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特開2024-4553情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004553
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104178
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】アブロール サティアン
(72)【発明者】
【氏名】ナビーン クマール カガルバディ バサワナ
(72)【発明者】
【氏名】サヤンタン チャトパディ
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】様々なマーケティング指標の目標設定に応じた広告計画を行う
【解決手段】情報処理装置は、複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得し、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定し、該ユーザ特徴と該マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、該複数のユーザそれぞれについて、該所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定し、該効果スコアに基づいて、該複数のユーザから該マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成し、該所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定し、該マーケティング指標の目標値に基づいて、該複数のユーザグループから、該所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、
所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定手段と、
前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定手段と、
前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成手段と、
前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定手段と、
前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ特徴は、ユーザについて事実特徴と、前記事実特徴に基づいて推定される推定ユーザ特徴を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マーケティング特徴は、前記所定の広告を提供するための手段と、前記所定の広告上で広告提供側が期待する行動を促進させるための販促材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の広告を提供する手段は、電子メール、ダイレクトメール、ディスプレイ広告、ウェブバナー広告、プッシュ通知のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記販促材料は、クーポン、ポイント、および割引情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習モデルは、前記広告効果が最も高い場合に前記効果スコアが1となり、前記広告効果が最も低い場合に前記効果スコアが0となるように、前記効果スコアを出力するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記複数のユーザから、前記効果スコアが所定値以上の1以上のユーザを抽出し、当該1以上のユーザから、前記マーケティング特徴ごとに、前記複数のユーザグループを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記マーケティング指標は、前記広告の提供のための予算情報、前記広告により期待するROI(Return on investment)およびCVR(Conversion Rate)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記マーケティング指標の目標値を所定のルールに適用することにより、前記1以上のユーザグループを決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記決定手段により決定された前記1以上のユーザグループに対して前記所定の広告を提供する提供手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、
所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定工程と、
前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定工程と、
前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成工程と、
前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定工程と、
前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定工程と、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該情報処理プログラムは、前記コンピュータに、
複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、
所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定処理と、
前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定処理と、
前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成処理と、
前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定処理と、
前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定処理と、を含む処理を実行させるためのものである、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関し、特に、広告計画のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
見込み顧客(ターゲット顧客)として、同様の特徴を有する1以上のユーザを抽出してユーザセグメントを形成する技術(ユーザセグメンテーション)が知られている。ユーザセグメンテーションを用いることにより、広告効果の最大化が期待される。ユーザセグメンテーションと広告との関係に関して、様々な技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、広告出稿の予算配分を最適化する技術が記載されている。当該文献には、共通の特徴を有するユーザのグループ(ユーザセグメント)に対して割り当てられた予算金額と、当該特徴に基づいて予測された広告に対する予測クリック数と予測CV(Conversion)率とに基づいて、当該広告に対する予測CV数を算出することが記載されている。予測CV数がグループ毎に算出されるため、予算配分の最適化を効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-187697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献による技術は、マーケティングで重要視される予算を考慮した広告計画の最適化という観点で効果を奏する。一方で、マーケティング戦略には、予算を含めた様々なマーケティング指標が使用される。予算というマーケティング指標に限定されず、あらゆるマーケティング指標を考慮した広告計画のための手法は、これまでに提案されていなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、様々なマーケティング指標の目標設定に応じた広告計画のための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理装置の一態様は、複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定手段と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定手段と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成手段と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定手段と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定手段と、を有する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理方法の一態様は、複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定工程と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定工程と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成工程と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定工程と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定工程と、を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によるプログラムの一態様は、情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定処理と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定処理と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成処理と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定処理と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定処理と、を含む処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、様々なマーケティング指標の目標設定に応じた広告計画を行うことが可能となる。
上記した本発明の目的、態様および効果並びに上記されなかった本発明の目的、態様および効果は、当業者であれば添付図面および請求の範囲の記載を参照することにより下記の発明を実施するための形態から理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、情報処理システムの構成例を示す。
図2図2は、実施形態による情報処理装置10の機能構成例を示す。
図3図3は、情報処理装置10とユーザ装置11のハードウェア構成例を示す。
図4図4は、効果スコアを推定の手順の例を示す。
図5図5は、効果スコアを含むスコア表の例を示す。
図6図6は、ターゲットセグメントの決定手順の例を示す。
図7図7は、情報処理装置により実行される処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。以下に開示される構成要素のうち、同一機能を有するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、以下に開示される実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
[情報処理システムの構成例]
図1に、本実施形態による情報処理システムの構成例を示す。本情報処理システムは、その一例として、図1に示すように、情報処理装置10と、任意の複数のユーザ1~Nにより使用される複数のユーザ装置11-1~11-N(N>1)を含んで構成される。なお、以下の説明において、特に説明がない限り、ユーザ装置11-1~11-Nをユーザ装置11と総称しうる。また、以下の説明において、ユーザ装置とユーザという語は同義に使用され、番号1~Nが、ユーザ(ユーザ装置)の識別番号(ID)として使用されうる。
【0014】
ユーザ装置11は、例えば、スマートフォンやタブレットといったデバイスであり、LTE(Long Term Evolution)等の公衆網や、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信網を介して、情報処理装置10と通信可能に構成されている。ユーザ装置11は、液晶ディスプレイ等の表示部(表示面)を有し、各ユーザは、当該液晶ディスプレイに装備されたGUI(Graphic User Interface)により各種操作を行うことができる。当該操作は、指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、画面に表示された画像等のコンテンツに対する各種の操作を含む。
なお、ユーザ装置11は、図1に示すような形態のデバイスに限らず、タブレット端末やノート型のPCといったデバイスであってもよい。また、ユーザ装置11は、表示面を別に備えてもよい。
【0015】
ユーザ装置11は、情報処理装置10から、または、不図示の他の装置から情報処理装置10を介して提供されるウェブサービス(インターネット関連サービス)を利用することができる。当該ウェブサービスは、インターネットを介して提供される、オンラインモールやネットスーパー、あるいは、通信、金融、不動産、スポーツ、旅行に関するサービスを含むことができる。ユーザ装置11は、当該ウェブサービスを利用するために、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)といった情報を登録しうる。
【0016】
[情報処理装置10の機能構成]
本実施形態による情報処理装置10は、複数のユーザ装置11-1~11-Nから取得した、複数のユーザのユーザ特徴とマーケティング特徴、および、学習済みのスコア予測モデル112を用いて、当該複数のユーザに対する広告効果を示す効果スコアを予測する。そして情報処理装置10は、当該複数のユーザに対する効果スコアと、設定されたマーケティング指標の目標値に基づいて、広告提供先のユーザ群である、ターゲットセグメントを決定する。
【0017】
図2は、本実施形態による情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示す情報処理装置10は、ユーザ特徴取得部101、マーケティング特徴取得部102、マーケティング特徴設定部103、スコア推定部104、マーケティング指標設定部105、ターゲットセグメント決定部106、出力部107、学習モデル記憶部110、および選択ルール記憶部120を備える。学習モデル記憶部110は、ユーザ特徴予測モデル111とスコア予測モデル112を記憶可能に構成される。また、選択ルール記憶部120は、選択ルール121を記憶可能に構成される。
【0018】
ユーザ特徴取得部101は、ユーザ装置11-1~11-Nのそれぞれから、当該ユーザ装置やユーザについての事実特徴(事実情報、事実属性)(以下、ユーザ特徴)を取得する。ユーザ特徴は、当該ユーザ装置やユーザから実際に、または、客観的に得られる、事実に基づく特徴(情報)である。ユーザ特徴取得部101は例えば、ユーザ装置11から直接ユーザ特徴を取得することができる。また、ユーザ特徴取得部101は、ユーザ装置11のユーザによりウェブサービスに登録された情報として、ユーザ特徴を取得することができる。
【0019】
ユーザ特徴は、ユーザ装置のIPアドレス、ユーザの住所やユーザの氏名、ユーザが保持するクレジットカードの番号、ユーザのデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)等を含む。また、ユーザ特徴は、所定のウェブサービス利用時における登録番号や登録名を含んでもよい。また、ユーザ特徴は、通話履歴、所定のウェブサービス利用時における商品のユーザの住所以外の配送先住所、所定のウェブサービス利用時の利用状況、利用履歴、検索履歴、アイテム購入履歴(購入結果を含む)、サービスの利用により貯めることが可能なポイントに関する情報を含んでもよい。このように、ユーザ特徴は、ユーザ装置またはユーザ自身に関連する情報や、通信を介した所定のサービス利用に関する情報を含む、あらゆる情報を含むことができる。
【0020】
なお、本実施形態において、購入といった利用可能なアイテムとは、様々なサービスに関して提供可能な有形または無形のモノ(Thing)でありうる。例えば、金融(フィンテック)サービスに関しては、銀行口座、株式や投資信託や保険商品といった金融商品、暗号通貨、スマホアプリ決済等のアイテムが存在する。また、デジタルコンテンツサービスに関しては、映画やアニメといった動画コンテンツや、写真やイラストやテキストといった静止画コンテンツ等のアイテムが存在する。また、Eコマースサービスに関しては、ネットショッピングで扱う無形または有形の商品等のアイテムが存在する。また、トラベルサービスに関しては、ホテルやパックツアーや交通機関に関する情報や予約等のアイテムが存在する。また、モバイルサービスに関しては、モバイル機器、公衆網/インターネット接続、通信利用料金等のアイテムが存在する。また、広告およびメディアサービスに関しては、オフラインやオフラインの広告商品、ダイレクトメール、放送やインターネットを介した広告等のアイテムが存在する。また、カードサービスに関しては、クレジットカード決済やポイント取引等のアイテムが存在する。また、スポーツおよび文化サービスに関しては、スポーツイベントやコンサートといったイベントやイベントで販売される商品等のアイテムが存在する。
【0021】
また、ユーザ特徴取得部101は、取得したユーザ特徴を、学習済みのユーザ特徴予測モデル111に適用して、当該ユーザ特徴に対して推定されたユーザ特徴(推定ユーザ特徴(属性))も取得するように構成される。ユーザ特徴予測モデル111は、対象のユーザのユーザ特徴(すなわち、事実特徴)を入力として、複数のユーザ特徴それぞれが当該対象のユーザに該当する(適合する)確率(該当確率)を出力するように構成される。ユーザ特徴取得部101は、該当確率から、最終的に、当該対象ユーザの推定ユーザ特徴を決定する。
【0022】
例えば、ユーザ特徴取得部101は、対象ユーザのユーザ特徴として、対象ユーザのデモグラフィック情報と過去のウェブサービスにおける購入履歴や趣向を示すデータをユーザ特徴予測モデル111に入力する。ユーザ特徴予測モデル111からは、該当確率として、当該対象ユーザが購入すると推定される複数のアイテムや当該対象ユーザが有しうる複数の趣向それぞれに対する確率が出力される。そして、ユーザ特徴取得部101は、所定値以上の確率を有するアイテムや趣向を、当該対象ユーザの推定ユーザ特徴として、取得することができる。
【0023】
マーケティング特徴取得部102は、広告の提供に関するマーケティング上の特徴を、マーケティング特徴として取得する。マーケティング特徴取得部102は、ユーザ特徴取得部101により取得された過去のユーザ特徴と関連付けられたマーケティング特徴を取得する。本実施形態では、マーケティング特徴は、広告の提供のために使用したチャネルとインセンティブデータを含む。また、マーケティング特徴は、広告の提供のために使用したチャネルに対応するコスト(費用)に関する情報(コストデータ)を含む。
例えば、
【0024】
チャネルは、広告提供のための手段である。チャネルは、例えば、電子メール(Eメール)、ダイレクトメール(DM)、ディスプレイ広告、ウェブバナー広告(バナー広告)、プッシュ通知のうちの少なくとも1つを含む。ディスプレイ広告は、ディスプレイ上の広告全般であり、テキスト広告、レスポンシブル広告、動的ディスプレイ広告、動画広告を含み、バナー広告はディスプレイ広告の一種である。
インセンティブデータは、広告上で広告提供側が期待する行動(購入や登録)を促進させるための販促材料(インセンティブ、特典情報)である。インセンティブは、ユーザの行動に応じて付与される(与えられる)クーポン、ポイントや、割引情報(割引率)のうちの少なくとも1つを含む。クーポンは、所定の金額に対応しうる。また、ポイントは、ウェブサービス上の所定のルールに従って貯めることができる点数に対応する。貯められたポイントは、その数に応じて、アイテムとの交換や、金銭との交換が可能でありうる。
コストデータは、前述したように、広告の提供のために使用したチャネルに対応するコストに関する情報であり、例えば、チャネルがEメールの場合は0円、チャネルが郵送によるDMの場合は郵便料金に相当する。
【0025】
マーケティング特徴設定部103は、スコア推定部104の推定の対象とするマーケティング特徴を設定する。当該マーケティング特徴は、操作者が入力部(図3の入力部35)による入力操作により設定されてもよいし、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図3のROM32やRAM33)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。
【0026】
スコア推定部104は、ユーザ特徴取得部101により取得されたユーザ特徴と、マーケティング特徴設定部103により設定されたマーケティング特徴を、学習済みのスコア予測モデル112に適用して、広告効果のスコア(効果スコア)を推定する。効果スコアの推定手順については後述する。
【0027】
マーケティング指標設定部105は、1つ以上のマーケティング指標に対して、目標(目標値)を設定する。マーケティング指標は例えば、総予算(トータルバジェット)、ROI(Return on investment)、およびCVR(Conversion Rate)のうちの少なくとも1つである。ROIは、投資した費用に対してどれだけ効果や利益を出すことができたかの割合(指標)である。CVRは、設定した広告のサイトへのアクセスのうち、どれくらいが登録や購入、申し込みといったコンバージョンに繋がったかの割合(指標)である。ROIやCVRは、対象とする期間も併せて設定されうる。
マーケティング指標に対する目標値は、操作者が入力部(図3の入力部35)による入力操作により設定されてもよいし、予めシステムにおいて設定されていてもよいし、記憶部(図3のROM32やRAM33)に格納されている任意のプログラムによって設定されてもよい。なお、本実施形態では、マーケティング指標に対する目標は、目標値として設定されるが、目標を示す情報であれば、当該目標は、数値情報に限定されない。
【0028】
ターゲットセグメント決定部106は、スコア推定部104により推定された効果スコアと、マーケティング指標設定部105により設定された、1つ以上のマーケティング指標に対する目標値に基づいて、最終的なターゲットセグメントを決定する。本実施形態では、ターゲットセグメント決定部106は、選択ルール記憶部120に格納されている選択ルール121に基づいて、ターゲットセグメント決定処理を行う。ターゲットセグメント決定手順については後述する。
【0029】
出力部107は、ターゲットセグメント決定部106により決定されたターゲットセグメントの情報を出力する。出力部107は、当該ターゲットセグメントに関する情報を生成して出力してもよい。当該出力は、あらゆる出力処理であり得、通信I/F(図3の通信I/F37)を介した外部装置への出力であってもよいし、表示部(図3の表示部46)への表示であってもよい。
【0030】
[情報処理装置10のハードウェア構成]
図3は、本実施形態による情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態による情報処理装置10は、単一または複数の、あらゆるコンピュータ、モバイルデバイス、または他のいかなる処理プラットフォーム上にも実装することができる。
図3を参照して、情報処理装置10は、単一のコンピュータに実装される例が示されているが、本実施形態による情報処理装置10は、複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに実装されてよい。複数のコンピュータは、有線または無線のネットワークにより相互通信可能に接続されてよい。
【0031】
図3に示すように、情報処理装置10は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力部35と、表示部36と、通信I/F37と、システムバス38とを備えてよい。情報処理装置10はまた、外部メモリを備えてよい。
CPU(Central Processing Unit)31は、情報処理装置10における動作を統括的に制御するものであり、データ伝送路であるシステムバス38を介して、各構成部(32~37)を制御する。
【0032】
ROM(Read Only Memory)32は、CPU31が処理を実行するために必要な制御プログラム等を記憶する不揮発性メモリである。なお、当該プログラムは、HDD(Hard Disk Drive)34、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリや着脱可能な記憶媒体(不図示)等の外部メモリに記憶されていてもよい。
RAM(Random Access Memory)33は、揮発性メモリであり、CPU31の主メモリ、ワークエリア等として機能する。すなわち、CPU31は、処理の実行に際してROM32から必要なプログラム等をRAM33にロードし、当該プログラム等を実行することで各種の機能動作を実現する。
【0033】
HDD34は、例えば、CPU31がプログラムを用いた処理を行う際に必要な各種データや各種情報等を記憶している。また、HDD34には、例えば、CPU31がプログラム等を用いた処理を行うことにより得られた各種データや各種情報等が記憶される。
入力部35は、キーボードやマウス等のポインティングデバイスにより構成される。
表示部36は、液晶ディスプレイ(LCD)等のモニターにより構成される。表示部46は、入力部35と組み合わせて構成されることにより、GUI(Graphical User Interface)として機能してもよい。
【0034】
通信I/F37は、情報処理装置10と外部装置との通信を制御するインタフェースである。
通信I/F37は、ネットワークとのインタフェースを提供し、ネットワークを介して、外部装置との通信を実行する。通信I/F37を介して、外部装置との間で各種データや各種パラメータ等が送受信される。本実施形態では、通信I/F37は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に準拠する有線LAN(Local Area Network)や専用線を介した通信を実行してよい。ただし、本実施形態で利用可能なネットワークはこれに限定されず、無線ネットワークで構成されてもよい。この無線ネットワークは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等の無線PAN(Personal Area Network)を含む。また、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)や、WiMAX(登録商標)等の無線MAN(Metropolitan Area Network)を含む。さらに、LTE/3G、4G、5G等の無線WAN(Wide Area Network)を含む。なお、ネットワークは、各機器を相互に通信可能に接続し、通信が可能であればよく、通信の規格、規模、構成は上記に限定されない。
【0035】
図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能は、CPU31がプログラムを実行することで実現することができる。ただし、図2に示す情報処理装置10の各要素のうち少なくとも一部の機能が専用のハードウェアとして動作するようにしてもよい。この場合、専用のハードウェアは、CPU31の制御に基づいて動作する。
【0036】
[ユーザ装置11のハードウェア構成]
図1に示すユーザ装置11のハードウェア構成は、図3と同様でありうる。すなわち、ユーザ装置11は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力部35と、表示部36と、通信I/F37と、システムバス38とを備えうる。ユーザ装置11は、情報処理装置10により提供された各種情報を、表示部36に表示し、GUI(入力部35と表示部36による構成)を介してユーザから受け付ける入力操作に対応する処理を行うことができる。
【0037】
[効果スコアの推定手順]
次に、効果スコアの推定手順について説明する。本実施形態では、スコア推定部104が、ユーザ特徴取得部101により取得されたユーザ特徴と、マーケティング特徴取得部102により取得されたマーケティング特徴を、学習済みのスコア予測モデル112に適用して効果スコアを推定する。スコア予測モデル112は、機械学習のための学習モデルであり、例えば、CatBoostをベースにした学習モデルである。あるいは、スコア予測モデル112は、XGBoostやLightGBMといった他のブースティングベースの学習モデルであってもよい。
【0038】
スコア予測モデル112は、ユーザ特徴取得部101により取得された過去のユーザ特徴と、マーケティング特徴取得部102により取得された過去のマーケティング特徴に基づく学習データを用いて学習済みである。学習処理の具体例を説明すると、過去のユーザ特徴として、使用したウェブサービスの情報と当該ウェブサービスでの過去の広告結果(購入結果に対応)を準備する。また、過去のマーケティング特徴として、当該購入で使用したチャネル(DM等)とインセンティブデータ(クーポンの有無等)とを準備する。そして、当該ウェブサービスの利用履歴と当該過去のマーケティング特徴のセットに対して、過去の購入結果(例えば、0:購入しなかった、1:購入した)をラベリングした学習データを準備し、当該学習データを用いてスコア予測モデル112を学習させる。
【0039】
学習済みのスコア予測モデル112は、ユーザ特徴と、対象のウェブサービスを含むマーケティング特徴とを入力として、当該対象のウェブサービスにおいてユーザが購入行動を行う可能性を示す広告効果のスコア(効果スコア)を出力するように構成される。効果スコアは0~1で表され、本実施形態では、効果スコアが1の場合は、ユーザがウェブサービスで購入を行う可能性が100%(広告効果が最も高い)であることを示し、効果スコアが0の場合、ユーザがウェブサービスで購入を行う可能性が0%(広告効果が最も低い)であることを示す。学習済みのスコア予測モデル112は、学習モデル記憶部110に格納される。
【0040】
なお、ウェブサービスがインターネットモールのようなショッピングサービスの場合は、広告結果は購入結果に対応するが、ウェブサービスによって、広告結果は異なるものとなる。例えば、広告結果は、所定のサービスへの登録結果といった、広告提供側が最終結果として意図する結果に対応する。
【0041】
スコア推定部104は、学習モデル記憶部110に格納されているスコア予測モデル112に、対象の複数のユーザのそれぞれに対する、ユーザ特徴とマーケティング特徴を適用し、当該それぞれのユーザに対する効果スコアを推定する。本実施形態では、スコア推定部104は、ユーザ1~Nに対する効果スコアを推定する。図4に、効果スコアを推定の手順の例を示す。
【0042】
図4では、ユーザIDがユーザ1の例を示す。ユーザ特徴取得部101により取得されたユーザ特徴41は、ユーザ1のデモグラフィック情報(性別、年齢、居住地域、職業、家族構成等の人口統計学的なユーザ属性)、ユーザ1の利用サービス(=インターネットモール)、ユーザ1の当該サービスにおける購入履歴、および、ユーザ1の推定ユーザ特徴を含む。ユーザ1の推定ユーザ特徴は、前述のように、ユーザ特徴取得部101により取得された過去のユーザ特徴に基づいて、ユーザ特徴予測モデル111を用いて推定されたユーザ特徴である。
【0043】
また、マーケティング特徴設定部103により、マーケティング特徴42が設定される。設定されるマーケティング特徴は、推定の対象とするチャネル、インセンティブデータ、および対象ウェブサービスを含む。図4の例では、マーケティング特徴42は、チャネルがDMであること、インセンティブが無しであること、および、対象ウェブサービスがインターネットモールであることを含む。なお、図4の例では、ユーザ特徴41に含まれる利用サービスと、マーケティング特徴42に含まれる対象サービスは、いずれもインターネットモールであるが、マーケティング特徴42に、ユーザ特徴41に含まれる利用サービスと異なるウェブサービスが設定されてもよい。
【0044】
スコア推定部104は、ユーザ特徴41とマーケティング特徴42をスコア予測モデル112に入力し、ユーザ特徴41に含まれる利用サービス、すなわち、インターネットモールに対する広告効果を示す効果スコア43を推定する。
【0045】
図5に、スコア推定部104が、ユーザ1~Nのうち、ユーザ1~3に対して推定した効果スコアを含むスコア表50の例を示す。スコア表50において、ユーザID51は、ユーザ特徴取得部101により取得されたユーザ特徴(図4の例では、ユーザ特徴41)から得られる。チャネル52、インセンティブ53、およびサービス54は、マーケティング特徴設定部103により設定されたマーケティング特徴(図4の例では、マーケティング特徴42)から得られる。具体的には、ユーザID51は、ユーザ1~3のいずれかを示す。チャネル52、インセンティブ53、サービス54はそれぞれ、効果スコア43を推定するために設定されたチャネル、インセンティブ、および対象のウェブサービスである。効果スコア55は、ユーザ1~3のそれぞれに対してスコア推定部104により推定された効果スコアであり、0~1の値で示される。
【0046】
図5の例では、ユーザ2の場合、インターネットモールの広告をEメールで提供し、かつ、購入によるインセンティブが500円クーポン付与と設定した場合に、ユーザ2がインターネットモールで購入行動を行う可能性が83%(0.83)であることを示している。一方で、同じユーザ2の場合であっても、インターネットモールの広告をDMで提供し、かつ、購入によるインセンティブが500円クーポン付与と設定した場合に、ユーザ2がインターネットモールで購入行動を行う可能性が20%(0.2)であることを示している。なお、当該インターネットモールの広告は、当該インターネットモール全体の広告であってもよいし、当該インターネットモールで扱う特定のアイテムに関する広告であってもよい。特定のアイテムに関する広告の場合、ユーザ特徴(推定ユーザ特徴を含む)に基づいて指定されうる。
【0047】
[ターゲットセグメントの決定手順]
スコア推定部104により、ユーザ1~Nに対する効果スコアが推定されると、ターゲットセグメント決定部106は、当該効果スコアを用いて、ターゲットセグメントの決定処理を行う。図6を参照してターゲットセグメントの決定手順を説明する。図6は、ターゲットセグメントの決定手順の例を示す。スコア表60は、ユーザ1~Nに対して推定した効果スコアを含むスコア表60の例を示す。スコア表60に含まれるコンテンツは、図5と同様である。
【0048】
ターゲットセグメントの決定のために、まず、マーケティング指標設定部105は、対象とするウェブサービス61および、1つ以上のマーケティング指標62を設定する。本実施形態では、マーケティング指標62を、総予算、ROI、CVRとする。図6の例では、マーケティング指標設定部105は、対象とするウェブサービス61をインターネットモールとし、総予算=100万円、ROI(%)=60、CVR(%)=0.5と設定する。なお、マーケティング指標設定部105は、マーケティング指標のうちターゲットセグメント決定に際して特に優先されるマーケティング指標を示すような、各マーケティング指標の優先度を適宜、設定してもよい。ここで、マーケティング指標設定部105は、対象ウェブサービスの種別や内容に基づいてマーケティング指標の優先度を設定してよい。
【0049】
次にターゲットセグメント決定部106は、マーケティング指標設定部105により設定された対象ウェブサービスと、チャネル52、およびインセンティブ53に基づいて、複数のユーザセグメントを生成する。ユーザセグメントは、所定値(所定の閾値)以上の値を有する効果スコアを有する複数のユーザ(見込みユーザ)のうち、共通のマーケティング特徴(すなわち、チャネル52とインセンティブ53)でグルーピングしたユーザグループである。図6の例では、共通のチャネル52とインセンティブ53を有するユーザセグメント63~65が生成されている。例えば、ユーザセグメント63は、チャネル52=Eメール、インセンティブ53=500円クーポンという共通のマーケティング特徴を有し、かつ、推定された効果スコア43が0.5以上のユーザのグループである。
【0050】
ユーザセグメントの生成後、ターゲットセグメント決定部106は、マーケティング指標設定部105により設定されたマーケティング指標(総予算、ROI、およびCVR)の目標値を選択ルール121に適用して、当該目標値を充足する1つ以上のユーザセグメントの組み合わせを決定する。図6の例では、ユーザセグメント63~65の総グループが、最終的なユーザセグメント、すなわち、ターゲットセグメントとして決定される。なお、ターゲットセグメント決定部106は、マーケティング指標設定部105により設定された各マーケティング指標の優先度に基づいて、ターゲットセグメントを決定してもよい。具体的には、ターゲットセグメント決定部106は、設定されたマーケティング指標の目標値を全て充足するようなターゲットセグメントを決定できない場合、優先度が高いマーケティング指標の目標値を充足するように、ターゲットセグメントを決定してよい。
【0051】
ここで、本実施形態によるマーケティング指標である、総予算、ROI、およびのそれぞれについての目標値を充足するようにターゲットセグメントを決定する具体例について説明する。
【0052】
総予算の場合、まず、ターゲットセグメント決定部106は、任意の1以上のユーザセグメントのそれぞれのマーケティング特徴のコスト(コストデータ)およびインセンティブ(インセンティブデータ)などに基づく発生費用を計算する。そして、ターゲットセグメント決定部106は、当該発生費用が、設定された総予算の目標値を下回るよう(以下となるよう)、当該任意の1以上のユーザセグメントから、ユーザセグメントの組み合わせ(ターゲットセグメント)を決定してよい。
【0053】
ROIの場合、まず、ターゲットセグメント決定部106は、任意の1以上のユーザセグメントのそれぞれのユーザが対象ウェブサービスを利用などすることで得られる粗利(利益)に対して各ユーザの効果スコア43を係数として適用した利益の期待値などの利益の統計値を計算する。また、ターゲットセグメント決定部106は、任意の1以上のユーザセグメントのそれぞれのマーケティング特徴のコスト(コストデータ)およびインセンティブ(インセンティブデータ)などに基づく発生費用を計算する。そして、ターゲットセグメント決定部106は、当該発生費用に対する当該利益の統計値の割合が、設定されたROIの目標値を上回るよう(以上となるよう)、当該任意の1以上のユーザセグメントからターゲットセグメントを決定してよい。
【0054】
CVRの場合、ターゲットセグメント決定部106は、任意の1以上のユーザセグメントのそれぞれの各ユーザの効果スコア43に基づいた統計値が、設定されたCVRの目標値を上回るよう(以上となるよう)、当該任意の1以上のユーザセグメントからターゲットセグメントを決定してよい。効果スコア43に基づいた統計値は、効果スコア43そのものの値や、効果スコア43から導出される数値でありうる。
【0055】
なお、ターゲットセグメント決定部106は、ターゲットセグメントの決定に際し、各種統計値が時期などに左右されるという仮定に基づいてマーケティングが行われる時期に応じて各種統計値に所定の係数を適用してもよい。なお、ターゲットセグメント決定部106は、ユーザセグメントを構成する各ユーザの少なくとも事実特徴に基づいて、ユーザセグメントの利益の統計値を決定または補正してもよい。
【0056】
ターゲットセグメントの決定について、シナリオが異なる2つの具体例を、以下に説明する。
【0057】
(第1具体例:低予算を優先)
第1具体例のシナリオは、「高齢者に対して、ウェブサービスであるシニア用健康管理サービスを展開する場合に、低予算で新規ユーザを獲得したい」ことである。この場合、例えば、マーケティング指標設定部105は、以下のような設定を行う。
対象のウェブサービス:シニア用健康管理サービス
総予算:0円
ROI(%):設定なし
CVR(%):0.5
【0058】
当該設定に基づいて、ターゲットセグメント決定部106は、複数のユーザセグメントを選択して、ターゲットセグメントを生成する。
当該設定に基づいて、選択ルール121に従って、ターゲットセグメント決定部106は、マーケティング特徴(チャネルとインセンティブ)と複数のユーザセグメントを選択して、ターゲットセグメントを決定することができる。
第1ユーザセグメント:30,000ユーザ(チャネル:バナー広告、インセンティブ:なし)
第2ユーザセグメント:30,000ユーザ(チャネル:プッシュ通知、インセンティブ:なし)
第3ユーザセグメント:40,000ユーザ(チャネル:Eメール、インセンティブ:なし)
このように、設定された総予算は0円であるため、「インセンティブ無し」を有するマーケティング特徴を有する1つ以上のユーザセグメントが選択される。
第1ユーザセグメント~第3ユーザセグメントのユーザ数および総ユーザ数は、ターゲットセグメント決定部106により、目標CVR(=0.5%)を達成するように決定されうる。
【0059】
(第2具体例:高CVR達成が目標)
第2具体例のシナリオは、「ウェブサービスであるインターネットモールにおいて、高いCVRを期待する」ことである。この場合、例えば、マーケティング指標設定部105は、以下のような設定を行う。
対象のウェブサービス:インターネットモール
総予算:5000万円
ROI(%):30
CVR(%):15
【0060】
当該設定に基づいて、選択ルール121に従って、ターゲットセグメント決定部106は、複数のユーザセグメントを選択して、ターゲットセグメントを決定することができる。
第1ユーザセグメント:150,000ユーザ(チャネル:DM、インセンティブ:1,000クーポン)
第2ユーザセグメント:200,000ユーザ(チャネル:プッシュ通知、インセンティブ:500クーポン)
第3ユーザセグメント:50,000ユーザ(チャネル:Eメール、インセンティブ:1,500クーポン)
第1ユーザセグメント~第3ユーザセグメントのユーザ数および総ユーザ数は、ターゲットセグメント決定部106により、総予算(5,000万円以下)、目標ROI(=35%)、および目標CVR(=15%)を達成するように決定されうる。
【0061】
[処理の流れ]
図7に、本実施形態による情報処理装置10により実行される処理のフローチャートを示す。図7に示す処理は、情報処理装置10のCPU31がROM32等に格納されたプログラムをRAM33にロードして実行することによって実現されうる。図7の説明のために、図1に示した情報処理システムを参照する。学習済みの、ユーザ特徴予測モデル111およびスコア予測モデル112は、学習モデル記憶部110に格納されているものとする。また、本例では、ターゲットセグメントを決定するための対象のウェブサービスは予め設定されているものとする。また、図7に示す処理の順序は、図7に示す順序に限定されない。
【0062】
S71において、ユーザ特徴取得部101は、ユーザ装置11-1~11-Nから、ユーザ1~Nのユーザ特徴を取得する。また、ユーザ特徴取得部101は、当該ユーザ特徴に基づいて、ユーザ特徴予測モデル111を用いて、ユーザ1~Nに対して推定されたユーザ特徴(推定ユーザ特徴(属性))も取得し得る。
【0063】
S72において、マーケティング特徴設定部103は、スコア推定部104の推定の対象とするマーケティング特徴を設定する。本実施形態によるマーケティング特徴は、広告を提供するための手段(チャネル)と、当該広告上で広告提供側が期待する行動を促進させるための販促材料(インセンティブ)を含む。
【0064】
S73において、マーケティング指標設定部105は、1つ以上のマーケティング指標に対して目標値を設定する。本実施形態では、マーケティング指標は、総予算、ROI、およびCVRのうち、少なくとも1つを含む。
【0065】
S74において、スコア推定部104は、設定されている対象のウェブサービスについて、ユーザ1~Nの効果スコアを推定する。スコア推定部104は、S71とS72で取得したユーザ特徴とマーケティング特徴を、スコア予測モデル112に入力し、ユーザ1~Nそれぞれについて、当該対象のウェブサービスに対する効果スコアを推定する。効果スコア推定手順は、図4を参照して上述した通りである。
【0066】
S75において、ターゲットセグメント決定部106は、S74で推定された効果スコアが所定値以上(例えば、0.5)である複数のユーザ(見込みユーザ)のうち、共通のマーケティング特徴(チャネルとインセンティブ)でグルーピングしたユーザグループを、ユーザセグメントとして生成する。続いて、S76において、ターゲットセグメント決定部106は、S73で設定されたマーケティング指標の目標値に基づいて、選択ルール121に従って、生成された複数のユーザセグメントから1以上のユーザセグメントを、ターゲットセグメントとして決定する。ここで、前述したように、ターゲットセグメント決定部106は、ターゲットセグメントに併せて、使用するマーケティング特徴(チャネルとインセンティブ)も決定する。
【0067】
最後に、S77において、出力部107は、S76で決定されたターゲットセグメントに対して、広告を提供する。すなわち、出力部107は、S75で決定したマーケティング特徴に従って、ターゲットセグメントに対して、広告を提供する。
【0068】
このように、本実施形態によれば、広告チャネルの種別およびユーザ特徴のあらゆる組み合わせに応じて予測された広告効果のスコアを活用することで、多様なマーケティング指標の目標設定に応じたチャネルおよびユーザセグメントの最適化が可能となる。また、本実施形態によれば、デジタル広告に限らずアナログ広告を含む多くの広告施策を選択肢として考慮することが可能となり、より柔軟なマーケティング施策のための意思決定を支援することが可能となる。
【0069】
なお、上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【0070】
本実施形態の開示は以下の構成を含む。
[1]複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得手段と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定手段と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定手段と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成手段と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定手段と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【0071】
[2]前記ユーザ特徴は、ユーザについて事実特徴と、前記事実特徴に基づいて推定される推定ユーザ特徴を含むことを特徴とする[1]に記載の情報処理装置。
【0072】
[3]前記マーケティング特徴は、前記所定の広告を提供するための手段と、前記所定の広告上で広告提供側が期待する行動を促進させるための販促材料を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の情報処理装置。
【0073】
[4]前記所定の広告を提供する手段は、電子メール、ダイレクトメール、ディスプレイ広告、ウェブバナー広告、プッシュ通知のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする[3]に記載の情報処理装置。
【0074】
[5]前記販促材料は、クーポン、ポイント、および割引情報のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする[3]または[4]に記載の情報処理装置。
【0075】
[6]前記学習モデルは、前記広告効果が最も高い場合に前記効果スコアが1となり、前記広告効果が最も低い場合に前記効果スコアが0となるように、前記効果スコアを出力するように構成されることを特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0076】
[7]前記生成手段は、前記複数のユーザから、前記効果スコアが所定値以上の1以上のユーザを抽出し、当該1以上のユーザから、前記マーケティング特徴ごとに、前記複数のユーザグループを生成することを特徴とする[1]から[6]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0077】
[8]前記マーケティング指標は、前記広告の提供のための予算情報、前記広告により期待するROI(Return on investment)およびCVR(Conversion Rate)のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0078】
[9]前記決定手段は、前記マーケティング指標の目標値を所定のルールに適用することにより、前記1以上のユーザグループを決定することを特徴とする[1]から[8]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0079】
[10]前記決定手段により決定された前記1以上のユーザグループに対して前記所定の広告を提供する提供手段をさらに有することを特徴とする[1]から[9]のいずれかに記載の情報処理装置。
【0080】
[11]複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得工程と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定工程と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定工程と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成工程と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定工程と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定工程と、を有することを特徴とする情報処理方法。
【0081】
[12]情報処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、複数のユーザそれぞれから、ユーザの特徴を表すユーザ特徴を取得する特徴取得処理と、所定の広告の提供に関するマーケティング特徴を設定する特徴設定処理と、前記ユーザ特徴と前記マーケティング特徴を、学習済みの学習モデルに入力して、前記複数のユーザそれぞれについて、前記所定の広告の広告効果を示す効果スコアを推定する推定処理と、前記効果スコアに基づいて、前記複数のユーザから前記マーケティング特徴ごとに複数のユーザグループを生成する生成処理と、前記所定の広告に対するマーケティング指標の目標値を設定する目標設定処理と、前記マーケティング指標の目標値に基づいて、前記複数のユーザグループから、前記所定の広告を提供する1以上のユーザグループを決定する決定処理と、を含む処理を実行させるためのものである、情報処理プログラム。
【符号の説明】
【0082】
1~N:ユーザ、10:情報処理装置、11-1~11-N:ユーザ装置、101:ユーザ特徴取得部、102:マーケティング特徴取得部、103:マーケティング特徴設定部、104:スコア推定部、105:マーケティング指標設定部、106:ターゲットセグメント決定部、107:出力部、110:学習モデル記憶部、111:ユーザ特徴予測モデル、112:スコア予測モデル、120:選択ルール記憶部、121:選択ルール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7