IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエスの特許一覧

特開2024-45614モリンガ・オレイフェラ種子のタンパク質抽出物の美容的使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045614
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】モリンガ・オレイフェラ種子のタンパク質抽出物の美容的使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240326BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q19/00
A61P17/08
A61P17/10
A61P17/14
A61K36/185
A61P17/00
A61P17/04
A61P17/06
A61P37/08
A61P29/00
A61P31/04
A61P1/04
A61P31/22
A61P35/00
A61P31/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022815
(22)【出願日】2024-02-19
(62)【分割の表示】P 2020537531の分割
【原出願日】2019-01-09
(31)【優先権主張番号】1850156
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】500226948
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス
【氏名又は名称原語表記】BASF Beauty Care Solutions France S.A.S.
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean de Dieu, F-69007 Lyon, France
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ダノウス,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】デュプイー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】レオティ-オコンビ,サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲルゲサング,ボリス
(57)【要約】
【課題】本発明は、敏感な、感作された、反応性の、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の治療のための、脱脂された未発芽のモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物の美容的使用に関する。
【解決手段】本発明は、敏感な、感作された、反応性の、脆い、弱った、耐性がない、過反応性の、且つ/若しくは炎症性の皮膚及び/若しくは粘膜に関連する病理、例えば、接触蕁麻疹、刺激性若しくはアレルギー性接触皮膚炎、湿疹、乾癬、脂漏性若しくはアトピー性皮膚炎などの発生の治療及び/若しくは予防及び/若しくは減少における、且つ/又は特に、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により起こされる炎症及び/若しくは刺激の治療及び/若しくは予防における、且つ/又は紅斑、特におむつかぶれの治療及び/若しくは予防における使用のための、脱脂された未発芽のモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の美的でなく且つ/又は好ましくなく且つ/又は不快な徴候を予防及び/又は治療するための、敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の治療のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物の美容的使用であって、前記皮膚及び/又は粘膜が健康な皮膚及び/又は粘膜である美容的使用。
【請求項2】
敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の、前記美的でなく且つ/又は好ましくなく且つ/又は不快な徴候が、発赤、熱感若しくは温感又はつっぱり、ひりひり感、ちくちく感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の美容的使用。
【請求項3】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物の使用が、前記皮膚及び/又は粘膜上の有益な共生フローラを増加及び/又は保護及び/又は維持するためでもあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の美容的使用。
【請求項4】
その有益な共生フローラが変化する前記皮膚及び/若しくは粘膜の前記美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるための、特に、にきびの形成及び/若しくは面疱形成及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるためなど、皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるための、且つ/又は前記皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善し、且つ/又は発赤を減少させ、且つ/又は前記皮膚及び/若しくは粘膜の温感及び/若しくは熱感を予防及び/若しくは治療するための、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させるための、且つ/又はふけを予防及び/若しくは減少させるための、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記有益な共生フローラが、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、アシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)、及びこれらの混合物で形成される群から選択される微生物であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の使用。
【請求項6】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、脚、足、脇の下、手、首、胸、腹部、腕、腿、腰、臀部、ウエスト、股、そけい部、胴、背中、口唇粘膜、顔及び/又は頭皮、特に剃られている領域、又は乳児のお尻などふやけている領域、皮膚のひだ、例えば、脇の下、肘の裏、膝の裏、臀部、股、そけい部、首など、及び/又は口角、及び/又は過剰に洗浄された領域から選択される体の特定の部分に、外用により適用されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、特に、極性溶媒、好都合には水への抽出により得られる水溶性抽出物であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、乾燥抽出物の重量に対して、0.01~100重量%、好都合には少なくとも25重量%で構成されたタンパク質含量、特に天然タンパク質の含量を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、アルカロイド、プテリゴスペルミン、イソチオシアネート、又はケンフェロールを含まないことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、皮を除去した種子の抽出物であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、美容用組成物に組み込まれるように意図され、適切な美容用ビヒクルも含む美容用成分の形態で存在することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、前記美容用成分中に、前記成分の総重量に対して0.01~10重量%、好都合には1~5重量%の乾燥物質で構成された含量の液体形態で、又は前記成分の総重量で10~60%で、好都合には30~50重量%で構成された含量の固体形態で存在することを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物又はそれを含む前記美容用成分が、外用投与が意図とされ適切な美容用ビヒクルも含む美容用組成物の形態で存在することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、前記美容用組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.0001~20重量%、好都合には0.01~5重量%の乾燥物質で構成される含量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記組成物が、セラム、ローション、クリーム、ミルク、軟膏、ペースト、フォーム、エマルション、ハイドロゲル、シャワージェル、エアゾール、マスク、スティック、パッチ、又はフェイスパウダー、好都合にはクリーム又はローションの形態であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の使用。
【請求項16】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物又はそれを含む前記美容用成分が、特に歯肉粘膜への経口投与が意図され適切な美容用ビヒクルも含む美容用組成物の形態で存在することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
反応性の、過反応性の、耐性がない、且つ/若しくは炎症性の皮膚及び/若しくは粘膜の治療における、且つ/又は敏感な、感作された、反応性の、脆い、弱った、耐性がない、過反応性の及び/若しくは炎症性の皮膚及び/若しくは粘膜に関連する、接触蕁麻疹、刺激性若しくはアレルギー性接触皮膚炎、湿疹、乾癬、脂漏性若しくはアトピー性皮膚炎などの病理の発生の治療及び/若しくは予防及び/若しくは減少における、且つ/又は特にスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により起こされる炎症及び/若しくは刺激の治療及び/若しくは予防における、且つ/又は紅斑、特に乳児のおむつかぶれの治療及び/若しくは予防における、且つ/又は歯肉炎の治療におけるその使用のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物。
【請求項18】
請求項17に記載の使用のための、また、好都合には有益な共生の皮膚及び/若しくは粘膜微生物の含量の減少及び/若しくは病原性微生物、好ましくは病原性細菌、特にスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及び/若しくはプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の含量の増加を含む、皮膚及び/若しくは粘膜の有益な共生フローラの変化に関連する病理、好都合には、皮膚及び/若しくは粘膜の、特に、細菌による感染、潰瘍、ヘルペス、おでき、毛包炎、膿瘍、毛瘡、膿痂疹、膿瘡丹毒、ざ瘡、カンジダ症などの真菌感染又は白癬などの皮膚糸状菌症及び/若しくは疥癬からなる群から選択される病理の発生の治療及び/若しくは予防及び/若しくは減少における、且つ/又は創傷感染の治療及び/若しくは予防における、且つ/又は色素斑及び/若しくはニキビ跡の予防における使用のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物。
【請求項19】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、請求項1~10のいずれか一項に定義される通りであることを特徴とする、請求項17又は18に記載のその使用のための未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物。
【請求項20】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の前記タンパク質抽出物が、医薬用成分又は適切な医薬用ビヒクルも含む医薬組成物の形態で存在することを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に記載のその使用のための未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容術及び皮膚科学の分野、より詳細には、皮膚及び粘膜、とりわけ、敏感な、感作された、反応性の、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の手入れのための化粧品、並びに未発芽の脱油された(deoiled)モリンガ種子タンパク質抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モリンガ属は、およそ14の植物種を含み(モリンガ・ペレグリナ(Moringa peregrina)、M.アプテラ(M.aptera)、M.コンカネンシス(M.concanensis)、M.ドロウハルディ(M.drouhardii)、M.ヒルデブランディティ(M.hildebrandtii)、M.ロンギチューバ(M.longituba)を含む)、その中でモリンガ・プテリゴスペルマ(Moringa pterygosperma)(モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)とも呼ばれる)は最もよく知られている。
【0003】
この場合、それは、変わりやすい状況によく適合する生長の速い木であり、アジア、アフリカ、及び南アメリカの熱帯にわたって生えている。長さ30~50cmの果実はドラムスティックのように垂れるので、英名は「ドラムスティックツリー」であり、その緑の鞘は、世界中で野菜として認識されている。結果として、種子が残されて熟して製油用になることはめったにない。
【0004】
木の異なる部分(葉、根、根皮、花、及び種子)は、それが生えている国々で伝統的な医薬に使用されている。
【0005】
モリンガ種子は、種子の種及び成熟度によって含量が21~53%である油の存在を特徴とする。モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種では、文献に記載されている含量は21~34%の範囲である。
【0006】
酸化に関するその優れた安定性及び香りを保留するその良好な性質のため、モリンガ油、別名ベヘン又はベンオイルは、古代文明において美容的及び宗教的な使用のために軟膏製剤者により最も使用された油であった。この油は、前世紀まで化粧品製剤者により使用され、その使用は最近「再発見」された。
【0007】
その油含量に加え、モリンガ種子は、ごく最近、そのタンパク質抽出物に関して研究者の関心を引いた。そのため、出願EP1064008号明細書は、その軟化、生理学的調整(physiological conditioning)、保湿、再構成、修復の効果のため、並びにしわ取り及び汚染防止剤としてのモリンガ種子のタンパク質抽出物の皮膚及び粘膜への使用を記載している。
【0008】
特に、そのような抽出物は、その浄化及び汚染防止効果のためBASFにより名称Purisoft(登録商標)で販売されている。
【0009】
ARMAND-STUSSIらによる記事(Personal Care,May 2003)も、BASFにより名称Purisoft(登録商標)で販売されている抽出物の浄化及び汚染防止効果(皮膚の上のタバコの煙又は重金属などの汚染の有害の影響を除去しようとすることによる、且つ皮膚上の炭塵などの微粒子を排除するか、又はその排除を促進することによる)を記載している。
【0010】
出願国際公開第02/096448号パンフレットは、脱脂質化(delipidated)された又は脱脂質化されていない種子のタンパク質抽出物の、防臭、不快な臭気の除去、清浄化、デリケートゾーンの衛生(intimate hygiene)、口腔衛生、及び歯の手入れの分野における使用を記載している。特に、この文書は、そのような抽出物が、鎮静、軟化、及び保湿効果を有し、疲労感を減少させることも記載している。しかし、この鎮静効果が、皮膚の反応性の減少又は皮膚及び/若しくは粘膜炎症の治療に関連すると示唆されたことは全くない。さらに、この文書は、抽出物が粘膜表面の細菌及び真菌フローラのバランスを保つことを示しているが、他の従来の防臭剤とは異なり、それらを損なわないという意味においてのみである。そのため、この出願は、抽出物が、特に炎症を減少させることにより、敏感な、感作された、反応性の、脆い、弱った、且つ/又は耐性がない(intolerant)皮膚及び/又は粘膜の治療に使用できることも、それが、皮膚及び/又は粘膜の有益な共生フローラを保護及び/又は増加させることにより、有益な共生フローラに有益な効果を有し得ることも、記載せず、示唆もしていない。
【0011】
出願FR2946879号明細書も、美容的使用のためのモリンガ抽出物を記載している。しかし、それは、全体の、すなわち脱油されていない種子抽出物の問題である。
【0012】
出願CN103223000号明細書は、特に、油性化合物を抽出する抽出法である超臨界流体を使用する抽出により得られた、発芽したモリンガ種子抽出物の化粧品における使用をさらに記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、従来技術に一度も記載も示唆もされていない、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物の新規な使用に関する。
【0014】
実際に、発明者らは、そのような抽出物が、特に日和見病原性細菌S.アウレウス(S.aureus)により誘導される炎症性サイトカインIL-6及びIL-8の放出を阻害することを可能にすることを発見した(実施例2)。したがって、この抽出物は、皮膚炎症を減少させることにより皮膚炎症プロセスに対する効果を有し、したがって、敏感な、感作された、反応性の、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の治療に最適な製品である。
【0015】
皮膚刺激反応及びアレルギー(遅延型接触過敏症(delayed contact hypersensitivity)又は接触アレルギー又は接触湿疹)は、工業国において健康問題になった。原因は、例えば、金属塩、化粧品及び衛生製品、香料、医薬品、保存剤、消毒薬、衣類、植物などに見いだされている接触刺激源及びアレルゲンの数と同じだけ様々である。この文脈において、自分が敏感又は反応性の皮膚を有すると言う人々の数は、過去数年で大いに増加した。この数は、1980年代における人口の30%から、今日ではおよそ60%になった。
【0016】
皮膚感受性の最も重要な原因の1つは、とりわけ角質層の細胞間脂質の遺伝性/後天性の欠乏により誘導されるバリア機能の弱体化に関連する。感覚神経活性の増加は、表皮の神経終末の変化、神経伝達物質の蓄積、又は中枢神経系における情報の伝達の混乱を特徴とし、やはり皮膚感受性の増加を起こし得る因子である。第3の追加的な皮膚感受性の原因は、とりわけ表皮のランゲルハンス細胞(LC)密度の測定可能な増加を含む免疫感受性の増加であり、最も極端な例では、接触蕁麻疹、刺激型若しくはアレルギー性接触皮膚炎、又はアトピー性皮膚炎などの病理につながる。
【0017】
敏感な皮膚の多形性(polymorphism)は、発赤、熱感又は温感(feeling of heat or warmth)、つっぱり、ひりひり感、ちくちく感、又は堅さなどの自覚的な感覚により反映される。これらの美的でなく且つ/又は不快な徴候は、敏感な皮膚の特徴である。最も極端な場合、刺激及びアレルギー反応すらも記載される。
【0018】
化粧品と製剤の両方において、特に炎症性又は刺激性反応を予防及び/又は治療することにより、全種類の皮膚の感受性を減少させることが知られている。いわゆる「敏感な」皮膚を有する対象において、強烈な作用因子又は刺激性の条件へのわずかな曝露すらも、前記美的でなく且つ/又は不快な皮膚及び/又は粘膜の徴候により反映され得るが、それは重大な炎症又は刺激反応につながることすらあり、回避されるべきである。敏感な皮膚の現在の治療は、皮膚をより耐性があるようにする、すなわち、刺激反応に対する低めの被刺激性閾値(irritability threshold)を特徴とする敏感な皮膚の反応性閾値を、例えば炎症性サイトカインIL-6及びIL-8の放出を阻害することにより増加させるという目的を有する。皮膚感受性問題を有する人々の数を鑑み、現在利用可能な治療にもかかわらず、そのような皮膚を治療できる、皮膚炎症の因子に対する効果を有する新たな治療法を見つけることが極めて重要である。
【0019】
発明者らは、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物が、特に、有益な共生株、特に、S.エピデルミディス(S.epidermidis)及び/又はA.ルオフィ(A.lwoffii)など、炎症と戦うものの成長を活性化することにより(実施例3b)、並びにプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)などの日和見病原性株の成長を阻害することにより(実施例3a)、皮膚及び/又は粘膜の微生物フローラに対する影響も有することを発見した。
【0020】
皮膚は、実際に、細菌及び真菌などの数種類の微生物が増殖する複雑な生態系を表す。これらの微生物は、皮膚フローラ、別名皮膚微生物フローラを構成する。
-継続的に、その栄養素を皮膚から引き込み、公知の利益を皮膚に与えることにより、健康な皮膚の上で従来増殖する微生物からなる有益な共生常在フローラ、
-通常皮膚上で生きているが、特定の状況で、有毒になり得て、したがって潜在的に病原性であるプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)などの日和見病原性常在フローラ、及び
-例えば汚染された物品との接触による異常な状態の皮膚上に存在する、増殖の場合に病原性となり得る一過性フローラ
がある。
【0021】
皮膚の共生フローラ微生物は、特に、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)株及びアシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)株を含む。これらの株は、顔の健康な皮膚にとりわけ見いだされ、そこで、皮膚の共生フローラのバランスを維持することに関わっている。
【0022】
代わりに、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)株は、ヒト皮膚にとって潜在的に病原性の皮膚の一過性フローラの一部であると、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)株は、日和見病原性常在フローラの一部であると考えられ得る。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)は、実際に、増殖の場合に、皮膚フローラ中の微生物の不均衡を起こすことがあり、それは皮膚を、感染及び真菌感染にかかりやすくし、特に、発赤、腫脹、又はさらには吹き出物、及び灼熱感及び/又は痛みを伴う局所的な熱、例えばざ瘡による色素沈着斑又は瘢痕により表される炎症を起こし、したがって、肌色を不均質にし、最後に、おでき、毛包炎、潰瘍、膿瘍、毛瘡、膿痂疹、膿瘡、丹毒、又はざ瘡のような皮膚感染などの実際の感染性皮膚病理を起こし得る。さらに、共生フローラの崩壊は、カンジダ症などの皮膚の真菌感染も起こし得る。口腔粘膜フローラ、とりわけ歯肉粘膜のフローラの崩壊は、歯肉炎を起こし得る。皮膚の微生物フローラに作用するための美容用又は皮膚科用の解決法は既に知られている。しかし、それらの作用は、多くの場合殺菌である。したがって、これらの作用機序は、それらが具体的な微生物株に向けられたものではないため、標的にされていない。医薬用成分の分野において、細菌などの群を標的にすることにより、皮膚の微生物フローラに作用することが可能である解決法がある。例には抗生物質がある。しかし、抗生物質は、特に経口投与により、必ずしも耐容性があるわけではないという欠点を有し、耐性の発生も起こす。さらに、抗生物質は、一般的に、病原性微生物フローラに作用するだけではなく、共生微生物フローラにも作用し、それは真菌感染をもたらし得る。その結果、化粧品及び皮膚科学の分野において、特に特定の微生物株への標的作用により、又は共生フローラの保護により、皮膚の微生物フローラに作用する成分であって、容易に利用可能であり、先に記載された欠点も又は副作用も有さない成分を提供することが大いに必要とされている。
【0023】
したがって、本発明は、敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の治療のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物、好都合には、未発芽の脱脂質化された種子のタンパク質抽出物、特に、未発芽の種子からの、より好都合には、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の未発芽の種子の核の脱油された油かす、より特に脱脂質化された油かすのタンパク質抽出物の美容的使用に関する。
【0024】
一般的に、敏感な皮膚及び/又は粘膜は、強烈な作用因子、特に、環境的作用因子、例えば、汚染物質、気候因子(風、寒さ、暑さ)、UV曝露、感情的因子、特にストレス、及び/又は化学薬剤(重金属、洗剤、美容治療に含まれている化合物、例えば、香料、保存剤、アルコール、pH、AHAなど、又はビタミンA酸など皮膚科の治療)及び/又は強烈な条件、例えば、発汗及び機械的な攻撃、例えば、ワックス使用(waxing)、シェービング、摩擦及び水、特に硬水にすら、生来充分に耐えられない皮膚と定義され得る。敏感な皮膚は、アレルギー性皮膚とは異なり、病的な皮膚ではない。それにもかかわらず、それは、ちくちく感、熱感又は熱感、つっぱり、ひりひり感、堅さ、及び発赤など、美的でなく且つ/又は不快な皮膚及び/又は粘膜の徴候により、強烈な作用因子及び/又は条件に反応し得る。そのため、「敏感な皮膚」の特徴は、対象自身により自覚的な皮膚の感覚によっても、皮膚科医により客観的な皮膚の反応によっても評価され得る。
【0025】
美的でなく及び不快な徴候は体全体に生じ得るが、ほとんどの場合、それらは、例えば、頭皮、顔、皮膚のしわ、乳児の臀部など、明瞭な場所を有し得る。したがって、それは、敏感な皮膚及び/又は粘膜の領域の問題であり得る。
【0026】
同様に、感作された皮膚は、少しの間敏感になった皮膚であり、したがってそれ自体病的でない。
【0027】
反応性又は過反応性又は耐性がない又は過敏な皮膚は、その忍容性閾値が減少し、過剰に反応する皮膚である。
【0028】
脆い又は弱った皮膚、すなわち少しの間脆くなっている皮膚は、そのバリア機能が弱った皮膚である。これは、個人の状態に関連し得る;例えば、高齢者及び乳児は、より脆い皮膚を有する。この状態は、化学的又は物理的攻撃(擦傷、摩擦、切り傷)から生じ得る。
【0029】
敏感で、脆く、且つ/又は弱った皮膚の不快で美的でない徴候は、敏感な皮膚のものと同じであるが、病状の予防及び/又は治療を含むと見なされる徴候及び/又は皮膚の状態を含まない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的には、「美容用」は、皮膚科医などの当分野の専門家により病的であると称される皮膚及び/又は粘膜の予防及び/又は治療向けではない、非医薬的で非治療的な使用を意味するものとする。したがって、それは、健康な皮膚及び/又は粘膜での使用である。
【0031】
「健康な皮膚及び/又は粘膜」は、頭皮及び/又は粘膜、特にヒトを含む皮膚の健康な領域の全て又は一部を意味するものとし、したがって、感染、瘢痕、皮膚疾患又は病態、例えば、カンジダ症、膿痂疹、乾癬、湿疹、ざ瘡、魚鱗癬、歯肉炎、又は皮膚炎又は傷又は創傷、又は口内炎又は潰瘍化又は火傷及び/又は他の皮膚疾患、又はアフタ症又は炎症又は刺激が全くない。
【0032】
本発明の目的には、「皮膚」は、脚、足、脇の下、手、腿、腹部、胸、首、腕、胴、背中、口唇粘膜、顔、及び/又は頭皮から選択される体、特にヒトの全部又は一部、好都合には、胸及び/又は顔、さらにより好都合には顔の皮膚を意味するものとする。
【0033】
本発明の目的には、「粘膜」は、眼の粘膜、膣内粘膜、尿生殖器粘膜及び/又は口腔粘膜、特に、口腔、口唇粘膜及び/又は歯肉粘膜、優先的には眼及び/又は口腔粘膜、より優先的には歯肉、口唇、及び/又は眼の粘膜、さらにより優先的には歯肉粘膜を意味するものとする。
【0034】
本発明の目的には、「敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の治療」は、それらの敏感さ及び/又は脆さを低下させるために、例えば、本発明による抽出物、特に実施例2に記載のものなどにより治療されていない敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜に対して、例えばサイトカインIL6及び/又はIL8の放出を減少及び/又は阻害することにより、その反応性を減少させるという事実を意味するものとする。
【0035】
本発明による未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、外用として、且つ/又は経口的に許容できるものである。本発明の目的には、「外用として許容できる」は、皮膚及び/又は粘膜にとって非毒性で非刺激性であり、アレルギー反応を誘導せず、化学的に不安定ではない外用適用に好適な成分を意味するものとする。
【0036】
本発明の目的には、「経口的に許容できる」は、非毒性であり、アレルギー反応を誘導せず、化学的に不安定ではない経口投与に好適な成分を意味するものとする。
【0037】
そのため、好都合には、本発明による抽出物の使用は、敏感な、感作された、脆い、且つ/又は弱った皮膚及び/又は粘膜の、好都合には、発赤、熱感又は温感、つっぱり、ひりひり感、ちくちく感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択される、美的でなく且つ/又は好ましくなく且つ/又は不快な徴候を予防及び/又は治療するためのものである。それは、皮膚及び/又は粘膜に快適さを与える。
【0038】
本発明は、皮膚及び/又は粘膜上の有益な共生フローラ、特に、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、アシネトバクター・ルオフィ(Acinetobacter lwoffi)、及びこれらの混合物から形成される群から選択される特に有益な共生細菌フローラを増加及び/又は保護及び/又は維持するための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物、好都合には未発芽の脱脂質化された種子のタンパク質抽出物、特に未発芽の種子の、より好都合にはモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の未発芽の種子核の脱油された油かす、より特に脱脂質化された油かすのタンパク質抽出物の美容的使用にも関する。
【0039】
したがって、本発明の目的には、「共生フローラ又は株」は、皮膚及び/又は粘膜にとって有益であり、皮膚及び/又は粘膜にとって病原性でなく、病原性にもならない株又はフローラを意味するものとする。
【0040】
本発明の目的には、「皮膚及び/又は粘膜上の有益な共生フローラを維持及び/又は保護すること」は、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、S.ワーネリ(S.warneri)、S.カピティス(S.capitis)、S.エピデルミディス(S.epidermidis)、アシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)、優先的にはスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及び/又はアシネトバクター・ルオフィ(Acinetobacter lwoffi)などの、作用が皮膚及び/又は粘膜に有益である、皮膚又は粘膜上、特にヒトに存在するか、又はそこに供給される、真菌、酵母菌、及び細菌から形成される群から選択される、優先的には細菌の1種以上の共生微生物株の、皮膚及び/又は粘膜中の含量を一定に維持することを意味するものとする。
【0041】
本発明の目的には、「皮膚及び/又は粘膜上の有益な共生フローラを増加させること」は、皮膚及び/又は粘膜上の有益な共生フローラの成長を増加させることを意味するものとする。皮膚若しくは粘膜上に存在するコロニーの計数、株を含む試料を回収した後の光学濃度によるインビトロ測定、又はPCRによる測定を含む数種の方法を利用して、皮膚及び/又は粘膜中の微生物株の含量を測定できる。好都合には、微生物含量は、実施例3bに例示される通り、株を含む試料の回収の後に、光学濃度によりインビトロで測定される。
【0042】
本発明によると、本発明による未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物の使用は、皮膚のバリア機能を改善するためでも、皮膚及び/又は粘膜の水和を増加させるためでも、乾燥した皮膚の治療のためでも、皮膚及び/又は粘膜、特に乾燥皮膚及び/又は粘膜を鎮静するためでも、皮膚及び/又は粘膜の疲労の感覚を和らげ且つ/又は減少させるためでもない。
【0043】
特に、本発明による未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物の使用は、皮膚及び/若しくは粘膜を、汚染から、より特に都市汚染(重金属、排気ガス、及び/又はタバコの煙など)から、好都合には汚染により起こる損傷から保護するためではなく、且つ/又は汚染粒子(例えば石炭粒子)など、皮膚及び/若しくは粘膜を不潔にする粒子を除去することにより皮膚及び/若しくは粘膜を浄化するためではない。
【0044】
そのため、好都合には、本発明による美容的(したがって治療的ではない)使用は、有益な共生フローラが変化する皮膚及び/若しくは粘膜の美的でなく且つ/若しくは不快な効果を予防及び/若しくは減少及び/若しくは除去するため、特に皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるため、特ににきびの形成及び/若しくは面疱形成(comedogenesis)及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるため、且つ/又は、例えば発赤及び/若しくはでこぼこの除去及び/若しくは減少により皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善するため、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜上の温感及び/若しくは熱感を予防及び/若しくは治療するため、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させるため、且つ/又はふけを予防及び/若しくは減少させるためのものである。
【0045】
本発明の目的には、「皮膚及び/又は粘膜の肌色の均質性を維持及び/又は改善すること」は、皮膚及び/若しくは粘膜の肌色をより均質にし、その結果さえない様子を少なくし輝きを増すために、且つ/又は皮膚に健康的且つ/若しくは栄養のある外観、したがって健康的な輝きを与えることにより皮膚の赤い外観を減少させるために、皮膚の赤み又はでこぼこなど、肌色の欠点を予防及び/又は減少及び/又は治療することを意味するものとする。肌色の均質性は、例えば、色素測定(chromometry)又は画像解析により測定できる。この後者のインビボ測定方法は、試験される製品の適用前後に、ボランティアの顔の高分解能写真を、交差偏光構成(crossed polarized configuration)で、45度で測定することからなる。これらのデジタル写真に基づいて、画像解析により、皮膚の色、明度、均質性、及び質感に関連する特定のパラメーター(例えば:L、a、b、C、h°)を抽出し、定量化できる。
【0046】
本発明の目的には、「有益な共生フローラが変化する皮膚及び/又は粘膜」は、その有益な共生フローラ含量、特にスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及び/又はアシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)の含量が、最初に測定された、変化前の、又は別の変化していない体の領域上の、有益な共生フローラ含量、特にスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及び/又はアシネトバクター・ルオフィ(Acinetobacter lwoffi)の含量より少ない皮膚及び/又は粘膜を意味するものとする。
【0047】
好都合な一実施形態において、有益な共生フローラは、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、アシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)、及びこれらの混合物で形成される群から選択される微生物である。
【0048】
別の好都合な実施形態において、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、好都合には、脚、足、脇の下、手、首、胸、腹部、腕、腿、腰、臀部、ウエスト、股、そけい部、胴、背中、口唇粘膜、顔及び/又は頭皮及び/又は口腔及び/又は歯肉粘膜、特にそられている領域、又は乳児のお尻などふやけている領域、皮膚のひだ、例えば、脇の下、肘の裏、膝の裏、臀部、股、そけい部、首など、及び/又は口角、及び/又は過剰に洗浄された領域から選択される体の特定の部分及び/又は領域に、外用として適用される。
【0049】
本発明の目的には、「外用として」は、本発明による未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物及び/又は組成物及び/又は成分の、皮膚及び/又は粘膜の表面への、特に直接の適用又は噴霧による適用を意味するものとする。
【0050】
別の好都合な実施形態において、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、特に歯肉粘膜を治療する目的で経口投与される。そのため、好都合には、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物又はそれを含む美容用成分は、特に歯肉粘膜への経口投与が意図される、適切な美容用ビヒクルも含む美容用組成物の形態で存在する。
【0051】
本発明の目的には、「美容用及び/又は医薬用成分」は、美容用及び/又は医薬用用途が意図される1種以上の植物抽出物及び/又は1種以上の天然若しくは合成分子及び/又はこれらの混合物を意味するものとする。美容用成分は、International Nomenclature of Cosmetic Ingredient(INCI)により定義されている。
【0052】
本発明の目的には、用語「適切な美容用又は医薬用ビヒクル」は、組成物又はその成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応、又はこれらの等価物なしに、ヒトの皮膚及び/又は粘膜と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0053】
本発明による抽出物は、好都合には、撹拌あり又はなしの浸漬(maceration)、熱時煎じ出し(hot decoction)、超音波粉砕又はブレンダーの使用を含む粉砕から選択される、当業者に公知である種々の抽出方法により得ることができる。優先的には、抽出は、より好都合には撹拌しながらの浸漬により実施される。
【0054】
抽出は、4℃~300℃、優先的には20℃~80℃の温度、20℃が室温であるとして、好都合には20~25℃の温度で実施できる。
【0055】
抽出は、30分~12時間の期間、優先的には1時間~5時間の期間、より優先的には1時間~2時間の期間実施されるだろう。非常に好都合には、抽出は1時間の期間実施されるだろう。
【0056】
本発明による抽出物は、好都合には、水、アルコール、グリコール、ポリオール、99/1~1/99(w/w)の水/アルコール混合物、99/1~1/99(w/w)の水/グリコール混合物、及び99/1~1/99(w/w)の水/ポリオール混合物(エタノール、グリセロール、及び/若しくはブチレングリコール、並びに/又はキシリトール及び/若しくはプロパンジオールなどの他のグリコールと混合される水など)で形成される群から選択されるプロトン性極性溶媒、好都合には単独の溶媒としての水中での抽出により得ることができる。
【0057】
特に、抽出物は、水性抽出により得られる。
【0058】
本発明の目的には、「水性抽出により得られた抽出物」は、水溶液の総重量に対して、60重量%超、好都合には少なくとも70重量%、特に少なくとも80重量%、より特に少なくとも90重量%、特に少なくとも95重量%の水を含み、より好都合にはグリコールを含まず、特にアルコールを含まず、より特に水のみを含む水溶液による抽出により得られたあらゆる抽出物を意味するものとする。
【0059】
抽出物は、未発芽の脱脂質化された植物種子及び溶媒の総重量に対して、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)植物の未発芽の脱脂質化された種子の0.1%~20%の量の生の又は乾燥物質、優先的には乾燥物質から、好都合には1%~10%、より好都合には5%~10%、非常に好都合には10重量%の量の乾燥物質から得ることができる。
【0060】
好都合な一実施形態において、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、特許EP1064008号明細書に記載されているものなどであり、BASFにより商品名Purisoft(登録商標)で販売されている。
【0061】
特に、それは、より特にプロトン性極性溶媒、好都合には水中での抽出により得られた水溶性抽出物である。
【0062】
抽出方法は、好都合には特許EP1064008号明細書に記載されているものであり、特に、以下の工程を含む:
a)-好都合にはプレスを使用する、又はヘキサンなどの非極性溶媒による還流抽出による、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子からの油の抽出;
b)-好都合には実施例1aに記載の通りの粗製抽出物を得るための、工程a)で得られた、脱油された油かす又は細粉の、特にアルコール、ポリオール、グリコール、水、及び任意の比率でのこれらの混合物から選択されるプロトン性極性溶媒による、好都合には水性、すなわち水系溶媒、さらにより好都合には単独の溶媒としての水による抽出。
【0063】
好都合には、抽出は室温で実施される。
【0064】
水性溶媒は、種々のpHの食塩水でも、より好都合にはpHが4~8である緩衝媒体でもよい。
【0065】
方法は、工程b)の後に、好都合には実施例1bに記載のものなど、例えばNaOHを使用して塩基性pH、特に8より高い、より好都合には11より高いpHを得るために、工程b)で得られた粗製水性抽出物のpHの調節により、粗製抽出物を沈殿させること及び得られた沈殿物の回収の追加の工程c)も含み得る。
【0066】
次いで、不溶性成分を除き、タンパク質濃縮物の形態の抽出物を得るために、沈殿物を、洗浄し、水に可溶化することができる。
【0067】
方法は、沈殿工程c)の後に、例えば実施例1cに記載のものなど、タンパク質の良好な沈殿を可能にするために追加のデカンテーション工程d)も含み得る。特に、この工程は、室温より下の温度で、好都合には4℃、より好都合には少なくとも6時間、特に一晩実施される。
【0068】
工程c)及びd)の代わりに、カルボキシメチルセルロースにタンパク質抽出物を充填するために、工程b)で得られた粗製水性抽出物をカルボキシメチルセルロースと、好都合には1時間、特に室温で接触させることを含む工程e)が、工程b)の後に実施され得る。この工程の後には、工程e)で得られた充填されたカルボキシメチルセルロースを、食塩水と、好都合には7より高いpH、好都合には7.5を有するNaCl溶液と接触させ、次いで、部分的に精製された抽出物である、このように得られた溶出液を回収することの工程f)が続き得る。
【0069】
未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、好都合には皮を除去した種子の抽出物、すなわち、好都合には種子核のみ(その外皮又は殻がない)の抽出物である。
【0070】
そのため、方法は、工程a)の前に、種子の皮を除去する工程を含み得る。
【0071】
最後に、得られた抽出物(粗製抽出物、タンパク質濃縮物、及び/又は部分的若しくは完全に精製された抽出物)は、水溶性の分画を回収し、液体形態であるために、遠心分離し、且つ/又はろ過し、且つ/又は蒸留できる。優先的には、遠心分離後に得られた上清は、好都合には0.45μmのカットオフ閾値でろ過される。追加の脱色及び/又は脱臭工程は、抽出のどの段階でも、当業者に公知である技法により抽出物に対して実施できる。特に、抽出物は、活性炭により脱色できる。
【0072】
特定の一実施形態によると、本発明による抽出物は、未発芽の、特に脱油された、より好都合には脱脂質化された種子の油かすの、pHがおよそ5である食塩水溶液への抽出と、それに続く高分子量タンパク質の除去により得られる。上清は回収され、本発明による抽出物を構成する。
【0073】
抽出物を、溶媒の蒸発により濃縮しても、例えば凍結乾燥により又は噴霧乾燥により乾燥させてもよい。そうすると、抽出物は粉末形態であろう。
【0074】
本発明の特定の一実施形態において、特に皮膚科学におけるその使用のために、得られたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)抽出物は滅菌されるだろう。
【0075】
特に好都合な一実施形態において、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、乾燥抽出物に基づいて、0.01~100重量%で構成される、好都合には少なくとも25重量%、特に少なくとも40重量%、より特に少なくとも45重量%の特に天然のタンパク質のタンパク質含量を含む。
【0076】
本発明によるタンパク質抽出物のタンパク質は、好都合には、クロマトグラフィーにより測定されて、6500~13000Da、好都合には7100~11000Daで構成される分子量を有する。
【0077】
特に、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物は、アルカロイド(例えば、スピロチン(spirochinなど)、プテリゴスペルミン(Pterygospermin)、イソチオシアネート(例えば、4-(2-L-ラムノシルオキシ)ベンジルイソチオシアネートなど)、又はケンフェロールを含まない。
【0078】
本発明による抽出物は、美容用又は医薬組成物への組込みが意図され、適切な美容用又は医薬用ビヒクルも含む美容用又は医薬用成分の形態で使用できる。
【0079】
この場合、本発明による抽出物は、別の実施形態において、名称Purisoft(登録商標)で販売されている製品と同様に、特に、実施例4a)に記載のものなど、好都合にはグリセリンも含む、優先的には、特に、水など極性の溶媒中に可溶化及び/又は希釈されている。
【0080】
本発明による抽出物は、別の実施形態において、例えば、マルトデキストリンなどの噴霧乾燥担体上に噴霧乾燥されることがあり、特に実施例4b)に記載のものなど粉末の形態であり得る。
【0081】
好都合には、成分が、実施例4a)に記載のものなど液体形態である場合、本発明による抽出物は、成分の総重量に対して、0.01~10重量%、好都合には1~5重量%の乾燥物質で構成される含量で成分中に存在する。
【0082】
好都合には、成分が、実施例4b)に記載のものなど、固体形態、特に粉末である場合、本発明による抽出物は、成分の総重量に対して、10~60重量%、好都合には30~50重量%の乾燥物質で構成される含量で成分中に存在する。
【0083】
任意選択で美容用又は皮膚科用成分の形態にある本発明による抽出物は、好都合には外用又は経口投与、特に外用、優先的には皮膚用に意図され、適切な美容用又は医薬用ビヒクルも含む美容用又は医薬組成物の形態であってもよい。
【0084】
液体形態にあり、特に実施例4a)のものの美容用又は医薬用、特に皮膚科用の成分は、優先的には、組成物の総重量に対して、0.01~10%、好都合には0.1~5%、特に1~3%で構成される乾燥物質の重量の含量で、美容用又は医薬用、特に皮膚科用の組成物に使用され得る。
【0085】
固体形態にあり、特に実施例4b)のものの美容用又は医薬用、特に皮膚科用の成分は、優先的には、組成物の総重量に対して、0.001~5%、好都合には0.01~1%で構成される乾燥物質の重量の含量で、美容用又は医薬用、特に皮膚科の組成物に使用され得る。
【0086】
本発明の一実施形態において、抽出物は、組成物の総重量に対して、0.0001%~20重量%、優先的には0.001~10重量%、好都合には0.01~5重量%で構成される乾燥物質の重量の含量で、美容用又は医薬組成物に含まれるだろう。
【0087】
本発明による組成物は、任意の適切な溶媒及び/又は任意の適切なビヒクル及び/又は任意の適切な賦形剤を、任意選択で対象とする他の化合物と組み合わせて含み得る。それらは、特に、界面活性剤、保存剤、緩衝剤、発泡剤、キレート剤、殺生物剤、変性剤、乳白剤、pH調整剤、還元剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、被膜形成ポリマー、溶媒、充填剤、殺菌剤、消臭剤、マット化剤(mattifying agents)、調整剤(conditioners)、質感付与剤(texturizing agents)、光沢剤、顔料、染料、香料、及び化学的又は鉱物性の日焼け止め剤、微量元素、精油、甘味剤、又は味覚修飾剤(taste modifiers)から選択される美容的に又は皮膚科学的に許容できる賦形剤を含み得る。これらの組合せも本発明により網羅される。The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition(1992)は、特に、経口投与及び/又は外用の使用に好適な、美容及び医薬産業において通常使用される様々な美容用及び医薬用成分を記載している。
【0088】
好都合には、賦形剤は、ポリグリセロール、エステル、セルロースポリマー及び誘導体、ラノリン誘導体、リン脂質、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、スクロース系安定剤、ビタミンE及びその誘導体、キサンタンガム、天然及び合成の蝋、植物油、トリグリセリド、不鹸化物(unsaponifiables)、フィトステロール、シリコーン、タンパク加水分解物、ベタイン、アミノキシド、植物抽出物、サッカロースエステル、二酸化チタン、グリシン、及びパラベンを含む群から、より好ましくは、ステアレス-2、ステアレス-21、グリコール-15ステアリルエーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、カプリリルグリコール、天然トコフェロール、グリセリン、ジヒドロキシセチルリン酸ナトリウム、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ステアリン酸グリコール、トリイソノナノイン、ヤシ油脂肪酸オクチル、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス-7、カルボマー、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ビサボロール、ジメチコン、水酸化ナトリウム、PEG30-ジポリヒドロキシステアリン酸、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、オクタン酸セテアリル、アジピン酸ジブチル、グレープシードオイル、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンガム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、蝋及び鉱油、イソステアリン酸イソステアリル、プロピレングリコールジペラルゴネート、イソステアリン酸プロピレングリコール、PEG8、蜜蝋、水添パームハートオイル(palm heart oil)のグリセリド、ラノリン油、ゴマ油、乳酸セチル、ラノリンアルコール、ヒマシ油、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、低密度ポリエチレン、等張性食塩水、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
任意選択で美容用又は医薬用成分の形態である本発明による美容用若しくは医薬組成物又は抽出物は、液体又は固体形態など、外用適用又は経口投与、特に外用投与に従来使用されるガレヌス形態(galenical forms)のいずれでも、加圧液体の形態でもよい。それらは、特にポット又はチューブ中の水性又は油性液体、クリーム又は水性ゲル又は油性ゲル、特にガラス又はプラスチックのボトル又は計量ボトル又はエアゾールボトル、バイアル中の、特にシャワージェル、シャンプー、ミルク、エマルション、ハイドロゲル、マイクロエマルション若しくはナノエマルション、特に水中油型若しくは油中水型若しくは多重若しくはシリコーン系エマルション、セラム、ローション、液体石けん、ペースト、皮膚科用バー(dermatological bar)、軟膏、フォーム、エアゾール、マスク、パッチ、好ましくは液体、ペースト状、若しくは固体、例えばロッドの形態で、特にスティック形態である無水製品、又は粉末、特にフェイスパウダーの形態で特に製剤され得る。特に、組成物は、セラム、ローション、クリーム、ミルク、軟膏、ペースト、フォーム、エマルション、ハイドロゲル、シャワージェル、マスク、スティック、パッチ、又はフェイスパウダー、好都合にはクリーム又はローションの形態である。
【0090】
経口投与の場合、任意選択で美容用又は医薬用成分の形態である本発明による美容用若しくは医薬組成物又は抽出物は、歯磨き、練り歯磨き、マウスウォッシュ、ローション、エアゾール、ゲル、ロゼンジ剤、口腔内分散錠、チューインガム、又は粘膜接着性組成物の形態で存在し得る。
【0091】
美容用又は医薬組成物は、敏感な、感作された、反応性の、脆い、且つ/若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜の皮膚及び/若しくは粘膜の治療における、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜中の有益な共生フローラの増加及び/若しくは保護及び/若しくは維持に対して効果を有し、本発明による抽出物との相補的若しくは相乗効果を誘導する、下記から選択される他の有効成分も含み得る
-特に、セリン、トレハロース、尿素、及びグリセリンを含む製剤中で出願者により名称PatcH2O(商標)で販売されている、ヒアルロン酸ナトリウムと、プルランと、アルギン酸ナトリウムの組合せ;
-例えば出願者により名称Symbiocell(商標)で販売されている、出願国際公開第2009/112590号パンフレットに記載のものなどセストルム・ラチホリウム(Cestrum latifolium)の植物抽出物、名称Irwinol(商標)で出願者により販売されている、イルビンギア・ガボネンシス(Irvingia gabonensis)の木の果実から抽出されたバター、名称Eperuline(商標)で販売されている、エペルア・ファルカタ(Eperua falcata)の根の抽出物、名称Skinasensyl(商標)で出願者により販売されている、N-アセチル-L-チロシル-L-プロリル-L-フェニルアラニル-L-フェニルアラニンアミドペプチド(INCI:アセチルテトラペプチド15)など、敏感な皮膚の手入れ向けの美容用薬剤。
【0092】
美容用組成物は、皮膚及び/又は粘膜の微生物フローラに対して活性があり、且つ/又は皮膚のバリア機能に対して活性がある1種以上の他の成分、特に保湿性及び/又は鎮静性の活性薬剤、例えば、酵素合成により得られる、Solabia社により名称BioEcolia(商標)で販売されているオリゴ糖、又は同じ会社により名称Ecoskin(商標)で販売されているαグルコオリゴ糖複合体、アリスマ・プランタゴアクアチカ(Alisma plantago-aquatica)の抽出物、アルガニア・スピノサ(Argania spinosa)の抽出物(Lipofructyl(商標)Argan)、セラミド混合物(Sphingoceryl(商標) VEG)、浄化性のボルドー抽出物(Betapur(商標))、イヌリン又はフラクトオリゴ糖に基づく製品、ビフィドバクテリアの抽出物又は油性の皮膚と戦うオルトシホン・スタミネウス(Orthosiphon stamineus)の抽出物(MAT-XS(商標)Bright)、その保湿性のため出願者により名称Melhydran(商標)で販売されている天然蜂蜜抽出物、名称Oligolin(商標)で出願者により販売されているフラックス抽出物、バイオテクノロジーにより修飾され出願者により名称Relipidium(商標)で販売されている酵母エキス、名称Inhipase(商標)で出願者により販売されているプエラリア・ロバタ(Pueraria lobata)根抽出物、Mibelleにより名称CM-Glucan Forte(商標)で販売されている、パン用イーストから誘導されたβ-グルカン誘導体及び/又は名称Pacifeel(商標)でSedermaにより販売されているミラビリス・ジャラパ(Mirabilis jalapa)の抽出物も含み得る。
【0093】
好都合には、本発明の目的は、敏感な、感作された、脆い、且つ/若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜の治療、特に、発赤、熱感若しくは温感若しくはつっぱり、ひりひり感、ちくちく感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択される、その美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは治療し、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜中の有益な共生フローラを増加及び/若しくは保護及び/若しくは維持し、特に、有益な共生フローラが変化する皮膚及び/若しくは粘膜の美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させ、特に、にきびの形成及び/若しくは面疱形成及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるなど、皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させ、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善し、且つ/又は発赤を減少させ、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の温感及び/若しくは熱感を予防及び/若しくは治療し、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させ、且つ/又はふけを予防及び/若しくは減少させる、以下の工程を含む美容的治療方法でもあり、前記皮膚及び/又は粘膜が、この治療を必要とする/欲する個人の健康な皮膚及び/又は粘膜である方法である:a)個人における、個人が、特に、発赤、熱感又は温感又はつっぱり、ひりひり感、ちくちく感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択される、その美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を治療したいと望み、且つ/又は予防及び/若しくは治療したいと望む、且つ/又は個人が皮膚及び/若しくは粘膜中の有益な共生フローラを増加及び/若しくは保護及び/若しくは維持したいと望む、敏感な若しくは感作された、脆い若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜の領域を、特に、その有益な共生フローラが変化する皮膚及び/若しくは粘膜の美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるために、特に、にきびの形成及び/若しくは面疱形成及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは妨げるなど、皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるために、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善するために、且つ/又は発赤を減少させるために、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の温感及び/若しくは熱を予防及び/若しくは治療し、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させ、且つ/又はふけを予防及び/若しくは減少させるために特定することであって、前記皮膚及び/又は粘膜が健康な皮膚及び/又は粘膜である特定、並びに
b)感作された、脆い、且つ/若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜の治療のための、特に、発赤、熱感若しくは温感、若しくはつっぱり、ひりひり感、ちくちく感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択されるその美的でない徴候を予防及び/若しくは治療するための、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜中の有益な共生フローラを増加及び/若しくは保護及び/若しくは維持するための、特に、その有益な共生フローラが変化する皮膚及び/若しくは粘膜の美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるための、特に、にきびの形成及び/若しくは面疱形成及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるためなど、皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるための、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善し、且つ/又は発赤を減少させ、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の温感及び/若しくは熱感を予防及び/若しくは治療するための、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させるため、及び/又はふけを予防及び/若しくは減少させるための本発明による未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物を含む美容用組成物の有効量の、皮膚のこの領域での外用適用又は経口投与であって、前記皮膚及び/又は粘膜が健康な皮膚及び/又は粘膜である外用適用又は経口投与。
【0094】
本発明は、反応性の、過反応性の、耐性がなく、且つ/若しくは炎症性の皮膚及び/若しくは粘膜の治療における、且つ/又は敏感な、感作された、反応性の、脆い、弱った、耐性がない、過反応性の、且つ/若しくは炎症性の皮膚及び/若しくは粘膜に関連する病理、例えば、接触蕁麻疹、刺激性若しくはアレルギー性接触皮膚炎、湿疹、乾癬、脂漏性若しくはアトピー性皮膚炎などの発生の治療及び/若しくは予防及び/若しくは減少における、且つ/又は、特に、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により起こされる炎症及び/若しくは刺激の治療及び/若しくは予防における、且つ/又は紅斑、特に乳児のおむつかぶれの治療及び/若しくは予防における、且つ/又は歯肉炎の治療における使用のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物、好都合には、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の未発芽の脱脂質化された種子のタンパク質抽出物、特に、未発芽の種子の、より好都合には未発芽の種子核の脱油された油かす、より特に、脱脂質化された油かすのタンパク質抽出物にも関する。
【0095】
本発明は、皮膚及び/又は粘膜の有益な共生フローラの変化に関連する病理であって、好都合には、有益な共生皮膚及び/若しくは粘膜微生物の含量の減少及び/若しくは病原性微生物、好ましくは病原性細菌、特にスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及び/若しくはプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の含量の増加を含み、好都合には皮膚及び/若しくは粘膜の、特に細菌感染、潰瘍、ヘルペス、おでき、毛包炎、膿瘍、毛瘡、膿痂疹、膿瘡丹毒、ざ瘡、カンジダ症などの真菌感染若しくは白癬などの皮膚糸状菌症及び/若しくは疥癬からなる群から選択される病理の発生の治療及び/若しくは予防及び/若しくは減少における、且つ/又は創傷感染の治療及び/若しくは予防における、且つ/又は色素斑及び/若しくはニキビ跡の予防におけるその使用のための、未発芽の脱油されたモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子のタンパク質抽出物、好都合には、未発芽の脱脂質化された種子タンパク質抽出物、特に、未発芽の種子の、より好都合には、未発芽のモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子核の脱油された油かす、より特に脱脂質化された油かすのタンパク質抽出物にも関する。
【0096】
さらに、本発明の目的には、用語「病原性微生物」は、皮膚及び/若しくは粘膜上に非永続的(一過性)に存在する微生物又は通常皮膚上で生きているが、特定の条件下で、有毒に、したがって病原性(日和見常在病原体)になることがあり、皮膚及び/若しくは粘膜の非病理学的変化、例えば、発赤などの皮膚欠点、ふけ及び/若しくは頭髪及び/若しくは体毛の抜け、腫脹若しくは吹き出物及び/若しくは灼熱感及び/若しくは疼痛を伴う局所的な熱、例えばざ瘡による色素沈着斑若しくは瘢痕、したがって肌色の不均質性を誘導するか、又は誘導することが可能であり、おでき、毛包炎、膿瘍、潰瘍、毛瘡、膿瘡、丹毒、ざ瘡、又は膿痂疹などの皮膚感染、さらには病理学的な状態、例えば、疥癬、白癬などの真菌感染(カンジダ症又は皮膚糸状菌症など)並びにカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、マラセジア(Malassezia)、連鎖球菌、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ブドウ球菌及び、特に、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)により起こされる真菌感染を含む、実際の皮膚病理に関与し得る微生物を意味するものとする。
【0097】
最後に、本発明は、美容的手入れ方法であって、敏感な、感作された、脆い、且つ/若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜を治療するため、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜中の有益な共生フローラを増加及び/若しくは保護及び/若しくは維持するため、且つ好都合には敏感な、感作された、脆い、且つ/若しくは弱った皮膚及び/若しくは粘膜の、好都合には、発赤、熱感若しくは温感、若しくはつっぱり、ちくちく感、ひりひり感、堅さ、及びこれらの徴候の混合から選択される、美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を治療するため、且つ/又はその共生の有益なフローラが変化する皮膚及び/若しくは粘膜の美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるため、特に、にきびの形成及び/若しくは面疱形成及び/若しくは皮膚のてかてかした外観を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるためなど、皮脂の分泌及びその美的でなく且つ/若しくは好ましくなく且つ/若しくは不快な徴候を予防及び/若しくは減少及び/若しくは遅延させるため、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の肌色の均質性を維持及び/若しくは改善し、且つ/又は発赤を減少させ、且つ/又は皮膚及び/若しくは粘膜の温感及び/若しくは熱を予防及び/若しくは治療し、且つ/又は頭髪の抜け及び/若しくは体毛の抜けを予防及び/若しくは減少させ、且つ/又はふけを予防及び/若しくは減少させるため、任意選択で美容用成分又はそれを活性薬剤として含む美容用組成物の形態である、先に定義された本発明による抽出物の顔又は体の皮膚及び/又は粘膜の少なくとも1つの関連する領域への適用及び/又は経口投与を含むことを特徴とする美容的手入れ方法に関する。
【0098】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、説明的な記載を読めば、当業者には明確にわかるだろうが、それは、単に実例として与えられ、本発明の範囲を決して限定するものではない実施例を参照する。
【実施例0099】
実施例は、本発明の不可分な一部を形成し、実施例を含む、その全体としての説明から従来技術よりも新規であるように見えるあらゆる特徴はなんであれ、その機能及びその一般的な性質において本発明の不可分な一部を形成する。
【0100】
そのため、各実施例は一般的な範囲を有する。
【0101】
さらに、実施例において、特記されない限り、温度をセルシウス度で表し、圧力は気圧である。
【0102】
実施例1:本発明によるモリンガ抽出物の調製
モリンガ抽出物は、特許EP1064008号明細書に記載の方法に従って、特に以下に記載の通り、調製する:
実施例1a(抽出物1aの調製)
種子の皮の除去後に得られ、33.4%(重量/重量)の油を含むモリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)の核を、連続する2回の還流状態でのヘキサン中の抽出により脱脂質化し、ろ過後に、細粉を40℃のオーブンで乾燥させ、残留する油の含量は2.5%である。
【0103】
反応器中で、200gの脱脂質化された細粉を、2リットルの蒸留水に加える。10分の撹拌後に、4N NaOHの添加によりpHを7.5に調整し、次いで、pHを7.5に保ちながら抽出を1時間室温で実施する。不溶性成分を、15分間5000gでの遠心分離により除去する。
【0104】
上清を回収し、次いで0.45μmでろ過する:このように、4.69%の乾燥抽出物を含み、ビウレット技法により測定された21.54g/lのタンパク質濃度(又は乾燥抽出物に基づく45.92%のタンパク質純度)を有する1.77リットルの黄色ろ液を得る。抽出物を噴霧乾燥により脱水し、54.7%(Nx6.25)で推定されるタンパク質含量を有する65.72グラムの噴霧物(atomisate)を得る。
【0105】
カラムの排除ボリュームと総ボリュームの間に溶出されるピークを考える場合、Superose 12HRカラムでのこの抽出物のゲル浸透による分析から生じるクロマトグラフィーのプロファイルは、面積の52%を占める主要なフラクションを示し、7,800~11,000 Daの分子量に相当する。このピーク中のショルダーの存在は、数種の化合物の存在を確認し、分子量範囲は、凝集性(flocculant)モリンガタンパク質のモノマー(6,500及び7,000Da)及びダイマー(13,000Da)に関して文献に見られるものに近い。
【0106】
実施例1b(抽出物1bの調製)
300gの脱脂質化された細粉を、粗製水性抽出物を得るために、実施例1aに従って抽出する。ろ液pH(2.74リットル)を、4N NaOHの漸進的な添加により11.8に調整する。沈殿は、およそpH8.0で始まり(溶液の明確な曇り)、30分後に、溶液を15分間5000gで遠心分離する。粘着性の沈殿物を回収し(43.2g湿潤)、次いで、500mlのpH11.8の蒸留水で2回洗浄する。
【0107】
次いで、沈殿物を、270mlの蒸留水(すなわち最初の体積の10%)に溶解させ、沈殿物が可溶化するように、溶液のpHを6N HClにより連続的に4.5に調整する(分散は、Turaxとして知られる装置を使用して容易になる)。
【0108】
30分の撹拌後に、混合物を15分間5000gで遠心分離して不溶性成分を除去し、上清を、Whatman41番ろ紙を備えたブフナー漏斗に通してろ過する。このようにして、260mlの黄色で透明なタンパク質濃縮物を得て、この濃縮物を凍結乾燥により脱水する。
【0109】
このようにして、90~95%の重量によるタンパク質含量を有する11.5グラムの凍結乾燥物を得る。
【0110】
Superose 12HRカラムでのこの抽出物のゲル浸透分析は、面積の70%を占める主要なフラクションを示し、およそ8,800Daの分子量に相当する。
【0111】
実施例1c(抽出物1cの調製)
モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)種子の皮の除去により得た核から、名称KOMETで知られているプレス機で圧力により油を抽出し、得られた油かすを粉砕して、均質な細粉を得る。
【0112】
粗製抽出物を、1.24kgの油かすから、実施例1a及び1bに記載の操作手順に従って調製する。
【0113】
タンパク質は、実施例1bに従ってpH11.8で沈殿するが、タンパク質のより良好な沈殿を可能にするため、+4℃で一晩の追加のデカンテーション工程を導入する。
【0114】
沈殿物を、実施例1bと同じ条件下で処理する(しかし、沈殿物再構成溶液のpHは、4.5の代わりに6である)。
【0115】
このようにして得られたタンパク質濃縮物(4.59%の乾燥抽出物で1.05リットル)を噴霧乾燥により脱水し、34.6gの噴霧物を回収し、又は、乾燥抽出物に基づく噴霧乾燥収率は71.5%である。
【0116】
窒素アッセイ(Nx6.25)に基づくタンパク質含量は90%超(およそ95%)である。
【0117】
実施例1d(抽出物1dの調製)
粗製抽出物を、150gの油かすから、実施例1a、1b、及び1cに記載の操作手順に従って調製する。
【0118】
0.45μmでのろ過後に、1.35リットルの透明な黄色ろ液を得る。
【0119】
100グラムのカルボキシメチルセルロース(CM52、WHATMAN)を、pH7.5の500mlの蒸留水中で30分間平衡化させる。
【0120】
混合物を、WHATMAN42番ろ紙を備えたブフナー漏斗に通してろ過し、次いで、セルロースを回収し、pH7.5の500mlの蒸留水中で再び平衡化させる。
【0121】
ろ過による水性媒体の除去の後、セルロースを、撹拌しながら1時間周囲温度で、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)核油かすの水性抽出物と接触させる。
【0122】
吸着されない化合物(クロマトグラフィーのプロファイルが図3で破線により示されているフラクション)を、ブフナー漏斗によるろ過により除去し、次いで、「充填された」セルロースを、pH7.5の1リットルの蒸留水で2回洗浄し、次いでブフナー漏斗に通してろ過する。
【0123】
次いで、セルロースを、120mlのpH7.5の60g/l NaCl溶液と30分間接触させる。
【0124】
NaCl媒体に溶離したタンパク質をブフナー漏斗によるろ過により回収する(CM 52に吸着し、60g/l NaCl媒体に溶離したタンパク質のクロマトグラフィーのプロファイルは、図3で実線により示されている)。
【0125】
したがって、乾燥抽出物含量が9.63%でありタンパク質濃度が64.6g/lである(又は乾燥抽出物に基づくタンパク質純度が67%)110mlのろ液が得られる。
【0126】
Superose 12HRカラムでのこの抽出物のゲル浸透分析は、面積の70%を占める主要なフラクションを示し、7,100Daの分子量に相当する。
【0127】
溶液は、透析により、又は限外ろ過により脱塩し、凍結乾燥、噴霧乾燥、又は任意の他の適切な手段により脱水することができる。実施例1dに従って、抽出物をマルトデキストリン担体上で噴霧乾燥し、実施例4b)に従って処方して、以下の実施例で試験する。
【0128】
実施例2:日和見病原性細菌S.アウレウス(S.aureus)により誘導される炎症性サイトカインIL-6及びIL-8の放出の阻害に対する、本発明による成分の効果の評価
試験される生成物は、実施例4bに従う成分の形態で処方された実施例1d)のものであり、総最終媒体(媒体+生成物)に対して0.03重量%で使用する。試験は、培養されているヒトHacaTケラチン生成細胞に対して行う。
【0129】
HacaTケラチン生成細胞を、2×10細胞/cmで、10%ウシ胎児血清(FCS)を補ったDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)培地中に接種する。細胞を、3~5日37℃で、5%CO及び95%相対湿度でインキュベートする。次いで、DMEM培地を1mLのEMEM(イーグル最小必須培地)培地と交換する。次いで、試験すべき生成物を所望の濃度でEMEM培地に加え、細胞層が飽和するまで、全てをさらに1日インキュベートする。
【0130】
0.1mlのスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DSMZ 20231 ATCC 12600細菌溶液(1.5×10)を、各ウェルに2時間、37℃、5%COで、好気性条件下で、相対湿度飽和で加える。次に、細菌を含む培地を、試験すべき生成物を含むEMEMと交換する。全てを、24時間37℃及び5%COで再びインキュベートする。
【0131】
IL8及びIL6を、ELISAキット供給業者の勧告文に従ってアッセイする。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】
本発明の生成物は、培養されているケラチン生成細胞中のS.アウレウス(S.aureus)病原性細菌により誘導されたサイトカインIL-6及びIL-8の放出の減少を誘導した。これは、敏感な、反応性の、脆い、弱った、又は感作された皮膚を治療する生成物の効果、並びにその抗炎症性効果を表す。
【0135】
実施例3:日和見病原性微生物に関する共生微生物の成長に対する生成物の選択的な効果 本発明の生成物は、皮膚上の微生物の成長に対して選択的な作用を有する。生成物は、共生微生物、特に、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)及びアシネトバクター・ルオフィイ(Acinetobacter lwoffii)など、皮膚が炎症と戦うのを助ける細菌の成長を促進する。
【0136】
さらに、それは、P.アクネス(P.acnes)など、皮膚の炎症性現象の原因である日和見病原性細菌に対する効果がほとんどない。
【0137】
実施例3a:日和見病原性株プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の成長の阻害
試験される生成物は、実施例4b)の成分の形態で処方された実施例1d)のものであり、総最終培地(培地及び生成物)の重量に対して0.0006%及び0.006重量%で使用する。
【0138】
成分(陽性対照用のPhenonip(登録商標)又は本発明による生成物)を、細菌培地(ブルセラブロス)で希釈する。次いで、成分を含む培地を、無酸素条件を守りながら、5×10で較正されたP.アクネス(P.acnes)ATCC 11827接種物と共に、48時間、35℃±2.5℃で、インキュベートする。成長を、インキュベーション後に600nmでの光学濃度を測定することにより評価する。
【0139】
【表3】
【0140】
実施例3b:S.エピデルミディス(S.epidermidis)及び/又はA.ルオフィ(A.lwoffi)炎症と戦う共生株の成長の活性化
試験される生成物は、実施例4b)による成分の形態で処方された実施例1dのものであり、総最終培地(培地及び生成物)の重量に対して0.0006%及び0.006重量%で使用する。
【0141】
S.エピデルミディス(S.epidermidis)(ATCC 14990株)では:栄養強化培地(トリプチックソイブロス、TSB)中での前培養の後、適切な培地を含むマイクロプレートに、OD600=0.05(およそ10細菌)で細菌を接種し、異なる濃度の本発明の生成物と共に24時間インキュベートする。成長を、インキュベーション後に600nmの光学濃度を測定することにより評価する。未処理の対照を、阻害対照(ドデシル硫酸ナトリウムすなわちSDS)と同様に実施する。
【0142】
結果は、本発明による生成物が、共生微生物S.エピデルミディス(S.epidermidis)及びA.ルオフィ(A.lwoffi)の成長を促進することを示す。
【0143】
実施例4:本発明によるモリンガ抽出物を含む、本発明による美容用又は医薬用成分
4a)重量パーセンテージでの以下の処方による、液体の美容用又は医薬用成分を調製する。
【0144】
【表4】
【0145】
4b)以下の処方による、粉末の形態の固体の成分を調製する。
【0146】
【表5】
【0147】
実施例5:ボディ及び/又はフェイスローションの形態の本発明による組成物:
【0148】
【表6】
【0149】
6相を混合することにより、当業者に周知である当分野の通常の方法により、ローションを調製する。
【0150】
実施例6:ボディ及び/又はフェイスミルクの形態の本発明による組成物
ボディ及び/又はフェイスミルクの形態の美容製品は、例えば、以下に示される通り以下の水相及び脂肪相で形成される重量組成を有し得る。
【0151】
【表7】
【0152】
フェイス及び/又はボディミルクを調製する方法は、脂肪相を80℃にし、水相の水も80℃にし、その中に保存剤(Elestab 4112)を溶解させ、次いで、タービン撹拌をしながら水相を脂肪相に注ぎ、撹拌しながら徐々に冷却し、次いで、そこに、およそ50℃で、モリンガタンパク質抽出物ストック水溶液を加え、次いで香料を加え、最後に、完全な冷却まで撹拌を続けることから基本的になる。
【0153】
実施例7:フェイスクリームの形態の本発明による組成物
ボディ及び/又はフェイスクリームの形態の美容製品は、例えば、以下に示される通り以下の水相及び脂肪相で形成される重量組成を有し得る。
【0154】
【表8】
【0155】
フェイスクリームを調製する方法は、脂肪相を80℃にし、水相も80℃にし、Elestab 4112をその中に溶解させ、モリンガ・オレイフェラ(Moringa oleifera)タンパク質抽出物ストック溶液を別に調製し、タービン撹拌をしながら共に脂肪相を水相に注ぎ、次いで、およそ50℃で、モリンガ抽出物ストック溶液を導入し、最後に冷却まで撹拌し続けることから基本的になる。
【外国語明細書】