(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045453
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】殺ウイルス有効性に対するアニオン性界面活性剤の影響
(51)【国際特許分類】
A01N 41/04 20060101AFI20240326BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A01N41/04 Z
A01P1/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017034
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2022536891の分割
【原出願日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】62/948,378
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】チュンチョン リー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン スコット キレーン
(72)【発明者】
【氏名】リサ エー.ヘリックソン
(57)【要約】
【課題】殺ウイルス組成物およびその使用方法の提供。
【解決手段】少なくとも1つの酸およびアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤を含む殺ウイルス組成物が提供される。特に、マウスノロウイルスに対する殺ウイルス有効性は、比較アニオン性界面活性剤を超えて改善された有効率で提供される。殺ウイルス組成物を使用する方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの酸であって、前記酸が、強酸、弱酸、またはそれらの組み合わせを含む、酸と、
少なくとも1つのアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤と、
を含む、殺ウイルス組成物であって、
前記組成物が、液体または固体であり、
前記組成物の使用pHが、約1.5~約4である、組成物。
【請求項2】
前記アルファオレフィンスルホネートが、C8~C22アルファオレフィンスルホネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルファオレフィンスルホネートが、C8~C16アルファオレフィンスルホネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記酸が、乳酸およびメタンスルホン酸を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
EO/POブロックコポリマーを有するアルコキシル化非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸が、約10重量%~約80重量%を構成し、前記アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤が、約0.1重量%~約50重量%を構成し、約1重量%~約20重量%の少なくとも1つの追加の機能性成分および/または約1重量%~約20重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸が、約10重量%~約80重量%を構成し、前記アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤が、約0.1重量%~約50重量%を構成し、前記非イオン性界面活性剤が、約1重量%~約20重量%を構成する、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項9】
(i)前記弱酸が、約10重量%~約50重量%を構成し、前記強酸が、約1重量%~約30重量%を構成し、(ii)前記弱酸が、約10重量%~約50重量%を構成し、または(iii)前記強酸が、約1重量%~約30重量%を構成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、液体または固体濃縮物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
追加のアニオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記追加のアニオン性界面活性剤が、スルホネート、好ましくはアルカンスルホネート、好ましくはアルカンスルホン酸ナトリウムである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
殺ウイルス組成物を使用する方法であって、前記方法は、
請求項1~12のいずれか一項に記載の殺ウイルス組成物を、処理を必要とする表面に接触させることと、
ウイルス集団を不活化することと、を含み、前記抗ウイルス不活化が、約60分、30分、10分、5分、1分、30秒、または15秒未満以内に少なくとも3対数減少させて不活化を完了する、方法。
【請求項14】
前記殺ウイルス組成物が、前記接触工程の前に使用溶液に希釈される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
希釈された前記使用溶液が、約0.5重量%~約3重量%の希釈から作製される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記接触が、拭き取り、ディッピング、浸漬、または噴霧によるものである、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記表面が、硬質表面である、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記硬質表面が、予め清浄された硬質表面、ノロウイルスおよび/もしくは他のウイルス集団で汚染された表面、ならびに/またはヒトもしくは哺乳動物組織である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記接触が、1分未満で前記ウイルスの完全な殺滅を提供し、前記接触工程の水性使用温度が、約40°F~160°Fである、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記濃縮物を約1/8オンス/ガロン~約12オンス/ガロンの割合で希釈して、前記殺ウイルス組成物の使用溶液を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
センサおよび/またはインジケータを用いて、以下:前記組成物が殺生物有効性を失う溶液pH、前記使用溶液中のアニオン性界面活性剤の濃度、蛍光、および/また伝導度のうちの少なくとも1つを測定および検出する、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ウイルスが、小型非エンベロープウイルス、大型非エンベロープウイルス、および/またはエンベロープウイルスである、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ウイルスが、ヒトノロウイルス、アデノウイルス、および/またはポリオウイルスである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ウイルス集団の不活化が、約10分、5分、1分、30秒、または15秒以内に少なくとも3対数の減少を提供して不活化を完了する、請求項13~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN1276の要件を満たす、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN13697の要件を満たす、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN16615の要件を満たす、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN14476の要件を満たす、請求項13~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、すすぎ工程を必要としない、請求項13~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月16日に出願された米国仮出願第62/948,378号に対する、米国特許法第119条下で優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。この特許出願の、明細書、特許請求の範囲、および要約、ならびにその任意の図、表、または図面を含む全内容が、限定されることなく、参照により本明細書に明白に組み込まれる。
【0002】
本発明は、アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤および少なくとも1つの酸を含む殺ウイルス組成物に関する。特に、殺ウイルス組成物は、個人用保護具(PPE)の使用を必要としない許容可能な使用溶液pHを有する、マウスノロウイルスに対する殺菌に有効な組成物を提供し、表面適合性であり、処理された表面上に筋状の、濁った、または粘着性の残留物をもたらさない。組成物は、四級アンモニウム化合物の効果的な代替物を提供する。殺ウイルス組成物を使用する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
ウイルス病原体は、高まる公衆衛生上の懸念である。病原性ウイルスは、これらが表面上で長期間持続することができ、疾患の伝染を止めるために、完全かつ信頼性の高い不活化を必要とするため、健康上の重大な懸念を提示する。ウイルスは、不活性化に対する抵抗のレベルに対応する階層に従って特定することができる。3つのウイルスサブグループには、小型の非エンベロープウイルス、大型の非エンベロープウイルス、およびエンベロープウイルスが含まれる。小型の非エンベロープウイルスを不活性化できる殺ウイルス製品は、任意の大型の非エンベロープウイルスまたは任意のエンベロープウイルスも不活性化することができる。同様に、大型の非エンベロープウイルスを不活性化することができる殺ウイルス製品は、任意のエンベロープウイルスも不活性化することができる。したがって、小型の非エンベロープウイルスを不活性化することができる組成物を特定および開発し、次いでウイルス階層にわたって対応する有効性を有することができることが望ましい。ノロウイルスは、表面処理のための追加の殺ウイルス組成物を必要とする例示的な小型の非エンベロープウイルスである。
【0004】
ノロウイルスは、表面処理のための追加の抗菌組成物を必要とする例示的な小型の非エンベロープウイルスである。以前は「ノーウォーク様ウイルス」(NLV)または小型球形ウイルスとしても知られていた非エンベロープノロウイルス(NoV)は、先進国および発展途上国の両方で発生する流行性急性胃腸炎の最も重要なウイルス病原体である。NoVはカルシウイルス科に属し、そのキャプシドが単一の主要な構造タンパク質の180コピーから構成される正二十面体の一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。ノロウイルスは、米国のみで年間2,300万件の急性胃腸炎を引き起こすと推定されており、米国では胃腸炎の主な原因である。ウイルスの中で、感冒だけがウイルス性胃腸炎(ノロウイルス)よりも頻繁に報告されている。ノロウイルスは、吐き気、嘔吐(時には下痢を伴う)、および胃けいれんを引き起こす。この感染は通常、直接接触により人から人へと広がる。
【0005】
ノロウイルスは非常に接触感染性が高く、人から人へと容易に広がる。人々は、いくつかの方法でノロウイルスに感染する可能性があり、例えば、ノロウイルスで汚染された食品を食べるか、または液体を飲むこと、ノロウイルスで汚染された表面または物体に触れてから、その手を口に入れること、または、感染して症状を示す他の人と直接接触する(例えば、病気の人の世話をしたり、または病気の人と食品もしくは食器を共有したりする)ことである。ノロウイルス性胃腸炎の発症時には、いくつかの伝染モードが記録されており、例えば、レストランでの初期の食物媒介性伝染、その後の家庭内接触への二次的な人から人への伝染が続く。
【0006】
細胞培養物においてヒトノロウイルスを増殖させるための方法は、広く利用可能ではなく、制限がある。結果として、ノロウイルスを不活化する方法を評価する研究は、ネコにおけるネコカリシウイルス(FCV)、マウスにおけるマウスノロウイルス(MNV)、ブタにおけるブタ腸内カリシウイルス(PEC)、アカゲザルにおけるTulaneウイルス(TuV)を含むサロゲートウイルスを利用することが多い。FCVは、何十年にもわたって培養されてきたため、ノロウイルスの古典的な代役となっている。
【0007】
異なるノロウイルスサロゲートが異なる不活化方法に対して異なる耐性を有することは、当該技術分野でよく知られている。FCVは、低pHを含む、様々な不活化方法の影響を最も受けやすいものの1つであるとして認識されている。MNVは、耐酸性であるとして認識されている。耐酸性サロゲートは、胃における酸性pHを生き延び、感染力のために小腸における標的細胞に到達することができるため、腸内ウイルス(ヒトノロウイルスなど)を最もよく表す。追加的に、FCVと比較して、MNVは、遺伝的にFCVよりもヒトノロウイルスに近い。そのことを念頭に置いて、ヒトノロウイルスとより遺伝的に関連するMNVなどの耐酸性ノロウイルスサロゲートは、FCVよりもヒトノロウイルスの環境生存を研究するためのより適切なサロゲートである。
【0008】
四級アンモニウム化合物は一般的な抗菌剤になり、外食産業では、フォローアップすすぎ工程を必要とする消毒クレームセットを備えた食品接触消毒および殺菌剤用途に広く使用されている。しかしながら、四級アンモニウム化合物に対する最近の規制当局の精査により、これらの消毒および殺菌剤組成物の利用が変更する可能性がある。
【0009】
すすぎなしの機能を有する製品が望ましいが、すべての活性成分および不活性成分が、公共の飲食場所、乳製品加工機器、および食品加工機器ならびに調理器具における食品接触面に適用される抗菌性殺菌剤中で成分として使用される化学物質に対して指定されたリスト許容範囲を有するために、これらは課題を提示している。ノロウイルスのすすぎなしの選択肢を提供する様々な市販製品が市場に存在し、例えば、米国特許第8,143,309号に開示されているPurell Professional Food Service Sanitizer、ならびに米国特許第6,197,814号および同第6,583,176号に開示されているPure Bioscience Pure Hard Surfaceが含まれ、これらの内容全体は、その全体が参照により組み込まれる。さらなる商業的な例は、アルコールベースのすすぎなしの殺ウイルス製品であるEU製品であるSarafan Speedである。しかしながら、製品によって提示される様々な課題がある。例えば、様々な製品は、可燃性の懸念を提示し、濁ったおよび/または粘着性の残留物、および/または軟質金属表面(アルミニウムを含む)との制限された適合性を有する、表面の外観の不良を付与し、濃縮物および/または固形物の代わりに即時使用可能な(RTU)配合物、としてだけ利用可能であり、このことがこれらの使用の用途を制限している。結果として、改善された組成物に対する要求を定着させるには様々な制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、組成物および方法の目的は、すすぎなしの殺菌を提供することができる製品を提供することである。そのような実施形態では、すすぎ工程を方法から除外することができる。同様に、そのような実施形態では、拭き取り工程を方法からさらに除外することができる。組成物および方法のさらなる目的は、四級アンモニウム化合物の使用なしに殺菌を提供する製品を提供することである。
【0011】
組成物および方法のさらなる目的は、他のウイルス(エンベロープおよび非エンベロープウイルス)に加えてマウスノロウイルスに対する殺ウイルス有効性を提供し、ヒトノロウイルスに対する適切な殺菌を確実にすることである。
【0012】
組成物および方法のなおさらなる目的は、短い接触時間、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、より好ましくは10分以下、さらにより好ましくは5分以下、および最も好ましい1分以下を含む、殺ウイルス有効性を提供することである。いくつかの実施形態では、短い接触時間は、清浄条件で達成される。他の実施形態では、短い接触時間は、汚染または汚れ条件で達成される。
【0013】
組成物および方法のさらなる目的は、個人用保護具(PPE)の使用を必要としない使用溶液pHを有する処理選択肢である。
【0014】
組成物および方法のなおさらなる目的は、アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤および少なくとも1つの酸の相乗的組み合わせを提供することであり、酸は、強酸、弱酸、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0015】
なおさらなる目的は、固体および液体の両方の組成物を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
殺ウイルス組成物の利点は、様々なウイルス病原体に対して60分未満、30分未満、10分未満、5分未満、1分未満、約30秒未満、またはさらに約15秒未満を含む、短い接触時間で機能する表面適合性製剤を提供しながら、マウスノロウイルスなどのウイルスを含む、微生物病原体に対する希釈可能、不燃性、殺菌組成物有効性を含む。管轄区域における規制要件はウイルス病原体に対する有効性に必要な接触時間に応じて変動するため、殺ウイルス組成物は、最長少なくとも60分のより長い接触時間にわたって表面適合性でありながらも、数秒(例えば、約15秒未満)以内で有効性を有することが有益である。溶液のpHを使用する組成物および方法のさらなる利益は、ユーザーがPPEを使用する必要がないことである。なおさらなる利点として、組成物は、硬質表面抗菌組成物、すなわち、四級アンモニウム化合物の代替である殺ウイルス組成物としての使用に好適である。
【0018】
一実施形態では、抗菌組成物は、少なくとも1つの酸であって、酸が、強酸、弱酸、および/またはそれらの組み合わせである、酸と、少なくとも1つのアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤と、液体組成物用の水と、を含み、組成物は、約1.5~約4の使用組成物で酸性pHを有する液体または固体濃縮物である。
【0019】
さらなる実施形態では、アルファオレフィンスルホネートは、C8~C22アルファオレフィンスルホネート、またはC8~C16アルファオレフィンスルホネートである。さらなる実施形態では、酸は、乳酸およびメタンスルホン酸を含む。さらなる実施形態では、酸は、アルファオレフィンスルホネート界面活性剤と組み合わせた弱酸の単一または組み合わせである。なおさらなる実施形態では、酸は、アルファオレフィンスルホネート界面活性剤と組み合わせた強酸の単一または組み合わせである。さらなる実施形態では、組成物はまた、EO/POブロックコポリマーを有するアルコキシル化非イオン性界面活性剤を含む。
【0020】
さらなる実施形態では、殺ウイルス組成物を使用する方法は、処理を必要とする表面に殺ウイルス組成物を接触させることと、ウイルス集団を不活化することと、を含み、抗ウイルス不活化は、約60分未満、約30分未満、約5分未満、1分未満、約30秒未満、またはさらに約15秒未満以内nに少なくとも3対数減少させて不活化を完了し、方法は、任意にすすぎ工程を必要としない。実施形態では、接触は、拭き取り、ディッピング、浸漬、または噴霧によるものであり、表面は、硬質表面、予め清浄された硬質表面、および/またはウイルス集団で汚染された汚れた表面である。
【0021】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のなお他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本質的に例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】陰性(非アニオン性)対照および陽性LAS対照と比較した、本明細書で分析される様々なアニオン性化学物質の殺菌有効性を示す。
【
図2】アデノウイルスに対する様々なアニオン性化学物質の抗ウイルス有効性結果を示し、抗ウイルス有効性には15分で4対数以上の殺滅が必要である。
【
図3】MNVに対する様々なアニオン性化学物質の抗ウイルス有効性結果を示し、抗ウイルス有効性には15分で4対数以上の殺滅が必要である。
【
図4】抗ウイルス有効性に必要な4対数以上の殺滅について試験する1%未満の希釈割合およびより短い接触時間でのMNVに対する様々なアニオン性化学物質の抗ウイルス有効性結果を示す。
【0023】
本発明の様々な実施形態について、図面を参照して詳細に説明するが、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への参照は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に表される図は、本発明による様々な実施形態を限定するものではなく、本発明の例示的な例証のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、処理表面上に濁った、筋状の、または粘着性の残留物を残さず、かつPPEを必要としない表面適合性製剤を提供しながら、微生物およびウイルス病原体に対して有効性を提供する液体および固体抗菌組成物に関する。いくつかの実施形態では、組成物は、MNVを含むウイルス病原体に対してすすぎなしの有効性を提供する。実施形態は、特定の組成物およびその使用方法に限定されず、これらは変更可能であり、当業者によって理解される。さらに、本明細書で使用されるすべての専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、いかなる様式または範囲においても限定することを意図するものではないことを理解されたい。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0025】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示されている。範囲形式での説明は単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能性のある部分範囲および個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0026】
本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の実施形態が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似、修正、または同等の多くの方法および材料を、過度の実験なしに本発明の実施形態の実施に使用することができ、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。本発明の実施形態を説明および請求する上で、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0027】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液を作製するために使用される一般的な測定手順および液体取り扱い手順、これらの手順における不注意な誤り、組成物を作製するかまたは方法を実施するために使用される成分の製造、供給源、または純度における差異などにより生じ得る数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。用語「約」により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0028】
「活性物質」、または「活性物質のパーセント」、または「活性物質の重量パーセント」、または「活性物質濃度」という用語は、本明細書において互換的に使用され、水または塩などの不活性成分を引いた百分率として表される、浄化に関与する成分の濃度を指す。
【0029】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、シクロアルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0030】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が挙げられ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
抗菌性の「殺~」または「静~」活性の区別、有効性の程度を説明する定義、およびこの有効性を測定するための公式な実験室プロトコルは、抗菌性の薬剤および組成物の関連性を理解するための留意事項である。抗菌組成物は、2種類の微生物細胞損傷に影響を与えることができる。第1は、致死的で不可逆的な作用であり、微生物細胞の完全な破壊または無能力化をもたらす。第2の種類の細胞傷害は可逆的であり、したがって、生物がその薬剤から解放されると、それは再度増殖することができる。前者は殺菌性であり、後者は静菌性であると呼ばれる。消毒剤(sanitizer)および殺菌剤(disinfectant)は、定義により、抗菌または殺菌活性を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は一般に阻害剤または静菌組成物として説明されている。本明細書で言及されるように、抗菌組成物は、18℃~25℃(清浄または汚染条件下)でのEN14476の使用を含む、例えば、ノロウイルスおよびマウスノロウイルスを含む、ウイルス病原体に対する殺菌活性にさらに好適である。
【0033】
本明細書で使用される場合、「クリーニング」という用語は、汚れ除去、漂白、微生物集団の減少、すすぎ、およびこれらの任意の組み合わせにおいて促進するか、または助けるために使用される方法を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、あらゆる非細胞生物または単細胞(コロニーを含む)生物を指す。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、真菌、原生動物、ビリノス(virinos)、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻類を含む。本明細書で使用される場合、「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)と同義である。
【0035】
「商業的に許容可能なクリーニング性能」という用語は、一般に、典型的な基材の典型的な汚れ状態に対処するためにクリーニング製品またはクリーニングシステムを使用する場合に典型的な消費者が達成または消費すると予想し得る清浄度の程度、労力、またはその両方を指す。この清浄度の程度は、特定のクリーニング製品と特定の基材に応じて、目に見える汚れが一般的にないこと、またはいくらかより低い程度の清浄度に相当し得る。清浄度は、使用される特定の製品および清浄される特定の表面に応じて様々な方法で評価され得、通常は、一般に合意された業界標準試験またはそのような試験のローカライズされたバリエーションを使用して決定され得る。いくつかの実施形態では、殺ウイルス有効性を提供する方法はまた、製剤が処理された表面に濁った、筋状の、または粘着性の残留物を残さないことを確実にしながら、商業的に許容されるクリーニング性能を提供する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「殺菌剤」という用語は、最も認知されている病原性微生物を含むすべての栄養細胞を殺滅する薬剤を指す。一実施形態では、米国標準による殺菌剤は、A.O.A.C.Use Dilution Methods,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists,paragraph 955.14 and applicable sections,15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)を使用することができる。本明細書で使用される場合、「高レベル殺菌」または「高レベル殺菌剤」という用語は、高レベルの細菌胞子を除き、実質的にすべての生物を殺滅し、食品医薬品局によって滅菌剤としての市販を許可されている化学的殺菌剤に影響される化合物または組成物を指す。本明細書で使用される場合、「中間レベルの殺菌」または「中間レベルの殺菌剤」という用語は、環境保護庁(Environmental Protection Agency)(EPA)により結核菌殺菌剤として登録された化学的殺病原体剤を用いて、マイコバクテリア、ほとんどのウイルス、および細菌を殺滅させる化合物または組成物を指す。本明細書で使用される場合、「低レベル殺菌」または「低レベル殺菌剤」という用語は、EPAにより病院殺菌剤として登録された化学的殺病原体剤を用いて、いくらかのウイルスおよび細菌を殺滅させる化合物または組成物を指す。
【0037】
一実施形態では、EU標準に従った殺菌剤は、1998年2月16日の欧州議会および評議会の指令98/8/EC、およびGuidance on the Biocidal Products Regulation Volume II Efficacy-Assessment and Evaluation(Parts B+C)Version 3.0 April 2018-ECHA(欧州化学機関)に記載される通りであり、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
殺菌剤は、製品の不可逆作用によって達成される無生物マトリックス中または上にある微生物の数を低減する製品について5つの定義された製品タイプを有する殺生物製品の4つの群のうちのいずれか1つを含むことができる。一実施形態では、殺菌剤製品は、様々な認められた試験方法(CEN、OECD、ISOなど)を使用して確認することができ、ガイダンス文書付録2および4を参照されたい。本明細書に記載される方法および組成物の様々な実施形態に従って、EN1276方法論を使用して5対数減少要件での殺菌性能を実証し、EN14476方法論を使用して4対数減少要件での殺菌性能を実証した。
【0039】
本明細書で使用される場合、「食品加工表面」という語句は、食品加工、調理、または保存活動の一部として用いられる、道具、機械、機器、構造物、建物などの表面を指す。食品加工表面の例としては、食品加工または調理機器(例えば、スライシング機器、缶詰機器、または輸送機器で、水路を含む)の表面、食品加工用品(例えば、台所用具、食器、洗浄用品、およびバーガラス(bar glasses)の表面、および食品加工が行われる構造物の床、壁、または固定備品の表面を含む。食品加工表面は、食物腐敗防止空気循環システム、無菌包装消毒、食品冷蔵およびクーラーのクリーナーおよび消毒剤、用品洗浄消毒、ブランチャークリーニングおよび消毒、食品包装材、カッティングボード添加剤、サードシンク(third-sink)消毒、飲料冷却機および加温機、肉の冷却または熱湯処理の水、自動食器消毒剤、消毒ゲル、冷却塔、食品加工用抗菌衣服スプレー、および非水性~低水性食品調理潤滑剤、油、およびすすぎ添加剤中に見出され、用いられる。
【0040】
「硬質表面」という用語は、カウンタートップ、タイル、床、壁、パネル、窓、衛生器具、厨房および浴室装備品、電化製品、エンジン、回路基板、および皿などの、固体の実質的に非柔軟性の表面を指す。硬質表面には、例えば、ヘルスケア用表面および食品加工用表面が含まれ得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「健康管理表面」という語句は、健康管理活動の一貫として用いられる、器具、デバイス、カート、ケージ、家具、構造物、建造物などの表面を指す。健康管理表面の例は、医療用基布もしくは歯科用器具の表面、医療用デバイスもしくは歯科用デバイスの表面、患者の健康を監視するために用いられる電子装置の表面、および健康管理が生じる構造物の床、壁、もしくは備品の表面を含む。医療用表面は、病院、外科手術、虚弱、出産、葬儀場、および臨床診断室内に見られる。これらの表面は、「硬質表面」(例えば、壁、床、ベッドパンなど)、または織物表面、例えば、編物、織物、および不織表面(例えば、外科用衣類、カーテン、ベッドリネン、包帯など)、または患者ケア機器(例えば、呼吸器、診断用機器、シャント、ボディスコープ、車椅子、ベッドなど)、または外科用機器および診断用機器として代表されるものであり得る。医療表面には、動物の医療において用いられる物品および表面が含まれる。
【0042】
「改善されたクリーニング性能」という用語は、一般に、典型的な基材上の典型的な汚れ条件に対処するために、従来のクリーニング製品ではなく代替クリーニング製品または代替クリーニングシステムを使用する場合の、概ねより高度な清浄度の、または概ね労力が削減されて、またはその両方で、代替クリーニング製品または代替クリーニングシステムによって達成されるものを指す。この程度の清浄度は、特定のクリーニング製品と特定の基材に応じて、目に見える汚れが全体的に存在しないこと、および濁った、筋状の、または粘着性の残留物がない処理表面に相当し得る。
【0043】
材料のリストを参照して使用される場合の「含む」および「含むこと」という用語は、そのように列挙されている材料を指すが、それに限定されるものではない。
【0044】
本明細書で使用される場合、「器具」という用語は、本明細書に記載されるクリーニング/殺ウイルス処理から利益を得ることができる、様々な医療用または歯科用の器具またはデバイスを指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「殺ウイルス剤」という用語は、表面または基材上のウイルスの数を低減させる薬剤を指す。一実施形態では、殺ウイルス組成物は、少なくとも3対数オーダーの減少、または好ましくは5対数オーダーの減少、またはより好ましくはウイルスの完全な不活化を提供するであろう。これらの減少は、ASTM E1053 Standard Test Method for Efficacy of Virucidal Agents Intended for Inanimate Environmental Surfacesに記載される手順を使用して評価することができ、米国標準は、EPA810.2200に記載され、EP標準は、EN14476に記載され、これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。概説される対数減少は、例えば、約60分未満、約30分未満、約5分未満、1分未満、約30秒未満、またはさらに約15秒未満を含む、様々な時間(様々な管轄で記載される接触時間要件に従って変動し得る)をかけて達成することができる。この参考文献によれば、殺ウイルス組成物は、殺ウイルス活性の99.9%の減少(3対数オーダーの減少)を提供せねばならない。
【0046】
本明細書で使用される「ウイルス」という用語は、病原性ウイルスおよび非病原性ウイルスの両方を含み得る微生物の種類を指す。病原性ウイルスは、ウイルス構造に関して2つの一般的な種類:エンベロープウイルスおよび非エンベロープウイルスに分類することができる。よく知られているエンベロープウイルスには、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス;パラミクソウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、コロナウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびSARS-CoVウイルスが挙げられる。「ネイキッド(naked)」ウイルスと呼ばれることもある非エンベロープウイルスには、ピコルナウイルス科、レオウイルス科、カリシウイルス科、アデノウイルス科、およびパルボウイルス科が挙げられる。これらの科のメンバーには、ライノウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、A型肝炎ウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、およびロタウイルスが挙げられる。当技術分野においては、「エンベロープ」ウイルスは比較的感受性であり、したがって、一般的に使用される殺菌剤によって不活化され得ることが知られている。対照的に、非エンベロープウイルスは、従来の殺菌剤に対して実質的により耐性であり、エンベロープウイルスよりも環境的にはるかに安定している。
【0047】
「ノロウイルス」という用語は、急性非細菌性胃腸炎の主な原因である、カリシウイルス科に属するヒトノロウイルス(単にノロウイルスと呼ばれる)を指すことを意図する。現在までノロウイルスに一般的に使用される様々なサロゲートがあり、ヒトノロウイルスは、細胞培養で増殖させることはできない。ノロウイルスは低い感染用量(10~100ウイルス粒子)を有し、環境汚染が集団発生を長引かせる。食品を準備する前に適切な個人衛生を実践していない病人によって扱われた表面、食器または容器、調理器具、および食品も、病気の一因となり得る。ベシウイルス属からの、ネコカリシウイルス(FCV)は、細胞培養で増殖させることができ、環境生存および不活化研究においてヒトノロウイルスのサロゲートとして広く研究されている。しかしながら、FCVは、呼吸経路によって伝播され、比較的低いpHで不活化され、したがって、ヒトノロウイルス環境安定性または不活化を予測しない場合がある。マウスノロウイルス1(MNV-1)は、細胞培養で増殖されており、肝炎、肺炎、または神経系の炎症として現れるマウスにおける致死的な感染症を引き起こし、したがって、ヒトノロウイルスの臨床症状とは非常に異なるが、MNV-1は、マウス糞便で排出され、一般的には糞口経路によって伝播される。胃pHレベル下で生存するその能力(pH2で最小限の感染力低下)と組み合わされたMNV-1対ノロウイルスの遺伝的関連性は、このウイルスをノロウイルスの環境生存を研究するための適切なサロゲートにする。MNV-1は、低pHを生き延びることができ、FCVと比較して耐酸性に優れている。
【0048】
本明細書で使用される場合、「消毒剤」という用語は、公衆衛生上の要件によって判断されるように、細菌汚染菌の数を安全なレベルまで低減させる薬剤を指す。一実施形態では、本発明で使用する消毒剤は、少なくとも3対数の減少、より好ましくは5対数のオーダーの減少を提供するであろう。これらの減少は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、段落960.09および該当部分、15th Edition,1990(EPA Guideline 91-2)に記載された手順を使用して評価することができる。この参考文献によれば、消毒剤は、いくつかの試験生物に対して、室温、25±2℃で30秒以内に、99.999%の減少(5対数オーダーの減少)を提供するべきである。
【0049】
本明細書で使用される場合、「汚れ」という用語は、炭水化物、タンパク質、脂肪、油などを含むがこれらに限定されない極性もしくは非極性の有機または無機物質を指す。これらの物質は、それらの有機状態で存在するか、または金属と錯体形成して無機錯体を形成し得る。
【0050】
本明細書において使用する場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は0.01重量%未満である。
【0051】
「閾値剤(threshold agent)」という用語は、溶液に由来する硬水イオンの結晶化を阻害するが、その硬水イオンと特定の錯体を形成する必要がない化合物を指す。閾値剤としては、これらに限定されないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸コポリマーなどが挙げられる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「水」という用語は、様々な水源を含む。水温は、約40°F~160°F、約60°F~140°F、または約70°F~140°Fの範囲であり得る。
【0053】
「水溶性」という用語は、1重量%超の濃度で水に溶解することができる化合物を指す。「難溶性」または「難水溶性」という用語は、0.1~1.0重量%の濃度までのみ水に溶解することができる化合物を指す。「水不溶性」という用語は、0.1重量%未満の濃度までしか水に溶解できない化合物を指す。
【0054】
用語「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることが理解される。
【0055】
本発明の方法および組成物は、本明細書に記載される他の成分と同様に、本発明の構成成分および成分を含むか、これらから本質的になるか、またはこれらからなることができる。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、さらなる工程、構成成分、または成分が、特許請求される方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合に限り、方法および組成物が、さらなる工程、構成成分、または成分を含み得ることを意味する。
【0056】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「構成される」は、特定のタスクを行うか、または特定の形態に適合するように構築もしくは構成されたシステム、装置、または他の構造を説明することに留意されたい。用語「構成される」は、配置され構成される、構築され配置される、適合され構成される、および適合され、構築され、製造され、配置される等の他の類似した語句と同じ意味で使用され得る。
【0057】
殺ウイルス組成物
殺ウイルス組成物の例示的な範囲は、重量パーセントベースで液体濃縮物製剤を示す表1A~1C、および重量パーセントベースで固体製剤を示す表2に示される。
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表2】
【0058】
殺ウイルス組成物は、使用組成物またはすぐに使用できる(RTU)組成物を形成するために希釈することができる濃縮組成物を含み得る。固体殺ウイルス組成物は、希釈可能な液体濃縮物である使用溶液を提供し、これをさらに希釈して、使用組成物またはRTU組成物を形成することができる。有益なことに、組成物は、希釈可能な濃縮物を提供できるという点で従来技術の制限を克服する。一般に、濃縮物とは、水で希釈して対象物と接触する使用溶液を提供し、所望のクリーニング、抗菌効力などを提供することを意図した組成物を指す。物品と接触する抗菌組成物および殺ウイルス組成物は、本明細書に記載の方法で使用される配合物に応じて、濃縮物または使用組成物(もしくは使用溶液)と呼ばれる場合がある。組成物中の酸、アニオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤などの追加の機能性成分の濃度は、組成物が濃縮物として提供されるか、または使用溶液として提供されるかによって異なることを理解されたい。当業者であれば、開示される組成物の範囲内である、異なる希釈割合を有する組成物に到達するように組成物の重量%を調整することができる。有益には、活性物質の範囲内で、組成物は、ほぼまたは完全に水を含まない液体または固形組成物を含むように配合することができる。
【0059】
使用溶液は、所望の殺ウイルス特性を有する使用溶液を提供する希釈比で、固体または液体濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変化し得る。典型的な希釈倍率は、約1~約10,000である。一実施形態では、固体または液体濃縮物は、約1:10~約1:10,000の固体もしくは液体濃縮物対水、約1:10~約1:1,000の固体もしくは液体濃縮物対水、または約1:10~約1:510の固体もしくは液体濃縮物対水の比で希釈される。
【0060】
別の実施形態では、濃縮物は、消毒有効性を提供しながら、約1/8オンス/ガロン~約12オンス/ガロン、約1/4オンス/ガロン~約1オンス/ガロン、または約1/2オンス/ガロン~約1オンス/ガロンの割合で希釈することができる。
【0061】
別の実施形態では、濃縮物は、殺ウイルス有効性を提供しながら、約1/8オンス/ガロン~約12オンス/ガロン、約1/2オンス/ガロン~約6オンス/ガロン、または約1オンス/ガロン~約4オンス/ガロンの割合で希釈することができる。
【0062】
別の実施形態では、濃縮物は、殺菌有効性を提供しながら、約1/8オンス/ガロン~約12オンス/ガロン、約1/2オンス/ガロン~約6オンス/ガロン、または約1オンス/ガロン~約4オンス/ガロンの割合で希釈することができる。
【0063】
一実施形態では、希釈された使用溶液は、液体濃縮組成物の約0.5重量%~約3重量%の希釈から作製される。
【0064】
一実施形態では、濃縮液体組成物は、約20%~約60%のアニオン性界面活性剤、好ましくは約20%~約40%のアニオン性界面活性剤を有する。一実施形態では、液体使用組成物は、最大約6000ppmのアニオン性界面活性剤、または約10ppm~約6000ppmのアニオン性界面活性剤を提供する。
【0065】
一態様では、希釈可能な濃縮組成物は、これらの間の範囲を含む、約1.5~約4、約2~約4、約2.0~約3.5、または約2.0~約2.8の使用溶液pHを提供する。
【0066】
液体組成物は、当業者に十分に理解されている様々な形態で提供することができる。組成物はまた、液体組成物を飽和させた紙または布の基材などの飽和抗菌ワイプを含むように製造することができる。実施形態では、液体組成物は、液体濃縮物として提供される。他の実施形態では、液体組成物は、例えば、すぐに使用できるスプレーなど、すぐに使用できる液体として提供される。そのようなすぐに使用できる適用は、約10ppm~約6000ppmのアニオン性界面活性剤を提供する。そのような実施形態は、例えば、溶媒、消泡剤などを含む、追加の機能性成分をさらに含み得る。そのような構成成分の添加は、組成物の所望の粘弾性を提供して、噴霧、ポンピング、または所望の分配を可能にする。いくつかの実施形態では、垂直表面に適用するのに好適な発泡性を有するすぐに使用できる適用を分配することが望ましい場合がある。そのような発泡性適用は、すぐに使用できる製剤(例えば、分配のための発泡性トリガー)または希釈可能な濃縮物を含むことができる。
【0067】
固体組成物は、当業者に十分に理解されている様々な形態で提供することができる。組成物は、プレス、押出、注型、打錠などを含む固形物ブロックを含むように製造することができる。固形物には、流動性粉末を含む顆粒および粉末も含むことができる。ある特定の実施形態では、固形物は、適用可能な包装材料(例えば、PVAフィルムなどのフィルム)も含むことができる。有益なことに、酸とアニオン性界面活性剤との組み合わせを含む固形組成物は、四級アンモニウム化合物を使用して押し出された固形物に代わる効果的かつ安定した固形代替物を提供する。例えば、パック、錠剤、粉末、顆粒などを含む固形物ブロックに加えて、様々な形態およびサイズの固形物を含めることができる。固体を形成するための様々な技法を使用することができ、例えば、流動床の使用および/または液体から固体を形成する凝集を含む。
【0068】
固形組成物は、サイズだけでなく形態を取ってもよい。例示的な実施形態では、固形物は、約50グラム~約250グラム、約100グラム以上、および約1~約10キログラムの重量を有することができる。ある特定の実施形態では、固形組成物は、錠剤またはパックなどの単位用量を含むことができる。単位用量とは、1回の使用で単位全体が使用されるようなサイズの固形組成物ユニットを指す。固形組成物が単位用量として提供される場合、これは、典型的には、約1グラム~約50グラムのサイズを有する鋳造固形物、押出ペレット、または錠剤として提供される。他の実施形態では、固形組成物は、ブロックまたは複数のペレットなどの複数回使用の固形物の形態で提供され、複数回の適用またはクリーニングサイクル用の水性組成物を生成するために繰り返し使用することができる。ある特定の実施形態では、固形組成物は、約5グラム~約10キログラムの質量を有するプレス固形物、鋳造固形物、押出ブロック、または錠剤として提供される。ある特定の実施形態では、固形組成物の複数回使用形態は、約1キログラム~約10キログラムの質量を有する。
【0069】
固体キャスト組成物および/またはプレス固体組成物の硬度は、例えば、コンクリートのように比較的密で硬い融合固体製品の硬度から、硬化ペーストであるとして特徴付けられる硬さまでの範囲であり得る。加えて、「固形物」という用語は、固形クリーニング組成物の予想される貯蔵および使用条件下での組成物の状態を指す。一般に、物理的安定性および寸法安定性を維持しながら、最高約100°F、最高約120°F、または最高約125°Fの温度に曝露される場合、組成物は固体形態のままであろうと予想される。固体組成物の寸法安定性は、最高約100°F(40℃)、最高約120°F(50℃)、または最高約140°F(60℃)の温度で、少なくとも30分、または少なくとも1時間、最長2週間、最長4週間、最長6週間、または最長8週間などの長期間にわたって、約40~65%の湿度で加熱される場合、約3%未満の成長指数によって確認される。
【0070】
酸
組成物は、強酸または弱酸を含むことができる、少なくとも1つの酸を含む。実施形態では、組成物は、2つの酸を含む。酸の組み合わせのそのような態様では、酸は、弱酸と強酸との組み合わせであり得る。酸の組み合わせの別の態様では、酸は、2つの弱酸または2つの強酸の組み合わせであり得る。本発明の目的のために、酸は、水性系に添加することができ、7未満のpHをもたらす構成成分である。使用することができる強酸は、水溶液を実質的に解離させる酸である。「弱」有機酸および無機酸は、酸が本組成物を形成するのに有用な範囲内の濃度で周囲温度の水に溶解したときに、酸部分からのプロトンの最初の解離工程が本質的に完了しない酸または酸構成成分である。
【0071】
理論によって拘束されることを望まないが、組成物の酸は、ウイルスの脂質エンベロープおよび/またはキャプシドをプロトン化するのに役立ち、殺ウイルス組成物に含まれるアニオン性界面活性剤に電子的に反発する膜の傾向を低減する。さらに、本明細書に開示される酸は、基材の表面上の低pH緩衝液の生成を促進し、それにより、それらが組み込まれる組成物および製品の残留抗菌および殺ウイルス活性を延長する。
【0072】
組成物での使用に好適な例示的な強酸としては、メタンスルホン酸、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、ホスホン酸、硝酸、スルファミン酸、塩酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、グルタミン酸など;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸などのような、アルカンスルホン酸が挙げられる。好ましい態様では、約4未満、好ましくは約3未満のpHを有する酸性の使用組成物を有益に提供するために、組成物は、約2.5未満のpKaを有する強酸を含む。一実施形態では、組成物は、アニオン性界面活性剤と組み合わせて強酸を含み、必要に応じて弱酸を含む。
【0073】
乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸などのようなアルファヒドロキシカルボン酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのようなカルボン酸;アスコルビン酸、グルタミン酸、レブリン酸などのような他の一般的な有機酸を含む、組成物での使用に好適な例示的な弱酸も使用することができる。好ましい態様では、約4未満、好ましくは約3未満のpHを有する酸性の使用組成物を有益に提供するために、組成物は、約2.5超のpKaを有する弱酸を含む。一実施形態では、組成物は、アニオン性界面活性剤と組み合わせて弱酸を含み、必要に応じて強酸を含む。
【0074】
ある特定の実施形態では、強酸と弱酸の組み合わせにより、抗菌および殺ウイルス効率が驚くほど向上する。好ましい実施形態では、酸は、乳酸およびメタンスルホン酸を含む。特定の作用機序に束縛されるものではないが、緩衝化酸性組成物を有することが望ましい場合がある。例えば、処理を必要とする表面が十分にクリーニングされていない場合、弱酸と強酸の組み合わせにより組成物は緩衝化組成物を有し、pH感受性生物の不活性化を有利に支援することができるであろう。
【0075】
一態様では、組成物は、約10重量%~約80重量%の少なくとも1つの酸、約20重量%~約80重量%の少なくとも1つの酸、約30重量%~約70重量%の少なくとも1つの酸、または約40重量%~約70重量%の少なくとも1つの酸を含む。そのような実施形態では、酸は、強酸および/または弱酸であり得る。加えて、列挙されたすべての範囲は、本発明に従って限定されることなく、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0076】
特定の態様では、組成物は、約0.1重量%~約30重量%の強酸、約1重量%~約30重量%の強酸、約1重量%~約25重量%の強酸、約5重量%~約25重量%の強酸、または約5重量%~約20重量%の強酸を含む。
【0077】
特定の態様では、組成物は、約1重量%~約50重量%の弱酸、約10重量%~約50重量%の弱酸、約15重量%~約50重量%の弱酸、約20重量%~約50重量%の弱酸、または約20重量%~約45重量%の弱酸を含む。
【0078】
特定の態様では、組成物は、弱酸と組み合わせて、約0.1重量%~約30重量%の強酸、約1重量%~約30重量%の強酸、約1重量%~約25重量%の強酸、約5重量%~約25重量%の強酸、または約5重量%~約20重量%の強酸を含み、組成物は、約1重量%~約50重量%の弱酸、約10重量%~約50重量%の弱酸、約15重量%~約50重量%の弱酸、約20重量%~約50重量%の弱酸、または約20重量%~約45重量%の弱酸を含む。加えて、列挙されたすべての範囲は、本発明に従って限定されることなく、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0079】
アニオン性スルホネート界面活性剤
組成物は、少なくとも1つのアニオン性スルホネート界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、2つのアニオン性スルホネート界面活性剤の組み合わせを含む。アニオン性界面活性剤は、疎水性物質の負電荷によって分類される表面活性物質であるか、または、pHが中性以上に上昇しない限り、分子の疎水性部分が電荷を有しない界面活性剤(例えば、カルボン酸)である。カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、およびホスフェートは、アニオン性界面活性剤中に見出される極性(親水性)可溶化基である。これらの極性基と関連したカチオン(対イオン)のうち、ナトリウム、リチウム、およびカリウムは、水溶性を付与し、アンモニウムおよび置換アンモニウムイオンは、水溶性および油溶性の両方を提供し、カルシウム、バリウム、およびマグネシウムは、油溶性を促進する。
【0080】
別の実施形態では、アニオン性スルホネート界面活性剤は、直鎖および分岐一級および二級アルキルスルホネートを含む、アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するまたは有さない芳香族スルホネートである。一実施形態では、アニオン性スルホネート界面活性剤は、アルファオレフィンスルホネートまたはその塩である。アルファオレフィンスルホネートは、水溶液、粉末、または固体無水産物として入手可能である。好ましいアニオン性スルホネートは、C8~C22アルファオレフィンスルホネート、またはC8~C16アルファオレフィンスルホネートを含む。
【0081】
別の実施形態では、アニオン性スルホネート界面活性剤は、アルファオレフィンスルホネートまたはその塩とアルカンスルホネート、好ましくはアルカンスルホネートナトリウムとの組み合わせである。
【0082】
有益なことに、アルファオレフィンスルホネート界面活性剤は、硬水中で安定である。これらは透明な安定した溶液であり、特に民生用に魅力的である。比較すると、LASなどの他のアニオン性界面活性剤は、硬水では安定せず、不安定な濁った溶液を形成し、かつ/または溶液から沈殿する。
【0083】
いくつかの実施形態では、アニオン性スルホネート界面活性剤と追加のアニオン性界面活性剤、好ましくは粉末化されたアニオン性界面活性剤との組み合わせは、固体組成物のために組み合わされる。
【0084】
一態様では、組成物は、約0.1重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約1重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約10重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約15重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約20重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約20重量%~約45重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、または約25重量%~約40重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤を含む。好ましい態様では、固体組成物は、約1重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約10重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約15重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約20重量%~約50重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、約20重量%~約45重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤、または約25重量%~約40重量%のアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤を含む。加えて、列挙されたすべての範囲は、本発明に従って限定されることなく、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0085】
追加のアニオン性界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物は、2つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。実施形態では、組成物は、アニオン性アルファオレフィンスルホネート、およびスルホン化カルボン酸エステル、サルフェート、カルボキシレート、またはエトキシカルボキシレートなどの追加のアニオン性界面活性剤を含む。
【0086】
例示的な追加のアニオン性スルホネートは、スルホン化カルボン酸エステルを含む。一態様では、好適なアルキルスルホネート界面活性剤は、C8~C22アルキルスルホネート、または好ましくはC8~C16アルキルスルホネートもしくはC10~C22アルキルスルホネートを含む。例示的な態様では、アニオン性アルキルスルホネート界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)である。追加のアニオン性アルキルスルホネートの含有は、殺ウイルス、消毒、および/または殺菌用途に対する規制適用性に基づいて変動し得る。
【0087】
組成物での使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤には、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖ならびに分岐鎖一次および二次アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)および-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキルポリグルコシドのスルフェートなどのアルキル多糖類のスルフェートなども挙げられる。また、エチレンオキシドおよびノニルフェノールのスルフェートまたは濃縮製品(通常1分子当たり1~6個のオキシエチレン基を有する)などの、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも含まれる。
【0088】
組成物に好適な追加のアニオン性界面活性剤には、カルボン酸またはアルファヒドロキシル酸基を有するアニオン性カルボキシレート界面活性剤が挙げられる。組成物での使用に好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤には、アルカン酸(およびアルカノエート)などのカルボン酸(および塩)、エステルカルボン酸(スルホン化カルボン酸エステルを含む)、エーテルカルボン酸、例えば、スルホン化オレイン酸などスルホン化脂肪酸なども挙げられる。一態様では、好適なエステルカルボン酸には、例えば、ジオクチルスルホスクシネートなどのアルキルスクシネートが挙げられる。そのようなカルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシ)が挙げられる。組成物に有用な二級カルボボキシレートには、二級炭素に結合したカルボキシル単位を含有するものが含まれる。二級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸と同様に、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートと同様に、環構造中にあり得る。二級カルボキシレート界面活性剤は、通常、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは典型的には頭部基(両親媒性部分)中に窒素原子を欠く。好適な二級界面活性剤は、典型的には11~13個の総炭素原子を含むが、より多くの炭素原子(例えば、最大で16個)が存在してもよい。好適なカルボキシレートにはまた、例えば、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(および塩)が含まれる。
【0089】
好適なアニオン性界面活性剤には、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが含まれ、
R-O-(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
m-CO
2X(3)
式中、Rは、C
8~C
22アルキル基であるか、または
【化1】
R
1は、C
4~C
16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオン、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態において、nは4~10の整数であり、mは1である。いくつかの実施形態では、Rは、C
8-C
16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C
12-C
14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0090】
他の実施形態では、Rは、
【化2】
であり、R
1は、C
6-C
12アルキル基である。さらにまた他の実施形態では、R
1は、C
9アルキル基であり、nは、10であり、mは、1である。
【0091】
別の部類のアニオン性界面活性剤には、StepanからのMCまたはPC-48などのアルファスルホン化カルボン酸エステルが含まれる。
【0092】
一態様では、組成物は、約0重量%~約50重量%の追加のアニオン性界面活性剤、約0重量%~約30重量%の追加のアニオン性界面活性剤、約0.1重量%~約30重量%の追加のアニオン性界面活性剤、または約1重量%~約30重量%の追加のアニオン性界面活性剤を含む。加えて、列挙されたすべての範囲は、本発明に従って限定されることなく、範囲を定義する数を含み、定義された範囲内の各整数を含む。
【0093】
追加の機能性成分
殺ウイルス組成物の構成成分は、様々な追加の機能性構成成分とさらに組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酸および少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含む殺ウイルス組成物は、組成物の総重量の大きな量、またはさらに実質的にすべてを構成する。例えば、いくつかの実施形態では、追加の機能性成分はほとんどまたはまったく含まれない。
【0094】
他の実施形態では、追加の機能性成分が、本組成物中に含まれていてもよい。機能性成分は、組成物に所望の性質および機能性を付与する。本出願の目的のために、「機能性成分」という用語は、水溶液などの使用溶液および/または濃縮物溶液中に分散または溶解すると、特定の使用において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に説明するが、説明される特定の材料は単に例として挙げられているだけであり、多様な他の機能性成分が使用され得る。
【0095】
好ましい実施形態では、組成物は、四級アンモニウム化合物を含まない。追加の実施形態では、組成物は、例えば、エタノール、クエン酸銀、および/または電解塩素を含む従来のノロウイルス活性物質を含まない。追加の実施形態では、組成物は、不燃性産物を有益に提供するために、アルコールおよび/または他の有機溶媒を含まない。他の実施形態では、組成物は、固化剤、消泡剤、湿潤剤、再付着防止剤、溶解度調整剤、分散剤、すすぎ助剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、閾値剤、香料および/または染料、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒、センサインジケータなどを含んでもよい。
【0096】
過酸化水素
いくつかの実施形態では、組成物は、過酸化水素源(過酸化水素および/または前駆体を含む)を含む。最大約0.05~1.0重量/重量%の過酸化水素を有する溶液は、家庭用および商業用の殺菌剤(disinfectant)、殺菌剤(bactericide)、殺ウイルス剤、消毒剤、および清浄剤としての使用に有効であることが知られている。約3~4重量/重量%を有する溶液は、医療施設、家庭、および商業施設において多目的清浄剤および漂白剤の代替物としての使用に好適である。約6~8重量/重量%の過酸化水素を有する溶液は、殺胞子剤、殺真菌剤、殺ウイルス剤、殺菌剤、広域スペクトル消毒剤、汎用清浄剤、および漂白剤代替物としての使用に好適である。過酸化水素と本明細書に記載される組成物との組み合わせは、抗ウイルス有効性を増強するためのなおさらなる利益を提供する。
【0097】
過酸化水素水溶液および/または前駆体を含む、過酸化水素源は、濃縮水溶液として調製され得る。いくつかの実施形態では、濃縮水溶液、例えば、最大20重量/重量%の過酸化水素は、濃縮組成物が希釈される場合に希釈される。代替的には、過酸化水素は、希釈形態、例えば、0.05~1.0重量/重量%で調製され得る。他の実施形態では、例えば、過ホウ酸塩(通常は一水和物または四水和物)、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、およびそれらの混合物のナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む、過水和物塩を含む、過酸化水素の前駆体が使用され得る。好ましい前駆体の例は、過ホウ酸塩、過炭酸塩、およびそれらの混合物のナトリウム塩を含む。特定の作用機序に限定されることなく、過酸化水素は、抗菌および抗ウイルス有効性を増加させるために、本明細書に記載される組成物にさらなる利益を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0重量%~約50重量%、約0.1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約5重量%~約40重量%の過酸化水素源を含む。
【0099】
固化剤
固化剤(硬化剤とも呼ばれる)も固形組成物に含めることができる。固化剤は、固形組成物の均一な固化に著しく寄与する有機または無機の化合物または化合物の系を含むことができる。固化剤は、使用中に固形組成物から活性物質の均一な溶解をもたらすように混合および固化されると、固形組成物の活性構成成分と均質なマトリックスを形成できなければならない。
【0100】
例示的な固化剤には尿素が含まれる。尿素は、プリル化ビーズまたは粉末の形態であり得る。プリル化尿素は、一般に、約8~15のU.S.メッシュの範囲の粒径の混合物として、例えば、Arcadian Sohio Company、Nitrogen Chemicals Divisionから商業的供給源から入手可能である。尿素のプリル化形態は、好ましくは、単軸または二軸押出機などの湿式ミル、Teledyneミキサー、Ross乳化機などを使用して、約50U.S.メッシュ~約125U.S.メッシュ、特に約75~100U.S.メッシュに粒径を低減させるために粉砕される。
【0101】
追加の固化剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)化合物を含む、有機硬化剤であり得、好適な例は、一般式H(OCH2CH2)nOHの固体ポリエチレングリコールを含み、式中、nは、15よりも大きく、特に約30~約1700であり、とりわけ、PEG4000、PEG1450、およびPEG8000などである。なおさらに、PEGは、様々な分子量、例えば、約1,400~約30,000の分子量を含むことができる。ある特定の実施形態では、固化剤は、固体PEG、例えば、PEG1500からPEG20,000までを含むか、またはこれらである。ある特定の実施形態では、PEGには、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、PEG20,000などが挙げられる。好適な固体ポリエチレングリコールは、商品名CARBOWAXでUnion Carbideから市販されている。
【0102】
追加の固化剤は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩であり得る炭酸塩、硫酸塩および重炭酸塩を含むがこれらに限定されない水和可能な無機塩を含む無機硬化剤であり得る。好適な塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ストロンチウム、亜鉛、マンガン、ランタン、チタン、ガリウム、アルミニウム、コバルト、銅、モリブデン、レニウム、ロジウム、スカンジウム、スズおよびジルコニウムが挙げられる好適な金属塩としては、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩、および炭酸塩を含むがこれらに限定されないナトリウム、リチウム、カリウム塩が挙げられる。特に有用な金属塩としては、リチウム、ナトリウムならびにカリウムの硫酸塩、塩化物および酢酸塩が挙げられる。以下の特許は、本発明の固形組成物に利用できる固化剤、結合剤および/または硬化剤の様々な組み合わせを開示している。以下の米国特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第7,153,820号;同第7,094,746号;同第7,087,569号;同第7,037,886号;同第6,831,054号;同第6,730,653号;同第6,660,707号;同第6,653,266号;同第6,583,094号;同第6,410,495号;同第6,258,765号;同第6,177,392号;同第6,156,715号;同第5,858,299号;同第5,316,688号;同第5,234,615号;同第5,198,198号;同第5,078,301号;同第4,595,520号;同第4,680,134号;同第RE32,763号;および同第RE32818号。
【0103】
なおさらに、固化剤はポリマーを含むことができ、増粘剤はキサンタンガム、グアーガム、または植物粘液からの他のガムなどの天然ガム;アルギン酸塩、デンプン、およびセルロース系ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)などの多糖類ベースの増粘剤;固体EO/POブロックコポリマー;ポリアクリレート;ならびにハイドロコロイドを含む。一実施形態では、増粘剤は、対象物の表面に汚染残留物を残さない。例えば、増粘剤またはゲル化剤は、接触領域の食品または他の敏感な製品と適合性があり得る。
【0104】
固化剤は、約0重量%~70重量%、0重量%~50重量%、0.01重量%~30重量%、約0.01重量%~20重量%、または約1重量%~約20重量%の範囲で組成物中に含めることができる。
【0105】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、組成物は、追加の界面活性剤を含む。組成物で使用するのに好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および/または双性イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、約0重量%~約40重量%、約0.1重量%~約38重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~15重量%の追加の界面活性剤、または約1重量%~約6重量%の追加の界面活性剤を含む。
【0106】
非イオン性界面活性剤
本発明の組成物とともに使用するのに好適な好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤としては、EO/POコポリマー、キャップドEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャップドアルコールアルコキシレート、これらの混合物などが挙げられる。溶媒としての使用に好適なアルコキシル化界面活性剤は、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤のようなEO/POブロック共重合体、Dehypon LS-54(R-(EO)5(PO)4)およびDehypon LS-36(R-(EO)3(PO)6)のようなアルコールアルコキシレート、Plurafac LF221およびTegoten EC11のような封止されたアルコールアルコキシレート、それらの混合物などを含む。
【0107】
例示的な態様では、「Pluronic」の商品名で市場で入手可能な非イオン性界面活性剤は、組成物中に追加の界面活性剤として含まれる。これらの化合物は、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される疎水性ベースとエチレンオキシドを縮合させることによって形成される。この分子の疎水性部分は、約1,500~1,800の分子量を有する。この疎水性部分へのポリオキシエチレンラジカルの付加は、分子の水溶性を全体として増加させる傾向があり、生成物の液体特性は、ポリオキシエチレン含有量が縮合生成物の総重量の約50%になるまで保持される。
【0108】
非イオン性界面活性剤の半極性タイプは、本発明の組成物に有用な別の部類の非イオン性界面活性剤である。半極性非イオン性界面活性剤には、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびそれらのアルコキシル化誘導体が含まれる。
【0109】
アミンオキシドは、次の一般式に対応する三級アミンオキシドであり、
【化3】
に対応する三級アミンオキシドであり、式中、矢印は、半極性結合の従来の表現であり、R
1、R
2、およびR
3は、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよい。概して、対象となる洗剤のアミンオキシドに関して、R
1は、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、R
2およびR
3は、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、またはそれらの混合物であり、R
2およびR
3は、例えば、酸素もしくは窒素原子を通して互いに付着されて、環構造を形成することができ、R
4は、2~3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0~約20の範囲である。アミンオキシドは、対応するアミンと、過酸化水素などの酸化剤から生成することができる。
【0110】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ココナッツ、またはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシドおよび3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0111】
両性界面活性剤
両性または両性電解質界面活性剤は、塩基性および酸性親水性基の両方ならびに有機疎水性基を含有する。これらのイオン性実体は、他の種類の界面活性剤について本明細書に記載される陰イオン性または陽イオン性基のいずれかであり得る。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性親水性基として採用される典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤では、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、またはホスフェートは、負電荷を提供する。
【0112】
両性界面活性剤は、脂肪族二級および三級アミンの誘導体として広く記載することができ、ここで脂肪族ラジカルは、直鎖または分岐であってよく、脂肪族置換基のうちの1個は、約8~18個の炭素原子を含有し、1個は、アニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスファト、またはホスホノを含有する。両性界面活性剤は、当業者に既知であり、本明細書にその全体が参照により組み込まれる“Surfactant Encyclopedia”Cosmetics&Toiletries,Vol.104(2)69-71(1989)に記載される、2つの主要なクラスに細分される。第1のクラスは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびそれらの塩を含む。第2のクラスには、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩が含まれる。一部の両性界面活性剤は、両方のクラスに当てはまると想像され得る。
【0113】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法によって合成され得る。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)のジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。商業的な両性界面活性剤は、その後の加水分解およびアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって、例えば、クロロ酢酸または酢酸エチルを用いて誘導体化される。アルキル化の間に、1または2つのカルボキシ-アルキル基が反応して、三級アミンおよびエーテル結合を形成し、異なるアルキル化剤が、異なる三級アミンを生じる。
【0114】
本発明において用途を有する長鎖イミダゾール誘導体は、一般に以下の一般式を有し、
【化4】
式中、Rは、約8~18個の炭素原子を含有する非環式疎水性基であり、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオン、一般的にはナトリウムである。本組成物に用いることができる商業的に有名なイミダゾリン由来両性化合物としては、例えば、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから生成することができ、ここで、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基は、二酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0115】
本明細書で上記のカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。ベタインは、双性イオン界面活性剤と題した以下の節において、本明細書で以下に説明される特別なクラスの両性化合物である。
【0116】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、反応RNH2によって容易に調製され、Rは、C8-C18直鎖または分岐鎖アルキル、ハロゲン化カルボン酸を有する脂肪アミンである。アミノ酸の一級アミノ基のアルキル化は、二級および三級アミンをもたらす。アルキル置換基は、複数の反応性窒素中心を提供する2つ以上のアミノ基を有してもよい。最も商業的なN-アルキルアミン酸は、ベータ-アラニンまたはベータ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明において用途を有する商業的なN-アルキルアミノ酸両性電解質の例は、アルキルベータ-アミノジプロピオネート、RN(C2H4COOM)2およびRNHC2H4COOMを含む。一実施形態において、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水性基であり得、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0117】
好適な両性界面活性剤は、ココナッツ油またはココナッツ脂肪酸などのココナッツ製品から誘導されるものを含む。追加的な好適なココナッツ由来界面活性剤は、それらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えば、グリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8~18(例えば、12)個の炭素原子の脂肪族置換基を含む。かかる界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸とみなされ得る。これらの両性界面活性剤は、C12-アルキル-C(O)-NH-CH2-CH2-N+(CH2-CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHまたはC12-アルキル-C(O)-N(H)-CH2-CH2-N+(CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHとして表される化学構造を含み得る。ココアンホジプロピオン酸二ナトリウムは、1つの好適な両性界面活性剤であり、Rhodia Inc.、Cranbury,N.JからMiranol(商標)FBSの商品名で市販されている。化学名ココアンホジ酢酸二ナトリウム(disodium cocoampho diacetate)を有する別の好適なココナッツ由来の両性界面活性剤は、同じくRhodia Inc.、Cranbury,N.JからMirataine(商標)JCHAの商品名で販売されている。
【0118】
両性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlin and Heuringに発行された米国特許第3,929,678号に与えられる。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に与えられる。
【0119】
双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えることができ、アニオン電荷を含み得る。双性イオン性界面活性剤は、二級および三級アミンの誘導体、複素環式二級および三級アミンの誘導体、または四級アンモニウム、四級ホスホニウム、または三級スルホニウム化合物の誘導体として広義に説明され得る。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正荷電四級アンモニウム、または場合によってはスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、負荷電カルボキシル基、およびアルキル基を含む。双性イオンは、一般に、分子の等電領域においてほぼ同程度にイオン化し、正-負電荷中心間に強い「内部塩」誘引を生じ得るカチオン性基およびアニオン性基を含有する。そのような双性イオン性の合成界面活性剤の例としては、脂肪族ラジカルが直鎖であっても分岐であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つが陰イオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。
【0120】
ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本明細書で使用するための例示的な双性イオン性界面活性剤である。これらの化合物の一般式は、
【化5】
であり、式中、R
1は、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1つのグリセリル部分を有する8~18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yは、窒素、リン、および硫黄原子からなる群から選択され、R
2は、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、xは、Yが硫黄原子であるとき1であり、Yが窒素またはリン原子であるとき2であり、R
3は、1~4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、およびホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである。
【0121】
上に列挙した構造を有する双性イオン界面活性剤の例には、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-スルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-スルフェートが含まれる。当該洗剤界面活性剤に含有されるアルキル基は、直鎖または分岐でもよく、飽和または不飽和であり得る。
【0122】
本組成物における使用に好適な双性イオン性界面活性剤は、次の一般構造のベタインを含む。
【化6】
【0123】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極度のpHで強いカチオンもしくはアニオンの特徴を呈さないか、またはこれらの等電範囲で水溶性の低減を示さない。「外部の」四級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは陰イオン性物質と相溶性がある。好適なベタインの例は、ココナッツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12-14アシルアミドプロピルベタイン、C8-14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C14-16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C16-18アシルアミドジメチルベタイン、C12-16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC12-16アシルメチルアミドジメチルベタインを含む。
【0124】
本発明において有用なスルタインは、式(R(R1)2N+R2SO3-を有する化合物を含み、ここで、Rは、C6-C18ヒドロカルビル基であり、各R1は、典型的には独立して、C1-C3アルキル、例えば、メチルであり、R2は、C1-C6ヒドロカルビル基、例えば、C1-C3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。
【0125】
双性イオン性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、1975年12月30日にLaughlin and Heuringに発行された米国特許第3,929,678号に与えられる。さらなる例は、“Surface Active Agents and Detergents”(Vol.I and II by Schwartz,Perry and Berch)に与えられる。これらの参考文献のそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0126】
一実施形態では、本発明の組成物は、ベタインを含む。例えば、組成物は、ココアミドプロピルベタインを含むことができる。
【0127】
消泡剤
消泡剤も組成物に含めることができる。一般に、本発明に従って使用することができる消泡剤には、好ましくは、アルコールアルコキシレートおよびEO/POブロックコポリマーが挙げられる。消泡剤には、ポリアルキレングリコール縮合体、およびポリプロピルグリコールを含むプロピルグリコールも挙げることができる。いくつかの実施形態では、組成物は、本方法の適用例を考慮すれば、食品グレードの品質である泡止め剤または消泡剤を含むことができる。この目的のために、より効果的な泡止め剤のうちの1つには、シリコーンが含まれる。ジメチルシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキルまたはテトラアルキルシラン、疎水性シリカ消泡剤、およびそれらの混合物などのシリコーンはすべて、消泡用途に使用することができる。これらの消泡剤は、約0.01重量%~20重量%、0.01重量%~20重量%、約0.01重量%~5重量%、または約0.01重量%~約1重量%の濃度範囲で存在することができる。
【0128】
使用方法
殺ウイルス組成物は、例えば、殺ウイルス有効性を含む、抗菌有効性を必要とする表面を処理するのに特によく適している。さらなる態様では、殺ウイルス組成物は、小型の非エンベロープウイルス、大型の非エンベロープウイルス、および/または任意のエンベロープウイルスに対する殺ウイルス有効性を必要とする表面を、規制上の制限を有する任意の四級アンモニウム化合物および/またはスルホン化アニオン性界面活性剤の使用なしに処理するのになおさらによく適している。特定の態様では、殺ウイルス組成物は、小型の非エンベロープウイルスを不活性化する必要がある表面を処理するのに特によく適している。ウイルス集団を不活化する方法が提供され、マウスノロウイルスを不活化する方法を含むことが、本開示に従って包含される。
【0129】
ウイルスの不活性化を伴う抗ウイルス殺菌を含む、抗菌剤の使用方法は、殺ウイルス組成物が処理を必要とする表面に適用される、接触工程を含む。一態様では、組成物の接触は、ウイルスで汚染された表面に対するものである。汚染された表面は、予め清浄および/または汚され得る。好ましい態様では、使用方法は、ノロウイルスの完全な殺滅を提供する。有益なことに、一態様では、そのような集団での99.9%を超える減少(3対数オーダー減少)、そのような集団での99.99%を超える減少(4対数オーダー減少)、または表面上のノロウイルスの集団での99.999%を超える減少(5対数オーダー減少)は、約60分未満、約30分未満、約15分未満、約5分未満、約1分未満、約30秒未満、またはさらに約15秒未満の接触時間で達成される。
【0130】
さらなる態様では、殺ウイルス組成物の接触は、食品接触および/または食品非接触硬質表面に対するものであり得る。このような表面は、医療器具などの器具をさらに含むことができる。表面には、様々な器物を含む、サードシンクの消毒で洗浄されたものも含み得る。なおさらなる態様では、組成物の接触は、CIP(所定の場所での洗浄)用途に対するものであり得る。
【0131】
なおさらなる態様では、組成物の接触は、用品洗浄用途などの用品洗浄機に対するものであり得る。
【0132】
なおさらなる態様では、組成物の接触は、サードシンク消毒用途またはファーストシンク殺菌洗剤用途に対するものであり得る。さらに別の態様では、接触は、ファーストシンク洗剤と有益に適合し、それにより、サードシンク消毒工程をファーストシンク洗剤と組み合わせるための水のリサイクルとして使用することができる。これは、ファーストシンク洗剤と適合しない四級アンモニウム化合物を含有する従来の組成物を超える利点である。
【0133】
なおさらなる態様では、組成物の接触は、組織処理用途を含む、組織表面に対するものであり得る。例示的な組織表面には、例えば、ヒトの手を含む、動物またはヒトの皮膚などの哺乳動物の皮膚が含まれる。
【0134】
組成物を適用することができる様々な表面は、任意の従来の適用手段を含むことができる。適用には、例えば、拭き取り、噴霧、ディッピング、浸漬などが含まれ得る。接触は、最初に水に溶解される固形物を提供して接触用の溶液を形成することも含むことができる。接触工程は、組成物が汚れた表面に所定の時間接触することを可能にする。時間の量は、数秒~1時間、約15秒、もしくは約30秒~約60分、またはそれらの間の任意の範囲を含む、可能にするのに十分であり得る。好ましい実施形態では、抗ウイルス有効性に必要な接触時間は、約30分未満、約15分未満、約10分未満、約5分未満、または約1分未満である。なおさらなる実施形態では、抗ウイルス有効性に必要な接触時間は、約30秒未満、またはさらには約15秒未満である。方法は、すすぎ工程および/または拭き取り工程などの、直接的な物理的除去なしに組成物を表面上に適用する単一の工程を含み得る。有益なことに、様々な実施形態では、組成物は、任意にすすぎなしの適用を提供することができる。さらなる利点として、様々な実施形態では、組成物は、任意に拭き取り適用を提供することができる。なおさらなる利点として、様々な実施形態では、組成物は、すすぎなしおよび拭き取りなしの適用を提供することができる。
【0135】
いくつかの態様では、固体組成物は、水などの水源を使用して濃縮液体組成物を希釈して(または固体から水性使用組成物を形成して)、液体濃縮物から使用溶液を形成するか、または固体からの水性使用溶液を形成する第1の工程を含む。水性使用溶液は、所望の使用溶液にさらに希釈することができる。
【0136】
いくつかの態様では、この方法は、クリーニング組成物が適用され、拭き取りされ、および/またはすすぎが行われるような予めクリーニングする工程をさらに含むことができ、その後、組成物の適用が続く。組成物およびその使用方法は、洗浄された、または汚れた表面を処理することを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物と表面との間の接触時間の量は、表面上の微生物(ノロウイルスのサロゲートとしてマウスノロウイルスを含む)の集団を減少させて、そのような集団での99.9%を超える減少(3対数オーダー減少)、そのような集団での99.99%を超える減少(4対数オーダー減少)、または微生物および病原体の集団での99.999%を超える減少(5対数オーダーの減少)を提供するのに十分である。接触時間は、好ましくは、約30分未満、約15分未満、または約5分未満である。
【0137】
方法の温度条件は、約40°F~160°F、約60°F~140°F、または約70°F~140°Fの範囲であり得る。
【0138】
有益なことに、これらの方法は、すすぎ工程を必要としない。一態様では、組成物は、食品との接触が承認されており、すすぎ工程を必要としない。さらなる利点として、この方法は腐食を引き起こさず、および/または表面と干渉しない(例えば、表面に及ぼす曇った、鈍い、または他の負の美的効果)。
【0139】
この方法には、任意に、様々なセンサおよび/またはインジケータの使用を含むことができる。一態様では、使用溶液中の活性成分のレベルは、様々な方法で監視することができる。1つのアプローチでは、製品の殺生物効力が著しく低下し始める溶液の臨界pHは、色の変化によって視覚的に示され、色の変化は、このpHで劇的な色の変化を示す染料を選択することによって達成される。染料は、製品に簡単に組み込むことができ、好ましくは染料は、ポリマー基材に組み込まれて色変化ストリップを形成し、そのストリップは、容器に、例えば、サードシンクに置かれ、溶液が臨界pH値を通過すると色変化を示す。追加的に、使用溶液中のアニオン性界面活性剤のレベルも同様の方法で監視でき、色の変化は殺生物効力に必要なアニオン性界面活性剤の臨界濃度を示すであろう。
【0140】
追加の実施形態では、視覚的インジケータの代替として、pH、アニオン活性、蛍光、および/または伝導率を含む使用溶液の特性は、溶液が指定範囲内に入らなくなると、視覚的または可聴信号を提供するセンサによって監視することができる。いくつかの実施形態では、使用溶液中の活性成分の変化がマーカー分子の物理的および/または化学的特性の変化を誘発するマーカー分子を組成物に加えることができ、その変化は信号処理を通じて定量化される。
【0141】
実施形態では、殺ウイルス組成物は、EN1276(細菌懸濁液研究)、EN13697(細菌担体ベース研究)、およびEN16615(細菌担体ベース研究)についての18℃~25℃、清浄および/または汚染条件下での殺菌要件を満たす。実施形態では、殺ウイルス組成物は、EN14476についての18℃~25℃、清浄および/または汚染条件下での殺ウイルス要件を満たす。当業者が理解するように、懸濁液研究はまた、第2相、第1工程(または2.1-懸濁液)研究と呼ばれ得、担体研究はまた、第2相、第2工程(または2.2-担体)研究または実験室でシミュレートされた表面試験と呼ばれ得る。
【0142】
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、本発明が関連する技術分野における通常の技術レベルを示している。すべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0143】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、単なる例示として与えられていることを理解されたい。上記の説明およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態の様々な変更および修正を行い、これを様々な用途および条件に適合させることができる。したがって、本明細書に示され説明されたものに加えて、本発明の実施形態の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【0144】
実施例で使用される製品の以下の略語および/または商品名は、以下の表3でさらに詳細に記載される:
【表3】
【0145】
試験のために、EN硬水は、次の方法に従って調製した:溶液Aを、1.98gの塩化マグネシウム(MgCl2)および4.62gの塩化カルシウム(CaCl2)をラボ用精製水に溶解し、100mLに希釈することによって調製した。溶液を膜濾過によって滅菌した。溶液Bを、3.50gの重炭酸ナトリウム(NaHCO3)をラボ用精製水に溶解し、100mLに希釈することによって調製した。溶液を膜濾過によって滅菌した。両方の溶液を冷蔵庫(2~8℃)で保存し、各溶液の有効期限前に使用した(溶液Aの場合は1か月、溶液Bの場合は1週間)。調製日に、6.0mLの溶液Aおよび8.0mLの溶液Bを、1000mLメスフラスコにおいて約700mLの滅菌ラボ用精製水に添加した。滅菌ラボ用精製水を1000mL体積に加えた。硬水をよく混合した。硬水のpHを、1Nの塩酸で7.0±0.2の目標pH範囲に調整した。水硬度を、10mLの硬水を40mLのラボ用精製水に加えることによって検証した。少量の水硬度指示薬および1mLの水硬度バッファーを加え、よく混合した。次いで、溶液を、0.01MのEDTAを含むCaCO3としてppmについて滴定した。
【0146】
実施例1
殺菌有効性スクリーニング。殺菌有効性スクリーニングは、5分の接触で両方のS.aureus ATCC 6538を使用するEN1276に従って表4の化学物質で実施された。濃縮化学物質は、以下の表に概説される材料をガラスビーカーに加えることによって調製し、均質になるまで撹拌棒で撹拌した。試験日に、試験化学物質の1.25重量%希釈液を調製して、希釈剤としてEN硬水を使用した以下の表に従って製品の1重量%希釈液を評価した(マイクロ有効性方法内で行われる希釈を考慮する)。pHは、pHメーターで測定し、記録した。マイクロピペットを使用して、2.0~2.1のpHが観察され、総体積のMSA(70%)が添加されるまで、MSA(70%)を10uL増分で試験試料に添加し、使用溶液の最終pHを表5~7に示されるように記録した。
【0147】
試験は、EN硬水を使用して5分の接触時間で20℃の清浄条件(処理されたパネルが0.3g/Lのウシ血清アルブミンの汚れレベルを有した)下で実施された。組成物が即時不安定性を示したため、Crodasinic CS30製剤は評価することができなかった。試験は、3つの異なる試験日にかけて実施され、各試験日について「非アニオン性対照」および「LAS対照」が含まれた。
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
【表6】
【表7】
【0148】
【0149】
様々なアニオン性化学物質のスクリーニングは、すべてのアニオン性化学物質(Akypo LF4および陰性対照を除く)は、S.aureusに対して5対数以上の減少を提供することを示す。
【0150】
実施例2
抗ウイルス有効性試験。抗ウイルス有効性試験は、5分および15分の接触時間でアデノウイルスおよびマウスノロウイルス(MNV)を使用して、表9の化学物質(抗菌有効性について試験された製剤にいくつかの変更を有する)EN14476で実施された。MNVは、ヒトノロウイルスのモデルとして使用されるノロウイルスの一種である。濃縮化学物質は、以下の表に概説される材料をガラスビーカーに加えることによって調製し、均質になるまで撹拌棒で撹拌した。試験日に、試験化学物質の1.25重量%希釈液を調製して、希釈剤としてEN硬水を使用した以下の表に従って製品の1重量%希釈液を評価した(マイクロ有効性方法内で行われる希釈を考慮する)。結果は実施例1の結果と一致するので、抗ウイルス試験についてpHは測定しなかった。
【0151】
各試験では、試験条件ごとに1つの複製があった。ラボは、これらを室温で清浄条件下、EN硬水を使用して実施した。組成物は、1300ppmの使用溶液中の固定された活性アニオン性濃度で1重量%に希釈された。
【表9】
【0152】
細胞毒性(対数10 CD50/mL)、ウイルス対照の力価(対数10 TCID 50/mL)、一定期間後のウイルス力価、および対数減少が結果に示される(図を参照されたい)。結果は、
図2(アデノウイルス)および
図3(MNV)に示される。図は、15分の接触時間で評価された組成物の有効性を示す。アデノウイルス結果(
図2)は、すべてのアニオン性製剤が15分で≧4対数殺滅、30分および60分でウイルスの「n.d.」(検出不能)測定値を提供することを示す。しかしながら、MNVの試験(
図3)は、AOSアニオン性製剤のみが15分で(およびより早く5分で)4対数以上の殺滅の有効性を提供するという予期しない結果を示す。
【0153】
これは、試験の精度を検証するために再実行された驚くべき結果である。アニオン性界面活性剤がより長い接触時間でMNVに対して殺ウイルス有効性を提供するかを決定するために、30分および60分の接触時間を含むより長い接触時間にかけて追加の試験が実施された。AOS含有殺ウイルス組成物は、他のアニオン性界面活性剤を再び上回り、AOS含有殺ウイルス組成物が、殺ウイルス有効性の提供において酸を含む他のアニオン性界面活性剤を上回ったという予期しない結果を確認した。
【0154】
実施例3
追加の抗ウイルス有効性試験。AOSアニオン性製剤がMNVについて他のアニオン性製剤を上回った実施例2の予期しない結果に続いて、希釈%および接触時間に対する影響を評価するために追加の試験が実施された。表10に示される製剤への変更を有する実施例2の方法に従った。組成物は、1300ppmの使用された溶液中の固定された活性アニオン性濃度で1重量%に希釈された。
【表10】
【0155】
結果を
図4に示す。図は、1重量%の希釈(使用溶液中の1300ppmのアニオン性濃度を提供する)で再度AOSアニオン性組成物の有効性を示し、実施例2の結果を確認する。加えて、AOSアニオン性組成物は、15分で0.75重量%の希釈で、またさらに30分で0.5重量%の希釈で抗ウイルス有効性をさらに提供する。
【0156】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。本発明の実施形態の例を以下の項目[1]~[29]に列記する。
[1]
少なくとも1つの酸であって、上記酸が、強酸、弱酸、またはそれらの組み合わせを含む、酸と、
少なくとも1つのアルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤と、
を含む、殺ウイルス組成物であって、
上記組成物が、液体または固体であり、
上記組成物の使用pHが、約1.5~約4である、組成物。
[2]
上記アルファオレフィンスルホネートが、C8~C22アルファオレフィンスルホネートである、項目1に記載の組成物。
[3]
上記アルファオレフィンスルホネートが、C8~C16アルファオレフィンスルホネートである、項目1に記載の組成物。
[4]
上記酸が、乳酸およびメタンスルホン酸を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
非イオン性界面活性剤をさらに含む、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
EO/POブロックコポリマーを有するアルコキシル化非イオン性界面活性剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
[7]
上記酸が、約10重量%~約80重量%を構成し、上記アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤が、約0.1重量%~約50重量%を構成し、約1重量%~約20重量%の少なくとも1つの追加の機能性成分および/または約1重量%~約20重量%の非イオン性界面活性剤をさらに含む、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
上記酸が、約10重量%~約80重量%を構成し、上記アルファオレフィンスルホネートアニオン性界面活性剤が、約0.1重量%~約50重量%を構成し、上記非イオン性界面活性剤が、約1重量%~約20重量%を構成する、項目5または6に記載の組成物。
[9]
(i)上記弱酸が、約10重量%~約50重量%を構成し、上記強酸が、約1重量%~約30重量%を構成し、(ii)上記弱酸が、約10重量%~約50重量%を構成し、または(iii)上記強酸が、約1重量%~約30重量%を構成する、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
上記組成物が、液体または固体濃縮物である、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
追加のアニオン性界面活性剤をさらに含む、項目1~10のいずれか一項に記載の組成物。
[12]
上記追加のアニオン性界面活性剤が、スルホネート、好ましくはアルカンスルホネート、好ましくはアルカンスルホン酸ナトリウムである、項目11に記載の組成物。
[13]
殺ウイルス組成物を使用する方法であって、上記方法は、
項目1~12のいずれか一項に記載の殺ウイルス組成物を、処理を必要とする表面に接触させることと、
ウイルス集団を不活化することと、を含み、上記抗ウイルス不活化が、約60分、30分、10分、5分、1分、30秒、または15秒未満以内に少なくとも3対数減少させて不活化を完了する、方法。
[14]
上記殺ウイルス組成物が、上記接触工程の前に使用溶液に希釈される、項目13に記載の方法。
[15]
希釈された上記使用溶液が、約0.5重量%~約3重量%の希釈から作製される、項目14に記載の方法。
[16]
上記接触が、拭き取り、ディッピング、浸漬、または噴霧によるものである、項目13~15のいずれか一項に記載の方法。
[17]
上記表面が、硬質表面である、項目13~16のいずれか一項に記載の方法。
[18]
上記硬質表面が、予め清浄された硬質表面、ノロウイルスおよび/もしくは他のウイルス集団で汚染された表面、ならびに/またはヒトもしくは哺乳動物組織である、項目17に記載の方法。
[19]
上記接触が、1分未満で上記ウイルスの完全な殺滅を提供し、上記接触工程の水性使用温度が、約40°F~160°Fである、項目13~18のいずれか一項に記載の方法。
[20]
上記濃縮物を約1/8オンス/ガロン~約12オンス/ガロンの割合で希釈して、上記殺ウイルス組成物の使用溶液を形成する、項目13に記載の方法。
[21]
センサおよび/またはインジケータを用いて、以下:上記組成物が殺生物有効性を失う溶液pH、上記使用溶液中のアニオン性界面活性剤の濃度、蛍光、および/また伝導度のうちの少なくとも1つを測定および検出する、項目13~20のいずれか一項に記載の方法。
[22]
上記ウイルスが、小型非エンベロープウイルス、大型非エンベロープウイルス、および/またはエンベロープウイルスである、項目13~21のいずれか一項に記載の方法。
[23]
上記ウイルスが、ヒトノロウイルス、アデノウイルス、および/またはポリオウイルスである、項目22に記載の方法。
[24]
上記ウイルス集団の不活化が、約10分、5分、1分、30秒、または15秒以内に少なくとも3対数の減少を提供して不活化を完了する、項目13~23のいずれか一項に記載の方法。
[25]
上記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN1276の要件を満たす、項目13~24のいずれか一項に記載の方法。
[26]
上記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN13697の要件を満たす、項目13~24のいずれか一項に記載の方法。
[27]
上記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN16615の要件を満たす、項目13~24のいずれか一項に記載の方法。
[28]
上記殺ウイルス組成物が、清浄および/または汚染条件下、18℃~25℃でEN14476の要件を満たす、項目13~24のいずれか一項に記載の方法。
[29]
上記方法が、すすぎ工程を必要としない、項目13~28のいずれか一項に記載の方法。