために、コレットの全径を迅速に小さくすることを可能にする。シャフトの内側に向かって、つまり、挟持されるべき部品から離れるように、軸方向に移動された場合、強くテーパ付けされた区間は、好ましくは動作スタッドの第1の外部テーパ区間とのその接続によって生じるコレットの径方向運動と比較して上昇した速度でセグメント化されたコレットを径方向に移動させることにより、部品の迅速な予把持(pre-gripping)を可能にする。深くテーパ付けされた区間の左右にある浅くテーパ付けされた2つの区間は、それらがコレットに作用するときに、シャフトの内側に向かう中央動作スタッドのさらなる軸方向移動により、大きな予荷重を作り出す。このために、セグメント化されたコレットは、径方向に移動し、その外側において、挟持されるべき部品のテーパ付き区間及びシャフトのテーパ付き区間と相互作用する。動作スタッドとコレットとの間の摩擦係数と組み合わせられる少なくとも1つの浅い角度により、機構は、関連する部品の弾性変形により、シャフトに逆らって挟持されるべき部品に予荷重を付与することができるだけでなく、自己ロックすることもできる。これは、高速度且つ被挟持部品に対する高側面荷重でのシャフト回転下における安全な挟持を可能にする。
【0070】
以下では、それらが当業者から見て矛盾しない限り全ての他の実施例と組み合わせられ得る本発明の一実施例が、詳細に説明される。自己ロック式挟持ユニットは、動作スタッドと、その回りのセグメント化されたコレットとを備え得る。両方の部品は、シャフト穴の内側に配置される。穴内への中空シャンク部品の挟持は、中央動作スタッドの軸方向移動によって実行され得る。スタッドの2つのテーパ付き区間が、セグメント化されたコレットを外側へ径方向に移動させることができる。セグメント化されたコレットの外部テーパ付き区間は、径方向に移動されるときに、挟持されるべき部品の中空シャンクのテーパ付き区間内へ摺動し得る。セグメント化されたコレットの別の外部テーパ付き区間が、挟持ユニットが内部に取り付けられる穴の内部テーパ付き区間内へ径方向に摺動し得る。この結果、動作スタッドのさらなる軸方向移動によるセグメント化されたコレットのさらなる径方向の拡張により、挟持されるべき中空シャンク部品と穴を含む部品との間に軸方向荷重が生成され得る。セグメント化されたコレット及び中空シャンク部品の軸方向における弾性伸びにより、中空シャンク部品の一定且つ確実な軸方向予荷重が保証され得る。中空ツールが挟持されると、動作スタッドとセグメント化されたコレットとの間の区間のための6°よりも小さいテーパ角度が、自己ロックを確実とし得る。挟持を解放して中空部品を穴から取り外すために、動作スタッドは、挟持の反対方向に軸方向に移動することができる。ロック予荷重によって生じた軸方向摩擦力を克服した後、動作スタッドは、軸方向に自由に移動することができる。
【0071】
この実施例では、動作スタッドにおける軸方向面は、中空シャンク部品を中空シャンク部品の内部軸方向面上の穴から押し出すために使用され得る。中空シャンク部品を穴から取り出すために、動作スタッドは、セグメント化されたコレットのセグメントが内側へ径方向に移動して挟持ユニットの全径を小さくすることを可能にする、テーパ付き区間を含み得る。このために、動作スタッドは、セグメント化されたコレットのセグメントを動作スタッドの急なテーパが付けられた区間内へ径方向に強制的に移動させる、別のテーパ付き区間を備えることができる。挟持機構は、気体又は流体が被挟持部品へ案内されることを可能にするフィードスルーをさらに含み得る。動作スタッドは、外部のロック-解放バーにより穴の内側で動作されてもよく、このロック-解放バーは、穴、又は穴が配置されている部品に接続される必要はない。
【0072】
現況技術と比較すると、提示された本発明からは、いくつかの主な便益が現れる。
図1A及び
図1Bに照らして説明された現況技術と比較して、必要とされる部品数は、大幅に減少する。シャフトの内側の予荷重生成ユニットは、必要とされない。挟持機構の全長もまた、大幅に減少する。したがって、回転における動力学及び動釣合いが著しく改善され且つはるかに一貫したものになるだけでなく、部品の製造及び組立の方法が、より経済的になる。好ましくは、また、便益として、挟持の解放は、
図1A及び
図1Bに照らして説明された現況技術の挟持システムの穴内に取り付けられるばねの予荷重を克服するための外的な圧縮荷重を必要としない。これは、挟持を解放するための軸方向荷重を著しく減少させ、且つ、より小さな寸法の部品がこの解放力を生成することを可能にする。さらに、本発明は、挟持されるべき部品を担持するシャフトであることが多い、穴を含む部品が、軸方向に取り外されることを可能にする。この場合、セグメント化されたコレットは、シャフト内に残り、動作スタッドは、セグメント化されたコレットの内側で軸方向に摺動することができ、且つ、ロック-解放バーに取り付けられたままでいることができる。これは、メンテナンス作業に役立つことであり、また、
図1A及び
図1B又は
図2のいずれかに示された現況技術の挟持システムでは不可能なことである。
【0073】
図2に照らして説明された現況技術と比較して、別体のロック・ユニットは必要とされず、それにより、部品の数が著しく減少する。浅くテーパ付けされた区間の減少は、軸方向への動作スタッドの軸方向調整及び行程公差を改善し、且つ、経時的な信頼性を大幅に高める。部品の数の減少及びサイズの縮小もまた、動的挙動及び動釣合いを向上させる。物理的挙動は、
図2に示された現況技術の挟持システムの場合のような過度の制約は受けない。予荷重を解放するときの強化された自己ロックは除外され得る。中央スタッドは、穴又は穴が配置されている部品への接続なしに、穴の内側のロック-解放バーによって動作され得る。回転するシャフト内で使用される場合、これは、シャフト、動作スタッド、及びセグメント化されたコレットのみが回転するので、動的挙動及び動釣合いを著しく向上させる。
【0074】
しかし、
図1A及び
図1Bで説明された現況技術の挟持システムの場合、挟持を解放するために外力のみが必要とされるので、本発明の場合、挟持のため及び挟持を解放するために、両方の軸方向における力が必要とされる。
【0075】
図は、現況技術による実施例と、単なる例としての本発明による実施例とを示す。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1A】スピンドル・シャフトと一緒に回転する挟持力生成ユニットを備えまた挟持されるべき部品を保持する挟持デバイスに恒久的に張力を与える、現況技術による中空シャフト挟持機構の第1の変形形態のスピンドル・シャフトの、中心線平面を通る断面図である。
【
図1B】
図1Aに示された中空シャフト挟持機構の細部を拡大して示す図である。
【
図2】スピンドル・シャフトと一緒に回転する自己ロック式挟持力生成ユニットを備えまた挟持された部品を維持するために挟持デバイスに恒久的に張力を与える、現況技術による中空シャフト挟持機構の第2の変形形態タイプのスピンドル・シャフトの、中心線平面を通る断面図である。
【
図3A】本発明による挟持デバイスの中心線を通る断面図である。
【
図3B】
図3Aにおけるような挟持デバイスを異なる詳細及び情報と一緒に示す図である。
【
図3C】案内リングの中心線平面を通る断面図である。
【
図3D】
図3Cの挟持デバイスのコレット・セグメントを案内するための案内リングの図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図3Aは、本発明による挟持デバイス1を概略的に示す。いくつかの特徴は、
図1A、
図1B、及び
図2のそれぞれの挟持システム100、200の特徴に似ており、概して同じ参照記号が付けられている。
【0078】
図3Aには、ツール・ホルダ20の形態を有する、挟持されるべき部品2が示されている。同じ接合部幾何形状を有する任意の他のツール又は部品が本発明による中空シャンク挟持機構によって挟持され得ることは、明らかである。
【0079】
挟持されるべき部品2は、シャフト38の軸方向端部における挟持凹部3内にその挿入区間21がある状態で、部分的に示されている。挿入区間21は、シャフト38の方向に突出する。シャフト38は、
図3Aでは完全には示されていないが、実際には、
図3における右側にさらに続いている。
【0080】
挿入区間21の外側輪郭は、テーパ24の形状を有する。テーパ24は、挟持凹部3の内側輪郭におけるテーパ34内に完全に係合され且つこれらのテーパ間に干渉嵌まりを含むものとして示されている。挟持されるべき部品の軸方向端面22が、シャフト38の軸方向端面32に押し付けられて示されている。
【0081】
挟持凹部3の内側には、コレット10が配置される。コレット10は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、単一コレット・セグメント11を備える。コレット・セグメント11は、案内リング19内で案内される。案内リング19は、シャフト38内の挟持凹部3内にねじ込まれ得る。このようにして、コレット・セグメント11は、シャフト38に対して案内される。
【0082】
コレット・セグメント11のそれぞれは、第1の外部突出部103及び第2の外部突出部104を備える。第1の外部突出部103が、挟持されるべき部品2の挿入区間21の内側輪郭におけるテーパ付き内部区間25内に留められて示されている。コレット10の第1の外部挟持テーパ1031が、テーパ付き内部区間25に接触して、挟持力を伝達する。第2の外部突出部104は、シャフト38の内周領域にある内部凹部36内に留められる。内部凹部36は、内部テーパ付き区間361を有する。内部テーパ付き区間361は、コレット10の第2の外部挟持テーパ1041に接触して、挟持力を伝達する。
【0083】
コレット10の内側には、動作スタッド13が配置される。動作スタッド13の軸方向動作運動により、コレット10は、外側又は内側へ径方向に移動され得る。コレット10は、その内側に、挟持される部品2に向かってコレット10の内周面の端部に配置された第1の内部テーパ付き区間101を有する。さらに、コレット10は、その内側に、ロック-解放バー17に向かってさらに配置された第2の内部テーパ付き区間102を有する。内部テーパ付き区間101、102のどちらも、中心線33に対して測定された6°未満の半角を有することが好ましい。動作スタッドは、第1のテーパ付き区間131及び第2のテーパ付き区間132を備える。第1のテーパ付き区間131は、第1のテーパ付き小区間1311及び第2のテーパ付き小区間1312に細分される。動作スタッド13の挟持運動中、内部テーパ付き区間101、102は、第1の外部テーパ付き区間131の第2の外部テーパ付き小区間1312、及び第2の外部テーパ付き区間132とそれぞれコンタクトしている。第2のテーパ付き小区間1312及び第2の外部テーパ付き区間132は、中心線33に対して測定された6°未満の半角を有する。動作スタッド13が
図3での右側に移動されると、テーパ付き区間1312、132、及び101、102の浅いテーパ角度により、自己ロックが行われる。動作スタッド13が
図3での右側に移動される挟持移動中、コレット・セグメント11は、外側に移動される。それにより、挟持されるべき部品2は、内部テーパ付き区間25と、挟持されるべき部品2に近いコレット・セグメント11の端部における第1の外部挟持テーパ1031とにより、また、挟持凹部の内部テーパ付き区間361と、コレット・セグメント11の他方の端部における第2の外部挟持テーパ1041とにより、中心線に沿って挟持凹部3内へ軸方向に引き込まれる。コレット10の幾何形状、テーパ付き区間25を含む挟持されるべき被挟持部品2における内部凹部、及び、シャフト38における凹部36が、コレット・セグメント11に張力をもたらして、被挟持部品2の軸方向端面22とシャフト38の軸方向端面32とを互いに引き寄せる。この状態では、コレット・セグメント11は、弾性的に引き伸ばされている。自己ロック作用により、この弾性変形は、挟持されるべき部品2とシャフト38における内部テーパ34との間のテーパ接続24、34に予荷重を付与する。
【0084】
動作スタッド13は、第2のテーパ付き区間1312よりもかなり急な半角を有する、第1のテーパ付き小区間1311を備える。外部テーパ区間1311は、挟持されるべき部品2に近接したコレット・セグメント11の端部と相互作用し得る。第1のテーパ付き小区間1311の急なテーパ角度により、動作スタッド13が
図3A及び3Bでの右側に移動されて第1のテーパ付き小区間1311が係合されるときに、コレット10の第1の突出部103の高速把持運動が行われる。被挟持部品2に向かう動作スタッド13の解放ストローク中、挟持されるべき部品2により近接したコレット10の端部は、第1の外部テーパ付き小区間1311と部分的に境界を接する動作スタッド13の凹部内へ、径方向に摺動する。次いで、挟持されるべき2に向かうコレット10の端部は、中心線33に向かって径方向に引っ込められて、被挟持部品2の内部テーパ付き区間25から外れる。
【0085】
動作スタッド13は、シャフト貫通穴37の内側に配置される。動作スタッド13は、被挟持部品2とは反対側のその端部において、回転式フィードスルー181を介してロック-解放バー17に接続される。動作スタッド13は、筒の形状を有する回転式フィードスルー相手部品135を備える。フィードスルー相手部品135は、動作スタッド13の軸方向穴内に配置される。これは、封止機能を可能にする。さらに、又はその代わりに、フィードスルー相手部品135は、封止リングによる径方向における屈曲性挙動を可能にする。筒の軸方向位置は、固定される。フィードスルー相手部品135の外周面は、ジャーナル気体軸受として設計される。空気軸受の外側部分は、回転式フィードスルー181である。回転式フィードスルー181は、軸受気体をジャーナル軸受に供給するための軸受気体供給穴182を備える。
【0086】
回転式フィードスルー181は、媒体がロック-解放バー17内の供給チャネル172を通って挟持デバイス・チャネル18内へ流れることを可能にする。挟持デバイス・チャネル18を有する挟持デバイス1、及び供給チャネル172を有するロック-解放バー17は、媒体が流れているときに、それらの相対的な角度位置を変えることができる。供給チャネル172は、動作スタッド13の軸方向長さ全体にわたって延在する。フィードスルー相手部品135と回転式フィードスルー181との組合わせとしての気体軸受はまた、チャネル172及び18内の任意の流体又は気体に対する封止機能を有する。
【0087】
動作スタッド13は、シャフト貫通穴37の内周面と相互作用するシーリング133をさらに備える。このシーリング133は、シャフト貫通穴37のより深い部分に対して挟持凹部3を封止する。
【0088】
部品2がシャフト38から取り外される場合、シャフト38は、
図3Bにのみ示されているスピンドル1000から外に引っ込められ得る。すると、動作スタッド13は、ロック-解放バー17に取り付けられた状態でスピンドル1000の内側に残る。
【0089】
動作スタッド13及びロック-解放バー17は、ロック-解放バー17が挟持デバイス1により被挟持部品2をロック又は解放するために動作されていないときに接続が解かれるように、互いに接続される。
【0090】
挟持デバイス1は、再調整ばね14をさらに備え、この再調整ばね14は、挟持方向において、部品2を挟持するのに必要とされる力よりも小さい力で動作スタッド13に予荷重を付与する。再調整ばね14は、シャフト38のシャフト貫通穴37におけるばね圧縮面134とシャフト38に取り付けられた止め輪141との間に配置される。再調整ばね14は、シャフト38内で軸方向に延在する。
【0091】
シャフト38に部品2が挟持されていない場合、コレット・セグメント11は、再調整ばね14の力が動作スタッド13に作用するので、最大限外側の径方向位置を有する。部品2を挟持するために、動作ロッド13は、部品2と内部シャフト・テーパ34との間の境界面となる外部テーパ24に向かって移動し、この場合、挟持されるべき部品2に向かうコレット・セグメント11の端部が、動作スタッド13の第1の外部テーパ付き小区間1311における凹部に滑り込む。挟持されるべき部品2に近接したコレット・セグメント11の端部は、圧縮テーパ表面1032をその径方向外周面に有する。この圧縮テーパ表面1032は、部品が挟持凹部3に挿入されるときに、挟持されるべき部品2の挿入区間21と係合することができる。挟持されるべき部品2に向かうコレット・セグメント11の端部を動作スタッド13の凹部1311に滑り込ませなくする多くの状況、好ましくはあらゆる状況が、この設計によってカバーされ得る。挟持されるべき部品2の中空シャンクを挟持凹部3に挿入することを可能にするために、挿入区間21は、コレット・セグメント11を、それらが内部テーパ付き区間25内にクリップすることができる中空シャンクの内側に滑り込むように、挟持されるべき部品2に向かう圧縮テーパ1032を含むそれらの端部において圧迫する。
【0092】
取り付けられた挟持デバイスと一緒にシャフトが例えば10,000rpmを超える高速度で回転するときに、コレット・セグメント11に遠心荷重が作用し得る。この場合、コレット10の第1の外部挟持テーパ1031と部品2の内部テーパ付き区間25との間のテーパ接続、並びに第2の外部挟持テーパ1041と挟持凹部3の内部テーパ付き区間361との間のテーパ接続にかかる軸方向力が、増大する。この場合も先と同様に、シャフト38に対する被挟持部品2の軸方向挟持の強化がもたらされる。しかし、その一方で、コレット10の第1の内部テーパ付き区間101と動作スタッド13の第2の外部テーパ付き小区間1312との間の接続、並びに第2の内部テーパ付き区間102と動作スタッドの第2の外部テーパ付き区間132との間の接続は、予荷重を損なう。挟持中のコレット・セグメント11の弾性変形によるコレット・セグメント11の予荷重が挟持力を適切に維持するのに十分ではない場合、再調整ばね14が有効になり得る。再調整ばね14は、動作スタッド13を挟持されるべき部品2から離れる方向にさらに押すことにより動作スタッド13の軸方向位置を再調整するのに、十分な強さである。回転を停止してからも、部品2の確実且つ予荷重が付与された挟持が維持される。
【0093】
動作スタッド13は、動作スタッド13の周囲面における案内表面137においてシャフト貫通穴37の内側で案内される。動作スタッド13の外径の軽微な偏心が、再現不能な不均衡状態を生じさせ得る。したがって、シャフト貫通穴37の内側での非常に良好な位置合わせが好ましい。シャフト貫通穴37と案内表面137との間の例えば3~10ミクロンの直径の適合が、好ましくは設計される。
【0094】
図3Bは、シャフト38の挟持凹部3内の挟持デバイス1を示す。シャフト38は、例示の目的のために、簡易化したスピンドル1000に挿入されている。
図3Bは、動作スタッド13における作動角度及び挟持角度を示す。コレット10を第1の外部テーパ付き小区間131において動作スタッド13の凹部1313内に迅速に保持するためのものであり且つ挟持されるべき部品2の把持のためのものである第1の外部テーパ付き小区間1311は、挟持凹部3の中心軸に対する把持角度GAを有する。テーパ表面から中心線33まで測定されるこの把持角度GAは、20°から45°の間で選択されることが好ましい。動作スタッド13の第1のテーパ付き区間131の第2の外部テーパ付き小区間1312は、挟持凹部3の中心軸に対して第1の挟持角度CA1を有する。同じくテーパ表面から中心線33まで測定される第1の挟持角度CA1は、6°未満である。ロック-解放バー12の側における動作スタッド13の第2の外部テーパ付き区間132は、挟持凹部3の中心線33に対して第2の挟持角度CA2を有する。同じくテーパ表面から中心線33まで測定される第2の挟持角度CA2は、6°未満であることが好ましい。
【0095】
動作スタッド13及びコレット10は、コレット10の第1の内部テーパ付き区間101とコンタクトしているスタッド13の第1の外部テーパ131の第1の外部テーパ付き小区間1311において接触する。スタッド13の第2のテーパ付き区間132は、コレット10の第2の内部テーパ付き区間102とコンタクトしている。
【0096】
動作スタッド13に関して、解放運動方向RM及び挟持運動方向CMが、
図3Bにおいて対応する矢印で示されている。
【0097】
さらに、シャフト38をスピンドル1000から取り外すのに必要とされる条件の実例として、動作スタッド13の最大直径Dが示されている。シャフト38の軸方向において直径Dから始まる例示的な行程PAに沿って、最大直径Dは、コレット10及びシャフト38の内径よりも小さい。また、動作スタッド13の案内表面137は、シャフト38の挟持端部に関して案内表面137からさらに離れているシャフト貫通穴37の部分よりも小さい直径を有する。より大まかに言えば、シャフト38の挟持止め39から離れる方向において考慮される外径から始まる、貫通穴37の内側の部品、例えば動作スタッド13の外径は、コレット及び貫通穴37の内径よりも小さい。コレット・セグメント11がシャフト38の挟持凹部3の内部テーパ付き区間361とコレット10の第2の外部挟持テーパ1041との間のテーパ接続において完全に係合される場合、上記のようになることが好ましい。また、シャフト及びコレットに加えて軸受のような他の部品をも含み得るシャフト組立体35の外側は、シャフト組立体35がスピンドル1000から取り外されるのを妨げる、より大きな直径を有さない。シャフト38又はシャフト組立体35は、さらなる行為を伴わずにスピンドル1000から引き抜かれ得る。動作スタッド13は、ロック-解放バー17に取り付けられたままであり、また、この場合、スピンドル1000の内側に残る。コレット10は、シャフト38内に残る。
【0098】
図3C及び3Dは、案内スロット191を含む案内リング19を示す。案内リング19は、単一コレット・セグメント11の任意の側面が、対応するコレット・セグメント11の円周方向における側面に接触する接触面194によって画定された平面以外の他のいかなる平面においても移動しないことを、確実にするであろう。案内スロット191の数は、コレット10のコレット・セグメント11の数と一致する。案内リング19は、案内リング19を挟持凹部3内で中心に配置するために、心出し突出部192を備える。案内リング19は、その外周面にねじ山193を備える。このねじ山193により、案内リング19は、相手ねじ山をその内周面に備える挟持凹部3内にねじ込まれ得る。
【符号の説明】
【0099】
1 挟持デバイス
10 コレット
101 コレットの第1の内部テーパ付き区間
102 コレットの第2の内部テーパ付き区間
103 挟持されるべき部品内にコレットを係合させるための、コレットの第1の外部突出部
1031 コレットの第1の外部挟持テーパ
1032 圧縮テーパ表面
104 シャフト内にコレットを係合させるための、コレットの第2の外部突出部
1041 コレットの第2の外部挟持テーパ
11 コレット・セグメント
111 コレットの円周方向におけるコレット・セグメントの側面
12 動作バー
121 動作バー内の長手方向穴
122 動作バー・ヘッド
13 動作スタッド
1310 コンタクト・ゾーン
131 挟持されるべき部品の側における動作スタッドの第1の外部テーパ
1311 動作スタッドの第1の外部テーパの第1の外部テーパ付き小区間
1312 動作スタッドの第1の外部テーパの第2の外部テーパ付き小区間
1313 動作スタッド内の凹部
132 動作スタッドの側における動作スタッドの第2の外部テーパ
133 封止リング
134 動作スタッドのばね圧縮面
135 動作スタッドの回転式フィードスルー相手部品
136 動作スタッドの軸方向端面
137 動作スタッドの案内表面
14 再調整ばね
141 止め輪
15 テーパ付き端部を含むブッシュ
16 支持リング
17 ロック-解放バー
171 ロック-解放バーの外側テーパ付き区間
172 ロック-解放バー内の供給チャネル
173 ロック-解放バーの軸方向端面
174 径方向バー軸受
18 挟持デバイス・チャネル
181 回転式フィードスルー
182 軸受気体供給穴
19 接触面においてコレット・セグメントを案内するための案内リング
191 案内スロット
192 心出し突出部
193 案内リングの外周面におけるねじ山
194 接触面
2 挟持されるべき部品
20 ツール・ホルダ
21 挿入区間
22 挟持されるべき部品の軸方向端面
23 挟持されるべき部品の中心軸
24 外部テーパ
25 内部テーパ付き区間
26 内部軸方向端面
3 挟持凹部
31 挟持されるべき部品のための挿入区間
32 挟持凹部の前方軸方向接続面
33 挟持凹部の中心線
34 シャフト内の内部テーパ
35 シャフト組立体
36 挟持凹部の内周面領域内の内部凹部
361 挟持凹部の内部テーパ付き区間
37 シャフト貫通穴
371 シャフト内側の軸方向面
38 シャフト
39 軸方向挟持止め
4 挟持力生成ユニット
41 円盤ばねパッケージ
5 ロック・ユニット
51 分割二重テーパ付きチューブ
511 分割二重テーパ付きチューブの内部テーパ付き区間
512 分割二重テーパ付きチューブの外部テーパ付き区間
513 分割二重テーパ付きチューブの軸方向端面
52 内側テーパ付きブッシュ
100 第1の現況技術の中空シャフト・テーパ挟持機構(HSKタイプ、独国:Hohlschaftkegelspannmechanismus)
200 第2の現況技術の中空シャフト・テーパ挟持機構(HSKタイプ)
1000 スピンドル
D 最大直径
PA シャフトの挟持端部から離れる方向における、動作スタッドの最大直径のための通過領域に沿った例示的な行程
CA1 動作スタッドの第1の外部テーパの第2の外部テーパ付き小区間の第1の挟持角度
CA2 動作スタッドの第2の外部テーパの第2の挟持角度
GA 動作スタッドの外部テーパの第1の外部テーパ付き小区間の把持角度
CM 動作スタッドの挟持運動方向
RM 動作スタッドの解放運動方向
CF 挟持力
RF 解放力