(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045560
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】基地局機能配置制御装置、基地局機能配置制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/084 20230101AFI20240326BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240326BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20240326BHJP
H04W 88/14 20090101ALI20240326BHJP
【FI】
H04W28/084
H04W24/02
H04W24/08
H04W88/14
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024021306
(22)【出願日】2024-02-15
(62)【分割の表示】P 2021057840の分割
【原出願日】2021-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】塚本 優
(72)【発明者】
【氏名】新保 宏之
(72)【発明者】
【氏名】難波 忍
(57)【要約】
【課題】O-RAN仕様の無線アクセスネットワークにおいてDUに関する計算機リソースの情報に基づいて基地局機能配置を決定することを図る。
【解決手段】O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得部と、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得部と、
少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御部と、
を備える基地局機能配置制御装置。
【請求項2】
前記計算機リソース情報は、DUの機能に割り当てられた仮想計算リソースに対する当該機能のリソース使用率を含む情報である、
請求項1に記載の基地局機能配置制御装置。
【請求項3】
前記計算機リソース情報は、DUの機能が起動されているサーバーが有する計算機リソースに対する当該機能のリソース使用率を含む情報である、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の基地局機能配置制御装置。
【請求項4】
基地局機能配置制御装置が、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得ステップと、
前記基地局機能配置制御装置が、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御ステップと、
を含む基地局機能配置制御方法。
【請求項5】
基地局機能配置制御装置のコンピュータに、
O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得ステップと、
少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局機能配置制御装置、基地局機能配置制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代(5G)移動通信システム(以下、5Gシステムと称する)においては、初期のシステムから、例えばスループットや通信遅延や接続数等の性能をさらに向上させるための検討が行われている。また、多種多様なサービスとして例えばロボット制御やコネクティッドカーやAR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)等のサービスが5Gシステムを利用して提供されるようになってきており、個々のサービスが要求する通信品質を満たすことの重要性が高まっている。
【0003】
そのように多様化するサービスが要求する通信品質を満たすための無線通信技術として、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)スライシング技術が知られている。RANスライシング技術は、RANを複数の論理ネットワーク(スライス)に分割し、サービスに応じてスライスを柔軟にカスタマイズする技術である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
RANスライシング技術によれば、例えば、基地局機能であるCU(Central Unit)やDU(Distributed Unit)の配置を変えることによって、通信遅延やセル間の連携性能や必要なネットワークリソース(無線リソースや計算機リソースや伝送路リソース)が変わる。このため、特許文献1に記載される技術では、単一のセルを形成するRU(Radio Unit)に対してvCU(virtual CU)とvDU(virtual DU)のセットを複数接続することにより、単一のセルに対して複数の異なる基地局機能配置のスライスを実現している。
【0005】
また、O-RAN((Open Radio Access Network)アライアンス(O-RAN Alliance)によって、5Gシステム等の次世代の無線アクセスネットワークのオープン化及びインテリジェント化が検討されている(例えば非特許文献1参照)。O-RANアライアンスが策定するO-RAN仕様のうち、非特許文献1には、トラヒックの変動に応じて、「Non-RT RIC(Non-Real Time RAN Intelligent Controller、非リアルタイムRANインテリジェントコントローラー)」を用いてNSSI(Network Slice Subnet Instance)を最適化するユースケースが規定されている。
【0006】
この非特許文献1のユースケースでは、「Non-RT RIC」がO1インターフェースを介して必要なKPI(Key Performance Indicator、主要性能指標)を各ノードから収集する。O1インターフェースによって収集可能なパラメータは、非特許文献2に規定されるパラメータに対応する。例えば、「DL PRB usage」、「UL PRB usage」、「Average DL UE throughput」、「Average UL UE throughput」、「Number of PDU Sessions requested」等のパラメータである。「Non-RT RIC」が収取した情報を解析し、NSSIに関するリソースの変更を決定する。例えば、「VNF resources」や「slice subnet attributes」を変更する(非特許文献3参照)。「Non-RT RIC」がO1インターフェースを介して各ノードに対してNSSIに関するリソースの設定変更を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】O-RAN WG1、“Slicing architecture”、v03.00、3.2.3 Use Case 3: NSSI Resource Allocation Optimization
【非特許文献2】3GPP、“TS 28.552”、V17.1.0、2020-12
【非特許文献3】3GPP、“TS 28.541”、V15.4.0、2019-09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
RANにおいてトラヒック需要は動的に変化するので、各スライスに流れるトラヒックも動的に変化する。またトラヒックの変動によって、伝送路に必要な帯域やアンテナサイトと収容局の計算機リソースが変動する。このため、限られたネットワークリソースで多くのユーザの要求品質を満たすために、トラヒック変動に応じてRANの基地局機能配置を適応的に変更することが好ましい。
【0010】
しかしながら、上述した非特許文献1のユースケースでは、制御ノード(「Non-RT RIC」)が、基地局機能を実現する各サーバーの計算機リソースを考慮して基地局機能配置を決定することができない。これは、O1インターフェースによって収集可能なパラメータとして非特許文献2に規定されるパラメータには、CUに関する計算機リソースの情報は規定されているが、DUに関する計算機リソースの情報は規定されていないために、「Non-RT RIC」がO1インターフェースを介してDUに関する計算機リソースの情報を取得することができないからである。したがって、制御ノード(「Non-RT RIC」)は、基地局機能を実現する各サーバーの計算機リソースを把握することができないので、基地局機能を実現する各サーバーの計算機リソースを考慮して基地局機能配置を決定することができなかった。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークにおいて、DUに関する計算機リソースの情報に基づいて基地局機能配置を決定することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本発明の一態様は、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得部と、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御部と、を備える基地局機能配置制御装置である。
(2)本発明の一態様は、前記計算機リソース情報は、DUの機能に割り当てられた仮想計算リソースに対する当該機能のリソース使用率を含む情報である、上記(1)の基地局機能配置制御装置である。
(3)本発明の一態様は、前記計算機リソース情報は、DUの機能が起動されているサーバーが有する計算機リソースに対する当該機能のリソース使用率を含む情報である、上記(1)又は(2)のいずれかの基地局機能配置制御装置である。
【0013】
(4)本発明の一態様は、基地局機能配置制御装置が、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得ステップと、前記基地局機能配置制御装置が、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御ステップと、を含む基地局機能配置制御方法である。
【0014】
(5)本発明の一態様は、基地局機能配置制御装置のコンピュータに、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークの基地局機能配置に含まれるノードのKPI(Key Performance Indicator)として少なくともDU(Distributed Unit)の計算機リソース情報を、SMO(Service and Management Orchestration)フレームワークに関するインターフェースを介して取得するKPI取得ステップと、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて前記無線アクセスネットワークの基地局機能配置を決定する制御ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、O-RAN仕様の無線アクセスネットワークにおいて、DUに関する計算機リソースの情報に基づいて基地局機能配置を決定することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る無線アクセスネットワーク(RAN)の構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係るRANの基地局機能配置の例を示す説明図である。
【
図3】一実施形態に係る基地局機能配置制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る基地局機能配置制御方法の概略手順のフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る基地局機能配置制御方法の詳細な手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】一実施形態に係るパラメータの規定例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る基地局機能配置決定方法の例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る無線アクセスネットワークの構成例を示すブロック図である。
図1に示される無線アクセスネットワーク(RAN)1は、RANスライシング技術が適用されたRANである。またRAN1においてO-RAN仕様を適用する。但し、本実施形態では、RAN1において、O-RAN仕様に規定されていない「DUに関する計算機リソースの情報を取得するための構成」を新たに追加する。また、O-RAN仕様に規定されていない「基地局機能配置を変更するための構成」を新たに追加する。
【0018】
図2に、RAN1の基地局機能配置の例が示される。
図2の例では、単一のセルを形成するRUに対してvCUとvDUのセットが合計5セット接続される。第1の例「O-RAN slice subnet#1」は、C-RAN(Centralized -RAN)配置であって、収容局にvCUとvDUの両方が配置される。C-RAN配置は、セル間連携が可能であるが、伝送路の必要帯域が大きいという特徴を持つ。第2の例「O-RAN slice subnet#2」及び第3の例「O-RAN slice subnet#3」は、S-RAN(Split -RAN)配置であって、アンテナサイトにvDUが配置され且つ収容局にvCUが配置される。S-RAN配置は、セル間連携が不可であるが、伝送路の必要帯域が小さいという特徴を持つ。第4の例「O-RAN slice subnet#4」及び第5の例「O-RAN slice subnet#5」は、D-RAN(Distributed RAN)配置であって、アンテナサイトにvCUとvDUの両方が配置される。D-RAN配置は、セル間連携が不可であるが、通信遅延が小さいという特徴を持つ。
【0019】
図2に例示されるように、RAN1において、単一のセルを形成するRUに対してvCUとvDUのセットを複数接続することにより、単一のセルに対して複数の異なる特徴を持つ基地局機能配置のスライスを実現することができる。これにより、RAN1において、単一のセルで複数の異なる特徴を持つ無線通信サービスを提供することが可能になり、多種多様なサービスが要求する様様な通信品質に適応することができる。
【0020】
図1において、RAN1は、SMO(Service and Management Orchestration)機能部(SMO Functions)11と、基地局機能配置制御部20を含む「Non-RT RIC(非リアルタイムRANインテリジェントコントローラー)」12と、基地局機能群2とを備える。基地局機能配置制御部20は、基地局機能配置制御装置に対応する。本実施形態では、基地局機能配置制御部20は、「Non-RT RIC」12を用いて実現される。また、SMO機能部11及び「Non-RT RIC」12は、SMOフレームワーク10を用いて実現される。基地局機能群2は、
図2に例示されるように、RU、vCU及びvDUから構成される。
【0021】
SMOフレームワーク10は、O-RAN仕様で規定されるO1インターフェースを提供する。「Non-RT RIC」12は、O1インターフェースを介してKPI(主要性能指標)を基地局機能群2から取得する。
【0022】
SMO機能部11と「Non-RT RIC」12とは、R1インタフェースを介してメッセージを交換する。
【0023】
本実施形態では、SMO機能部11と「Non-RT RIC」12との間のR1インタフェースに対して、「Non-RT RIC」12がSMO機能部11から基地局機能配置情報を取得するためのメッセージAを新たに追加する。基地局機能配置情報は、RAN1における現在の基地局機能配置を示す情報である。SMO機能部11は、基地局機能配置情報を含むメッセージAをR1インタフェースにより「Non-RT RIC」12へ送信する。基地局機能配置制御部20は、SMO機能部11から送信されたメッセージAから基地局機能配置情報を取得する。
【0024】
また本実施形態では、「Non-RT RIC」12がR1インタフェースによりSMO機能部11へ送信する既存のメッセージBに対して、新たに基地局機能配置設定情報を含める。基地局機能配置設定情報は、RAN1における基地局機能配置を変更するための基地局機能配置の変更内容を示す情報である。基地局機能配置制御部20は、「Non-RT RIC」12から送信されるメッセージBに対して基地局機能配置設定情報を含める。SMO機能部11は、基地局機能配置設定情報を含むメッセージBをR1インタフェースにより受信する。SMO機能部11は、R1インタフェースにより受信したメッセージBから基地局機能配置設定情報を取得する。
【0025】
また本実施形態では、O1インターフェースに対して、DUの計算機リソース情報を取得するための規定を新たに設ける。これにより、「Non-RT RIC」12は、O1インターフェースにより基地局機能群2からDUの計算機リソース情報を取得する。
【0026】
図3は、本実施形態に係る基地局機能配置制御部20の構成例を示すブロック図である。
図3において、基地局機能配置制御部20は、基地局機能配置情報取得部201と、基地局機能配置情報記憶部202と、KPI取得部203と、基地局機能配置設定情報送信部204と、制御部205と、を備える。
【0027】
基地局機能配置情報取得部201は、SMO機能部11との間のインタフェースを介して基地局機能配置情報を取得する。当該インタフェースは、本実施形態の一例として、R1インタフェースである。より具体的には、基地局機能配置情報取得部201は、R1インタフェースによりSMO機能部11から送信されたメッセージAから基地局機能配置情報を取得する。
【0028】
基地局機能配置情報記憶部202は、基地局機能配置情報取得部201が取得した基地局機能配置情報を記憶する。
【0029】
KPI取得部203は、O1インターフェースを介してKPIを基地局機能群2から取得する。KPI取得部203は、基地局機能群2に含まれる各ノードのKPIとして少なくともDUの計算機リソース情報をO1インターフェースを介して取得する。例えば、KPI取得部203は、基地局機能群2に含まれる各ノードのKPIとして、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とをO1インターフェースを介して取得する。
【0030】
基地局機能配置設定情報送信部204は、SMO機能部11との間のインタフェースを介して基地局機能配置設定情報を送信する。当該インタフェースは、本実施形態の一例として、R1インタフェースである。より具体的には、基地局機能配置設定情報送信部204は、基地局機能配置設定情報を含むメッセージBをR1インタフェースにより送信する。
【0031】
制御部205は、KPI取得部203が取得したKPIに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。制御部205は、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて、次の基地局機能配置を決定する。例えば、制御部205は、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。
【0032】
基地局機能配置制御部20の各部は、各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムをCPUが実行することによりその機能が実現される。
【0033】
次に
図4を参照して本実施形態に係る基地局機能配置制御方法の全体手順を説明する。
図4は、本実施形態に係る基地局機能配置制御方法の概略手順のフローチャートである。
【0034】
(ステップS1) SMO機能部11は、基地局機能群2の立ち上げ後に、基地局機能群2に対して初期設定を行う。
【0035】
(ステップS2) 基地局機能群2の初期設定の完了後、基地局機能配置制御部20(基地局機能配置情報取得部201)は、SMO機能部11から送信されたメッセージAから基地局機能配置情報を取得する。基地局機能配置制御部20(基地局機能配置情報記憶部202)は、当該基地局機能配置情報を記憶する。
【0036】
(ステップS3) 基地局機能配置制御部20(KPI取得部203)は、O1インターフェースを介してKPIを基地局機能群2から取得する。このとき、KPI取得部203は、基地局機能群2に含まれる各ノードのKPIとして少なくともDUの計算機リソース情報をO1インターフェースを介して取得する。例えば、KPI取得部203は、基地局機能群2に含まれる各ノードのKPIとして、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とをO1インターフェースを介して取得する。
【0037】
基地局機能配置制御部20(制御部205)は、KPI取得部203が取得したKPIに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。このとき、制御部205は、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて、次の基地局機能配置を決定する。例えば、制御部205は、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。
【0038】
(ステップS4) 基地局機能配置制御部20(制御部205)は、決定された次の基地局機能配置に関する基地局機能配置設定情報を生成する。当該基地局機能配置設定情報は、RAN1における基地局機能配置を当該次の基地局機能配置に変更するための基地局機能配置の変更内容を示す情報である。
【0039】
(ステップS5) 基地局機能配置制御部20(基地局機能配置設定情報送信部204)は、制御部205が生成した基地局機能配置設定情報を含むメッセージBをSMO機能部11へ送信する。
【0040】
(ステップS6) SMO機能部11は、メッセージBに含まれる基地局機能配置設定情報に基づいて、基地局機能群2の基地局機能配置を変更する設定を実行する。
【0041】
(ステップS7) 基地局機能群2の基地局機能配置の変更の設定の完了後、基地局機能配置制御部20(基地局機能配置情報取得部201)は、SMO機能部11から送信されたメッセージAから基地局機能配置情報を取得する。基地局機能配置制御部20(基地局機能配置情報記憶部202)は、当該基地局機能配置情報を最新の基地局機能配置情報として記憶する。
【0042】
次に
図5を参照して本実施形態に係る基地局機能配置制御方法の詳細な手順を説明する。
図5は、本実施形態に係る基地局機能配置制御方法の詳細な手順の例を示すシーケンス図である。
【0043】
まず基地局機能の立ち上げシーケンスとしてステップS101からステップS105までが実行される。この基地局機能の立ち上げシーケンスは、O-RAN仕様「Instantiate Network Function on O-Cloud(O-RAN.WG6.ORCH-USE-CASES-v01.00)」に基づいたものである。
【0044】
(ステップS101) 「Network Function install project Mgr」は、「Service Request」メッセージを「O-Cloud M&O」へ送信する。
【0045】
(ステップS102) 次いで、「O-Cloud M&O」は、O2インタフェースにより「Create workload」メッセージを「DMS」へ送信する。
【0046】
(ステップS103) 次いで、「DMS」は、基地局機能群2の各ノード(O-CU、O-DU1、O-DUN)へ「Deploy NF」メッセージを送信する。
【0047】
(ステップS104) 次いで、「DMS」は、O2インタフェースにより「Notify workload created」メッセージを「O-Cloud M&O」へ送信する。
【0048】
(ステップS105) 次いで、SMO機能部11は、O1インタフェースにより基地局機能群2の各ノード(O-CU、O-DU1、O-DUN)へ「Configure NF」メッセージを送信する。
【0049】
以上が基地局機能の立ち上げシーケンスである。
【0050】
(ステップS106) 次いで、SMO機能部11は、R1インタフェースにより基地局機能配置情報を含むメッセージAを「Non-RT RIC」12へ送信する。基地局機能配置制御部20は、当該メッセージAから基地局機能配置情報を取得する。
【0051】
(ステップS107) 次いで、基地局機能配置制御部20は、O1インターフェースにより基地局機能群2の各ノード(O-CU、O-DU1、O-DUN)から「Performance measurements」メッセージを受信する。基地局機能配置制御部20は、当該「Performance measurements」メッセージからKPIを取得する。
このとき、基地局機能群2のノードのうちDU(O-DU1、O-DUN)が送信する「Performance measurements」メッセージは、少なくともDUの計算機リソース情報を含むメッセージである。これにより、基地局機能配置制御部20は、基地局機能群2のノードのうちDU(O-DU1、O-DUN)が送信した「Performance measurements」メッセージから、少なくともDUの計算機リソース情報を取得する。
【0052】
また、基地局機能群2のノードのうちCU(O-CU)が送信する「Performance measurements」メッセージは、CUの計算機リソース情報を含むメッセージであってもよい。これにより、基地局機能配置制御部20は、基地局機能群2のノードのうちCU(O-CU)が送信した「Performance measurements」メッセージから、CUの計算機リソース情報を取得してもよい。
【0053】
例えば、基地局機能配置制御部20は、基地局機能群2のノードのうち、DU(O-DU1、O-DUN)が送信した「Performance measurements」メッセージから少なくともDUの計算機リソース情報を取得し、且つCU(O-CU)が送信した「Performance measurements」メッセージから少なくともCUの計算機リソース情報を取得する。
【0054】
なお、基地局機能配置制御部20が基地局機能群2から取得するKPIは、例えば、各サービスのスループット、無線リソースの利用率、計算機リソースの使用率、伝送路帯域の使用率等を含むものであってもよい。
【0055】
(ステップS108) 次いで、基地局機能配置制御部20は、「Performance measurements」メッセージから取得したKPIに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。このとき、基地局機能配置制御部20は、少なくともDUの計算機リソース情報に基づいて、次の基地局機能配置を決定する。例えば、基地局機能配置制御部20は、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とに基づいて、次の基地局機能配置を決定する。基地局機能配置制御部20は、決定された次の基地局機能配置に関する基地局機能配置設定情報を生成する。
【0056】
次に基地局機能の設定変更シーケンスとしてステップS109からステップS110までが実行される。この基地局機能の設定変更シーケンスは、O-RAN仕様「Reconfiguration of O-RAN Virtual Network Function(s)(O-RAN.WG6.ORCH-USE-CASES-v01.00)」に基づいたものである。
【0057】
(ステップS109) 基地局機能配置制御部20は、ステップS108で生成された基地局機能配置設定情報を含む「Reconfig NF set」メッセージをR1インタフェースによりSMO機能部11へ送信する。「Reconfig NF set」メッセージは、既存のメッセージBに対応する。SMO機能部11は、R1インタフェースにより受信した「Reconfig NF set」メッセージから基地局機能配置設定情報を取得する。
【0058】
(ステップS110) SMO機能部11は、O1インタフェースにより基地局機能群2の各ノード(O-CU、O-DU1、O-DUN)へ「Configure NF」メッセージを送信する。この「Configure NF」メッセージには、ステップS109で取得された基地局機能配置設定情報に示される次の基地局機能配置に変更するための設定情報が含まれる。これにより、基地局機能群2の基地局機能配置が、当該次の基地局機能配置に変更される。
【0059】
図6は、本実施形態に係るパラメータの規定例を示す図である。
図6には、O1インターフェースによって収集可能なパラメータとして非特許文献2に規定されるパラメータに対して追加される新たなパラメータ(
図6中の下線部分)301,302,303が示される。新パラメータ301の「GNBDUFunction」は、DUの計算機リソース情報のうち「Mean virtual CPU usage」を取得するためのパラメータである。新パラメータ302「GNBDUFunction」は、DUの計算機リソース情報のうち「Mean virtual memory usage」を取得するためのパラメータである。新パラメータ303「GNBDUFunction」は、DUの計算機リソース情報のうち「Mean virtual disk usage」を取得するためのパラメータである。
【0060】
具体的なDUの計算機リソース情報の例を以下に示す。
【0061】
(DUの計算機リソース情報の例1)
DUの計算機リソース情報の例1は、DUの機能に割り当てられた仮想計算リソースに対する当該機能のリソース使用率である。具体的には、CPUに関する「Mean usage rate for NF in virtual CPU allocated to NF (Unit:%)」やメモリーに関する「Mean usage rate for NF in virtual memory allocated to NF (Unit:%)」やディスクに関する「Mean usage rate for NF in virtual disk allocated to NF (Unit:%)」などである。
【0062】
(DUの計算機リソース情報の例2)
DUの計算機リソース情報の例2は、DUの機能が起動されているサーバーが有する計算機リソースに対する当該機能のリソース使用率である。具体的には、CPUに関する「Mean usage rate for NF in physical CPU in a server (Unit: %)」やメモリーに関する「Mean usage rate for NF in physical memory in a server (Unit: %)」やディスクに関する「Mean usage rate for NF in physical disk in a server (Unit: %)」などである。
【0063】
DUの計算機リソース情報の例1,例2のうちいずれか一方が用いられてもよく、又は当該例1,例2の両方が用いられてもよい。なお、DUの計算機リソース情報の例1,例2の両方が用いられる場合、DUに割り当てられた仮想計算リソースを増やせばよいのか、それともサーバー自体の計算機リソースが逼迫しているので基地局機能配置を変更するべきなのかを判断することができる。
【0064】
(サーバーの計算機リソース使用率の計算方法の例)
サーバーsの計算機リソース使用率usは、次の(1)式で表される。
【0065】
【0066】
Iは、サーバーsに立ち上げられたDUの機能の集合である。Jは、サーバーsに立ち上げられたCUの機能の集合である。
【0067】
u’DUiは、vDUiの機能が起動されているサーバーsが有する計算機リソースに対する当該機能のリソース使用率(サーバーリソース使用率)である。u’CUjは、vCUjの機能が起動されているサーバーsが有する計算機リソースに対する当該機能のリソース使用率(サーバーリソース使用率)である。
【0068】
また、uDUiは、vDUiの機能に割り当てられた仮想計算リソースに対する当該機能のリソース使用率(仮想リソース使用率)である。uCUjは、vCUjの機能に割り当てられた仮想計算リソースに対する当該機能のリソース使用率(仮想リソース使用率)である。
【0069】
次に
図7を参照して本実施形態に係る基地局機能配置決定方法の例を説明する。
図7は、本実施形態に係る基地局機能配置決定方法の例の説明図である。ここでは、基地局機能配置決定方法の例として、DUの計算機リソース情報とCUの計算機リソース情報とに基づいて基地局機能配置を決定する方法について説明する。
【0070】
図7には、アンテナサイト(サーバーs_a)の計算機リソース情報(サーバーs_aの計算機リソース使用率us_a)の時系列の例を表すグラフと、収容局(サーバーs_b)の計算機リソース情報(サーバーs_bの計算機リソース使用率us_b)の時系列の例を表すグラフとが示される。アンテナサイトの計算機リソース情報(サーバーs_aの計算機リソース使用率us_a)は、アンテナサイトに配置されたvDU#2とvDU#3とvCU#3とのサーバーリソース使用率から上記(1)式により算出される。収容局の計算機リソース情報(サーバーs_bの計算機リソース使用率us_b)は、収容局に配置されたvDU#1とvCU#1とvCU#2とのサーバーリソース使用率から上記(1)式により算出される。
【0071】
図7の例では、各サーバーの計算機リソース使用率usが閾値(例えば、0.9)を越えないように制約条件を設定して、基地局機能配置の最適解を求める。
【0072】
例えば、アンテナサイトの計算機リソースが逼迫する一方、収容局の計算機リソースに余裕がある場合、計算機リソース使用率us_a,us_bに基づいて基地局機能配置を変更することによって、アンテナサイトの輻輳を回避することができる。
【0073】
例えば、vDU及びvCUの仮想リソース使用率の中に逼迫している仮想リソース使用率が存在し且つ各計算機リソース使用率us_a,us_bが閾値以下である場合、当該仮想リソース使用率が逼迫している機能(vDU、vCU)に割り当てる仮想計算リソースを増やすことによって、基地局機能配置を変更しなくても対処することができる。
【0074】
なお、基地局機能配置の最適解の探索方法として、例えば数理計画法や機械学習等を利用してもよい。
【0075】
上述したように本実施形態によれば、O-RAN仕様の無線アクセスネットワーク(RAN)において、DUに関する計算機リソースの情報に基づいて基地局機能配置を決定することができるという効果が得られる。
【0076】
なお、これにより、例えば無線アクセスネットワークにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0078】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0079】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…無線アクセスネットワーク(RAN)、2…基地局機能群、10…SMOフレームワーク、11…SMO機能部、12…Non-RT RIC、20…基地局機能配置制御部、201…基地局機能配置情報取得部、202…基地局機能配置情報記憶部、203…KPI取得部、204…基地局機能配置設定情報送信部、205…制御部