(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045539
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】生物学的部分の保持のためのインプラント可能な装置
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61M37/00 550
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024020375
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2022131680の分割
【原出願日】2017-11-08
(31)【優先権主張番号】62/435,291
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/805,744
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/419,130
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】ポール ディー.ドラムヘラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ビー.ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン フリードマン
(57)【要約】
【課題】良好なインプラント装置を提供すること。
【解決手段】組織床内に生物学的部分又は治療デバイスを受け入れそして保持するためのインプラント可能な封じ込め装置は開示されている。デバイスはデバイスをほぼトロイダル形態に維持し、変形後に装置をその形態に戻すための造形要素を含む。装置は、患者への外傷を最小限に抑えて宿主組織に配置することができる。装置をインプラントする方法及び装置を使用する方法も開示されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能な封じ込め装置であって、
(a)外面と内面とを含む導管であって、前記内面は管腔領域を画定し、前記導管は第一の再シール可能なポートを含む第一の端部と、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部とを有する、導管と、
(b)前記導管が湾曲形状を有するように誘導するように構成された造形要素と、
を含み、
前記導管は、前記第一又は第二の再シール可能なポートを通して前記管腔領域内に治療デバイスを受け入れるように適合されている、装置。
【請求項2】
前記導管は多孔質材料の孔内で患者からの血管組織の成長を可能にするのに十分に多孔性である多孔度を有する多孔質材料を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記多孔質材料は前記導管の全厚にわたって血管組織の成長を可能にする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記導管は第二の層に隣接する第一の層を含むラミネートを含み、前記第一の層はチャンバの内面を横切る細胞の内方成長に対して不浸透性である第一の多孔性を有する第一の多孔質材料を含み、前記第二の層は、第二の多孔質材料の孔内で患者から前記第一の層までの血管組織の成長を可能にするが第一の層を通過しないように十分に多孔性である第二の多孔度を有する第二の多孔質材料を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第一又は第二の多孔質材料はポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記第一又は第二の多孔質材料は生体吸収性材料を含む、請求項4記載の装置。
【請求項7】
前記第一又は第二の多孔質材料はePTFE及び生体吸収性材料を含む、請求項4記載の装置。
【請求項8】
前記生体吸収性材料は粉末の形態である、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記造形要素は形状記憶合金及び形状記憶ポリマーから選ばれる形状記憶材料を含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記造形要素はワインディング、ストリップ、スパイン又はステントである、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記造形要素は卵形断面を備えた、ある長さの前記導管である、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記造形要素は少なくとも1つの磁石である、請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記第一の端部と前記第二の端部とを分離可能に結合するための少なくとも1つの取付具をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
1つ以上のセンサをさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項15】
インプラント可能な封じ込め装置であって、
a)外面と内面とを含む導管であって、前記内面は第一の端部と第二の端部とを有する管腔領域を画定し、前記導管は前記端部が接続されていない第一の形態と、前記端部が接続されそして前記導管が湾曲形状を有する第二の形態とを有する導管と、
b)前記第一の端部を前記第二の端部に取り外し可能に接続するための取付具と、
を含む、装置。
【請求項16】
封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
(a)前記封じ込め装置を組織床内の実質的にチューブ状のキャビティに挿入することと、
(b)前記装置を略トロイダル形態にすることと、
を含み、
前記封じ込め装置は、
(i)外面、管腔領域を画定する内面、第一の再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管と、
(ii)前記導管を略トロイダル形態に誘導するように構成されている、造形要素と、を含み、
前記導管は前記第一の再シール可能なポート及び第二の再シール可能なポートのうちの少なくとも1つを通して、前記管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、方法。
【請求項17】
前記装置を略トロイダル形態にすることは前記装置を前記組織床内で略トロイダル形態に移行させることを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記封じ込め装置を挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、前記一次形態は略トロイダル形態である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
第二の封じ込め装置を前記実質的にチューブ状のキャビティ内にインプラントすることをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くことと、前記実質的にチューブ状のキャビティに第二の封じ込め装置を挿入することと、をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項23】
封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
(a)封じ込め装置の第一の端部を、組織床の切開部の入口点を通して組織床の湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入することと、
(b)前記封じ込め装置の第一の端部を、前記組織床を通る湾曲経路内で前進させることと、
(c)前記入口点の近傍にある組織床の切開部の出口点を通して前記封じ込め装置の第一の端部を取り出すことと、
を含み、
前記封じ込め装置は、
(i)外面、管腔領域を画定する内面、再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管、を含み、
前記導管は、少なくとも1つの再シール可能なポートを通して管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、方法。
【請求項24】
前記封じ込め装置の前記第一の端部を取り出した後に、前記封じ込め装置の前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記装置を略トロイダル形態にすることをさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記封じ込め装置の前記第一の端部を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、ここで、前記一次形態は略トロイダル形態である、請求項23記載の方法。
【請求項27】
第二の封じ込め装置を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティにインプラントすることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くこと、及び、前記実質的にチューブ状のキャビティに第二の封じ込め装置を挿入することをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項29】
加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、インプラント可能な生物学的装置及び生物学的療法の分野に関し、詳細には、生物学的部分又は生物学的部分を保持するためのデバイスを収容するための封じ込め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
生物学的療法は、末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓病、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、失明、糖尿病及び他の病状を治療するためのますます実行可能な方法である。
【0003】
一般に生物学的療法に関して、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体及び他の生物活性部分は、外科的方法又は介入的方法によって患者に導入されうる。外科的技術としては、限定するわけではないが、組織又は器官への鈍い平面切開が挙げられる。介入的技術としては、限定するわけではないが、カテーテル又は針を介した標的部位への注入が挙げられる。これらの方法は、宿主組織に外傷を引き起こし、望ましくない炎症、血管分布の欠如及び免疫反応を引き起こし、それらすべては、生物学的部分の生存率及び有効性を低下させる可能性がある。この方法はまた、細径針又はカテーテルを通る輸送中に受ける剪断力のために、生物学的部分の生存率及び有効性を低下させる可能性がある。そして、密な組織への注入によって引き起こされる圧力の上昇は外傷を誘発する可能性がある。インプラントされた細胞は、しばしば、注入部位に生着せず、前記部位から移行することがある。
【0004】
生物学的部分をカプセル化するためのデバイスは、従来より、治療薬を閉じ込める一方、治療薬を持続させる栄養素、治療薬からの老廃物及び治療薬によって産生される治療用製品に対して透過性を維持するための選択透過性膜を含む。患者にインプラントされたときに、これらの治療デバイスの大部分に対する患者による典型的な生物学的反応は、デバイスの周りの線維性カプセルの形成である。ほとんどのドラッグデリバリー及び遺伝子治療デバイスでは、これは、特に治療薬が短い半減期を有するときに、デバイスの性能を制限する可能性がある。細胞カプセル化デバイスの場合に、デバイスを封入する線維性カプセルは、最も頻繁には、カプセル化細胞から栄養素及び老廃物の患者の組織との生命維持交換を奪う。結果的に、通常、カプセル化細胞にとって致命的であろう。さらに、治療デバイスを封入する線維性カプセルは、通常、デバイスの外科的回収を困難にする。
【0005】
他のインプラント可能なデバイスは血管新生を支援することができる外部膜を含む。すなわち、特定の治療デバイスを患者にインプラントすると、主に患者の血管組織は刺激されてデバイスと直接又はほぼ直接接触するようになる。一方では、これは、デバイスの治療用製品を、デバイスと接触している血管組織を通して患者の循環に直接デリバリーすることができるので望ましい。他方、これは、患者の血管組織がこれらのインプラント可能な治療デバイスのうちの1つと接触して成長すると、デバイスの除去はデバイスの露出及び取り外しのために組織の外科的切開を必要とするので望ましくない。血管組織、特に毛細血管組織の外科的切開は、しばしば困難で苦痛な処置であることがある。線維性カプセルに封入されるか又は血管組織に包囲されるかにかかわらず、これらのインプラントされたデバイスを回収する問題はデバイスのかなりの欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
細胞カプセル化デバイスなどの治療用デバイスを、封じ込め装置に係合する組織を損傷又は攪乱させることなく又は損傷又は攪乱を最小限にして患者内に配置及び交換することを可能にするインプラント可能な封じ込め装置が依然として必要とされている。したがって、宿主組織に容易かつ非外傷的に挿入することができるが、治療デバイスを取り外しそして交換するために容易にアクセスすることができる装置を開発することが必要である。
【0007】
要旨
用語「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」及び「本発明(the present invention)」は、本明細書で使用されるときに、この特許出願のすべての主題及び下記の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記載は、本明細書に記載の主題を限定するものではなく、又は、下記の特許請求の範囲の意味又は範囲を限定するものではないと理解されるべきである。この要旨は、本発明の様々な態様の高レベルの概要であり、下記の詳細な説明のセクションでさらに説明されている幾つかの概念を導入する。この要旨は、特許請求されている主題の重要な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図しておらず、また、特許請求されている主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、図面のいずれか又は全て、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される1つの態様はインプラント可能な封じ込め装置である。封じ込め装置は治療デバイスを受け入れるのに有用である。封じ込め装置は、外面と内面とを含むシースとも呼ばれる導管を含み、ここで、内面は管腔領域を画定する。導管は、第一の再シール可能なポートを含む第一の端部と、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部とを有する。封じ込め装置はさらに造形要素を含み、ここで、造形要素は導管を湾曲形状に誘導するように構成されている。導管は、第一又は第二の再シール可能なポートを通して管腔領域内に生物学的部分又は治療デバイスを受け入れるように適合されている。
【0009】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される封じ込め装置の導管は、第二の層に隣接する第一の層のラミネートを含む。場合により、第一の層は第一の多孔性を有する第一の多孔質材料を含み、前記多孔性は導管の内面を横切る細胞の内方成長に対して不透過性であり、そして第二の層は第二の多孔性を有する第二の多孔質材料を含み、前記多孔性は患者からの血管組織が第二の多孔質材料の細孔内を第一の層まで内方成長させることができるが、第一の層を通して成長させないのに十分な多孔性である。場合により、導管は第二の多孔質材料のみを含むか、又は、複数の多孔質材料のラミネートを含み、ここで、各多孔質材料は、材料の細孔内での患者からの血管組織の成長を許容するのに十分な多孔性を有し、それにより、血管組織の成長は導管を形成している材料の全厚さを通して可能である。
【0010】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されている封じ込め装置の第一及び/又は第二の多孔質材料はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。幾つかの実施形態において、第一及び/又は第二の多孔質材料は生体吸収性材料を含む。例えば、第一及び/又は第二の多孔質材料は、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)を含むことができる。幾つかの実施形態において、第一及び/又は第二の多孔質材料は、多孔質PTFEと生体吸収性材料との両方を含むことができる。例えば、第一及び/又は第二の多孔質材料は、生体吸収性材料でコーティングされたPTFE材料を含むことができ、又は、生体吸収性材料は、粉末の形態で第一及び/又は第二の多孔質材料の中又は上に取り込まれることができる。
【0011】
幾つかの実施形態において、造形要素は形状記憶合金及び形状記憶ポリマーから選ばれる形状記憶材料を含む。幾つかの実施形態において、造形要素は、ワインディング、ストリップ、スパイン又はステントである。幾つかの実施形態において、造形要素は、卵形の断面を有する、ある長さの導管である。幾つかの実施形態において、造形要素は少なくとも1つの磁石である。
【0012】
幾つかの実施形態において、封じ込め装置は、第一の端部と第二の端部とを分離可能に結合するための少なくとも1つの取付具をさらに含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの取付具は、スナップ取付具、磁気取付具、溶接可能取付具、スライド式取付具、締りばめ及び/又は圧力取付具を含む。
【0013】
幾つかの実施形態において、封じ込め装置は、1つ以上のセンサをさらに含む。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは、温度、感染、酸素レベル、無線周波数識別(RFID)、圧力、pH、グルコース、又は回路の完成を検出するように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態において、インプラント可能な封じ込め装置を必要とする患者のための前記装置は本明細書に開示されており、前記装置は外面及び内面を含む導管を含み、ここで、内面は第一の端部と第二の端部とを有する管腔領域を画定する。導管は、端部が接続されていない第一の形態と、端部が接続されそして導管が湾曲形状を有する第二の形態とを有する。封じ込め装置は、第一の端部を第二の端部に取り外し可能に接続するための取付具をさらに含む。
【0015】
本明細書に開示される別の実施形態は、封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であり、前記方法は、封じ込め装置を組織床の実質的にチューブ状のキャビティに挿入することを含み、ここで、封じ込め装置は導管を有し、前記導管は外面と、管腔領域を画定する内面と、再シール可能なポートを含む第一の端部と、再シール可能なポートを含む第二の端部と、造形要素とを含み、ここで、造形要素は導管を略トロイダル形態を形成するように誘導するように構成されている。導管は、少なくとも1つの再シール可能なポートを通して管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている。方法は、装置を略トロイダル形態にすることをさらに含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、装置を略トロイダル形態にすることは、装置を組織床内で略トロイダル形態に移行させることを含む。
【0017】
幾つかの実施形態において、患者の組織床内に封じ込め装置をインプラントするための方法は、封じ込め装置を挿入する前に封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、ここで、一次形態は略トロイダル形態である。
【0018】
幾つかの実施形態において、患者の組織床内に封じ込め装置をインプラントするための方法は第一の端部と第二の端部とを結合することをさらに含む。
【0019】
本明細書に開示されるさらなる態様は患者の組織床内に封じ込め装置をインプラントするための方法であり、前記方法は、組織床の切開部の入口点を通って封じ込め装置の第一の端部を組織床の湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入することを含み、ここで、封じ込め装置は導管を含み、前記導管は、外面と、管腔領域を画定する内面と、再シール可能なポートを含む第一の端部と、再シール可能なポートを含む第二の端部とを含む。導管は、少なくとも1つの再シール可能なポートを通して管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている。この方法はさらに、封じ込め装置の第一の端部を、組織床を通して湾曲経路で前進させること、及び、入口点の近傍の組織床の切開部の出口点を通して封じ込め装置の第一の端部を取り出すことを含む。
【0020】
幾つかの実施形態において、患者の組織床内に封じ込め装置をインプラントするための方法は、封じ込め装置の第一の端部を取り出した後に、封じ込め装置の第一の端部と第二の端部とを結合することをさらに含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、患者の組織床内に封じ込め装置をインプラントするための方法は装置を略トロイダル形態にすることをさらに含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、患者の組織床に封じ込め装置をインプラントするための方法は、封じ込め装置の第一の端部を、湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入する前に、封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、ここで、一次形態は略トロイダル形態である。
【0023】
本明細書に開示される装置及びインプラント方法は、既知の装置及びインプラント方法と比較して宿主組織への外傷を減少させ、短期間で血管新生を可能にし、それにより、生物学的部分によって提供される治療は患者に直ちに利用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれてその一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0025】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に開示の実施形態による、端部が隣接する湾曲形状を有する本明細書に記載の装置の上面図である。
【0026】
【0027】
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示の実施形態による、端部が分離されている湾曲形状を有する本明細書に記載の装置の上面図である。
【0028】
【0029】
【
図3】
図3は、本明細書に開示の実施形態による、端部が広く離れている湾曲形状を有する本明細書に記載の装置の上面図である。
【0030】
【
図4A】
図4Aは、本明細書に開示の実施形態による、端部が分離されており、位置合わせされていない湾曲形状を有する本明細書に記載の装置の上面図である。
【0031】
【0032】
【
図5】
図5は、本明細書に開示の実施形態による、端部が位置合わせされそして取り外し可能な取付具によって結合されている、略トロイダル形態を有する、本明細書に記載の装置の斜視図である。
【0033】
【
図6】
図6は、本明細書に開示の実施形態による、ラッピングの形態の造形要素を有する本明細書に記載の装置の部分図である。
【0034】
【
図7】
図7は、本明細書に開示の実施形態による、装置の外面に沿って造形要素を有する本明細書に記載の装置の部分図である。
【0035】
【
図8】
図8は、本明細書に開示の実施形態による、装置の外面に沿って造形要素を有する本明細書に記載の装置の部分図である。
【0036】
【
図9】
図9は、本明細書に開示の実施形態による、装置の外面上に分布した生体吸収性材料を有する本明細書に記載の装置の部分図である。
【0037】
【
図10】
図10は、本明細書に記載の導管の第一の層のための多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0038】
【
図11】
図11は、本明細書に記載の導管に使用するための勾配多孔性を有する多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0039】
【
図12】
図12は、本明細書に記載の導管に使用するための勾配多孔性を有する多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0040】
【
図13】
図13は、本明細書に記載の導管に使用するための第一及び第二の層を有する多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0041】
【
図14】
図14は、本明細書に記載の導管に使用するためのヒドロゲルを含む多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0042】
【
図15】
図15は、本明細書に記載の導管に使用するための第一及び第二の層ならびにヒドロゲルを有する多孔質ポリマー材料の断面図である。
【0043】
【
図16】
図16は、本明細書に記載の導管の多孔質ポリマー材料及び細胞排除ゾーンの断面図である。
【0044】
【
図17】
図17は、本明細書に記載の血管組織の内方成長を示す導管の断面図である。
【0045】
【
図18】
図18は、本明細書に開示の実施形態による、2つの端部を結合するスナップ取付具の一例を含む、本明細書に記載のデバイスの部分図である。
【0046】
【
図19】
図19は、第一の端部と第二の端部を覆いそして結合する取付具を含む、本明細書に記載の装置の部分図である。
【0047】
【
図20】
図20は、本明細書に開示の実施形態による、組織床内に配置されたインプラント可能なデバイスの斜視図である。
【0048】
【
図21】
図21は、本明細書に開示の実施形態による、センサを含むインプラント可能なデバイスの部分図である。
【0049】
【0050】
【
図23】
図23は、本明細書に開示の実施形態による、2つの平行な端部及び2つの再シール可能なポートを結合する取り外し可能な取付具を含む本明細書に記載のデバイスの上面図である。
【0051】
【
図24】
図24は、本明細書に開示の実施形態による、再シール可能なポートを含む本明細書に記載のデバイスの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
当業者であれば、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現され得ることを容易に理解するであろう。本明細書で参照する添付の図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている可能性があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではない。
【0053】
本発明は、生物学的成分又は治療デバイス、例えば、細胞カプセル化デバイス、ドラッグデリバリーデバイス又は遺伝子治療デバイスを受け入れるためのインプラント可能な封じ込め装置を対象とする。本明細書に記載のデバイスを用いたカプセル化及びインプラント処置に適した生物学的部分としては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、細菌、タンパク質、抗体及び他の生物活性部分が挙げられる。簡単にするために、本明細書では、生物学的部分を細胞(単数又は複数)と呼ぶが、この記載は生物学的部分を細胞又は任意の特定の種類の細胞に限定せず、以下の記載は細胞でない生物学的部分にも適用される。
【0054】
本明細書に開示されているインプラント可能な封じ込め装置は、2つの端部及び造形要素を有する導管又はチューブを含む。幾つかの実施形態において、2つの端部は再シール可能なポートを含む。幾つかの実施形態において、装置は造形要素を含む。幾つかの実施形態において、装置は2つの端部を取り外し可能に結合するための1つ以上の取付具を含む。有利には、端部を取り外し可能に結合することにより、インプラント可能な封じ込め装置を組織床内に挿入し、患者への外傷を最小限にして挿入しながら湾曲形状を作り出すことができる。非外傷性配置は、血管形成がインプラント処置の直後又は間もなく開始することを可能にし、そして治療デバイスの早期のうまい挿入を可能にする。
【0055】
幾つかの実施形態において、封じ込め装置は組織床内にインプラントすることができ、ここで、封じ込め装置は生物学的部分又は生物学的部分を含む治療デバイス(例えば、複数の細胞)を収容するのに利用可能である。本明細書に記載の実施形態の封じ込め装置は、2つの端部を有する湾曲した導管又はチューブである。導管は治療デバイスを受け入れるための管腔領域を有する。封じ込め装置は、形状記憶材料又はそれから作られた構造などの造形要素を含み、それは装置が略トロイダル形態などの湾曲形状を有するように誘導し、ここで、2つの端部は一緒に取り外し可能に結合され、又は、近接して配置されうる。本明細書に開示の封じ込め装置は、インプラント処置中に宿主組織への外傷を低減し、患者又はデバイス内の生物学的部分への外傷なしに又は外傷を最小限として治療デバイスを挿入することを可能にする。一旦インプラント処置されると、装置は既存の治療デバイス及び生物学的部分を取り出すために及び/又は新しいデバイス及び生物学的部分を挿入するためにアクセスされうる。
【0056】
装置
本明細書に開示のインプラント可能な封じ込め装置は、治療デバイス(例えば、細胞カプセル化デバイス)を受け入れるように構成された導管、例えばシースを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載のインプラント可能な封じ込め装置の導管は湾曲チューブである。幾つかの実施形態において、導管は、装置が収容しようとしている治療デバイスの形態に少なくとも部分的に一致する形状の断面を有する。非限定的な例として、チューブ状導管の断面は円形、卵形又は楕円形であることができる。
【0057】
1つの実施形態において、導管を湾曲形状に誘導するように構成された造形要素は提供される。湾曲形状とは、導管の長さに沿って少なくとも1つの湾曲部を有する形状を指し、連続的に湾曲されていてよく、又は、異なる方向及び/又は平面で湾曲されていてよい。幾つかの実施形態において、使用時に、導管は略トロイダル形態をとる。本明細書において、「略トロイダル形態」とは、1つ以上の平面内にあることができるループ形態を有することを意味する。インプラント可能な封じ込め装置が略トロイダル形態である場合に、2つの端部は近接している。したがって、湾曲形状は、1つの小さな切開部を通してインプラント可能な封じ込め装置の両端へのアクセスを可能にする。しかしながら、幾つかの実施形態において、インプラント可能な封じ込め装置の一端のみへのアクセスが必要とされる。幾つかの実施形態において、切開部の長さは、デバイスの略トロイダル形態の直径の半分未満である。また、湾曲形状はインプラント可能な封じ込め装置への/からの生物学的部分又は治療デバイスの容易な挿入及び取り出しを可能にする。
【0058】
略トロイダル形態の幾つかの非限定的な例は
図1~5に示されている。閉ループを有する装置を
図1に示す。
図1のパネルAは、第一の端部12が第二の端部14に面しかつ当接している略トロイダル形態を有する、本明細書に記載の装置10の上面図である。
図1のパネルBは、パネルAにおける矢印の方向から見た装置の当接端部12,14の部分正面図である。幾つかの実施形態において、使用時に、端部は当接することができるが、一時的に分離されて装置の内部にアクセスすることができる。幾つかの実施形態において、対面している端部の表面は、
図2に示すように平行な平面内にある。
図2のパネルAは、第一の端部22が第二の端部24に対面しているが、当接していない略トロイダル形態を有する、本明細書に記載の装置20の上面図である。
図2のパネルBは、パネルAにおける矢印の方向から見た装置の端部22,24の部分正面図である。幾つかの実施形態において、対面している端部の表面は
図3に示すように平行な平面内にはない。
図3のパネルAは、第一の端部32が第二の端部34に対面しているが、当接しておらず、対面している端部は平行な平面内にない略トロイダル形態を有する本明細書に記載の装置30の上面図である。
図4のパネルAは、第一の端部42と第二の端部44とが向かい合った方向に向いているが、互い対面していないように装置40が若干螺旋形である、略トロイダル形態を有する本明細書に記載の装置40の上面図である。
図4のパネルBは、パネルAにおける矢印の方向から見た装置の端部42,44の部分正面図である。この形態では、端部は近接しているが、互いにアクセスを妨げない。
図5は、端部52,54が位置合わせされ、互いに平行に取付具56によって結合されている、略トロイダル形態の本明細書に記載の装置50の斜視図である。
【0059】
幾つかの実施形態において、装置は造形要素を含む。造形要素は、導管を組織床内で略トロイダル形態などの一次湾曲形状に誘導する。幾つかの実施形態において、造形要素はまた、インプラント処置の間及びその後の使用の間に装置をその一次形状に保持することができる。有用な造形要素の非限定的な例としては、ワインディング、ストリップ、スパイン、ステント及びそれらの組み合わせが挙げられる。非限定的な例として、造形要素は、導管の外面上、導管の層の間、又は導管の内面に沿っていることができる。造形要素の幾つかの非限定的な例は
図6~9に示されている。
図6は、ワインディング62を含む、本明細書に記載の装置60の部分上面図である。
図7は、スパイン72を含む、本明細書に記載の装置70の部分上面図である。
図8は、複数のリング82とスパイン84との組み合わせを含む、本明細書に記載の装置80の部分上面図である。造形要素は幾つかの利点を提供する。1つの実施形態において、造形要素は、挿入に便利な任意の形態で封じ込め装置を挿入する能力を提供し、一旦挿入されると、デバイスは独立して使用時の一次形態をとる。1つの実施形態において、造形要素は、使用時に封じ込め装置を一次形態に保持し、それにより、生物学的部分又は治療デバイスを容易に装置から取り出しそして装置内に挿入することができる。幾つかの実施形態において、造形要素は、生理学的温度と一致する温度、例えば約37℃でその一次形態を採用する。
【0060】
幾つかの実施形態において、造形要素は形状記憶材料又はそれから作られた構造を含む。有用な形状記憶材料の非限定的な例としては、ニチノールなどの形状記憶合金、及び、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ-α-ヒドロキシ酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリグリコール、ポリラクチド、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリオキサエステル、ポリホスホエステル、ポリホスホネート、多糖類、ポリチロシンカーボネート、ポリウレタン及びそれらのコポリマー又はポリマーブレンドなどの形状記憶ポリマーが挙げられる。使用中に導管を一次形態に誘導することに加えて、形状記憶要素はインプラント処置を容易にし、インプラント処置中の装置の外形の変化を容易にすることを含む。
【0061】
幾つかの実施形態において、装置は形状記憶材料を含まないが、装置の幾何学的形状、例えば、導管の半径方向断面は、装置を略トロイダル形態に強制する。これらの実施形態において、幾何形状は造形要素である。幾つかの実施形態において、可撓性装置は、造形要素がなくても端部が結合されると、略トロイダル形態などの湾曲形状をとることができる。
【0062】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置の導管は、主に、選択的篩い分け特性を有する多孔質ポリマー材料から作られている。造形要素は装置の多孔性を妨げない。選択的篩分け多孔質ポリマー材料は、例えば、主にサイズに基づいて材料を通る溶質、生化学物質、ウイルス及び細胞の通過を制御する。一般に、多孔質ポリマー材料の平均孔サイズが増加するにつれて、ますます大きな生化学物質及び生物学的実体はその材料を通過することが可能になる。
【0063】
適切な選択透過性及び/又は多孔性を有し、本明細書に記載の装置の構築に有用であることができるポリマーとしては、限定するわけではないが、アルギネート、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、パンビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、キトサン、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのポリアクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリエチレン-コ-アクリル酸などのポリビニルアクリレート、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性PTFEポリマー、テトラフルオロエチレンエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリプロピレン及び多孔質ポリエチレンなどの多孔質ポリアルキレン、多孔質ポリフッ化ビニリデン、多孔質ポリエステルスルホン、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、ならびにそれらのコポリマー及び組み合わせ、ならびに、繊維又はヤーンの織布又は不織布集合体又は繊維マトリックス(単独又は組み合わせのいずれか)が挙げられる。幾つかの実施形態において、多孔質ポリマー材料は、ノード及びフィブリルによって画定されたボイド空間を有する多孔質材料として特徴化されることができる延伸PTFE膜である。
【0064】
幾つかの実施形態において、多孔質ポリマー材料は生体吸収性材料であることができる。あるいは、多孔質ポリマー材料は生体吸収性材料でコーティングされていてよく、又は生体吸収性材料を粉末の形態で多孔質ポリマー材料の中又は上に取り込まれていてよい。コーティングされた材料は感染部位の減少を促進し、血管新生を促進しそして1型コラーゲン沈着を促進する。本明細書に記載の多孔質材料は、当該技術分野において公知の任意の生体吸収性材料を含むことができる。非限定的な例としては、限定するわけではないが、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)、ポリαヒドロキシ酸、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸ポリ(グリコリド)、及びポリ(ラクチド -コ- カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、ならびにそれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。
図9は、装置85の表面88上に粉末として散在した分配量の生体吸収性材料86を含む、本明細書に記載の装置85を示す。
【0065】
生体吸収性材料は、固体(成形、押出又は結晶)、自己凝集ウェブ又は隆起ウェビングとして形成することができる。幾つかの実施形態において、1層以上の生体吸収性材料を細胞透過を可能にする巨視的な多孔性を有する非生体吸収性材料に付着させて複合体を形成させる。他の実施形態において、細胞透過を減少又は防止する微視的な多孔性を有する非生体吸収性材料を多孔性自己凝集ウェブに取り外し可能に取り付けて、インプラント処置後数日で患者の体から封じ込めチューブの非外傷性除去を可能にする。体内への吸収は、好ましい1型コラーゲンの沈着、血管新生及び感染の減少を促進することができる。
【0066】
幾つかの実施形態において、材料がその厚さの一部を通してのみ多孔質である場合には、選択透過性多孔質ポリマー材料(例えば、ePTFE膜)の分子量カットオフ、または篩い分け特性は、材料の表面で始まる。結果として、特定の溶質及び/又は細胞は、一方の側から他方の側へ材料の多孔質空間に入らずそれを通過することはない。
図10は、本明細書に記載の導管の幾つかの実施形態において有用な多孔質ポリマー材料90の断面図であり、材料90の選択透過性は、材料の厚さ方向を横切る溶質93の二方向流を許容するが、細胞92を材料の多孔質空間に移行又は成長することを排除する。血管内皮細胞は結合してその上に毛細血管を形成することができる。封じ込め装置の導管のそのような毛細管形成又は血管新生は、患者の組織と治療デバイスの内容物との間の流体及び溶質の流れを促進することを可能にする。
【0067】
幾つかの実施形態において、多孔質ポリマー材料の透過性は、材料の厚さにわたって連続的に変化しうる。
図11は、本明細書に記載の導管に有用な多孔質ポリマー材料100の断面図であり、ここで、材料100の選択透過性は、図中の点刻の漸増密度によって示されるように材料の厚さにわたって連続的に変化している。
図12は、本明細書に記載の導管に有用な本発明の多孔質ポリマー材料110の断面図であり、ここで、材料110の選択透過性は、図中の点刻の増加密度によって示されるように材料の厚さにわたって変化している。
【0068】
1つの実施形態において、多孔質ポリマー材料の透過性は、追加の多孔質ポリマー材料の層によってその厚さにわたって変化している。
図13は、本明細書に記載の導管に有用な多孔質ポリマー材料120の断面図であり、ここで、材料の選択透過性は追加の多孔質ポリマー材料の層122を含む材料120の厚さにわたって変化している。追加の多孔質ポリマー材料の層は、最初の材料層と同じ組成及び透過性を有してよく、又は、追加の層は異なる組成及び/又は透過性であってもよい。
【0069】
別の実施形態において、多孔質ポリマー材料の選択透過性は、多孔質ポリマー材料のボイド空間をヒドロゲル材料で含浸することによって変えられる。ヒドロゲル材料は、多孔質ポリマー材料の全て又は実質的に全てのボイド空間に、又は、ボイド空間の一部にのみ含浸させることができる。例えば、多孔質ポリマー材料の内部表面に隣接して及び/又は内部表面に沿って材料内で連続バンドにおいて多孔質ポリマー材料をヒドロゲル材料で含浸することによって、材料の選択透過性は材料の外側断面領域から材料の内側断面領域まで変化する。
図14は、本明細書に記載の導管に有用な多孔質ポリマー材料130の断面図であり、ここで、材料130の選択透過性は、ヒドロゲル材料133によって材料の厚さ132にわたって変化する。
【0070】
多孔質ポリマー材料に含浸させるヒドロゲル材料の量及び組成は、主に、本発明の装置を構築するのに使用される特定の多孔質ポリマー材料、所与の用途に必要な透過度、及びヒドロゲル材料の生体適合性による。ヒドロゲル材料の非限定的な例としては、限定するわけではないが、加水分解ポリアクリロニトリル、アルギネート、アガロース、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、フィブリン-トロンビンゲル又はジェランガム及びそれらのコポリマー(単独で又は組み合わせて)が挙げられる。幾つかの実施形態において、多孔質PTFE/ヒドロゲル複合材の総厚は約2ミクロン~約1000ミクロンの範囲であることができる。
【0071】
幾つかの実施形態において、多孔質ポリマー材料の透過性は、追加の多孔質ポリマー材料の層及びさらなるヒドロゲル材料の層を用いて材料の厚さにわたって変化しうる。
図15は、本明細書に記載の導管に有用な多孔質ポリマー材料140の断面図であり、ここで、材料140の選択透過性は、追加の多孔質ポリマー材料の層144及びさらなるヒドロゲル材料の層146と共に材料の厚さ142にわたって変化する。この実施形態の利点は、本明細書に記載される装置に含まれている故障した治療デバイスからの細胞による汚染に対してインプラント患者に提供される追加の保護である。さらに、この形態は強い細胞及び体液性免疫遮断バリアを提供するであろう。
【0072】
幾つかの実施形態において、多孔質ポリマー材料の透過性は、患者から材料内への細胞の成長を可能にするが、それを通過しないように選ばれる。幾つかの実施形態において、細胞透過ゾーンは多孔質ポリマー材料のボイド空間に形成され、それは材料の外面から始まり、装置の内面に隣接する材料内の点まで続き、ここで、多孔質ポリマーの細胞への透過性は、材料のボイド空間内に移行した細胞がさらに移行して装置の内面に貫通することができないように減少している。
図16は、本明細書に記載の導管に有用である多孔質ポリマー材料150の断面図であり、ここで、前記材料は細胞透過ゾーン152を有し、それは材料150の外面154から始まり、材料150の厚さを横切って細胞排除ゾーン156まで続き、前記細胞排除ゾーンは材料の内面158に隣接してそれと連続している。
【0073】
細胞が移行又は成長することができない多孔質ポリマー材料の領域は細胞排除ゾーンと呼ばれ、細胞排除ゾーンは、本明細書では細胞の内方成長に対して不透過性と呼ばれる。細胞排除ゾーンは、侵襲性細胞が装置の管腔に入り込み、装置内に含まれる治療デバイスに接触し、付着し、汚染し、内方成長し、過成長し、あるいは別のやり方で干渉することを防止し又は最小限に抑制する。侵襲性宿主細胞が装置の内面まで成長するのを排除するために、幾つかの実施形態において、細胞排除ゾーンの孔サイズは、ポロメトリーにより測定して、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、又は約0.5ミクロン未満であることができる。
【0074】
幾つかの実施形態において、透過性はヒドロゲル材料で調整することができる。例えば、幾つかの実施形態において、装置の延伸PTFE膜の内面に隣接して及び/又は内面に沿って、延伸PTFE膜内に連続バンドでヒドロゲル材料によって延伸PTFE膜のボイド空間を含浸することによって、細胞排除ゾーンを、細胞透過ゾーンを有する延伸PTFE膜に形成することができる。細胞排除ゾーンを形成するヒドロゲル材料は約2μm~約100μm、又は約25μm~約50μmの厚さを有することができる。
【0075】
様々な種類の細胞は、本明細書に記載の装置の多孔質ポリマー材料の細胞透過ゾーン中に成長することができる。特定の多孔質ポリマー材料中に成長する優勢な種類の細胞は、主に、インプラント部位、材料の組成及び透過性、ならびに、任意の生物学的因子により、例えばサイトカイン及び/又は細胞接着分子であり、例えば、材料中に取り込まれ、又は、装置を通して導入されることができる。幾つかの実施形態において、血管内皮は、本発明で使用するための多孔質ポリマー材料中に成長する優勢な種類の細胞である。毛細血管網状組織の形態の血管内皮細胞の確立された集団による多孔質ポリマー材料の血管新生は、患者の組織から装置の内面に対して非常に近接するようにその材料の厚さに入ってそしてその厚さを横切るが、細胞排除ゾーンを横切らない材料の新生血管形成の結果として起こることが奨励される。
【0076】
図17は、本明細書に記載の導管に有用である細胞透過ゾーン161を有する多孔質ポリマー材料160の断面図であり、前記細胞透過ゾーン161は材料160の外面162から始まり、材料160の厚さを横切り、材料160内の細胞排除ゾーン164まで続き、前記細胞排除ゾーンは材料の内面166と隣接しそして連続しており、ここで、細胞透過ゾーン161は血管構造168で占められている。装置の血管新生は導管の内面と患者の組織との間の治療薬又は生化学物質の大量輸送を改善し、それにより、封じ込みチューブ中に収容された治療デバイスの内容物と患者の組織との間の治療薬又は生化学物質の輸送の量及び速度が向上する。
【0077】
幾つかの実施形態において、治療デバイスと患者の組織との間の材料の最大交換は、内方成長した毛細管から導管の管腔までの最大距離が約250ミクロン未満のときに達成される。幾つかの実施形態において、内方成長毛細管から導管の管腔までの最大距離は、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、又は約25ミクロン未満である。したがって、幾つかの実施形態において、細胞排除ゾーンは、厚さが約250ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、又は約25ミクロン未満であることができる。多孔質ポリマー材料が血管新生を可能にすることに加えて、多孔質ポリマー材料の透過性は、材料の厚さにわたって最大約5,000,000MWまでの分子量を有する治療薬を含む生化学物質の通過を選択的に可能にするように選ばれることができる。
【0078】
幾つかの実施形態において、装置は、その最終形態に類似又は異なる形態で挿入されるが、装置がその最終形状をとるためには、インプラントされた装置の幾らかの移行は起こりうる。本明細書に記載の封じ込め装置の細胞透過ゾーンの血管新生及び他の組織の内方成長はインプラント部位に装置を固着することができる。しかしながら、この固着は装置の一次形状への移行を妨げない。というのは、その形状移行はインプラント処置の直後で、有意な血管新生及び他の組織成長が起こる前に起こり、これは形状記憶要素又は装置の端部を結合する取付具によって及ぼされる有意な力の結果であるからである。固着は、経時的に装置がインプラント部位から移動するのを最小限に抑制するか又は防止し、一旦十分な固着が生じたならば、装置がその形状を維持するのを助けることができる。本明細書に記載のチューブ状装置の形状を維持することは、装置内に含まれる治療デバイスの容易な配置、交換及び適切な機能発揮のためにしばしば必要である。
【0079】
本明細書に記載の封じ込め装置は、生物学的部分又は治療デバイスを装置内に配置、回収及び交換することができる1つ以上の再シール可能なポートを有する。幾つかの実施形態において、再シール可能なポートは、本明細書に記載の装置の多孔質ポリマー材料を通して固定されるか、又はチューブ状もしくは同様の装置形態の開口端に固定される。再シール可能なポートは、特定の装置の実施形態の管腔領域における治療デバイスの配置、回収及び交換を容易にするのに適した任意の形状を有することができる。幾つかの実施形態において、ルアーロックコネクタなどの市販の取付具は、本明細書に記載の封じ込め装置内の再シール可能なポートとして有用である。幾つかの実施形態において、再シール可能なポートは、本明細書に記載の装置のチューブ構成要素の端部の内側にぴったりと嵌合する第一の部分と、シール要素を受け入れそして保持するためのチューブ構成要素の端部を超えて延在している第二の部分とを有する、PTFEから作られた中空筒形取付具である。幾つかの実施形態において、再シール可能なポートは、インサート成形として当業者に知られている技術を使用してチューブ状装置の端部に取付具を射出成形することによって製造することができる。幾つかの実施形態において、再シール可能なポートは、穴を覆って閉じるように配置された多孔質ポリマー材料の1つ以上の可撓性ピース、又はフラップを有する多孔質ポリマー材料の穴である。フラップは、装置の一部として形成されてもよく、又はその初期構築の後に装置に取り付けられてもよい。
【0080】
幾つかの実施形態において、再シール可能なポートは、シールを用いて繰り返し開閉することができる。有用なシールとしては、限定するわけではないが、キャップ、プラグ、クランプ、圧縮リング又はバルブが挙げられる。シールは、クランピングによって、又は、ねじ山及び溝を含むスクリューによって、摩擦で再シール可能なポートに取り付けることができる。装置の意図される用途に応じて、再シール可能なポートはシールされて、気密シール、液密シール又は非液密シールを形成する。幾つかの実施形態において、患者への永久的又は長期(すなわち、少なくとも約3週間)のインプラントを意図した装置は、気密シール又は液密シールでシールすることができる。
【0081】
本明細書に記載の装置を構築するのに使用される材料の多くは、本質的に放射線不透過性である。生来的に放射線不透過性ではない材料は、例えば、材料にバリウムを含浸させることによって放射線不透過性になるように変性することができる。材料を放射線不透過性にするための他の有用な方法は当業者に知られている。本明細書に記載の装置を構築するために使用される材料の放射線不透過性は、主に、装置の外科的配置を容易にするため、又はインプラント処置後に患者の中で装置の位置を特定するために使用される。
【0082】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置は、生物学的部分又は略筒形の治療デバイスを収容するためのインプラント可能な導管の形態である。幾つかの実施形態において、インプラント可能なチューブは細胞透過ゾーンを有する延伸PTFE膜で作られていることができ、前記細胞透過ゾーンは導管の外面から細胞排除ゾーンまで延在しており、前記細胞排除ゾーンは細胞透過ゾーンから見て半径方向内側にあり、前記細胞排除ゾーンはチューブの管腔表面で停止する。細胞透過ゾーンは毛細血管がその中に形成するのに十分に多孔質である。装置の幾つかのチューブ状の実施形態において、チューブの開口端はステント又はコアで崩潰するのを防ぐことができる。ステントは、貯蔵中及び/又はインプラント処置後に、チューブ状装置の全部又は一部を開放又は拡張したチューブ状形状に保つのに有用である任意の形状であることができそして任意の生体適合性材料から作ることができる。ステントに有用な材料としては、限定するわけではないが、ステンレススチール、チタン及びヒドロゲルが挙げられる。治療デバイスが挿入されていないときに拡張形態のチューブ状装置の全長を維持するために、治療デバイスの形状及び弾力性を模した不活性コアを装置内に配置することができる。適切なコア材料としては、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド又は多糖類、アルギネート、加水分解ポリアクリロニトリルから誘導されるヒドロゲル、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0083】
幾つかの実施形態において、封じ込め装置の導管のための材料は、異なる多孔性を有する少なくとも2つの材料のラミネートである。幾つかの実施形態において、材料は少なくとも2層の延伸PTFE膜を有し、各膜は異なる多孔性を有する。幾つかの実施形態において、細胞排除ゾーンを含むラミネートの部分は、ポロメトリーによって測定して、約0.05ミクロン~約0.4ミクロンの範囲の平均孔サイズを有することができる。幾つかの実施形態において、この材料の孔サイズは約0.4ミクロンであることができる。幾つかの実施形態において、材料の厚さは約1ミクロン~約25ミクロンであることができる。
【0084】
幾つかの実施形態において、細胞透過ゾーンとして使用される材料は、フィブリル長で測定して、約3.0ミクロンより大きい、又は約5.0ミクロンより大きい平均孔サイズを有する。幾つかの実施形態において、材料の厚さは、約10ミクロン~約1000ミクロン、又は約40ミクロン~約60ミクロンの範囲である。
【0085】
1つの実施形態において、チューブはチューブの両端に再シール可能なポートを有し、治療デバイスはいずれかのポートを通してチューブの管腔領域に出入りするように移動されうる。
【0086】
図18は本明細書に記載のインプラント可能な装置の斜視図である。
図18は、装置170がその元の湾曲形態から略真っ直ぐな形態に変形した装置170を示す。本明細書に記載の装置は、組織床内への挿入を容易にするために、トロイダル以外の形態(例えば、より湾曲の少ない、線形又は略線形)に変形することができる。
【0087】
装置のサイズは、挿入される治療デバイスのサイズに応じて変わる。複数の装置を単一の個体にインプラント処置することができ、その結果、複数の導管は個体にインプラントされる。あるいは、装置は1つより多くの導管を含むことができる。
【0088】
取付具
幾つかの実施形態において、装置はまた、2つの端部を分離可能に結合するための1つ以上の取付具を含む。
【0089】
「結合(join)」、「結合(joined)」及び「結合(joining)」は、本明細書では、当接などの接触によって、又は、各端部に接触するが、端部同士が必ずしも当接しない取付具により物理的に近接して保持されることによって接続されるものと定義される。「分離可能」及び「分離可能に」は、本明細書では、固定形態で一緒にされ、次いで、再分離されることが可能であるものと定義される。
【0090】
幾つかの実施形態において、装置の端部は少なくとも1つの取付具によって分離可能に結合することができる。幾つかの実施形態において、装置の端部のそれぞれは、取付具、又は取付具の一部を含み、又は、一方の端部は取付具を含むことができる。有利には、取付具は端部を分離可能に結合して湾曲形態を達成及び/又は維持する。様々な取付具は当業者に知られており、使用することができる。例えば、スナップ取付具、磁気取付具、溶接可能取付具、スライド取付具、締まりばめ、又は圧力取付具はすべて許容可能な取付具である。
【0091】
図19は本明細書に記載の装置の部分図であり、本明細書に記載の装置の第一の端部184及び第二の端部186を覆いそして結合する取付具182を含む。
【0092】
図20は、組織床192内に配置された、本明細書に開示の実施形態によるインプラント可能な装置190の上面図である。装置190は外側シース193、ならびに第一及び第二の端部194,196を有し、前記端部は取付具198によって結合されており、装置190に略トロイダル形状を与える。
【0093】
センサ
場合により、装置は1つ以上のセンサを含むことができる。これらのセンサは、装置内、例えば、導管、端部又は再シール可能なポートのうちの1つ以上に含まれることができる。
図21は端部204にセンサ202を含む、本明細書に記載の装置200の部分上面図である。幾つかの実施形態において、センサは、温度、感染、酸素レベル、圧力、pH又はグルコースレベルを検出するように構成されうる。幾つかの実施形態において、センサは放射線不透過性である。幾つかの実施形態において、センサは、臨床医が、例えば、封じ込め装置内での治療デバイスの除去又は交換のために、組織床中の封じ込め装置の端部の位置を特定することを可能にする。センサは、場合により、無線周波数識別(RFID)技術を含むことができる。幾つかの実施形態において、1つ以上のセンサは1つ以上の磁石を含む。幾つかの実施形態において、1つ以上の磁石を使用して治療薬デリバリーデバイスの位置決めを補助することができる。幾つかの実施形態において、センサは回路を完成させ、デバイスがその最終形態にあることをシグナル送信し、そして様々なセンサを作動させることを可能にする。
【0094】
方法
本明細書ではまた、治療デバイスを収容するためのインプラント可能な封じ込め装置をインプラントするための方法が提供される。装置は、患者内に組織経路を形成し、前記経路中に装置を挿入することによって患者にインプラントされる。
【0095】
幾つかの実施形態において、患者にインプラント可能な封じ込め装置をインプラントするための方法は、組織床に湾曲した実質的にチューブ状の経路(例えば、開口部又はキャビティ)を形成すること、及び、前記経路中にインプラント可能な封じ込め装置を挿入することを含む。幾つかの実施形態において、組織経路は弧状の実質的にチューブ状の経路である。弧状経路は変曲点を持たずに湾曲している。本明細書で使用されるように、弧は必ずしも一定の半径を示すわけではない。しかしながら、幾つかの実施形態において、弧状経路は略一定の半径を有することができる。幾つかの実施形態において、弧状経路は単一の平面内にある。
【0096】
インプラント可能な封じ込め装置の挿入は、組織経路の形成中又は組織経路の形成後に行うことができる。幾つかの実施形態において、挿入中に、装置は、入口点で切開部を通して組織に入り、入口点の近くの出口点で同じ切開部を通して組織から出る。幾つかの実施形態において、一旦挿入されると、装置の2つの端部は接近している。幾つかの実施形態において、装置の2つの端部は結合されている。幾つかの実施形態において、装置の端部は互いに向かい合って端部で結合される。幾つかの実施形態において、挿入直後に装置の2つの端部は近接していない(例えば、デバイスは線形形態であることができる)が、挿入後に、デバイスは装置の2つの端部が近接する形態に生体内で移行する。
【0097】
挿入
幾つかの実施形態において、装置の略トロイダル形態は、使用時のその形態である一次形態であり、装置はまた、よりまっすぐな又はほぼ直線的な変形形態を有する。幾つかの実施形態において、装置はインプラント処置前に一次の略トロイダル形態から略直線形態に変形し、インプラント処置後に、造形要素は装置のその一次形状への回復を容易にする。幾つかの実施形態において、装置は、ほぼ体温である温度、例えば37℃でその一次形態をとる。
【0098】
幾つかの実施形態において、キャビティを形成し、同時にインプラント可能な封じ込め装置を挿入するか、又は、後に装置を挿入する際に、装置の第一の端部を切開部を通して組織床に挿入し、装置を湾曲した経路で組織床を通して移動させる。装置の第一端部は入口点の近くの同じ切開部から出て、それにより、装置の第一の端部と第二の端部とに同時にアクセスすることができる。
図22A~
図22Fは、挿入のいくつかの段階を示す。インプラント可能な封じ込め装置を保持しかつ組織床を通して前進させるためのツールは図示されておらず、装置が経路の全体を横断しそして入口点に近接して経路から突き出すかぎり限定されない。非限定的な例として、本明細書に記載の装置を挿入しそして前進させるためのツールとしては、組織床にキャビティを同時に形成するトンネリングツール、装置を組織内の既存の経路に配置して、次いで、組織から取り出して、装置を残置させる配置ツール、組織経路の外側に留まるか又は組織路内に限定された距離だけ延在しそしてプランジャ又は類似のデバイスを使用して装置を経路内に押し込む注入ツール(例えば、シリンジ又は類似のデバイス)、及び/又は、組織経路を通して挿入及び操縦しながら装置の一部を保持する把持ツールが挙げられる。
【0099】
幾つかの実施形態において、インプラント可能な封じ込め装置は、その最終形態と類似又は異なる形態で挿入され、装置がその最終形状をとるために、インプラントされた装置の少なくとも一部の幾らかの移行は起こりうる。
図22E及び
図22Fは組織床への挿入後の本明細書に記載の装置の移行を示す。
【0100】
場合により、インプラント可能な封じ込め装置は、プロファイルのいかなる変化も含めて、挿入を容易にするために部分的に又は全体的に形状記憶要素で作られる。場合により、装置は優先的な曲げを確実にし、遷移時に線形プロファイルをトロイダルプロファイルに形成するときのキンクを防止するために卵形断面を含む。
【0101】
幾つかの実施形態において、形状遷移時に、外側シース層の微細構造は変化しうる。そのような変化は血管新生を遅らせ又はそれを可能にし、及び/又は装置の生物活性剤放出プロファイルを誂えることができる。これは、組織への外傷を最小限に抑え、含まれる細胞の壊死を最小限に抑え、及び/又は装置に対する患者の免疫反応を遅らせるのに役立つことができる。
【0102】
挿入タイミング
幾つかの実施形態において、挿入工程は、組織床内で湾曲した実質的にチューブ状のキャビティを形成する工程と同時に実行することができる。例えば、中空のトンネリングツールを使用して組織床内で湾曲した実質的にチューブ状のキャビティを形成することができ、インプラント可能な封じ込め装置を中空のトンネリングツールの内側に配置することができ、一方、組織キャビティはトンネリングツールが除去され、インプラント可能な封じ込め装置が組織内に留まるように形成される。
【0103】
場合により、挿入工程は、組織床にキャビティを形成する工程の後のある時点で実行することができる。例えば、装置は、組織床にキャビティを形成した後すぐに、又は短時間(例えば、5分以内、30分以内、1時間以内、又は1日以内)で、場合により、単一の処置の一部として挿入することができる。あるいは、装置は、組織床にキャビティを形成した後のより長時間(例えば、1日以上、1週間以上、又は1ヶ月以上)で別個の処置の一部として挿入することができる。
【0104】
結合
幾つかの実施形態において、方法は、インプラント可能な封じ込め装置の第一の端部と第二の端部とを結合することをさらに含む。幾つかの実施形態において、端部を結合することは、略トロイダル形態を形成又は維持することを容易にする。幾つかの実施形態において、結合は、取付具を使用して第一及び第二の端部を近接して保持する工程を含む。幾つかの実施形態において、結合は、端部が互いに対面する形態で第一の端部と第二の端部とを保持するために取付ツールを使用することを含む。幾つかの実施形態において、結合は、デバイスの2つの端部のそれぞれの取付具が、磁気取付具などの互いに対して自然な親和性を有するために、装置の2つの端部が接近するか又は隣接するまで移行することの結果である。例えば、幾つかの実施形態において、本明細書に記載され、第一及び第二の端部に磁気取付具を有する装置は、インプラント処置直後に非トロイダル形態、例えば、線形又は非線形の非トロイダル形態を有することができる。磁気取付具は互いに引き付けられ、2つの磁気端部がごく接近するまで移行を誘発し、略トロイダル形態を形成する。
【0105】
幾つかの実施形態において、インプラント可能な封じ込め装置の第一端部と第二端部とを結合する工程は装置を挿入した直後に実行される。他の実施形態において、第一の端部と第二の端部とを結合する工程は、装置を挿入した後の短時間で、例えば1日以内に実行される。他の実施形態において、結合する工程は装置を挿入した後1日を超えて(例えば、24時間を超えて、1週間を超えて、1週間から1ヶ月で、又は1ヶ月を超えて)行われる。
図23は、導管226の両端224に再シール可能なポート222を有する本発明の装置220を示し、ここで、再シール可能なポート222は装置が患者内の単一部位でインプラント可能かつアクセス可能であるように取付具228で十分近くに位置決めされそして維持される。装置は造形要素としてスパイン229を含む。
図24は、再シール可能なポート234を導管236に取り付けるために接着剤232を使用する、本明細書に記載の装置230の断面図である。
【0106】
インプラント可能な封じ込め装置におけるデバイスの配置及び交換
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置内で治療デバイスを容易に配置してそして交換するために、滑りやすい又は潤滑性の表面が治療デバイスの外面及び封じ込め装置の導管の内面の両方に存在することができる。幾つかの実施形態において、導管は、潤滑性である多孔質PTFE材料から作られている。幾つかの実施形態において、装置内に細胞排除ゾーンを形成するためのヒドロゲルの使用は、チューブの管腔表面をさらに滑りやすくする。ほとんどの治療デバイスの選択透過性ポリマー材料はまた、潤滑性である。この潤滑性により、本明細書に記載のインプラント可能な封じ込め装置内に治療デバイスを容易に配置しそして交換することが可能になる。治療デバイスは本明細書に記載の装置の内外で鉗子などを用いて操作することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置は、チューブの両端に再シール可能なポートを有し、そして治療デバイスはチューブ状装置の管腔領域に流体流とともに挿入され、そしてそこから除去される。
【0107】
封じ込め装置の導管の内面と封じ込め装置内に挿入される治療デバイスの外面との間に十分なクリアランスを有することは重要である。クリアランスがあると、これらの構成要素は治療デバイス又は生物学的部分の装填、回収及び交換の間に、流体流を受け入れることができる。幾つかの実施形態において、装置の導管部分の選択透過性多孔質ポリマー材料は半径方向に膨張性である。有用な半径方向膨張性材料は、若干の圧力下で延伸し、圧力が解放されるとそれらの元の寸法に戻ることができる。本明細書に記載の装置の導管の装置の内面と治療デバイスの外面との間の治療デバイスの実質的に全長に沿った非常に密接な又は直接の接触はこの種の材料を用いて達成することができる。
【0108】
あるいは、幾つかの実施形態において、装置の導管の内径は、装置が収容することを意図している治療デバイスの外径よりも大きくすることができる。この構造体がインプラント処置され、所望ならば血管新生されそして治療デバイスが装填されると、装置の導管部分の全部又は大部分の領域はその中に含まれる治療デバイスに対して崩潰する。これにより、治療デバイスの実質的に全長に沿って、装置の内面と治療デバイスの外面とが直接接触する。直接接触が達成されなくても、治療デバイスの外面と装置の導管の内面との間に残っている空間が溶質及び生成物に対して十分に拡散透過性の材料又は停滞流体層によって占められていれば、チューブの壁を横切って必要な質量輸送速度を維持するという所望の結果を得ることができる。この目的に有用な材料は、限定するわけではないが、アルギネート、寒天、ヒドロゲル又は熱可逆性ゲルが挙げられる。装置は、主にインプラント部位の創傷治癒組織によって治療デバイスに対して崩潰される。これらの実施形態のいずれかに有用な多孔質ポリマー材料としては、上に列挙したもの、ならびにその中に組み込まれたエラストマー成分を有する同様の材料が挙げられる。
【0109】
幾つかの実施形態において、生物学的部分又は治療デバイスは、チューブの両方の再シール可能なポートを最初に開くことによって、流体流とともに本明細書に記載の装置の導管内に配置されうる。幾つかの実施形態において、装置の管腔領域を通る加圧流体流を確立するためのデバイスはチューブの再シール可能なポートのうちの1つに取り付けることができる。流体流を受け入れるためのデバイスはチューブの他の再シール可能なポートに取り付けられている。流体流は、流体流を適切な再シール可能なポートに流入させると同時に他方の再シール可能なポートから流出させることによって導管内の管腔領域内に確立される。これは、流体を陽圧で1つの再シール可能なポートにポンプ送りすることによって達成することができる。幾つかの実施形態において、生物学的部分又は治療デバイスを装置内に配置するために、生物学的部分又は治療デバイスをまず加圧流体流に同伴し、次いで流体流とともにチューブに挿入する。生物学的部分又は治療デバイスがチューブ内に配置されると、流体流は停止される。幾つかの実施形態において、流体流が停止されると、チューブ内に収容されている生物学的部分又は治療デバイスの外面とチューブの内面とは直接接触する。その後、再シール可能なポートを閉じてアセンブリを使用する。
【0110】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置の導管からの生物学的部分又は治療デバイスの取り出しは、チューブ上の再シール可能ポートの両方を開き、加圧流体流を供給するためのデバイスを再シール可能なポートの1つに取り付けることによって達成されうる。次いで、加圧流体流は治療デバイスの周囲及び導管の管腔領域を通って確立され、デバイスを流体流内に同伴させる。チューブ内の流体流に同伴されると、生物学的部分又は治療デバイスは、流体流とともに再シール可能なポートのうちの1つを通してチューブから取り出すことができる。流体流は、生物学的部分又は治療デバイスを装置から押し出すか又は引き出すことができる。所望ならば、上記で概説した適切な挿入工程を繰り返すことによって、他の生物学的部分又は治療デバイスを装置内に配置することができる。本明細書に記載の装置に含まれる治療デバイスの挿入及び回収が容易であることに加えて、本発明は、装置の選択透過性材料に結合している組織を、装置内での生物学的部分又は治療デバイスの配置及び交換中の損傷から保護するという利点を有する。
【0111】
治療デバイスの挿入又は取り出し中に封じ込め装置の導管が崩潰するのを回避するように注意を払うべきである。幾つかの実施形態において、約5~100psi(すなわち、約3.45×104N/m2~約6.89×105N/m2)の範囲内の内部陽圧を維持することは、チューブに治療デバイスを装填、除去及び再充填する間に導管の崩潰を防ぐために使用されうる。多孔質導管の厚さ及び公称直径は、主に、本明細書に記載の特定の封じ込め装置が許容する内圧の量によるであろう。
【0112】
本明細書に記載の封じ込め装置に生物学的部分又は治療デバイスが収容されるときに、治療デバイスの外面と装置の内面との間の最小許容クリアランスは、主に、特定の治療デバイスの実施形態、及び、そのデバイスで達成しようとする治療による。例えば、患者にインプラントされた細胞カプセル化デバイスは、細胞カプセル化デバイス内の細胞と患者の組織との間に双方向の溶質の流れを有する。カプセル化細胞の生存率を維持し、そして所望の治療結果をもたらすのに十分な流速を維持するために、本明細書に記載の装置に含まれる細胞カプセル化デバイスでは、約0.5ミクロン~約50ミクロンの範囲の非常に小さいクリアランスを有すること、又は、デバイスの透過性表面と封じ込め装置の内面との間で直接接触していることは有用である。
【0113】
幾つかの実施形態において、本発明と併せて有用な治療デバイスは、選択透過性膜に封入された可撓性細胞配置コアを有する、ほぼ筒形の幾何形状の装置を含む。幾つかの実施形態において、膜の選択透過性は膜を適切なヒドロゲル材料で含浸することによって調整することができる。細胞配置コアは、カプセル化細胞を選択透過性膜と直接又はほぼ直接接触して配置する。カプセル化細胞は、栄養源から離れた距離で、拡散距離を最小にする細胞密度でデバイス内に配置され、生化学的物質は各カプセル化細胞とデバイスの外部環境との間を横切らなければならない。この形態により、最大数のカプセル化細胞を所与の体積に高レベルの生存率及び生産性で維持することが可能になる。選択透過性膜はカプセル化細胞とデバイスの外面との間の生化学的物質の交換を可能にしながら、デバイス内に細胞を閉じ込める。細胞カプセル化デバイスが患者に埋め込まれ、そして同種異系細胞又は異種細胞を含む状況では、選択透過性膜はまた、カプセル化細胞を患者の免疫系から分離するのに役立つ。
【0114】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置は、細胞カプセル化デバイス内の細胞と併せて、インプラント可能治療用製品デリバリーシステム、インプラント可能な人工器官又はバイオリアクタとして機能することができる。1つの実施形態において、本明細書に記載の装置は、細胞カプセル化デバイスと併せて、人工膵臓などの人工器官として使用することができる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の封じ込め装置は、完全な細胞カプセル化デバイス及びその細胞の全キャッシュをユニットとして装置に容易に挿入、回収及び交換することを可能にする。
【0115】
封じ込め装置を緩やかに湾曲した本明細書に記載の略トロイダル形態に維持することによって、その中に含まれる治療デバイスのねじれ、キンク又は他の極端な曲がりは最小限に抑制され又は排除される。装置内に含まれる治療デバイスのこのような変形はデバイスを損傷し、及び/又は、装置からデバイスを取り外すことを困難又は不可能にすることができる。
【実施例0116】
以下の実施例は、本明細書に記載の方法及び組成物の特定の態様をさらに説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0117】
例
例1
インプラント可能な装置の製造:
以下の方法を用いて、本明細書に記載の装置を製造した。装置は使用時に湾曲した形態を有する。それぞれ異なる多孔性を有する2層の延伸PTFE膜を使用して導管を形成した。細胞排除ゾーンであったラミネートの部分は、Bacinoらの米国特許第5,476,589号明細書に教示されているとおりの延伸PTFE膜の層であった。それは、本質的にノードが存在しない実質的にフィブリルからなる、非常に薄く、非常に強い不織ウェブであった。この層は、ポロメトリーにより測定して約0.4ミクロンの平均孔サイズ、及び、そのラミネート化され又は完成された形態で約1ミクロンの厚さを有していた。細胞透過ゾーンを含むラミネートの部分は、Brancaらの米国特許第5,814,405号明細書に教示されているとおりの延伸PTFE膜であり、フィブリルの長さで測定して約5.0ミクロンよりも大きい平均孔サイズ、及び約30ミクロンの厚さを有していた。
【0118】
チューブ状導管は、ラミネートの2つの平面シートをチューブ状形状の周囲を画定する線に沿って一緒に取り付けることによってこのラミネートから作られた。ラミネートのシートを、ダイ対の各部材上に対向する隆起トラックを有する一対のステンレス鋼機械加工ダイを用いて熱及び圧力を用いて取り付けた。チューブ状形態を作製するために、2枚のラミネートのシートを最初にそれらのそれぞれの細胞排除ゾーンが互いに対面するようにしてダイ内に一緒に保持した。全密度PTFE製のチューブ状コアを、加熱及び圧縮工程の前に、隆起トラックによって画定される外周の輪郭内のラミネートの層の間に配置した。ダイに入ったら、延伸PTFE膜を緻密化するのに十分な圧力で約10分間約370℃に予熱したプラテンとともにラミネートを空気圧プレスに入れた。熱及び圧力下で一緒にされたときに、ダイの隆起した対向トラックは隆起トラックによって接触された領域において層を結合した。チューブ、コア及び取り付けられた平面材料を室温に冷却し、次いでダイから取り出した。皮下注射器を用いてコアとチューブ壁との間に水を注入することによって、コアを装置のチューブ状部分の内側から取り外した。構造の結合部分は、治療デバイスを受け入れるために開いた状態にある端部を除いてチューブの周囲を形成した。このようにして形成されたチューブは、長さが約5.08cm、内径が約0.16cmであり、一方の端部は閉じていて他方の端部は開いている。その構築後に装置に付着したままの平面材料を取り除き、中空チューブ状装置を残した。
【0119】
以下のように再シール可能なポートをチューブの両方の開口端に取り付けた。全密度PTFE製の2本のロッドを内径約0.1cmの3つの主要部分を含む長さ約0.94cmの中空チューブ状形態に機械加工した。第一の部分は、約0.16cmの外径、約0.30cmの長さを有し、装置のチューブ状構成要素の端部の内側にぴったりとはまる。第二の部分は、約0.2cmの外径、約0.20cmの長さを有し、そしてチューブ及びシール要素のための当接部として機能する。第三の部分は、約0.16cmの外径、約0.30cmの長さを有し、そしてシーリング要素を受け入れそして保持するのに役立つ。各チューブについて、公称内径2.0mmのフッ素化エチレンプロピレン(FEP)収縮チューブ片を再シール可能なポートの第一の部分の上に配置し、長さをトリミングし、熱風ガンでFEPを所定の位置に収縮させるのに十分な温度に加熱した。上記のチューブの開口端をわずかに伸ばし、そして再シール可能なポートのうちの1つのFEP被覆された第一の部分から再シール可能なポートの第二の部分まで静かに置いた。FEP収縮チューブの第二の片を、再シール可能なポートの下にあるFEP被覆された第一の部分の上でチューブを覆って配置した。FEPの第二の片は、チューブ上でFEPを収縮させるのに十分な温度に熱風ガンで加熱した。また、熱風を使用してFEP収縮チューブの内層と外層の両方を部分的に溶融し、それによって延伸PTFEチューブと再シール可能なポートとの間に強力な結合を形成した。
【0120】
例2
インプラント可能な装置の使用:
例1に記載されているインプラント可能な封じ込め装置を真っ直ぐな形態に変形し、中空トンネリングツールの内側に配置した。中空トンネリングツールを使用して、組織床に弧形の実質的にチューブ状のキャビティを形成した。組織床に小さな切開部を作った。トンネリングツールの突出部の一方の端部は、弧状の実質的にチューブ状の組織経路の近位端となる入口点で切開部を通して組織床に挿入された。突出部を組織床を通して進め、組織経路の遠位端である出口点で同じ切開部を通って組織床を出る弧状の組織経路を形成した。トンネリングツールの内側の装置は、トンネリングツールがリトラクトされている間に組織経路の遠位端で把持され、インプラント可能な封じ込め装置を組織床の弧状の実質的にチューブ状のキャビティに配置して残した。インプラント可能な封じ込め装置の第一の端部は入口点付近で弧状組織経路の遠位端から出ており、装置の第二の端部は組織経路の近位端から突出していた。インプラント可能な封じ込め装置の第一及び第二の端部は磁気取付具を使用して取り外し可能に結合された。
【0121】
例3
インプラント可能な装置の使用:
中空のトンネリングツールを使用して、組織床に弧状の実質的にチューブ状のキャビティを形成した。経路の近位端及び遠位端は接近していた。次いで、トンネリングツールをリトラクトし、弧状の実質的にチューブ状のキャビティを組織床に残した。
【0122】
トンネリングツールを取り外した後に、例1に記載された装置の第一の端部を、小さな切開部を通して組織経路の近位端に挿入し、そして組織経路の遠位端まで前進させた。装置の第一の端部は、入り口点の付近で同じ切開部を通って弧状組織経路の遠位端から出て、装置の第二の端部は組織経路の近位端から突出したままであった。装置の第一端部と第二端部を次に磁気取付具を使用して結合して略トロイダル形態を形成した。
【0123】
本発明はまた、以下によって説明されうる。
【0124】
1.インプラント可能な封じ込め装置であって、
【0125】
(a)外面と内面とを含む導管、ここで、前記内面は管腔領域を画定し、前記導管は第一の再シール可能なポートを含む第一の端部と、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部とを有する、
【0126】
(b)前記導管を湾曲形状を有するように誘導するように構成された造形要素、
を含み、
【0127】
前記導管は、前記第一又は第二の再シール可能なポートを通して前記管腔領域内に治療デバイスを受け入れられるように適合されている、
装置。
【0128】
2.前記導管は多孔質材料の孔内で患者からの血管組織の成長を可能にするのに十分に多孔性である多孔度を有する多孔質材料を含む、請求項1記載の装置。
【0129】
3.前記多孔質材料は前記導管の全厚にわたって血管組織の成長を可能にする、請求項1又は2記載の装置。
【0130】
4.前記導管は第二の層に隣接する第一の層を含むラミネートを含み、前記第一の層はチャンバの内面を横切る細胞の内方成長に対して不浸透性である第一の多孔性を有する第一の多孔質材料を含み、前記第二の層は、第二の多孔質材料の孔内で患者から前記第一の層までの血管組織の成長を可能にするが前記第一の層を通過しないように十分に多孔性である第二の多孔度を有する第二の多孔質材料を含む、請求項1、2又は3記載の装置。
【0131】
5.前記第一又は第二の多孔質材料はポリテトラフルオロエチレンを含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0132】
6.前記第一又は第二の多孔質材料は生体吸収性材料を含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0133】
7.前記第一又は第二の多孔質材料はePTFE及び生体吸収性材料を含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0134】
8.前記生体吸収性材料は粉末の形態である、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0135】
9.前記造形要素は形状記憶合金及び形状記憶ポリマーから選ばれる形状記憶材料を含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0136】
10.前記造形要素はワインディング、ストリップ、スパイン又はステントである、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0137】
11.前記造形要素は卵形断面を備えた、ある長さの導管である、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0138】
12.前記造形要素は少なくとも1つの磁石である、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0139】
13.前記第一の端部と前記第二の端部とを分離可能に結合するための少なくとも1つの取付具をさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0140】
14.1つ以上のセンサをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の装置。
【0141】
15.インプラント可能な封じ込め装置であって、
【0142】
a)外面と内面とを含む導管、ここで、前記内面は第一の端部と第二の端部とを有する管腔領域を画定し、前記導管は前記端部が接続されていない第一の形態と、前記端部が接続されそして前記導管が湾曲形状を有する第二の形態とを有する、及び、
【0143】
b)前記第一の端部を前記第二の端部に取り外し可能に接続するための取付具、
を含む、装置。
【0144】
16.封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
【0145】
(a)前記封じ込め装置を組織床内の実質的にチューブ状のキャビティに挿入すること、ここで、前記封じ込め装置は、
【0146】
(i)外面、管腔領域を画定する内面、第一の再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管、
【0147】
(ii)前記導管を略トロイダル形態に誘導するように構成されている、造形要素、
【0148】
を含み、ここで、前記導管は前記第一の再シール可能なポート及び第二の再シール可能なポートのうちの少なくとも1つを通して、前記管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、及び、
【0149】
(b)前記装置を略トロイダル形態にすること、
を含む、方法。
【0150】
17.前記装置を略トロイダル形態にすることは前記装置を前記組織床内で略トロイダル形態に移行させることを含む、請求項16記載の方法。
【0151】
18.前記封じ込め装置を挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、前記一次形態は略トロイダル形態である、請求項16又は17記載の方法。
【0152】
19.前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、請求項16、17、又は18記載の方法。
【0153】
20.第二の封じ込め装置を前記実質的にチューブ状のキャビティ内にインプラントすることをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0154】
21.前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くこと、及び、前記実質的にチューブ状のキャビティに前記第二の封じ込め装置を挿入することをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0155】
22.加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0156】
23.封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
【0157】
(a)封じ込め装置の第一の端部を、組織床の切開部の入口点を通して組織床の湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入すること、ここで、前記封じ込め装置は、
【0158】
(i)外面、管腔領域を画定する内面、再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管、
を含み、
【0159】
前記導管は、少なくとも1つの再シール可能なポートを通して管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、及び、
【0160】
(b)前記封じ込め装置の第一の端部を、前記組織床を通る湾曲経路内で前進させること、及び、
【0161】
(c)前記入口点の近傍にある組織床の切開部の出口点を通して前記封じ込め装置の第一の端部を取り出すこと、
を含む方法。
【0162】
24.前記封じ込め装置の前記第一の端部を取り出した後に、前記封じ込め装置の前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、請求項23記載の方法。
【0163】
25.前記装置を略トロイダル形態にすることをさらに含む、請求項23又は25記載の方法。
【0164】
26.前記封じ込め装置の前記第一の端部を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、ここで、前記一次形態は略トロイダル形態である、請求項23、24又は25記載の方法。
【0165】
27.第二の封じ込め装置を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティにインプラントすることをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0166】
28.前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くこと、及び、前記実質的にチューブ状のキャビティに第二の封じ込め装置を挿入することをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0167】
29.加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、先行の請求項のいずれか1項記載の方法。
【0168】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲の幾つかの態様の例示として意図される本明細書に記載の特定の組成物及び方法によって範囲が限定されず、機能的に同等な組成物及び方法は本開示の範囲内にある。本明細書に示され記載されたものに加えて、組成物及び方法の様々な変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。さらに、特定の代表的な組成物、方法、及びこれらの組成物及び方法の態様のみが具体的に記載されているが、他の組成物及び方法は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。したがって、工程、要素、成分又は構成要素の組み合わせは、本明細書で明示的に言及することができるが、明示的に述べられていなくても、工程、要素、成分及び構成要素の他のすべての組み合わせは包含される。
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲の幾つかの態様の例示として意図される本明細書に記載の特定の組成物及び方法によって範囲が限定されず、機能的に同等な組成物及び方法は本開示の範囲内にある。本明細書に示され記載されたものに加えて、組成物及び方法の様々な変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。さらに、特定の代表的な組成物、方法、及びこれらの組成物及び方法の態様のみが具体的に記載されているが、他の組成物及び方法は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。したがって、工程、要素、成分又は構成要素の組み合わせは、本明細書で明示的に言及することができるが、明示的に述べられていなくても、工程、要素、成分及び構成要素の他のすべての組み合わせは包含される。
(態様)
(態様1)
インプラント可能な封じ込め装置であって、
(a)外面と内面とを含む導管であって、前記内面は管腔領域を画定し、前記導管は第一の再シール可能なポートを含む第一の端部と、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部とを有する、導管と、
(b)前記導管が湾曲形状を有するように誘導するように構成された造形要素と、
を含み、
前記導管は、前記第一又は第二の再シール可能なポートを通して前記管腔領域内に治療デバイスを受け入れるように適合されている、装置。
(態様2)
前記導管は多孔質材料の孔内で患者からの血管組織の成長を可能にするのに十分に多孔性である多孔度を有する多孔質材料を含む、態様1記載の装置。
(態様3)
前記多孔質材料は前記導管の全厚にわたって血管組織の成長を可能にする、態様2記載の装置。
(態様4)
前記導管は第二の層に隣接する第一の層を含むラミネートを含み、前記第一の層はチャンバの内面を横切る細胞の内方成長に対して不浸透性である第一の多孔性を有する第一の多孔質材料を含み、前記第二の層は、第二の多孔質材料の孔内で患者から前記第一の層までの血管組織の成長を可能にするが第一の層を通過しないように十分に多孔性である第二の多孔度を有する第二の多孔質材料を含む、態様1記載の装置。
(態様5)
前記第一又は第二の多孔質材料はポリテトラフルオロエチレンを含む、態様4記載の装置。
(態様6)
前記第一又は第二の多孔質材料は生体吸収性材料を含む、態様4記載の装置。
(態様7)
前記第一又は第二の多孔質材料はePTFE及び生体吸収性材料を含む、態様4記載の装置。
(態様8)
前記生体吸収性材料は粉末の形態である、態様7記載の装置。
(態様9)
前記造形要素は形状記憶合金及び形状記憶ポリマーから選ばれる形状記憶材料を含む、態様1記載の装置。
(態様10)
前記造形要素はワインディング、ストリップ、スパイン又はステントである、態様1記載の装置。
(態様11)
前記造形要素は卵形断面を備えた、ある長さの前記導管である、態様1記載の装置。
(態様12)
前記造形要素は少なくとも1つの磁石である、態様1記載の装置。
(態様13)
前記第一の端部と前記第二の端部とを分離可能に結合するための少なくとも1つの取付具をさらに含む、態様1記載の装置。
(態様14)
1つ以上のセンサをさらに含む、態様1記載の装置。
(態様15)
インプラント可能な封じ込め装置であって、
a)外面と内面とを含む導管であって、前記内面は第一の端部と第二の端部とを有する
管腔領域を画定し、前記導管は前記端部が接続されていない第一の形態と、前記端部が接続されそして前記導管が湾曲形状を有する第二の形態とを有する導管と、
b)前記第一の端部を前記第二の端部に取り外し可能に接続するための取付具と、
を含む、装置。
(態様16)
封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
(a)前記封じ込め装置を組織床内の実質的にチューブ状のキャビティに挿入することと、
(b)前記装置を略トロイダル形態にすることと、
を含み、
前記封じ込め装置は、
(i)外面、管腔領域を画定する内面、第一の再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、第二の再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管と、
(ii)前記導管を略トロイダル形態に誘導するように構成されている、造形要素と、を含み、
前記導管は前記第一の再シール可能なポート及び第二の再シール可能なポートのうちの少なくとも1つを通して、前記管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、方法。
(態様17)
前記装置を略トロイダル形態にすることは前記装置を前記組織床内で略トロイダル形態に移行させることを含む、態様16記載の方法。
(態様18)
前記封じ込め装置を挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、前記一次形態は略トロイダル形態である、態様16記載の方法。
(態様19)
前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、態様16記載の方法。
(態様20)
第二の封じ込め装置を前記実質的にチューブ状のキャビティ内にインプラントすることをさらに含む、態様16記載の方法。
(態様21)
前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くことと、前記実質的にチューブ状のキャビティに第二の封じ込め装置を挿入することと、をさらに含む、態様16記載の方法。
(態様22)
加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、態様16記載の方法。
(態様23)
封じ込め装置を患者の組織床内にインプラントするための方法であって、
(a)封じ込め装置の第一の端部を、組織床の切開部の入口点を通して組織床の湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入することと、
(b)前記封じ込め装置の第一の端部を、前記組織床を通る湾曲経路内で前進させることと、
(c)前記入口点の近傍にある組織床の切開部の出口点を通して前記封じ込め装置の第一の端部を取り出すことと、
を含み、
前記封じ込め装置は、
(i)外面、管腔領域を画定する内面、再シール可能なポートを含む第一の端部、及び、再シール可能なポートを含む第二の端部を含む、導管、を含み、
前記導管は、少なくとも1つの再シール可能なポートを通して管腔領域内に少なくとも1つの治療デバイスを受け入れるように適合されている、方法。
(態様24)
前記封じ込め装置の前記第一の端部を取り出した後に、前記封じ込め装置の前記第一の端部と前記第二の端部とを結合することをさらに含む、態様23記載の方法。
(態様25)
前記装置を略トロイダル形態にすることをさらに含む、態様23記載の方法。
(態様26)
前記封じ込め装置の前記第一の端部を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティに挿入する前に、前記封じ込め装置を一次形態から変形形態に変形させることをさらに含み、ここで、前記一次形態は略トロイダル形態である、態様23記載の方法。
(態様27)
第二の封じ込め装置を前記湾曲した実質的にチューブ状のキャビティにインプラントすることをさらに含む、態様22記載の方法。
(態様28)
前記実質的にチューブ状のキャビティから前記封じ込め装置を取り除くこと、及び、前記実質的にチューブ状のキャビティに第二の封じ込め装置を挿入することをさらに含む、態様22記載の方法。
(態様29)
加圧流体流を介して前記封じ込め装置を取り除くことをさらに含む、態様22記載の方法。