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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045455
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240326BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20240326BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20240326BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F28F9/02 301C
F28F21/08 B
F25B39/00 F
F28D1/053 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017036
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021566412の分割
【原出願日】2019-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠田 崇史
(72)【発明者】
【氏名】是澤 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 成浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 誠
(57)【要約】
【課題】小型かつ軽量の熱交換器および冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】実施形態の熱交換器は、複数の熱交換チューブと、ヘッダとを持つ。複数の前記熱交換チューブは、冷媒が流れる冷媒流路が形成される。複数の前記熱交換チューブは、第1方向に並列配置された2以上の前記熱交換チューブを含む。前記ヘッダは、前記熱交換チューブの端部に設けられる。前記ヘッダは、第1主面どうしが向かい合うように積層された一対の板体を備える。前記板体の少なくとも1つの前記第1主面に、前記冷媒流路と連通する空間流路を形成する複数の凹部が形成されている。前記凹部は、前記第1方向に並列配置された2つの前記熱交換チューブが接続され、一つの前記熱交換チューブから他の一つの前記熱交換チューブに前記冷媒を流す前記空間流路を形成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる冷媒流路が形成された複数の熱交換チューブと、
前記熱交換チューブの端部に設けられたヘッダと、を備え、
複数の前記熱交換チューブは、第1方向に並列配置された2以上の前記熱交換チューブを含み、
前記ヘッダは、第1主面どうしが向かい合うように積層された一対の板体を備え、
前記板体の少なくとも1つの前記第1主面に、前記冷媒流路と連通する空間流路を形成する複数の凹部が形成され、
前記凹部は、前記第1方向に並列配置された2つの前記熱交換チューブが接続され、一つの前記熱交換チューブから他の一つの前記熱交換チューブに前記冷媒を流す前記空間流路を形成する、
熱交換器。
【請求項2】
前記板体は、前記第1主面とは反対の第2主面に、Znを含む被覆層を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記ヘッダには、前記熱交換器に前記冷媒を導入する導入口、および前記熱交換器から前記冷媒を導出する導出口が形成される、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
一対の前記板体の間に、中間板体が設けられている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の熱交換器を有する、冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッダ型の熱交換器は、複数の熱交換チューブと、ヘッダとを持つ。熱交換チューブの内部には、冷媒流路が形成される。ヘッダは、熱交換チューブの端部に設けられている。熱交換器は、小型であること、および軽量であることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/037641号
【特許文献2】国際公開第2015/063875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、小型かつ軽量の熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の熱交換器は、複数の熱交換チューブと、ヘッダとを持つ。複数の前記熱交換チューブは、冷媒が流れる冷媒流路が形成される。複数の前記熱交換チューブは、第1方向に並列配置された2以上の前記熱交換チューブを含む。前記ヘッダは、前記熱交換チューブの端部に設けられる。前記ヘッダは、第1主面どうしが向かい合うように積層された一対の板体を備える。前記板体の少なくとも1つの前記第1主面に、前記冷媒流路と連通する空間流路を形成する複数の凹部が形成されている。前記凹部は、前記第1方向に並列配置された2つの前記熱交換チューブが接続され、一つの前記熱交換チューブから他の一つの前記熱交換チューブに前記冷媒を流す前記空間流路を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態における冷凍サイクル装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態における熱交換器の斜視図。
図3】第1ヘッダの分解斜視図。
図4】第1ヘッダおよび熱交換チューブの分解斜視図。
図5】第1ヘッダの断面図。
図6】第2ヘッダの分解斜視図。
図7】第2ヘッダの断面図。
図8】第1変形例の第1ヘッダの断面図。
図9】第2変形例の第1ヘッダの断面図。
図10】第2の実施形態における第1ヘッダの断面図。
図11】第3変形例の第1ヘッダの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の熱交換器を、図面を参照して説明する。
本願において、X方向、Y方向およびZ方向は、以下のように定義される。Z方向は、第1ヘッダおよび第2ヘッダの長手方向(延在方向)である。例えば、Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。X方向は、熱交換チューブの中心軸方向(延在方向)である。例えば、X方向は水平方向であり、+X方向は第2ヘッダから第1ヘッダに向かう方向である。Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器(熱交換器)4と、膨張装置5と、室内熱交換器(熱交換器)6と、を有する。冷凍サイクル装置1の構成要素は、配管7によって順次接続されている。図1では、冷房運転時の冷媒(熱媒体)の流通方向が実線矢印で示され、暖房運転時の冷媒の流通方向が破線矢印で示される。
【0009】
圧縮機2は、圧縮機本体2Aと、アキュムレータ2Bと、を有する。圧縮機本体2Aは、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。アキュムレータ2Bは、気液二相冷媒を分離して、気体冷媒を圧縮機本体2Aに供給する。
【0010】
四方弁3は、冷媒の流通方向を逆転させ、冷房運転と暖房運転とを切り替える。冷房運転時に冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5及び室内熱交換器6の順に流れる。このとき冷凍サイクル装置1は、室外熱交換器4を凝縮器として機能させ、室内熱交換器6を蒸発器として機能させ、室内を冷房する。暖房運転時に冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に流れる。このとき冷凍サイクル装置1は、室内熱交換器6を凝縮器として機能させ、室外熱交換器4を蒸発器として機能させ、室内を暖房する。
【0011】
凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒を、外気へ放熱させて凝縮させることにより、高圧の液体冷媒にする。
膨張装置5は、凝縮器から送り込まれる高圧の液体冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の気液二相冷媒にする。
蒸発器は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0012】
このように、冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒が気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環する。冷媒は、気体冷媒から液体冷媒に相変化する過程で放熱し、液体冷媒から気体冷媒に相変化する過程で吸熱する。冷凍サイクル装置1は、冷媒の放熱または吸熱を利用して、暖房や冷房、除霜などを行う。
【0013】
図2は、第1の実施形態の熱交換器の斜視図である。図2に示されるように、第1の実施形態の熱交換器4は、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4および室内熱交換器6のうち一方または両方に使用される。以下、熱交換器4が冷凍サイクル装置1(図1参照)の室外熱交換器4として使用される場合を例にして説明する。
【0014】
熱交換器4は、第1ヘッダ10と、第2ヘッダ20と、熱交換チューブ(伝熱管)30と、を有する。
図3は、第1ヘッダ10の分解斜視図である。図4は、第1ヘッダ10および熱交換チューブ30の分解斜視図である。図5は、第1ヘッダ10のXZ平面に沿う断面図である。
【0015】
図3および図5に示されるように、第1ヘッダ10は、一対の板体11,12が積層されて構成されている。すなわち、第1ヘッダ10は、第1内板体11と第1外板体12とが積層されて構成されている。第1内板体11および第1外板体12は、アルミニウム、アルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。第1内板体11および第1外板体12は、概略、YZ平面と平行とされる。第1外板体12は、第1内板体11の+X方向側の面(第1主面11a)に積層される。
図5に示されるように、第1主面11aは、第1内板体11の主面であって、第1外板体12に対向する面である。第2主面11bは、第1主面11aとは反対の面である。
【0016】
第1内板体11の第1主面11aには、複数の凹部13が形成されている。凹部13は、第1内板体11の曲げ変形により形成された変形部15によって形成されている。凹部13は、変形部15の内面に形成された凹部である。例えば、凹部13の深さD1は、第1内板体11の厚さT1より大である。
【0017】
変形部15は、底板部15aと、側板部15bとを備えるトレイ形状とされている。側板部15bは、底板部15aの周縁から+X方向に向かって拡径しつつ延出する。例えば、変形部15は、長円錐台形状、角錐台形状、円錐台形状などであってよい。例えば、変形部15は、平板状の板体を加工することによって形成することができる。加工方法としては、冷間鋳造(エンボス加工)、プレス成形などがある。
【0018】
第2主面11bには、凹部13に即した形状の凸部14が形成されている。凸部14は、変形部15の外面に形成された凸部である。
【0019】
図3に示されるように、複数の凹部13は、第1凹部13A~第9凹部13Iを含む。
第1凹部13Aは、X方向から見て長円形状とされている。「長円形状」は、互いに平行かつ向かい合う2つの直線と、2つの直線の端部どうしをそれぞれ結ぶ湾曲凸状(例えば半円状、楕円弧状など)の曲線とで構成される形状である。第1凹部13Aの長径方向はY方向と平行である。第1凹部13Aは、第1凹部13A~第9凹部13Iのなかで最も高い位置にある(すなわち、最も+Z方向側に位置する)。
【0020】
第2凹部13B~第5凹部13Eおよび第8凹部13Hは、X方向から見て矩形状とされている。例えば、第2凹部13B~第5凹部13Eおよび第8凹部13Hは、丸みを帯びた角部を有する矩形状とされている。
第2凹部13Bおよび第3凹部13Cは、第1凹部13Aに対して低い位置にある(すなわち、第1凹部13Aの-Z方向側に位置する)。第2凹部13Bと第3凹部13Cとは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第3凹部13Cは、第2凹部13Bに対して、+Y方向側に位置する。
【0021】
第4凹部13Dは、第2凹部13Bに対して低い位置にある(すなわち、第2凹部13Bの-Z方向側に位置する)。第5凹部13Eは、第3凹部13Cに対して低い位置にある(すなわち、第3凹部13Cの-Z方向側に位置する)。第4凹部13Dと第5凹部13Eとは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第5凹部13Eは、第4凹部13Dに対して、+Y方向側に位置する。
【0022】
第6凹部13Fは、第4凹部13Dに対して低い位置にある(すなわち、第4凹部13Dの-Z方向側に位置する)。第7凹部13Gは、第6凹部13Fに対して低い位置にある(すなわち、第6凹部13Fの-Z方向側に位置する)。第6凹部13Fおよび第7凹部13Gは、X方向から見て長円形状とされている。第6凹部13Fおよび第7凹部13Gの長径方向はY方向と平行である。
第8凹部13Hは、第5凹部13Eに対して低い位置にある(すなわち、第5凹部13Eの-Z方向側に位置する)。第8凹部13Hは、第6凹部13Fおよび第7凹部13Gに対して、Y方向側に位置する。
【0023】
第9凹部13Iは、X方向から見て長円形状とされている。第9凹部13Iの長径方向はY方向と平行である。第9凹部13Iは、第7凹部13Gおよび第8凹部13Hに対して低い位置にある(すなわち、第7凹部13Gおよび第8凹部13Hの-Z方向側に位置する)。
【0024】
第1凹部13Aを形成する変形部15の底板部15aには、2つの差込部41,41が形成されている。差込部41は、底板部15aを厚さ方向に貫通する。差込部41は、Y方向に平行なスリット状に形成されている。差込部41には、熱交換チューブ30の端部が挿入される(図5参照)。2つの差込部41,41は、Y方向に間隔をおいて形成されている。
【0025】
第2凹部13B~第5凹部13Eおよび第8凹部13Hを形成する変形部15の底板部15aには、それぞれ2つの差込部41,41が形成されている。2つの差込部41,41は、Z方向に間隔をおいて形成されている。
【0026】
第6凹部13Fおよび第7凹部13Gを形成する変形部15の底板部15aには、それぞれ1つの差込部41が形成されている。
第9凹部13Iを形成する変形部15の底板部15aには、2つの差込部41,41が形成されている。2つの差込部41,41は、Y方向に間隔をおいて形成されている。
【0027】
第1凹部13Aおよび第9凹部13Iは、同一形状の凹部である。第1凹部13Aおよび第9凹部13Iは、後述する熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さ(または、熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さを超える長さ)の長円形状となっている。第2凹部13B、第3凹部13C、第4凹部13D、第5凹部13Eおよび第8凹部13Hは、同一形状の凹部である。第6凹部13Fおよび第7凹部13Gは、同一形状の凹部である。第6凹部13Fおよび第7凹部13Gは、他の凹部13A,13B,13C,13D,13E,13Hおよび13Iよりも小さく形成されている。
【0028】
図5に示されるように、第1主面12aは、第1外板体12の主面であって、第1内板体11に対向する面である。第2主面12bは、第1主面12aとは反対の面である。
【0029】
第1外板体12の第1主面12aには、複数の凹部17が形成されている。凹部17は、第1内板体11の曲げ変形により形成された変形部19によって形成されている。凹部17は、変形部19の内面に形成された凹部である。例えば、凹部17の深さD2は、第1外板体12の厚さT2より大である。
【0030】
変形部19は、底板部19aと、側板部19bとを備えるトレイ形状とされている。側板部19bは、底板部19aの周縁から-X方向に向かって拡径しつつ延出する。例えば、変形部19は、長円錐台形状、角錐台形状、円錐台形状などであってよい。例えば、変形部19は、平板状の板体を加工することによって形成することができる。加工方法としては、冷間鋳造(エンボス加工)、プレス成形などがある。
【0031】
第2主面12bには、凹部17に即した形状の凸部18が形成されている。凸部18は、変形部19の外面に形成された凸部である。
【0032】
図4に示されるように、複数の凹部17は、第1凹部17A~第9凹部17Iを含む。第1凹部17A~第9凹部17Iは、それぞれ、第1内板体11の第1凹部13A~第9凹部13Iと対応する形状とされる。詳しくは、第1凹部17Aは、X方向から見て長円形状とされている。第2凹部17B~第5凹部17Eおよび第8凹部17Hは、X方向から見て矩形状(例えば、丸みを帯びた角部を有する矩形状)とされている。第6凹部17Fおよび第7凹部17Gは、X方向から見て長円形状とされている。第9凹部17Iは、X方向から見て長円形状とされている。第1凹部17A~第9凹部17Iは、それぞれ、第1内板体11の第1凹部13A~第9凹部13Iと対面して位置する。
【0033】
第1凹部17Aおよび第9凹部17Iは、同一形状の凹部である。第1凹部17Aおよび第9凹部17Iは、後述する熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さ以上の長さ(例えば、熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さを超える長さ)の長円形状となっている。第2凹部17B、第3凹部17C、第4凹部17D、第5凹部17Eおよび第8凹部17Hは、同一形状の凹部である。第6凹部17Fおよび第7凹部17Gは、同一形状の凹部である。第6凹部17Fおよび第7凹部17Gは、他の凹部17A,17B,17C,17D,17E,17Hおよび17Iよりも小さく形成されている。
【0034】
図5に示されるように、第1内板体11の凹部13と、これに対向する第1外板体12の凹部17とは、ヘッド空間流路16(空間)を形成する。ヘッド空間流路16は、向かい合う凹部13と凹部17とによって区画される空間流路を形成する。ヘッド空間流路16は、YZ平面に沿う板状の空間流路を形成する。差込部41に挿入された熱交換チューブ30の端部は、ヘッド空間流路16に開口する。そのため、ヘッド空間流路16は、熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0035】
図2および図3に示されるように、第1凹部13Aと第1凹部17Aとが区画するヘッド空間流路16を第1ヘッド空間流路16Aという。第2凹部13Bと第2凹部17Bとが区画するヘッド空間流路16を第2ヘッド空間流路16Bという。第3凹部13Cと第3凹部17Cとが区画するヘッド空間流路16を第3ヘッド空間流路16Cという。第4凹部13Dと第4凹部17Dとが区画するヘッド空間流路16を第4ヘッド空間流路16Dという。第5凹部13Eと第5凹部17Eとが区画するヘッド空間流路16を第5ヘッド空間流路16Eという。第6凹部13Fと第6凹部17Fとが区画するヘッド空間流路16を第6ヘッド空間流路16Fという。第7凹部13Gと第7凹部17Gとが区画するヘッド空間流路16を第7ヘッド空間流路16Gという。第8凹部13Hと第8凹部17Hとが区画するヘッド空間流路16を第8ヘッド空間流路16Hという。第9凹部13Iと第9凹部17Iとが区画するヘッド空間流路16を第9ヘッド空間流路16Iという。
【0036】
第1ヘッド空間流路16Aおよび第9ヘッド空間流路16Iは、同一形状の空間流路部を形成している。第1ヘッド空間流路16Aおよび第9ヘッド空間流路16Iは、後述する熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さ以上の長さ(例えば、熱交換チューブ30をY方向に2つ並べた長さを超える長さ)の長円形状となっている。第2ヘッド空間流路16B、第3ヘッド空間流路16Cおよび第4ヘッド空間流路16Dは、同一形状の空間流路部を形成している。また、第3ヘッド空間流路16C、第5ヘッド空間流路16Eおよび第8ヘッド空間流路16Hは、同一形状の空間流路部を形成している。第6ヘッド空間流路16Fおよび第7ヘッド空間流路16Gは、同一形状の空間流路部を形成している。第6ヘッド空間流路16Fおよび第7ヘッド空間流路16Gは、他のヘッド空間流路16A,16B,16C,16D,16E,16Hおよび16Iよりも小さく形成されている。
【0037】
図3に示されるように、第6凹部17Fを形成する変形部19の底板部19aには、差込部42が形成されている。例えば、差込部42は、円形状である。差込部42には、管状の第1冷媒ポート51が挿入される(図2参照)。第1冷媒ポート51の端部は、第6ヘッド空間流路16Fの内部に開口する。この開口は、冷媒を熱交換器4に導入する導入口、または冷媒を熱交換器4から導出する導出口となる。
【0038】
第7凹部17Gを形成する変形部19の底板部19aには、差込部43が形成されている。例えば、差込部43は、円形状であり、差込部42と同じ大きさ、形状で形成されている。差込部43には、管状の第2冷媒ポート52が挿入される(図2参照)。第2冷媒ポート52の端部は、第7ヘッド空間流路16Gの内部に開口する。この開口は、冷媒を熱交換器4に導入する導入口、または冷媒を熱交換器4から導出する導出口となる。
【0039】
第3凹部17Cを形成する変形部19の底板部19aには、差込部44が形成されている。例えば、差込部44は、円形状であり、差込部42、43よりも大きく形成されている。差込部44には、管状の第3冷媒ポート53が挿入される(図2参照)。第3冷媒ポート53の端部は、第3ヘッド空間流路16Cの内部に開口する。この開口は、冷媒を熱交換器4に導入する導入口、または冷媒を熱交換器4から導出する導出口となる。
【0040】
図5に示されるように、ヘッド空間流路16の圧力を「P」とする。第1内板体11および第1外板体12の厚さを「T」とする。ヘッド空間流路16の厚さ寸法(X方向の寸法)を「L」とする。第1内板体11および第1外板体12の材料耐力σは、次の式(1)を満たすことが好ましい。
【0041】
σ>-10.1T+2.1L+8.1P+3.5 ・・・(1)
【0042】
式(1)を満たす場合、第1ヘッダ10の耐圧性を確保することができる。
【0043】
図6は、第2ヘッダ20の分解斜視図である。図7は、第2ヘッダ20のXZ平面に沿う断面図である。
図6および図7に示されるように、第2ヘッダ20は、一対の板体21,22が積層されて構成されている。すなわち、第2ヘッダ20は、第2内板体21と第2外板体22とが積層されて構成されている。第2内板体21および第2外板体22は、アルミニウム、アルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。第2内板体21および第2外板体22は、概略、YZ平面と平行とされる。第2外板体22は、第2内板体21の-X方向側の面(第1主面21a)に積層される。
図7に示されるように、第1主面21aは、第2内板体21の主面であって、第2外板体22に対向する面である。第2主面21bは、第1主面21aとは反対の面である。
【0044】
第2内板体21の第1主面21aには、複数の凹部23が形成されている。凹部23は、第2内板体21の曲げ変形により形成された変形部25によって形成されている。凹部23は、変形部25の内面に形成された凹部である。例えば、凹部23の深さD3は、第2内板体21の厚さT3より大である。
【0045】
変形部25は、底板部25aと、側板部25bとを備えるトレイ形状とされている。側板部25bは、底板部25aの周縁から-X方向に向かって拡径しつつ延出する。例えば、変形部25は、長円錐台形状、角錐台形状、円錐台形状などであってよい。例えば、変形部25は、平板状の板体を加工することによって形成することができる。加工方法としては、冷間鋳造(エンボス加工)、プレス成形などがある。
【0046】
第2主面21bには、凹部23に即した形状の凸部24が形成されている。凸部24は、変形部25の外面に形成された凸部である。
【0047】
図6に示されるように、複数の凹部23は、第1凹部23A~第8凹部23Hを含む。第1凹部23A~第8凹部23Hは、X方向から見て矩形状とされている。第1凹部23Aと第2凹部23Bとは、Y方向に並んで形成されている。第3凹部23Cは、第1凹部23Aの-Z方向側に位置する。第4凹部23Dは、第2凹部23Bの-Z方向側に位置する。第3凹部23Cと第4凹部23Dとは、Y方向に並んで形成されている。第5凹部23Eは、第3凹部23Cの-Z方向側に位置する。第6凹部23Fは、第4凹部23Dの-Z方向側に位置する。第5凹部23Eと第6凹部23Fとは、Y方向に並んで形成されている。第7凹部23Gは、第5凹部23Eの-Z方向側に位置する。第8凹部23Hは、第6凹部23Fの-Z方向側に位置する。第7凹部23Gと第8凹部23Hとは、Y方向に並んで形成されている。
【0048】
第1凹部23A~第8凹部23Hを形成する変形部25の底板部25aには、それぞれ2つの差込部45,45が形成されている。差込部45は、Y方向に平行なスリット状に形成されている。差込部45には、熱交換チューブ30の端部が挿入される(図7参照)。2つの差込部45,45は、Z方向に間隔をおいて形成されている。
【0049】
図7に示されるように、第1主面22aは、第2外板体22の主面であって、第2内板体21に対向する面である。第2主面22bは、第1主面22aとは反対の面である。
【0050】
第2外板体22の第1主面22aには、複数の凹部27が形成されている。凹部27は、第2内板体21の曲げ変形により形成された変形部29によって形成されている。凹部27は、変形部29の内面に形成された凹部である。例えば、凹部27の深さD4は、第2外板体22の厚さT4より大である。
【0051】
変形部29は、底板部29aと、側板部29bとを備えるトレイ形状とされている。側板部29bは、底板部29aの周縁から+X方向に向かって拡径しつつ延出する。例えば、変形部29は、長円錐台形状、角錐台形状、円錐台形状などであってよい。例えば、変形部29は、平板状の板体を加工することによって形成することができる。加工方法としては、冷間鋳造(エンボス加工)、プレス成形などがある。
【0052】
第2主面21bには、凹部27に即した形状の凸部28が形成されている。凸部28は、変形部29の外面に形成された凸部である。
【0053】
図6に示されるように、複数の凹部27は、第1凹部27A~第8凹部27Hを含む。第1凹部27A~第9凹部27Iは、それぞれ、第2内板体21の第1凹部23A~第8凹部27Hと対応する形状とされる。第1凹部27A~第8凹部27Hは、X方向から見て矩形状とされている。第1凹部27A~第8凹部27Hは、それぞれ、第2内板体21の第1凹部23A~第8凹部23Hと対面して位置する。
【0054】
図7に示されるように、第2内板体21の凹部23と、これに対応する第2外板体22の凹部27とは、ヘッド空間流路26(空間)を形成する。ヘッド空間流路26は、凹部23と凹部27とによって区画される空間で空間流路を形成する。ヘッド空間流路26は、YZ平面に沿う板状の空間で空間流路を形成する。
【0055】
図2に示されるように、第1凹部23Aと第1凹部27Aとが区画するヘッド空間流路26を第1ヘッド空間流路26Aという。第2凹部23Bと第2凹部27Bとが区画するヘッド空間流路26を第2ヘッド空間流路26Bという。第3凹部23Cと第3凹部27Cとが区画するヘッド空間流路26を第3ヘッド空間流路26Cという。第4凹部23Dと第4凹部27Dとが区画するヘッド空間流路26を第4ヘッド空間流路26Dという。第5凹部23Eと第5凹部27Eとが区画するヘッド空間流路26を第5ヘッド空間流路26Eという。第6凹部23Fと第6凹部27Fとが区画するヘッド空間流路26を第6ヘッド空間流路26Fという。第7凹部23Gと第7凹部27Gとが区画するヘッド空間流路26を第7ヘッド空間流路26Gという。第8凹部23Hと第8凹部27Hとが区画するヘッド空間流路26を第8ヘッド空間流路26Hという。
【0056】
第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、X方向に相互に離間して並んで配置される。
【0057】
熱交換チューブ30は、アルミニウム、アルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。熱交換チューブ30は、偏平管状に形成される。すなわち、熱交換チューブ30は、Z方向の寸法に比べてY方向の寸法が大きい。熱交換チューブ30の、長さ方向に直交する断面(YZ断面)の形状は、長円形状である。熱交換チューブ30は、X方向に延在する。熱交換チューブ30の内部には、冷媒流路34が形成される(図5参照)。冷媒流路34は、熱交換チューブ30の全長にわたって形成されている。
【0058】
複数の熱交換チューブ30の少なくとも一部は、Z方向に間隔をおいて並列配置される。熱交換チューブ30の+X方向の端部は、第1ヘッダ10に形成された差込部41に挿入される(図5参照)。これにより、熱交換チューブ30の冷媒流路34の+X方向の端部は、第1ヘッダ10のヘッド空間流路16の内部に開口する。そのため、ヘッド空間流路16は、熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0059】
熱交換チューブ30の-X方向の端部は、第2ヘッダ20に形成された差込部45に挿入される(図7参照)。これにより、熱交換チューブ30の冷媒流路34の-X方向の端部は、第2ヘッダ20のヘッド空間流路26の内部に開口する。そのため、ヘッド空間流路26は、熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0060】
第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と、熱交換チューブ30との隙間は、ロウ付け等により封止される。ロウ付けの具体的な手順は以下の通りである。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の内面にロウが塗布される。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20に熱交換チューブ30が挿入されて、熱交換器4が組み立てられる。組み立てられた熱交換器4が、炉内で加熱される。加熱により、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の内面のロウが溶融する。溶融したロウは、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と熱交換チューブ30との隙間を塞ぐ。熱交換器4が冷却されて、ロウは固化する。これにより、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と、熱交換チューブ30とが固定される。
【0061】
上下に隣り合う熱交換チューブ30の間には、Y方向に沿う外気流路が形成される。熱交換器4は、送風ファン(不図示)等により外気流路に外気を流通させる。熱交換器4は、外気流路を流通する外気と、冷媒流路34を流通する冷媒との間で熱交換させる。熱交換は、熱交換チューブ30を介して、間接的に行われる。
【0062】
図1に示される冷凍サイクル装置1が冷房運転を行うとき、室外熱交換器4は凝縮器として機能する。この場合には、圧縮機2から流出した気体冷媒が、室外熱交換器4に流入する。
図2に示されるように、冷媒は、第1冷媒ポート51および第2冷媒ポート52から、第1ヘッダ10の内部に流入する。第1冷媒ポート51から第6ヘッド空間流路16Fに流入した冷媒は、熱交換チューブ30(30F)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第5ヘッド空間流路26Eの下部に流入する。冷媒は、第5ヘッド空間流路26Eの上部から、熱交換チューブ30(30D2)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第4ヘッド空間流路16Dの下部に流入する。冷媒は、第4ヘッド空間流路16Dの上部から、熱交換チューブ30(30D1)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第3ヘッド空間流路26Cの下部に流入する。
【0063】
冷媒は、第3ヘッド空間流路26Cの上部から、熱交換チューブ30(30B2)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第2ヘッド空間流路16Bの下部に流入する。冷媒は、第2ヘッド空間流路16Bの上部から、熱交換チューブ30(30B1)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第1ヘッド空間流路26Aの下部に流入する。冷媒は、第1ヘッド空間流路26Aの上部から、熱交換チューブ30(30A1)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第1ヘッド空間流路16Aに流入する。冷媒は、第1ヘッド空間流路16Aから、熱交換チューブ30(30A2)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第2ヘッド空間流路26Bの上部に流入する。冷媒は、第2ヘッド空間流路26Bの下部から、熱交換チューブ30(30C1)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第3ヘッド空間流路16Cに流入する。冷媒は、第3ヘッド空間流路16Cから、第3冷媒ポート53を通して流出する。
【0064】
第2冷媒ポート52から第7ヘッド空間流路16Gに流入した冷媒は、熱交換チューブ30(30G)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第7ヘッド空間流路26Gの上部に流入する。冷媒は、第7ヘッド空間流路26Gの下部から、熱交換チューブ30(30I1)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第9ヘッド空間流路16Iに流入する。冷媒は、第9ヘッド空間流路16Iから、熱交換チューブ30(30I2)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第8ヘッド空間流路26Hの下部に流入する。冷媒は、第8ヘッド空間流路26Hの上部から、熱交換チューブ30(30H2)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第8ヘッド空間流路16Hの下部に流入する。
【0065】
冷媒は、第8ヘッド空間流路16Hの上部から、熱交換チューブ30(30H1)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第6ヘッド空間流路26Fの下部に流入する。冷媒は、第6ヘッド空間流路26Fの上部から、熱交換チューブ30(30E2)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第5ヘッド空間流路16Eの下部に流入する。冷媒は、第5ヘッド空間流路16Eの上部から、熱交換チューブ30(30E1)を-X方向に流れ、第2ヘッダ20の第4ヘッド空間流路26Dの下部に流入する。冷媒は、第4ヘッド空間流路26Dの上部から、熱交換チューブ30(30C2)を+X方向に流れ、第1ヘッダ10の第3ヘッド空間流路16Cに流入する。冷媒は、第3ヘッド空間流路16Cから、第3冷媒ポート53を通して流出する。
【0066】
気体冷媒は、熱交換チューブ30を流通する過程で外気に放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は液体冷媒となって、第3冷媒ポート53から熱交換器4の外部に流出する。
図1に示される冷凍サイクル装置1が暖房運転を行うとき、冷媒は上記と逆方向に流通する。つまり、液体冷媒は、第3冷媒ポート53から第3ヘッド空間流路16Cに流入し、気液二相冷媒が第1冷媒ポート51および第2冷媒ポート52から流出する。
【0067】
実施形態の熱交換器4では、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20に、凹部13,17,23,27によって、冷媒が流通するヘッド空間流路16,26が形成されている(図5および図7参照)。そのため、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の構造を簡略にすることができる。よって、小型かつ軽量の熱交換器4が得られる。
第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、板体で構成されているため、円筒形状のヘッダに比べ、小型化および軽量化が可能である。よって、熱交換器4は、小型化および軽量化を図ることができる。熱交換器4は、小型かつ軽量であるため、室外機等の筐体への収納性の点でも優れている。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、過不足のない冷媒の流通が可能なヘッド空間流路16,26を設計できるため、冷媒使用量を抑制できる。
【0068】
第1比較形態として、円筒形状のヘッダを用いた熱交換器を想定する。この熱交換器は、外径が大きいヘッダが用いられるため、小型化および軽量化は難しい。特に、熱交換効率を高めるために扁平形状の熱交換チューブを用いる場合、外径が大きいヘッドが必要となり、小型化および軽量化は難しくなる。円筒形状のヘッダでは、内部空間が大きくなり、冷媒使用量が多くなる可能性がある。
【0069】
第2比較形態として、ヘッダを備えていない熱交換器を想定する。この熱交換器は、ストレート部分と湾曲部分とが交互に形成された、蛇行形態の熱交換チューブが用いられる。扁平形状の熱交換チューブを用いる場合、湾曲部分では、座屈防止のため曲率半径を大きくする必要があり、熱交換器の小型化は難しい。湾曲部分にのみ円管状の熱交換チューブを用いれば曲率半径を小さくできる。しかし、その場合には、扁平形状の熱交換チューブと円管状の熱交換チューブとを接続する機構が必要となるため、小型化は容易でない。
【0070】
実施形態の熱交換器4では、第1ヘッダ10に、冷媒の導入口を有する冷媒ポート51,52と、冷媒の導出口を有する冷媒ポート53とが設けられる(図2参照)。熱交換器4は、冷媒ポート51~53がいずれも第1ヘッダ10に設けられるため、冷媒ポートが2つのヘッダに分散して設けられる場合に比べて、小型化が可能である。よって、熱交換器4は、筐体への収納性の点で優れている。
【0071】
図8は、第1変形例の第1ヘッダ10AのXZ平面に沿う断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1ヘッダ10Aは、第1内板体11(図5参照)に代えて第1内板体111が用いられる。第1ヘッダ10Aでは、第1外板体12(図5参照)に代えて第1外板体112が用いられる。
【0072】
第1内板体111は、板体主部113と、被覆層114とを備える。例えば、板体主部113は、アルミニウムを含む材料(アルミニウム、アルミニウム合金等)で構成される。被覆層114は、板体主部113の外面113b(第2主面)に設けられている。外面113bは、第1外板体112に対向する第1主面111aとは反対の面である。被覆層114は、Znを含む金属材料で構成される。例えば、被覆層114は、7000系のアルミニウム合金で構成される。被覆層114のZn含有量(含有率)は、板体主部113のZn含有量(含有率)より高い。
【0073】
第1外板体112は、板体主部115と、被覆層116とを備える。例えば、板体主部115は、アルミニウムを含む材料(アルミニウム、アルミニウム合金等)で構成される。被覆層116は、板体主部115の外面115b(第2主面)に設けられている。外面115bは、第1内板体111に対向する第1主面112aとは反対の面である。被覆層116は、Znを含む金属材料で構成される。例えば、被覆層116は、7000系のアルミニウム合金で構成される。被覆層116のZn含有量(含有率)は、板体主部115のZn含有量(含有率)より高い。
【0074】
第1内板体111および第1外板体112は、予めZnを含む被覆層を形成したクラッド材(積層板材)を用いて作製することができる。被覆層は、溶射により形成することもできる。
第2ヘッダについても、第1ヘッダ10Aと同様に、被覆層を有する板体を用いることができる。
【0075】
この熱交換器では、板体111,112が被覆層114,116を有するため、第1ヘッダ10Aの耐食性を高めることができる。
【0076】
図9は、第2変形例の第1ヘッダ10BのXZ平面に沿う断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図9に示されるように、第1ヘッダ10Bは、第1内板体11(図5参照)に代えて第1内板体211が用いられる。第1ヘッダ10Bでは、第1外板体12(図5参照)に代えて第1外板体212が用いられる。
【0077】
第1内板体211は、板体主部213と、低融点層214とを備える。例えば、板体主部213は、アルミニウムを含む材料(アルミニウム、アルミニウム合金等)で構成される。低融点層214は、板体主部213の内面213a(第1主面)に設けられている。低融点層214は、Siを含む金属材料で構成される。例えば、低融点層214は、4000系のアルミニウム合金で構成される。低融点層214のSi含有量(含有率)は、板体主部213のSi含有量(含有率)より高い。低融点層214の構成材料の融点は、板体主部213の構成材料の融点より低い。
【0078】
第1外板体212は、板体主部215と、低融点層216とを備える。例えば、板体主部215は、アルミニウムを含む材料(アルミニウム、アルミニウム合金等)で構成される。低融点層216は、板体主部215の内面215a(第1主面)に設けられている。低融点層216は、Siを含む金属材料で構成される。例えば、低融点層216は、4000系のアルミニウム合金で構成される。低融点層216のSi含有量(含有率)は、板体主部215のSi含有量(含有率)より高い。低融点層216の構成材料の融点は、板体主部215の構成材料の融点より低い。
【0079】
第1内板体211および第1外板体212は、予めSiを含む低融点層を形成したクラッド材(積層板材)を用いて作製することができる。低融点層は、板体主部に、低融点材料で構成されるクラッドシートを積層することにより形成してもよい。
第2ヘッダについても、第1ヘッダ10Bと同様に、低融点層を有する板体を用いることができる。
【0080】
この熱交換器では、低融点層214,216は、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20と、熱交換チューブ30との隙間を封止するロウとして機能するため、ロウ付けの作業が容易となる。
【0081】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の熱交換器における第1ヘッダ10CのXZ平面に沿う断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示されるように、第1ヘッダ10Cは、第1内板体11(図5参照)と第1外板体12(図5参照)との間に、中間板体313が積層されている。例えば、中間板体313は、アルミニウムを含む材料(アルミニウム、アルミニウム合金等)で構成される。中間板体313は、X方向から見て凹部13,17に重なる差込部314が形成されている。凹部13,17と、差込部314とは、ヘッド空間流路316を形成する。
第2ヘッダについても、第1ヘッダ10Cと同様に、第2内板体と第2外板体との間に中間板体が積層された構成を採用することができる。
【0082】
第2の実施形態の熱交換器では、中間板体313を備えた第1ヘッダ10Cを備えるため、ヘッド空間流路316の設計の自由度を高めることができる。例えば、ヘッド空間流路316のX方向寸法を大きくすることによって、ヘッド空間流路316の容積を大きくできる。
【0083】
図11は、第3変形例の第1ヘッダ10DのXZ平面に沿う断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図11に示されるように、第1ヘッダ10Dは、第1外板体12(図5参照)に代えて、平板状の第1外板体412が用いられている。凹部13と第1外板体412とは、ヘッド空間流路416を形成する。
第1ヘッダ10Dは、平板状の第1外板体412が用いられているため、構造が簡略である。よって、小型化、低コスト化などの点で有利となる。
【0084】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ヘッダに、凹部によって、冷媒が流通する空間が形成されるため、ヘッダの構造を簡略にすることができる。よって、小型かつ軽量の熱交換器が得られる。ヘッダは、板材で構成されているため、円筒形状のヘッダに比べ、小型化および軽量化が可能である。よって、熱交換器は、小型化および軽量化を図ることができる。熱交換器は、小型かつ軽量であるため、室外機等の筐体への収納性の点でも優れている。ヘッダは、過不足のない冷媒の流通が可能な空間を設計できるため、冷媒使用量を抑制できる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 冷凍サイクル装置
4 室外熱交換器(熱交換器)
10 第1ヘッダ(ヘッダ)
11,111,211 第1内板体(板体)
11a 第1主面
12,112,212 第1外板体(板体)
12a 第1主面
13,23,17,27 凹部
20 第2ヘッダ
21 第2内板体(板体)
21a 第1主面
22 第2外板体(板体)
22a 第1主面
30 熱交換チューブ
34 冷媒流路
113b 外面(第2主面)
115b 外面(第2主面)
313 中間板体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11