(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045528
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】光線療法デバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019961
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2022517209の分割
【原出願日】2020-09-21
(31)【優先権主張番号】62/903,959
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】596093754
【氏名又は名称】ルミテックス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lumitex,Inc.
【住所又は居所原語表記】8443 Dow Circle, Strongsville, Ohio 44136 U.S.A
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アンドリッチ, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フェルティ, デービット ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ケアンズ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブロアー, ピーター
(57)【要約】
【課題】 柔軟性発光パッドを含む光線療法デバイスを提供する。
【解決手段】乳児に光を届ける光線療法デバイスが提供される。光線療法デバイスは、柔軟性支持材料からなり、柔軟性支持材料に物理的に接続された光源を含み、電磁放射を出射するように構成された、柔軟性発光パッドを備える。柔軟性発光パッドは、発光面と発光面の反対の背面とを含む。発光面は、乳児の肌への空気の流れを改善するためのチャネルとして機能する、凹部および突部を含む表面テクスチャを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児に光を届ける光線療法デバイスであって、
柔軟性支持材料からなり、前記柔軟性支持材料に物理的に接続された光源を含み、電磁放射を出射するように構成された、柔軟性発光パッドを備え、
前記柔軟性発光パッドは、発光面と前記発光面の反対の背面とを含み、
前記発光面は、前記乳児の肌への空気の流れを改善するためのチャネルとして機能する、凹部および突部を含む表面テクスチャを含む、
光線療法デバイス。
【請求項2】
前記柔軟性支持材料は、ゲルであり、前記光源は、前記ゲルに内包されている、
請求項1に記載の光線療法デバイス。
【請求項3】
前記柔軟性発光パッドは、さらに、光ガイドを含み、
前記光源により出射された前記光は、前記光ガイドにより受光され、伝搬され、出射される、
請求項1または2に記載の光線療法デバイス。
【請求項4】
前記柔軟性発光パッドは、前記柔軟性発光パッドが前記乳児のまわりに巻かれることを許容するように構成された節構造を含む、
および/または、
前記節構造は、前記柔軟性発光パッド内の起伏から構成される、
請求項1~3のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項5】
前記柔軟性支持材料は、布素材であり、前記光源および前記光源への電気接続部は、前記布素材に印刷されている、
および/または、
前記布素材、光源、電気接続部は、ゲルに内包されている、
および/または、
前記布素材は、前記光源および前記電気接続部が衣服に印刷されるように衣服の部分から構成されている、
請求項1に記載の光線療法デバイス。
【請求項6】
前記柔軟性発光パッドは、発光面と前記発光面の反対の背面とを含み、前記柔軟性発光パッドは、
パディングであって、前記発光面が前記光源と前記パディングの間に位置するように配置された前記パディング、または、
表面テクスチャであって、前記発光面内に含まれ、前記発光面により出射された前記光が特定の光出力分布をもつように前記発光面により出射された前記光を方向づけるように構成された前記表面テクスチャ、
の少なくとも1つを含む、
請求項1~5のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項7】
さらに、前記乳児および前記柔軟性発光パッドを受け入れて、前記乳児に対する前記柔軟性発光パッドの位置を維持するように構成された衣服を備え、
前記乳児および前記柔軟性発光パッドの両方が前記衣服に受け入れられたとき、前記光源により出射された光は前記乳児の胴体を照射し、
前記衣服は、前記乳児および前記柔軟性発光パッドが前記衣服内に位置したときに前記乳児に隣接して配置されるように構成された内面と、前記内面の反対の外面とを含み、
前記外面は、前記光源により出射された光に対して不透明である、および/または、前記光源により出射された光を前記内面に向けて反射するリフレクタを含む、
および/または、
前記衣服は、前記柔軟性発光パッドを受け入れ、前記乳児に対する前記柔軟性発光パッドの位置を維持するように構成された受け入れ箇所を含む、
請求項1~6のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項8】
前記受け入れ箇所は、ポケットであり、前記ポケットは、外壁および前記外壁の反対に位置する内壁を含み、
前記内壁は、前記柔軟性発光パッドが前記ポケットに受け入れられ、前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに、前記乳児および前記柔軟性発光パッドの間に位置し、
前記内壁は、前記光源により出射された光に対して少なくとも部分的に透明である、
請求項7に記載の光線療法デバイス。
【請求項9】
前記衣服は、袋部を含み、前記袋部は、
閉じられた下部端縁と、
前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに前記乳児の首が通る穴を含む部分的に閉じられた上部と、
前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに前記乳児の腕が通るアームホールを含む部分的に閉じられた2つの側部と、を備える、
および/または、
前記衣服は、前記乳児の両腕の動きが制限されるように、前記乳児のまわりに巻かれ且つ前記乳児をくるむように構成されたラップを備え、
前記ラップは、下面の反対に位置する上面を含み、
前記ラップの前記下面は、前記乳児が前記衣服に受け入れられ且つ前記乳児が前記ラップによりくるまれたときに前記乳児に対面し、
前記下面は、第1ファスナーを有し、
前記上面は、前記第1ファスナーに解除可能にかみ合う第2ファスナーを有する、
請求項7または8に記載の光線療法デバイス。
【請求項10】
前記乳児の生体測定データ、または、前記光源により出射された光の特性、の少なくとも1つを検出するように構成されたセンサと、
前記光源により出射された光の特性を制御するように構成された回路であって、前記センサの出力を受け入れ、且つ、前記センサの前記出力に基づいて前記光源により出射される前記光の前記特性を制御することにより、治療的効用量を提供するために、前記光源を介して届けられる光の量を変調する回路と、
をさらに備える、
請求項1~9のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項11】
前記回路は、前記乳児の黄疸を治療するための治療的効用量を提供するために前記光の量を変調するように構成されている、
および/または、
前記センサは、前記乳児の測定データを検出し、前記回路は、前記センサの前記出力に基づいてビリルビンレベルを測定するように構成されている、
請求項10に記載の光線療法デバイス。
【請求項12】
前記センサは、前記乳児により受けられた光の量を検出するように構成され、
前記回路は、
前記検出された光の量が投与閾値を超えたとき、前記光源の出力パワーを低減する、または、
前記検出された光の量が前記投与閾値を下回るとき、前記光源の前記出力パワーを増加する、
の少なくとも1つを行う、
請求項10または11に記載の光線療法デバイス。
【請求項13】
前記センサは、前記乳児の温度を検出するように構成され、
前記光源により出射された電磁放射は、赤外光を含み、
前記回路は、前記検出された前記乳児の温度が温度閾値を上回るとき、前記光源による赤外光の出力を低減するように構成されている、または、
前記回路は、前記検出された前記乳児の温度が温度閾値を下回るとき、前記光源による赤外光の出力を増加するように構成されている、
請求項12に記載の光線療法デバイス。
【請求項14】
反射面をさらに備え、
前記柔軟性発光パッドは、発光面および前記発光面の反対の背面を含み、
前記反射面は、前記反射面が前記背面から出射された光を前記発光面に向けて方向づけるように、前記背面に隣接して位置している、
請求項1~13のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項15】
前記柔軟性発光パッドは、少なくとも500 g/m2/24hrsの水蒸気透過率(MVTR)を有する透湿性素材からなる、
請求項1~14のいずれかに記載の光線療法デバイス。
【請求項16】
乳児に光を届ける光線療法デバイスであって、
柔軟性支持材料からなり、前記柔軟性支持材料に物理的に接続された光源を含み、電磁放射を出射するように構成された、柔軟性発光パッドを備え、
前記柔軟性支持材料は、布素材であり、前記光源および前記光源への電気接続部は、前記布素材に印刷されている、
光線療法デバイス。
【請求項17】
乳児に光を届ける光線療法デバイスであって、
柔軟性支持材料からなり、前記柔軟性支持材料に物理的に接続された光源を含み、電磁放射を出射するように構成された、柔軟性発光パッドと、
前記乳児の生体測定データ、または、前記光源により出射された光の特性、の少なくとも1つを検出するように構成されたセンサと、
前記光源により出射された光の特性を制御するように構成された回路であって、前記センサの出力を受け入れ、且つ、前記センサの前記出力に基づいて前記光源により出射される前記光の前記特性を制御することにより、治療的効用量を提供するために、前記光源を介して届けられる光の量を変調する回路と、
を備える光線療法デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略、乳児の胴体に光を届ける光線療法デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年9月23日に出願された米国出願番号62/903,959の優先権の利益を享受する。この米国出願は、本出願の一部として援用される。
【0003】
黄疸を含む種々の病気に対して新生児を治療するために以前から光線療法が利用されている。黄疸は乳児の血中ビリルビンの増大により生じる。ある種の光を乳児の肌に曝すことで、安全なレベルにビリルビンを急低下させることができる。
【0004】
特に満期出産乳児の黄疸治療では、治療中に乳児をくるんだり、授乳したりできないことが周知の問題である。黄疸治療は、通常、乳児の肌を上方からの照明(ビリルビンを腎臓で通常ろ過可能な他の分子へと変換する光)に曝す処理を伴うため、乳児の胴体は露出され且つむき出しになる。赤ん坊は、往々にして布でくるまれていないとき、恐怖を覚えたり、腕を振り回したり、泣き叫んだりする。結果、親または看護師は、黄疸レベルが高いままというリスクをおかして、治療を早期に切り上げることになる。
【0005】
先進国では、治療中に乳児をくるみ且つ母親と赤ん坊をつなげるという優位性を伴うブランケット型の光線療法が黄疸の乳児に対して広く利用されている。しかしながら、経済的な理由により、発展途上国ではこのような光線療法は広く入手できない。
【発明の概要】
【0006】
満期出産乳児の新生児室(例えば、健康な赤ん坊の非NICU)では、赤ん坊の両腕の動きを制限すると同時に、光の中で赤ん坊を全体的に布でくるみ、正常な胎児のときの姿勢または包まれた(くるまれたともいう)姿勢で赤ん坊をより心地よくすることが好ましいであろう。赤ん坊に対する光源の位置を維持することにより、赤ん坊に保護アイパッチ(eye patches)を装着する必要性もなくすことができる。
【0007】
一方、早期出産乳児の新生児室では、赤ん坊をくるまずに赤ん坊の背中に光を向けることが好ましいかもしれない。
【0008】
柔軟性発光パッドおよび衣服を用いることで、光線療法中に赤ん坊をくるみ、赤ん坊に対する柔軟性発光パッドの位置を維持することができる。このように、効果的な治療に適切な照射量で赤ん坊の胴体の全周(あるいはほぼ全周)を露光するように十分な光を提供可能な、柔軟性発光パッドに一体化された光源を利用して光を提供することにより、赤ん坊をくるむと同時に光線療法を実施することができる。
【0009】
あるいは、赤ん坊(例えば、未熟児)は、赤ん坊の周囲に柔軟性発光パッドを巻く衣服を利用することなく、柔軟性発光パッド上に置かれるかもしれない。このような実施形態では、柔軟性発光パッドは、ベース上に配置され得、赤ん坊はその発光パッド上に置かれ得る。ベースは、赤ん坊の位置を維持するように形作られ得る。例えば、ベースは、突部により囲まれた凹部を含み得、赤ん坊がその凹部に寝かせつけられたときに赤ん坊の位置が突部により維持されるようにする。
【0010】
光源一体化の柔軟性発光パッドを利用することで、頭上ランプまたは外部光源を要さずに、乳児の身体の全360度のカバレッジを実現することができる。
【0011】
本開示は、柔軟性発光パッドを含む光線療法デバイスを提供する。光線療法デバイスは、外部光源を利用することなく、乳児がその子の前、後、横へ光源療法治療を受けると同時に、乳児がくるまれることを許容する。
【0012】
ある観点によると、乳児に光を届ける光線療法デバイスが提供される。光線療法デバイスは、柔軟性支持材料からなり、前記柔軟性支持材料に物理的に接続された光源を含み、電磁放射を出射するように構成された、柔軟性発光パッドを備える。
【0013】
代替的または追加的に、前記柔軟性支持材料は、ゲルであり、前記光源は、前記ゲルに内包されている。
【0014】
代替的または追加的に、前記光源は、発光ダイオード(LED)、マイクロLED、または、有機LED(OLED)の少なくとも1つを含む。
【0015】
代替的または追加的に、前記柔軟性発光パッドは、さらに、光ガイドを含み、前記光源により出射された前記光は、前記光ガイドにより受光され、伝搬され、出射される。
【0016】
代替的または追加的に、前記柔軟性発光パッドは、発光面と前記発光面の反対の背面とを含む。前記発光面は、前記乳児の肌への空気の流れを改善するように構成された凹部および/または突部を含む表面テクスチャを含む。
【0017】
代替的または追加的に、前記柔軟性発光パッドは、前記柔軟性発光パッドが前記乳児のまわりに巻かれることを許容するように構成された節構造を含む。
【0018】
代替的または追加的に、前記節構造は、前記柔軟性発光パッド内の起伏から構成される。
【0019】
代替的または追加的に、前記柔軟性支持材料は、布素材であり、前記光源および前記光源への電気接続部は、前記布素材に印刷されている。
【0020】
代替的または追加的に、前記布素材、光源、電気接続部は、ゲルに内包されている。
【0021】
代替的または追加的に、前記布素材は、前記光源および前記電気接続部が前記衣服に印刷されるように前記衣服の部分から構成されている。
【0022】
代替的または追加的に、前記柔軟性発光パッドは、発光面と前記発光面の反対の背面とを含み、前記柔軟性発光パッドは、パディング(padding)または表面テクスチャの少なくとも1つを含む。パディングは、前記発光面が前記光源と前記パディングの間に位置するように配置される。表面テクスチャは、前記発光面内に含まれる。表面テクスチャは、前記発光面により出射された前記光が特定の光出力分布をもつように前記発光面により出射された前記光を方向づけるように構成されている。
【0023】
代替的または追加的に、光源発光デバイスは、衣服をさらに含む。衣服は、前記乳児および前記柔軟性発光パッドを受け入れて、前記乳児に対する前記柔軟性発光パッドの位置を維持するように構成されている。
【0024】
代替的または追加的に、前記衣服は、前記乳児および前記柔軟性発光パッドが前記衣服内に位置したときに前記乳児に隣接して配置されるように構成された内面と、前記前面の反対の外面とを含む。前記外面は、前記光源により出射された光に対して不透明である、および/または、前記光源により出射された光を前記内面に向けて反射するリフレクタを含む。
【0025】
代替的または追加的に、前記衣服は、前記柔軟性発光パッドを受け入れ、前記乳児に対する前記柔軟性発光パッドの位置を維持するように構成された受け入れ箇所を含む。
【0026】
代替的または追加的に、前記受け入れ箇所は、前記柔軟性発光パッドの内面、または、ポケット、の少なくとも1つである。
【0027】
代替的または追加的に、前記受け入れ箇所は、ポケットであり、前記ポケットは、外壁および前記外壁の反対に位置する内壁を含み、前記内壁は、前記柔軟性発光パッドが前記ポケットに受け入れられ、前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに、前記乳児および前記柔軟性発光パッドの間に位置し、前記内壁は、前記光源により出射された光に対して少なくとも部分的に透明である。
【0028】
代替的または追加的に、前記衣服は、閉じられた下部端縁と、前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに前記乳児の首が通る穴を含む部分的に閉じられた上部と、を有する袋部を含む。袋部は、また、前記乳児が前記衣服に受け入れられたときに前記乳児の腕が通るアームホールを含む部分的に閉じられた2つの側部を有する。
【0029】
代替的または追加的に、前記衣服は、前記乳児の両腕の動きが制限されるように、前記乳児のまわりに巻かれ且つ前記乳児をくるむように構成されたラップを備える。前記ラップは、下面の反対に位置する上面を含む。前記ラップの前記下面は、前記乳児が前記衣服に受け入れられ且つ前記乳児が前記ラップによりくるまれたときに前記乳児に対面する。前記下面は、第1ファスナーを有する。前記上面は、前記第1ファスナーに解除可能にかみ合う第2ファスナーを有する。
【0030】
代替的または追加的に、前記乳児および前記柔軟性発光パッドの両方が前記衣服により受け入れられたとき、前記光源により出射された光は、前記乳児の胴体を照射する。
【0031】
代替的または追加的に、前記光源により出射された光の特性を制御するように構成された回路をさらに備える。
【0032】
代替的または追加的に、前記回路は、さらに、前記光源を介して前記乳児に届けられる光の量を変調するように構成されている。
【0033】
代替的または追加的に、前記回路は、前記乳児の黄疸を治療するための治療的効用量を提供するために前記光の量を変調するように構成されている。
【0034】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、前記乳児の生体測定データ、または、前記光源により出射された前記光の特性、の少なくとも1つを検出するように構成されたセンサをさらに備える。前記回路は、前記センサの出力を受け入れ、且つ、前記センサの前記出力に基づいて前記光源により出射される前記光の前記特性を制御するように構成されている。
【0035】
代替的または追加的に、前記回路は、前記センサの前記出力に基づいてビリルビンレベルを測定するように構成されている。
【0036】
代替的または追加的に、前記センサは、前記乳児により受けられた光の量、または、前記乳児の温度、の少なくとも1つを検出するように構成されている。前記回路は、前記検出された光の量が投与閾値を超えたとき、または、前記温度が温度閾値を超えたときに、前記光源の出力パワーを低減する、または、前記検出された光の量が前記投与閾値を下回るとき、または、前記温度が前記温度閾値を下回るときに、前記光源の前記出力パワーを増加する、の少なくとも1つを行う。
【0037】
代替的または追加的に、前記センサは、前記乳児の温度を検出するように構成されている。前記光源により出射された電磁放射は、赤外光を含む。前記回路は、前記検出された前記乳児の温度が温度閾値を下回るとき、前記光源による赤外光の出力を増加するように構成されている。
【0038】
代替的または追加的に、前記回路は、前記光線療法デバイスの位置を特定するように構成された追跡センサと、前記追跡センサにより特定された前記位置を送信するように構成された通信インターフェイスと、を含む。
【0039】
代替的または追加的に、前記光源に電力を提供するように構成された電源をさらに備える。
【0040】
代替的または追加的に、光源療法デバイスは、反射面をさらに含む。前記柔軟性発光パッドは、発光面および前記発光面の反対の背面を含む。前記反射面は、前記反射面が前記背面から出射された光を前記発光面に向けて方向づけるように、前記背面に隣接して位置している。
【0041】
代替的または追加的に、前記柔軟性発光パッドおよび/または前記衣服は、少なくとも500 g/m2/24hrsの水蒸気透過率(MVTR)を有する透湿性素材からなる。
【0042】
他の観点によると、乳児に光を届ける光線療法デバイスが提供される。光線療法デバイスは、柔軟性支持素材からなり、入射光の波長を変化させるように構成された波長変換ナノ粒子源を含む柔軟性発光パッドを備える。
【0043】
代替的または追加的に、光線療法デバイスは、前記乳児および前記柔軟性発光パッドを受け入れ、且つ、前記乳児に対して前記柔軟性発光パッドの位置を維持するように構成された衣服をさらに備える。
【0044】
代替的または追加的に、前記波長変換ナノ粒子は、量子ドットからなる。
【0045】
代替的または追加的に、前記波長変換ナノ粒子は、アップコンバート波長域内の波長を有する前記入射光の波長を低減するように構成されたアップコンバートナノ粒子と、ダウンコンバート波長域内の波長を有する前記入射光の波長を増加するように構成されたダウンコンバートナノ粒子と、の少なくとも1つを含む。
【0046】
代替的または追加的に、前記入射光は、太陽光からなる。
【0047】
本明細書では、多くの特徴が本発明の実施形態に関して記述されているが、特定の実施形態に関して記述された特徴は、他の実施形態にも採用され得る。以下の記述および添付図面は、本発明のいくつかの例示的実施形態を説明している。これらの実施形態は、本発明の原理が採用され得る種々の方法のいくつかを示しているに過ぎない。本発明の種々の観点による他の目的、利点および新規な特徴は、図面とともに勘案されて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
添付図面は、必ずしも縮尺は正しくなく、本発明の種々の観点を示し、類似の参照番号は種々の図面内の同一または類似の部品を示すように使用されている。
【
図1】
図1は、柔軟性発光パッドを示した光線療法システムの例示的実施形態の模式図である。
【
図2】
図2は、柔軟性発光パッドの拡大部分を含む、
図1の光線療法システムの柔軟性発光パッドの模式図である。
【
図3】
図3は、乳児に対する
図1の光線療法システムの位置を維持するための衣服の模式図である。
【
図4】
図4は、前面が閉じられた、
図3の衣服の模式図である。
【
図5】
図5は、前面が閉じられた、
図3の衣服の模式図である。
【
図6】
図6は、乳児に対する
図1の光線療法システムの位置を維持するための衣服の他の実施形態の模式図である。
【
図7】
図7は、ある実施形態の柔軟性発光パッドの側面図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態に係る、3つの物理的に分離されたパッドを備える柔軟性発光パッドの側面図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係る、表面テクスチャおよび節構造を有する柔軟性発光パッドの側面図である。
【
図11】
図11は、表面テクスチャ、パディングおよびセンサを有する光線療法デバイスの模式的斜視図である。
【
図12】
図12は、波長変換ナノ粒子源を含む柔軟性発光パッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
黄疸は、肝臓が血中からビリルビンをろ過するように十分に成長していない場合、ほとんどの新生児およびある確率で満期出産児に引き起こされる。黄疸をもつ新生児および満期出産児は、通常、青色光で治療され、ビリルビン分子を、腎臓でろ過可能な異性体であるルミルビンおよびフォトビリルビンに変化させる。
【0050】
価格指向型の環境、典型的には、発展途上国では、赤ん坊は、通常、頭上ランプで治療される。この治療形態で広く認識されている問題は、通常、赤ん坊が光の下で背中の肌を露出して放置されることである。一般的に、赤ん坊は、両腕を振り回し、しばしばパニックに陥り、泣いたままになる。これが起きると、介護者はしばしば治療を中断または中止して、赤ん坊を抱きかかえて落ち着かせる。
【0051】
ブランケット型の光源療法は、望ましい代替手段を提供し、この光源療法は、赤ん坊を抱きかかえながら、または、くるみながら治療を実施することを許容するので、赤ん坊を落ち着かせたままにし、治療を中断することなく継続することになる。しかしながら、最も効果的なブランケット型の光源療法は、高価になる傾向にあり、発展途上国ではハイエンドな病院に限定される。ブランケット型の光源療法に利用される光ファイバ構成は、一般的に、赤ん坊から熱を遠ざけるため遠隔ボックス内にある高出力光源からの光を要し、遠隔ボックスは、複雑な電気系、ファン、および、中継の光ファイバケーブルを伴い、これらのことが価格を押し上げて価格指向型の環境に提供できない。
【0052】
今日入手可能な低コストのブランケット型光源療法は、典型的には、個別の、選択的に終端させたファイバの単純な構造からなり、効果的なパッド構成ではない。この構成は、一般に、光のスポットまたは点を生成し、これはアメリカ小児科学会基準であり乳児の光源療法に有効と世界で一般的に認められた27μW/nm/cm2よりも低い読み取り値を示す。また、光学的な非効率なシステムは、高度な電気系を伴う高出力光源および高出力LEDにより生成された熱を発散させる冷却ファンを要する。
【0053】
図1および
図2に移り、本発明の好ましい実施形態は、柔軟性発光パッド12を含む光線療法デバイス10からなる。柔軟性発光パッド12は、柔軟性支持材料13、および、柔軟性支持材料13に物理的に接続された、一体化された光源14を含む。例えば、光ボックス内に配された個別の光源を使用する代わりに、光源14は、
図2の部分拡大に示されるように、柔軟性発光パッド12自身に一体化されている。
【0054】
光線療法デバイス10は、さらに、電源16および/または回路18を含み得る。電源16(例えば、バッテリまたは外部電源から受電するように構成されたプラグ)は、柔軟性発光パッド12に一体化され、または、取り付けられ得る。
【0055】
回路18は、光源14に電気的に接続され、光源14により出射される光の特性を制御するように構成されている。回路18は、光源14を介して乳児に届けられる光の量を変調し得る。例えば、回路18は、光源14または光源14の一部により出射される光の継続時間、パターン、波長または強度の少なくとも1つを制御し得る。回路18は、乳児の黄疸を治療するための治療的効用量を提供するために光の量を変調し得る。
【0056】
回路18は、さまざまな実装を取り得る。例えば、回路18は、プロセッサ(例えば、CPU)、プログラマブル回路、集積回路、メモリおよびI/O回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、複合プログラマブルロジックデバイス、他のプログラマブル回路等のような、あらゆる適切なデバイスを含み得る。回路18は、また、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能な読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、または、他の適切な媒体のような、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み得る。
【0057】
図2に示された実施形態では、柔軟性発光パッド12は、光源14が埋め込められたゲルから形成されている。すなわち、柔軟性支持材料13は、ゲルであり、光源14は、ゲルに内包されている。以下に詳述するように、光源14は、ゲルに内包された基板に実装され得る。光源14は、発光ダイオード(LED)、マイクロLED、有機LED(OLED)、または、あらゆる適切な光源から構成され得る。例えば、クラッドフラットファイバおよびLEDがゲル(例えば、ポリウレタン)に内包され得る。LEDへの電気接続部が、ゲルの端に形成され得る。他の実施形態では、マイクロLED(個別の光ガイド無し)がゲル内に埋め込まれ得る。同様に、マイクロLEDに電力を供給するための電気接続部が、発光パッドの表面に形成され得る。
【0058】
ゲルは、光源14により出射される光に対して少なくとも部分的に透明なヒドロゲルであり得る。ヒドロゲルは、乳児の肌にダメージを与えることなく継続時間(例えば、数時間)にわたり乳児の肌に直接接触し得るように、生体適合性であり得る。柔軟性発光パッド12は、ポリウレタンまたは乳児のまわりに巻くことのできる、あらゆる適切な材料から形成され得る。
【0059】
図3~
図5に示された実施形態では、光線療法デバイス10は、衣服20をさらに含む。
図3では、衣服20は、前が開いた状態で示され、
図4および
図5では、衣服20は、前が閉じられた状態で示されている。衣服20は、乳児および柔軟性発光パッド12の両方を受け入れ、乳児に対する柔軟性発光パッド12の位置を維持するように構成されている(例えば、乳児がその子の胴体の前、後および横にわたり同時に光線療法を受けるように)。衣服20は、内面26、および、前面26の反対の外面28を含む。衣服20の内面26は、乳児が衣服20に受け入れられたときに乳児(例えば、乳児の胸部)に隣接して配置され、または、衣服20に受け入れられたときに柔軟性発光パッド12に隣接して配置されるように構成されている。このように乳児および柔軟性発光パッド12が衣服20に受け入れられたときに、光源14により出射された光は、乳児の胴体を照射する。
【0060】
光源14により出射され、乳児から離れる方向に衣服20から漏洩する光の量を低減するために、衣服20の外面28または柔軟性発光パッド20は、光源14により出射される光に対して少なくとも部分的に不透明および/または反射性(例えば、赤ん坊に向けて光を戻す)であり得る。例えば、衣服20は、430~520nmの波長を有する光に対して少なくとも50%、70%、85%、または、90%の不透明度であり得る。
【0061】
衣服20は、柔軟性発光パッド12を受け入れ、且つ、乳児に対する柔軟性発光パッド12の位置を維持するための位置22を含み得る。例えば、受け入れ位置22は、柔軟性発光パッド12を受け入れるように形作られたポケットであり得る。ポケットは、外壁40、および、外壁40の反対に配された内壁42を含み得る。内壁42は、柔軟性発光パッド12がポケットに受け入れられ、且つ、乳児が衣服に受け入れられたときに、乳児と柔軟性発光パッド12との間に位置する。内壁42(すなわち、ポケットを構成し、柔軟性発光パッド12と乳児の間に位置する素材の層)は、柔軟性発光パッド12により出射された光の吸収を最小化する素材から形成され得る(すなわち、内壁42は、光源14により出射された光に対して少なくとも部分的に透明である)。例えば、そのような素材の層は、紡糸繊維から形成され得る。ポケットは、ポケットに受け入れられた柔軟性発光パッド12の位置を維持するための締結機構をさらに含み得る。
【0062】
あるいは、衣服20の位置22は、乳児を衣服20内に配する前に柔軟性発光パッド12が配置される表面を含み得る。すなわち、柔軟性発光パッド12は、乳児が衣服20内に置かれたときに柔軟性発光パッド12が乳児に接触するように、衣服20の内面26上に配置され得る。
【0063】
示されるように、衣服20は、閉じられた下部端縁44、部分的に閉じられた上部46、および、部分的に閉じられた2つの側部47を有する袋部30を含み得る。部分的に閉じられた上部46は、乳児が衣服20に受け入れられたときに乳児の首が通る穴48を含む。同様に、部分的に閉じられた2つの側部47は、乳児が衣服20に受け入れられたときに乳児の腕が通るアームホール49を含む。
【0064】
袋部30は、さらに、前面および背面を含んでもよい。前面は、開口32と、前面の開口32を閉じるように構成された閉塞機構とを含み得る。開口32は、袋部30内に乳児を配置するのに利用されてもよい。閉塞機構は、開口32を閉じた状態に維持するためのあらゆる適切な構造の形態をとり得る。例えば、閉塞機構は、1以上のスナップ、バックル、ベルクロ(登録商標)、クリップ、粘着テープ、ジッパーおよび/または紐からなることとしてもよい。
【0065】
衣服20は、さらに、乳児のまわりに巻かれ且つ乳児をくるむように構成されたラップ24(wrap)を含んでもよい。ラップ24は、下面54の反対に配置された上面52を含む。ラップの下面54は、乳児が衣服20に受け入れられ且つ乳児がラップ24によりくるまれたときに、乳児に対面する。下面54は、第1ファスナー56を有し、上面52は第1ファスナーに解除可能にかみ合うように構成された第2ファスナー58を有する。当業者により理解されるように、第1ファスナーおよび第2ファスナーは、ラップ24の位置を維持するためのあらゆる適切な構造の形態をとり得る。例えば、第1ファスナーおよび第2ファスナーは、1以上のスナップ、バックル、ベルクロ(登録商標)、クリップ、粘着テープ、ジッパーおよび/または紐からなることとしてもよい。
【0066】
ラップ24は、第3ファスナーを介して袋部30に解除可能に取り付いてもよい。第3ファスナーは、袋部30にラップ24を固定するためのあらゆる適切な構造の態様を取り得る。例えば、第3ファスナーは、1以上のスナップ、バックル、ベルクロ(登録商標)、クリップ、粘着テープ、ジッパーおよび/または紐からなることとしてもよい。
【0067】
ラップ24は、乳児がラップ24によりくるまれたときに、乳児のあごに最も近く且つ直下のラップ24の端縁が乳児のあごから離れるように形成された輪郭を有してもよい。ラップ24およびアームホールの輪郭は、乳児が衣服20に受け入れられ且つ乳児がラップ24によりくるまれたときに、ラップ24および袋部30が乳児の口を覆うのを防止する。ラップ24の輪郭は、乳児のあごから離れる形状のあらゆる適切な形状をとり得る。
【0068】
光源14から出射され、乳児から離れる向きに衣類20から漏洩する光の量を低減するために、ラップ24は、ポケットにより受け入れられた光源14におり出射された光に対して少なくとも部分的に不透明および/または反射性であってもよい。例えば、ラップ24は、430~520nmの波長を有する光に対して、少なくとも50%、70%、85%または90%の不透明度であり得る。
【0069】
衣服20は、あらゆる適切な素材からなり得る。例えば、衣服20は、綿とナイロンまたは他の適切なポリマーとの混紡生地からなるものとしてもよい。例として、衣服20は、空気を透過可能な透湿性素材から形成され得る。
【0070】
例示として、衣服20は、2層以上の織物、あるいは、使い捨ての場合、2層以上の紡績された紙状の素材(spun woven paper-like material)からなるものとしてもよい。乳児が衣服20に受け入れられているときに乳児の肌に接触する衣服20の部分は、比較的光を通す柔らかい織物状素材からなるものとしてもよい。例えば、衣服20は、比較的薄くおよび/または緩く織られた第1布層(乳児の肌に接触するように構成されている)から作られてもよく、あるいは、布繊維自体が比較的透明または半透明で、光を通過させることができるものであってもよい。第1布層の反対に配置された第2布層は、柔軟性を増すためにキルト仕上げしてあってもよい。さらに、乳児の体温を維持するための断熱材として働く充填材が第1布層と第2布層との間に配置されてもよい。他の例示として、第1層(乳児の肌に接触し、乳児の肌と光ガイド14との間に配置される)は、柔軟性を増すためにキルト仕上げしてあってもよい。
【0071】
図6に移り、衣服20は、袋部30を含まずに、ラップ24から構成され得る。すなわち、乳児に対する柔軟性発光パッド12の位置は、袋部30を使用することなく、ラップ24自体により維持され得る。
【0072】
図6に示されるように、衣服20は、例えば、光線療法デバイス10が複数の柔軟性発光パッド12を含むとき、柔軟性発光パッド12を受け入れるための複数の位置22a~22cを含み得る。
【0073】
ある実施形態では、柔軟性発光パッド12および/または衣服20は、使い捨てであり得る。すなわち、柔軟性発光パッド12および/または衣服20は、単一の患者に使用されて、その後、廃棄され得る。
【0074】
柔軟性発光パッド12および/または衣服20は、透湿性素材からなり得る。透湿性素材は、少なくとも500 g/m2/24hrsの水蒸気透過率(MVTR)を有し、好ましくは、1000 g/m2/24hrsを超え、さらに好ましくは、2000 g/m2/24hrsを超える。水蒸気透過率は、フィルムの透湿度を示し、水蒸気透過率が高いほど透湿度が高い。例えば、柔軟性発光パッド12および/または衣服20は、柔軟性発光パッド12の透湿性を改善するためにスルーホールを含む素材からなり得る。あるいは、柔軟性発光パッド12および/または衣服20は、織物素材からなり得る。
【0075】
光源14は、乳児のまわりに巻かれたときに光源14が乳児の前と背中を照射するように、柔軟性発光パッド12にわたり配置され得る。光源14は、乳児の特定の領域が優先的に照射されるように柔軟性発光パッド12上で特定のパターンを有し得る。
【0076】
図7に示された実施形態では、柔軟性発光パッド12は、光ガイド60をさらに含む。この実施形態では、光源14により出射された光は、光ガイド60により受けられ、伝搬され、出射される。例えば、光ガイド60は、フラットファイバーインサートの形態を取り得、光源14はそのインサートの一端に沿って整列された細片に配列され得る。小さな光源14(例えば、LED)の列でもって、光は十分に分布され得、基本的な結合光学系が利用され得る(例えば、一方の面にLEDを受け入れる一連の凹部を有し、他方の面に光ファイバの端部を受け入れるキャビティを有する、成型されたアクリル細片)。光ファイバの端部は、均一な光結合のため、適所に透明の紫外線硬化型エポキシで接着され得る。
【0077】
他の実施形態では、光源14は、柔軟性発光パッド12から分離して配置され得、光源14により出射された光は、光ガイドを介して柔軟性発光パッド12に伝達され得る。光ガイドは、光が光ガイドを介して発光面62を通じて出射されるように構成され得る。
【0078】
図7では、光線療法デバイス10は、単一の柔軟性発光パッド12を含む。しかしながら、
図6に示されるように、光線療法デバイス10は、複数の柔軟性発光パッド12a~12cを含み得る。
【0079】
図7では、発光パッド12は、発光面62、および、発光面62の反対の背面64を含む。発光面62は、柔軟性発光パッド12内に巻かれた乳児の肌への空気の流れを改善するように構成された凹部および/または突部を含む表面テクスチャ72(輪郭とも称する)を含む。当業者により理解されるように、表面テクスチャ72は、柔軟性発光パッド12上に寝かされた、および/または、柔軟性発光パッド12に囲まれた乳児の肌への空気の流れを改善するあらゆる構造を含み得る。
【0080】
発光パッド12は、また、柔軟性発光パッド12を乳児のまわりにより簡単に巻くことを許容するために構成された節構造74を含み得る。
図9に示されるように、節構造74は、柔軟性発光パッド12内の起伏(例えば、空所)からなり得る。しかしながら、当業者に理解されるように、節構造74は、柔軟性発光パッド12を乳児のまわりにより簡単に巻くことを許容するためのあらゆる適切な構造からなり得る。
【0081】
上述の通り、柔軟性発光パッド12は、成型されたシリコーンまたはウレタンから形成され得る。発光面での酸素透過性を改善するために、ヒドロゲルが柔軟性発光パッド12に付加され得る。
【0082】
表面テクスチャ72は、また、特定の光出力分布を目的としてマイクロレンズまたは類似の表面処理を含み得る(例えば、均一性の最大化または乳児の特定の領域への照準化)。代替的または追加的に、分散シートまたは2次元レンズシートが、(1)柔軟性発光パッド12の出射面62(すなわち、柔軟性発光パッド上に置かれたときに乳児に隣接する柔軟性発光パッドの面)上に置かれ、または、(2)柔軟性発光パッド12内で、光源14と柔軟性発光パッド12の出射面62との間に埋め込まれ得る。
【0083】
柔軟性発光パッド12は、また、背面64から出射された光を発光面62に向かわせるように、柔軟性発光パッド12の背面64に隣接して配置されたリフレクタ76(反射面とも称する)を含み得る。例えば、リフレクタ76は、光源14から出射されて柔軟性発光パッド12の前面付近に位置する乳児から離れる向きに伝搬された光を、乳児に向けて反射し戻す。
【0084】
図10に移り、衣服20の代わりに、柔軟性発光パッド12は、ベース80を利用して乳児に対して配置され得る。ベース80は、ベース80上の乳児の位置を維持するためのポジショニング構造82を含み得る。例えば、柔軟性発光パッド12は、ベース80上に置かれ、未熟児が発光パッド12上に置かれ得る。ポジショニング構造82は、乳児がベース80から転げ落ちることを防止し得る。上述の通り、ベース80は、乳児の背面への光線療法の適用に利用され得る。
【0085】
図11に示されるように、支持材料13は、布素材84であり、光源14および光源14への電気接続部86(例えば、光源14への電力供給のための)が布素材84上に印刷されている。ある実施形態では、布素材84、光源および電気接続部は、ゲルに内包されている。他の実施形態では、布素材84は、衣服20の一部であり得、光源14および電気接続部86が衣服20に印刷される。例えば、光源14および関連する回路は、布素材84上に印刷され、パディング86は、布素地84上に配置され得る。このように、パディング86は、発光面62が光源14およびパディング88の間に位置するように(すなわち、パディング86が乳児と光源14の間に配置されるように)、位置し得る。パディング88は、パディング88が光源14により出射された光に対してほとんど影響がないように構成され得る(例えば、特定の材料の利用により、または、材料の特定の方法での特定の処理により)。例えば、パディング88は、光源により出射された光の光学パワーを5%未満、または、10%未満で低減し得る。
【0086】
ある実施形態では、柔軟性発光パッド12は、発光面62上に表面テクスチャ90を含む。表面テクスチャ90は、発光面62により出射された光が特定の光出力分布を有するように、発光面62により出射された光を方向づけるように構成されている。例えば、表面テクスチャ90は、発光面62から出射された光をより均一な分布を有するようにし得る。
【0087】
図11を引き続き参照して、光線療法デバイス10は、乳児の生体測定データ、または、光源14により出射された光の特性、の少なくとも1つを検出するように構成されたセンサ92を含み得る。回路18は、センサ92の出力を受け入れ、且つ、センサ92の出力に基づいて光源14により出射される光の特性を制御し得る。例えば、回路18は、センサ92の出力に基づいて、ビリルビンレベルを測定し得る。
【0088】
他の実施形態では、センサ92は、乳児により受けられる光の量(例えば、光学パワー、または、与えられた放射照度)、または、乳児の温度、の少なくとも1つを検出する。この例では、回路は、検出された光の量が投与閾値を超えたとき、または、温度が温度閾値を超えたときに、光源14の出力パワーを低減し得る。代替的または追加的に、回路18は、(1)検出された光の量が投与閾値を下回るとき、または、(2)温度が温度閾値を下回るときに、光源14の出力パワーを増加し得る。回路18は、電気デバイスと通信するように構成され得る。例えば、回路18は、BluetoothまたはWIFIを介して電気デバイスと無線通信し得る。電気デバイスを使用して、ユーザは、投与閾値(例えば、与えられる放射照度)および/または温度閾値を特定し得る。
【0089】
他の実施形態では、センサ92は、乳児の温度を検出し、光源14により出射された電磁放射は、赤外光を含む。回路は、検出された乳児の温度が温度閾値を下回るとき、光源14による赤外光の出力を増加するように構成され得る。あるいは、光線療法デバイス10は、加熱素子(例えば、抵抗加熱素子)を含み得、回路は、検出された乳児の温度が温度閾値を下回るとき、これらの加熱素子を発熱させ得る。
【0090】
センサ92は、光源14により出力された光を測定するため(例えば、乳児により受けられる投与量を決定するため、および/または、露光時間を修正するため)および生体測定データ(例えば、心拍数、ビリルビン値、温度など)を測定するための1または複数のセンサであり得る。
【0091】
価格指向型環境における光線療法によくある問題は、特に、家庭に配送された場合に、機器サプライヤー(典型的にはDME)の、使用後に機器を回収する能力である。ある実施形態では、回路は、追跡センサおよび通信インターフェイスを含む。追跡センサは、光線療法デバイス10の位置を特定し、通信インターフェイスは、追跡センサにより特定された位置を送信する。追跡センサは、GPSセンサ、または、光線療法デバイス10の位置(例えば、相対位置)を識別するためのあらゆる適切なセンサであり得る。通信インターフェイスは、無線ネットワークアダプター、イーサネットネットワークカード、または、データを通信するためのネットワークへのインターフェイスを提供するあらゆる適切なデバイス、のようなネットワークインターフェイスであり得る。
【0092】
図12に示された実施形態では、光線療法デバイス10は、柔軟性支持材料13からなる柔軟性発光パッド12を含む。柔軟性発光パッド12は、入射光96の波長を変えるように構成された波長変換ナノ粒子源94を含む。例えば、柔軟性支持材料13は、波長変換ナノ粒子源94として量子ドットを含むシートであり得る。柔軟性支持材料13は、ポリマーシートであり得、波長変換ナノ粒子源94は、ポリマーシートの全体にわたり分散され得る。柔軟性支持材料13は、さまざまな形状に切断されて、上述の衣服20内に挿入され得る。当業者に理解されるように、柔軟性支持材料13は、ポリマーに限らず、波長変換ナノ粒子源94を収容するためのあらゆる適切な材料からなり得る。
【0093】
柔軟性発光パッド12の波長変換ナノ粒子源94は、入射光(例えば、太陽光または白色光)を、入射光に含まれた光の波長よりも光線療法により高い有効性を与える波長を有する治療光に変換するように構成され得る。例えば、太陽光は、紫外線および赤外線を含む不所望かつ非有効的な幅広い波長分布を含む。波長変換ナノ粒子源94は、入射光96の波長を黄疸治療により有効な光の波長に変換することで、太陽光治療の効率を高めるために利用され得る。
【0094】
波長変換ナノ粒子源94は、アップコンバートナノ粒子およびダウンコンバートナノ粒子を含み得る。アップコンバートナノ粒子は、アップコンバート波長域内の波長を有する入射光96の波長を低減する。ダウンコンバートナノ粒子は、ダウンコンバート波長域内の波長を有する入射光96の波長を増加する。例えば、ダウンコンバータは、紫外光を捕らえて、効果的な青色光としての光を再出射するのに利用され得る。同様に、アップコンバータは、可視光または赤外光を捕らえて、効果的な青色光としての光を再出射するのに利用され得る。このように、入射された太陽光または典型的な白色ランプからの光は、高効率でもって、黄疸治療またはその他の光線療法で治療される症状に利用される光の波長に変換され得る。
【0095】
この実施形態では、柔軟性発光パッド12は、入射光の全波長を吸収して光線療法に利用される波長に変換し得る。あるいは、柔軟性発光パッド12は、また、利用できない波長を反射するように構成された表面処理を含み得る(例えば、乳児を日焼けおよび/または熱中症から守る)。
【0096】
この実施形態では、入射光の光源は、柔軟性発光パッド12の外部にあり得る。例えば、入射光の光源は、太陽(すなわち太陽光)または建築上のランプ(例えば、頭上ランプ)であり得る。このように、この実施形態での柔軟性発光パッド12は、いかなる電力または電気系を要さず、容易に収納/搬送され得る。
【0097】
特段の言及がない限り、「a」「an」および/または「the」への参照は、1または複数を含み得、そして、単数形のアイテムへの参照は、また、複数形のそのアイテムを含み得る。
【0098】
本発明は、ある実施形態または複数の実施形態に関して開示され且つ説明されているが、当業者は、本明細書および添付図面を読み且つ理解することで均等な代替及び変更を想到するであろう。特に上記要素(部品、アセンブリ、装置、組成など)により発揮される種々の機能に関して上記要素を表現するのに利用された用語(「手段」の参照を含む)は、特段の指定が無い限り、たとえそれがその機能を発揮するとして本発明の例示的実施形態または複数の実施形態で開示された構造物とは構造的には均等ではなくても、その説明された要素のその特定の機能を発揮するあらゆる要素に相当することを意図されている(すなわち、機能的均等)。さらに、本発明の特定の特徴が数例の実施形態のうちの1または複数の実施形態のみで上述されているかもしれないが、そのような特徴は、あらゆる任意または特定の応用に望まれ且つ利点を得るように、他の実施形態の1または複数の他の特徴と組み合わせ得る。