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▶ ヤンマーホールディングス株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045530
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
F01M13/00 E
F01M13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020093
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2021044759の分割
【原出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】上川 元
(57)【要約】
【課題】ブローバイガスを排出する排出管が他の部品に接触することを抑制することが可能なエンジンを提供する。
【解決手段】エンジン1は、エンジン本体2と、排出管40と、排気マニホールド11と、吸気管23とを備える。エンジン本体2は、燃焼室を含む。排出管40は、燃焼室から漏れたガスであるブローバイガスを大気中に排出する。吸気管23は、エンジン本体2に供給する空気を吸気する。そして排出管40は、排気マニホールド11と吸気管23との間を通過するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室を含むエンジン本体と、
前記燃焼室から漏れたガスであるブローバイガスを大気中に排出する排出管と、
排気マニホールドと、
前記エンジン本体に供給する空気を吸気する吸気管と
を備え、
前記排出管は、前記排気マニホールドと前記吸気管との間を通過するように配置される、エンジン。
【請求項2】
前記排出管を前記エンジン本体に固定する固定部材を複数備え、
前記エンジン本体は、少なくともシリンダブロックをさらに含み、
前記排出管は、複数の前記固定部材により、前記シリンダブロックの複数箇所に固定される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記シリンダブロックの下方に配置されるオイルパンをさらに備え、
前記排出管は、前記固定部材により、前記シリンダブロックのうちの前記オイルパン側の部分に固定される、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記エンジン本体は、前記シリンダブロックの上方に配置されるシリンダヘッドをさらに含み、
前記排気マニホールドは、前記シリンダヘッドに接続され、
前記シリンダブロックは、前記排気マニホールドの下方に配置される一側面を有し、
前記排出管は、前記固定部材により、前記シリンダブロックの一側面のうちの前記排気マニホールド側の部分に固定される、請求項2又は請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記排出管は、前記排気マニホールドの側方を上方から下方に向かって通過するように配置される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記排出管のうち、少なくとも前記排気マニホールドの側方に配置される部分は、金属製である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記排出管は、前記エンジン本体の上方に配置されるヘッドカバーに接続され弾性を有する弾性管と、前記弾性管に接続される金属管とを含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記金属管は、前記金属管の他の部分よりも大きい径を有する膨出部を下端部に有する、請求項7に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼室から漏れたガスであるブローバイガスを吸気管に戻し、再度燃焼室に送るエンジンが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ブローバイガス還元装置のブローバイガス導出口にブローバイガス戻し管の上流端を接続し、ブローバイガス戻し管の下流端を吸気管に接続したエンジンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-198123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンが使用される地域によっては、ブローバイガスを吸気系に戻す必要がなく大気中に排出することが可能である。この場合、ブローバイガスを排出するブローバイガス排出管の上流端は、ブローバイガス排出口に接続される一方、ブローバイガス排出管の下流端は、吸気系に接続されない。つまり、ブローバイガス排出管は、上流端のみが固定される。従って、エンジンの振動に起因してブローバイガス排出管が振れるため、ブローバイガス排出管がエンジンの他の部品に接触するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブローバイガスを排出する排出管が他の部品に接触することを抑制することが可能なエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面のエンジンは、エンジン本体と、排出管と、排気マニホールドと、吸気管とを備える。前記エンジン本体は、燃焼室を含む。前記排出管は、前記燃焼室から漏れたガスであるブローバイガスを大気中に排出する。前記吸気管は、前記エンジン本体に供給する空気を吸気する。そして前記排出管は、前記排気マニホールドと前記吸気管との間を通過するように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブローバイガスを排出する排出管が他の部品に接触することを抑制することが可能なエンジンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のエンジンの構造を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態のエンジンの固定部材周辺の構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態のエンジンの排出管周辺の構造を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態のエンジンの排出管及び排気マニホールド周辺の構造を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の排出管の下流端部周辺の構造を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係るエンジンの実施形態を説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本明細書では、理解を容易にするために、互いに交差する第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを適宜記載している。第1方向X及び第2方向Yは、水平方向に略平行であり、第3方向Zは、鉛直方向に略平行である。本明細書では、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは互いに直交しているが、直交していなくてもよい。以下、第1方向Xの一方側X1は、エンジンの左側を示し、第1方向Xの他方側X2は、エンジンの右側を示す。また、第2方向Yの一方側Y1は、エンジンの正面側(前側)を示し、第2方向Yの他方側Y2は、エンジンの背面側(後側)を示す。また、第3方向Zの一方側Z1は、上側を示し、第3方向Zの他方側Z2は、下側を示す。ただし、説明の便宜のために左右方向、前後方向及び上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係るエンジンの使用時及び組立時の向きを限定しない。
【0010】
図1から図5を参照して、本発明の一実施形態に係るエンジン1について説明する。図1は、本発明の一実施形態のエンジン1の構造を示す斜視図である。エンジン1は、例えば、農業機械、建設機械及び土木機械のような作業機械に搭載される。
【0011】
図1に示すように、エンジン1は、エンジン本体2と、ヘッドカバー5と、オイルパン6と、冷却ファン7と、クランク軸10とを備える。エンジン本体2は、燃焼室(図示せず)を含む。また、エンジン本体2は、少なくともシリンダブロック3をさらに含む。
【0012】
シリンダブロック3の内部には、クランク軸10が配置される。クランク軸10は、出力軸である。クランク軸10は、前後方向に沿って配置される。クランク軸10の両端部は、シリンダブロック3から外部に突出する。
【0013】
シリンダブロック3は、右側面(図示せず)と、左側面3aと、取付部3bとを含む。取付部3bは、シリンダブロック3の右側面及び左側面3aの各々において、前側部分と後側部分とに配置される。取付部3bは、ゴム等の防振部材を介して、作業機械のシャーシ(図示せず)にボルトを用いて固定される。シリンダブロック3の左側面3aは、本発明の「シリンダブロックの一側面」の一例である。
【0014】
エンジン1は、吸気マニホールド(図示せず)及び排気マニホールド11をさらに備える。また、エンジン本体2は、シリンダヘッド4をさらに含む。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上方に配置される。吸気マニホールドは、シリンダヘッド4の右側面(図示せず)に配置される。吸気マニホールドは、エンジン本体2の各気筒(図示せず)に空気を供給する。排気マニホールド11は、シリンダヘッド4の左側面4aに配置される。排気マニホールド11は、シリンダヘッド4に接続される。排気マニホールド11には、シリンダヘッド4から排気ガスが排出される。
【0015】
ヘッドカバー5は、エンジン本体2の上方に配置される。すなわち、ヘッドカバー5は、シリンダヘッド4の上方に配置される。
【0016】
オイルパン6は、エンジン本体2の下方に配置される。すなわち、オイルパン6は、シリンダブロック3の下方に配置される。オイルパン6は、潤滑油を貯留する。オイルパン6内の潤滑油は、エンジン1の各部に供給された後、オイルパン6に戻る。
【0017】
冷却ファン7は、エンジン本体2の前方に配置される。エンジン1は、エンジン本体2の前方に配置されるベルト12をさらに備える。冷却ファン7には、クランク軸10の前端部からベルト12を介して回転駆動力伝達される。
【0018】
エンジン1は、フライホイール(図示せず)及びフライホイールハウジング13をさらに備える。フライホイールハウジング13は、エンジン本体2の後方に配置される。フライホイールハウジング13は、フライホイールを収容する。フライホイールは、クランク軸10の後端部に取り付けられる。クランク軸10の回転駆動力は、フライホイールを介して作業機械の作動部に伝達される。
【0019】
引き続き図1を参照して、エンジン本体2周辺の構造について説明する。エンジン1は、過給機20と、吸気管23と、過給管(図示せず)と、排気連絡管25とをさらに備える。過給機20は、エンジン本体2に供給する空気の圧力を高くする。過給機20は、ヘッドカバー5の左側方に配置される。過給機20は、コンプレッサケース21と、タービンケース22とを含む。コンプレッサケース21は、ブロアホイル(図示せず)を内蔵する。タービンケース22は、タービンホイル(図示せず)を内蔵する。
【0020】
吸気管23は、コンプレッサケース21の吸気入口に接続される。過給管は、コンプレッサケース21の吸気出口に接続される。また、過給管は、図示しないEGR装置(排気ガス再循環装置)を介して吸気マニホールド(図示せず)に接続される。
【0021】
排気マニホールド11は、シリンダヘッド4の左側面4aにおいて、前側の部分から後方に向かって延びる。排気マニホールド11は、タービンケース22の排気入口に接続される。タービンケース22の排気出口には、排気連絡管25が接続される。排気連絡管25は、排気ガス浄化装置(図示せず)を介してテールパイプ(図示せず)に接続される。従って、エンジン本体2の各気筒(図示せず)から排気マニホールド11に排出された排気ガスは、過給機20のタービンケース22、排気連絡管25、排気ガス浄化装置及びテールパイプ等を介して外部に排出される。排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質等を捕集する。
【0022】
また、エンジン1は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラ30と、冷却水出口管31と、EGR管33とをさらに備える。排気マニホールド11は、シリンダヘッド4の左側面4aの後端部まで延びる。排気マニホールド11の後端部11aは、EGRクーラ30に接続される。排気マニホールド11内の排気ガスの一部は、EGRクーラ30に送られる。冷却水出口管31は、シリンダブロック3の左側面3aに接続される。冷却水出口管31には、シリンダブロック3を冷却した冷却水が排出される。また、冷却水出口管31は、EGRクーラ30に接続される。EGRクーラ30内の排気ガスは、冷却水出口管31内を通過する冷却水によって冷却される。EGRクーラ30は、EGR管33を介してEGR装置(図示せず)に接続される。EGR装置は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気系に戻す。なお、排気マニホールド11とEGR管33とは、一体成形品であってもよい。
【0023】
エンジン1では、排気マニホールド11の排気ガスの一部と、吸気管23の空気とは、混合された状態でEGR装置(図示せず)及び吸気マニホールド(図示せず)を介して、エンジン本体2の各気筒に供給される。排気ガスの一部がEGR装置等を介して各気筒に還流されることによって、エンジン1における燃焼温度が低下する。従って、エンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減するとともに、エンジン1の燃費が向上する。
【0024】
次に、図1及び図2を参照して、本実施形態のエンジン1の排出管40について説明する。図2は、本実施形態のエンジン1の固定部材50周辺の構造を示す斜視図である。
【0025】
図1に示すように、エンジン1は、排出管40をさらに備える。排出管40は、ヘッドカバー5に接続される。排出管40は、エンジン本体2で発生したブローバイガスを大気中に排出するための管である。ブローバイガスは、燃焼室から漏れたガスである。具体的には、ヘッドカバー5は、左側面5aと、左側面5aに配置される排出口5bとを含む。排出口5bは、ブローバイガスをヘッドカバー5の外部に排出する。排出管40の上流端部40aは、排出口5bに接続される。すなわち、ブローバイガスは、排出口5bから排出管40を介して大気中に排出される。排出管40は、排出口5bからエンジン本体2の左側面に沿って、下方に向かって延びる。
【0026】
エンジン1は、固定部材50をさらに備える。固定部材50は、排出管40をエンジン本体2に固定する。従って、排出管40とエンジン1の他の部品との隙間を確保できるとともに、エンジン1の振動に起因して排出管40が振れることを抑制できる。その結果、排出管40がエンジン1の他の部品に接触することを抑制できる。
【0027】
具体的には、排出管40は、上流端部40a以外の少なくとも一箇所がエンジン本体2に固定される。固定部材50は、特に限定されるものではないが、例えば図2に示すように、保持板金51と、ボルト52とを含む。保持板金51は、排出管40(図1参照)を保持する保持部51aを含む。保持部51aは、排出管40の外周面に沿って湾曲する。保持部51aには、排出管40が例えば溶接により固定される。保持板金51は、ボルト52によりエンジン本体2に締結される。
【0028】
本実施形態では、図1に示すように、エンジン1は、固定部材50を複数備える。排出管40は、複数の固定部材50により、シリンダブロック3の複数箇所に固定される。従って、排出管40を例えばシリンダヘッド4とシリンダブロック3とに固定するように別部品に固定する場合に比べて、組み立て誤差に起因して、排出管40が変形したり排出管40が組み付かなくなったりすることを抑制できる。
【0029】
本実施形態では、例えば、エンジン1は、固定部材50を2つ備える。排出管40は、2つの固定部材50により、シリンダブロック3の2箇所に固定される。具体的には、排出管40は、固定部材50により、シリンダブロック3のうちのオイルパン6側の部分に固定される。シリンダブロック3のうちのオイルパン6側の部分とは、シリンダブロック3のうち上下方向の中心よりも下側の部分である。従って、排出管40の下流端部40b又は下流端部40bに近い部分を固定することができる。つまり、排出管40は、排出口5bに接続される上流端部40aから遠い部分が固定される。その結果、エンジン1の振動に起因して排出管40が振れることを効果的に抑制できる。本実施形態では、排出管40の下流端部40bは、固定部材50により、シリンダブロック3の左側面3aの下端部3cに固定される。
【0030】
また、排出管40は、固定部材50により、シリンダブロック3の左側面3aのうちの排気マニホールド11側の部分に固定される。シリンダブロック3のうちの排気マニホールド11側の部分とは、シリンダブロック3のうち上下方向の中心よりも上側の部分である。シリンダブロック3の左側面3aは、排気マニホールド11の下方に配置される。シリンダブロック3の左側面3aは、排気側であるため、シリンダブロック3の中でも高温になりやすい。そして、排出管40は、左側面3aのうち特に高温になる排気マニホールド11側の部分に配置される。よって、低温環境下であっても排出管40の内部の水分が凍結することを抑制できる。本実施形態では、排出管40は、固定部材50により、シリンダブロック3の左側面3aの上端部3dに固定される。また、排出管40は、左側面3aの上端部3dにおいて、排気マニホールド11の下方に固定される。
【0031】
次に、図1及び図3から図5を参照して、排出管40の構造についてさらに説明する。図3は、本実施形態のエンジン1の排出管40周辺の構造を示す分解斜視図である。図4は、本実施形態のエンジン1の排出管40及び排気マニホールド11周辺の構造を示す斜視図である。図5は、本実施形態の排出管40の下流端部40b周辺の構造を示す拡大側面図である。
【0032】
排出管40は、排気マニホールド11の側方を上方から下方に向かって通過するように配置される。従って、排出管40が排気マニホールド11の前方又は後方を通過するように湾曲する場合に比べて、排出管40の長さが長くなるのを抑制できる。さらに、特に高温になる排気マニホールド11から排出管40に熱が伝わるため、排出管40の内部で水分が凍結することをより抑制できる。
【0033】
具体的には、図3に示すように、排出管40は、上流端部40a及び下流端部40bに加え、取付部40cと、迂回部40dと、鉛直部40eと、傾斜部40fと、鉛直部40gとをさらに含む。
【0034】
取付部40cは、上流端部40aを含む。図4に示すように、取付部40cは、排気マニホールド11の上方に配置される。取付部40cは、ヘッドカバー5に取り付けられる。取付部40cは、ヘッドカバー5の排出口5bに接続される。また、取付部40cは、迂回部40dに接続される。迂回部40dは、排気マニホールド11を避けるように配置される。すなわち、迂回部40dは、ヘッドカバー5の左側面5aから遠ざかり、排気マニホールド11の側方を略鉛直下方に通過した後、シリンダブロック3の左側面3aに近づくように湾曲する。言い換えると、迂回部40dは、排気マニホールド11を上下に跨ぐように配置される。また、迂回部40dは、排気マニホールド11と吸気管23との間を通過するように配置される。迂回部40dは、鉛直部40eに接続される。鉛直部40eは、排気マニホールド11の下方に配置される。鉛直部40eは、シリンダブロック3の左側面3aに沿って鉛直方向下方に向かって延びる。鉛直部40eは、傾斜部40f(図3参照)に接続される。
【0035】
図1に示すように、傾斜部40f(図3参照)は、排気マニホールド11の下方に配置される。傾斜部40fは、シリンダブロック3の左側面3aに沿って配置される。傾斜部40fは、鉛直部40e(図3参照)から後側下方に向かって傾斜する。すなわち、傾斜部40fは、取付部3bを避けつつ下方に延びる。傾斜部40fは、鉛直部40g(図3参照)に接続される。鉛直部40gは、下流端部40b(図3参照)を含む。鉛直部40gは、シリンダブロック3の左側面3aに沿って鉛直方向下方に向かって延びる。図5に示すように、鉛直部40gは、シリンダブロック3よりも下方まで延びる。
【0036】
引き続き、図3及び図5を参照して、排出管40の構造についてさらに説明する。図3に示すように、排出管40は、ヘッドカバー5に接続され弾性を有する弾性管41と、弾性管41に接続される金属管42とを含む。排出管40が金属管42を含むことによって、金属管42をエンジン本体2に近づけることができる。その結果、排出管40の配管レイアウトの自由度を向上できる。さらに、ヘッドカバー5と金属管42とを弾性管41で接続することによって、ヘッドカバー5から金属管42に振動が伝わることを抑制できる。
【0037】
具体的には、弾性管41は、耐熱性を有する。弾性管41の材質は特に限定されるものではないが、弾性管41は、例えばアクリルゴムからなる。弾性管41は、取付部40cに対応する。弾性管41は、ヘッドカバー5の排出口5bに接続される。弾性管41は、留め具45を用いて排出口5bに固定される。弾性管41は、金属管42に接続される。弾性管41は、留め具46を用いて金属管42に固定される。
【0038】
金属管42は、迂回部40d、鉛直部40e、傾斜部40f及び鉛直部40gに対応する。金属管42は、金属製である。金属管42は、単一の部材によって構成される。すなわち、迂回部40d、鉛直部40e、傾斜部40f及び鉛直部40gは、単一の部材によって構成される。
【0039】
排出管40のうち、少なくとも排気マニホールド11の側方に配置される部分(迂回部40d)は、金属製である。従って、排気マニホールド11からの熱に起因して排出管40が劣化することを抑制できる。
【0040】
金属管42は、金属管42の他の部分よりも大きい径を有する膨出部(バルジ部とも言う)42bを上流端部42aに有する。弾性管41は、金属管42の膨出部42bを覆うように接続される。また、金属管42は、金属管42の他の部分よりも大きい径を有する膨出部42dを下流端部42cに有する。従って、金属管42の下流端部42cに例えばゴムホースを接続することができる。よって、エンジン1を搭載する作業機械の構造に合わせて、ブローバイガスの排出位置を適宜変更することができる。なお、下流端部42cは、本発明の「下端部」の一例である。
【0041】
金属管42の下流端部42cは、排出管40の下流端部40bに対応する。図5に示すように、膨出部42dは、シリンダブロック3よりも下方に配置される。
【0042】
また、本実施形態では、エンジン1は、管43をさらに備える。管43は、例えば弾性を有する。管43は、例えばゴムホースからなる。管43は、耐熱性を有しなくてもよい。管43は、金属管42の下流端部42cに接続される。管43は、金属管42の膨出部42dを覆うように接続される。管43は、留め具47を用いて金属管42に固定される。
【0043】
管43の下端部43aは、傾斜面43bを有する。傾斜面43bは、管43の延びる方向に対して傾斜する。従って、管43の下面が管43の延びる方向に対して垂直に形成されている場合に比べて、管43の排出口(図示せず)の断面積が大きくなる。管43の内部の水分は、排出口の縁から凍結するため、凍結により生じる氷が管43の排出口を塞ぐことを抑制できる。また、管43の内部の水は、傾斜面43bを伝って下方に流れる。従って、管43の排出口の上側部分に水が溜まりにくい。よって、凍結により生じた氷が管43の排出口を塞ぐことをより抑制できる。
【0044】
また、管43は、金属管42に対して着脱可能である。例えば、作業機械の構造に合わせてブローバイガスの排出位置を変更する場合、管43は、別のゴムホースに適宜変更される。
【0045】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、上記の実施形態では、固定部材50により、排出管40をシリンダブロック3の2箇所に固定する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、固定部材50により、排出管40をシリンダブロック3の1箇所又は3箇所以上に固定してもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、排出管40をシリンダブロック3の排気側(左側)に配置する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、排出管40をシリンダブロック3の吸気側(右側)に配置してもよい。
【0048】
また、上記の実施形態では、排出管40をシリンダブロック3に固定する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、排出管40をシリンダヘッド4に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、エンジンの分野に有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 :エンジン
2 :エンジン本体
3 :シリンダブロック
3a :左側面(一側面)
4 :シリンダヘッド
5 :ヘッドカバー
6 :オイルパン
11 :排気マニホールド
40 :排出管
40d :迂回部(排気マニホールドの側方に配置される部分)
41 :弾性管
42 :金属管
42c :下流端部(下端部)
42d :膨出部
50 :固定部材
図1
図2
図3
図4
図5