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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045473
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】流体送達アライメントシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61M11/00 K
A61M11/00 300Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017684
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2020530664の分割
【原出願日】2018-12-07
(31)【優先権主張番号】62/596,668
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/613,908
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/653,446
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(72)【発明者】
【氏名】クィンタナ、レイナルド
(72)【発明者】
【氏名】パランカー、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルメンクランツ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】イブリ、エフド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自己アライメントシステムを有する眼の表面への流体送達装置を提供する。
【解決手段】眼の表面への流体送達のための装置は、リザーバ及び1以上の開口部を有する流体パッケージと、リザーバから1以上の開口部を介して流体を噴出するように構成されたアクチュエータ構成要素と、1以上の開口部を介して噴出された流体を、ユーザの眼の標的部位にアライメントするように構成された画像ベースの自己アライメントシステムと、を含む。流体送達の用途で装置を使用する方法、及び、装置の構成要素を含むキットも提供される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの眼の標的部位への流体の自己投与のための装置であって、
(a)1以上の開口部を備えたリザーバを含む流体送達パッケージと、
(b)前記リザーバから、1以上の開口部を介して前記流体を前記標的部位に噴出する
ように構成されたアクチュエータと、
(c)前記ユーザによる、前記1以上の開口部の前記標的部位への自己アライメントを
可能にするように構成された画像ベースのアライメントシステムと、を含むことを特徴と
する装置。
【請求項2】
ユーザの眼の標的部位への流体の自己投与のための装置であって、
(a)1以上の開口部を備えたリザーバを含む流体送達パッケージと、
(b)前記リザーバから、前記1以上の開口部を介して前記流体を前記標的部位に噴出
するように構成されたアクチュエータと、
(c)凹面鏡であって、前記凹面鏡における前記ユーザの同一の前記眼によって観察さ
れる前記眼の画像の焦点を合わせ、前記画像を中央に配置することによって、前記装置の
前記標的部位への自己アライメントを可能にするように構成された、該凹面鏡と、を含む
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記凹面鏡が、前記流体が前記標的部位に送達されるための開口部を備えることを特徴
とする装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の装置であって、
前記凹面鏡が球面鏡であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記球面鏡が、10~100mmの範囲の焦点距離を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
ユーザの眼の上の標的部位への流体の自己投与のための装置であって、
(a)1以上の開口部を備えたリザーバを含む流体送達パッケージと、
(b)前記リザーバから、1以上の開口部を介して前記流体を前記標的部位に噴出する
ように構成されたアクチュエータと、
(c)鏡、及び、前記鏡における前記ユーザの同一の前記眼によって観察された前記眼
の画像の焦点を合わせ、前記画像を中央に配置することによって、前記装置の前記標的部
位への自己アライメントを可能にするように構成されたレンズと、を含むことを特徴とす
る装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1項に記載の装置であって、
前記鏡は、10~15mmの範囲の直径を有することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の装置であって、
前記アクチュエータは、前記流体送達パッケージ内の前記流体に圧力のサイクルを生成
することにより、前記1以上の開口部を介して前記リザーバから前記流体を噴出するよう
に構成されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置であって、
前記アクチュエータは圧電アクチュエータであることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の装置であって、
前記装置は、前記標的部位を照らすための光源を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の装置であって、
前記装置は、ハウジングをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記ハウジングは、前記ハウジングに沿って配置されたカバーを備え、
前記カバーは、前記1以上の開口部が露出している開位置と、前記1以上の開口部が露
出していない閉位置との間で構成可能であることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の装置であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の距離を判定するように構成された距離セ
ンサをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあると
きに信号を提供するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項15】
ユーザの眼の上の標的部位へ流体を自己投与する方法であって、
(a)前記ユーザの同一の前記眼によって観察された前記眼の画像の焦点を合わせ、前
記画像を中央に配置することによって、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置を前
記標的部位にアライメントするステップと、
(b)リザーバから1以上の開口部を介して前記流体を前記標的部位に噴出するために
、アクチュエータを作動させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
米国特許法第119条に準じて、本出願は、2017年12月8日に出願された米国仮
特許出願第62/596,668号、2018年1月5日に出願された米国仮特許出願第
62/613,908号、及び2018年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/
653,446号の優先権を主張し、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組み
入れられる。
【背景技術】
【0002】
典型的な医療用点眼器は、通常、容積約50μLの1滴の点滴薬を投与する。しかしな
がら、人間の眼は通常、角膜表面に7μLの流体のみしか保持できないので、滴下量が大
きくなると、眼の表面からほとんどの薬剤が溢れて失われる。さらに、30μLまたは5
0μLなどの大容積の滴を滴下すると、まばたき反射によって、送達された流体の大部分
が角膜から除去され、不快感が原因で服薬コンプライアンスが不良になる。
【0003】
米国特許第5,630,793号及び米国特許第8,684,980号(参照によりそ
の全体が本明細書に組み入れられる)は、液滴を眼に送達するための圧電作動液滴発生器
を備えた、薬物を眼に送達する液滴生成装置を開示している。これらの装置は、眼の表面
に液滴を分配するための圧電流体エジェクタを組み込んでいる。このようなエジェクタ機
構は、ユーザが定期的に補充し得る流体リザーバに、一体的に結合されている。しかしな
がら、補充は細菌汚染のリスク及び眼感染症のリスクを伴う。一般に、特に眼科用の薬物
充填は、ユーザが一般的に利用できない厳しく管理された無菌環境で処理されなければな
らない。
【0004】
従来技術に記載されているようなエアロゾルまたはジェット送達に関連する別の問題は
、エアロゾルストリームを眼の表面に導くユーザの能力である。投与装置と眼がずれると
、投薬が不正確になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、例えば、視覚的なアライメントに使用される、ユーザによる眼への流
体送達の自己投与を可能にするように構成された、アライメントシステムを有する流体送
達装置を含む。流体送達装置は、リザーバ及び1以上の開口部を備えた流体パッケージと
、リザーバから1以上の開口部を介して流体を噴出するように構成されたアクチュエータ
と、1以上の開口部を介して噴出された流体を標的部位にアライメントするように構成さ
れた画像ベースのアライメントシステムと、を含む。いくつかの例では、画像ベースのア
ライメントシステムは、鏡システムにおいてユーザの同一の眼によって観察された眼の画
像の焦点を合わせ、画像を中央に配置することによって、1以上の開口部の標的部位への
自己アライメントを可能にするように構成された鏡システムを含む。流体送達の用途で装
置を使用する方法、及び、装置の構成要素を含むキットも提供される。
【0006】
いくつかの例では、本発明は、例えば眼の角膜または結膜組織のような、眼の部位など
の標的部位に流体を噴出する装置を提供する。装置の実施形態は、有利には、圧電トラン
スデューサなどのアクチュエータに容易に取り付け及び取り外しできる分配ノズルを備え
た使い捨ての無菌薬物アンプルなどの薬物パッケージを利用し、これにより、補充の必要
性及び細菌汚染の可能性を軽減する必要性を排除し、さらなる操作のためにアクチュエー
タを再使用することによって費用効果の高いアプローチを提供する。本発明の実施形態は
、作動前に、液体ストリームの送達、及び、当該ストリームを眼の部位などの標的部位に
アライメントすることにより好都合かつ正確な投与を確実にする機構をさらに提供する。
驚くべきことに、単一のストリームの送達は、眼への不快感を低減し、したがって、同一
の総容積を有するミストまたは小さな液滴の分布の送達よりも好都合であることが分かっ
た。ミストまたはスプレーとは異なり、単一のストリームは、眼の角膜または結膜組織な
どの特定の部位を標的とするように正確に方向付けられ得る。この特性は、主に、ストリ
ームの空気力学的挙動に起因する。具体的には、ミストの送達には乱流が含まれており、
ストリームが空気中を伝播して標的領域により正確に到達する間に、標的からの液滴の発
散を引き起こす。
【0007】
本発明の実施形態に関して、眼の用途のための流体送達アライメントシステムが開示さ
れ、装置は、焦点面を画定する湾曲形状を有する反射面を備えていてもよく、反射面は、
1以上の開口部を有していてもよい。システムはまた、1以上の開口部とアライメントさ
れた、1以上の開口部から流体を放出するように構成された流体送達アセンブリを含んで
いてもよく、システムは、1以上の開口部を介して、焦点面に近接して配置された標的に
向かって流体を放出するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
このように本発明の一般的な性質、並びにその特徴及び利点のいくつかを要約したので
、以下の図を参照する本明細書の詳細な説明から、特定の好ましい実施形態及びその変更
が当業者に明らかになるであろう。
【0009】
図1】(A)及び(B)よりなり、(A)は圧電クランプアクチュエータ及びアンプルの分解斜視図であり、(B)は圧電クランプアクチュエータ及びアンプルの断面図である。
図2】装置を眼にアライメントするために使用されるレンチキュラープリントシステムを示す図である。
図3】(A)~(C)よりなり、(A)は、アライメントが正確であるときにレンチキュラープリントによって生成される画像である。(B)及び(C)は、アライメントが不正確であるときにレンチキュラープリントによって生成される画像である。
図4A】ユーザの焦点が眼の反射画像に合っているように見えるときに、流体送達アセンブリをユーザの眼に対してアライメントすることを容易にするアライメントシステムを示す図である。
図4B】流体が、虹彩の中心視線軸に対して軸外に、またはある角度で噴出される変形例を示す図である。
図4C】流体が、虹彩の中心視線軸に対して軸外に、またはある角度で噴出される変形例を示す図である。
図4D】流体が、虹彩の中心視線軸に対して軸外に、またはある角度で噴出される変形例を示す図である。
図4E】光学アライメントシステムの別の変形例を示す図である。
図5】(A)~(C)よりなり、流体送達のために、ユーザの眼がアセンブリに対して適切に配置されているときのアセンブリの側面図及び正面図を示している。(C)は、鏡の曲率半径が(B)よりも比較的小さく、反射している眼の画像が(B)よりも高倍率で現れているアセンブリの正面図を示している。
図6】アセンブリの斜視図である。
図7】(A)及び(B)よりなり、保護カバー機能を有するアセンブリの実施形態の正面図及び側面図を示している。
図8】凹面鏡の周囲にリングLED及びIR距離センサを有する流体送達装置の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の態様は、例えば、ユーザの眼への、ユーザによる流体の自己投与を可能にする
ように構成された、アライメントシステムを有する流体送達装置を含む。流体送達装置は
、リザーバ及び1以上の開口部を備えた流体パッケージと、リザーバから1以上の開口部
を介して流体を噴出するように構成されたアクチュエータ構成要素と、1以上の開口部を
介して噴出された流体を標的部位にアライメントするように構成された画像ベースのアラ
イメントシステムと、を含む。いくつかの例では、画像ベースのアライメントシステムは
、鏡システムにおいてユーザの同一の眼によって観察された眼の画像の焦点を合わせ、画
像を中央に配置することによって、1以上の開口部の標的部位への自己アライメントを可
能にするように構成された鏡システムを含む。流体送達の用途で装置を使用する方法、及
び、装置の構成要素を含むキットも提供される。
【0011】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず
、そのため、当然のことながら、変更され得ることが理解されるべきである。本発明の範
囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、
特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図するものではないことも理解
されるべきである。
【0012】
値の範囲が提供されている場合、文脈上そうではないと明確に指示されない限り、その
範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの中間値、及び、その明言された
範囲内の、その他の記載される値または中間値は、本発明の範囲内に含まれることが理解
されるべきである。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、より小さな範囲内に独立
して含まれてもよく、また、記載された範囲内での具体的に除外された限定を条件として
、本発明に包含される。記載された範囲が一方または両方の限定を含む場合、それらの含
まれた限定の一方または両方を除外した範囲も、本発明に包含される。
【0013】
本明細書では、特定の範囲は、「約」という用語が前に付いた数値で示されている。本
明細書では、「約」という用語は、その用語が先行する正確な数、及び、その用語が先行
する数に近い、または略近い数を文字通りサポートするために使用される。数が具体的に
列挙された数に近いか、または略近いかを決定する際、列挙されていない近い数または略
近い数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な均等物を提
供する数であり得る。
【0014】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発
明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明
細書に記載されているものと同様または同等の方法及び材料も、本発明の実施または試験
に使用され得るが、代表的な例示的方法及び材料を本明細書で説明する。
【0015】
本明細書で引用されたすべての出版物及び特許は、各出版物または特許が参照により組
み入れられていることが具体的かつ個別に示されているように、参照によって本明細書に
組み入れられ、出版物が引用されている、関連の方法及び/または材料を開示及び説明す
るために、参照により本明細書に組み入れられる。いかなる出版物の引用も、出願日より
前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明の効力によってそのような出版物
に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供さ
れた発行日は実際の発行日とは異なる場合があり、個別に確認する必要があり得る。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an
」、及び「the」は、文脈上そうではないと明確に示されない限り、複数の指示対象を
含むことに留意されたい。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草
されてもよいことに留意されたい。したがって、この記述は、クレーム要素の列挙に関連
した「単独」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」制限の使用のた
めの先行基準として機能することを意図している。
【0017】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書で説明及び図示された個々の
実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの
実施形態のいずれかの特徴から容易に分離または組み合わせることができる別個の構成要
素及び特徴を有する。列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または、論理的
に実行可能な他の任意の順序で、実行され得る。
【0018】
本装置及び本方法は、機能的な説明とともに文法的な流動性のために記載されるが、米
国特許法第112条の下で明示的に表現されていない限り、特許請求の範囲は、「手段」
または「ステップ」の限定の構築による何らかの方法で必ずしも限定されると解釈される
べきではなく、均等論という法制定の基礎となる原則の下で特許請求の範囲によって提供
される定義の意味及び均等物の全範囲が認められるべきであり、特許請求の範囲が米国特
許法第112条の下で明示的に表現されている場合には、特許請求の範囲は、米国特許法
第112条の下で完全な法的均等物が認められる。
【0019】
上記で要約したように、画像ベースのアライメントシステムを含む流体送達装置が提供
される。本発明の様々な実施形態をさらに説明する際に、流体送達装置を最初により詳細
に説明した後、装置、及び、装置またはその構成要素を含むキットを使用する様々な方法
を説明する。
【0020】
流体送達装置
【0021】
上記で要約したように、本発明の態様は、対象の眼の標的部位、すなわち標的の眼の部
位などの、対象の標的部位に流体を噴出するように構成された流体送達装置を含む。いく
つかの例では、流体送達装置は、標的の眼の部位などのユーザの標的部位への、ユーザに
よる流体の自己投与を提供するように構成される。したがって、このような実施形態の装
置によって、ユーザは、ヘルスケアの専門家などの別の個人からの支援なしに、ある容積
の流体をユーザの標的部位に投与することができる。
【0022】
流体送達装置の性質は異なっていてもよいが、いくつかの例では、装置は、ハンドヘル
ド装置である。ハンドヘルド装置とは、平均的な成人の人間の手で快適に保持され得る寸
法及び重量の装置を意味する。ハンドヘルド装置のいくつかの例では、装置の最長寸法は
150mm以下、例えば125mm以下(100mm以下を含む)であり、いくつかの例
では5~100mm、例えば10~100mm(例えば50~100mm(70~85m
mなど))の範囲であり、装置の重量は150g以下、例えば125g以下(100g以
下を含む)であり、いくつかの例では10~100g、例えば25~100g(40~1
00gなど)の範囲である。
【0023】
本明細書に記載の流体送達装置は、リザーバ及び1以上の開口部を備えた流体パッケー
ジと、リザーバから1以上の開口部を介して流体を噴出するように構成されたアクチュエ
ータ構成要素と、1以上の開口部を介して噴出された流体を標的部位にアライメントする
ように構成された画像ベースのアライメントシステムと、を含み得る。追加の構成要素が
存在してもよい。これらの各構成要素を、より詳細に説明する。
【0024】
流体パッケージ
【0025】
本発明の装置の流体パッケージ構成要素は、例えば、以下により詳細に説明するように
、ある量の流体を保持し、かつアクチュエータに動作可能に結合されるように構成された
流体コンテナである。コンテナは、任意の好都合な構成を有していてよく、任意の好都合
な材料、例えば、ガラスまたはプラスチックで作られていてよい。コンテナは、単一の送
達投与量または複数の送達投与量を保持するように構成されてもよく、例えば、コンテナ
は、複数の送達投与量を提供するのに十分な量の液体製剤を含む。したがって、コンテナ
が保持するように構成される液体製剤の容積は、いくつかの例では、100μl~10m
l、例えば100~2000μl(120~800μlを含む)の範囲で変更され得る。
コンテナは、例えば、上述のように、ある量の流体を保持するように構成されたリザーバ
構成要素と、使用中にリザーバ構成要素から流体が噴出され得る1以上の開口部とを含む
。所与の流体パッケージが有する開口部の数は変更され得るが、いくつかの例では、開口
部の数は、1~20、例えば1~10(1~5(例えば1~4、1~3、及び1~2)を
含む)の範囲である。いくつかの例では、流体パッケージは単一の開口部を有する。いく
つかの例では、流体パッケージは複数の開口部を有する。所与の開口部の寸法は、必要に
応じて変更されてもよい。いくつかの例では、開口部は、最長寸法、例えば10~500
μ(例えば50~450μ(75~350μなど))の範囲の直径を有し、いくつかの例
では、開口部は80~120μ(80~100μなど)、または150~350μ(例え
ば200~350μ(250~300μなど))の範囲の直径を有する。コンテナは任意
の好都合な構成を有することができるが、いくつかの例では、コンテナは、リザーバを含
むバルブ部分と、例えばアクチュエータに動作可能に結合するように構成され、かつ1以
上の開口部を有するネック部分とを有する。いくつかの例では、流体パッケージは使い捨
てであるように構成される。本発明の実施形態での使用が見出される流体パッケージは、
国際公開WO2018/136618号として公開された国際出願PCT/US2018
/014211号においてさらに説明され、その開示は参照により本明細書に組み入れら
れる。
【0026】
流体パッケージ内に存在する流体は、必要に応じて変更され得る。いくつかの例では、
流体送達パッケージ内に存在する流体は、活性剤の液体製剤である。「薬剤」、「化合物
」、及び「薬物」という用語は、本明細書では互換的に使用され、対象の標的局所部位へ
の投与による対象との接触時に、生理学的効果を有する分子または分子の組み合わせを指
す。液体製剤中に存在し得る活性剤の例には、これらに限定しないが、例えば、以下のも
のが含まれる:抗感染薬(これらに限定しないが、例えば抗生物質、抗ウイルス薬などが
含まれる)、抗炎症剤(これらに限定しないが、例えばステロイド及び非ステロイド系抗
炎症薬(NSAIDS)などが含まれる)、抗アレルギー薬(これらに限定しないが、例
えば抗ヒスタミン薬及び肥満細胞安定剤などが含まれる)、抗真菌薬、血管収縮薬、生物
製剤(例えば、タンパク質、人工タンパク質など)、小分子、麻酔薬、鎮痛薬、眼圧低下
剤(これらに限定しないが、例えばプロスタグランジン類似体、ROK阻害剤、ベータブ
ロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、アルファ作用薬などが含まれる)、潤滑剤(これらに限
定しないが、例えば生理食塩水、ポリマー溶液、プロテオグリカン、グリコサミノグリカ
ン、炭水化物などが含まれる)、散瞳(瞳孔拡張)剤、縮瞳剤(瞳孔収縮剤)、ヨウ素誘
導体など、及び/またはそれらの様々な組み合わせ。説明された装置と共に利用され得る
追加の薬物及び薬剤は、米国特許出願公開第2017/0344714号及び米国特許第
9,087第9,145号にさらに詳細に開示された任意の数の薬剤を含んでいてもよく
、これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、液体製剤中の活性剤の濃度は、約50ng/ml~約50μ
g/ml(例えば、約50ng/ml~約40μg/ml、約30ng/ml~約20μ
g/ml、約50ng/ml~約10μg/ml、約50ng/ml~約1μg/ml、
約50ng/ml~約800ng/ml、約50ng/ml~約700ng/ml、約5
0ng/ml~約600ng/ml、約50ng/ml~約500ng/ml、約50n
g/ml~約400ng/ml、約60ng/ml~約400ng/ml、約70ng/
ml~約300ng/ml、約60ng/ml~約100ng/ml、約65ng/ml
~約85ng/ml、約70ng/ml~約90ng/ml、約200ng/ml~約9
00ng/ml、約200ng/ml~約800ng/ml、約200ng/ml~約7
00ng/ml、約200ng/ml~約600ng/ml、約200ng/ml~約5
00ng/ml、約200ng/ml~約400ng/ml、または約200ng/ml
~約300ng/ml)の範囲である。
【0028】
さらに、活性薬剤、液体製剤は、水性送達ビヒクル、例えば、薬学的に許容される水性
ビヒクルを含み得る。水に加えて、水性送達ビヒクルは、これらに限定しないが、例えば
塩、緩衝液、保存料、溶解促進剤、粘度調整剤、着色剤などを含む複数の異なる構成要素
を含み得る。適切な水性ビヒクルは、滅菌蒸留水または精製水、等張塩化ナトリウムまた
はホウ酸溶液などの等張液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、プロピレングリコール、
及びブチレングリコールなどを含む。他の適切なビヒクル構成要素には、硝酸フェニル水
銀、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びリン酸一ナトリウムが
含まれる。他の適切なビヒクル成分のさらなる例には、アルコール、油脂、ポリマー、界
面活性剤、脂肪酸、シリコーン油、保水剤、保湿剤、粘度調整剤、乳化剤、及び安定剤が
含まれる。組成物はまた、補助物質、すなわち、クロロブタノール、パラバン、または有
機水銀化合物;水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸などのpH調整剤;及びメチルセルロース
などの増粘剤など、の抗菌剤を含んでいてもよい。例示的な最終組成物は無菌であり、本
質的に異物を含まず、患者の快適性及び許容性を可能にするpHを有し、最適な薬物安定
性のために望ましいpHとバランスがとられている。例示的な「薬学的に許容されるビヒ
クル」は、本明細書で使用される「眼科的に許容されるビヒクル」であり、化合物と非反
応性であって、患者への投与に適した任意の物質または物質の組み合わせを指す。例示的
な実施形態では、ビヒクルは、患者の眼への局所適用に適した水性ビヒクルである。様々
な実施形態では、ビヒクルは、抗菌剤、防腐剤、共溶媒、界面活性剤、及び増粘剤を含む
本発明の眼科用組成物における使用に望ましい他の成分をさらに含む。
【0029】
アクチュエータ
【0030】
流体パッケージに加えて、装置は、流体パッケージに動作可能に結合し、かつ、流体パ
ッケージのリザーバから1以上の開口部を介して流体を標的部位に噴出するように構成さ
れたアクチュエータ構成要素をさらに含む。いくつかの例では、アクチュエータは、振動
をコンテナの内容物に伝えるように構成された構成要素であり、振動の振動周波数は変更
され得る。いくつかの例では、振動周波数は超音波周波数であり、いくつかの例では、1
0~1000KHz、例えば20~800KHz(20~35KHzを含む)の範囲であ
る。
【0031】
流体パッケージ、及び、いくつかの例では流体パッケージの外面上のアクチュエータに
よって伝えられる、例えば(上記のような)超音波周波数の振動により、流体パッケージ
によって保持された流体に音圧のサイクルが生成され、1以上の開口部から流体が噴出さ
れる。いくつかの例では、流体は、アクチュエータによって流体パッケージからストリー
ムとして噴出され、ストリームは、液体の連続ストリーム(すなわち、個々の液滴ででき
ていないストリーム)または液体の不連続ストリーム(例えば、個々の液滴のコリメート
ストリーム)であってもよい。ストリームが液体の連続ストリームである場合、ストリー
ムの直径は、いくつかの例では、0.05~0.3mm、例えば0.05~0.2mm(
0.05~0.15mm(0.070~0.130mmなど)を含む)の範囲で変動し得
る。流れが個々の液滴の不連続ストリームである場合、個々の液滴の容積は、いくつかの
例では50~1500pl、例えば100~1000plの範囲で変動し得る。いくつか
の例では、1以上の開口部から標的部位へのストリームの幅の変動が5%以下、例えば2
%以下だけであるように、連続、不連続、または連続成分と不連続成分とを有し得るスト
リームの幅はストリームの長さに沿って実質的に一定であり得る。所与の投与イベント中
のストリーム送達の持続時間は変更されてもよく、所望の送達投与量を提供するように選
択される。いくつかの例では、ストリーム送達の持続時間、すなわち、投与の持続時間は
、10~3000ミリ秒、例えば100~2000ミリ秒(250~1000ミリ秒(4
00~600ミリ秒を含む)など)の範囲である。
【0032】
アクチュエータ構成要素の性質は変更され得るが、いくつかの例では、アクチュエータ
構成要素は、例えば、以下の国際出願番号:国際公開WO2016/115050号とし
て公開された国際出願PCT/US2016/012903号、国際公開WO2016/
164830号として公開された国際出願PCT/US2016/026795号、及び
国際公開WO2018/136618号として公開された国際出願PCT/US2018
/014211号に記載されているように、圧電アクチュエータであり、それらの開示は
参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの例では、アクチュエータは、例えば、
米国仮出願第62/693,818号に開示されるように電磁アクチュエータであり、そ
の開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0033】
アライメントシステム
【0034】
上記で要約したように、本明細書に記載の流体送達装置の実施形態はまた、流体パッケ
ージの1以上の開口部を介して噴出された流体を標的の眼の部位(例えば、以下で詳細に
説明する)などの標的部位にアライメントするように構成された画像ベースのアライメン
トシステムを含む。アライメントシステムは、流体が投与されるべき対象などのユーザが
、1以上の開口部を標的部位にアライメントすることにより、装置の作動時に、噴出され
た流体が標的部位に送達されることが可能になるシステムである。いくつかの例では、ア
ライメントシステムは、例えば、以下により詳細に記載されるプロトコルによって、ユー
ザが装置をアライメントした後、ユーザが装置からの流体を自己投与し得るように構成さ
れる。
【0035】
上記のように、アライメントシステムは画像ベースのアライメントシステムである。「
画像ベースの」アライメントシステムとは、送達部位と標的部位とのアライメントが、ユ
ーザ(例えば、自己投与プロトコル中に流体が送達される対象)による、写真または反射
などの画像の視覚化を含むことを意味する。
【0036】
レンチキュラープリント画像ベースのアライメントシステム
【0037】
いくつかの例では、画像ベースのアライメントシステムは、1以上のレンチキュラープ
リントを含むシステムである。レンチキュラープリントは、1以上のプリントされた画像
と、画像に重なる線形レンズまたは集束要素のアレイとを含み得る。レンズまたは集束要
素の光学特性に起因して、プリントされた画像の一部は、特定の角度からのみ、望ましい
合成可視画像を形成する。一実施形態では、流体送達装置及びレンチキュラープリントは
、画像がユーザから見えるときに、送達装置からのストリームが眼の表面などの標的部位
に到達するように配置される。アライメントシステムは、レンチキュラープリントを含ん
でいてもよく、1対の線形レンズは、第2の1対の線形レンズに対して垂直に配置される
。このようにして、視線すなわち眼の光軸に垂直な2つの軸に対して、回転アライメント
または角度アライメントが行われる。
【0038】
一実施形態では、アライメントシステムは、2組のレンチキュラープリントを含む。1
組のプリントは垂直線形レンズのアレイを有し、第2の組のプリントは水平線形レンズの
アレイを有する。垂直ペアのプリントは互いに所定の距離を置いて配置され、水平ペアの
プリントは互いに所定の距離を置いて配置される。このようにして、所望の画像は、特定
の距離からのみ、かつ、一方向でのみ、ユーザから見える。分配装置及びレンチキュラー
プリントは、所望の画像がユーザから見えるときに、分配装置から放出されるストリーム
が標的の眼の部位などの標的部位に到達するように、それぞれに対して配置関係にある位
置にあってもよい。いくつかの例では、送達装置が標的部位から約50~100mmの位
置に配置されている場合、所望の画像が見える。1つの代替実施形態では、レンズまたは
集束要素は、レンズまたは集束要素のアレイと、1以上のオリフィスに対して所定の距離
及び向きからのみ、画像または特定の所望のパターンを集合的に形成するように設計され
たアレイもしくはパターンを含むか、または該アレイもしくはパターンから形成された画
像形成システムとを有する。
【0039】
上記のような任意の好都合なレンチキュラーシステムが使用され得、そのようなレンチ
キュラーシステムの例には、これらに限定しないが、例えば米国特許第6,065,62
3号、同第8,144,399号、及び国際公開第WO1994020875号に開示さ
れているものが含まれ、これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。レンズ
アレイのシステムは、米国特許出願公開第2015/0276994号、同第2015/
0256730号、同第2015/0036219号、及び同第2015/003518
0号に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0040】
反射面画像ベースのアライメントシステム
【0041】
本発明の流体送達装置に存在し得る別のタイプの画像ベースのアライメントシステムは
、反射面(すなわち、鏡)画像ベースのアライメントシステムであり、そのようなシステ
ムは、1以上の反射面または鏡を含み、いくつかの例では単一の反射面または鏡を含む。
いくつかの例では、反射面は、焦点を画定する湾曲した形状を有する。すなわち、凹面鏡
を含む。
【0042】
通常、鏡で見たときに最もよく見える眼の部分は、虹彩、結膜、強膜(結膜を通る)、
及び角膜である。凹球面鏡の焦点面にある眼の組織は、鏡がその組織から焦点距離(F)
に配置されたときに、焦点が合っているように見える。焦点(P)は、焦点面と鏡の光軸
との交点である。標的領域に流体を送達するための1つの方法は、一般に、湾曲形状を有
する反射面を、反射面における眼の反射の焦点が対象に合っているように見えるまで、眼
の表面に位置する標的領域に近接して配置するステップを含み、反射面によって画定され
る焦点面は、反射の焦点が合っているように見えるときに、眼と一致する。反射面が配置
されると、本方法は、1以上の開口部から流体を放出することによって流体が眼の標的部
位に送達されるように、流体送達アセンブリを作動させるステップを含み得る。
【0043】
いくつかの例では、反射面は、反射面を通る1以上の開口部を画定する。そのようなシ
ステムでは、システムは、1以上の開口部とアライメントされた1以上の開口部から流体
を放出するように構成された流体送達アセンブリを含んでいてもよく、システムは、1以
上の開口部を介し、かつ、焦点に向かって、または焦点に近接して、流体を放出するよう
に構成される。いくつかの例では、流体送達アセンブリは、反射面によって画定される1
以上の開口部とアライメントされた1以上の開口部から流体を放出するように構成され、
これにより、流体は、焦点面に向かって、または焦点面に近接して、標的領域上に送達さ
れる。別の変形例では、対象の眼の標的領域に対して流体送達アセンブリをアライメント
するためのシステムは、一般に、反射面を有する凹面鏡を備えることができ、鏡は、焦点
面と、流体送達のために鏡を通る1以上の開口部とを画定し、流体送達アセンブリは、1
以上の開口部とアライメントした1以上の開口部から流体を放出することにより、流体が
1以上の開口部を通り、焦点面に向かって、または焦点面に近接して噴出されるように構
成される。
【0044】
反射画像アセンブリは、凹面鏡の代わりに、例えば、上記のように、及び以下でより詳
細に説明されるように、ユーザによるアライメントを提供する適切なレンズと結合された
平面鏡を含んでいてもよい。
【0045】
反射面が湾曲しているか平坦であるかに関係なく、アライメントシステムは、標的部位
が眼の表面である自己投与プロトコルにおいて、流体送達装置をアライメントするときに
、標的部位を含む眼の画像にユーザが焦点を合わせ得るように構成されてもよい。このよ
うに、標的の眼の部位を含む同一の眼がユーザに使用され、例えば、眼をアライメントシ
ステムの鏡の焦点を合わせて中央に配置することによって、流体送達装置がアライメント
される。
【0046】
このような画像ベースのアライメントシステムの反射面の寸法は、必要に応じて変更さ
れてもよい。いくつかの例では、反射面は、10~30mmの範囲の最長寸法、例えば直
径を有する。いくつかの例では、寸法は、鏡の中の標的の眼の部位を含む眼全体を、対象
が見ないような寸法である。そのような例では、最長寸法、例えば直径は、10mm、1
1mm、12mm、13mm、14mm、または15mmなどの、10~15mmの範囲
であり得る。
【0047】
ハウジング
【0048】
いくつかの実施形態では、流体送達装置は、例えば上記のような装置の様々な構成要素
が関連付けられるハウジングを含む。ハウジングは、任意の好都合な構成を有していても
よく、いくつかの例では、例えば70~85mmなどの、50~100mmの範囲の最長
寸法を有する。ハウジングは、任意の好都合な形状を有していてもよく、対象の形状には
、装置の容易な取り扱い及び使用を可能にする形状が含まれる。いくつかの例では、ハウ
ジングは、略矩形の直方体形状を有している。ハウジングは、プラスチックまたは金属材
料などの任意の好都合な材料から製造されてもよい。
【0049】
装置の様々な構成要素は、任意の好都合な方法でハウジング構成要素に関連付けられ得
るが、いくつかの例では、流体パッケージ及びアクチュエータ構成要素がハウジング内に
存在し、画像ベースのアライメントシステムの少なくとも一部は、例えばユーザが画像ベ
ースのアライメントシステムを使用中に見ることができるように、ハウジングの表面に関
連付けられている。
【0050】
いくつかの例では、ハウジングは、例えば、装置が使用されていないときに開口部及び
/またはアライメントシステムを覆う可動カバーを含む。カバーは、閉位置と開位置との
間で移動(変位)するように構成されてもよく、カバーを閉位置から開位置に移動させる
と、装置は、流体を送達するために使用され得る構成に移行する。いくつかの例では、カ
バーが閉位置から開位置に移動すると、装置は、非作動(停止)状態から作動状態に移行
し得る。例えば、カバーが閉位置から開位置に移動すると、アクチュエータ構成要素が作
動し得る。
【0051】
照明源
【0052】
いくつかの例では、装置は1以上の照明源を含む。任意の好都合な照明源が使用されて
もよく、そのような光源には、これに限定しないが、例えば発光ダイオード(LED)な
どが含まれる。存在する場合、照明源は、様々な異なる構成をとってもよい。例えば、照
明源は、アライメントシステムなどの、装置の他の構成要素とは異なっていてもよい。あ
るいは、装置の別の構成要素に関連付けられてもよい。例えば、照明源は、装置のアライ
メントシステムに完全に結びついていない場合であっても、少なくとも部分的に結びつい
ているなど、装置のアライメントシステムと関連付けられていてもよい。存在する場合、
照明源は様々な異なる機能を果たしてもよく、例えば、アライメントシステムの反射面の
標的部位を照らし、装置が標的部位とアライメントされていることを示し、装置が標的部
位から所定の距離内にあることを示し、装置が流体を送達する準備ができていることを示
し、流体パッケージ内の流体の量(例えば、完全、部分的に完全、空)などを示す。
【0053】
距離センサ
【0054】
いくつかの例では、装置は、1以上の距離センサを備える。距離センサは、装置と標的
部位との間の距離を判定するように構成された構成要素である。任意の好都合な距離セン
サが存在してもよく、そのようなセンサには、これらに限定しないが、例えば赤外線(I
R)センサ、レーダセンサなどが含まれる。装置が距離センサを含むいくつかの例では、
装置はさらに、装置と標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあるときに、聴
覚信号または視覚信号などの信号を提供するように構成されてもよい。例えば、装置は、
装置が距離センサによって判定された標的部位の所定の範囲内にあるとき、例えば上述の
ように、照明源を作動させるように構成されてもよい。いくつかの例では、装置は、装置
と標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあるときに作動されるように構成さ
れる。上記の実施形態では、所定の範囲は変更されてもよく、いくつかの例では、例えば
10mm~100mmなどの、1mm~250mmの間である。
【0055】
特定の実施形態
【0056】
本発明の流体送達装置の1つの実施形態が図1に示されており、図1の(A)及び(B
)は、流体で満たされたアンプルの内容物をアンプルから直接分配するように構成された
圧電流体噴出装置を示している。図1の(A)及び(B)に示される装置は、アンプルの
内容物を二次分配装置に移す必要性、及び、流体の充填前に分配装置を滅菌する必要性が
ない。この装置は、眼の表面への眼科用溶液の送達(または、いくつかの例では、微細な
エアロゾルの形態の吸入可能な溶液の送達)に特に有用である。この装置は、圧電クラン
プアクチュエータと、分離可能かつ使い捨ての、液体で満たされたアンプルとを備えてい
る。アンプルは、バルブ部分とネック部分とを有する薄壁の熱可塑性パッケージを含む。
アンプルのネック部分の壁には、1以上の開口部が配置されている。圧電クランプアクチ
ュエータは、開口部に隣接するネック部分の周囲をクランプすると同時に、クランプ方向
に振動のサイクルを適用するように構成されている。一般的には、超音波周波数での振動
は、流体内に音圧のサイクルを生成し、これにより、開口部から流体の液滴またはストリ
ームが噴出される。流体で満たされたアンプルは垂直に保持され得るが、流体は水平に、
例えば、液滴の連続ストリーム、不連続な液滴ストリーム、またはそれらの組み合わせで
、噴出される。このようにして、流体が開口部から水平に噴出されている間、流体は、ア
ンプルネックのバルブ部分からネック部分に連続的に供給される。この配向は、眼の表面
への送達及び吸入可能なエアロゾルの送達に特に有用である。有利には、流体は、通常は
コンテナの滅菌を必要とするステップである、コンテナへの流体内容物の移送を必要とす
ることなく、アンプルから直接噴出される。
【0057】
アンプルは、圧電クランプアクチュエータから容易に結合または分離され得る。空の薬
物パッケージまたは流体パッケージが廃棄されることにより、ユーザが薬物を補充する必
要性、及び細菌汚染のリスクがなくなる。流体パッケージは、10ニュートン未満の挿入
力を概して必要とする摩擦嵌合によって、クランプに結合されてもよい。
【0058】
薬物パッケージまたは流体パッケージは、使い捨ての薬物パッケージの外面またはネッ
クに、圧電アクチュエータクランプによって及ぼされる1以上の振動により、微小液滴を
分配するように構成される。薬物パッケージを圧電アクチュエータから分離することがで
き、使用済みのパッケージを処分することができるが、圧電クランプトランスデューサは
、その後、別の薬物または流体パッケージと共に再利用される。本発明は、眼への局所薬
物送達のための費用効果の高いアプローチを提供する。
【0059】
圧電クランプアクチュエータは、ハンドヘルド装置において、または、光学製品もしく
はサングラスなどの眼鏡製品へのアタッチメントとして使用され得る小さなモジュールで
ある。
【0060】
一実施形態では、流体噴出装置は、超音波周波数で振動するように構成された圧電クラ
ンプを備え、分配されるべき流体を含むアンプルをさらに備える。アンプルのネックに伝
達されるクランプアクチュエータによって生成された超音波振動は、流体内の音圧、及び
アンプルの開口部からの液滴の噴出のサイクルを生成する。
【0061】
圧電トランスデューサは、曲げアクチュエータに構造的に接続された2つのクリップ(
jaw)を有するクランプを備えている。曲げアクチュエータは、反対の極性に向けられた
2枚のアクティブな圧電セラミックプレートの積層体を含む。このような曲げアクチュエ
ータは、曲げモードで振動するバイモルフアクチュエータとして一般に知られており、こ
れにより、アンプルのネックに対してクランプが周期的に開閉する。一実施形態では、曲
げアクチュエータは、2つのアクティブ圧電セラミックプレートと2つの圧電セラミック
プレート間の1つの受動プレートインとの積層体を含む。例えば、受動層は、FR-4材
料で作られたプリント基板である。プリント回路基板(PCB)は、圧電セラミッククラ
ンプを駆動及び制御するためのすべての電子回路を含み得る。ピエゾプレートは、リフロ
ーはんだ付け処理によってPCBに取り付けられてもよい。ピエゾプレートへの電気接続
は、PCBの銅パッドを介して行われる。
【0062】
流体の薬物パッケージまたはアンプルは、高密度または低密度のいずれかの熱可塑性ポ
リマー、例えばテレフタレート、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどでできている
。薬物パッケージもしくは流体パッケージ、またはアンプルは、薬物リザーバと、1以上
の開口部とを有する。
【0063】
液滴の容積は、典型的には、例えば100~1000pLの間であり、開口部のサイズ
は、典型的には、例えば10~100ミクロンの間である。アンプル内には眼科用組成物
が存在している。米国特許出願公開第2012/0070467号(その全体が参照によ
り任意の目的で本明細書に組み入れられる)は、本明細書に記載の装置及び方法と共に使
用され得る様々な眼科用組成物及び治療法の例を開示している。
【0064】
例えば、1~10μLという一般的な容積は、まばたきの応答時間、すなわち150ミ
リ秒以内に送達されるべきであるが、必要に応じて最大250ミリ秒まで延長されてもよ
い。一実施形態では、分配装置は1以上の開口部を含むが、典型的には、例えば20未満
の開口部、好ましくは、例えば10未満の開口部、最も好ましくは、単一の開口部を含む
。開口部は、アライメント管の光軸に対して所定のオフセットで配置される。このオフセ
ットにより、眼の光軸に対して、または、瞳孔の中心もしくは虹彩の中心に対して、流体
ストリームが堆積する場所が決定される。典型的には、オフセットは、垂直方向もしくは
水平方向、または、垂直方向及び水平方向の両方で、瞳孔の中心から、例えば、2~20
mmであり得る。
【0065】
薬物パッケージまたは液体パッケージを取り外して交換することができるが、圧電クラ
ンプアクチュエータは別の薬物パッケージと共に再利用することができる。一実施形態で
は、薬物パッケージまたは流体パッケージは、例えば、その開示が参照により本明細書に
組み入れられる国際公開第WO2018/136618号として公開された国際出願PC
T/US2018/014211号、に開示されているように、薬液のパッケージングに
おいて一般に使用される無菌ブローフィルシール処理によって製造される。
【0066】
図1に示される装置は、電気パルスまたは波形を生成して圧電アクチュエータに送信す
るように構成された電子回路をさらに含む。回路は、一般にハーフブリッジドライバチッ
プと2つのMOSFETトランジスタとを有するハーフブリッジドライバからなる。ハー
フブリッジドライバは、入力信号を受信し、一対のMOSFETトランジスタを順番に「
オン」及び「オフ」に駆動するスイッチング出力を送信する。このようにして、ハーフブ
リッジドライバは、低電圧入力信号を、圧電アクチュエータを駆動できる高出力電気パル
スに変換する。回路は、圧電アクチュエータへの入力電圧をブーストするインダクタをさ
らに含み得る。インダクタのインダクタンス及び圧電アクチュエータのキャパシタンスは
、選択された周波数での電気共振で動作するように調整されることが好ましい。ハーフブ
リッジドライバチップに送信された入力信号は、マイクロプロセッサまたはシグナルジェ
ネレータIC(集積回路)によって生成され得る。一実施形態では、ドライバ、トランジ
スタ、及びマイクロプロセッサは、単一の集積回路上に製造される。そのようなICは、
チップオンボード(COB)パッケージング処理を利用して、プリント回路基板(PCB
)に直接取り付けられ、封入されることが好ましい。マイクロエレクトロニクスの分野で
は、COBは回路のサイズを縮小するために使用される。回路の入力電圧は、好ましくは
、例えば5ボルトより低く、より好ましくは、例えば3ボルトより低く、さらにより好ま
しくは、例えば、1.5ボルトより低い。エネルギー源は、任意選択で再充電可能であり
得るコンデンサ、バッテリなどの電源によって提供され得る。前述のように回路が連続し
て「オン」及び「オフ」で駆動されると、流体ストリームは、開口部から個々の液滴とし
て放出される。ただし、インダクタが追加され、回路の電気共振で動作するように調整さ
れると、電気出力は正弦波になり、流体は個々の液滴のない平行な連続ストリームとして
放出される。
【0067】
図1に示される装置に関して、分配装置は、使い捨て、取り外し可能または分離可能な
薬物パッケージまたは流体パッケージを有利に利用するが、圧電アクチュエータまたはト
ランスデューサをその後のさらなる使用のために望ましいように保持し、それによって、
さらなる操作のための圧電アクチュエータまたはトランスデューサの再使用による経済的
かつ費用効果の高いアプローチが提供される。
【0068】
ここで、図1を参照すると、この図は、上記で概して説明された分配装置100の斜視
図及び分解斜視図を示す。分配装置100は、圧電クランプアクチュエータ10と、分離
可能な使い捨ての、流体で満たされたアンプル20とを備える。アンプル20は、バルブ
部分2とネック部分(ネック22)とを含む薄壁の熱可塑性パッケージを有する。ネック
22は、円形の断面形状を有する円筒形状を有する。楕円形などの他の断面形状を有する
ことも可能である。ネック部分の壁には1以上の開口部23が配置されている。圧電クラ
ンプアクチュエータ10は、開口部23に隣接するネック22の円周をクランプすると同
時に、矢印14A、15Aによって示すように、アンプルの壁に対してクランプ方向に振
動のサイクルを適用するように構成される。アンプル(20)のネックの振動により、ネ
ック部分の円形が周期的に楕円形に変形し、ネック22内の流体に音圧のサイクルが発生
し、開口部23から液滴(ストリーム24)が噴出される。一実施形態では、アンプルの
ネック22は、典型的には10ニュートン未満の軽い力で、圧電クランプアクチュエータ
10に挿入される。挿入されると、円筒状のネック22はクランプ(圧電クランプアクチ
ュエータ10)との締まりばめで係合し、アンプルネックへの振動振幅の伝達を容易にす
る。一般に、振動振幅は2ミクロン未満である。
【0069】
図2は、作動前に、分配開口部61を眼の表面または下部結膜の領域にアライメントす
なわち標的化する光学システム600を示す。このようなアライメントにより、全投与量
が眼の表面に到達することが保証される。システムには2組のレンチキュラープリントが
含まれ、第1のペア62A、62Bは破線フレーム(レンチキュラープリント62)で囲
まれ、第2のペア63A、63Bは破線フレーム(レンチキュラープリント63)で囲ま
れている。レンチキュラープリントは、分配開口部61から所定の距離で分配装置に配置
される。レンチキュラープリントには、プリントされた画像と、その画像に重なる線形レ
ンズまたは集束要素のアレイとが含まれる。レンズの光学特性に起因して、プリントされ
た画像の一部は、特定の角度からのみ見える所望の合成画像を形成する。分配装置及びレ
ンチキュラープリントは、画像がユーザから見えるときに、分配ノズル(分配開口部61
)から放出されるストリームが眼の表面に到達するように配置される。アライメントシス
テムは、垂直レンズを含むレンチキュラープリントの第1のペア62A、62Bと、水平
レンズを含むレンチキュラープリントの第2のペア63A、63Bとを含む。このように
して、回転アライメントは、視線すなわち眼65の光軸に対して垂直な2つの軸で達成さ
れる。レンチキュラープリント62、63は、眼に対するプリントの正しい向きに基づい
て見ることができ、また、眼からの距離Dは視野角αの関数であるので、眼からの距離に
も基づいている。このようにして、装置は、ユーザの眼に対して望ましい距離及び方向に
配置され、自己投与のために装置をアライメントすべく、ユーザによって使用され得る(
例えば、標的の眼の部位を含む眼から適切な画像を探すことによって)。
【0070】
図3は、レンチキュラープリントの画像が、装置の向き、及び標的部位を含む眼に対す
る装置の距離に基づいてどのように変化し得るかを示す。図3の(B)及び(C)を参照
すると、装置が眼に対してアライメントされていないか、または眼から正しい距離に配置
されていない場合、典型的には画像71、72などの空隙を有する部分的な画像のみが眼
で見える。対照的に、分配装置が適切にアライメントされ、眼から適切な距離にある場合
、画像73は眼に完全に表れる。画像73は、赤色などの無地の色、または「スマイリー
フェイス」などの正しいアライメントを示す直感的な意味を有する画像であり得る。
【0071】
図4A及び図4Bは、分配ストリームをユーザの眼にアライメントさせるための代替の
装置及び方法を示す。図4A及び図4Bを参照すると、分配装置800は、曲率半径Rを
有する球面鏡などの凹面鏡(鏡805)を備え、これは、鏡の表面からの焦点距離F(F
=R/2)における焦点Pの位置を定義する。鏡の焦点面は光軸に垂直であり、焦点Pで
交差する。鏡805は、形状が球形または非球形であり得、任意の数の材料及び技術を使
用して製造され得る。例えば、鏡805は、鏡805上に堆積し得る噴出流体の除去また
は洗浄を容易にする、鏡ガラス、基板上に重ねられた反射コーティング、任意の数の反射
金属などから製造され得る。
【0072】
鏡805は、分配アンプル(アンプル20)の前面のごく近くに配置されている。鏡8
05は、一実施形態では、流体を眼に送達するために、ストリーム24に対して同軸に配
向され得る小さな開口部806を有する。この実施形態では単一の開口部806が示され
ているが、複数の開口部を鏡805の表面にわたって使用または画定することにより、ト
ランスデューサアセンブリからの流体射出のための1以上の開口部に対応させてもよい。
【0073】
使用中、分配装置800は、眼の可視部分(例えば、角膜、虹彩、強膜、結膜など)が
網膜上に画像化されるように、ユーザの眼にアライメントされる。画像に焦点を合わせる
ために、対象の組織、例えば、標的の眼の部位が鏡805の焦点面(または焦点面の近く
)にあるように、鏡805を配置する必要がある。眼が焦点面に位置しているとき、例え
ば、鏡805から対象の組織、例えば虹彩802までの距離が、鏡805の焦点距離Fに
比較的近いとき、眼の組織は、鏡805からの反射でユーザにはっきりと見える。このよ
うなアライメント方法は、眼に対する角度、眼の横方向の位置、及び、装置から眼までの
距離の設定の両方に関して、ユーザが分配装置を適切にアライメントするのに役立つ。い
ずれも、ユーザが標的の眼の部位を含む眼の瞳孔の画像を鏡の中央に見るとき、及び、そ
のような画像に焦点が合っているように見えるときに、達成される。このアライメント機
構は、鏡の自然な焦点距離を利用し、さらに、反射した眼の拡大を提供するため、特に視
力が低下し得るユーザにとって、アセンブリに対する眼の部位決めが容易になる。
【0074】
鏡の曲率半径が小さくなるほど、焦点が眼により近くなり、この画像化システムの倍率
が相対的に高くなる。例えば、平面鏡(曲率半径が無限大のもの)は、通常、眼から約3
0cmより遠い、眼が自然に焦点を合わせることができる距離でのみ、画像を提供できる
。対象から鏡へ、及び、眼に戻る光の二重通過に起因して、平面鏡から眼への最小距離は
約15cmになる。眼から遠く離れたところに装置を保持するには、適切な標的化を確実
にするために正確な角度アライメントが必要であり、また、放出された流体があまり発散
せずに長い距離を伝播する必要がある。これらの要件の両方を満たすことは難しい。した
がって、焦点面を眼に近付ける凹面鏡を使用することが有利である。最適な距離は、まつ
げに触れることなく装置を保持する便利さによって定義される短い(第1の)端部、及び
、放出された流体の発散によって定義される長い(第2の)端部における直線からの偏向
、及びユーザによる角度アライメントの精度によって変化する。後者は、放出された流体
の許容される側方変位(ミスアライメント)を、エジェクタと標的組織との間の距離で割
った比として定義され得る。装置が標的組織に近いほど、許容されるミスアライメントの
角度が大きくなり、放出された流体が標的領域に当たること、すなわち、ユーザが目標を
達成することが容易になる。1つの変形例において、エジェクタと標的組織(例えば、角
膜)との間の距離の最適な範囲は、例えば20~100mm(10~100mmなど(3
0~60mmを含む))の範囲である。
【0075】
図4Aに示されるように、放出されたストリーム24は、鏡805の主軸803及び/
または虹彩802の中心縦軸と同軸または平行であってもよく、または、図4Bに示すよ
うに虹彩802の中心視線軸からいくらかオフセットしていてもよい。この実施形態では
、開口部806を介して噴出された流体は、噴出された流体が、例えば角膜、結膜などの
中心軸からオフセットした表面領域で同様に眼と接触するように、主軸または虹彩802
の中心縦軸に対して平行な方向に放出され得る。図4Cに示されるさらに別の代替例では
、噴出された流体(ストリーム24)は、中心に位置する開口部806から放出され得る
が、流体は、眼(虹彩802)の主軸に対して角度θで放出され得る。
【0076】
別の変形例では、図4Bに示されるように、鏡805に画定されたアパーチャ及び開口
部806は、主軸803に対して距離807だけオフセットされ得る。したがって、開口
部806は、主軸803から同一の距離だけオフセットされ得る。ストリーム24は、主
軸803と平行な軌道で眼の標的領域に向かって放出され得る。
【0077】
さらに別の変形例では、図4Dに示されるように、鏡805は、開口部806を完全に
省いてもよい。流体送達アセンブリは、鏡805の近位表面の背後に配置されるのではな
く(例えば、使用時の眼の部位に対して鏡805の背後に配置されるのではなく)、鏡8
05に隣接して配置され得る。したがって、流体送達アセンブリの開口部は、例えば、鏡
805に対して上、下、横などに配置され、これにより、流体は、主軸803に対して視
野角αで、眼の表面の標的領域に向かって開口部から放出され得る。
【0078】
さらに別の変形例では、図4Eに示すように、アライメントシステムは、凹面鏡の代替
として、鏡811とレンズ812との組み合わせを含み得る。鏡811は、その反射面8
13に平坦な表面を有する様々な反射材料または表面、例えば金属層を含んでいてもよい
。画定を定義し得るレンズ812の遠位面は、鏡811の反射面813に対して直接配置
されてもよく、鏡811及びレンズ812の両方が、流体が送達される1以上の開口部8
06をそれぞれ画定してもよい。図示のように、レンズの近位面は凸面814であっても
よい。他の変形例では、流体送達アセンブリは、本明細書の他の実施形態で説明されるよ
うに、鏡811及びレンズ812アセンブリに対して配置されてもよい。使用中、光はレ
ンズ812によって屈折され、眼の前部(虹彩802もしくは結膜、または角膜)が網膜
上に結像されるように、鏡811から反射され得る。この構成では、眼から散乱された光
は、鏡811での反射の前後に、レンズ812を2回通過する。
【0079】
流体が、(図4Aに示すように)中心軸に沿って噴出されるか、または(図4B、4C
及び4Dに示すように)中心軸に対してオフセットされて、もしくはある角度で噴出され
るかに関係なく、流体は、流体が任意の数の所定の場所で患者の眼の表面に接触するよう
導かれるように、鏡805に沿って鏡805に隣接する任意の数の場所から放出されるか
、または、虹彩802の縦軸に対して任意の角度で放出される。例えば、流体は、複数の
場所から、または鏡の同一または異なる領域上の1以上の場所からの複数の開口部から、
例えば、経鼻的かつ時間的に同時に放出され得る。さらに、必要に応じて、流体の複数の
ストリームが同時に、連続的に、またはその両方で放出されてもよい。
【0080】
いくつかの例では、鏡805の最適な焦点距離は、例えば、30mm~60mmの範囲
である。したがって、そのような場合、鏡の曲率半径は、例えば、それぞれ60mm~1
20mmの範囲である。鏡の直径は、虹彩の画像が容易に識別され、瞳孔が鏡の中心にア
ライメントされるように選択されてもよい。この目的のために、鏡の直径は、虹彩のサイ
ズよりわずかに大きくてもよく、サイズは、例えば、15mm~30mmの範囲であり得
る。あるいは、鏡の直径は、眼の一部のみの画像を提供するように選択されてもよく、こ
のような場合には、11mm~15mmの範囲、例えば13mmであってもよい。
【0081】
図5及び図6に示すように、鏡805は、装置のハウジングの一部であってもよく、ポ
リカーボネートなどの透明なプラスチックで作製され、反射金属層を含む。
【0082】
既に開示されているように、アライメント機構は、鏡の固有の焦点距離を利用し、さら
に、反射された眼の拡大を提供して、アセンブリに対する眼の位置決めを容易にする。鏡
の反射において見られる眼の画像のサイズは、鏡805の曲率半径に依存する。鏡805
の曲率半径が小さいと、鏡805を見ているユーザには眼の反射が大きく見え、逆もまた
同様である。この一例が、図5の(B)及び(C)に示されており、図5(B)の鏡80
5の曲率半径は、例えば、60mmであるが、図5(C)の鏡の曲率半径は、例えば、3
0mmである。その結果、反射された画像のサイズは、図5(C)では比較的大きく見え
る。したがって、鏡のサイズだけでなく、曲率半径も、反射される画像の望ましいサイズ
に応じて変更され得る。
【0083】
一実施形態では、鏡805は、患者が見たときに円形の形状を有するようなサイズであ
ってもよく、患者の眼または虹彩の反射画像は、図5に示すように鏡805内でフレーム
化される。他の変形例では、鏡は、アセンブリに対して適切に配置されると、眼または虹
彩が見える限り、見たときに、例えば楕円形、正方形、三角形などの他の形状を有するよ
うに構成されてもよい。これは、標的部位を含む眼が開口部806に対して適切に配置さ
れ、噴出された流体が患者の眼に適切に投与されるというユーザへのインジケータとして
実装され得る。さらに、鏡805はまた、任意選択で、アセンブリに対する患者の虹彩の
位置決めをさらに容易にするために、標的またはレチクルなどの、図5(B)及び図6
示されるマーカまたはグラデーション810の任意の構成を含んでいてもよい。マーカま
たはグラデーション810は、鏡の表面に焦点が合っていない場合にはユーザには見えな
いが、ユーザの眼に対する初期配置を容易にするために任意選択で含まれていてもよい。
【0084】
さらに別の実施形態では、ハウジングアセンブリ900の例が図7の(A)及び(B)
の正面図及び側面図に示されており、ハウジング902の本体には、ハウジング902の
上または周囲に1以上の把持面904が組み込まれていてもよい。ハウジングアセンブリ
900は、ユーザが片手で快適に装置を保持及び操作できるようにすることによって、ユ
ーザが片眼または両眼などの対象の組織標的に対して装置を保持及び/または配置するこ
とを容易にするフォームファクタを有する。したがって、ハウジングアセンブリ900は
、圧電アクチュエータ及びアクチュエータコントローラ、並びにアンプル、アライメント
アセンブリなどのアクチュエータアセンブリ906の様々な構成要素を包含及び/または
封入していてもよい。
【0085】
このように画定された把持面904によって、流体が噴出される1以上の開口部は、流
体が通過する装置に沿って画定された開口部908、スロット、またはスリットとアライ
メントして配置され得る。さらに、アセンブリは、開示されたアライメント機構のいずれ
かを組み込んでいてもよい。この変形例では、1以上の開口部に近接した開口部908、
スロット、またはスリットを鏡910が画定するアセンブリに、このような機構がどのよ
うに組み込まれているかを示すように、鏡910(アライメント鏡)が図示されている。
鏡910、または他のアライメント機構のいずれかがハウジングアセンブリ900に組み
込まれ、ユーザが1以上の開口部を標的組織領域に自己アライメントし、治療のための流
体送達を行うことができるように使用されてもよい。
【0086】
前述のように、1以上の開口部のサイズ、向き、及び/または場所は異なっていてもよ
い。さらに、複数の開口部及び/または開口部の幾何学的形状(流体の「平面」を作成す
るためのスリットなど)が、必要に応じて組み込まれてもよい。
【0087】
また、ハウジング902には、ボタン、スイッチ、または流体の分配を開始するための
他の作動機構などのアクチュエータ912が組み込まれていてもよい。この実施形態では
、アクチュエータ912は、ユーザが使用中にアクチュエータ912を押すことができる
ように、ハウジング902の上に配置されたボタン型で示されているが、アクチュエータ
912は、ハウジング902に沿った他の場所に配置されてもよい。追加的に、及び/ま
たは任意選択で、開口部908は、例えばアクチュエータ912を作動させることによっ
て、作動されたときに開閉し得るシャッターまたは他のカバーを組み込んでいてもよい。
【0088】
ハウジングアセンブリ900の別の構成要素は、移動方向918によって示されるよう
に、閉位置と開位置との間で移動され得るカバー要素914を含んでいてもよい。その閉
位置では、カバー要素914は、アライメント機構及び開口部を、部分的にまたは完全に
、覆うかまたは塞ぎ、かつ、任意選択でアセンブリを停止させて、流体の分配を防止し得
る。その開位置では、アライメント機構及び開口部は、使用のために塞がれず、アセンブ
リは、流体を分配するために作動または電力供給され得る。
【0089】
この変形例では、カバー要素914は、チャネルまたは溝916内で移動され得る摺動
カバーとして構成される。図示のように、カバーをその開位置に摺動させると、鏡910
、開口部908、及び1以上の開口部が露出し、装置の電源も入る。カバーをその閉位置
に摺動させると、カバーが鏡910、開口部908上を摺動し、さらにアセンブリを停止
させる。カバーは摺動機構として示されているが、他の変形例は、回転カバー、または、
別個もしくは結合された構造として完全に取り外され得るカバーを組み込んでいてもよい
。さらに、使用中、カバー要素914は親指置きとしても機能し、患者は自分の親指を頬
の支えとして用いて、使用中に装置を安定させてアライメントすることができる。
【0090】
図8は、本発明による流体送達装置の別の実施形態の図を提供する。図8に示されるよ
うに、装置1000は、摺動カバー1020を有するハウジング1010を含む。ハウジ
ング内には、例えば上記のような流体送達パッケージ及びアクチュエータが存在する。図
示されるように、装置1000は、ハウジングの上部にアクチュエータボタン1030を
有する。装置はまた、上記のような凹面鏡画像ベースのアライメントシステム1040を
含み、凹面鏡1050は、開口部から噴出された流体が流体送達中に流れる開口部106
0を有する。凹面鏡1050の周囲または境界には、円形LED1070が設けられてい
る。IRセンサ1080も図示されている。
【0091】
方法
【0092】
上記で要約したように、本開示の態様は、対象の眼の部位などの標的部位に活性剤を投
与する方法を含む。標的の眼の部位とは、角膜の領域、結膜の領域、角膜構成要素と結膜
構成要素との両方を含む領域などの、眼の表面の領域(すなわち、エリアまたはドメイン
)を意味する。いくつかの例では、標的の眼の部位は、眼の光軸に対してオフセットされ
たエリアすなわち領域である。いくつかの例では、標的部位は、眼球結膜もしくは足根結
膜のいずれか、または結膜円蓋にある。換言すれば、標的の局所的な眼の部位は、瞳孔の
中心または虹彩の中心から変位した部位である。オフセット/変位の距離の大きさは変更
され得るが、いくつかの例では、大きさは、1~20mm、例えば2~20mm(5~1
5mmなど(5~10mmを含む))の範囲である。標的の局所的な眼の部位のサイズは
変更され得るが、いくつかの例では、標的の局所的な眼の領域のサイズは15mm以下
であり、いくつかの例では、1~15mm、例えば2.5~12mm(3~9mm
を含む)の範囲である。
【0093】
本方法の実施形態の態様は、活性薬剤の、ある投与量の液体製剤を標的部位に送達する
ステップを含む。いくつかの例では、送達される投薬量は、標的の局所的な眼の部位の涙
膜に完全に収容され得る容積を有する投与量である。標的の局所的な眼の部位の涙膜は、
標的の局所的な眼の部位に関連付けられた膜である。したがって、涙液膜は、例えば上記
のような標的の局所的な眼の部位がある眼の表面に存在する涙液の膜または層である。送
達される投与量は、標的の局所的な眼の部位の涙膜によって完全に収容され得る容積を有
するので、標的の局所な眼の部位を含む眼の表面によって完全に収容され得る容積でもあ
り得る。「眼の表面によって完全に収容される」とは、送達時に、送達される投与量が、
例えば涙の形態で、過剰な液体が眼の表面及び瞼の上から流れ出すことなく、投与される
眼の表面上に保持され得る容積を有することを意味する。所定の送達投与量の容積は変更
されてもよいが、いくつかの例では、容積は1~15μl、例えば5~10μlの範囲で
ある。
【0094】
いくつかの例では、送達される投与量は、標的の局所的な眼の部位の涙膜の容量を超え
る容積を有する参照投与量に匹敵する効力を有する投与量である。そのような例における
基準投与量は、容積は別として、他の点では送達される投与量と同一である。したがって
、参照投与量における活性剤の濃度は、送達される投与量における活性剤の濃度と同一で
ある。参照投与量の容積は、送達される投与量の容積を、2倍以上(例えば、3倍以上)
超える。いくつかの例では、参照投与量は、25~60μl、例えば30~50μlの範
囲の容積を有する。いくつかの例では、参照投与量は、標準的な点眼器によって送達され
る投与量である。
【0095】
活性薬剤の、送達される投与量の液体製剤は、標的の局所的な眼の部位にストリームと
して投与され、ストリームは、液体の連続ストリーム(すなわち、個々の液滴で構成され
ていないストリーム)、または液体の不連続ストリーム(例えば、個々の液滴の平行なス
トリーム、または連続成分と不連続成分との両方を含む)であり得る。ストリームが液体
の連続ストリームである場合、ストリームの直径は変更されてもよく、いくつかの例では
0.050~0.150mmの範囲、例えば0.070~0.130mmなどである。ス
トリームが個々の液滴の不連続ストリームである場合、個々の液滴の容積は、いくつかの
例では50~1500plの範囲、例えば100~1000plの範囲で変動し得る。ス
トリームの速度は、いくつかの例では、開口部からの流体の最小流出速度よりも一般的に
高い値から変動し得る。最小流出速度は、N.R.Lindblad及びJ.M Sch
eiderによる「均一サイズの液滴の生成」と題された科学論文で定義されている(方
程式2)。この論文は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、流出速
度は最小流出速度より20%以上速く、いくつかの例では最小流出速度より300%以下
だけ速い。例えば、125ミクロンの開口部サイズの場合、最小速度は194cm/秒で
あるが、選択された速度は少なくとも30%高くなる(すなわち、252cm/秒)。所
与の投与イベント中のストリーム送達の持続時間は変更されてもよく、例えば上記のよう
に、所望の送達される投与量を提供するように選択される。理想的には、ストリーム送達
の持続時間は、まばたきの応答時間未満、すなわち150ミリ秒未満である必要がある。
必要に応じて、投与の持続期間を250ミリ秒、さらには1000ミリ秒まで延長できる
。いくつかの例では、持続時間は100ミリ秒以上である。
【0096】
送達される投与量は、任意の好都合なプロトコルを使用して、標的の局所的な眼の部位
に投与され得る。いくつかの例では、送達される投与量は、対象以外の個人によって標的
の局所的な眼の部位に投与され、例えば、送達される投与量は、医師または看護師などの
医療専門家によって投与される。他の例では、送達される投与量は、例えば、対象が自身
の眼の一方の標的の局所的な眼の部位に投与量を投与する場合、対象によって自己投与さ
れる。
【0097】
本発明の方法は、装置を標的部位とアライメントするステップを含み得る。標的部位が
ユーザの眼である場合、例えば、装置が自己投与のために使用される場合、本方法は、標
的部位を有する同一の眼を使用して装置を標的部位にアライメントするように、例えば上
記のように、標的部位を含む眼を使用してユーザが装置を標的部位にアライメントするス
テップを含み得る。
【0098】
上記で要約したように、送達される投与量は、活性薬剤の液体製剤の容積である。「薬
剤」、「化合物」、及び「薬物」という用語は、本明細書において互換的に使用され、対
象の標的の局所的な眼の部位への投与を介した対象との接触時に生理学的効果を有する分
子または分子の組み合わせを指す。液体製剤中に存在し得る活性剤の例には、これらに限
定しないが、例えば、以下が含まれる:抗感染薬(これらに限定しないが、例えば抗生物
質、抗ウイルス薬などが含まれる)、抗炎症剤(これらに限定しないが、例えばステロイ
ド及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)などが含まれる)、抗アレルギー薬(こ
れらに限定しないが、例えば抗ヒスタミン薬及び肥満細胞安定剤などが含まれる)、抗真
菌薬、血管収縮薬、生物製剤(例えば、タンパク質、人工タンパク質など)、小分子、麻
酔薬、鎮痛薬、眼圧低下剤(これらに限定しないが、例えばプロスタグランジン類似体、
ROK阻害剤、ベータブロッカー、炭酸脱水酵素阻害剤、アルファ作用薬などが含まれる
)、潤滑剤(これらに限定しないが、例えば生理食塩水、ポリマー溶液、プロテオグリカ
ン、グリコサミノグリカン、炭水化物などが含まれる)、散瞳(瞳孔拡張)剤、縮瞳剤(
瞳孔収縮剤)、ヨウ素誘導体など、及び/またはそれらの様々な組み合わせ。開示された
装置と共に利用され得る追加の薬物及び薬剤は、米国特許出願公開第2017/0344
714号及び米国特許第9,087,145号にさらに詳細に開示された任意の数の薬剤
を含み、これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、液体製剤中の活性剤の濃度は、約50ng/ml~約50μ
g/ml(例えば、約50ng/ml~約40μg/ml、約30ng/ml~約20μ
g/ml、約50ng/ml~約10μg/ml、約50ng/ml~約1μg/ml、
約50ng/ml~約800ng/ml、約50ng/ml~約700ng/ml、約5
0ng/ml~約600ng/ml、約50ng/ml~約500ng/ml、約50n
g/ml~約400ng/ml、約60ng/ml~約400ng/ml、約70ng/
ml~約300ng/ml、約60ng/ml~約100ng/ml、約65ng/ml
~約85ng/ml、約70ng/ml~約90ng/ml、約200ng/ml~約9
00ng/ml、約200ng/ml~約800ng/ml、約200ng/ml~約7
00ng/ml、約200ng/ml~約600ng/ml、約200ng/ml~約5
00ng/ml、約200ng/ml~約400ng/ml、または約200ng/ml
~約300ng/ml)の範囲である。
【0100】
活性剤に加えて、液体製剤は、水性送達ビヒクル、例えば、薬学的に許容される水性ビ
ヒクルを含み得る。水に加えて、水性送達ビヒクルは、これらに限定しないが、例えば塩
、緩衝液、保存料、溶解促進剤、粘度調整剤、着色剤などの複数の異なる成分を含み得る
。適切な水性ビヒクルは、滅菌蒸留水または精製水、等張液(例えば、等張塩化ナトリウ
ムもしくはホウ酸溶液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、プロピレングリコール、及び
ブチレングリコールなど)を含む。他の適切なビヒクル構成要素には、硝酸フェニル水銀
、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びリン酸一ナトリウムが含
まれる。他の適切なビヒクル成分のさらなる例には、アルコール、油脂、ポリマー、界面
活性剤、脂肪酸、シリコーン油、保水剤、保湿剤、粘度調整剤、乳化剤、及び安定剤が含
まれる。組成物はまた、補助物質(すなわち、クロロブタノール、パラバンまたは有機水
銀化合物などの抗菌剤)と、水酸化ナトリウム、塩酸または硫酸などのpH調整剤と、メ
チルセルロースなどの増粘剤とを含んでいてもよい。例示的な最終組成物は無菌であり、
本質的に異物粒子を含まず、患者の快適性及び許容性を実現し、最適な薬物安定性に対し
て望ましいpHとバランスがとられたpHを有する。例示的な「薬学的に許容されるビヒ
クル」は、本明細書で使用される「眼科的に許容されるビヒクル」であり、化合物と非反
応性であって、かつ患者への投与に適した任意の物質または物質の組み合わせを指す。例
示的な実施形態では、ビヒクルは、患者の眼への局所適用に適した水性ビヒクルである。
様々な実施形態では、ビヒクルは、抗菌剤、防腐剤、共溶媒、界面活性剤及び増粘剤を含
む、本発明の眼科用組成物における使用に望ましい他の成分をさらに含む。
【0101】
本明細書で使用するとき、「宿主」、「対象」、「個体」及び「患者」という用語は互
換的に使用され、開示された方法によるそのような治療を必要とする任意の哺乳動物を指
す。そのような哺乳動物には、例えば、ヒト、ヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、
非ヒト霊長類、マウス、及びラットが含まれる。特定の実施形態では、対象は非ヒト哺乳
動物である。いくつかの実施形態では、対象は家畜である。他の実施形態では、対象はペ
ットである。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。特定の例では、対象はヒ
トである。他の対象には、家庭内のペット(例えば、イヌ及びネコ)、家畜(例えば、ウ
シ、ブタ、ヤギ、ウマなど)、げっ歯類(例えば、疾患の動物モデルとしてのマウス、モ
ルモット、及びラットなど)、及び非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー及びサル)が含
まれる。
【0102】
主題の方法のいくつかの態様では、本方法は、所与の状態、例えば、対象の疾患状態の
有効性を測定するステップをさらに含む。いくつかのそのような例では、決定は、結果を
、同一の個人で以前(例えば、2週間前、1カ月前、2カ月前、3カ月前、6カ月前、1
年前、2年前、5年前、10年以上、またはそれ以上前)に実行された結果と比較するこ
とによって行われる。評価は、治療されている状態の性質に応じて異なり得る。いくつか
の実施形態では、主題の方法は、個人を、所与の状態を有していると診断するステップを
さらに含む。
【0103】
上記の方法は、様々な異なる用途で使用される。特定の用途については、以下のユーテ
ィリティセクションでより詳細に説明する。
【0104】
ユーティリティ
【0105】
対象の装置及び方法は、治療及び診断/検査の用途の両方を含む、様々な異なる用途で
の使用が見出される。本明細書で使用するとき、「治療する」または「治療」という用語
は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの対象または患者における疾患または医学的状態を治
療すること、または治療を意味し、この用語には以下が含まれる:(a)対象の予防的治
療などの、疾患または医学的状態の発生を防止するステップ;(b)患者の疾患または医
学的状態の排除または退縮などの、疾患または医学的状態を改善するステップ;(c)例
えば、患者の疾患または医学的状態の進行を遅らせるかまたは阻止することによって、疾
患または医学的状態を抑制するステップ;または(d)患者の疾患または医学的状態の症
状を緩和するステップ。
【0106】
本発明の方法/装置を使用して治療され得る状態の例は、緑内障である。緑内障は、視
神経損傷に起因する進行性視野喪失を特徴とする疾患の集まりである。これは、米国にお
ける失明の主要な原因であり、60歳以上の個人のうち1~2%に影響を与えている。緑
内障の発症に関連する多くの危険因子(年齢、人種、近視、家族歴、及び傷害)が存在す
るが、高眼圧症としても知られている眼圧亢進は、緑内障性の視神経症の減少とうまく関
連付けられた唯一の危険因子である。眼圧上昇を伴う緑内障では、流出に対する抵抗の原
因は小柱網にある。小柱網の組織によって、「水」はシュレム管に入った後、シュレム管
の後壁の集水チャネルに入り、房水静脈に入り、シュレム管は空になる。水すなわち房水
は、眼の前の角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体である。房水はレンズ周囲の
毛様体から常に分泌されているので、毛様体から眼の前房への房水の連続的な流れが存在
する。眼圧は、小柱網(主経路)またはブドウ膜強膜流出(副経路)を介した水の産生と
、その流出とのバランスによって決定される。小柱網は、虹彩の外縁と角膜の内周との間
に位置する。シュレム管に隣接する小柱網の部分によって、水流への抵抗の大部分が生じ
る(小管近傍(juxtacanilicular meshwork))。
【0107】
緑内障の治療に本方法及び本装置が使用される実施形態では、送達される投与量は、眼
内圧調節剤を含み得る。「眼圧調節剤」は、薬物を含むことができ、抗緑内障薬(例えば
、アドレナリン作動薬、アドレナリン作動薬(ベータブロッカー)、炭酸脱水酵素阻害薬
(CAI、全身、及び局所))、チモロール、ベタキソロール、レボブノロール、アテノ
ロールなどのベータブロッカー(例えば、米国特許第4,952,581号に記載されて
いる)を含む抗緑内障薬を含む治療薬(例えば、プロスタグランジン、プロスタグランジ
ン前駆体)を含む、以下またはそれらの均等物、誘導体もしくは類似体のいずれかであり
得る;アプラクロニジンまたはブリモニジンなどのクロニジン誘導体を含むアドレナリン
作動薬(例えば、米国特許第5,811,443号に開示されている);及び、ビマトプ
ロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ラタノプロストなどのプロスタグランジン類
似体。いくつかの例では、治療薬は緑内障のためにすでに市販されており、その市販の調
整物が使用されてもよい。さらなる治療薬には、アセタゾラミド、ドルゾラミド、ブリン
ゾラミド、メタゾラミド、ジクロルフェナミド、ダイアモックスなどの炭酸脱水酵素阻害
剤が含まれる。
【0108】
本発明の方法及び装置によって治療され得る他の疾患状態には、これらに限定しないが
、例えば米国特許出願公開第2017/0344714号及び米国特許第9,087,1
45号に開示されているものが含まれ、これらの開示は参照により本明細書に組み入れら
れる。
【0109】
診断/検査用途には、これらに限定しないが、例えば、網膜や眼の他の深い構造の検査
を可能にするように瞳孔が拡張される散瞳用途が含まれる。このような用途で使用され得
る散瞳剤には、これらに限定しないが、例えば以下のものが含まれる:アトロピン、硫酸
アトロピン、塩酸アトロピン、臭化メチルアトロピン、硝酸メチルアトロピン、アトロピ
ンハイパーデュリック(atropine hyperduric)、アトロピンN-オキシド、フェニレフ
リン、塩酸フェニレフリン、ヒドロキシアンフェタミン、ヒドロキシアンフェタミン臭化
水素酸塩、ヒドロキシアンフェタミン塩酸塩、ヨウ化ヒドロキシアンフェタミン、シクロ
ペントレート、シクロペントレート塩酸塩、ホマトロピン、ホマトロピン臭化水素酸塩、
ホマトロピン塩酸塩、ホマトロピン臭化メチル、スコポラミン、スコポラミン臭化水素酸
塩、スコポラミン塩酸塩、スコポラミン臭化メチル、スコポラミン硝酸メチル、スコポラ
ミンN-オキシド、トロピカミド、トロピカミド臭化水素酸塩、及びトロピカミド塩酸塩
【0110】
キット
【0111】
上記に記載されたもののように、本方法の実施形態の実施における使用を見出すキット
も提供される。
「キット」という用語は、パッケージ化された送達装置またはその構成要素(例えば、上
記のようなアンプル)を指す。上記の構成要素に加えて、キットは、例えば対象となる方
法を実施するために、キットの構成要素を使用するための説明書をさらに含み得る。説明
書は、一般的に、適切な記録媒体に記録されている。例えば、説明書は、紙またはプラス
チックなどの基材上に印刷されてもよい。したがって、説明書は、キットのコンテナまた
はその構成要素のラベルに、添付文書としてキットに存在してもよい(すなわち、パッケ
ージングまたはサブパッケージングに関連付けられている)。他の実施形態では、説明書
は、例えばCD-ROM、ディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)、ポータブ
ルフラッシュドライブなどの、適切なコンピュータ可読記憶媒体上に存在する電子記憶デ
ータファイルとして存在する。さらに他の実施形態では、実際の指示はキットに存在しな
いが、リモートソースから、例えばインターネット経由で説明書を入手するための手段が
提供される。この実施形態の例は、説明書を見ることができる、及び/または説明書をダ
ウンロードすることができるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明
書を入手するためのこの手段は、適切な基材に記録される。
【0112】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の条項によっ
ても定義される。
【0113】
1.流体送達装置であって、
(a)流体及び1以上の開口部を備えたリザーバを含む流体パッケージと、
(b)前記リザーバから、前記1以上の開口部を介して前記流体を噴出するように構成
されたアクチュエータと、
(c)前記1以上の開口部を介して噴出された流体を標的部位にアライメントするよう
に構成された画像ベースのアライメントシステムと、を含むことを特徴とする装置。
【0114】
2.条項1に記載の流体送達装置であって、
前記流体が眼科用流体を含み、前記標的部位が眼の部位であることを特徴とする装置。
【0115】
3.条項1または2に記載の流体送達装置であって、
前記流体パッケージは使い捨てであることを特徴とする装置。
【0116】
4.条項1~3のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記アクチュエータは、流体内に音圧のサイクルを生成することにより、1以上の開口
部を介してリザーバから流体を噴出するように構成されていることを特徴とする装置。
【0117】
5.条項1~4のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記アクチュエータは圧電アクチュエータを含むことを特徴とする装置。
【0118】
6.条項1~5のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記アクチュエータ構成要素は再使用可能であることを特徴とする装置。
【0119】
7.条項1~6のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記画像ベースのアライメントシステムが反射面を含むことを特徴とする装置。
【0120】
8.条項7に記載の流体送達装置であって、
前記反射面は湾曲していることを特徴とする装置。
【0121】
9.条項8に記載の流体送達装置であって、
前記反射面は凹面鏡を含むことを特徴とする装置。
【0122】
10.条項9に記載の流体送達装置であって、
前記凹面鏡は球面鏡または非球面鏡を含むことを特徴とする装置。
【0123】
11.条項7に記載の流体送達装置であって、
前記反射面は平面鏡を含むことを特徴とする装置。
【0124】
12.条項11に記載の流体送達装置であって、
前記アライメントシステムは前記平面鏡の前に配置されたレンズを含むことを特徴とす
る装置。
【0125】
13.条項12に記載の流体送達装置であって、
前記レンズは凸面を有することを特徴とする装置。
【0126】
14.条項7~13のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記反射面は10~30mmの範囲の最長寸法を有することを特徴とする装置。
【0127】
15.条項14に記載の流体送達装置であって、
前記反射表面は円形であることを特徴とする装置。
【0128】
16.条項15に記載の流体送達装置であって、
前記反射面は10~15mmの範囲の直径を有することを特徴とする装置。
【0129】
17.条項7~16のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記反射面の主軸と同軸に前記流体を噴出するように構成されていること
を特徴とする装置。
【0130】
18.条項7~16のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記反射面の主軸の軸外に前記流体を噴出するように構成されていること
を特徴とする装置。
【0131】
19.条項18に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記主軸に対して平行に前記流体を噴出するように構成されていることを
特徴とする装置。
【0132】
20.条項18に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記主軸に対してある角度で前記流体を噴出するように構成されているこ
とを特徴とする装置。
【0133】
21.条項1~6のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記画像ベースのアライメントシステムは、レンチキュラープリントを含むことを特徴
とする装置。
【0134】
22.条項21に記載の流体送達装置であって、
前記レンチキュラープリントは、画像と、前記画像に重なる集束要素とを含むことを特
徴とする装置。
【0135】
23.条項22に記載の流体送達装置であって、
前記集束要素は線形レンズのアレイを含むことを特徴とする装置。
【0136】
24.条項21~23のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記アライメントシステムは2以上のレンチキュラープリントを含むことを特徴とする
装置。
【0137】
25.条項1~24のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記流体パッケージ及びアクチュエータ構成要素がハウジング内に存在することを特徴
とする装置。
【0138】
26.条項25に記載の流体送達装置であって、
前記ハウジングは、前記ハウジングに沿って配置されたカバーを備え、
前記カバーは、前記1以上の開口部が露出している開位置と、前記1以上の開口部が露
出していない閉位置との間で構成可能であることを特徴とする装置。
【0139】
27.条項26に記載の流体送達装置であって、
前記カバーは摺動カバー構造を含むことを特徴とする装置。
【0140】
28.条項26または27に記載の流体送達装置であって、
前記アクチュエータ構成要素は、前記カバーが前記開位置にあるときに作動されるよう
に構成されていることを特徴とする装置。
【0141】
29.条項26~28のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記アクチュエータ構成要素は、前記カバーが前記閉位置にあるときに停止されるよう
に構成されていることを特徴とする装置。
【0142】
30.条項1~29のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記装置は照明源を含むことを特徴とする装置。
【0143】
31.条項30に記載の流体送達装置であって、
前記照明源はLEDを含むことを特徴とする装置。
【0144】
32.条項30または31に記載の流体送達装置であって、
前記照明源は前記アライメントシステムに関連付けられていることを特徴とする装置。
【0145】
33.条項32に記載の流体送達装置であって、
前記照明源は少なくとも部分的に前記アライメントシステムの境界を定めていることを
特徴とする装置。
【0146】
34.条項30または31に記載の流体送達装置であって、
前記照明源は、前記アライメントシステムとは異なっていることを特徴とする装置。
【0147】
35.条項1~34のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記装置と前記標的部位との間の距離を判定するように構成された距離センサをさらに
含むことを特徴とする装置。
【0148】
36.条項35に記載の流体送達装置であって、
前記距離センサは赤外線センサを含むことを特徴とする装置。
【0149】
37.条項35または36に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあると
きに信号を提供するように構成されていることを特徴とする装置。
【0150】
38.条項37に記載の流体送達装置であって、
前記信号は聴覚信号または視覚信号を含むことを特徴とする装置。
【0151】
39.条項35~38のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあると
きに作動するように構成されていることを特徴とする装置。
【0152】
40.条項37~39のいずれか1項に記載の流体送達装置であって、
前記所定の範囲は10~100mmであることを特徴とする装置。
【0153】
41.流体を対象の標的部位に送達する方法であって、
(A)流体送達装置を前記標的部位にアライメントするステップであって、前記流体送
達装置は、
(1)流体及び1以上の開口部を備えたリザーバを含む流体パッケージと、
(2)前記リザーバから、前記1以上の開口部を介して前記流体を噴出するように構
成されたアクチュエータと、
(3)前記1以上の開口部を介して噴出された流体を前記標的部位にアライメントす
るように構成された画像ベースのアライメントシステムと、を含む、該ステップと、
(B)前記リザーバから前記1以上の開口部を介して前記流体を前記標的部位に噴出す
るために、前記アクチュエータを作動させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【0154】
42.条項41に記載の方法であって、
前記流体は点眼液を含むことを特徴とする方法。
【0155】
43.条項41または42に記載の方法であって、
前記流体パッケージは使い捨てであることを特徴とする方法。
【0156】
44.条項41~43のいずれか1項に記載の方法であって、
前記アクチュエータは、前記流体内に音圧のサイクルを生成することにより、前記1以
上の開口部を介して前記リザーバから前記流体を噴出するように構成されていることを特
徴とする方法。
【0157】
45.条項41~44のいずれか1項に記載の方法であって、
前記アクチュエータは圧電アクチュエータを含むことを特徴とする方法。
【0158】
46.条項41~45のいずれか1項に記載の方法であって、
前記アクチュエータ構成要素は再使用可能であることを特徴とする方法。
【0159】
47.条項41~46のいずれか1項に記載の方法であって、
前記画像ベースのアライメントシステムは反射面を含むことを特徴とする方法。
【0160】
48.条項47に記載の方法であって、
前記反射面は湾曲していることを特徴とする方法。
【0161】
49.条項48に記載の方法であって、
前記反射面は凹面鏡を含むことを特徴とする方法。
【0162】
50.条項49に記載の方法であって、
前記凹面鏡は球面鏡または非球面鏡を含むことを特徴とする方法。
【0163】
51.条項47に記載の方法であって、
前記反射面は平面鏡を含むことを特徴とする方法。
【0164】
52.条項51に記載の方法であって、
前記アライメントシステムは、前記平面鏡の前に配置されたレンズを含むことを特徴と
する方法。
【0165】
53.条項52に記載の方法であって、
前記レンズは凸面を有することを特徴とする方法。
【0166】
54.条項47~53のいずれか1項に記載の方法であって、
前記反射面は10~30mmの範囲の最長寸法を有することを特徴とする方法。
【0167】
55.条項54に記載の方法であって、
前記反射面は円形であることを特徴とする方法。
【0168】
56.条項55に記載の方法であって、
前記反射面は10~15mmの範囲の直径を有することを特徴とする方法。
【0169】
57.条項47~56のいずれか1項に記載の方法であって、
前記装置は、前記反射面の主軸と同軸に前記流体を噴出するように構成されていること
を特徴とする方法。
【0170】
58.条項47~56のいずれか1項に記載の方法であって、
前記装置は、前記反射面の主軸の軸外に前記流体を噴出するように構成されていること
を特徴とする方法。
【0171】
59.条項58に記載の方法であって、
前記装置は、前記主軸に対して平行に前記流体を噴出するように構成されていることを
特徴とする方法。
【0172】
60.条項58に記載の方法であって、
前記装置は、前記主軸に対してある角度で前記流体を噴出するように構成されているこ
とを特徴とする方法。
【0173】
61.条項41~46のいずれか1項に記載の方法であって、
前記画像ベースのアライメントシステムは、レンチキュラープリントを含むことを特徴
とする方法。
【0174】
62.条項61に記載の方法であって、
前記レンチキュラープリントは、画像と、前記画像に重なる集束要素とを含むことを特
徴とする方法。
【0175】
63.条項62に記載の方法であって、
前記集束要素が線形レンズのアレイを含むことを特徴とする方法。
【0176】
64.条項61~63のいずれか1項に記載の方法であって、
前記アライメントシステムは2以上のレンチキュラープリントを含むことを特徴とする
方法。
【0177】
65.条項47~64のいずれか1項に記載の方法であって、
前記流体パッケージ及び前記アクチュエータ構成要素がハウジング内に存在することを
特徴とする方法。
【0178】
66.条項65に記載の方法であって、
前記ハウジングは、前記ハウジングに沿って配置されたカバーを備え、
前記カバーは、前記1以上の開口部が露出している開位置と、前記1以上の開口部が露
出していない閉位置との間で構成可能であることを特徴とする方法。
【0179】
67.条項66に記載の方法であって、
前記カバーは摺動カバー構造を含むことを特徴とする方法。
【0180】
68.条項66または67に記載の方法であって、
前記アクチュエータ構成要素は、前記カバーが前記開位置にあるときに作動されるよう
に構成されていることを特徴とする方法。
【0181】
69.条項66~68のいずれか1項に記載の方法であって、
前記アクチュエータ構成要素は、前記カバーが前記閉位置にあるときに停止されるよう
に構成されていることを特徴とする方法。
【0182】
70.条項66~69のいずれか1項に記載の方法であって、
前記カバーを前記閉位置と前記開位置との間で移動させるステップを含むことを特徴と
する方法。
【0183】
71.条項41~70のいずれか1項に記載の方法であって、
前記装置は照明源を含むことを特徴とする方法。
【0184】
72.条項71に記載の方法であって、
前記照明源はLEDを含むことを特徴とする方法。
【0185】
73.条項71または72に記載の方法であって、
前記照明源は前記アライメントシステムに関連付けられていることを特徴とする方法。
【0186】
74.条項73に記載の方法であって、
前記照明源は少なくとも部分的に前記アライメントシステムの境界を定めていることを
特徴とする方法。
【0187】
75.条項71または72に記載の方法であって、
前記照明源は、前記アライメントシステムとは異なっていることを特徴とする方法。
【0188】
76.条項41~75のいずれか1項に記載の方法であって、
前記装置と前記標的部位との間の距離を判定するように構成された距離センサをさらに
含むことを特徴とする方法。
【0189】
77.条項76に記載の方法であって、
前記距離センサは赤外線センサを含むことを特徴とする方法。
【0190】
78.条項76または77に記載の方法であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあると
きに信号を提供するように構成されていることを特徴とする方法。
【0191】
79.条項78に記載の方法であって、
前記信号は聴覚信号または視覚信号を含むことを特徴とする方法。
【0192】
80.条項76~79のいずれか1項に記載の方法であって、
前記装置は、前記装置と前記標的部位との間の判定された距離が所定の範囲内にあると
きに作動するように構成されていることを特徴とする方法。
【0193】
81.条項76~80のいずれか1項に記載の方法であって、
前記所定の範囲は10~100mmであることを特徴とする方法。
【0194】
82.条項41~81のいずれか1項に記載の方法であって、
前記標的部位が眼の部位であることを特徴とする方法。
【0195】
83.条項82に記載の方法であって、
前記眼の部位が角膜/結膜の部位を含むことを特徴とする方法。
【0196】
84.条項83に記載の方法であって、
前記眼の部位が2.5~12μmの範囲の面積を有することを特徴とする方法。
【0197】
85.条項41~84のいずれか1項に記載の方法であって、
前記方法が、対象によって実施されることを特徴とする方法。
【0198】
86.条項1~40のいずれか1項に記載の流体送達装置、またはその構成要素を含む
キット。
【0199】
前述の発明を、理解を明確にする眼的で、図示及び例示によってある程度詳細に説明し
たが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の教示に照
らして、特定の変更及び修正が為されてもよいことは、当業者には容易に明らかである。
【0200】
したがって、前述の発明は、本発明の原理の単なる例示である。当業者は、本明細書で
は明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神及び範囲
内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。さらに、本明細書において列
挙されたすべての例及び条件付きの言語は、主に、発明の原理及び発明者が技術を進める
ために貢献した概念の理解において読者を助けることを意図しており、そのような具体的
に列挙された例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本発
明の原理、態様、及び実施形態、並びにその特定の例を列挙する本明細書のすべての記述
は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することが意図されている。さらに、その
ような均等物には、現在知られている均等物及び将来開発される均等物(すなわち、構造
に関係なく同一の機能を実行する、開発される要素)の両方が含まれることを意図してい
る。さらに、本明細書に開示されているものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示
的に記載されているかどうかに関係なく、公に捧げることを意図したものではない。
【0201】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載された例示的な実施形態に限定
されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲
によって具体化される。特許請求の範囲では、米国特許法第112条(f)または米国特
許法第112条(6)は、「~のための手段」という正確な語句または「~のためのステ
ップ」という正確な語句が特許請求の範囲内のそのような限定の冒頭に記載されている場
合にのみ、特許請求の範囲内の制限のために発動されると明示的に定義されており、その
ような正確な語句がクレームの制限で使用されていない場合、米国特許法第112条(f
)または米国特許法第112条(6)は発動されない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8