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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004552
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】硬貨処理装置および貨幣取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 3/00 20060101AFI20240110BHJP
   G07D 3/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G07D3/00 E
G07D3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104177
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】町田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 広和
(72)【発明者】
【氏名】末冨 一夫
(72)【発明者】
【氏名】松村 貴雄
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141GA06
3E141GB01
3E141HA09
3E141JA01
3E141LA01
3E141LA11
3E141LA21
3E141LA46
3E141LA57
(57)【要約】
【課題】非還流庫と還流庫とが着脱部に対して装着可能な硬貨処理装置の利便性を向上させることが可能な技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】硬貨が投入される入金部と、前記入金部に投入された前記硬貨の金種を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づいて、前記硬貨を金種別に選別して搬送する選別搬送部と、前記選別搬送部によって搬送された前記硬貨を、金種別に収納する複数の硬貨収納庫と、前記複数の硬貨収納庫が着脱可能に装着される着脱部と、前記複数の硬貨収納庫から繰り出された硬貨が出金される出金部と、を備え、前記着脱部は、前記複数の硬貨収納庫のうち一部の硬貨収納庫を、前記入金部に投入された硬貨のうち前記出金部に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫に替えて装着可能である、硬貨処理装置が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される入金部と、
前記入金部に投入された前記硬貨の金種を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記硬貨を金種別に選別して搬送する選別搬送部と、
前記選別搬送部によって搬送された前記硬貨を、金種別に収納する複数の硬貨収納庫と、
前記複数の硬貨収納庫が着脱可能に装着される着脱部と、
前記複数の硬貨収納庫から繰り出された硬貨が出金される出金部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記複数の硬貨収納庫のうち一部の硬貨収納庫を、前記入金部に投入された硬貨のうち前記出金部に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫に替えて装着可能である、
硬貨処理装置。
【請求項2】
前記着脱部を内部の空間に収納可能な筐体を更に有し、
前記着脱部は、前記筐体の開口を介して前記空間内に収納又は該空間から外部に引き出し可能であり、
前記非還流庫は、前記着脱部が前記筐体の内部に収納された状態の前記開口から最も遠くに位置する最奥の硬貨収納庫よりも、前記開口側の位置に装着される硬貨収納庫に替えて装着されている、
請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記選別搬送部は、
前記硬貨の搬送路に沿って設けられた複数の金種別排出口を備え、前記複数の金種別排出口を介して前記硬貨を金種別に前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫に収納させ、
前記非還流庫は、
前記複数の金種別排出口のうち、前記選別搬送部における前記硬貨の搬送方向の最上流に位置する金種別排出口以外のいずれかの金種別排出口を介して硬貨を収納する、
請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記着脱部は、
前記非還流庫が装着可能な位置ごとに、前記非還流庫が装着されたことを検知する第1のセンサを備え、
前記選別搬送部は、
前記第1のセンサによって前記非還流庫が検知された位置に対応する金種別排出口を介して、前記入金部に投入された前記所定の金種の硬貨を、前記非還流庫に収納させるように搬送する、
請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記複数の硬貨収納庫と前記非還流庫とは、それぞれ硬貨を収容するための収容空間を形成するタンク部を有し、
前記硬貨収納庫のタンク部と、前記非還流庫のタンク部は、異なる色で形成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記硬貨収納庫は、
前記硬貨を前記収容空間の外部へ繰り出すための繰り出し部が前記収容空間の下部に設けられ、
前記非還流庫は、
前記硬貨を前記収容空間内で集積させるための蓋部が前記収容空間の下部に設けられる、
請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記選別搬送部は、
前記判別部により真貨ではないと判別された硬貨を排出するリジェクト口を備え、
前記硬貨処理装置は、
前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫における所定の位置に存在する物体を検知する第2のセンサと、
前記第2のセンサの検知結果に基づいて前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫のいずれかが、それ以上硬貨を収納することが出来ない満杯状態であるか否かを判断する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記満杯状態であると判断した後に、前記判別部により前記所定の金種であると判別された硬貨があった場合には、前記硬貨が前記リジェクト口から排出されるように前記選別搬送部を制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
硬貨が投入される入金部と、
前記入金部に投入された前記硬貨の金種を判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記硬貨を金種別に選別して搬送する選別搬送部と、
前記選別搬送部によって搬送された前記硬貨を、金種別に収納する複数の硬貨収納庫と、
前記複数の硬貨収納庫が着脱可能に装着される着脱部と、
前記複数の硬貨収納庫から繰り出された硬貨が出金される出金部と、
を備え、
前記着脱部は、
前記複数の硬貨収納庫のうち一部の硬貨収納庫を、前記入金部に投入された硬貨のうち前記出金部に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫に替えて装着可能である、
硬貨処理装置と、
紙幣が投入される紙幣投入部と、
前記紙幣投入部に投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを鑑別し、前記紙幣が正常な紙幣である場合に、前記紙幣の金種を判別する紙幣鑑別部と、
前記紙幣を金種別に収納する紙幣収納部と、
を備える、紙幣処理装置と、
を有する、貨幣取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨処理装置および貨幣取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、硬貨処理装置に関する各種技術が知られている。例えば、金種別に硬貨を保留する金種別保留繰り出し装置によって保留される硬貨の金種を変更することが可能な硬貨処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、機体に投入された硬貨の金種を識別する識別部と、特定金種の硬貨を選別する選別部と、特定金種の硬貨を一時的に保留する一時保留部と、一時的に保留された特定金種の硬貨を収納指示に基づいて収納する収納部とを備える、硬貨入金機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
かかる硬貨入金機において、特定金種はあらかじめ指定された複数の金種のいずれであってもよい場合が想定されている。したがって、かかる硬貨入金機において、収納部は、あらかじめ指定された複数の金種の硬貨を混在して収納する。
【0005】
ここで、複数の金種の硬貨を混在して収納する収納庫から所望の金種の硬貨を出金させるのは困難である。そのため、複数の金種の硬貨を混在して収納する収納庫は、収納する硬貨を出金しない非還流庫に該当する。かかる硬貨入金機において、非還流庫は、硬貨入金機の着脱部において、非還流庫に専用の装着位置に対してのみ装着可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-67325号公報
【特許文献2】特開2008-299406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、着脱部に対しては、非還流庫以外に、収納する硬貨を出金する還流庫も装着される。このように、着脱部に対して、非還流庫と還流庫とが装着可能である場合において、非還流庫が着脱部における専用の装着位置に対してのみ装着可能であるとすると、着脱部を有する硬貨処理装置の利便性が向上しないことが考えられる。
【0008】
そこで、非還流庫と還流庫とが装着可能な着脱部を有する硬貨処理装置の利便性を向上させることが可能な技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨が投入される入金部と、前記入金部に投入された前記硬貨の金種を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づいて、前記硬貨を金種別に選別して搬送する選別搬送部と、前記選別搬送部によって搬送された前記硬貨を、金種別に収納する複数の硬貨収納庫と、前記複数の硬貨収納庫が着脱可能に装着される着脱部と、前記複数の硬貨収納庫から繰り出された硬貨が出金される出金部と、を備え、前記着脱部は、前記複数の硬貨収納庫のうち一部の硬貨収納庫を、前記入金部に投入された硬貨のうち前記出金部に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫に替えて装着可能である、硬貨処理装置が提供される。
【0010】
前記硬貨処理装置は、前記着脱部を内部の空間に収納可能な筐体を更に有し、前記着脱部は、前記筐体の開口を介して前記空間内に収納又は該空間から外部に引き出し可能であり、前記非還流庫は、前記着脱部が前記筐体の内部に収納された状態の前記開口から最も遠くに位置する最奥の硬貨収納庫よりも、前記開口側の位置に装着される硬貨収納庫に替えて装着されていてもよい。
【0011】
前記選別搬送部は、前記硬貨の搬送路に沿って設けられた複数の金種別排出口を備え、前記複数の金種別排出口を介して前記硬貨を金種別に前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫に収納させ、前記非還流庫は、前記複数の金種別排出口のうち、前記選別搬送部における前記硬貨の搬送方向の最上流に位置する金種別排出口以外のいずれかの金種別排出口を介して硬貨を収納してもよい。
【0012】
前記着脱部は、前記非還流庫が装着可能な位置ごとに、前記非還流庫が装着されたことを検知する第1のセンサを備え、前記選別搬送部は、前記第1のセンサによって前記非還流庫が検知された位置に対応する金種別排出口を介して、前記入金部に投入された前記所定の金種の硬貨を、前記非還流庫に収納させるように搬送してもよい。
【0013】
前記複数の硬貨収納庫と前記非還流庫とは、それぞれ硬貨を収容するための収容空間を形成するタンク部を有し、前記硬貨収納庫のタンク部と、前記非還流庫のタンク部は、異なる色で形成されていてもよい。
【0014】
前記硬貨収納庫は、前記硬貨を前記収容空間の外部へ繰り出すための繰り出し部が前記収容空間の下部に設けられ、前記非還流庫は、前記硬貨を前記収容空間内で集積させるための蓋部が前記収容空間の下部に設けられてもよい。
【0015】
前記選別搬送部は、前記判別部により真貨ではないと判別された硬貨を排出するリジェクト口を備え、前記硬貨処理装置は、前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫における所定の位置に存在する物体を検知する第2のセンサと、前記第2のセンサの検知結果に基づいて前記複数の硬貨収納庫または前記非還流庫のいずれかが、それ以上硬貨を収納することが出来ない満杯状態であるか否かを判断する制御部と、を備え、前記制御部は、前記満杯状態であると判断した後に、前記判別部により前記所定の金種であると判別された硬貨があった場合には、前記硬貨が前記リジェクト口から排出されるように前記選別搬送部を制御してもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、硬貨が投入される入金部と、前記入金部に投入された前記硬貨の金種を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づいて、前記硬貨を金種別に選別して搬送する選別搬送部と、前記選別搬送部によって搬送された前記硬貨を、金種別に収納する複数の硬貨収納庫と、前記複数の硬貨収納庫が着脱可能に装着される着脱部と、前記複数の硬貨収納庫から繰り出された硬貨が出金される出金部と、を備え、前記着脱部は、前記複数の硬貨収納庫のうち一部の硬貨収納庫を、前記入金部に投入された硬貨のうち前記出金部に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫に替えて装着可能である、硬貨処理装置と、紙幣が投入される紙幣投入部と、前記紙幣投入部に投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを鑑別し、前記紙幣が正常な紙幣である場合に、前記紙幣の金種を判別する紙幣鑑別部と、前記紙幣を金種別に収納する紙幣収納部と、を備える、紙幣処理装置と、を有する、貨幣取扱装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、非還流庫と還流庫とが装着可能な着脱部を有する硬貨処理装置の利便性を向上させることが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る入出金機200の外観構成の例を示した図である。
図2】本発明の実施形態に係る入出金機200の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置を正面側から見た図である。
図4】第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置を右側面側から見た図である。
図5】第1の実施形態に係る硬貨繰り出し部4、硬貨鑑別部5、および選別搬送部6を示す概略平面図である。
図6図5のA-A矢視図である。
図7図6のB-B矢視図である。
図8図5のC-C矢視図である。
図9】第1の実施形態における、金種別ホッパ12a~12fが装着された着脱部13を示す斜視図である。
図10】第1の実施形態に係る金種別ホッパ12aの構成の一例を示す図である。
図11図10のD-D矢視図である。
図12】第1の実施形態に係る非還流庫44の構成の一例を示す図である。
図13図12のE-E矢視図である。
図14】第1の実施形態において非還流庫44が装着された後の硬貨処理装置1Aの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置1Aを右側面側から見た図である。
図15】第2の実施形態において非還流庫44が装着された後の硬貨処理装置1Bの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置1Bを右側面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<0.入出金機の構成>
まず、本発明の実施形態に係る入出金機の構成例について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る入出金機200の外観構成の例を示した図である。図1に示すように、入出金機200は、カードリーダ部131と、操作表示部133と、制御部150と、硬貨を処理する硬貨処理装置1と、紙幣を処理する紙幣処理装置100とを備える。硬貨処理装置1は、硬貨投入口3を備え、紙幣処理装置100は、紙幣投入口101を備える。これらの各構成については、後に詳細に説明する。
【0022】
なお、入出金機200は、現金の入出金を行う装置であり、現金を管理する現金管理装置、現金を処理する現金処理装置、現金を用いた取引を行う現金取引装置または貨幣を取り扱う貨幣取扱装置にも該当し得る。貨幣の一例としては、硬貨が挙げられる。また、貨幣の他の一例としては、紙幣が挙げられる。
【0023】
ここでは、入出金機200が、小売店またはスーパーマーケット等といった店舗のバックヤードに設置される場合を想定する。かかる場合、業務開始前に、店員は、売り場のレジに持ち込む釣銭準備金を入出金機200から出金する。釣銭準備金は、店舗での取引に釣銭として使用するために確保する現金である。
【0024】
一方、業務終了後に、店員は、釣銭準備金の残金と売上金とを入出金機200に入金する。入出金機200が設置される場所は店舗のバックヤードに限定されない。例えば、入出金機200は、宅配サービス業者等の集配センターに設置されてもよい。
【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る入出金機200の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る入出金機200は、硬貨処理装置1と、紙幣処理装置100と、カードリーダ部131と、操作表示部133と、制御部150と、記憶部160と、を備える。
【0026】
硬貨処理装置1は、硬貨投入口3と、硬貨鑑別部5と、硬貨リジェクト庫9と、硬貨一時保留部10と、硬貨返却箱11と、硬貨収納部12と、硬貨出金箱15と、硬貨回収庫16と、を備える。紙幣処理装置100は、紙幣投入口101と、紙幣鑑別部104と、紙幣一時保留部106と、万券還流庫107と、五千券還流庫109と、千券還流庫111と、紙幣回収庫113と、紙幣リジェクト庫115と、を備える。
【0027】
紙幣投入口101は、入出金機200に入金される紙幣が投入される投入口である。また、紙幣投入口101は、紙幣の出金口でもある。より詳細に、紙幣投入口101から、釣銭準備金の残金および売上金の入金(以下、単に「売上入金」とも言う。)の取り消しにより返却される紙幣、出金される紙幣、および、紙幣鑑別部104により正常ではないとしてリジェクトされた紙幣等が出金される。
【0028】
紙幣鑑別部104は、紙幣投入口101に投入された紙幣が正常な紙幣であるか否かを各種センサによって鑑別すると共に、当該紙幣が正常な紙幣である場合に、当該紙幣の金種を判別し、金種別の枚数を計数する。また、紙幣一時保留部106には、売上入金時、精査時および売上金の回収時に、一時的に紙幣が集積される。精査は、入出金機200の内部の有高を集計する処理である。
【0029】
万券還流庫107、五千券還流庫109および千券還流庫111は、それぞれ万券、五千券、および千券の紙幣を収納する現金収納部である。以下、これらの還流庫をまとめて「紙幣収納部112」とも言う。具体的に、紙幣収納部112には、バラ状態の紙幣が釣銭準備金として収納される。また、紙幣収納部112には、紙幣投入口101に売上金として投入され、紙幣鑑別部104によって正常と鑑別された紙幣が金種別に収納される。さらに、釣銭出金時には、紙幣収納部112から紙幣が出金される。
【0030】
紙幣回収庫113は、売上金の回収のための還流庫として主に用いられる。具体的に、紙幣回収庫113には、売上金の回収時に、紙幣収納部112から移動された紙幣が売上金として収納される。
【0031】
紙幣リジェクト庫115には、紙幣鑑別部104によって正常な紙幣ではないと鑑別された紙幣、すなわちリジェクトされた紙幣が集積される。具体的に、紙幣リジェクト庫115には、売上入金時に紙幣一時保留部106から紙幣収納部112に紙幣を搬送する過程において紙幣鑑別部104によってリジェクトされた紙幣、紙幣収納部112から釣銭出金を行う過程において紙幣鑑別部104によってリジェクトされた紙幣、売上金の回収時に紙幣収納部112から紙幣回収庫113に紙幣を搬送する過程において紙幣鑑別部104によってリジェクトされた紙幣等が集積される。
【0032】
カードリーダ部131は、接触または近接されたカード(例えば、IDカードまたは回収用カード等)からカードに格納されている情報を読み取る。
【0033】
例えば、カードが操作者によりカードリーダ部131にかざされると、カードリーダ部131は、IDカードまたは回収用カード等に書き込まれた情報を読み取る。IDカードまたは回収用カード等に書き込まれる情報として、例えば、カードを利用する操作者を識別するための情報、および許可されている取引の種類を示す情報が挙げられる。このカードリーダ部131から読み取られる情報が事前に登録されている情報と一致する場合、操作者による入出金機200の利用が制御部150により許可される。
【0034】
なお、入出金機200は、カードリーダ部131に加えて、あるいはカードリーダ部131に代えて、指紋認識を行う指紋認識部、または暗証番号の入力を受け付ける暗証番号入力部を有してもよい。
【0035】
操作表示部133は、操作者による操作を検出する操作部としての機能および各種画面を表示する表示部としての機能を有する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、操作部としての機能は、例えば、タッチパネルにより実現される。なお、表示部および操作部は分離して構成されてもよい。
【0036】
制御部150は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの実行において使用するプログラムおよび、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)等によって構成される。
【0037】
制御部150は、入出金機200の動作全般を制御する。例えば、制御部150は、紙幣収納部112および硬貨収納部12に収納されている現金の金種別の枚数を記憶部160に記憶させる管理部としての機能を有する。制御部150は、操作者のIDカードまたは回収用カードによる認証が終了すると、操作者が所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させ、メニュー画面において操作者により選択された処理の実行を制御する。IDカードまたは回収用カードによる認証はどのようにして行われてもよい。
【0038】
例えば、店員は、IDカードとカードリーダ部131とを接触させることにより制御部150に認証を実行させる。例えば、制御部150は、IDカードに記録されている店員の識別情報が、記憶部160によってあらかじめ記憶されている店員の識別情報と一致する場合に、認証が成功したと判断し、店員による入出金機200へのログインを可能にする。なお、IDカードに記録されている店員の識別情報の代わりに、店員によってテンキーから入力された情報に基づいて認証が行われてもよい。
【0039】
店員による入出金機200へのログインが成功すると、制御部150は、店員が所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させる。そして、制御部150は、メニュー画面において店員により選択された処理を実行する。具体的に、店員が選択可能な処理の例としては、売上入金および釣銭出金等が挙げられる。このとき、メニュー画面は、売上入金ボタン、釣銭出金ボタン等を含む。制御部150は、店員によって売上入金ボタンが押下された場合には、売上入金を実行し、店員によって釣銭出金ボタンが押下された場合には、釣銭出金を実行する。
【0040】
また、例えば、警送員(回収員)が回収用カードとカードリーダ部131とを接触させることにより制御部150に認証を実行させる。例えば、制御部150は、回収用カードに記録されている警送員の識別情報が、記憶部160によってあらかじめ記憶されている警送員の識別情報と一致する場合に、認証が成功したと判断し、警送員による入出金機200へのログインを可能にする。なお、回収用カードに記録されている警送員の識別情報の代わりに、警送員によってテンキーから入力された情報に基づいて認証が行われてもよい。
【0041】
警送員による入出金機200へのログインが成功すると、制御部150は、警送員が所望の処理を選択するためのメニュー画面を操作表示部133に表示させる。そして、制御部150は、メニュー画面において警送員により選択された処理を実行する。具体的に、警送員が選択可能な処理の例としては、精査および売上金の回収処理等が挙げられる。このとき、メニュー画面は、回収ボタン、精査ボタン等を含む。制御部150は、警送員によって回収ボタンが押下された場合には、売上金の回収処理を実行し、警送員によって精査ボタンが押下された場合には、精査を実行する。
【0042】
記憶部160は、制御部150が使用するプログラムおよびデータ等を記憶するメモリによって構成される。例えば、記憶部160は、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等のメモリによって構成されてもよい。
【0043】
続いて、硬貨処理装置1の構成について説明する。具体的に、硬貨処理装置1が備える、硬貨投入口3、硬貨鑑別部5、硬貨リジェクト庫9、硬貨一時保留部10、硬貨返却箱11、硬貨収納部12、硬貨出金箱15、硬貨回収庫16、およびその他の構成について、以下の各実施形態において詳細に説明する。
【0044】
<1.第1の実施形態>
まず、第1の実施形態について説明する。
【0045】
(1-1.硬貨処理装置の構成)
まず、第1の実施形態に係る硬貨処理装置の構成について説明する。
【0046】
図3は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置の内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置を正面側から見た図である。図4は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置の内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置を右側面側から見た図である。
【0047】
図3に示すように、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aは、硬貨受領部2と、硬貨繰り出し部4と、硬貨鑑別部5と、選別搬送部6と、硬貨リジェクト庫9と、硬貨一時保留部10と、硬貨返却箱11と、硬貨収納部12と、出金一時保留部14と、硬貨出金箱15と、硬貨回収庫16と、制御部17と、記憶部92とを有する。
【0048】
(硬貨受領部2)
硬貨受領部2は、硬貨投入口3に投入された硬貨Cを受ける。硬貨受領部2は、硬貨処理装置1Aの上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部2は、硬貨Cが投入される硬貨投入口3を有する。硬貨投入口3は、硬貨Cが投入される入金部として機能し、硬貨が一括して投入され易いように、広く開口している。硬貨投入口3に投入された硬貨は、硬貨繰り出し部4に落下する。
【0049】
(硬貨繰り出し部4)
硬貨繰り出し部4は、硬貨受領部2の下方に位置し、硬貨受領部2から落下した硬貨を一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部4内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部4内の硬貨は、回転円盤の回転によって生じる遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨鑑別部5へ繰り出される。
【0050】
(硬貨鑑別部5)
硬貨鑑別部5は、硬貨繰り出し部4から繰り出された硬貨の真偽および金種等の判別を行う判別部として機能する。硬貨鑑別部5は、硬貨を認識するセンサを有し、センサによって検出された硬貨の特徴に基づいて、硬貨の真偽および金種等を判別する。硬貨鑑別部5は、真偽および金種等を判別した硬貨を選別搬送部6に搬送する。
【0051】
(硬貨繰り出し部4および硬貨鑑別部5の詳細構成)
図5および図6を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨繰り出し部4、硬貨鑑別部5の詳細構成について説明する。図5は、第1の実施形態に係る硬貨繰り出し部4、硬貨鑑別部5、および選別搬送部6を示す概略平面図である。図6は、図5のA-A矢視図である。
【0052】
硬貨繰り出し部4は、一括投入された硬貨を受け、一枚ずつ硬貨鑑別部5へ繰り出す。硬貨繰り出し部4は、図6に示すように、収容部220と、回転円盤230と、円盤駆動部240と、を有する。
【0053】
収容部220は、硬貨受領部2から落下した硬貨を収容する部分である。収容部220内(収容空間)には回転円盤230が設けられており、収容部220の内周面は、回転円盤230が回転可能なように、回転円盤230の外周に沿った形状に形成されている。収容部220の側面には、硬貨鑑別部5へ硬貨を向かわせるための通過口222が設けられている。通過口222の幅および高さは、硬貨が一枚ずつ通過できるように、形成されている。
【0054】
回転円盤230は、収容部220内に設けられた円形状の部材であり、回転することにより硬貨を硬貨鑑別部5へ導く。回転円盤230は、硬貨受領部2の真下に位置しており、硬貨受領部2の硬貨は回転円盤230上に落下する。回転円盤230は、円盤駆動部240の回転駆動力を受けて、所定の回転方向に回転する。回転円盤230の回転により生じる遠心力を受けて、回転円盤230上の硬貨は、収容部220の側面側(回転円盤230の外周側)へ移動し、通過口222を通過する。
【0055】
円盤駆動部240は、回転円盤230を所定の回転方向に回転させる駆動部である。円盤駆動部240は、円盤モータ242と、ギア列244とを有する。円盤モータ242は、ギア列244を介して回転駆動力を伝達し、回転円盤230に取り付けられた回転軸232を回転させる。これにより、回転円盤230も、回転軸232の回転方向と同一方向に回転する。
【0056】
硬貨鑑別部5は、硬貨繰り出し部4から繰り出された硬貨の認識を行う。硬貨鑑別部5は、図5および図6に示すように、搬送路310と、送り出しローラ320と、搬送ベルト330と、認識センサ340とを有する。
【0057】
搬送路310は、硬貨繰り出し部4と選別搬送部6の間に設けられており、硬貨が搬送される通路である。搬送路310は、例えば板状の搬送プレートであり、硬貨を搬送する搬送面を有する。
【0058】
送り出しローラ320は、硬貨繰り出し部4の通過口222を通過した硬貨を、搬送ベルト330に向けて送り出す一対のローラである。送り出しローラ320は、送り出し駆動部322の駆動力を受けて、硬貨を一枚ずつ挟持しながら送り出す。
【0059】
搬送ベルト330は、送り出しローラ320により送り出された硬貨を搬送路310の搬送面とで挟んだ状態で回転することにより、硬貨を搬送する。搬送ベルト330は、一対のプーリ332により張架され、プーリ332の回転に連動して回転する。プーリ332は、ベルト駆動部334の駆動力を受けて回転する。
【0060】
認識センサ340は、搬送ベルト330により搬送中の硬貨の真偽および金種を認識する。具体的には、認識センサ340は、硬貨の直径、材質、厚み、硬貨の中央側の孔の有無等を判別して、硬貨の真偽を認識する。認識センサ340は、例えばラインセンサまたは磁気センサであり、硬貨の金種に加えて、ゴミ等の異物も判別しうる。
【0061】
(選別搬送部6)
選別搬送部6は、硬貨鑑別部5による判別結果に基づいて、硬貨を金種別に選別して搬送する。図4に示すように、選別搬送部6は、リジェクト口7と、金種別排出口8a~8fとを有する。ここで、硬貨鑑別部5によって真貨ではないと判別された硬貨は、リジェクト口7から排出される。一方、硬貨鑑別部5によって真貨であると判別された硬貨は、金種別排出口8a~8fのうち硬貨の金種に対応する金種別排出口から排出される。
【0062】
より詳細に、金種別排出口8a~8fには、金種別排出口を開放する開位置と金種別排出口を閉鎖する閉位置との間で移動可能な開閉部材である選別ゲート450a~450f(図8)が設けられている。そして、制御部17による制御に従って、硬貨の金種に対応する金種別排出口に設けられた選別ゲートが開位置に移動することにより、硬貨の金種に対応する金種別排出口から硬貨が排出される。
【0063】
(選別搬送部6の詳細構成)
図5図8を参照しながら、第1の実施形態に係る選別搬送部6の詳細構成について説明する。図7は、図6のB-B矢視図である。図8は、図5のC-C矢視図である。
【0064】
選別搬送部6は、硬貨鑑別部5による認識結果に基づいて、硬貨を搬送しながら選別して排出する。選別搬送部6は、図6および図8に示すように、水平に配置された硬貨繰り出し部4および硬貨鑑別部5に対して傾いている。これにより、選別搬送部6の水平方向の幅を抑制できる。ただし、選別搬送部6の配置構成はこれに限定されず、例えば、選別搬送部6は、硬貨鑑別部5と同様に水平に配置されてもよい。
【0065】
選別搬送部6は、選別ハウジング410と、搬送ベルト420と、金種別排出口8a~8fと、リジェクト口7と、を有する。
【0066】
選別ハウジング410は、選別搬送部6の筐体である。選別ハウジング410は、硬貨を搬送する搬送路を有する。搬送路は、選別ハウジング410の表面を凹状に切り欠くことで形成される。そして、本実施形態においては、搬送路として、図7に示すように、環状に硬貨を搬送する環状搬送路411と、直線状に硬貨を搬送する直線搬送路412とが形成されている。
【0067】
環状搬送路411は、硬貨鑑別部5からの硬貨が搬送される経路である。なお、環状搬送路411には、硬貨鑑別部5から搬入された硬貨を検知するための搬入検知センサ415が設けられている。これにより、搬送路310から環状搬送路411に硬貨が実際に受け渡されたかが搬入検知センサ415によって検知される。
【0068】
直線搬送路412は、搬送方向において環状搬送路411の下流側に位置し、環状搬送路411からの硬貨が搬送される経路である。本実施形態では、直線搬送路412において硬貨を金種別に排出する構成となっている。
【0069】
搬送ベルト420は、環状搬送路411と直線搬送路412上に搬送方向に沿って設けられ、回動することにより硬貨を搬送する機能を有する。搬送ベルト420は、環状搬送路411上に設けられた駆動プーリ431と、直線搬送路412上に設けられた従動プーリ432とに巻き付けられており、駆動プーリ431と従動プーリ432との間を周回する。
【0070】
駆動プーリ431は、回転軸433に固定されている。回転軸433は、駆動モータ434からベルト435を介して駆動力を受けて回転する。駆動プーリ431は、回転軸433の回転に伴い回動し、搬送ベルト420を回動させる。また、直線搬送路412上には、搬送ベルト420の回動の向きを規制するアイドルプーリ436が設けられている。
【0071】
駆動プーリ431には、回転を制御するためのスリット部437(図7では5箇所)が形成されている。駆動プーリ431のスリット部437上には、駆動プーリ431の回転を検知する回転検知センサ438が設けられている。回転検知センサ438の検知結果に基づき、駆動プーリ431の回転が制御される。
【0072】
搬送ベルト420には、環状搬送路411と直線搬送路412とに向かって突出した複数の突起ピン422が固定されている。複数の突起ピン422は、突起ピン422間に一つの硬貨が位置できる間隔で配置されている。突起ピン422は、搬送ベルト420の回動に伴い、環状搬送路411および直線搬送路412上の硬貨を押しながら搬送する。なお、環状搬送路411と直線搬送路412とには、回動中の突起ピン422と干渉しないように凹部(不図示)が形成されている。
【0073】
金種別排出口8a~8fは、直線搬送路412の搬送面に形成されている。金種別排出口8a~8fは、搬送ベルト420により搬送される硬貨を金種別(例えば、1円、5円、10円、50円、100円、500円の真性硬貨)に排出する排出口である。6つの金種別排出口8a~8fは、等間隔で形成されている。
【0074】
金種別排出口8a~8fは、図8に示すように下方に配置されたダクト部の一例であるシュート96a~96fへ硬貨を排出させる。例えば、金種別排出口8aは、シュート96aへ対応する金種の硬貨を排出させる。
【0075】
金種別排出口8a~8fには、図8に示すように選別ゲート450a~450fが設けられている。選別ゲート450a~450fの構成は同一であるので、ここでは、金種別排出口8aに設けられた選別ゲート450aの構成について説明する。選別ゲート450aは、金種別排出口8aを塞ぐ閉位置と、硬貨をシュート96aへ排出させるように金種別排出口8aを開放する開位置との間で移動する。
【0076】
金種別排出口8a~8fの隣には、図7に示すように、それぞれ隣接部の一例である退避エリア445a~445fが形成されている。退避エリア445a~445fは、直下に位置するシュート96a~96fと連結している。このため、例えば、退避エリア445aに排出された硬貨は、直下に位置するシュート96aに落下する。
【0077】
なお、金種別排出口8a~8fの搬送方向下流側には、それぞれ硬貨を検知する硬貨検知センサ448a~448fが設けられている。これにより、金種別排出口8a~8fのうち、硬貨の金種に対応する金種別排出口から実際に硬貨が排出されたか否かが硬貨検知センサ448a~448fによって検知される。
【0078】
リジェクト口7は、環状搬送路411の搬送面に形成されている。リジェクト口7は、硬貨鑑別部5で偽貨と認識されたリジェクト硬貨(ゴミ等の異物も含まれ得る)を排出する排出口である。これにより、金種別排出口8a~8fから誤ってリジェクト硬貨が排出されることが防止される。
【0079】
なお、搬送方向においてリジェクト口7の下流側には、リジェクト硬貨を検知するリジェクト検知センサ468が設けられている。これにより、リジェクト硬貨がリジェクト口7から実際に排出されたか否かがリジェクト検知センサ468によって検知される。
【0080】
リジェクト口7の下方には、図7に示すように、リジェクト口7から落下したリジェクト硬貨を硬貨リジェクト庫9(図3)に搬送するリジェクト搬送部462が形成されている。リジェクト搬送部462は、リジェクト硬貨を搬送する搬送ベルト463を有する。搬送ベルト463は、駆動モータ464からギア465を介して伝達された駆動力により、回動する。また、リジェクト搬送部462は、搬送ベルト463に沿って形成された壁466を有し、壁466によってリジェクト硬貨が飛び出すことを防止している。
【0081】
なお、リジェクト口7にも、選別ゲート450a~450fと同様な選別ゲート(不図示)が設けられている。
【0082】
(硬貨リジェクト庫9)
硬貨リジェクト庫9は、リジェクト口7から排出された硬貨を収容する。リジェクト口7の下方には、リジェクト口7を通過した硬貨を硬貨リジェクト庫9へ導くリジェクトシュートが、図4に示す矢印Rのルートに配置されている。また、硬貨リジェクト庫9は、硬貨処理装置1Aの前面に開閉可能な扉94を有する。扉94が開いた際に、操作者は硬貨リジェクト庫9を装置外へ引き出し可能である。
【0083】
(硬貨一時保留部10)
硬貨一時保留部10は、金種別排出口8a~8fから排出された硬貨を、金種別に一時的に収容する。金種別排出口8a~8fの下方には、金種別排出口8a~8fから排出された硬貨を硬貨一時保留部10へ導くシュート96a~96fが設けられている。また、硬貨一時保留部10は、保留部10a~10fを含む。保留部10a~10fは、対応するシュート96a~96fから導かれた硬貨を収容する。例えば、シュート96aは、金種別排出口8aから排出された硬貨を下方に設けられた硬貨一時保留部10の保留部10aへ導く。
【0084】
また、硬貨一時保留部10は、制御部17による制御に従って、図3に示す矢印Hによって示される方向(すなわち、硬貨返却箱11に近づく方向)または矢印Sによって示される方向(すなわち、硬貨収納部12に近づく方向)に移動可能である。例えば、硬貨返却箱11または硬貨収納部12それぞれに対応するボタンが、制御部150による制御に従って、操作表示部133によって表示される。
【0085】
硬貨返却箱11に対応するボタンが操作者によって選択された場合には、硬貨返却箱11に対応するボタンが選択されたことが制御部150から制御部17に通知される。そして、制御部17による制御に従って、硬貨一時保留部10は、矢印Hによって示される方向に移動する。
【0086】
一方、硬貨収納部12に対応するボタンが操作者によって選択された場合には、硬貨収納部12に対応するボタンが選択されたことが制御部150から制御部17に通知され、制御部17による制御に従って、硬貨一時保留部10は、矢印Sによって示される方向に移動する。
【0087】
(硬貨返却箱11)
硬貨返却箱11は、硬貨一時保留部10が矢印Hによって示される方向に移動した場合に、硬貨一時保留部10から落下する硬貨を収容する。硬貨返却箱11は、操作者によって硬貨処理装置1Aの正面から装置外へ引き出し可能になっている。
【0088】
(硬貨収納部12)
硬貨収納部12は、硬貨一時保留部10が矢印Sによって示される方向に移動した場合に、硬貨一時保留部10から落下する硬貨を金種別に収納する。硬貨収納部12は、金種別の保留部10a~10fに対応するように直線状に並べられた金種別ホッパ12a~12fを含んでいる。
【0089】
(金種別ホッパ12a~12f)
金種別ホッパ12a~12fそれぞれは、金種別に硬貨を収納する金種別収納庫(硬貨収納庫)であり、硬貨を一枚ずつ繰り出す機能を有する。なお、金種別ホッパの数は、金種別ホッパ12a~12fの6つに限定されない。すなわち、金種別ホッパの数は、複数であってよく、硬貨処理装置1Aによって扱われる硬貨の金種の数に応じて適宜に変更されてよい。
【0090】
以下の説明では、金種別ホッパ12aに収納される硬貨の金種が、500円であり、金種別ホッパ12bに収納される硬貨の金種が、100円であり、金種別ホッパ12cに収納される硬貨の金種が、50円であり、金種別ホッパ12dに収納される硬貨の金種が、10円であり、金種別ホッパ12eに収納される硬貨の金種が、5円であり、金種別ホッパ12fに収納される硬貨の金種が、1円である場合を想定する。しかし、金種別ホッパ12a~12fそれぞれに収納される硬貨の金種は、かかる例に限定されない。
【0091】
金種別ホッパ12a~12fは、着脱部13に対して着脱可能に装着される。
【0092】
(着脱部13)
図9は、第1の実施形態における、金種別ホッパ12a~12fが装着された着脱部13を示す斜視図である。図9を参照すると、着脱部13が硬貨処理装置1Aの筐体60から引き出された状態が示されている。着脱部13は、スライドレール191にガイドされて、挿入方向と引出し方向とに移動可能となっている。筐体60は、着脱部13を内部の空間に収納可能である。取り出し口62は、筐体60に形成された開口であり、着脱部13は、取り出し口62を介して筐体60の内部の空間から引出し方向に筐体60の外部に引き出される。また、着脱部13は、取り出し口62を介して筐体60の外部から筐体60の内部に収納される。
【0093】
操作者は、金種別ホッパ12a~12fを着脱部13から取り外すときには、着脱部13を引出し方向に引き出した後に、図9に示す取出し方向に、金種別ホッパ12a~12fを移動させる。一方、操作者は、金種別ホッパ12a~12fを着脱部13に装着させる場合には、取出し方向とは逆方向である装着方向に、金種別ホッパ12a~12fを移動させる。
【0094】
図9に示すように、金種別ホッパ12a~12fそれぞれは、着脱部13における6つの装着位置のうち、あらかじめ決められた装着位置に装着される。
【0095】
(課題の整理)
金種別ホッパ12a~12fは、金種別に硬貨を収納する。しかし、金種別ホッパ12a~12fそれぞれの使用頻度は、入出金機200が導入される業態等に応じて異なる場合が想定される。
【0096】
一例として、入出金機200が鉄道業界に導入される場合を想定する。かかる場合には、鉄道の運賃の最小単位は10円であることが多いため、5円硬貨および1円硬貨は、使用されない金種の硬貨である。一方、100円硬貨および10円硬貨は、使用頻度の高い金種の硬貨である。すなわち、100円硬貨を収納する金種別ホッパ12bおよび10円硬貨を収納する金種別ホッパ12dの使用頻度は高く、5円硬貨を収納する金種別ホッパ12eおよび1円硬貨を収納する金種別ホッパ12fの使用頻度は低い。
【0097】
他の一例として、入出金機200が500円(定額)の飲食物を複数販売する飲食業界に導入される場合を想定する。かかる場合には、500円硬貨は、使用頻度の高い金種の硬貨である。一方、5円硬貨および1円硬貨は、使用頻度の低い金種の硬貨である。すなわち、500円硬貨を収納する金種別ホッパ12aおよび10円硬貨を収納する金種別ホッパ12dの使用頻度は高く、5円硬貨を収納する金種別ホッパ12eおよび1円硬貨を収納する金種別ホッパ12fの使用頻度は低い。
【0098】
使用頻度の高い金種別ホッパは、硬貨の収納枚数が不足してしまったり、収納している硬貨が満杯になってしまったりする状況が起こりやすい。そこで、使用頻度の高い金種の硬貨を収納する金種別ホッパを増やしたいという要求がある。この要求を満たすために、使用頻度の低い金種の硬貨を収納する金種別ホッパを使用頻度の高い金種の硬貨を収納する金種別ホッパに替えて用いられる場合がある。
【0099】
このような場合には、使用頻度の低い複数の金種の硬貨を混在して収納する収納庫を用いる必要が生じる。しかし、複数の金種の硬貨を混在して収納する収納庫から所望の金種の硬貨を出金させるのは困難である。そこで、複数の金種の硬貨を混在して収納する収納庫として、収納する硬貨を出金しない非還流庫が用いられる。なお、非還流庫が収納する硬貨の金種それぞれは、所定の金種としてあらかじめ決められている。
【0100】
一般に、非還流庫は、着脱部において、金種別ホッパとは別に非還流庫のみ装着可能な専用の装着位置に対して装着される。しかし、着脱部に対して、非還流庫と還流庫とが装着可能である場合において、非還流庫が着脱部における専用の装着位置に対してのみ装着可能であるとすると、着脱部を有する硬貨処理装置の利便性が向上しないことが考えられる。そこで、第1の実施形態においては、非還流庫と還流庫とが装着可能な着脱部を有する硬貨処理装置の利便性を向上させることが可能な技術を提案する。
【0101】
以下の説明では、使用頻度の高い金種の硬貨が、100円硬貨である場合を想定する。一方、使用頻度の低い金種の硬貨が、5円硬貨および1円硬貨である場合を想定する。しかし、使用頻度の高い金種の硬貨は、100円硬貨に限定されないし、使用頻度の低い金種の硬貨は、5円硬貨および1円硬貨に限定されない。
【0102】
(金種別ホッパ12a)
図10は、第1の実施形態に係る金種別ホッパ12aの構成の一例を示す図である。図11は、図10のD-D矢視図である。なお、金種別ホッパ12b~12fそれぞれの構成は、金種別ホッパ12aの構成と同様である。したがって、ここでは、金種別ホッパ12aの構成について説明し、金種別ホッパ12b~12fそれぞれの構成の詳細な説明は省略する。
【0103】
図10に示すように、金種別ホッパ12aは、タンク部20と、タンク部20の下に位置する下部22とに分かれている。また、金種別ホッパ12aは、回転ディスク25と、駆動部30と、搬送ガイド33と、ゲート34と、搬送部37と、異金種判別部39とを有する。金種別ホッパ12aは、タンク部20の収容空間の外部へ硬貨を繰り出すための繰り出し部を有し、繰り出し部は、タンク部20の下部22に設けられる。例えば、繰り出し部は、モータ31、回転ディスク25等である。
【0104】
タンク部20は、硬貨一時保留部10から排出された硬貨Cを収容する。タンク部20は、収容空間21を有する。収容空間21は、側壁に囲まれており、硬貨Cを収容する。タンク部20は、図10に示すように、硬貨一時保留部10から排出された硬貨Cが通過する開口24を上部に有している。
【0105】
下部22には回転ディスク25が設けられており、下部22の内周面は、回転ディスク25が回転可能なように、回転ディスク25の外周に沿った形状に形成されている。下部22は、硬貨Cを繰り出しやすいように、斜めの形状をしている。
【0106】
回転ディスク25は、タンク部20内に配置された円柱形状の部材である。回転ディスク25は、水平方向に対して交差するように、斜めに配置されている。回転ディスク25は、回転可能な軸26に支持され、回転することによりタンク部20に収容された硬貨Cを移動させて分離する。
【0107】
回転ディスク25には、硬貨Cの外形に対応した筒状の複数の貫通孔27(図11に示した例では、4つの貫通孔27)が形成されている。タンク部20内の硬貨Cは、貫通孔27を通過する。また、回転ディスク25の裏面かつ貫通孔27の周囲には、搬送ガイド33に向けて突出した突起28が形成されている。突起28は、回転ディスク25が回転する際に、硬貨Cを支持しながら硬貨Cを搬送する。
【0108】
回転ディスク25の外周面には、ギア部29が形成されている。ギア部29は、下部22の側面に形成された切り欠き部23において、駆動部30のモータギア32と噛み合っている。モータギア32は、モータ31のDカットされたモータ軸に固定されている。モータ31は、互いに噛み合ったモータギア32とギア部29を介して回転駆動力を回転ディスク25に伝達し、回転ディスク25を回転させる。
【0109】
搬送ガイド33は、回転ディスク25の下方に、回転ディスク25との間で硬貨Cを1枚搬送できる隙間を介して設けられている。搬送ガイド33は、回転ディスク25が硬貨Cを搬送するためのガイドとして機能する。搬送ガイド33も、回転ディスク25と同様に斜めに配置されているため、搬送される硬貨Cは、搬送ガイド33の上を自重によりゲート34に向かって滑りやすい。
【0110】
ゲート34は、回転ディスク25により搬送された硬貨Cを一枚ずつ送り出すための開口である。ゲート34の搬送方向下流部には、図11に示すように、支点ベアリング35と、繰り出しローラ36とが設けられている。
【0111】
繰り出しローラ36は、不図示の支点を中心に移動可能である。繰り出しローラ36は、スプリング(不図示)によって支点ベアリング35側に引っ張られている。しかし、移動規制部(不図示)によって、繰り出しローラ36と支点ベアリング35との距離は一定に保たれている。繰り出しローラ36の移動に伴い、支点ベアリング35と繰り出しローラ36との間に挟まれる硬貨Cが繰り出される。
【0112】
搬送部37は、ゲート34から繰り出された硬貨Cを、出金一時保留部14(図3)へ向けて搬送する。搬送部37は、硬貨Cを搬送する搬送ベルト(不図示)と、硬貨Cが搬送される搬送路38と、を有する。
【0113】
異金種判別部39は、金種別ホッパ12aから実際に繰り出された硬貨の金種が、繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別する。図11に示すように、異金種判別部39は、搬送路38を搬送される硬貨を検出する光学センサ40、41および磁気センサ42を含む。
【0114】
光学センサ40は、硬貨の孔の有無を検出する孔検出センサであり、光学センサ41は、硬貨の幅(直径)を検出する幅検出センサである。磁気センサ42は、硬貨の材質等を検出するセンサである。異金種判別部39は、光学センサ40、光学センサ41、および、磁気センサ42の検出結果に基づいて、回転ディスク25により実際に繰り出された硬貨が、繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別することが可能である。
【0115】
なお、磁気センサ42は、ゲート34から硬貨が繰り出された否かを検出する機能も有している。
【0116】
(フル検知センサ18)
フル検知センサ18は、第2のセンサの例に該当し、着脱部13に装着された金種別ホッパ12a~12fにおける所定の位置に存在する物体を検知することが可能である。ここで、所定の位置は、フル検知センサ18が物体を検知することが可能な範囲(以下、単に「検知範囲」とも言う。)内の位置である。
【0117】
例えば、フル検知センサ18が光学センサである場合、光学センサによって発せられる光が遮光されたことを検知することにより、物体を検知する。図4に示す例では、フル検知センサ18の光軸は、硬貨処理装置1Aの奥行方向に伸びている。しかし、フル検知センサ18の光軸方向は、硬貨処理装置1Aの奥行方向に限定されない。
【0118】
より詳細に、金種別ホッパ12a~12fそれぞれの側壁には、光軸穴43が設けられている。そして、フル検知センサ18は、金種別ホッパ12a~12fが着脱部13に装着された状態において、これらの光軸穴43をフル検知センサ18の光軸が通過する位置に設けられている。そのため、金種別ホッパ12a~12fの少なくともいずれか一つの内部におけるフル検知センサ18による検知範囲に物体が存在する場合に、その物体が光軸穴43を通してフル検知センサ18によって検知される。
【0119】
フル検知センサ18は、物体の例として主に硬貨を検知するための光学センサである。金種別ホッパ12a~12fの少なくともいずれか一つの内部に硬貨が集積され、光軸穴43が設けられている位置まで積みあがった硬貨によりフル検知センサ18の光が遮られると、光軸穴43の位置まで硬貨が到達したことが検知される。フル検知センサ18は、硬貨が満杯であるか否かの判断に用いられる検知結果を得るため、検知範囲が開口24に近い位置に形成されるように配置される。
【0120】
(出金一時保留部14)
出金一時保留部14は、金種別ホッパ12a~12fから繰り出された硬貨を、金種別に一時的に集積する機能を有する。また、出金一時保留部14は、制御部17による制御に従って、集積した硬貨の搬送先を切り替える搬送先切り替え部としての機能を有する。具体的に、硬貨の搬送先は、硬貨出金箱15または硬貨回収庫16である。出金一時保留部14は、集積した硬貨を搬送先に搬送する。
【0121】
(硬貨出金箱15)
硬貨出金箱15は、出金部の例として機能し、硬貨出金箱15には、出金一時保留部14から硬貨が出金される。そして、硬貨出金箱15は、出金一時保留部14から出金された硬貨を収容する。具体的に、出金一時保留部14において硬貨の搬送先が硬貨出金箱15に切り替えられた際に、出金一時保留部14に集積された硬貨が出金一時保留部14から硬貨出金箱15に搬送される。硬貨出金箱15は、装置本体に対して着脱可能に設けられている。
【0122】
(硬貨回収庫16)
硬貨回収庫16は、回収される硬貨を収容する。具体的に、出金一時保留部14において硬貨の搬送先が硬貨回収庫16に切り替えられた際に、出金一時保留部14に集積された硬貨が出金一時保留部14から硬貨回収庫16に搬送される。
【0123】
(記憶部92)
記憶部92は、制御部17が使用するプログラムおよびデータ等を記憶するメモリによって構成される。例えば、記憶部92は、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリ等のメモリによって構成されてもよい。
【0124】
(制御部17)
制御部17は、硬貨処理装置1Aの全体動作を制御する。例えば、制御部17は、硬貨の入金処理および出金処理を行う際に、硬貨処理装置1Aの各構成要素の動作を制御する。
【0125】
例えば、入金処理は、売上入金時に硬貨処理装置1Aによって実行される処理である。また、例えば、出金処理は、釣銭準備金の出金時に硬貨処理装置1Aによって実行される処理である。
【0126】
制御部17によって制御される動作としては、様々な動作がある。一例として、制御部17は、フル検知センサ18の検知結果に基づいて、金種別ホッパ12a~12fに収納された硬貨が満杯であるか否かを判断する。制御部17は、金種別ホッパ12a~12fの少なくともいずれか一つに収納された硬貨が満杯であると判断した場合には、硬貨の満杯を制御部150に通知する。
【0127】
制御部150が、硬貨の搬送先を選択するための搬送先選択画面を操作表示部133に表示させ、操作者によって硬貨の搬送先が選択されると、制御部150は、操作者により選択された搬送先を制御部17に通知する。制御部17は、制御部150から通知された搬送先に金種別ホッパ12a~12fから硬貨が搬送されるように硬貨の搬送を制御する。
【0128】
具体的に、操作者が選択可能な搬送先の例としては、硬貨回収庫16および硬貨出金箱15が挙げられる。このとき、搬送先選択画面は、回収庫ボタン、出金箱ボタン等を含む。制御部150は、操作者によって回収庫ボタンが押下された場合には、搬送先が硬貨回収庫16であることを制御部17に通知し、操作者によって出金箱ボタンが押下された場合には、搬送先として硬貨出金箱15が選択されたことを制御部17に通知する。なお、これ以外に例えば、操作者によって出金取引や回収取引等の取引が選択されると、制御部17は、選択された取引に対応した搬送先へ硬貨を搬送するよう硬貨の搬送を制御するようにしても良い。
【0129】
制御部17は、搬送先として硬貨回収庫16が選択されたことが制御部150から通知された場合には、金種別ホッパ12a~12fから硬貨回収庫16に硬貨が搬送されるように硬貨の搬送を制御する。一方、制御部17は、搬送先として硬貨出金箱15が選択されたことが制御部150から通知された場合には、金種別ホッパ12a~12fから硬貨出金箱15に硬貨が搬送されるように硬貨の搬送を制御する。
【0130】
例えば、制御部17は、金種別ホッパ12a~12fそれぞれについて、現在収納されている硬貨の枚数から、あらかじめ設定された設定枚数を差し引いた枚数だけ、搬送先へ硬貨が搬送されるように硬貨の搬送を制御する。ただし、金種別ホッパ12a~12fの中に、現在収納されている硬貨の枚数があらかじめ設定された設定枚数以下の金種別ホッパが存在する場合には、その金種別ホッパからは、搬送先へ硬貨が搬送されるように硬貨の搬送を制御しなくてよい。
【0131】
(非還流庫44)
図12は、第1の実施形態に係る非還流庫44の構成の一例を示す図である。図13は、図12のE-E矢視図である。
【0132】
非還流庫44が有するタンク部20は、硬貨を収納する空間を形成すると共に、着脱部13への非還流庫44の装着の位置決めに用いられる。また、金種別ホッパ12a~12fが有するタンク部20も、着脱部13への金種別ホッパ12a~12fの装着の位置決めに用いられる。そして、図12に示すように、非還流庫44は、金種別ホッパ12a(図10)とほぼ同様の外形を有している。そのため、非還流庫44は、金種別ホッパ12a~12fとの間において着脱部13への取り付けに関する互換性を有している。
【0133】
例えば、図4に示したように、金種別ホッパ12a~12fが着脱部13に装着されている状態において、非還流庫44は、着脱部13に対して金種別ホッパ12a~12fのいずれかに替えて装着可能である。すなわち、操作者は、金種別ホッパ12a~12fから任意の金種別ホッパを取り外し、取り外した金種別ホッパの代わりに非還流庫44を装着させることが可能となる。これによって、硬貨処理装置1Aの利便性を向上させることが可能となる。
【0134】
一例として、使用頻度の低い1円硬貨を収納する金種別ホッパ12fを、1円硬貨と5円硬貨とを混在して収納する非還流庫44に替えると共に、使用頻度の低い5円硬貨を収納する金種別ホッパ12eを、使用頻度の高い100円硬貨を収納する金種別ホッパに替えて着脱部13にそれぞれ装着される場合を想定する。かかる場合には、非還流庫44に専用の装着位置を設けるために装置の外形を変更することなく、使用頻度の高い100円硬貨の収納容量が増えるとともに、使用頻度の低い1円硬貨および5円硬貨の入金についても受け入れることが可能となる。
【0135】
さらに、取り外される金種別ホッパが任意に選択可能であるため、業態等に応じた金種の使用頻度の差異にも柔軟に対応しながら、使用頻度の高い金種の硬貨の収納容量を増やすことが可能となる。使用頻度の高い金種の硬貨の収納容量が増えることによって、使用頻度の高い金種の硬貨の収納枚数が不足してしまったり、使用頻度の高い金種の硬貨が満杯になってしまったりする状況を起きにくくすることが可能となる。
【0136】
また、一般的には、金種別ホッパに収納することができない金種の硬貨が投入された場合には、その硬貨の収納場所が存在しないため、入金時のリジェクト硬貨として操作者に返却されてしまう。一方、本発明の実施形態に係る硬貨処理装置1Aは、非還流庫44を備えることによって、金種別ホッパに収納することができない金種の硬貨も受け入れることが可能となる。
【0137】
非還流庫44は、硬貨出金箱15に出金されない金種の硬貨(以下、「非還流硬貨」とも言う。)を収納する。そのため、非還流庫44は、金種別ホッパ12a~12fとは異なり、出金に関する機能を有さず、硬貨の収納専用庫として機能する。ここでは、非還流庫44が、非還流硬貨の例として、使用頻度の低い1円硬貨および5円硬貨を収納する場合を想定する。ここで出金に関する機能とは、例えば、出金一時保留部14に向かう搬送路38への硬貨の繰り出し機能等である。
【0138】
したがって、非還流庫44は、硬貨の繰り出し機能に関わる各種の構成(例えば、モータ31、回転ディスク25等)を有さない。また、非還流庫44は、繰り出された硬貨の判別に用いられる各種のセンサ(例えば、磁気センサ42等)も有さない。
【0139】
非還流庫44は、非還流硬貨を収容するための収容空間を形成するタンク部20を有する。タンク部20の下部22には、硬貨Cがタンク部20から外に出ないようにするための蓋45が設けられている。蓋45は、タンク部20の収容空間内で硬貨を集積させるための蓋部として機能する。
【0140】
蓋45の上面の位置は、回転ディスク25の上面の位置よりもやや高い。これによって、タンク部20と下部22との境目に生じる隙間が小さくなるため、下部22から硬貨Cが飛び出してしまうことがなくなる。より詳細に、金種別ホッパ12a~12fと非還流庫44とは、基本的な構成(タンク部20の形状等)が共通化されている。したがって、金種別ホッパ12a~12fから回転ディスク25を省略して非還流庫44を作ろうとした場合に、下部22には開口が発生し、当該開口を介してタンク部20から下部22に硬貨が落下してしまう。そのため、蓋45によって当該開口を塞ぐことによって、タンク部20から下部22に硬貨が落下してしまうことが防止される。
【0141】
非還流庫44が有するタンク部20と、金種別ホッパ12a~12fが有するタンク部20とは、形状はほぼ同じであるが、色が異なっている。これによって、視覚による非還流庫44と金種別ホッパ12a~12fとの区別がされやすくなる。より詳細に、金種別ホッパ12a~12fと非還流庫44とは管理権限が異なっており、非還流庫44には一般的に店員が触れることは規制されており、警送員などの権限を有する特定の操作者のみ触れることが許可されている。また、警送員は売上金回収時に非還流庫44の硬貨も回収するが、金種別ホッパ12a~12fと非還流庫44の外形が同じであると非還流庫44を容易に特定することが出来ない。そのため、権限の無い者が誤って非還流庫44に触れることを防止すると共に、権限を有する者が非還流庫44を容易に視認できるように金種別ホッパ12a~12fと非還流庫44の色を異ならせている。なお、非還流庫44が有するタンク部20、および、金種別ホッパ12a~12fが有するタンク部20それぞれの色としては、様々な色が用いられ得る。
【0142】
一例として、金種別ホッパ12a~12fが有するタンク部20の内部に残っている硬貨が少量の場合は、比較的低い位置にある回転ディスク25の上に集積されたり、貫通孔27内部に入り込んでいる。そのため、タンク部20の内部に残っている硬貨が少量の場合は、開口24からでは比較的視認されにくい。そこで、タンク部20の側壁を通した硬貨の視認性を向上させるために、金種別ホッパ12a~12fが有するタンク部20は、無色透明であるのがよい。
【0143】
一方、非還流庫44が有するタンク部20の内部に残っている硬貨は、金種別ホッパの回転ディスク25の位置よりも高い位置に設けられる蓋45の上に集積される。そのため、タンク部20の内部に残っている硬貨は、開口24から比較的視認されやすい。そこで、タンク部20の側壁を通した硬貨の視認性をさほど向上させなくてもよいため、非還流庫44が有するタンク部20は、金種別ホッパとは異なり色が付着されていてもよい。
【0144】
着脱部13は、非還流庫44が装着可能な位置ごとにディテクタ検知センサ(不図示)が設けられている。ディテクタ検知センサ(不図示)は、例えば、フォトインタラプタのような光学センサであり、第1のセンサの例に該当する。
非還流庫44は、着脱部13に装着されたことをディテクタ検知センサによって検知させるためのディテクタ46を有する。
図12に示したように、ディテクタ46は、非還流庫44の底面から下方に延在して設けられた突起であり、ディテクタ検知センサの光軸を遮ることによってディテクタ46を検知するようになっている。なお、ディテクタ46が設けられる位置は、非還流庫44の底面に限定されない。
【0145】
このようなディテクタ46が非還流庫44に設けられていることにより、制御部17は、ディテクタ46を検知したディテクタ検知センサ(不図示)に対応した装着位置に対して非還流庫44が装着されたことを認識し得る。
【0146】
そして、制御部17は、金種別排出口8a~8fのうち、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口から、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出するように選別搬送部6を制御する。選別搬送部6は、制御部17による制御に従って、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口から、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出させる。
【0147】
第1の実施形態においては、使用頻度の低い1円硬貨を収納する金種別ホッパ12fの代わりに、1円硬貨と5円硬貨とを混在して収納する非還流庫44が装着された場合を主に想定する。
【0148】
図14は、第1の実施形態において非還流庫44が装着された後の硬貨処理装置1Aの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置1Aを右側面側から見た図である。図14に示す例では、着脱部13に対して、使用頻度の低い1円硬貨を収納する金種別ホッパ12f(図4)の代わりに、1円硬貨と5円硬貨とを混在して収納する非還流庫44が装着された場合が示されている。
【0149】
かかる場合には、選別搬送部6は、制御部17による制御に従って、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口8fの選別ゲート450fを開位置に移動させることにより、金種別排出口8fから、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出させる。これによって、金種別排出口8fから排出された非還流硬貨は、硬貨一時保留部10を介して、非還流庫44に収納される。
【0150】
一方、非還流硬貨の金種以外の金種の硬貨は、非還流庫44が着脱部13に装着される前と同様に、金種別に金種別ホッパ12a~12eに収納される。
【0151】
なお、非還流庫44は、硬貨の回収の度に、着脱部13から取り外されて非還流庫44から硬貨が回収された後、着脱部13に再度装着される。このときにも同様に、制御部17は、ディテクタ46を検知したディテクタ検知センサ(不図示)に対応する装着位置に、非還流庫44が装着されたことを認識し得る。
【0152】
非還流庫44のタンク部20の側壁には、金種別ホッパ12a~12fと同様に光軸穴43が設けられている。この光軸穴43も、非還流庫44が着脱部13に装着された状態において、フル検知センサ18の光軸が通過する位置に設けられている。そのため、非還流庫44の内部におけるフル検知センサ18による検知範囲に物体が存在する場合に、その物体が光軸穴43を通してフル検知センサ18によって検知される。
【0153】
これにより、非還流庫44の内部に硬貨が集積され、光軸穴43が設けられている位置まで積みあがった硬貨によりフル検知センサ18の光が遮られると、光軸穴43の位置まで硬貨が到達したことを検知することができる。
【0154】
(制御部17:非還流庫44の装着後)
制御部17は、フル検知センサ18の検知結果に基づいて、非還流庫44または金種別ホッパ12a~12eが、それ以上硬貨を収納することができない満杯状態であるか否かを判断する。制御部17は、非還流庫44および金種別ホッパ12a~12eの少なくともいずれかが満杯状態であると判断した場合には、満杯状態であることを制御部150に通知する。
【0155】
非還流庫44の装着後における金種別ホッパからの硬貨の搬送は、金種別ホッパ12fからの硬貨の搬送がなくなること以外は、非還流庫44の装着前における金種別ホッパからの硬貨の搬送と同様に実施される。
【0156】
制御部17は、非還流庫44に収納された硬貨の枚数が所定の収納可能枚数に達したと判断するか、フル検知センサ18によって満杯状態であると判断した後に、硬貨鑑別部5により非還流硬貨であると判別された硬貨があった場合には、その硬貨がリジェクト口7から排出されるように選別搬送部6を制御する。選別搬送部6は、制御部17による制御に従って、非還流硬貨であると判別された硬貨をリジェクト口7から排出させる。硬貨リジェクト庫9は、リジェクト口7から排出された硬貨を収容する。これによって、非還流庫44が満杯状態であっても、硬貨処理装置1Aの動作を停止させずに済む。
【0157】
なお、制御部17は、金種別ホッパ12a~12eから搬送先へ硬貨が搬送された後に、硬貨の満杯が解消されたか否かを判断してもよい。そして、制御部17は、硬貨の満杯が解消されていないと判断した場合に、非還流庫44に収納されている硬貨が満杯である可能性があるとして、硬貨鑑別部5により非還流硬貨であると判別された硬貨がリジェクト口7から排出されるように選別搬送部6を制御してもよい。
【0158】
以上、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aの構成について説明した。
【0159】
(1-2.硬貨処理装置の動作)
続いて、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aの動作について説明する。特に、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aによって実行される、硬貨の入金処理および出金処理について説明する。なお、上記したように、入金処理は、売上入金時に硬貨処理装置1Aによって実行される処理である。また、例えば、出金処理は、釣銭準備金の出金時に硬貨処理装置1Aによって実行される処理である。
【0160】
(入金処理)
図1図14を参照しながら、硬貨処理装置1Aによって実行される入金処理の動作の一例について説明する。
【0161】
非還流庫44は、着脱部13における金種別ホッパを装着可能な任意の位置に対して、金種別ホッパの代わりに装着可能である。ここでは、金種別ホッパ12a~12fのうち、金種別ホッパ12fを非還流庫44に替えて装着される場合を主に想定するが、金種別ホッパ12a~12eのいずれかを非還流庫44に替えても良い。
【0162】
図3に示すように、操作者が硬貨受領部2に硬貨Cを投入すると、硬貨受領部2に投入された硬貨Cは、硬貨繰り出し部4に落下する。硬貨繰り出し部4は、落下した硬貨Cを一枚ずつに分離し、分離した硬貨Cを硬貨鑑別部5に繰り出す。
【0163】
次に、硬貨鑑別部5は、硬貨繰り出し部4により繰り出された硬貨Cの真偽および金種等の判別を行う。そして、硬貨鑑別部5は、真偽および金種等を判別した硬貨Cを選別搬送部6に搬送する。
【0164】
制御部17は、硬貨鑑別部5により正常な真貨ではないと判別された硬貨Cを、選別搬送部6のリジェクト口7から硬貨リジェクト庫9へ落下させる。
【0165】
一方で、制御部17は、硬貨鑑別部5により正常な真貨であると判別された硬貨Cを、金種別排出口8a~8fのうち硬貨Cの金種に対応する金種別排出口から、保留部10a~10fのうち硬貨Cの金種に対応する保留部へ落下させる。例えば、制御部17は、硬貨鑑別部5により判別された硬貨Cの金種が1円または5円のいずれかの非還流硬貨であったとき、ディテクタ46により検知された装着位置に対応する金種別排出口8fから非還流硬貨である硬貨Cを排出させる。これによって、金種別排出口8fから排出された非還流硬貨は、保留部10fに貯留される。その他、金種別排出口8a~8eから排出された硬貨は、それぞれ保留部10a~10eに貯留される。
【0166】
保留部10a~10fに貯留された硬貨Cを硬貨返却箱11に排出するか、硬貨収納部12に収納するかは、操作者によって選択される。硬貨Cを硬貨返却箱11に排出することを操作者が選択した場合には、制御部17は、保留部10a~10fに貯留された硬貨Cを硬貨返却箱11に落下させる。一方、硬貨Cを硬貨収納部12に排出することを操作者が選択した場合には、非還流庫44、金種別ホッパ12a~12eに落下させる。
【0167】
制御部17は、フル検知センサ18によって物体が検知された場合、非還流庫44および金種別ホッパ12a~12eの少なくともいずれか一つが満杯状態であると判断し、満杯状態となったことを制御部150に通知する。
【0168】
制御部17は、硬貨が満杯であると判断した後に、硬貨鑑別部5により非還流硬貨であると判別された硬貨があった場合には、その硬貨がリジェクト口7から排出されるように選別搬送部6を制御する。これによって、非還流庫44に収納されている硬貨が満杯であっても、硬貨処理装置1Aの動作を停止させずに済む。
【0169】
(出金処理)
図1図14を参照しながら、硬貨処理装置1Aによって実行される出金処理の動作の一例について説明する。
【0170】
まず、操作者は、操作表示部133に表示される出金画面を用いて、硬貨の出金枚数を金種ごとに入力する。出金枚数が入力されると、制御部17は、金種別ホッパ12a~12eに設けられた繰り出しローラ36により、入力された出金枚数分の硬貨を金種別ホッパ12a~12eから繰り出させる。繰り出された硬貨は、出金一時保留部14に落下して集積される。
【0171】
このとき、金種別ホッパ12a~12eに設けられた異金種判別部39(図10)は、金種別ホッパ12a~12eから実際に繰り出された硬貨の金種が繰り出されるべき硬貨の金種と異なるか否かを判別する。
【0172】
異金種判別部39により誤った金種の硬貨が検出された場合は、制御部17は、金種別ホッパ12a~12eからの硬貨Cの繰り出しを中止し、出金一時保留部14に貯留されている硬貨を硬貨出金箱15へ落下させて、硬貨処理装置1Aの外に硬貨を排出させる。その後、操作者は硬貨出金箱15から取り出した硬貨を硬貨受領部2に投入し、金種別ホッパ12a~12eへ硬貨を戻した後、再度出金処理を実行する。
【0173】
一方、入力された出金枚数の硬貨が金種別ホッパ12a~12eから繰り出され、異金種判別部39により誤った金種の硬貨が検出されなかった場合には、制御部17は、出金一時保留部14に集積された硬貨を、硬貨出金箱15に落下させて収容させる。
【0174】
制御部17は、出金処理の実行中に、金種別ホッパ12a~12eのいずれかにおいて硬貨のジャムが発生した場合には、硬貨の繰り出しを停止させる。その後、制御部17は、制御部150に硬貨のジャムが発生した金種別ホッパを通知し、制御部150は、着脱部13を引き出して硬貨のジャムが発生した金種別ホッパから硬貨の除去を促すガイダンス表示を操作表示部133に行う。
【0175】
例えば、操作者は、硬貨のジャムを解消させようとし、着脱部13を筐体60の外部に引き出し、硬貨のジャムが発生した金種別ホッパから硬貨の除去を行う。
【0176】
以上、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1Aの動作について説明した。
【0177】
(1-3.効果)
以上に説明したように、第1の実施形態において、着脱部13に対して、金種別ホッパ12a~12fのうち一部の金種別ホッパを、硬貨投入口3に投入された硬貨のうち硬貨出金箱15に出金しない所定の金種の硬貨である非還流硬貨を収納させる非還流庫44に、金種別ホッパ12a~12fのいずれかに替えて装着可能である。これによって、硬貨処理装置1Aの利便性を向上させることが可能となる。
【0178】
以上、第1の実施形態について説明した。
【0179】
<2.第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態について説明する。まず、図1図13を参照しながら、第2の実施形態の概要を説明する。
【0180】
第2の実施形態において、非還流庫44は、着脱部13が筐体60の内部に収納された状態の着脱部13の取り出し口62から最も遠く(後側)に位置する金種別ホッパ12f(最奥の硬貨収納庫)よりも取り出し口62側(前側)の位置に装着される金種別ホッパ12a~12eのいずれか(交換対象の硬貨収納庫)に代えて装着可能である。取り出し口62から最も遠い位置は、着脱部13の最奥位置とも換言される。
【0181】
より詳細に、操作者である警送員は、硬貨の回収の度に着脱部13から非還流庫44を取り外し、非還流庫44から硬貨を回収した後、非還流庫44を着脱部13に再度装着させる。このとき、最奥位置の金種別ホッパ12fを非還流庫44に替えて装着されていると、操作者は、着脱部13の最奥位置から非還流庫44を取り外したり、着脱部13の最奥位置に非還流庫44を装着させたりするために、着脱部13の全体を引き出さなくてはならない。
【0182】
第2の実施形態において、非還流庫44は、最奥位置の金種別ホッパ12f以外の金種別ホッパ12a~12eのいずれかに替えて装着可能である。これによって、操作者は、非還流庫44の着脱のために、着脱部13の全体を引き出さなくても済むため、硬貨処理装置1B(図15)の利便性をより一層向上させることが可能となる。より好ましくは、最手前位置の金種別ホッパ12aを非還流庫44に替えて装着されていると良く、最手前位置に近い金種別ホッパに替えられるほど着脱部13の引き出し量を少なくすることができる。
【0183】
(2-1.硬貨処理装置の構成)
続いて、第2の実施形態に係る硬貨処理装置の構成について説明する。
【0184】
第2の実施形態において、着脱部13の最奥位置に非還流庫44は装着されないため、ディテクタ検知センサ(不図示)は、最奥位置以外の装着位置(すなわち、最奥位置の金種別ホッパ12f以外の金種別ホッパ12a~12eの装着位置)ごとに、装着された非還流庫44を検知可能に設けられる。
【0185】
図7に示すように、選別搬送部6においては、金種別排出口8fが硬貨の搬送方向の最上流に位置する。制御部17は、金種別排出口8a~8fのうち、硬貨の搬送方向の最上流に位置する金種別排出口8f以外のいずれかの金種別排出口から、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出するように選別搬送部6を制御する。
【0186】
より詳細に、制御部17は、金種別排出口8a~8eのうち、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口から、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出するように選別搬送部6を制御する。選別搬送部6は、制御部17による制御に従って、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口から、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出させる。非還流庫44は、排出された非還流硬貨を収納する。
【0187】
第2の実施形態においては、500円硬貨を収納する金種別ホッパ12a(図4)の代わりに、1円硬貨と5円硬貨とを混在して収納する非還流庫44が装着された場合を主に想定する。
【0188】
図15は、第2の実施形態において非還流庫44が装着された後の硬貨処理装置1Bの内部構成の一例を示す概略図であり、硬貨処理装置1Bを右側面側から見た図である。図15に示す例では、着脱部13に対して、500円硬貨を収納する金種別ホッパ12a(図4)に替えて、1円硬貨と5円硬貨とを混在して収納する非還流庫44が装着された場合が示されている。
【0189】
かかる場合には、選別搬送部6は、制御部17による制御に従って、非還流庫44が装着された装着位置に対応する金種別排出口8aの選別ゲート450aを開位置に移動させることにより、金種別排出口8aから、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を排出させる。これによって、金種別排出口8aから排出された非還流硬貨は、硬貨一時保留部10を介して、非還流庫44に収納される。
【0190】
一方、非還流硬貨の金種以外の金種の硬貨は、非還流庫44が着脱部13に装着される前と同様に、金種別に金種別ホッパ12b~12fに収納される。非還流庫44の装着後における金種別ホッパからの硬貨の搬送は、金種別ホッパ12aからの硬貨の搬送がなくなること以外は、非還流庫44の装着前における金種別ホッパからの硬貨の搬送と同様に実施される。
【0191】
以上、第2の実施形態に係る硬貨処理装置2Aの構成について説明した。
【0192】
(2-2.硬貨処理装置の動作)
続いて、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1Bの動作について説明する。特に、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1Bによって実行される、硬貨の入金処理および出金処理について説明する。
【0193】
(入金処理)
図1図13および図15を参照しながら、硬貨処理装置1Bによって実行される入金処理の動作の一例について説明する。第2の実施形態において、非還流庫44は、最奥位置の金種別ホッパ12f以外の金種別ホッパ12a~12eのいずれかに替えて装着可能である。ここでは、非還流庫44が、金種別ホッパ12a~12eのうち、金種別ホッパ12aの代わりに装着される場合を主に想定する。
【0194】
制御部17は、硬貨鑑別部5により判別された非還流硬貨を、ディテクタ46が検知された装着位置に対応する金種別排出口8aから排出させる。これによって、金種別排出口8aから排出された非還流硬貨は、保留部10aに貯留される。その他、金種別排出口8b~8fから排出された硬貨は、保留部10b~10fに貯留される。
【0195】
以降の入金処理は、「金種別ホッパ12a」の代わりに「金種別ホッパ12f」が使用される以外は、第1の実施形態における入金処理と同様に実行される。
【0196】
(出金処理)
続いて、硬貨処理装置1Bによって実行される出金処理の動作の一例について説明する。硬貨処理装置1Bによって実行される出金処理は、「金種別ホッパ12a」の代わりに「金種別ホッパ12f」が使用される以外は、第1の実施形態における出金処理と同様に実行される。
【0197】
以上、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1Bの動作について説明した。
【0198】
(2-3.効果)
以上に説明したように、第2の実施形態において、非還流庫44は、着脱部13が筐体60の内部に押し込まれたときに筐体60における着脱部13の取り出し口62から最も遠くに位置する最奥位置の金種別ホッパ12f以外の金種別ホッパ12a~12eのいずれかに替えて装着可能である。
【0199】
かかる構成によれば、硬貨処理装置1Bの利便性をより一層向上させることが可能となる。より詳細に、操作者は、金種別ホッパ12a~12eを取り外したり、非還流庫44を装着させたりするために、着脱部13の全体を引き出さなくても済むため、硬貨処理装置1Bの利便性をより一層向上させることが可能となる。
【0200】
以上、第2の実施形態について説明した。
【0201】
(3.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0202】
一般に、硬貨鑑別部5による判別(例えば、硬貨の特徴の読み取り、硬貨の金種の判別など)にはある程度の時間が掛かる。そのため、硬貨鑑別部5による判別の時間を確保するために、選別搬送部6においては、硬貨が装置の奥側に搬送された後、装置の手前側に搬送され、金種別に硬貨を排出する金種別排出口は、選別搬送部6における装置の奥側から手前側に戻ってくる位置に設けられる。
【0203】
このとき、金種別排出口のサイズを、硬貨の搬送方向の上流から下流に向けて、大きくすることによって、サイズの小さい硬貨から順に排出することがある。例えば、小さいサイズ(1円硬貨など)の硬貨を非還流硬貨とする場合には、必然的に搬送方向の最も上流の位置(すなわち、装置の最奥位置)に非還流庫への硬貨の金種別排出口を設ける必要がある。
【0204】
このような一般的な技術に比較し、本発明の実施形態においては、金種別排出口に設けられる選別ゲートの開閉によって、金種別排出口からの硬貨の排出を制御することが可能である。そのため、本発明の実施形態によれば、非還流庫44に硬貨を排出する金種別排出口を、搬送方向の最も上流の位置(すなわち、装置の最奥位置)以外の位置に設けることが可能になるという効果が奏される。
【符号の説明】
【0205】
1 硬貨処理装置
2 硬貨受領部
3 硬貨投入口
5 硬貨鑑別部
6 選別搬送部
7 リジェクト口
8a~8f 金種別排出口
9 硬貨リジェクト庫
10 硬貨一時保留部
11 硬貨返却箱
12 硬貨収納部
12a~12f 金種別ホッパ
13 着脱部
14 出金一時保留部
15 硬貨出金箱
16 硬貨回収庫
160 記憶部
17 制御部
18 フル検知センサ
44 非還流庫
46 ディテクタ
60 筐体
92 記憶部
100 紙幣処理装置
101 紙幣投入口
104 紙幣鑑別部
106 紙幣一時保留部
107 万券還流庫
109 五千券還流庫
111 千券還流庫
112 紙幣収納部
113 紙幣回収庫
115 紙幣リジェクト庫
200 入出金機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13
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図15