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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004551
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】印字ユニットおよび携帯型端末
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/32 C
B41J3/36 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104176
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 浩平
【テーマコード(参考)】
2C055
2C065
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C055CC05
2C065AA01
2C065AB01
2C065AD02
2C065AD03
2C065CC02
2C065CC04
(57)【要約】
【課題】優れた耐衝撃性を有する印字ユニットを提供する。
【解決手段】印字ユニット6は、プラテンローラ50と、プラテンローラ50に圧接するサーマルヘッド40と、サーマルヘッド40を挟んでプラテンローラ50の反対側に配置され、サーマルヘッド40を支持するヘッド支持板80と、ヘッド支持板80を挟んでプラテンローラ50の反対側に配置された背板部11を有するとともに、ヘッド支持板80の両端を支持する本体フレーム10と、背板部11とヘッド支持板80との間に配置され、ヘッド支持板80をプラテンローラ50側に押圧する少なくとも1つの付勢部材90と、ヘッド支持板80に設けられ、ヘッド支持板80から背板部11側に突出し、少なくとも1つの付勢部材90のうち所定の付勢部材90の変位を規制する突出部85と、を備える。背板部11のうち突出部85とヘッド支持板80の厚み方向で向かい合う箇所には、凹部23が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在し、記録紙を搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラの外周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドを挟んで前記プラテンローラの反対側に配置され、前記サーマルヘッドを支持する支持板と、
前記支持板を挟んで前記プラテンローラの反対側に配置された背板部を有するとともに、前記支持板における前記軸方向の両端を支持するフレームと、
前記背板部と前記支持板との間に配置され、前記支持板を前記プラテンローラ側に押圧する少なくとも1つの付勢部材と、
前記支持板に設けられ、前記支持板から前記背板部側に突出し、前記少なくとも1つの付勢部材のうち所定の付勢部材の変位を規制する突出部と、
を備え、
前記背板部のうち前記突出部と前記支持板の厚み方向で向かい合う箇所には、凹部が形成されている、
印字ユニット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの付勢部材は、前記軸方向に3個以上並んでおり、
前記突出部は、前記少なくとも1つの付勢部材のうち前記軸方向の両端に配置された付勢部材以外の付勢部材の変位を規制する、
請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの付勢部材は、奇数個設けられており、
前記突出部は、前記少なくとも1つの付勢部材のうち前記軸方向の両端に配置された付勢部材から数えて中間に配置された付勢部材の変位を規制する、
請求項2に記載の印字ユニット。
【請求項4】
前記凹部は、前記突出部の高さよりも深い、
請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項5】
前記突出部が前記凹部に進入するように前記支持板が撓む場合に、前記突出部が前記背板部に対して非接触の状態で、前記支持板が前記背板部のうち前記凹部の外側部分に接触する、
請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印字ユニットを備えた携帯型端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニットおよび携帯型端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載の印字ユニットが知られている。この印字ユニットは、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を紙送りしながら記録紙の印字面をサーマルヘッドの発熱素子により加熱し、印字面を発色させて印字を行う。
【0003】
上記従来の印字ユニットは、サーマルヘッドが固定された支持板と、プラテンローラおよび支持板を支持するフレームと、支持板とフレームとの間の隙間に配置され、支持板をプラテンローラ側に押圧する弾性部材と、を備える。弾性部材は、プラテンローラとサーマルヘッドとの間に所定のヘッド加圧力を作用させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-159482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の印字ユニットにおいては、支持板とフレームとの間に隙間が存在するので、支持板が撓む余地がある。このため、印字ユニットに落下時等の衝撃が加わると、支持板が撓んでサーマルヘッドにひずみが生じ、サーマルヘッドが破損する可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、優れた耐衝撃性を有する印字ユニット、およびその印字ユニットを備えた携帯型端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る印字ユニットは、軸方向に延在し、記録紙を搬送するプラテンローラと、前記プラテンローラの外周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドを挟んで前記プラテンローラの反対側に配置され、前記サーマルヘッドを支持する支持板と、前記支持板を挟んで前記プラテンローラの反対側に配置された背板部を有するとともに、前記支持板における前記軸方向の両端を支持するフレームと、前記背板部と前記支持板との間に配置され、前記支持板を前記プラテンローラ側に押圧する少なくとも1つの付勢部材と、前記支持板に設けられ、前記支持板から前記背板部側に突出し、前記少なくとも1つの付勢部材のうち所定の付勢部材の変位を規制する突出部と、を備え、前記背板部のうち前記突出部と前記支持板の厚み方向で向かい合う箇所には、凹部が形成されている。
【0008】
仮に印字ユニットに加わる衝撃によって支持板が変位して突出部が背板部に接触すると、突出部が背板部に接触した後にも支持板に慣性が作用し続ける。この場合、支持板は、突出部が背板部に変位を規制されることで、突出部が背板部に接触しない場合と比較して、より大きな曲率で撓むように変形し得る。第1の態様によれば、支持板が背板部側に変位しても、凹部が突出部を受け入れて、突出部が背板部に接触することを抑制できる。これにより、印字ユニットに衝撃が加わっても、支持板が比較的大きな曲率で撓むことを抑制できる。このため、支持板に支持されたサーマルヘッドに過度なひずみが生じてサーマルヘッドが破損することを抑制できる。したがって、優れた耐衝撃性を有する印字ユニットを提供できる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る印字ユニットは、上記第1の態様に係る印字ユニットにおいて、前記少なくとも1つの付勢部材は、前記軸方向に3個以上並んでおり、前記突出部は、前記少なくとも1つの付勢部材のうち前記軸方向の両端に配置された付勢部材以外の付勢部材の変位を規制してもよい。
【0010】
第2の態様によれば、支持板における軸方向の中央部が背板部に接近するように支持板が撓んでも、全ての突出部のうち変位量が比較的大きい突出部を凹部が受け入れる。したがって、突出部が背板部に接触することをより確実に抑制できる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る印字ユニットは、上記第1の態様または第2の態様に係る印字ユニットにおいて、前記少なくとも1つの付勢部材は、奇数個設けられており、前記突出部は、前記少なくとも1つの付勢部材のうち前記軸方向の両端に配置された付勢部材から数えて中間に配置された付勢部材の変位を規制してもよい。
【0012】
第3の態様によれば、支持板における軸方向の中央部が背板部に接近するように支持板が撓んでも、全ての突出部のうち最も変位量の大きい突出部を凹部が受け入れる。したがって、突出部が背板部に接触することをより確実に抑制できる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る印字ユニットは、上記第1の態様から第3の態様のいずれかの態様に係る印字ユニットにおいて、前記凹部は、前記突出部の高さよりも深くてもよい。
【0014】
第4の態様によれば、突出部が凹部の底面に接触することを抑制できる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る印字ユニットは、前記突出部が前記凹部に進入するように前記支持板が撓む場合に、前記突出部が前記背板部に対して非接触の状態で、前記支持板が前記背板部のうち前記凹部の外側部分に接触してもよい。
【0016】
第5の態様によれば、突出部が背板部に接触する場合と比較して、支持板が背板部に接触した際に反力が支持板の広範囲に加わるので、サーマルヘッドの比較的狭い範囲に過度な外力が加わることを抑制できる。したがって、サーマルヘッドに応力集中が生じることを回避して、サーマルヘッドが破損することをより効果的に抑制できる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る携帯型端末は、上記第1の態様から第5の態様のいずれかの態様に係る印字ユニットを備える。
【0018】
第6の態様によれば、耐久性の高い携帯型端末を提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、優れた耐衝撃性を有する印字ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の携帯型端末の斜視図である。
図2】実施形態の印字ユニットの斜視図である。
図3】実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
図4】実施形態の印字ユニットの一部を示す斜視図である。
図5】実施形態の印字ユニットを上方から見た図である。
図6】実施形態の印字ユニットを左方から見た図である。
図7】実施形態のヘッド支持板の平面図である。
図8】実施形態の印字ユニットを後上方から見た図である。
図9図5のIX部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0022】
(携帯型端末)
図1は、実施形態の携帯型端末の斜視図である。
図1に示すように、携帯型端末1は、記録紙Pを印刷可能に構成されたものである。記録紙Pは、熱を加えると発色する感熱紙であり、各種ラベルやレシート、チケット等の印刷等に好適に使用される。記録紙Pは、中空孔を有するように巻回されたロール紙Rの状態で携帯型端末1にセットされ、ロール紙Rから引き出された部分に対して印刷が行われる。
【0023】
携帯型端末1は、ケーシング3と、表示部4と、制御部5と、印字ユニット6と、を有する。
ケーシング3は、ABSやABSとポリカーボネートとの複合材等のプラスチックや、金属材料により中空箱状に形成されている。ケーシング3は、直方体状の本体部7と、本体部7の長手方向の一端部において、本体部7の厚み方向の一方側に屈曲するロール紙収容部8と、を有する。本体部7の長手方向の一端部には、印字ユニット6が収容されている。本体部7の長手方向の一端面には、排出口3aが形成されている。排出口3aは、印字ユニット6を通って印刷された記録紙Pが排出される。本体部7の厚み方向の他方側に面する主面には、表示部4が配置されている。表示部4は、例えば液晶パネルであって、制御部5に接続されて各種の情報を表示する。ロール紙収容部8には、ロール紙Rが収容される。印字ユニット6は、いわゆるサーマルプリンタである。
【0024】
(印字ユニット)
図2は、実施形態の印字ユニットの斜視図である。図3は、実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
図2および図3に示すように、印字ユニット6は、記録紙Pを搬送するプラテンローラ50と、プラテンローラ50の外周面に圧接し、記録紙Pに印字するサーマルヘッド40と、サーマルヘッド40を挟んでプラテンローラ50の反対側に配置され、サーマルヘッド40を支持するヘッド支持板80(支持板)と、ヘッド支持板80を挟んでプラテンローラ50の反対側に配置された背板部11を有するとともに、プラテンローラ50およびヘッド支持板80を支持する本体フレーム10(フレーム)と、ヘッド支持板80を付勢する付勢部材90と、プラテンローラ50を回転軸線O回りに回転させるモータ60と、モータ60の駆動力を減速して、プラテンローラ50に固定された従動ギヤ54に伝達する第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32と、を備える。
【0025】
図2に示すように、印字ユニット6は、プラテンローラ50とサーマルヘッド40との間を通った記録紙Pを矢印Aの指向する方向に向かって搬送する。以下、主に印字ユニット6の説明では、矢印Aに沿う方向を上下方向L1と定義するとともに、矢印Aが指向する方向を上方と定義する。また、上下方向L1に直交し、プラテンローラ50の軸方向に一致する方向を左右方向L2と定義する。さらに、上下方向L1および左右方向L2に直交する方向を前後方向L3と定義し、前後方向L3においてサーマルヘッド40に対するプラテンローラ50側を前方と定義する。
【0026】
図4は、実施形態の印字ユニットの一部の構成部材を示す斜視図である。図5は、実施形態の印字ユニットを上方から見た図である。
図3から図5に示すように、本体フレーム10は、上下方向L1から見て前方に開放されたU字状に形成されている。具体的に、本体フレーム10は、左右方向L2に延在する背板部11と、背板部11の左右方向L2における一方側(左側)の端部から前方に立設された第1側壁部12と、背板部11の左右方向L2における他方側(右側)の端部から前方に立設された第2側壁部13と、第1側壁部12と第2側壁部13との間に設けられた紙ガイド部18と、を有する。これら背板部11、第1側壁部12、第2側壁部13および紙ガイド部18は、例えばガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂等により一体成形されている。
【0027】
背板部11は、前後方向L3に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部12は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部12の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第1ローラ挿入溝14Aが形成されている。第2側壁部13は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第2側壁部13の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第2ローラ挿入溝14Bが形成されている。第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bは、左右方向L2から見て互いに一致するように形成されている。第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bには、プラテンローラ50が着脱可能に挿入される。
【0028】
図6は、実施形態の印字ユニットを左方から見た図である。
図4および図6に示すように、第1側壁部12には、孔部12aが形成されている。第2側壁部13には、孔部13aが形成されている。孔部12a,13aは、左右方向L2から見て互いに一致するように形成されている。孔部12a,13aは、左右方向L2から見て一対の辺が前後方向L3に延び、かつ残り一対の辺が上下方向L1に延びる矩形状に形成されている。
【0029】
図3および図4に示すように、紙ガイド部18は、左右方向L2に沿って延びる柱状に形成されている。紙ガイド部18の左側の端部は、第1側壁部12の内側面に接続している。紙ガイド部18の右側の端部は、第2側壁部13の内側面に接続している。
【0030】
図3に示すように、第2側壁部13の外側には、ギヤボックス部15が形成されている。ギヤボックス部15は、第2側壁部13の周縁から左右方向L2の外側に向かって立設された周壁部16を有する。つまり、ギヤボックス部15は、第2側壁部13および周壁部16によって形成され、左右方向L2の外側に向かって開口している。周壁部16は、左右方向L2から見て上方に向けて開放されている。周壁部16には、下方に向かって凹む一対の係止凹部17が形成されている。一対の係止凹部17は、周壁部16の上方開放部の前後両側に形成されている。一対の係止凹部17には、ギヤカバー30が係合する。ギヤカバー30は、ギヤボックス部15の内側を左右方向L2の外側から覆う。ギヤボックス部15の内部には、互いに噛み合う第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32が回転可能に組み付けられている。
【0031】
モータ60は、出力軸線Q回りトルクを発生させる。モータ60は、出力軸線Qがプラテンローラ50の回転軸線O(図2参照)と平行になるように配置されている。モータ60は、紙ガイド部18を挟んでプラテンローラ50とは反対側であって、背板部11の下方に配置されている。モータ60は、第2側壁部13における左右方向L3の内側を向く面に固定されている。モータ60の出力軸61は、第2側壁部13を貫通している。出力軸61は、ギヤボックス部15の内側で第1減速ギヤ31に噛合している。モータ60には、フレキシブルプリント基板70が接続されている。モータ60は、フレキシブルプリント基板70を介して制御部5(図1参照)に電気的に接続されている。モータ60は、制御部5からの信号に基づいて駆動する。
【0032】
サーマルヘッド40は、記録紙P(図2参照)に対して印刷を行うものである。サーマルヘッド40は、背板部11の前方に配置されている。サーマルヘッド40は、前後方向L3から見て左右方向L2を長手方向とした矩形状に形成されている。サーマルヘッド40は、その厚み方向を前後方向L3に一致させた状態で配置されている。サーマルヘッド40のヘッド面40aは、背板部11の反対側(前方)を向いている。サーマルヘッド40のヘッド面40aには、左右方向L2に多数の発熱素子41が配列されている。
【0033】
ヘッド面40aは、記録紙Pの印字面と対向し、プラテンローラ50の外周面との間で記録紙Pを挟持可能である。サーマルヘッド40は、フレキシブルプリント基板70を介して制御部5(図1参照)に接続され、サーマルヘッド40上に搭載されたドライバーIC(不図示)が、制御部5からの信号に基づいて発熱素子41の発熱を制御している。サーマルヘッド40は、発熱素子41の発熱が制御されて、各種の文字や図形等を記録紙Pの印字面へ印刷する。サーマルヘッド40は、ヘッド支持板80の前面に両面テープ等を用いて貼り付けられることで、ヘッド支持板80に固定されている。
【0034】
ヘッド支持板80は、背板部11の前方、かつ紙ガイド部18よりも後方に配置されている。ヘッド支持板80は、第1側壁部12および第2側壁部13の間に配置されている。ヘッド支持板80は、金属材料により形成されている。ヘッド支持板80は、左右方向L2を長手方向とした板状の部材である。ヘッド支持板80は、厚み方向を前後方向L3に一致させた状態で配置されている。ヘッド支持板80は、後述する突出部85を除く全体にわたって一定の厚さで左右方向L2および上下方向L1に延びている。ヘッド支持板80の前面には、サーマルヘッド40が固定されている。サーマルヘッド40における左右方向L2の中間位置は、ヘッド支持板80における左右方向L2の中間位置と一致する。
【0035】
図7は、実施形態のヘッド支持板の平面図である。
図7に示すように、ヘッド支持板80は、被固定部81と、一対のストッパ83と、を備える。
【0036】
被固定部81は、ヘッド支持板80の下部に設けられている。被固定部81は、ヘッド支持板80における左右方向L2の中央部に位置し、下方に突出している。被固定部81は、本体フレーム10の背板部11および紙ガイド部18に挟持されて、本体フレーム10に対する前後方向L3の変位を実質的に規制されている。ヘッド支持板80は、被固定部81を中心に、上部が前後動するように回動可能とされている。
【0037】
図3および図7に示すように、一対のストッパ83は、ヘッド支持板80の上端部に設けられている。一対のストッパ83は、前後方向L3から見て略一定の幅で左右方向L2の外側に突出している。ストッパ83は、本体フレーム10の孔部12a,13aに1つずつ挿入されている。ストッパ83は、孔部12a,13aの内壁面に対して前後方向L3に隙間を有している。ストッパ83は、ヘッド支持板80の回動に伴って孔部12a,13a内を前後方向L3に沿って移動し、孔部12a,13aの内壁面に接触可能に構成されている。ストッパ83は、孔部12a,13aの内壁面に接触することにより、ヘッド支持板80の回動量を規制している。ストッパ83と孔部12a,13aの内壁面との後方の隙間G(図6参照)は、前進したストッパ83が孔部12a,13aの内壁面に接触しても、ヘッド支持板80のうち被固定部81およびストッパ83以外の箇所が本体フレーム10に接触しない大きさに設定されている。
【0038】
図2に示すように、プラテンローラ50は、本体フレーム10によって回転軸線O回りに回転可能に支持されている。プラテンローラ50は、回転軸線Oを左右方向L2に一致させた状態でサーマルヘッド40に対向配置されている。プラテンローラ50は、サーマルヘッド40との間に記録紙Pを挟んだ状態で回転軸線Oを中心に回転することで、記録紙Pを矢印Aの指向する方向に送り出す。
【0039】
図3に示すように、プラテンローラ50は、ローラシャフト51と、ローラシャフト51に外装されたローラ本体52と、ローラシャフト51の両端に装着された一対の軸受53と、を有する。ローラシャフト51は、本体フレーム10の第1側壁部12と第2側壁部13との離間距離よりやや長く形成されている。ローラ本体52は、例えばゴム等により形成され、左右方向L2に沿って、ローラシャフト51の両端を除く全体に亘って一様に配置されている。
【0040】
図2および図3に示すように、プラテンローラ50の一対の軸受53は、本体フレーム10の第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに挿入される。軸受53は、本体フレーム10に支持された係止ばね19によって第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14B内に保持されている。これによりプラテンローラ50は、本体フレーム10に対して回転可能に保持されている。また、プラテンローラ50は、係止ばね19を弾性変形させて軸受53を第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに進退させることにより、本体フレーム10に対して着脱可能となっている。プラテンローラ50は、第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに挿入された状態において、ロール紙R(図1参照)から引き出された記録紙Pをサーマルヘッド40との間に挟み、ローラ本体52の外周面がサーマルヘッド40のヘッド面40aに接触するように設けられている。
【0041】
図3に示すように、プラテンローラ50の左右方向L2における他方側(右側)の端部には、従動ギヤ54が固定されている。従動ギヤ54は、プラテンローラ50が第1側壁部12および第2側壁部13に保持されたときに、ギヤボックス部15の上部に組み付けられる。従動ギヤ54は、第2減速ギヤ32に噛合している。これにより、モータ60からの回転駆動力は、第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32を介して従動ギヤ54に伝達される。プラテンローラ50は、第1側壁部12および第2側壁部13に保持された状態で回転し、記録紙P(図2参照)を送り出すことができる。
【0042】
図8は、実施形態の印字ユニットを後上方から見た図である。
図5および図8に示すように、付勢部材90は、ヘッド支持板80と背板部11との間に配置されている。付勢部材90は、ヘッド支持板80と背板部11とを互いに離間させる方向に付勢している。付勢部材90は、ヘッド支持板80をプラテンローラ50側に押圧する。付勢部材90は、前後方向L3に伸縮する圧縮コイルばねである。具体的に、付勢部材90は、前方から後方に向かって縮径する円錐ばねである。付勢部材90の後端部は、背板部11の前面11aに当接している。付勢部材90の前端部は、ヘッド支持板80の背板部11側を向く面(後面)に当接している。付勢部材90は、ヘッド支持板80における左右方向L2の中間位置に対して左右対称に配置されている。付勢部材90は、左右方向L2に等間隔で3個並んでいる。
【0043】
図7および図8に示すように、ヘッド支持板80の後面には、突出部85が形成されている。突出部85は、円柱状に形成され、ヘッド支持板80から背板部11側に突出している。突出部85の高さは、互いに等しい。突出部85は、ヘッド支持板80の厚み方向(前後方向)から見て背板部11に重なるように配置されている。突出部85は、各付勢部材90に対して一対ずつ設けられている。一対の突出部85は、左右方向L2に間隔をあけて設けられている。一対の突出部85の間隔は、付勢部材90の前端部の左右方向L2の幅よりも小さい。一対の突出部85は、付勢部材90の前端部に上方から接触可能である。一対の突出部85は、付勢部材90の前端部に接触して付勢部材90の上方移動を規制することで、付勢部材90を位置決めしている。なお、以下の説明において、突出部85のうち中央の付勢部材90に対応する一対の突出部85のそれぞれを、中央突出部85Aと称する場合がある。中央の付勢部材90は、全ての付勢部材90のうち左右方向L2の両端に配置された付勢部材90以外の付勢部材90の1つであって、全ての付勢部材90のうち左右方向L2の両端に配置された付勢部材90から数えて中間に配置された付勢部材90である。
【0044】
図9は、図5のIX部を示す拡大図である。
図4図5および図9に示すように、背板部11には、付勢部材90を保持する保持部21と、背板部11と突出部85との接触を避ける凹部23と、が形成されている。
【0045】
保持部21は、背板部11の前面11aに開口するとともに後方に窪む凹状に形成されている。保持部21は、上下方向L1に延びて、背板部11の上端面に開口している。保持部21は、付勢部材90と同数(本実施形態では3つ)設けられている。保持部21には、付勢部材90の後端部が配置される。保持部21は、付勢部材90の後端部が上方から進入することを許容し、かつ付勢部材90の後端部の左右方向L2の変位を規制する。
【0046】
凹部23は、背板部11のうちヘッド支持板80の各突出部85と前後方向L3で向かい合う箇所に1つずつ形成されている。凹部23は、背板部11の前面11aに開口するとともに後方に窪んでいる。凹部23は、背板部11の前面11aから上端面にわたって連続して開口している。凹部23は、背板部11のうち前後方向L3から見て各突出部85に重なる部分の全体を含むように形成されている。これにより、凹部23は、後方に変位した突出部85が背板部11に接触することを避けている。
【0047】
凹部23は、保持部21に左右方向L2で隣接する箇所に1つずつ形成されている。中央突出部85Aを受け入れる凹部23の上下方向の寸法は、中央の付勢部材90を保持する保持部21の上下方向の寸法よりも小さい。各凹部23は、保持部21に連通している。背板部11の上端面において、凹部23の開口は、保持部21の開口と連続している。背板部11の上端面における凹部23および保持部21の開口縁は、面取りされている。凹部23は、隣接する保持部21よりも浅く形成されている。凹部23は、突出部85の高さよりも深い。図9に示すように、凹部23の深さDは、背板部11の前面11aを基準とした深さである。突出部85の高さHは、ヘッド支持板80の後面を基準とした高さである。
【0048】
上述した印字ユニット6の作用について説明する。
印字ユニット6に落下時等の衝撃が加わると、ヘッド支持板80に慣性が作用し、ヘッド支持板80が本体フレーム10に対して瞬間的に変位しようとする。ヘッド支持板80は、落下の向きによってはヘッド支持板80のストッパ83と本体フレーム10の孔部12a,13aの内壁面との隙間を狭めるように本体フレーム10に対して変位する。また、ヘッド支持板80は、ストッパ83が本体フレーム10に対して変位することを規制された状態では、左右方向L2の両端が実質的に固定端とされて撓む。この場合、ヘッド支持板80のうち左右方向L2の中央部における変位量が最も大きくなり得る。特にヘッド支持板80は、前後方向L3に厚みを有する板状に形成されているので、前後方向L3に撓みやすい。
【0049】
本体フレーム10の背板部11のうち、ヘッド支持板80に設けられた突出部85に前後方向L3で向かい合う箇所に凹部23が形成されている。これにより、ヘッド支持板80が前後方向L3に沿って背板部11側に変位しても、凹部23が突出部85を受け入れて、突出部85が背板部11に接触することを抑制できる。
【0050】
なお、突出部85が凹部23に進入するようにヘッド支持板80が撓んだ場合に、突出部85が背板部11に対して非接触の状態で、ヘッド支持板80が背板部11のうち凹部23の外側部分に接触する。このときヘッド支持板80は、背板部11の前面11aのうち、凹部23の開口周辺における平坦部分に面接触する。
【0051】
ここで、仮に印字ユニットに加わる衝撃によってヘッド支持板が変位して突出部が背板部に接触すると、突出部が背板部に接触した後にもヘッド支持板に慣性が作用し続ける。この場合、ヘッド支持板は、突出部が背板部に変位を規制されることで、突出部が背板部に接触しない場合と比較して、より大きな曲率で撓むように変形し得る。本実施形態によれば、突出部85が背板部11に接触することを回避できるので、印字ユニット6に衝撃が加わっても、ヘッド支持板80が比較的大きな曲率で撓むことを抑制できる。このため、ヘッド支持板80に支持されたサーマルヘッド40に過度なひずみが生じてサーマルヘッド40が破損することを抑制できる。したがって、優れた耐衝撃性を有する印字ユニット6を提供できる。
【0052】
また、本実施形態では、凹部23は、全ての付勢部材90のうち左右方向L3の両端に配置された付勢部材90以外の付勢部材90の1つに対応する突出部85(中央突出部85A)に向かい合う箇所に形成されている。ヘッド支持板80における左右方向L3の中央部が背板部11に接近するようにヘッド支持板80が撓んだ場合には、ヘッド支持板80の中央部に近い突出部85ほど変位量が大きくなる。本実施形態によれば、ヘッド支持板80における左右方向L3の中央部が背板部11に接近するようにヘッド支持板80が撓んでも、全ての突出部85のうち変位量が比較的大きい突出部85を凹部23が受け入れる。したがって、突出部85が背板部11に接触することをより確実に抑制できる。
【0053】
さらに本実施形態では、凹部23は、全ての付勢部材90のうち左右方向L3の両端に配置された付勢部材90から数えて中間に配置された付勢部材90に対応する突出部85(中央突出部85A)に向かい合う箇所に形成されている。この構成によれば、ヘッド支持板80における左右方向L3の中央部が背板部11に接近するようにヘッド支持板80が撓んでも、全ての突出部85のうち最も変位量の大きい突出部85を凹部23が受け入れる。したがって、突出部85が背板部11に接触することをより確実に抑制できる。
【0054】
しかも、凹部23は突出部85の高さよりも深いので、突出部85が凹部23の底面に接触することを抑制できる。
【0055】
突出部85が凹部23に進入するようにヘッド支持板80が撓む場合に、突出部85が背板部11に対して非接触の状態で、ヘッド支持板80が背板部11のうち凹部23の外側部分に接触する。これにより、突出部が背板部に接触する場合と比較して、ヘッド支持板80が背板部11に接触した際に反力がヘッド支持板80の広範囲に加わるので、サーマルヘッド40の比較的狭い範囲に過度な外力が加わることを抑制できる。したがって、サーマルヘッド40に応力集中が生じることを回避して、サーマルヘッド40が破損することをより効果的に抑制できる。
【0056】
そして、本実施形態の携帯型端末1は、上述した印字ユニット6を備えるので、耐久性の高い携帯型端末とすることができる。
【0057】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、印字ユニット6に複数の付勢部材90が設けられ、各付勢部材90に対して突出部85が設けられ、背板部11のうち各突出部85に向かい合う箇所に凹部23が形成されているが、この構成に限定されない。例えば、付勢部材は1個だけ設けられていてもよい。また、凹部は、背板部のうち一部の突出部に向かい合う箇所のみに形成されていてもよい。この場合、一部の突出部は、全ての付勢部材のうち左右方向の両端に配置された付勢部材以外の付勢部材の変位を規制する突出部を含むことが望ましい。すなわち凹部は、少なくとも両端以外の付勢部材に対応する突出部に向かい合う箇所に形成されていることが望ましい。さらに、一部の突出部は、付勢部材が複数かつ奇数個設けられている場合には、全ての付勢部材のうち左右方向の両端に配置された付勢部材から数えて中間に配置された付勢部材の変位を規制する突出部を含むことがより望ましい。すなわち凹部は、少なくとも中央の付勢部材に対応する突出部に向かい合う箇所に形成されていることがより望ましい。例えば、凹部は、中央突出部85Aに向かい合う箇所のみに形成されていてもよい。
【0058】
上記実施形態では、突出部が円柱状に形成されているが、突出部の形状は特に限定されない。また、突出部は、1個の付勢部材に対して1個だけ設けられていてもよいし、3個以上設けられていてもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…携帯型端末 6…印字ユニット 10…本体フレーム(フレーム) 11…背板部 23…凹部 40…サーマルヘッド 50…プラテンローラ 80…ヘッド支持板(支持板) 85…突出部 90…付勢部材 P…記録紙
図1
図2
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図8
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