(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000455
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】不完全なSSR領域を有するプライマー
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6876 20180101AFI20231225BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20231225BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20231225BHJP
【FI】
C12Q1/6876 Z
C40B40/06 ZNA
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099233
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中▲崎▼ 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】西村 和紗
(72)【発明者】
【氏名】中野 龍平
(72)【発明者】
【氏名】元木 航
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA20
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、MIG法のデメリットである多型解析数を上昇させることを課題とする。
【解決手段】プライマーであって、
該プライマーは、その5’末端から順に、
(A)他のプライマーがアニーリングする塩基配列からなる領域、
(B)不完全なSSR領域、及び
(C)アンカー領域
を有し、
(B)領域は、2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列において1又は複数個の塩基が置換された塩基配列からなり、
(C)領域は、1~3個の塩基配列からなる、
プライマー
の提供。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマーであって、
該プライマーは、その5’末端から順に、
(A)他のプライマーがアニーリングする塩基配列からなる領域、
(B)不完全なSSR領域、及び
(C)アンカー領域
を有し、
(B)領域は、2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列において1又は複数個の塩基が置換された塩基配列からなり、
(C)領域は、1~3個の塩基配列からなる、
プライマー。
【請求項2】
(B)領域における前記置換塩基数が、1~12個である、請求項1に記載のプライマー。
【請求項3】
前記置換塩基が、(B)領域の3’末端から1~32番目の少なくとも1個の塩基である、請求項1又は2に記載のプライマー。
【請求項4】
15~50塩基長である、請求項1に記載のプライマー。
【請求項5】
配列番号17~272の何れかに記載の塩基配列からなる、請求項1に記載のプライマー。
【請求項6】
次世代シークエンスに使用される、請求項1に記載のプライマー。
【請求項7】
請求項1~6のプライマーからなる群より選択される2種以上の異なるプライマーを組み合わせてなるプライマーセット。
【請求項8】
DNAライブラリーの製造方法であって、
検出対象のゲノム、及び
請求項1~6の何れか一項に記載のプライマー又は請求項7に記載のプライマーセット
を含む混合物を核酸増幅反応に供する工程を含有する、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不完全なSSR領域を有するプライマーに関する。特に、次世代シークエンスに使用される不完全なSSR領域を有するプライマーに関する。
【背景技術】
【0002】
育種学の分野において、次世代シーケンサーを使用した全ゲノムの解析は、SNP(一塩基多型)、indel(挿入欠失遺伝子)等の多型数に関する品種間のDNA配列の差を解析するために使用される。次世代シーケンサーを使用したDNA解析には、DNAライブラリーを調製する必要があり、その一例として、
(1)解析対象とするゲノムDNAを超音波又は制限酵素によって断片化する工程、
(2)工程1により得られる断片化したDNAに対して、アダプターをライゲーションする工程、
(3)工程2により得られるアダプターを有する断片化DNAに対して、index配列をPCRにより付加する工程、及び
(4)工程3により得られるPCR産物をプーリング及びサイズ選別する工程
を挙げることができる。
【0003】
全ゲノムを解析する必要のない場合又は解析することができない場合の例として、交雑集団の遺伝子型を特定する場合又は解析するゲノムサイズが大きすぎる場合を挙げることができる。このように、全ゲノム解析する必要がない場合、すなわちゲノムの一部を解析することにより多型数を評価することが、育種学や生態学等の幅広い分野にて利用されている。
【0004】
このようなゲノムの一部を解析する方法として、MIG-seq法(非特許文献1)、ddRAD-seq法(非特許文献2)及びGras-di法(特許文献1)を挙げることができる。
【0005】
MIG-seq法は、ISSRのDNA配列を解析することができ、これを実施するコストが全ゲノム解析よりも遙かに低いものの、解析できる多型数が少ないといったデメリットがあることが知られている。ddRAD-seq法は、制限酵素サイト近傍のDNA配列を解析することができ、MIG-seq法よりも実施コストが高く、SNP解析数がMIG-seq法よりも多いことが知られている。Gras-di法は、ランダムにDNA配列を解析することができ、MIG-seq法及びddRAD-seq法より実施コストが高く、多型解析数がMIG-seq法よりも多いものの、全ゲノム解析には及ばないことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Suyama Y,and Matsuki Y.Sci Rep.2015;5:16963.
【非特許文献2】Shirasawa K,et al.DNA Res.2016;23(2):145-53.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
MIG-seq法では、解析対象DNAに含有されるSSR領域に対して相補的な塩基配列を含有するプライマーを使用したPCR工程を有するため、たとえ解析対象のDNA品質が低くとも、次世代シーケンサーを使用したDNA解析のために必要なDNAライブラリーを比較的容易に作成することができるメリットを有する。一方で、ddRAD-seq法では、解析対象のDNA品質が低いと当該方法にて使用する制限酵素による処理を実行できなくなる可能性が高くなるため、当該方法に使用するDNA品質を高くする必要がある。また、Gras-di法でも、解析対象とするDNA品質が高いことが要求される。よって、解析対象のDNA品質が低くともMIG法のデメリットであるSNPやindel数といった多型の解析数を上昇させることを、本発明の主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、検出対象のゲノムDNAに含有されるSSR領域に完全に相補的な塩基配列を有さないプライマーを使用したMIG-seq法により、多型解析数を上昇させることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成された発明であって、下記の各項に示す主題を広く包含する。
【0010】
項1 プライマーであって、
該プライマーは、その5’末端から順に、
(A)他のプライマーがアニーリングする塩基配列からなる領域、
(B)不完全なSSR領域、及び
(C)アンカー領域
を有し、
(B)領域は、2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列において1又は複数個の塩基が置換された塩基配列からなり、
(C)領域は、1~3個の塩基配列からなる、
プライマー。
【0011】
項2 (B)領域における前記置換塩基数が、1~12個である、項1に記載のプライマー。
【0012】
項3 前記置換塩基が、(B)領域の3’末端から1~32番目の少なくとも1個の塩基である項1又は項2に記載のプライマー。
【0013】
項4 15~50塩基長である、項1~項3の何れかに記載のプライマー。
る。
【0014】
項5 配列番号17~272の何れかに記載の塩基配列からなる、項1~項4の何れかに記載のプライマー。
【0015】
項6 次世代シークエンスに使用される、項1~項5の何れかに記載のプライマー。
【0016】
項7 項1~6のプライマーからなる群より選択される2種以上の異なるプライマーを組み合わせてなる核酸増幅用プライマーセット。
【0017】
項8
配列番号17~32の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号33~48の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号49~64の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号65~80の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号81~96の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号97~112の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号113~128の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも種以上、
配列番号129~144の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号145~160の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号161~176の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号177~192の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号193~208の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号209~224の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号225~240の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上、
配列番号241~256の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上又は
配列番号257~272の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上
を組み合わせてなる、項7に記載のプライマーセット。
【0018】
項9 DNAライブラリーの製造方法であって、
検出対象のゲノム、及び
項1~6の何れか一項に記載のプライマー又は項7又は8に記載のプライマーセット
を含む混合物を核酸増幅反応に供する工程を含有する、
製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、品質が低いDNAを用いてもSNPやindel数といった多型の検出数を上昇させたゲノム解析を提供することができる。より詳細に、本発明によって解析することができる多型は、異なる遺伝子座における多型を検出することができる。また、本発明によると、品質が低いDNAであっても多型の解析数を上昇させることができるので、ゲノム解析のコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1の結果を示すグラフである。図中のControl、3、4、5、7、10、14、3-4、3-5、4-5、4-6、4-7、4-8、4-9、N、N4及びN4-5は、それぞれプライマーセット名MIG、MIG-3N、MIG-4N、MIG-5N、MIG-7N、MIG-10N、MIG-14N、MIG-3:4N、MIG-3:5N、MIG-4:5N、MIG-4:6N、MIG-4:7N、MIG-4:8N、MIG-4:9N、cm、cm4N、及びcm4:5Nの結果を示す。
【
図2】
図2は、実施例1において解析したプライマーセット間において共通する遺伝子座の割合(%)を示すグラフである。ハイライトが濃くなるにつれて、割合が大きいことを示している。
【
図3】
図3は、実施例2に示す実験結果を示す図である。(A)はトウガラシの結果を、(B)は、モモの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について説明する。なお、以下において、特に断らない限り、数値範囲を示す「~」との標記は、「未満」及び「超過」の意味ではなく「以上」及び「以下」を示す。つまり、「A~B」は「A以上B以下」を意味し、A及びBも含まれる。
【0022】
本明細書において、「含む」及び「含有する」の用語には、「からなる」及び「から実質的になる」という意味が含まれる。
【0023】
プライマー
本発明のプライマーは、その5’末端から順に以下の(A)~(C)領域を有する。
(A)他のプライマーがアニーリングする塩基配列からなる領域。
(B)不完全なSSR領域。
(C)アンカー領域。
【0024】
上記(B)領域は、2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列において1又は複数個の塩基が置換された塩基配列からなる。
【0025】
上記(C)領域は、1~3個の塩基配列からなる。
【0026】
本発明のプライマーは、様々な用途に使用する事ができ、特に限定されないが、例えば、次世代シーケンサーに使用されることを挙げることができる。より好ましい本発明のプライマーの使用態様として、次世代シーケンサーで必要とされるDNAライブラリーを製造するために使用される態様を挙げることができる。更に好ましい本発明の使用態様として、当該DNAライブラリーを製造する1stPCRにおいて使用される態様を挙げることができる。
【0027】
(A)領域における他のプライマーがアニーリングする領域の塩基配列は、特に限定されず、例えば、上記する次世代シーケンサーのDNAライブラリーの製造時における2ndPCRを実施する際のプライマーがアニーリングする塩基配列を挙げることができる。当該2ndPCRは、当該DNAライブラリーに含有される各PCR産物を区別するためのindex配列、次世代シーケンサーのフローセルに当該DNAライブラリーに含有される各PCR産物を結合させるために必要となる、例えば、P5配列、P7配列等のアダプター配列等を付加させるためのPCRである。
【0028】
(A)領域の塩基数は、本発明の効果を発揮できる範囲において特に限定されず、例えば、10~30個とすることができる。より好ましくは、15~19個であり、16~18個が最も好ましい。
【0029】
(B)領域は、不完全なSSR領域であり、2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列において1又は複数個の塩基が置換された塩基配列からなる。
【0030】
完全なSSR領域とは2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列であり、例えば、ATCを単位とする3個の塩基がATCATCと2回繰り返された塩基配列を挙げることができる。従来のMIG-seq法では、このような完全なSSR領域が、検出対象ゲノムDNAに含有されうるSSR領域と結合する。
【0031】
不完全なSSR領域とは、上記完全なSSR領域を構成する塩基配列において1又は複数個の塩基が置換されたものであり、例えば、上記に例示したATCATCとの完全なSSR領域に対して、GTCATCと一番始めのAをGに置換した塩基配列を挙げることができる。
【0032】
このように、完全なSSR領域に置換変異を導入することにより、すなわち不完全なSSR領域を設けることにより、MIG-seq法におけるPCR反応が非効率となることが想定されるが、後記する実施例にて示すように、解析される多型数が増大することは驚くべきことである。
【0033】
(B)領域における置換塩基数は、本発明の効果を発揮する範囲において特に限定されず、例えば1~12個とすることができ、1~4個とすることが好ましく、1~3個とすることが更に好ましく、2個又は3個とすることが最も好ましい。
【0034】
なお、上記の通り、(B)領域は、完全なSSR領域を構成する塩基配列において1又は複数個の塩基が置換されたものということができるところ、置換塩基数は、完全なSSR領域の塩基数の30%を超えない1以上の整数であることが好ましく、25%を超えない1以上の整数であることがより好ましい。例えば、完全なSSR領域は、上記の通り2~4個の連続する塩基が2~8回繰り返された塩基配列であるので、その塩基長は4~32塩基であるところ、4塩基における25%は1塩基であるため、「25%を超えない1以上の整数」は1のみである。また、32塩基における25%は8塩基であるため、「25%を超えない1以上の整数」は1、2、3、4、5、6、7、又は8である。
【0035】
(B)領域における置換を設ける塩基の位置は、本発明の効果を発揮する範囲において特に限定されず、例えば(B)領域の3’末端から1~32番目の少なくとも1個の塩基とすることができ、1~12番目の少なくとも1個の塩基とすることが好ましく、1~6番目の少なくとも1個の塩基とすることが更に好ましく、1~4番目の少なくとも1個の塩基とすることが最も好ましい。なお、前記「(B)領域の3’末端から1~X番目」との記載は、(B)領域が短い塩基数からなる場合には、その(B)領域の塩基数までのことを指す。例えば(B)領域が4塩基からなる場合においては、「(B)領域の3’末端から1~32番目」との記載は、「(B)領域の3’末端から1~4番目」のことを指す。
【0036】
(C)領域は、塩基1~3個の塩基配列からなる。当該(C)領域は、PCR反応をより進行しやすくするために設けられる配列であり、より好ましくは、塩基2個の塩基配列からなる。このような好ましい(C)領域の塩基配列は、本発明の効果を発揮する範囲において特に限定されず、具体的には、(C)領域の5’末端から順に、TG、AC、CC、AC等を挙げることができる。
【0037】
本発明のプライマーの塩基長は、本発明の効果を発揮する範囲において特に限定されず、例えば15~80個程度、好ましくは20~70個程度、好ましくは20~60個程度、更に好ましくは20~50個程度とすることができ、25~35個程度の塩基長とすることが最も好ましい。
る。
【0038】
本発明の具体的な塩基配列は、本発明の効果を発揮する範囲において特に限定されず、例えば配列番号17~272の何れかに記載の塩基配列を挙げることができる。これらの塩基配列は、下記表1~17又は配列表に記載するものである。
【0039】
プライマーセット
本発明のプライマーセットは、上記本発明のプライマーからなる群より選択される2種以上の異なるプライマーを組み合わせてなるものとすることができる。このようなプライマーセットは、次世代シーケンス法におけるマルチプレックス法として有効に使用する事ができる。
【0040】
好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表2に記載する配列番号16~32の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表2におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_3、CTA4TG-f_3、TTG4AC-f_3、GTT4CC-f_3、GTT4TC-f_3、GTG4AC-f_3、GT6TC-f_3又はTG6AC-f_3)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_3、CTA4TG-r_3、TTG4AC-r_3、GTT4CC-r_3、GTT4TC-r_3、GTG4AC-r_3、GT6TC-r又はTG6AC-r_3)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0041】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号16~32の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号16~32に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0042】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表3に記載する配列番号33~48の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表3におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、CTA4TG-f_4、TTG4AC-f_4、GTT4CC-f_4、GTT4TC-f_4、GTG4AC-f_4、GT6TC-f_4又はTG6AC-f_4)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4、CTA4TG-r_4、TTG4AC-r_4、GTT4CC-r_4、GTT4TC-r_4、GTG4AC-r_4、GT6TC-r_4又はTG6AC-r_4)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0043】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号33~48の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号33~48に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0044】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表4に記載する配列番号49~64の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表4におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_5、CTA4TG-f_5、TTG4AC-f_5、GTT4CC-f_5、GTT4TC-f_5、GTG4AC-f_5、GT6TC-f_5又はTG6AC-f_5)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_5、CTA4TG-r_5、TTG4AC-r_5、GTT4CC-r_5、GTT4TC-r_5、GTG4AC-r_5、GT6TC-r_5又はTG6AC-r_5)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0045】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号49~64の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号49~64に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0046】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表5に記載する配列番号65~80の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表5におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_7、CTA4TG-f_7、TTG4AC-f_7、GTT4CC-f_7、GTT4TC-f_7、GTG4AC-f_7、GT6TC-f_7又はTG6AC-f_7)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_7、CTA4TG-r_7、TTG4AC-r_7、GTT4CC-r_7、GTT4TC-r_7、GTG4AC-r_7、GT6TC-r_7又はTG6AC-r_7)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0047】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号65~80の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号65~80に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0048】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表6に記載する配列番号81~96の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表6におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_10、CTA4TG-f_10、TTG4AC-f_10、GTT4CC-f_10、GTT4TC-f_10、GTG4AC-f_10、GT6TC-f_10又はTG6AC-f_10)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_10CTA4TG-r_10、TTG4AC-r_10、GTT4CC-r_10、GTT4TC-r_10、GTG4AC-r_10、GT6TC-r_10又はTG6AC-r_10)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0049】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号81~96の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号81~96に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0050】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表7に記載する配列番号97~112の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表7におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_14、CTA4TG-f_14、TTG4AC-f_14、GTT4CC-f_14、GTT4TC-f_14、GTG4AC-f_14、GT6TC-f_14及びTG6AC-f_14)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_14、CTA4TG-r_14、TTG4AC-r_14、GTT4CC-r_14、GTT4TC-r_14、GTG4AC-r_14、GT6TC-r_14及びTG6AC-r_14)の、それぞれ1種以上含有される。
【0051】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号97~112の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号97~112に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0052】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表8に記載する配列番号113~128の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表8におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_3_4、CTA4TG-f_3_4、TTG4AC-f_3_4、GTT4CC-f_3_4、GTT4TC-f_3_4、GTG4AC-f_3_4、GT6TC-f_3_4又はTG6AC-f_3_4)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_3_4、CTA4TG-r_3_4、TTG4AC-r_3_4、GTT4CC-r_3_4、GTT4TC-r_3_4、GTG4AC-r_3_4、GT6TC-r_3_4又はTG6AC-r_3_4)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0053】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号113~128の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号113~128に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0054】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表9に記載する配列番号129~144の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表9におけるプライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_3_5、CTA4TG-f_3_5、TTG4AC-f_3_5、GTT4CC-f_3_5、GTT4TC-f_3_5、GTG4AC-f_3_5、GT6TC-f_3_5又はTG6AC-f_3_5)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_3_5、CTA4TG-r_3_5、TTG4AC-r_3_5、GTT4CC-r_3_5、GTT4TC-r_3_5、GTG4AC-r_3_5、GT6TC-r_3_5又はTG6AC-r_3_5)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0055】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号129~144の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号129~144に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0056】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表10に記載する配列番号145~160の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表10における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_4_5、CTA4TG-f_4_5、TTG4AC-f_4_5、GTT4CC-f_4_5、GTT4TC-f_4_5、GTG4AC-f_4_5、GT6TC-f_4_5又はTG6AC-f_4_5)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4_5、CTA4TG-r_4_5、TTG4AC-r_4_5、GTT4CC-r_4_5、GTT4TC-r_4_5、GTG4AC-r_4_5、GT6TC-r_4_5又はTG6AC-r_4_5)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0057】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号145~160の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号145~160に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである
【0058】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表11に記載する配列番号161~176の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表11における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_4_6、CTA4TG-f_4_6、TTG4AC-f_4_6、GTT4CC-f_4_6、GTT4TC-f_4_6、GTG4AC-f_4_6、GT6TC-f_4_6又はTG6AC-f_4_6)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4_6、CTA4TG-r_4_6、TTG4AC-r_4_6、GTT4CC-r_4_6、GTT4TC-r_4_6、GTG4AC-r_4_6、GT6TC-r_4_6又はTG6AC-r_4_6)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0059】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号161~176の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号161~176に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0060】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表12に記載する配列番号177~192の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表12における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_4_7、CTA4TG-f_4_7、TTG4AC-f_4_7、GTT4CC-f_4_7、GTT4TC-f_4_7、GTG4AC-f_4_7、GT6TC-f_4_7又はTG6AC-f_4_7)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4_7、CTA4TG-r_4_7、TTG4AC-r_4_7、GTT4CC-r_4_7、GTT4TC-r_4_7、GTG4AC-r_4_7、GT6TC-r_4_7又はTG6AC-r_4_7)の、それぞれ1種以上が含有する。
【0061】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号177~192の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号177~192に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0062】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表13に記載する配列番号193~208の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表13における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_4_8、CTA4TG-f_4_8、TTG4AC-f_4_8、GTT4CC-f_4_8、GTT4TC-f_4_8、GTG4AC-f_4_8、GT6TC-f_4_8又はTG6AC-f_4_8)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4_8、CTA4TG-r_4_8、TTG4AC-r_4_8、GTT4CC-r_4_8、GTT4TC-r_4_8、GTG4AC-r_4_8、GT6TC-r_4_8又はTG6AC-r_4_8)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0063】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号193~208の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号193~208に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0064】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表14に記載する配列番号209~224の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表14における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-f_4_9、
CTA4TG-f_4_9、TTG4AC-f_4_9、GTT4CC-f_4_9、GTT4TC-f_4_9、GTG4AC-f_4_9、GT6TC-f_4_9又はTG6AC-f_4_9)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、ACT4TG-r_4_9、CTA4TG-r_4_9、TTG4AC-r_4_9、GTT4CC-r_4_9、GTT4TC-r_4_9、GTG4AC-r_4_9、GT6TC-r_4_9又はTG6AC-r_4_9)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0065】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号209~224の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号209~224に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0066】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表15に記載する配列番号225~240の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表15における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-f、CAT4AG-f、AAG4TC-f、GAA4CC-f、GAA4AC-f、GAG4TC-f、GA6AC-f又はAG6TC-f)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-r、CAT4AG-r、AAG4TC-r、GAA4CC-r、GAA4AC-r、GAG4TC-r、GA6AC-r又はAG6TC-r)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0067】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号225~240の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号225~240に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0068】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表16に記載する配列番号241~256の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表16における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-f_4、CAT4AG-f_4、AAG4TC-f_4、GAA4CC-f_4、GAA4AC-f_4、GAG4TC-f_4、GA6AC-f_4又はAG6TC-f_4)、及び「r」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-r_4、CAT4AG-r_4、AAG4TC-r_4、GAA4CC-r_4、GAA4AC-r_4、GAG4TC-r_4、GA6AC-r_4又はAG6TC-r_4)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0069】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号241~256の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号241~256に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0070】
他の好ましいプライマーセットとして、例えば、下記表17に記載する配列番号257~272の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも2種以上を組み合わせてなるプライマーセットを挙げることができる。ただし、このようなプライマーセットには、下記表17における各プライマー名に「f」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-f_4_5、CAT4AG-f_4_5、AAG4TC-f_4_5、GAA4CC-f_4_5、GAA4AC-f_4_5、GAG4TC-f_4_5、GA6AC-f_4_5又はAG6TC-f_4_5)及び「r」との記載があるもの(具体的には、TCA4AG-r_4_5、CAT4AG-r_4_5、AAG4TC-r_4_5、GAA4CC-r_4_5、GAA4AC-r_4_5、GAG4TC-r_4_5、GA6AC-r_4_5又はAG6TC-r_4_5)の、それぞれ1種以上が含有される。
【0071】
更に好ましいプライマーセットは、上記配列番号257~272の何れかに記載の塩基配列からなるプライマーの少なくとも3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上又は15種以上を組み合わせてなるプライマーセットであり、最も好ましいプライマーセットは、上記配列番号257~272に記載の塩基配列からなるプライマーの全てを組み合わせてなるプライマーセットである。
【0072】
DNAライブラリーの製造方法
本発明のDNAライブラリーの製造方法は、検出対象のゲノム及び上記本発明のプライマー又はプライマーセットを含む混合物を核酸増幅反応に供する工程を含有する。
【0073】
上記本発明のDNAライブラリーの製造方法は、次世代シーケンスに用いられるDNAライブラリーに最適化することが可能である。そのため、当該次世代シーケンスの検出方法に応じて上記核酸増幅工程における温度、時間を適宜調節することが可能である。また、本発明のDNAライブラリーの製造方法において使用するDNAポリメラーゼ、検出対象ゲノム、本発明のプライマー又はプライマーセットの濃度も当該次世代シーケンスの検出方法に応じて適宜調製することが可能である。
【0074】
上記本発明のDNAライブラリーの製造方法には、核酸増幅反応に供して得られる産物を、プーリング、精製、サイズセレクション等の追加工程に供することも可能である。これらの追加工程は、公知の方法を広く採用することができ、特に限定されず、製造したDNAライブラリーを使用する次世代シーケンスの検出方法に応じて、適宜選択することができる。
【0075】
上述した本発明の各実施態様又は実施形態について説明した性質、構造、機能等の各種の特性は、本発明に包含される態様又は主題を特定するにあたり、適宜組み合わせることができる。すなわち、本発明には、本明細書で開示する、組み合わせることができる各特性の態様の全ての発明を包含することができる。
【実施例0076】
以下に、本発明をより詳細に説明するための実施例を示す。本発明が下記に示す実施例に限定されないのは言うまでもない。
【0077】
実施例1
以下の方法にて検出対象のゲノムをテンプレートにして多型検出用のDNAライブラリーを合成した。具体的には、トマト品種MPK-1およびMicro-Tomに対して、複数のdpMIG-seqのマルチプレックスプライマーセットを用いた、PCRによって、1stPCRを行いライブラリー作成を行なった。
【0078】
1.1stPCR
1stPCRでは、検出ゲノム全体の一部の領域を満遍なく増幅させる。
【0079】
下記表1~17のそれぞれに示すプライマーセットに含有される16種類の各プライマー(10μl)を混したstPCR用プライマーMixを調整した。
【0080】
表1~17に示す塩基配列において、下線部が(B)であり、その3’末端側が(A)領域であり及びその5’末端側が(C)領域である。また、プライマー名は、前から(B)領域における繰り返し配列、その繰り返し数及び(C)領域の塩基配列を示し、ハイフン(-)の後のアルファベットは、Forwardプライマー(f)又はリバースプライマー(r)を示す。表2~14、16及び17に記載するNは、縮重塩基(A,C,G又はTの何れか)を示す。
【0081】
なお、表1に記載のプライマーは、SuyamaらのScientific Reports|5:16963に記載された塩基配列からなるものである。
【0082】
なお、下記表におけるPCR酵素は、Multiplex PCR Assay Kit Ver.2(TAKARA)を使用した。具体的な1stPCR反応液を以下のように調整した。
・2.24μLの1stPCR用プライマーMix
・3.5μLの2x Multiplex buffer
・0.035のμLPCR Enzyme mix
・0.225μLのstDW
【0083】
上記1stPCR反応液をチューブに入れて、その後、テンプレートとするトマト品種MPK-1及びMicro-Tomの葉から抽出した20ng/μLのDNA溶液を1μL加えて混合し、下記の条件で1stPCRに供した。
【0084】
94℃ 1min(初期変性)
25cycle-----
94℃ 30sec(変性)
38℃ 1min(アニーリング)
72℃ 1min(伸長反応)
-------------
72℃ 10min
【0085】
1stPCRに供した反応物をアガロース電気泳動にてスメアを呈することを確認した後に、これをstDWにて50倍に薄めて2ndPCR工程に供した。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
2.2ndPCR
2ndPCRでは、サンプル識別のためのバーコードを付加し、最終的にDNA配列を検出する次世代シーケンサー(illumina社:HiseqX)のプラットフォームに対応するP5及びP7アダプター配列を付加した塩基配列の構造にする。具体的な2ndPCR反応の10xワーキングミックス液を以下のように調整した。
【0104】
・1.5μL Prime Star(商標) GXL polymerase(TAKARA)
・64.5μL stDW
・12.0μL dNTPs
【0105】
具体的な2ndPCR反応液を以下のように調整した。
10.8μLの上記ワーキングミックス
3μLの1stPCR産物(50倍希釈物)
0.6μLのindexingプライマーF(10μM)
0.6μLのindexingプライマーR(10μM)
【0106】
各サンプルの上記2ndPCRに使用したプライマー名(配列番号)と1stRCRのプライマーセットとの組み合わせを下記の表18に示す。また、表19に2ndPCRに使用した各プライマーの塩基配列を示す。なお、各サンプルで2セットずつの2ndPCRに使用したプライマーを使用して、それらのサンプルによって得られた結果を統合した。
【0107】
なお、対照実験として使用する1stRCRのプライマーセットのMIGについて、MPK-1サンプルの2ndフォワードプライマーとしてS576と、2ndリバースプライマーとしてS742との組み合わせを使用した。また、Micro-Tomサンプルの2ndフォワードプライマーとしてS582と、2ndリバースプライマーとしてS795との組み合わせを使用した。
・S576(配列番号273)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGGACATCAACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S742(配列番号274)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATACGGATTCGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
・S582(配列番号275)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGGTGTACAACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S795(配列番号276)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTGCTCATGGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
【0108】
【0109】
【0110】
2ndPCRの条件は以下の通りである。
98℃ 30sec(初期変性)
20cycle-----
98℃ 10sec(変性)
54℃ 15sec(アニーリング)
68℃ 30sec(伸長)
-------------
68℃ 7min
【0111】
3.プーリング・精製・サイズセレクション工程
上記に得られた2ndPCR産物を、AMpureXP(日本ジェネティクス社)による以下の方法により精製した。
1.2ndPCR産物を電気泳動で確認後、各10μLを混合する
2.poolingライブラリー100μLに180μLのAMpure加えてピペッティング後、5分間静置する。
3.マグネットスタンド上で2分静置し、その後、上澄みを捨てる。
4.70%のEtOHを加えて30秒静置し、70%EtOHを捨てる洗浄を2回繰り返す。
5.100μLのTEを加えて1分静置する。
6.マグネットスタンドで1分静置する。
7.上澄み100μLを回収する。
【0112】
また、SPRIselect(ベックマン社)以下に示す方法にてサイズセレクションに供した。
レフトサイドセレクション1:0.75=サンプル:SPRIselect
・100μLの精製したDNAに75μLのSPRIselectを加える。
・マグネットスタンドへ置き1分静置する。
・上澄みを捨てて85%エタノール200μLで洗浄する。
・100μLのTEを加えて1分静置する。
・マグネットスタンドへ移動し上澄みを回収する。
ライトサイドセレクション1:0.56=サンプル:SPRIselect
・100μLの精製したDNAに56μLのSPRIselectを加える。
・マグネットスタンドへ置き1分静置する。
・上澄みを新しいチューブに移動させ、124μLのSPRIselectを加えて10回以上ピペッティングし、1分静置する。
・マグネットスタンドへ置き、上澄みを捨てて85%エタノール200μLで洗浄する。
・12~42μLのTEを加えて、ピペッティングし1分静置する。
・マグネットスタンドへ移動し上澄みを回収する。
【0113】
得られたサンプルを次世代シーケンサー(Illumina社:HiseqX)で151bp paired-endの塩基配列からtrimmomaticによるリードのトリミング、bwaによるマッピングsamtools mpileupによるバリアントコールを行い、従来のMIG-seqと多型(SNP/indels)の数の比較を行なった。結果を
図1に示す。
【0114】
図1に示すように、トマト品種MPK-1およびMicro-Tomにおいて、1塩基のみ縮重塩基を導入した場合(図中の3N、4N、5N、7N、14N)、今回利用したプライマーセットについては、いずれの位置が縮重塩基であっても、シーケンスできる遺伝子座が増加することが明らかとなった。また、3’末端から4塩基目と5塩基目に縮重塩基を導入した場合(図中の4_5N)に、最も検出できる多型の数が増加することも明らかとなった。また、本発明の実験時に新たに作成したMIG-seqプライマーセットにおいても、4塩基目と5塩基目に縮重塩基を導入した場合(図中のcm4_5)に、検出できる多型の数が増加した。
【0115】
一方で縮重塩基を4つ以上導入した場合(図中の4_7N、4_8N及び4_9N)、多型の数は減少し、特に4~9塩基目の場合(4_9N)は、1stPCRの増幅がほとんど認められなかった。
【0116】
また、
図2に示す結果から、各プライマーセット間では通常のMIG-seqと多くとも3割程度しか多型が共通しておらず、従来のMIG(図中のControl)で読める遺伝子座とは違う遺伝子座をシーケンスできることが明らかとなった。
【0117】
実施例2
上記実施例1におけるトマト品種MPK-1及びMicro-Tomに代えて、モモ系統PP7及びPP9並びにトウガラシ品種「鷹ヶ峰」及び「Red habanero」を使用した。また、プライマーセットとして、表1に記載のMIG、表3のMIG-4N及び表10のMIG-4:5Nを使用した。その他は、実施例1と同様にしてDNAライブラリーを作成し、多型解析を行った。この実験にて使用した2ndPCRプライマー名(配列番号)と1stRCRのプライマーセットとの組み合わせを下記の表20に示す。また、表21に2ndPCRに使用した各プライマーの塩基配列を示す。その結果を
図3に示す。
【0118】
なお、対照実験として使用する1stRCRのプライマーセットのMIGについて、PP7サンプルの2ndフォワードプライマーとしてS585と、2ndリバースプライマーとしてS772との組み合わせを使用した。また、PP9サンプルの2ndフォワードプライマーとしてS548と、2ndリバースプライマーとしてS755との組み合わせを使用した。また、「鷹ヶ峰」サンプルの2ndフォワードプライマーとして上記S543と、2ndリバースプライマーとしてS704との組み合わせを使用した。また、Red habaneroサンプルの2ndフォワードプライマーとして上記S575と、2ndリバースプライマーとしてS715との組み合わせを使用した。
・S585(配列番号298)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGAACGGTTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S772(配列番号299)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATGGAGATGAGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
・S548(配列番号300)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGTCATCGTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S755(配列番号301)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCTCGCAAGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
・S704(配列番号302)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATTCCTCCGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
・S715(配列番号303)
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATTCCTCCGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
【0119】
【0120】
【0121】
図3に示すように、モモおよびトウガラシにおいても、実施例1のトマトと同様に3’末端から4、5塩基目を縮重塩基にした場合(図中のdpMIG_4:5N)に検出された多型数が一番多く、3’末端から4塩基目を縮重塩基にした場合(図中のdpMIG_4N)検出された多型数が2番目であり、MIG(図中のMIG-seq)の場合に検出された多型数が一番少なかった。また、dpMIG_4:5N及びdpMIG_4Nにおいて、多くの多型がMIG-seqでシーケンス場合とは違う領域由来であった。これらの結果から、プライマーの3’末端側の内部配列の縮重塩基への置換による検出できる多型数の増加傾向は、トマト以外の種においても確認され、本発明の汎用性が示された。
【0122】
実施例3
MIG法では、DNAライブラリー構築の最初の反応がPCRのため、夾雑物の多いDNAや劣化したDNA等のような品質の低いDNAからでも比較的ライブラリー構築が容易であるという利点が、上記実施例1及び2のような変異導入プライマーを使用した場合においても確認されるかを調査するため、ろ紙にダイコン系統rs5及びrs6の葉の汁液を塗りつけたものをテンプレートとした1stPCRによるライブラリー作成を行なった。
【0123】
Jiaら(Plant Cell Physiol.2021;62(10):1503-1505.)の方法に従い、ろ紙をsoaking buffer[2%のSDS、10mMのEDTA、60mMのTri-HCl(pH7.5)]に浸漬した後、風乾した。ダイコンの選抜系統rs5及びrs6の若い葉(葉長2-3cm)を採取し、上記のろ紙とパラフィルムの間に挟んで上から1.5mLエッペンチューブの先端をこすりつけることにより、葉の汁液をろ紙に染み込ませた。
【0124】
実施例2と同様に、表1に記載のMIG、表3のMIG-4N及び表10のMIG-4:5Nをプライマーセットとして使用した。PCR酵素は、Multiplex PCR Assay Kit Ver.2(TAKARA)を使用した。具体的な1stPCR反応液を、実施例1と同様に調整した。テンプレートとして、上記のろ紙を生研トレパン(カイ インダストリーズ株式会社)でくり抜いて1stPCR反応液に入れた。その後、実施例1と同様に1stPCR及び2ndPCRに供して、従来のMIG-seqと多型(SNP/indels)の数の比較を行なった。この実験にて使用した2ndPCRプライマー名(配列番号)と1stRCRのプライマーセットとの組み合わせを下記の表22に示す。また、表23に2ndPCRに使用した各プライマーの塩基配列を示す。結果を
図4に示す。
【0125】
なお、対照実験として使用する1stRCRのプライマーセットのMIGについて、rs5サンプルの2ndフォワードプライマーとしてMIG_S505又はS501と、2ndリバースプライマーとしてS727との組み合わせを使用した。また、rs6サンプルの2ndフォワードプライマーとしてS554又はS598と、2ndリバースプライマーとしてS727との組み合わせを使用した。
・S505(配列番号310)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACCGTATCTCACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S501(配列番号311)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTTACGTGCACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S727(配列番号312)
5’- CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCGGTTACGTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTGAC-3’
・S554(配列番号313)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACAGCTAAGCACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
・S598(配列番号314)
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACAAGACACCACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCTCTG-3’
【0126】
【0127】
【0128】
図4に示すように、遺伝子座の数はMIGよりもMIG-4NおよびMIG-4:5Nの方が多く、MIG-4:5Nでは一番多くの遺伝子座をシーケンスすることができた。このように、品質の低いDNAからでも所定の位置に縮重塩基を設けたプライマーを用いた場合、多くの遺伝子座を検出できることが明らかとなった。