(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004562
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】浴室床材および浴室ユニット
(51)【国際特許分類】
E04F 15/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E04F15/00 J
E04F15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104197
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰希
(72)【発明者】
【氏名】植草 貴行
(72)【発明者】
【氏名】高見 泰浩
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA07
2E220AA16
2E220AA26
2E220AA27
2E220AA44
2E220AB03
2E220AC11
2E220GA03X
2E220GA22X
2E220GA27X
2E220GB32X
2E220GB33X
2E220GB34X
2E220GB35X
2E220GB36X
2E220GB37X
2E220GB38X
(57)【要約】
【課題】適度な温かさと柔らかさを兼ね備える快適な浴室床材および浴室ユニットを提供する。
【解決手段】表皮材と、クッション層と、硬質基材とをこの順に積層して備え、前記クッション層は、熱伝導率が0.01~0.14W/(m・K)の範囲内であり、かつ、アスカーCS硬度が10~80の範囲内である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材と、クッション層と、硬質基材とをこの順に積層して備え、
前記クッション層は、熱伝導率が0.01~0.14W/(m・K)の範囲内であり、かつ、アスカーCS硬度が10~80の範囲内である、浴室床材。
【請求項2】
前記表皮材は、厚さが1~5mmの熱可塑性シートから成り、
前記硬質基材は、厚さが2~100mmの繊維強化プラスチックから成る、請求項1に記載の浴室床材。
【請求項3】
前記クッション層は、厚さ1~10mmの発泡ポリウレタンまたは発泡ポリオレフィンを素材とする、請求項1に記載の浴室床材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の浴室床材を備える浴室ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮材、クッション層、硬質基材をこの順に積層して備えた浴室床材および浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内に設置される洗い場には、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維を用いた繊維強化プラスチック、および硬質磁性タイルなど、硬性の床材が用いられることが多かった。
【0003】
しかしながら、このような伝統的な硬性の床材を浴室内に設置した場合、床材の熱伝導率が高く特に冬場の浴室の冷たさを足に感じやすいことも相俟って、幼児や高齢者が滑って転倒するなどの危険が生じるという問題があった。
【0004】
かかる危険を回避する製品としては、樹脂材料からなるバックアップ基材に対して、熱可塑性エラストマー層からなる軟質材を表面層として積層し一体化した軟性の床材が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に係る発明によれば、浴室内に軟性の床材を配置することにより、幼児や高齢者などが洗い場で転倒してもその衝撃を軟質材料により良好に吸収でき、安全性を向上させることができる。
【0005】
なお、特許文献1に係る発明には、クッション層の上に壁パネルが配置された場合に、クッション層の弾性変形により、壁パネルが傾斜し、凹部に湯水溜まりができるという問題があるが、かかる問題を解決可能な製品として、軟性の床材の周囲に壁載せ部を設けた発明も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-245814号公報
【特許文献2】特開2009-121109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1、2に示された発明では、浴室に足を踏み入れた際に、床材に触れた時における熱伝導率の高さに起因する冷たさは感じにくくなるものの、柔らかさが故の不自然な感触や沈み込みの大きさにより浴室内で動きにくくなるなどの課題があった。
【0008】
かかる課題を解決すべく、冷たさおよび不自然な感触による不快感が生じないようにする多層構造から成る軟性の床材が多々開発されているものの、不快感を無くすことは困難であり、適度な温かさと柔らかさを兼ね備える快適な浴室床材は未だ実現に至っていないという実情がある。
【0009】
本発明の目的は、適度な温かさと柔らかさを兼ね備える快適な浴室床材および浴室ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の浴室床材は、
表皮材と、クッション層と、硬質基材とをこの順に積層して備え、
前記クッション層は、熱伝導率が0.01~0.14W/(m・K)の範囲内であり、かつ、アスカーCS硬度が10~80の範囲内である。
このように、適度な温かさと柔らかさを兼ね備えることにより、快適な浴室床材を提供することができる。
【0011】
また、本発明の浴室床材は、
前記表皮材は、厚さが1~5mmの熱可塑性シートから成り、
前記硬質基材は、厚さが2~100mmの繊維強化プラスチックから成る。
すなわち、快適な浴室床材を実現するためには、このような素材、厚さの表皮材と硬質基材を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明の浴室床材は、
前記クッション層は、厚さ1~10mmの発泡ポリウレタンまたは発泡ポリオレフィンを素材とする。
すなわち、快適な浴室床材を実現するためには、このような素材、厚さのクッション層を備えることが好ましい。
【0013】
本発明の浴室ユニットは、
上述の浴室床材を備える。
すなわち、適度な温かさと柔らかさを兼ね備えた浴室床材を備えることにより、快適な浴室ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、適度な温かさと柔らかさを兼ね備える快適な浴室床材および浴室ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る浴室床材の分解斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る浴室床材を用いて行った実験結果を示す表である。
【
図3】他の浴室床材を用いて行った比較例の実験結果を示す表である。
【
図4】他の浴室床材を用いて行った比較例の実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る発明ついて説明する。
図1は、実施の形態に係る浴室床材の分解斜視図である。
図1に示すように、浴室床材2は、表皮材4、クッション層6、および硬質基材8をこの順に積層して形成され、図示しない浴室ユニット内の床面上において、脚部10上に積載されている。
【0017】
<表皮材>
表皮材4は、厚さが1~5mmの熱可塑性シートで構成されている。
また、表皮材4は、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐衝撃性など、洗い場床表面に要求される基本性能(耐久性)を満足するべく比較的硬質で強靱な材料から形成されている。表皮材4の材料としては、FRP、PVC(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系材料、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン・ポリエステル・オレフィン・アクリル系の各種エラストマー、EVA、EPDM、シリコンゴムなどのゴム(硬質)系、あるいはこれらを十分な耐久性が期待できる程度の硬さに調整したもの、あるいはこれらをベースに充填材や強化材を加えた複合材料などが一例として挙げられる。なかでも、PVC(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ポリエチレン、オレフィン系エラストマーを含むことが好ましい。これら材料は一例であって、その他、表皮材4の材料としては、浴室の一般的な使用に際し十分な耐久性を有するべく強靱な材料であればよく、上述したものに限定されない。
【0018】
上述した構成を備えることにより、表皮材4は、荷重が加わってもその部分が局所的に変形しない程度の硬さを発揮することができる。なお、表皮材4の速乾性を考慮するのであれば、材料としてPVC(塩化ビニル)とオレフィン系エラストマーを用いるのが好ましい。
【0019】
<クッション層>
クッション層6は、厚さ1~10mmの発泡ポリウレタンまたは発泡ポリオレフィンで構成される素材から成り、その熱伝導率は、0.01~0.14W/(m・K)の範囲内であり、かつ、アスカーCS硬度が10~80、より好ましくは20~70の範囲内である。
【0020】
熱伝導率が上記の上限値以下であることで、温かさにおいて好ましい。具体的には、熱伝導率は、好ましくは0.01~0.13W/(m・K)、より好ましくは0.01~0.11W/(m・K)、特に好ましくは、0.01~0.10W/(m・K)である。
【0021】
また、アスカーCS硬度が上記下限値以上、上限値以下であることにより適切な硬さと柔らかさを備えることができる。
なお、本実施形態のクッション層6を構成する発泡体は、独立気泡構造を有する。ただし、一部に半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に制限されない)を含んでいてもよい。この独立気泡構造と連続気泡構造が混在することで熱伝導性と柔軟性のバランスを達成することが可能となる。
【0022】
<硬質基材>
硬質基材8は、厚さが2~100mmの範囲内の基材であり、繊維強化プラスチックから形成されることが好ましく、不飽和ポリエステルと強化繊維の組成物のシートモールディングコンパウンドで形成されていればより好ましい。
【0023】
なお、硬質基材8の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合物などが挙げられるが、これに限定するものではない。また、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などが挙げられるが、これに限定するものではない。また、FRP用樹脂としては上記熱硬化性樹脂が使用可能であり、成形法としてはハンドレイアップ成形法、ホットプレス成形法、注型法、レジントランスファーモールデイング法などを用いることが可能である。
【0024】
この実施の形態の発明によれば、適度な温かさと柔らかさを兼ね備える快適な浴室床材2を提供することができる。また、かかる浴室床材2を浴室ユニット内に配置することにより、快適な浴室ユニットを提供することができる。
なお、表皮材4とクッション層6、クッション層6と硬質基材8の間には、たとえば、両面テープや接着剤などの接着層が存在してもよい。
【実施例0025】
<実施例>
次に、本実施の形態に係る浴室床材2である第1~4実施品について、
図2に示す表を参照しながらその実験結果について説明する。
【0026】
まず、実験を行うに当たって、まず、第1~4実施品の基盤層(硬質基材8)を作製した。具体的には、ジャパンコンポジット製ポリマールマット5013(不飽和ポリエステルとガラス繊維のコンパウンド(GF-SMC))を21.8kg計量して採取し、上型145℃、下型130℃に加温した金型内にセットした。その後、金型を閉じて7MPaの圧力で8分間の加圧を行い、加圧後、金型を開いて成形品として作製された基盤層を取り出した。
【0027】
次に、この基盤層を用いて実施の形態に係る浴室床材2である第1~4実施品を作製した。第1実施品においては、クッション層6として、クッション材であるPEライトを用い、この両面に日東電工株式会社製の両面テープNo.5015を貼り付けた後、基盤層、クッション材、表皮材の順の積層構成になるように基盤層と表皮材を貼り合わせた。なお、表皮材には、東リ製 バスナリアルデザイン BNR3101(ビニル系床材、3.5mmt)を使用し、クッション材であるPEライトには、イノアック社製P・E-ライト(登録商標)(ポリオレフィン発泡体)PT-102を使用した。
【0028】
また、第2~4実施品も第1実施品と同様に作製したが、クッション層6については、第2実施品は、ウレタンAを用い、第3実施品は、ウレタンBを用い、第4実施品は、ウレタンCを用いた点が第1実施品と相違する。これらのクッション層の作成方法について次に述べる。
【0029】
まず、ポリオール原料(活性水素化合物、整泡剤、触媒を含むレジンプレミックス)、および、イソシアネート原料(イソシアネート化合物)を表1に示す液比率でポリジョッキに残る量を考慮し所定の設定密度になるよう準備した。
【0030】
次に、ポリオール原料を5L、2L、3Lのポリジョッキに予めポリジョッキに残る材料を考慮して秤量し、液温を25℃に調整した。
そして、温度調整したておいたポリオール原料に、温度調整したポリウレタン原料を投入し、スリーワンモータへ攪拌翼を付けた攪拌装置を用い5000回転で10秒攪拌し、混合したポリウレタン原料を40℃へ加熱した上型を有する800mm×800mm×15mmの金型へ投入し、型締めをした。
【0031】
型締め後ウレタンフォーム樹脂が硬化するまで10分間保持した。その後型を開いてウレタンフォームを脱型し、室温で一昼夜保管した後評価用ポリウレタンフォームのサンプルを得た。
なお、主観的に、ウレタンA~Cの熱伝導率は何れも同程度であり、硬さは、ウレタンAとCがやや硬く、ウレタンBは柔らかいイメージである。
【0032】
【0033】
ここで、第1~4実施品のいずれにおいても、表皮材4の厚みは3.5mmであり、クッション層6の厚みは4mmである(
図2参照)。
次に、上述の第1~4実施品について、温かさ柔らかさを評価するための実験を行った。
【0034】
<温かさ>
温かさについては、まず、熱伝導率の測定を行った。具体的には、第1~4実施品において、クッション材を直径50mmサイズに切り出した後、TAインスツルメンツ社製DTC-300型を用いてASTM E1530に準拠した円板熱流計法にて、Hot plate35℃、Cool plate 5℃、測定温度20℃条件にて熱伝導率を測定した。
【0035】
熱伝導率の測定結果は、
図2に示すように、第1実施品において、0.093W/(m・K)、第2実施品において、0.108W/(m・K)、第3実施品において、0.081W/(m・K)、第4実施品において、0.118W/(m・K)となった。
【0036】
次に、足裏サーモグラフィ温度計を用いた足裏の温度測定を行った。具体的には、まず、0℃に設定された冷却プレートを室温10℃の部屋に15分間静置した後、冷却プレートの上に300mm角サイズに切り出した第1~4実施品を30分間静置した。また、これと並行し、Testo製865の足裏サーモグラフィ温度計を用いて予め足裏の温度を測定した(原測定)。次に、上述の準備を行った第1~4実施品に足を乗せて15秒間経過した後に、再度足裏の温度を足裏サーモグラフィ温度計で測定し(再測定)、原測定と再測定との足裏温度の変化量を算出した。
【0037】
足裏温度の変化量の測定結果は、
図2に示すように、第1実施品において2.2℃、第2実施品において2.5℃、第3実施品において2.3℃、第4実施品において2.9℃となった。
【0038】
<柔らかさ>
次に、柔らかさの測定として、CS硬度計を用いた硬度の測定を行った。具体的には、第1~4実施品のクッション材を200mm角サイズに切り出した後にアスカーCS硬度計を用いてクッション材の硬度を測定した。この結果、アスカーCS硬度は、第1実施品において21、第2実施品において70、第3実施品において27、第4実施品において65となった。
【0039】
また、製品圧縮変位の測定も行った。具体的には、万能試験機(島津製作所社製、万能試験機AG-100kNX-Plus)を用いて、第1~4実施品の浴室床材2(300mm角サイズ)について圧子径150mmとして速度2mm/minで荷重588Nになるまで圧縮を行い、その際のクロスヘッドの変位量を圧縮変位量とした。この結果、
図2に示すように、第1実施品において0.88mm、第2実施品において0.71mm、第3実施品において0.98mm、第4実施品において0.58mmの変位量が得られた。
【0040】
次に、第1~4実施品についての官能評価を行った。具体的には、500mm角サイズの浴室床材2(第1~4実施品)に実際に乗った際の踏み心地について、主観的な評価を行った。評価は、踏み心地が良いを「5」、踏み心地が悪いを「1」として5段階で評価した。前記評価を25歳から55歳の男女10人に実施し、それぞれの床材の平均点を算出し、「4」以上を「〇」、「3」以上「4」未満を「△」、「1」以上「3」未満を「×」とした。
【0041】
この結果、
図2に示すように、第1~3実施品において「〇」、第4実施品において「△」という評価が得られた。
以上の実験結果によれば、
図2に示すように、第1~3実施品については、温かさ、柔らかさ共に「〇」と評価できるが、第4実施品については、温かさは「〇」と評価できるものの、柔らかさは「△」と評価できる。このため、第1~3実施品は製品として採用することに問題はない。また、第4実施品については、柔らかさの点でやや第1~3実施品に劣るが、製品として採用することはできるという結論を得た。
【0042】
<比較例>
次に、比較品の浴室床材である第1~10比較品について、
図3、4に示す表を参照しながらその実験結果について説明する。
【0043】
ここで、比較品の実験を行うに当たって、第1~4実施品と同様の基盤層を作製し、この基盤層を用いて比較品に係る浴室床材である第1~10比較品を作製した。また、表皮材にも第1~4実施品と同様の素材を用いた。
【0044】
クッション材は、第1比較品においては、イノアック社製のEMO(ウレタンフォーム)を使用し、第2比較品においては、同社製のEMT(ウレタンフォーム)を使用し、第3比較品においては、同社製のHR80(ウレタンフォーム)を使用した。
【0045】
また、第4比較品においては、ウレタンDを使用し、第5比較品においては、三井化学東セロ製パロニア(PP3倍発泡シート)を使用し、第6比較品においては、株式会社エクシール製ハイパーゲルシート30を使用した。
【0046】
なお、ウレタンDは、上述したウレタンA~Cと同様の方法で、表2に示す条件に従って作製した。なお、主観的に、ウレタンDの熱伝導率はウレタンA~Cと同程度であり、硬さは、A~Cよりも硬いイメージである。
【0047】
【0048】
また、ハイパーゲルシート30は、防振、緩衝、衝撃吸収性に優れる軟質ウレタンゲルシートである。
また、第7比較品においては、クッション材として、株式会社エクシール製人肌のゲルシート(硬度7)を使用し、第8比較品においては、同社製人肌のゲルシート(硬度0)を使用し、第9比較品においては、株式会社タイカ製αGEL θ-5(衝撃吸収ゲルシート)を使用し、第10比較品においては、同シートのθ-6を使用した。
【0049】
上述の基盤層、クッション材、および表皮材を用いて浴室床材を作製した手順については、第1~4実施品の場合と同様である。また、第1~10比較品のいずれにおいても、第1~4実施品の場合と同様に、表皮材の厚みは3.5mmであり、クッション層の厚みは4mmである(
図3、4参照)。
次に、上述の第1~10比較品について、温かさ柔らかさを評価するための実験を行った。これらの評価に係る実験もまた、第1~4実施品の場合と同様に行った。
【0050】
<温かさ>
熱伝導率の測定結果は、
図3、4に示すように、第1~3比較品において、0.085W/(m・K)、第4比較品において、0.107W/(m・K)、第5比較品において、0.127W/(m・K)、第6比較品において、0.154W/(m・K)、第7比較品において、0.192W/(m・K)、第8比較品において、0.166W/(m・K)、第9比較品において、0.182W/(m・K)、第10比較品において、0.201W/(m・K)となった。
【0051】
また、足裏温度の変化量の測定結果は、
図3、4に示すように、第1比較品において2.1℃、第2比較品において2.2℃、第3比較品において2.3℃、第4比較品において2.4℃、第5比較品において3.4℃、第6比較品において4.2℃、第7比較品において4.7℃、第8比較品において4.1℃、第9比較品において4.5℃、第10比較品において4.9℃となった。
【0052】
<柔らかさ>
CS硬度計を用いたアスカーCS硬度の測定結果は、第1比較品において5、第2比較品において7、第3比較品において3、第4比較品において94、第5比較品において95、第6比較品において75、第7比較品において24、第8比較品において17、第9比較品において26、第10比較品において65となった。
【0053】
また、製品圧縮変位測定の実験結果である、クロスヘッドの変位量は、
図3、4に示すように、第1比較品において2.4mm、第2比較品において2.5mm、第3比較品において2.4mm、第4比較品において0.49mm、第5比較品において0.44mm、第6比較品において0.66mm、第7比較品において0.68mm、第8比較品において0.72mm、第9比較品において0.70mm、第10比較品において0.67mmの変位量が得られた。
【0054】
次に、第1~10比較品についての官能評価を行った。この結果、
図3、4に示すように、第1~5比較品においては「×」である一方、第6~10比較品においては「〇」という評価が得られた。
【0055】
以上の実験結果によれば、
図3、4に示すように、第1~5比較品については、温かさについては及第点となるものの、第1~3比較品は柔らかすぎ、第4、5比較品は硬すぎる。このため、第1~5比較品については、何れも製品として採用することはできないという結論を得た。
【0056】
一方、第6~10比較品は、第6比較品がやや硬いものの、全般的に柔らかさについては及第点となる。しかし、第6~10比較品は、何れもが冷たすぎるという点で温かさの観点から及第点には及ばず、採用することはできないという結論を得た。