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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045588
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20240326BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240326BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240326BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/62
H01L33/58
H01L23/30 F
H01L21/56 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022247
(22)【出願日】2024-02-16
(62)【分割の表示】P 2020039851の分割
【原出願日】2020-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】堺 圭亮
(57)【要約】
【課題】本発明は、発光領域に形成する封止材の形状を簡素な構造により制御することが可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る一実施形態の発光装置は、発光素子と、発光素子を囲むように形成された溝部を有する実装基板と、溝部によって囲まれる発光領域と溝部との境界に接するように発光領域上に配置されて発光素子を封止する封止材とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を囲むように形成された溝部を有する実装基板と、
前記溝部によって囲まれる発光領域と前記溝部との境界に接するように前記発光領域上に配置されて前記発光素子を封止する封止材と、
を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記実装基板は、第1の発光素子を囲むように形成された第1の溝部と、第2の発光素子を囲むように形成された第2の溝部とを有し、
前記封止材は、前記第1の溝部によって囲まれる第1の発光領域と前記第1の溝部との境界に接するように前記第1の発光領域上に配置されて前記第1の発光素子を封止する第1の封止材と、前記第2の溝部によって囲まれる第2の発光領域と前記第2の溝部との境界に接するように前記第2の発光領域上に配置されて前記第2の発光素子を封止する第2の封止材とを含み、
前記第1の発光領域は第1の色の光を出射し、前記第2の発光領域は前記第1の色と異なる第2の色の光を出射する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記実装基板は、前記第1の溝部及び前記第2の溝部の両方を囲むように形成された第3の溝部を更に有し、
前記封止材は、前記第3の溝部によって囲まれる第3の発光領域と前記第3の溝部との境界に接するように前記第3の発光領域上に配置されて前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域の両方を更に封止する第3の封止材を更に含み、
前記第3の封止材は、前記第1の色の光と前記第2の色の光を拡散する拡散体を含有する、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記実装基板の前記発光素子が実装された側に配置された回路基板と、
前記発光素子を、前記回路基板に形成された給電端子と電気的に接続するワイヤと、
前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域の両方を囲むように形成された枠体と、
前記枠体に囲まれた領域上に配置されて前記ワイヤ、前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域を封止する第3の封止材と、を更に有し、
前記第3の封止材は、前記第1の色の光と前記第2の色の光を拡散する拡散体を含有する、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記溝部は、第1方向に沿って形成された複数の溝と、前記第1方向と直交する第2方向に沿って形成された複数の溝とを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光素子は、前記実装基板にリング状に複数並べて配置され、
前記溝部は、リング状に配置された複数の前記発光素子を外周側から囲むように形成された第1の溝と、内周側から囲むように形成された第2の溝とを含み、
前記封止材は、前記第1の溝及び前記第2の溝によって囲まれる前記発光領域と前記第1の溝との境界、及び前記発光領域と前記第2の溝との境界に接するように前記発光領域上にリング状に配置されて複数の前記発光素子を封止する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
リング状の前記封止材を覆うように配置されるリング状の凹部を有し、前記封止材から出射する光を集光又は発散させるレンズを更に備える、
請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
実装基板の表面に溝部を形成し、
前記溝部によって囲まれる発光領域に発光素子を実装し、
前記発光領域と前記溝部との境界に接するように表面張力を利用して封止材を前記発光領域上に配置して前記発光素子を封止する、
ことを含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記溝部を形成することは、実装基板の表面に第1の溝部及び第2の溝部を形成することを含み、
前記発光素子を実装することは、前記第1の溝部によって囲まれる第1の発光領域に第1の発光素子を実装することと、前記第2の溝部によって囲まれる第2の発光領域に第2の発光素子を実装することを含み、
前記発光素子を封止することは、前記第1の発光領域と前記第1の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第1の封止材を前記第1の発光領域上に配置して前記第1の発光素子を封止することと、前記第2の発光領域と前記第2の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第2の封止材を前記第2の発光領域上に配置して前記第2の発光素子を封止することを含み、
前記第1の発光領域は第1の色の光を出射し、前記第2の発光領域は前記第1の色と異なる第2の色の光を出射する、
請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記溝部を形成することは、前記第1の溝部及び前記第2の溝部の両方を囲むように第3の溝部を形成することを更に含み、
前記発光素子を封止することは、前記第3の溝部によって囲まれる第3の発光領域と前記第3の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第3の封止材を前記第3の発光領域上に配置して前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域の両方を更に封止することを含み、
前記第3の封止材は、前記第1の色の光と前記第2の色の光を拡散する拡散体を含有する、
請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記溝部を形成することは、第1方向に沿って複数の溝を形成することと、前記第1方向と直交する第2方向に沿って複数の溝を形成することを含む、
請求項9又は10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記溝部を形成することは、前記発光領域と前記溝部との境界において、境界と接する方向にハーフダイシングが行われることを含む、
請求項8から11のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示装置、又はシーリングライト等の照明装置用の光源として、LED(Light-Emitting Diode)等の発光素子を基板上に実装した発光装置が用いられる。例えば、特許文献1、2に記載の表示装置は、反射凹部を有するホーロー基板を効率よく低コストで作製できる反射凹部付きのホーロー基板からなる発光素子実装用基板に発光素子を実装してなる光源を備えている。
【0003】
特許文献1、2に記載の発光素子のパッケージ構造は、図3に示されるように、すり鉢状の反射凹部を有し、一部が該反射凹部内に延設された電極が設けられているパッケージを用い、このパッケージの反射凹部内の一方の電極上にLEDなどの発光素子実装し、また発光素子と他方の電極とを金線によって電気的に接続し、さらに反射凹部内に封止樹脂を上部が盛り上がるように充填、硬化させてレンズ形状を形成した構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-303359号公報
【特許文献2】特開2008-193113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光装置の発光素子は、特許文献1、2に記載のように、通常、封止樹脂により封止されて保護される。封止樹脂を所定の発光領域に形成するためには、充填される封止樹脂が発光領域から流出しないように、発光領域を周囲よりも低いすり鉢状にするか、発光領域を囲むようにダム材が形成される。しかし、発光領域をすり鉢状にするだけでは、封止樹脂を所望の形状に固定することが難しい。また、発光領域を囲むようにダム材を形成すると、発光装置の構造が複雑化して高コスト化してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、発光領域に形成する封止材の形状を簡素な構造により制御することが可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一実施形態の発光装置は、発光素子と、発光素子を囲むように形成された溝部を有する実装基板と、溝部によって囲まれる発光領域と溝部との境界に接するように発光領域上に配置されて発光素子を封止する封止材とを有することを特徴とする。
【0008】
上記の発光装置において、実装基板は、第1の発光素子を囲むように形成された第1の溝部と、第2の発光素子を囲むように形成された第2の溝部とを有し、封止材は、第1の溝部によって囲まれる第1の発光領域と第1の溝部との境界に接するように第1の発光領域上に配置されて第1の発光素子を封止する第1の封止材と、第2の溝部によって囲まれる第2の発光領域と第2の溝部との境界に接するように第2の発光領域上に配置されて第2の発光素子を封止する第2の封止材とを含み、第1の発光領域は第1の色の光を出射し、第2の発光領域は第1の色と異なる第2の色の光を出射することが好ましい。
【0009】
上記の発光装置において、実装基板は、第1の溝部及び第2の溝部の両方を囲むように形成された第3の溝部を更に有し、封止材は、第3の溝部によって囲まれる第3の発光領域と第3の溝部との境界に接するように第3の発光領域上に配置されて第1の発光領域及び第2の発光領域の両方を更に封止する第3の封止材を更に含み、第3の封止材は、第1の色の光と第2の色の光を拡散する拡散体を含有することが好ましい。
【0010】
上記の発光装置は、実装基板の発光素子が実装された側に配置された回路基板と、発光素子を、回路基板に形成された給電端子と電気的に接続するワイヤと、第1の発光領域及び第2の発光領域の両方を囲むように形成された枠体と、枠体に囲まれた領域上に配置されてワイヤ、第1の発光領域及び第2の発光領域を封止する第3の封止材と、を更に有し、第3の封止材は、第1の色の光と第2の色の光を拡散する拡散体を含有することが好ましい。
【0011】
上記の発光装置において、溝部は、第1方向に沿って形成された複数の溝と、第1方向と直交する第2方向に沿って形成された複数の溝とを含むことが好ましい。
【0012】
上記の発光装置において、発光素子は、実装基板にリング状に複数並べて配置され、溝部は、リング状に配置された複数の発光素子を外周側から囲むように形成された第1の溝と、内周側から囲むように形成された第2の溝とを含み、封止材は、第1の溝及び第2の溝によって囲まれる発光領域と第1の溝との境界、及び発光領域と第2の溝との境界に接するように発光領域上にリング状に配置されて複数の発光素子を封止することが好ましい。
【0013】
上記の発光装置において、リング状の封止材を覆うように配置されるリング状の凹部を有し、封止材から出射する光を集光又は発散させるレンズを更に備えることが好ましい。
【0014】
本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法は、実装基板の表面に溝部を形成し、溝部によって囲まれる発光領域に発光素子を実装し、発光領域と溝部との境界に接するように表面張力を利用して封止材を発光領域上に配置して発光素子を封止する、ことを含むことを特徴とする。
【0015】
上記の発光装置の製造方法において、溝部を形成することは、実装基板の表面に第1の溝部及び第2の溝部を形成することを含み、発光素子を実装することは、第1の溝部によって囲まれる第1の発光領域に第1の発光素子を実装することと、第2の溝部によって囲まれる第2の発光領域に第2の発光素子を実装することを含み、発光素子を封止することは、第1の発光領域と第1の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第1の封止材を第1の発光領域上に配置して第1の発光素子を封止することと、第2の発光領域と第2の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第2の封止材を第2の発光領域上に配置して第2の発光素子を封止することを含み、第1の発光領域は第1の色の光を出射し、第2の発光領域は第1の色と異なる第2の色の光を出射することが好ましい。
【0016】
上記の発光装置の製造方法において、溝部を形成することは、第1の溝部及び第2の溝部の両方を囲むように第3の溝部を形成することを更に含み、発光素子を封止することは、第3の溝部によって囲まれる第3の発光領域と第3の溝部との境界に接するように表面張力を利用して第3の封止材を第3の発光領域上に配置して第1の発光領域及び第2の発光領域の両方を更に封止することを含み、第3の封止材は、第1の色の光と第2の色の光を拡散する拡散体を含有することが好ましい。
【0017】
上記の発光装置の製造方法において、溝部を形成することは、第1方向に沿って複数の溝を形成することと、第1方向と直交する第2方向に沿って複数の溝を形成することを含むことが好ましい。
【0018】
上記の発光装置の製造方法において、溝部を形成することは、発光領域と溝部との境界において、境界と接する方向にハーフダイシングが行われることを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発光領域に形成する封止材の形状を簡素な構造により制御することが可能な発光装置及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る第1実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図2A図1に示した発光装置の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図2B図1に示した発光装置の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図3】表面張力によって発光領域上に自己形成された封止材を模式的に示した図である。
図4】本発明に係る第2実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図5】本発明に係る第3実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図6】本発明に係る第4実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図7】本発明に係る第5実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図8A図7に示した発光装置の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図8B図7に示した発光装置の製造方法の一例を概略的に示した図である。
図9】本発明に係る第6実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図10】本発明に係る第6実施形態の発光装置の構成の変形例を模式的に示した図である。
図11】本発明に係る第7実施形態の発光装置の構成を模式的に示した図である。
図12】本発明に係る第7実施形態の発光装置の構成の変形例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る発光装置は、発光素子が実装された発光領域に封止樹脂を形成する工程において、溝部によって囲まれる発光領域と溝部との段差が境界となるように、発光領域に封止材が配置されることを特徴とする。
【0022】
これにより、本発明に係る発光装置では、所望の形状の溝部を予め実装基板に形成しておくだけで、溝部に囲まれる発光領域上に配置された封止材が、表面張力によって所望の形状に自己形成される。このため、本発明に係る発光装置では、発光領域を周囲よりも低いすり鉢状にしたり、発光領域を囲むようにダム材を形成したりする必要がなく、発光装置の構造が簡素化される。
【0023】
以下、本発明に係る好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、各図において同一、又は相当する機能を有するものは、同一符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る第1実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。
【0025】
発光装置1は、不図示の外部電源からケーブル等を介して電力を供給されて光を照射する。発光装置1は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置、又はシーリングライト等の照明装置用の光源として用いられる。なお、図1に示す発光装置1は、矩形の平面形状を有しているが、発光装置1の形状は用途に合わせて適宜決定されてよく、例えば、多角形又は円形等の形状を有してもよい。発光装置1は、実装基板2、及び発光素子4を有する。
【0026】
実装基板2は、セラミックス又は樹脂等を主材料とする絶縁性及び熱伝導性の高い材料で形成され、例えば、ガラスエポキシ基板(FR-4)ガラスコンポジット基板(CEM-3)とされる。実装基板2は、LED等の発光素子4が実装される平坦な発光領域20a~20dを有する。この発光領域20a~20d上に発光素子4が直接配置されることで、発光素子4に生じる熱が熱伝導性の高い実装基板2を伝導して効率よく放熱される。発光領域20a~20dの平面形状は、それぞれの発光領域20a~20dを囲むように形成された溝部21a~21dの形状によって規定される。例えば図1では、発光領域20a~20dは、それぞれ、リング状の溝部21a~21dに囲まれた円形状を有している。なお、溝部21a~21dは、発光素子4を囲むように閉じた経路で形成されていればよく、図1に示すリング状以外に、後述の図7に示すように、複数の直線状の溝から構成されてもよい。図1では、互いに隣り合う溝部21a~21dが溝を一部共有しているが、溝部21a~21dは、溝を共有せずにそれぞれが独立していてもよい。実装基板2は、図1に示すように4つの発光領域20a~20dを有する以外に、1~3又は5以上の発光領域を有してもよい。
【0027】
実装基板2には、実装基板2を貫通する給電端子23a~23dが形成されている。給電端子23a~23dは、実装基板2の裏面側からケーブル等を介して供給される正負の電位を発光素子4へ供給する。給電端子23a~23dは、例えば、実装基板2上に設けられた貫通孔に金又は銅等の金属を埋め込んだ後、その金属を埋め込んだ領域の表面側と裏面側に金属コンタクト又は金属配線を配置して形成される。これにより、実装基板2の裏面側から発光素子4へ電力が供給されるため、実装基板2上に回路基板等を設ける必要がなく、発光装置1の構造が簡素化される。
【0028】
発光素子4は、例えば、LEDのダイがダイボンド等によって実装基板2の発光領域20に実装された後、LEDのカソード端子及びアノード端子がワイヤ5等によって給電端子23a~23dと電気的に接続される。発光素子4は、外部電源から給電端子23a~23d、及びワイヤ5を介して正負の電位が供給されて発光する。給電端子23a、23cと給電端子23b、23dの間には、発光素子4に過電圧が印加されることを防止するためのツェナーダイオード等が並列に接続されてもよい。なお、図1に示す複数の発光素子4は、その辺同士が対向するように配置されているが、発光素子4を45度回転させて、その頂点同士が対向するように配置されてもよい。発光素子4は、その上面が実装基板2の表面と平行となるように配置されることが好ましい。発光素子4は、例えば、紫、青、緑、赤などの可視光を発するが、赤外線のような不可視光を含んでもよいし、これらの組み合わせの光を含んでもよい。
【0029】
封止材6a、6bは、溝部21a~21dによって囲まれる発光領域20a~20dを封止して、発光素子4及びワイヤ5を保護する。封止材6a、6bは、発光素子4が発する光に対して透光性を有するエポキシ又はシリコン等の樹脂で形成される。例えば図1では、封止材6a(第1の封止材)が、発光領域20a、20c(第1の発光領域)と溝部21a、21c(第1の溝部)との境界に接するように発光領域20a、20c上にそれぞれ配置されている。また、封止材6b(第2の封止材)が、発光領域20b、20d(第2の発光領域)と溝部21b、21d(第2の溝部)との境界に接するように発光領域20b、20d上にそれぞれ配置されている。なお、図1の平面図では、封止材6a、6bにより封止された発光素子4及びワイヤ5を、便宜上、破線でなく実線で示している。
【0030】
封止材6a、6bは、発光素子4が発する光をより長波長の光に波長変換する蛍光体を含有してもよい。この蛍光体は、例えば、発光素子4が発する青色光を吸収して黄色光を発するYAG(Yttrium Aluminum Garnet)等の粒子状の蛍光体材料とすることができる。これにより、発光素子4の発する青色光と、蛍光体によって波長変換された黄色光とが混合して白色光が得られる。封止材6a、6bは、青色光を、黄色光以外の例えば赤色光又は緑色光に波長変換する蛍光体を含有してもよい。封止材6aによって覆われた発光領域20a、20cから出射する第1の色の光の強さは、給電端子23a、23cを介して発光素子4に流す電流値を制御することで調整される。また同様に、封止材6bによって覆われた発光領域20b、20dから出射する第2の色の光の強さは、給電端子23b、23dを介して発光素子4に流す電流値を制御することで調整される。
【0031】
図2A図2Bは、図1に示した発光装置1の製造方法の一例を概略的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。
【0032】
まず、図2Aに示すように、実装基板2の表面に、それぞれ閉じた経路で溝部21a~21dが形成される。リング状の溝部21a~21dは、例えばレーザー加工でハーフダイシングすることによって形成されるが、その他、ブラスト加工でハーフダイシングすることによって形成されても、回転研磨工具でハーフダイシングすることによって形成されてもよい。この際、レーザー又は回転研磨工具を、固定した実装基板2に対して相対的に移動させて溝部21a~21dを形成してもよいし、逆に、実装基板2を、固定したレーザー又は回転研磨工具に対して相対的に移動させて溝部21a~21dを形成してもよい。溝部21a~21dの大きさは、例えば、幅が0.2mmとされ、深さが0.1mmとされる。溝部21a~21dの形状は、必ずしも図2Aに示すようなリング状でなくてもよく、閉じた経路で形成されればよい。溝部21a~21dの幅は必ずしも一定である必要はなく、場所によって幅が異なってもよい。
【0033】
なお、溝部21a~21dの幅が広い場合には、ハーフダイシングを複数回に分けて行って溝部21a~21dを形成することも可能である。例えば、幅の狭い溝を複数並べて繋げて形成して1つの幅の広い溝部21aを形成してもよい。或いは、特にレーザー加工で溝部21aを形成する場合には、径の小さい円形状の穴を2次元状に複数並べて繋げて形成して溝部21aを形成してもよい。この際、発光領域20aと溝部21aとの境界において、境界面と垂直な方向にハーフダイシングが行われると、境界面の段差に凸凹が生じて、封止材6aを充填したときに封止材6aが発光領域20aから溝部21aへ流れやすくなってしまう。この結果、封止材6aを、溝部21aとの境界にそれぞれ接するように表面張力を利用して発光領域20b上に配置することが難しくなってしまう。したがって、ハーフダイシングは、発光領域20aと溝部21aとの境界において、境界と接する方向に行われることが好ましい。
【0034】
次に、図2Bに示すように、溝部21a~21dによって囲まれる発光領域20a~20dに、発光素子4がダイボンド等によってそれぞれ実装される。そして、発光素子4のカソード端子及びアノード端子が、ワイヤ5等によって、実装基板2に形成された給電端子23a~23dと電気的に接続される。発光素子4の大きさは、例えば、平面図における一辺の長さが0.65mmとされ、断面図における高さが0.2mmとされる。
【0035】
そして、図1に示したように、発光領域20a、20c(第1の発光領域)と溝部21a、21c(第1の溝部)との境界にそれぞれ接するように表面張力を利用して封止材6a(第1の封止材)が発光領域20a、20c上にそれぞれ配置される。また、発光領域20b、20d(第2の発光領域)と溝部21b、21d(第2の溝部)との境界にそれぞれ接するように表面張力を利用して封止材6b(第2の封止材)が発光領域20b、20d上にそれぞれ配置される。この結果、発光領域20a、20c上に表面張力によって封止材6aが自己形成され、発光領域20b、20d上に表面張力によって封止材6bが自己形成される。そして、図1に示した発光装置1が製造される。
【0036】
図3(a)~図3(b)は、表面張力によって発光領域20上に自己形成された封止材6を模式的に示した図である。表面張力を利用して形成された封止材6は、図3(a)に示すように、封止材6の外縁の位置が、発光領域20と溝部21との境界の段差の位置と概ね一致するように、発光領域20上に固定される。この封止樹脂を発光領域20に形成する工程においては、封止材6の粘度、発光領域20に充填する液量等のパラメータが、溝部21の形状に合わせて調整される。
【0037】
例えば、粘度が大きい封止材6を発光領域20上に充填した場合には、封止材6は、図3(b)に示すように、表面張力が大きくなって球形状となりやすい。このような粘度の大きい封止材6は、図1に示したようなリング状の溝部21によって囲まれる円形状の発光領域20を封止する場合に適している。
【0038】
他方、粘度が小さい封止材6を発光領域20上に充填した場合には、封止材6は、図3(c)に示すように、表面張力が小さくなって球形状となりにくい。このような粘度の小さい封止材6は、後述の図7に示すように、複数の直線状の溝から構成された溝部21によって囲まれる矩形状の発光領域20を封止する場合に適している。
【0039】
このように、本発明に係る発光装置1は、発光領域20に封止樹脂を形成する工程において、溝部21によって囲まれる発光領域20と溝部21との段差が境界となるように、発光領域20に封止材6が配置されることを特徴とする。
【0040】
これにより、本発明に係る発光装置1では、所望の形状の溝部21を予め実装基板2に形成しておくだけで、溝部21に囲まれる発光領域20上に配置された封止材6が、表面張力によって所望の形状に自己形成される。このため、本発明に係る発光装置1では、発光領域20を周囲よりも低いすり鉢状にしたり、発光領域20を囲むようにダム材を形成したりする必要がなく、発光装置1の構造が簡素化される。
【0041】
(第2実施形態)
図4は、本発明に係る第2実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図4に示す発光装置1は、図1に示した発光装置1に加えて、封止材6a、6bを覆うように更に封止材6(第3の封止材)が形成されている。その他については、図1に示した第1実施形態の発光装置1と概ね同じであるため、第1実施形態の発光装置1と異なる点について以下説明する。
【0042】
図4に示す発光装置1の実装基板2には、発光領域20a~20dを全て囲むように閉じた経路で溝部21(第3の溝部)が形成されている。
【0043】
封止材6は、溝部21によって囲まれる発光領域20(第3の発光領域)と溝部21との境界に接するように発光領域20上に配置されて、発光領域20a~20dを更に封止する。封止材6は、発光領域20a、20cから出射する第1の色の光と、発光領域20b、20dから出射する第2の色の光を拡散させる拡散体を含有してもよい。拡散体は必ずしも封止材6内に均一に含まれていなくてよく、少なくとも封止材6内の上側の表層部に含まれていればよい。これにより、封止材6は、第1の色の光と、第1の色の光と異なる第2の色の光を、拡散体により拡散させて混色することができる。例えば、第1の色の光は、色温度が3000K~4000Kの寒色系の白色光とされ、第2の色の光は、色温度が5000K~6000Kの暖色系の白色光とされる。或いは、第1の色の光は、波長が400nm~500nmの青色光とされ、第2の色の光は、波長が550nm~600nmの黄色光とされる。
【0044】
(第3実施形態)
図5は、本発明に係る第3実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図5に示す発光装置1は、図4に示した発光装置1と比べて、溝部21によって囲まれるただ一つの発光領域20を有している点が主に異なっている。その他については、図4に示した第2実施形態の発光装置1と概ね同じであるため、第2実施形態の発光装置1と異なる点について以下説明する。
【0045】
発光領域20上に実装された発光素子4は、ワイヤ5によって複数の発光素子4が互いに電気的に接続されて一つの列を形成する。例えば図5では、一つの列に2個の発光素子4が直列に接続されているが、一つの列に接続される発光素子4の数は、外部電源から供給される電圧等に応じて適宜決定されてよい。例えば、外部電源から6Vの電圧が供給される場合、発光電圧が3Vである発光素子4が2個直列に接続されて一つの列が形成される。各列の両端に位置する発光素子4は、ワイヤ5を介して給電端子23a、23bと電気的に接続される。
【0046】
封止材6は、発光素子4が発する光をより長波長の光に波長変換する蛍光体を含有してもよい。封止材6によって覆われた発光領域20から出射する第1の色の光の強さは、給電端子23a、23bを介して発光素子4に流す電流値を制御することで調整される。
【0047】
このような簡素な構成で単色光を照射する発光装置1の場合でも、発光領域20に形成する封止材6の形状を、溝部21の形状によって制御することができる。
【0048】
(第4実施形態)
図6は、本発明に係る第4実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図6に示す発光装置1は、図1に示した発光装置1と比べて、実装基板2がリング状の発光領域20を有している点と、この発光領域20を覆うようにレンズ8が配置されている点が主に異なっている。その他については、図1に示した第1実施形態の発光装置1と概ね同じであるため、第1実施形態の発光装置1と異なる点について以下説明する。
【0049】
図6に示す発光装置1は、実装基板2上に発光素子4がリング状に複数並べて配置されている。溝部は、第1の溝21eと第2の溝21fを含み、第1の溝21eは、リング状に配置された複数の発光素子4を外周側から囲むように形成され、第2の溝21fは、リング状に配置された複数の発光素子4を内周側から囲むように形成されている。封止材6は、第1の溝21e及び第2の溝21fによって囲まれる発光領域20と第1の溝21eとの境界、及び発光領域20と第2の溝21fとの境界に接するように発光領域20上にリング状に配置されて複数の発光素子4を封止する。
【0050】
これにより、第1の溝21eと第2の溝21fとを含む溝部を形成した簡素な構造で、リング状に光を照射する面状光源が得られる。このような面状光源は、直線状に光を照射する線状光源と比べて、斜め方向から見ても色が変化しにくく色指向性が改善される。
【0051】
また、図6に示す発光装置1は、リング状の発光領域20から出射する光を集光又は発散させるレンズ8を更に有している。レンズ8は、リング状の平面形状を有する凹部80を有し、この凹部80がリング状の封止材6を覆うように配置されて、封止材6から出射する光を屈折して集光又は発散させる。
【0052】
図6に示されるように、リング状の発光領域20のリング幅は、線状光源の線幅と同様に細いため、図6に示す発光装置1は、面状光源であるにもかかわらず、リング状の発光領域20を覆うレンズ8の凹部80を小さくすることが可能である。このため、図6に示すレンズ8は、実装基板2に2次元状に配置された複数の発光素子4を複数の凹部がそれぞれ覆う構成を有するレンズと比べて、構造が簡素化かつ小型化される。
【0053】
(第5実施形態)
図7は、本発明に係る第5実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図7に示す発光装置1は、図1に示した発光装置1と比べて、溝部21a、21bが複数の直線状の溝から構成されている点が主に異なっている。その他については、図1に示した第1実施形態の発光装置1と概ね同じであるため、第1実施形態の発光装置1と異なる点について以下説明する。
【0054】
実装基板2は、LED等の発光素子4が実装される平坦な発光領域20a、20bを有する。発光領域20a、20bは、それぞれ、溝部21a、21bに囲まれた矩形状を有している。図7では、互いに隣り合う溝部21a、21bが溝を一部共有しているが、溝部21a、21bは、溝を共有せずにそれぞれが独立していてもよい。実装基板2は、図7に示すように2つの発光領域20a、20bを有する以外に、1又は3以上の発光領域を有してもよい。
【0055】
封止材6a、6bは、溝部21a、21bによって囲まれる発光領域20a、20bをそれぞれ封止して、発光素子4を保護する。例えば図7では、封止材6a(第1の封止材)が、発光領域20a(第1の発光領域)と溝部21a(第1の溝部)との境界に接するように発光領域20a上に配置されている。また、封止材6b(第2の封止材)が、発光領域20b(第2の発光領域)と溝部21b(第2の溝部)との境界に接するように発光領域20b上に配置されている。なお、図7の平面図では、封止材6a、6bにより封止された発光素子4及びワイヤ5を、便宜上、破線でなく実線で示している。
【0056】
このように、溝部21a、21bが複数の直線状の溝から構成され、溝部21a、21bによって囲まれる発光領域20a、20bが矩形状を有する場合でも、第1実施形態の発光装置1と同様の効果が得られる。
【0057】
図8A図8Bは、図7に示した発光装置1の製造方法の一例を概略的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とその斜視図が示されている。以下、第1実施形態の発光装置1の製造方法と異なる点について以下説明する。
【0058】
まず、図8Aに示すように、実装基板2の表面に、第1方向d1に沿って複数の溝21gが形成される。図8Aに示すような直線状の溝21gは、例えば回転研磨工具でハーフダイシングすることによって容易に形成されるが、例えばレーザー加工でハーフダイシングすることによって形成されてもよい。
【0059】
次に、図8Bに示すように、実装基板2の表面に、第1方向d1と直交する第2方向d2に沿って複数の溝21hが形成される。この結果、発光領域20a、20bをそれぞれ囲むように、複数の溝21gと複数の溝21hから構成される溝部21a、21bが形成される。溝21g、21hの大きさは、例えば、幅が0.2mmとされ、深さが0.1mmとされる。
【0060】
そして、図2A図2Bで説明した製造方法と概ね同じ工程により、図7に示した発光装置1が製造される。このような複数の直線状の溝21g、21hから構成される溝部21a~21dは、リング状の溝部21a~21dよりも簡素な工程で形成される。
【0061】
(第6実施形態)
図9は、本発明に係る第6実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図9に示す発光装置1は、図7に示した発光装置1と比べて、実装基板2の表面側に回路基板3が配置されており、発光素子4が回路基板3の給電端子31a~31dと電気的に接続されている点が主に異なっている。その他については、図7に示した第5実施形態の発光装置1と概ね同じであるため、第5実施形態の発光装置1と異なる点について以下説明する。
【0062】
図9に示す発光装置1は、発光装置1は、実装基板2、及び発光素子4に加えて回路基板3を有している。
【0063】
回路基板3は、フェノール、エポキシ、ポリイミド、又はポリエステル等の樹脂を主材料とする絶縁性の高い樹脂で形成される。回路基板3は、実装基板2の発光領域20a~20dよりも外側の領域に配置される。例えば、図9に示す回路基板3は円形状の開口部を有し、発光領域20a~20dに実装された発光素子4が開口部から露出するように、実装基板2上に貼り合わされている。回路基板3上には、給電端子31a~31dが形成されている。給電端子31a~31dは、外部電源からケーブル等を介して供給される正負の電位を、発光素子4へ供給する。給電端子31a~31dは、例えば、回路基板3上に金又は銅等の金属がパターニングされて形成される。給電端子31a~31dは、更に、絶縁性膜であるソルダレジスト等により覆われて保護されてもよい。
【0064】
図9に示す実装基板2は、図1に示したような実装基板2を貫通する給電端子23a~23dを有さない。したがって、実装基板2は、セラミックス又は樹脂等を主材料とする絶縁性の高い材料以外に、アルミニウム又は銅等の金属を主材料とする導電性の高い材料で形成されてもよい。実装基板2は、溝部21a~21dにそれぞれ囲まれる発光領域20a~20dを有している。図9では、互いに隣り合う溝部21a~21dが溝を一部共有しているが、溝部21a~21dは、溝を共有せずにそれぞれが独立していてもよい。実装基板2は、図9に示すように4つの発光領域20a~20dを有する以外に、1~3又は5以上の発光領域を有してもよい。
【0065】
複数の発光素子4は、ワイヤ5により互いに電気的に接続されて一つの列を形成する。例えば図9では、一つの列に5個の発光素子4が直列に接続されているが、一つの列に接続される発光素子4の数は、外部電源から供給される電圧等に応じて適宜決定されてよい。各列の両端に位置する発光素子4は、ワイヤ5を介して給電端子31a~31dと電気的に接続される。このように、発光領域20a~20dのそれぞれに、多くの発光装置1が配置されることで、発光領域20a~20dのそれぞれから出射する光の強度が向上する。
【0066】
封止材6a、6bは、発光素子4が発する光をより長波長の光に波長変換する蛍光体を含有してもよい。封止材6aによって覆われた発光領域20a、20cから出射する第1の色の光の強さは、給電端子31a、31cを介して発光素子4に流す電流値を制御することで調整される。また同様に、封止材6bによって覆われた発光領域20b、20dから出射する第2の色の光の強さは、給電端子31b、31dを介して発光素子4に流す電流値を制御することで調整される。
【0067】
封止材6は、発光領域20a~20dを更に覆うように配置される。封止材6は、発光領域20a、20cから出射する第1の色の光と、発光領域20b、20dから出射する第2の色の光を拡散させる拡散体を含有してもよい。その場合、図9に示すように封止材6の充填量が多くて、封止材6の表面張力によって封止材6を所望の形状に保持することが難しいような場合には、枠体7によって封止材6が保持されてもよい。枠体7は、ダム材等の連続体が回路基板3の開口部を囲むようにリング状又は矩形状に配置されて形成される。枠体7は、例えば、シリコン樹脂又はエポキシ樹脂で形成される。枠体7は、光を反射しやすい酸化チタン等の微粒子が分散された白色の樹脂で形成されることが好ましい。これにより、発光素子4から出射する光が発光装置1の上方へ反射するため、発光素子4から出射する光の利用効率が向上する。
【0068】
溝部21a~21dは、図10に示すように、直線状の溝とリング状の溝とを組み合わせた形状を有してもよい。この場合、図3で説明したように、封止材6の粘度、発光領域20に充填する液量等のパラメータが、溝部21の形状に合わせて調整される。
【0069】
図9及び図10に示すように、封止材6(第3の封止材)が枠体7に囲まれた領域上に配置されることで、ワイヤ5及びワイヤ5と接続された発光素子4が完全に封止されて保護される。この場合でも、封止材6a、6b(第1の封止材及び第2の封止材)が枠体7なしで形成されるため、発光装置1の構造は簡素化される。また、枠体7によって保持された封止材6は、図4に示した表面張力を利用して保持された封止材6と比べて、光を拡散させる拡散体を含有させることが容易であるため、発光装置1の製造方法が簡素化される。
【0070】
(第7実施形態)
図11は、本発明に係る第7実施形態の発光装置1の構成を模式的に示した図である。図の上部と下部には、それぞれ、発光装置1の構成の平面図とそのA-A線に沿った断面図が示されている。図11に示す発光装置1は、図5に示した第3実施形態の発光装置1と同様に、溝部21によって囲まれるただ一つの発光領域20を有している。このような簡素な構成で単色光を照射する発光装置1の場合でも、発光領域20に形成する封止材6の形状を、溝部21の形状によって制御することができる。更に、図12に示すように、複数の発光装置1が組み合わされて、複数の発光装置1を製造するための集合基板1bが構成されてもよい。
【0071】
以上のように、本発明に係る一実施形態の発光装置は、発光素子と、発光素子を囲むように形成された溝部を有する実装基板と、溝部によって囲まれる発光領域と溝部との境界に接するように発光領域上に配置されて発光素子を封止する封止材とを有することを特徴とする。これにより、発光領域に形成する封止材の形状を簡素な構造により制御することが可能な発光装置及びその製造方法が提供される。
【0072】
上記の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明に係る技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明は、その技術思想又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施形態の構成は組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 発光装置
2 実装基板
20、20a~20d 発光領域
21、21a~21d 溝部
21e~21h 溝
22 貫通孔
23a~23d、31a~31d 給電端子
3 回路基板
4 発光素子
5 ワイヤ
6、6a~6b 封止材
8 レンズ
80 凹部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記発光素子を囲むように形成された溝部、及び前記発光素子に電気を供給する端子を有する実装基板と、
前記溝部によって囲まれる発光領域と前記溝部との境界に接するように前記発光領域上に配置されて前記発光素子を封止する封止材と、
複数の前記発光素子の間、又は前記発光素子と前記端子の間を接続する複数のワイヤと、を有し、
前記封止材は、前記複数のワイヤの少なくとも1つを全体に亘って封止する、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記実装基板は、第1の発光素子を囲むように形成された第1の溝部と、第2の発光素子を囲むように形成された第2の溝部とを有し、
前記封止材は、前記第1の溝部によって囲まれる第1の発光領域と前記第1の溝部との境界に接するように前記第1の発光領域上に配置されて前記第1の発光素子を封止する第1の封止材と、前記第2の溝部によって囲まれる第2の発光領域と前記第2の溝部との境界に接するように前記第2の発光領域上に配置されて前記第2の発光素子を封止する第2の封止材とを含み、
前記第1の封止材及び前記第2の封止材の双方は、前記複数のワイヤの少なくとも1つを全体に亘って封止する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記実装基板の前記発光素子が実装された側に配置された回路基板と、
前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域の両方を囲むように形成された枠体と、
前記枠体に囲まれた領域上に配置されて前記ワイヤ、前記第1の発光領域及び前記第2の発光領域を封止する第3の封止材と、を更に有し、
前記第1の発光領域は第1の色の光を出射し、前記第2の発光領域は前記第1の色と異なる第2の色の光を出射し、
前記第3の封止材は、前記第1の色の光と前記第2の色の光を拡散する拡散体を含有する、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第3の封止材は、前記複数のワイヤの全てを全体に亘って封止する、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記溝部は、第1方向に沿って形成された複数の溝と、前記第1方向と直交する第2方向に沿って形成された複数の溝とを含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
発光素子に電気を供給する端子を有する実装基板の表面に溝部を形成し、
前記溝部によって囲まれる発光領域に前記発光素子を実装し、
複数の前記発光素子の間、及び前記発光素子と前記端子の間を複数のワイヤによって接続し、
前記発光領域と前記溝部との境界に接するように表面張力を利用して封止材を前記発光領域上に配置して前記発光素子を封止する、ことを含み、
前記封止材は、前記複数のワイヤの少なくとも1つを全体に亘って封止する、ことを特徴とする発光装置の製造方法。