(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045639
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023442
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2022561827の分割
【原出願日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2020186903
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永元 里司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信吾
(57)【要約】
【課題】ステータコイルの巻線を外部の回路に容易に接続することができ、複雑な構成を必要としないブラシレスモータを提供する。
【解決手段】給電構造は、相ごとに、巻線の第1のリード部および巻線の第2のリード部からなる巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2と、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2が接続される接続部250と、を備え、各相の接続部250U、250V、250Wは、軸方向から視て軸心から同一方向である所定方向にオフセットした位置に配置され、各相の巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2は、ブラケット230の貫通孔231を軸方向に貫通し、ブラケット230の表面側の軸方向外側端部で上記所定方向に折り曲げられてブラケット230の表面に沿って接続部250U、250V、250Wまで延在する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体と、
前記モータ本体が取り付けられたブラケットと、
前記ブラケットに形成された貫通孔を介して前記モータ本体に電力を供給する給電構造と、
を備えるブラシレスモータであって、
前記ブラケットは、前記モータ本体の軸方向端面を覆うように設けられ、
前記モータ本体は、ステータを備え、
前記ステータは、複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻装される巻線により形成されるステータコイルとを備え、
前記給電構造は、
相ごとに、
前記巻線の第1のリード部および前記巻線の第2のリード部からなる巻線対と、
前記第1のリード部および前記第2のリード部が電気的に接続された接続部と、を備え、
各相の前記接続部は、軸方向から視て軸心から同一方向である所定方向にオフセットした位置に配置され、
各相の前記巻線対は、前記ブラケットの前記貫通孔を軸方向に貫通し、前記ブラケットの表面側の軸方向外側端部で前記所定方向に折り曲げられて前記ブラケットの表面に沿って前記接続部まで延在する、ブラシレスモータ。
【請求項2】
各相の前記接続部は、軸方向から視て前記所定方向と交差する方向に直線状に配列されている、請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記給電構造は、
相ごとに、
複数の前記巻線対を備え、
前記複数の前記巻線対の前記第1のリード部および前記第2のリード部がともに共通の前記接続部に電気的に接続されている、請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
一の相に対応する前記巻線対と、他の一の相に対応する前記巻線対とが、前記ブラケットの表面において軸方向から視て互いに交差していない、請求項1または請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記ブラシレスモータは3相モータであり、
前記ブラケットには、各相に対応した複数の前記貫通孔が形成され、
前記給電構造は、
3相のそれぞれに対応する3つの前記接続部を備え、
各相の前記接続部は、軸方向から視て、複数の前記貫通孔から前記所定方向にオフセットした位置に配置され、
各相の前記巻線対は、各相の前記接続部に接続されている、請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
前記ブラケットの表面側に取り付けられる駆動回路基板を備え、
各相の前記接続部は、軸方向から視て前記駆動回路基板から離れた領域に配置される、請求項2または請求項5に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センターピースに形成された挿通孔を介して、ステータコイルの巻線を駆動回路に接続する構成を有するブラシレスモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のブラシレスモータでは、12本の巻線をフォーミング後、センターピースに形成された12個の挿通孔を介してそれぞれの巻線を駆動回路側へ通す必要があるため、組み付け作業が煩雑で工数が掛かる。また、駆動回路への接続箇所も広い範囲に分散しており、巻線を駆動回路へ接続するために複雑な構成が必要となるという問題がある。
【0005】
本開示は、ステータコイルの巻線を外部の回路に容易に接続することができ、複雑な構成を必要としないブラシレスモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本開示の一態様は、
モータ本体と、
前記モータ本体が取り付けられたブラケットと、
前記ブラケットに形成された貫通孔を介して前記モータ本体に電力を供給する給電構造と、
を備えるブラシレスモータであって、
前記ブラケットは、前記モータ本体の軸方向端面を覆うように設けられ、
前記モータ本体は、ステータを備え、
前記ステータは、複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻装される巻線により形成されるステータコイルとを備え、
前記給電構造は、
相ごとに、
前記巻線の第1のリード部および前記巻線の第2のリード部からなる巻線対と、
前記第1のリード部および前記第2のリード部が電気的に接続された接続部と、を備え、
各相の前記接続部は、軸方向から視て軸心から同一方向である所定方向にオフセットした位置に配置され、
各相の前記巻線対は、前記ブラケットの前記貫通孔を軸方向に貫通し、前記ブラケットの表面側の軸方向外側端部で前記所定方向に折り曲げられて前記ブラケットの表面に沿って前記接続部まで延在する、ブラシレスモータを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ステータコイルの巻線を外部の回路に容易に接続することができ、複雑な構成を必要としないブラシレスモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施例のブラシレスモータを示す斜視図である。
【
図1A】ブラケットを取り外した状態におけるブラシレスモータを示す斜視図である。
【
図1B】給電構造およびステータの構成を示す斜視図給電構造およびステータの構成を示す斜視図である。
【
図2C】ガイド部により支持される巻線の状態を示す斜視図である。
【
図3A】コイルに割り当てられた相を軸線方向から視た図である。
【
図3B】コイルの結線状態(デルタ結線)を示す図である。
【
図4】第2の実施例のブラシレスモータが使用されたファン装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】本実施例のブラシレスモータを示す斜視図である。
【
図6】ブラケットを取り外した状態におけるブラシレスモータを示す斜視図である。
【
図6A】給電構造およびステータの構成を示す斜視図である。
【
図6D】支持部材によりガイドされる巻線の状態を示す斜視図である。
【
図6E】軸方向から視たときのキャップ部材と巻線の位置関係を示す図である。
【
図7】各ステータコイルの巻線の接続関係を示す図である。
【
図7A】ステータコイルに割り当てられた相を軸線方向から視た図である。
【
図7B】コイルの結線状態(デルタ結線)を示す図である。
【
図10】ターミナルホルダに保持された巻線を示す斜視図である。
【
図11】駆動回路を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施例)
図1は、ブラシレスモータを示す斜視図、
図1Aは、ブラケットを取り外した状態におけるブラシレスモータを示す斜視図、
図1Bは、給電構造およびステータの構成を示す斜視図、
図1Cは、給電構造の近傍を示す斜視図、
図2は、インシュレータを示す斜視図、
図2Aは、ガイド部の構成を示す斜視図、
図2Bは、キャップ部材を示す斜視図、
図2Cは、ガイド部により支持される巻線の状態を示す斜視図、
図2Dは、ガイド部近傍の構成を示す断面図である。なお、説明の便宜のため、
図1A~
図2Dにおいて、
図1の構成に含まれる一部の要素の図示を省略している。また、以下の記載において、回転軸の軸心を基準として、周方向、軸方向、径方向が規定されている。
【0011】
本実施例のブラシレスモータは、3相モータであって、例えば、ファンユニットF(
図4参照)を駆動する装置の一部として使用される。しかし、ブラシレスモータが使用される装置はこれに限定されない。
【0012】
図1~
図1Bに示すように、本実施例のブラシレスモータのモータ本体は、周方向に配列された複数(本実施例では12個)のコイル11を有するステータ210と、ステータ210の外周側に配置されるロータ20と、を備える。
【0013】
ステータ210は、鋼板を軸方向に積層して構成され、周方向外側に突出する複数(本実施例では12個)のティース13Aを有するステータコア13を備える。ステータコア13のティース13Aのそれぞれに巻線12が巻装されることで、上記複数のコイル11が構成される。これらのコイル11は、各相のステータコイルを構成する。
【0014】
図1Bに示すように、巻線12とステータコア13の間には、インシュレータ部材215Aおよびインシュレータ部材215Bが介装され、インシュレータ部材215Aおよびインシュレータ部材215Bにより、巻線12とステータコア13が互いに絶縁される。なお、インシュレータ部材215Aはコイル11よりも内周側まで延びて円筒状に形成された内周部215a(
図2、
図2A、
図2C)を有する。
【0015】
ロータ20は回転軸21(
図6参照)周りに回転可能に支持される。また、ロータ20にファンユニットF(
図4参照)が取り付けられる。
図1Aに示すように、本実施例のブラシレスモータは、ロータ20がステータ210の外周側に配置されるアウターロータ型のモータとして構成されている。ステータ210は、モータ本体(ステータ210およびロータ20)の軸方向端面を覆うように設けられたアルミニウム製のブラケット230(
図1)に固定される。また、ロータ20は、ブラケット230に対して回転軸21周りに回転可能に取り付けられる。
【0016】
ブラケット230には、軸周り方向に均等の角度(60°)ずつ離れて配置された6つの貫通孔231(
図1)が形成されている。この貫通孔231を介してコイル11から引き出された巻線12がブラケット230を軸方向に貫通する。
【0017】
さらに、
図1において、ブラケット230の手前側には、ブラケット230に締結された樹脂製のターミナルホルダTHが設けられている。ターミナルホルダTHには、6つの貫通孔231のうちの4つに対向する貫通孔HV1、HV2、HU1、HU2(
図1A)と、後述する接続部250を構成する部位とが形成されている。ターミナルホルダTHは、巻線12とブラケット230との接触を防止し、巻線12の絶縁性を確保する機能等を有する。
【0018】
本実施例は、給電構造としてのガイド部240および接続部250を備える。
【0019】
ガイド部240は、ブラケット230の貫通孔231に対応して、軸周り方向に均等の角度(60°)ずつ離れて6つ設けられる(
図1B参照)。ガイド部240は、巻線12とブラケット230との間の絶縁性を確保しつつ、貫通孔231を介して巻線12を引き出すように巻線12を案内するためのものである。巻線12は、ガイド部240にガイドされた部位(第1部位の一例)の近傍で軸方向に貫通孔231を貫通する。
【0020】
図1Aに示すように、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部U1a(第1のリード部の一例)および他のコイル11から引き出された巻線12のリード部U1b(第2のリード部の一例)からなる巻線対U1が、ガイド部240によりガイドないし支持される。さらに、巻線対U1は、貫通孔231および貫通孔HU1を軸方向に貫通する。
【0021】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部U2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部U2bからなる巻線対U2が、ガイド部240によりガイドないし支持される。さらに、巻線対U2は、貫通孔231および貫通孔HU2を軸方向に貫通する。
【0022】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部V1aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部V1bからなる巻線対V1が、ガイド部240によりガイドないし支持され、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部V2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部V2bからなる巻線対V2が、ガイド部240によりガイドないし支持される。さらに、巻線対V1は、貫通孔231および貫通孔HV1を軸方向に貫通し、巻線対V2は、貫通孔231および貫通孔HV2を軸方向に貫通する。
【0023】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部W1aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部W1bからなる巻線対W1が、ガイド部240によりガイドないし支持され、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部W2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部W2bからなる巻線対W2が、ガイド部240によりガイドないし支持される。さらに、巻線対W1および巻線対W2は、貫通孔231を軸方向に貫通する。
【0024】
後述するように、巻線対U1と巻線対U2、巻線対V1と巻線対V2、および巻線対W1と巻線対W2は、それぞれ3相の各相(U、V、W)に対応しており、接続部250において互いに接続される。
【0025】
ガイド部240は、巻線12を支持ないしガイドする支持部材241(
図2、
図2A、
図2C)と、支持部材241に嵌め込まれるキャップ部材246(
図2A、
図2B、
図2C)とを備える。なお、
図2Aにおいて、キャップ部材246は、1つの支持部材241に嵌め込まれた1つのみ図示されている。
【0026】
図2に示すように、支持部材241は、インシュレータ部材215Aの一部として構成され、内周部215aの外周面側に突出して設けられる。
【0027】
図2Aに示すように、支持部材241は、巻線12が軸方向に収容される2つの凹部242を有する。凹部242は、周方向に開口しており、この開口を介して巻線12を挿入することが可能とされている。
図2Bに示すように、キャップ部材246は、軸方向から見てコの字型(U字型)状に形成され、外周側から支持部材241に嵌合可能な形状とされる。キャップ部材246は、内周側に突き出る2つの凸部247と、周方向に突き出る2つ(
図2Bでは1つのみ図示)の爪部248を有する。キャップ部材246は、巻線12を凹部242に挿入した後、キャップ部材246を外周側から支持部材241に嵌め込むことにより固定される。このとき、凹部242に収容された巻線12が、凸部247によって外周側から押し付けられる状態で支持される。また、このとき、キャップ部材246の爪部248が支持部材241に係合することにより、キャップ部材246が外周側へ逃げて支持部材241から外れることが防止される。
【0028】
図2Cに示すように、コイル11から周方向に引き出された巻線12(第1のリード部または第2のリード部)は、インシュレータ部材215Aの内周部215aに沿って所定の位置まで引き回され、上記のように、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2として対応するガイド部240に導かれる。
【0029】
組み付け作業時には、巻線12を対応する支持部材241までインシュレータ部材215Aの内周部215aに沿って引き回し、対応する支持部材241の凹部242に沿うように巻線12を折り曲げることにより、インシュレータ部材215Aの内周部215aに沿って引き回された巻線12を容易に凹部242に挿入することができる。
【0030】
本実施例では、それぞれの支持部材241に2つの凹部242が形成され、凹部242が外周側に向けて開放されている。このため、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2を容易に凹部242にセットすることができる。また、キャップ部材246を外周側から支持部材241に嵌め込むだけで、容易に巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2を固定することができる。
【0031】
また、キャップ部材246を支持部材241に嵌め込むと、キャップ部材246と支持部材241との間には、巻線12の断面とほぼ同一の断面形状の間隙ができ、この間隙に巻線12が収容され、巻線12とガイド部240(支持部材241およびキャップ部材246)との間の隙間がごく小さなものとなる。このため、貫通孔231がガイド部240と凹部242を通る巻線12により、実質的に塞がれた状態となる。このため、貫通孔231を塞ぐためのシール材S(
図2D)が、貫通孔231を介して漏れることを防止することができる。シール材Sは、軸方向から視て、支持部材241、キャップ部材246および巻線12が含まれる領域に塗布されている。このように、シール材Sによって貫通孔231を閉塞できるため、本実施例のブラシレスモータは、気密性、防水性が求められる場合にも適用可能となる。また、シール材Sによって、ガイド部240がブラケット230に対して接着された状態となるため、ガイド部240が不用意に動くおそれがなくなる。
【0032】
また、
図2Dに示すように、断面図における支持部材241とターミナルホルダTHの表面に接する接線Lが、ブラケット230に接触しないように構成されている。また、
図2Dでは、巻線対V2に対応する部位を図示しているが、すべての巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2について支持部材241とターミナルホルダTHの表面に接する接線がブラケット230に接触しないように構成されている。このため、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2とブラケット230との接触が防止され、巻線12に対する電気的な絶縁を確実に確保できる。
【0033】
また、ターミナルホルダTHには、回転軸21を収容する円柱状の凸部253から外周方向に延びる2つのガイド253aが形成されている。
図1Cに示すように、ガイド253aを利用することにより、ガイド部240および貫通孔231を経由した巻線対W1、W2を固定し、他の巻線12と接触しない所定の経路に沿って配索することができる。さらに、ターミナルホルダTHには、接続部250の近傍に配置された2つのガイド254が形成されている。ガイド254は、軸方向から視て、円弧状の外表面を有し、貫通孔231を経由した巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2を、それぞれの接続部250U、250V、250Wに至る適切な位置に案内する機能を有する。なお、
図1Dに示すように、ガイド253aに代えて、回転軸21を収容する円柱状の凸部253Aから外周方向に突出する2つのガイド253bを設けてもよい。この場合、ガイド253bによって、巻線対W1、W2の位置を規制することにより、巻線対W1、W2を他の巻線12と接触しない所定の経路に沿って配索することができる。
【0034】
図3は、各コイルの巻線の接続関係を示す図、
図3Aは、コイルに割り当てられた相を軸線方向から視た図、
図3Bは、コイルの結線状態(デルタ結線)を示す図である。
図3における各コイルの並び順は、周方向の並び順に一致している。
【0035】
図3~
図3Bの「U」、「V」および「W」は、3相の各相U、V、Wを示している。
【0036】
図3に示す巻線12の接続状態は、相ごとに4つのコイル11を用い、2つのコイル11を直列接続した対を、2つずつ並列接続するように接続部250U、250V、250Wに引き出した、デルタ結線(
図3B)を構成する。
図3において、2本ずつ巻線12が接続された接続ポイント5U、5V、5Wは、それぞれ接続部250U、250V、250Wに対応し、接続ポイント5U、5V、5Wに接続された巻線対(2本ずつの巻線12)は、それぞれ、接続部250U、250V、250Wに接続される巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2に対応する。
【0037】
図3において、各コイル11における巻線12の巻装方向(軸心から径方向にコイル11を視たときの時計回り方向および反時計回り方向)を示している。また、
図3の「開始」は、巻線12の巻装の開始位置を例示している。
【0038】
図3Aに示すように、各相U、V、Wごとに4つずつ設けられたコイル11は、回転軸心を中心として、相U、V、Wの配列が互いに回転対称となるように配置されている。なお、
図3の各コイル11に付された「U」、「V」、「W」は、
図3Aのコイル11に付された「U」、「V」、「W」に対応している。
【0039】
次に、接続部250の構成について説明する。
【0040】
図1Cに示すように、接続部250は、U相に対応する接続部250Uと、V相に対応する接続部250Vと、W相に対応する接続部250Wと、を備える。接続部250U、接続部250Vおよび接続部250Wは、軸心からオフセットした位置で直線状に配列されている。
【0041】
接続部250U、接続部250Vおよび接続部250Wのそれぞれは、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2のそれぞれが圧入されるスリット(不図示)が形成されたターミナル260(
図1C)と、ターミナル260を保持する、上記の絶縁性のターミナルホルダTHと、により構成される。
【0042】
図1Cに示すように、接続部250U、接続部250Vおよび接続部250Wには、それぞれ、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を案内する溝状のガイド252が4つずつ形成されている。ガイド252の内部には、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分が収容される。なお、ターミナルホルダTHの構成を示すために、
図1Cでは、接続部250Uおよび接続部250Wのターミナル260を取り外した状態を示している。また、
図1Cでは、接続部250Uのみについてガイド252を示している。
【0043】
接続部250を構成する部分のターミナルホルダTHの形状は、ターミナル260の形状に応じた凹凸を有しており、ターミナル260を差し込んだときに、ターミナル260が安定してターミナルホルダTHに対し固定される。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2がガイド252内に収容された状態で、ターミナル260に対して圧入される際に、ターミナル260が巻線12の絶縁被膜を削ぎ落し、削ぎ落とされた巻線12に対してターミナル260が圧接して電気的に接続される。これにより、溶接を用いることなく、4本の巻線12を1度に接続できるので、製造工程が容易になる。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2と、ターミナル260との間の導通を確実なものとすることができる。また、接続部250における接続手段として、フュージングやプロジェクション溶接などを用いる必要がなく、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2をターミナル260に接続することができる。
【0044】
次に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、接続部250U、接続部250Vおよび接続部250Wに接続する工程について説明する。
【0045】
ガイド部240により支持され、貫通孔231(さらに、巻線対U1、U2および巻線対V1、V2については、貫通孔HU1、HU2および貫通孔HV1、HV2)を軸方向に貫通した巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、軸方向外側端部の屈曲部290(
図1B、軸方向外側端部の一例)において、約90°折り曲げると、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分が、それぞれ対応する接続部250U、250V、250Wに届く状態になる。巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分を、それぞれ対応するガイド252内に挿入すると、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分がガイド252内に収容された状態で保持される。
【0046】
ここで、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の長さは、それぞれ先端部分が接続部250に届き、かつ、余剰の長さが抑制されるように設定されてもよい。すなわち、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2のそれぞれに対応するガイド部240から接続部250U、250V、250Wまでの部位(第2部位の一例)の長さは、それぞれに対応するガイド部240から接続部250U、250V、250Wまでの距離に対応している。この第2部位の長さは、各巻線対に対応するガイド部240から接続部250U、250V、250Wまでの距離に応じて異なる。また、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2の第2部位の長さは、リード部U1a、U2a、V1a、V2a、W1a、W2aと、リード部U1b、U2b、V1b、V2b、W1b、W2bとで同じとされている。このため、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2は、それぞれほぼ直線状に配置されることになる。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、誤った接続部250U、250V、250Wに接続するおそれもなくなる。
【0047】
次に、ターミナル260を、接続部250U、接続部250Vおよび接続部250WにおいてターミナルホルダTHに嵌め込むと、対応するターミナル260のスリットに、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2がそれぞれ圧入される。このとき、ターミナル260のスリットのエッジにより、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の絶縁被膜が剥離されるとともに、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の導体と、対応するターミナル260との間の導通が確保される。これにより、同相の巻線対どうし、すなわち、巻線対U1と巻線対U2、巻線対V1と巻線対V2、および巻線対W1と巻線対W2が互いに導通する。
【0048】
次に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分を直線255に沿って切断することにより、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の不要な先端部分を除去することができる。巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の不要部分を除去することにより、ブラシレスモータの軽量化、小型化を図ることができる。なお、
図3に示されるように、ループ状となっている巻線対、例えば、巻線対V1、V2については、ループ状を維持したまま接続部250Vに接続した後に、ループの先端を直線255に沿って切断することができる(第2の実施例を参照)。
【0049】
また、例えば、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分を、切断しない状態においてホルダターミナルHT内に収容できるようにし、巻線12を切断する工程を省略してもよい。
【0050】
ここで、
図1~
図1Cに示すように、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2、すなわち異なる相の巻線対どうしは、軸方向から視て互いに交差しない状態となっている。したがって、異なる相の巻線対どうしの接触および導通を防止することができる。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2とブラケット230とが軸方向について重なり合う領域全体にわたり、線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2とブラケット230との間で、絶縁性のターミナルホルダTHが介装される。このため、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2とブラケット230が接触することなく、絶縁性が確保される。
【0051】
本実施例では、コイル11から引き出された12本分の巻線12に相当する巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を同一方向に折り曲げることで、U、V、W3相の巻線対を対応する接続部250U、250V、250Wにまとめて接続することができる。すなわち、12本分の巻線12が6つの巻線対に集約されるとともに、巻線対を構成する巻線12どうし間の導通を、作業上の負担なく確保することができる。このため、コイル11からの巻線12を接続部250U、250V、250Wに接続するための作業性が向上する。
【0052】
さらに、12本分の巻線12が相ごとに3つの接続部250U、250V、250Wに纏めて接続されるため、駆動回路への接続作業が容易なものとなる。また、接続部分の構成を複雑化させることがない。
【0053】
(第2の実施例)
図4は、第2の実施例のブラシレスモータが使用された装置の構成を示す斜視図、
図5は、本実施例のブラシレスモータを示す斜視図、
図6は、ブラケットを取り外した状態におけるブラシレスモータを示す斜視図、
図6Aは、給電構造およびステータの構成を示す斜視図、
図6Bは、インシュレータを示す斜視図、
図6Cは、キャップ部材を示す斜視図、
図6Dは、支持部材によりガイドされる巻線の状態を示す斜視図、
図6Eは、軸方向から視たときのキャップ部材と巻線の位置関係を示す図である。なお、説明の便宜のため、各図面において、一部の要素の図示を省略している。
【0054】
図4に示すように、本実施例のブラシレスモータは、3相モータであって、例えば、ファンユニットF(
図4)を駆動する装置の一部として使用される。しかし、ブラシレスモータが使用される装置はこれに限定されない。
【0055】
図6Aに示すように、第2の実施例のブラシレスモータは、周方向に配列された複数(本実施例では12個)のコイル11を有するステータ10と、
図6に示すように、ステータ10の外周側に配置されるロータ20と、を備える。
【0056】
図6Aに示すように、ステータ10は、鋼板を軸方向に積層して構成され、周方向外側に突出する複数(本実施例では12個)のティース13Aを有するステータコア13を備える。ステータコア13のティース13Aのそれぞれに巻線12が巻装されることで、上記複数のコイル11が構成される。これらのコイル11は、各相のステータコイルを構成する。
【0057】
図6Aに示すように、巻線12とステータコア13の間には、インシュレータ部材15Aおよびインシュレータ部材15Bが介装され、インシュレータ部材15Aおよびインシュレータ部材15Bにより、巻線12とステータコア13が互いに絶縁される。なお、インシュレータ部材15Aはコイル11よりも内周側まで延びて円筒状に形成された内周部15a(
図6A、
図6B)を有する。
【0058】
ロータ20は回転軸21(
図6)周りに回転可能に支持される。また、ロータ20にファンユニットF(
図4)が取り付けられる。
図6に示すように、本実施例のブラシレスモータは、ロータ20がステータ10の外周側に配置されるアウターロータ型のモータとして構成されている。
【0059】
ステータ10は、モータ本体M(ステータ10およびロータ20)の軸方向端面を覆うように設けられたアルミニウム製のブラケット30(
図5)に固定される。また、ロータ20は、ブラケット30に対して回転軸21周りに回転可能に取り付けられる。
【0060】
ブラケット30には、軸周り方向に均等の角度(60°)ずつ離れて配置された6つの貫通孔31が形成されている。この貫通孔31を介してコイル11から引き出された巻線12がブラケット30を貫通する。
【0061】
本実施例は、給電構造としてのガイド部40および接続部50を備える。
【0062】
ガイド部40は、ブラケット30の貫通孔31に対応して、軸周り方向に均等の角度(60°)ずつ離れて6つ設けられる。ガイド部40は、巻線12とブラケット30との間の絶縁性を確保しつつ、貫通孔31を介して巻線12を引き出すためのものである。巻線12は、ガイド部40にガイドされた部位で軸方向に貫通孔31を貫通する。
【0063】
図6Aに示すように、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部U1a(第1のリード部の一例)および他のコイル11から引き出された巻線12のリード部U1b(第2のリード部の一例)からなる巻線対U1が、ガイド部40によりガイドないし支持される。
【0064】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部U2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部U2bからなる巻線対U2が、ガイド部40によりガイドないし支持される。
【0065】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部V1aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部V1bからなる巻線対V1が、ガイド部40によりガイドないし支持され、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部V2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部V2bからなる巻線対V2が、ガイド部40によりガイドないし支持される。
【0066】
同様に、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部W1aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部W1bからなる巻線対W1が、ガイド部40によりガイドないし支持され、一のコイル11から引き出された巻線12のリード部W2aおよび他のコイル11から引き出された巻線12のリード部W2bからなる巻線対W2が、ガイド部40によりガイドないし支持される。
【0067】
後述するように、巻線対U1と巻線対U2、巻線対V1と巻線対V2、および巻線対W1と巻線対W2は、それぞれ3相の各相(U、V、W)に対応しており、接続部50において互いに接続される。
【0068】
ガイド部40は、巻線12を支持ないしガイドする支持部材41(
図6B)と、支持部材41に嵌め込まれるキャップ部材46とを備える。
【0069】
図6Bに示すように、支持部材41は、インシュレータ部材15Aの一部として構成され、内周部15a(
図6A、
図6B)の外周面側に突出して設けられる。
【0070】
図6Bに示すように、支持部材41は、巻線12が軸方向に収容される2つの凹部42と、径方向外周側から視て円弧状の凸部43を有する。凹部42は、周方向に開口しており、この開口を介して巻線12を挿入することが可能とされている。
【0071】
図6Dに示すように、コイル11から周方向に引き出された巻線12(第1のリード部または第2のリード部)は、凸部43の周囲において、凸部43の円弧状に応じて折れ曲がっている。さらに、凸部43の周囲を周った巻線12は凹部42を介して軸方向に引き出されている。
【0072】
なお、
図6Dに示すように、内周部15aの外周側に突出する突起44を設け、内周部15aの周囲に巻き回される巻線12の軸方向の位置を突起44によりガイドするようにしてもよい。
【0073】
キャップ部材46(
図6C)は、支持部材41に嵌め込まれて凹部42の開口を塞ぐことにより、凹部42の内部に巻線12を収容する機能を有する。
図6Cに示すように、キャップ部材46には、軸線方向に引き出された巻線12が貫通する通し孔47が形成されている。
【0074】
また、通し孔47と凹部42の間に巻線12が収容されることにより、巻線12とガイド部40との間の隙間がごく小さなものとなる。さらに、キャップ部材46は、貫通孔31を塞ぐような状態で取り付けられる。このため、貫通孔31がガイド部40と凹部42を通る巻線12により、実質的に塞がれた状態となる。このため、貫通孔31を塞ぐためのシール材が、貫通孔31を介して漏れることを防止することができる。シール材は、軸方向から視て、支持部材41、キャップ部材46および巻線12が含まれる領域に塗布されている。このように、シール材によって貫通孔31を閉塞できるため、本実施例のブラシレスモータは、気密性が向上し、防水性が求められる場合にも適用可能となる。
【0075】
また、通し孔47の開口端の一部には、軸方向に突出する突状48(
図6C)が形成されている。
【0076】
図7は、各コイルの巻線の接続関係を示す図、
図7Aは、コイルに割り当てられた相を軸線方向から視た図、
図7Bは、コイルの結線状態(デルタ結線)を示す図である。
【0077】
図7~
図7Bの「U」、「V」および「W」は、3相の各相U、V、Wを示している。
【0078】
本実施例では、巻線機を用いて、すべてのティース13Aに連続した巻線12を巻装することができる。すなわち、上記の巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2の部分を含め、ティース13Aへの巻装、およびティース13A間の配索も、自動かけ回しにより巻線12を切断することなく終了させることができる。
【0079】
図7に示す巻線12の接続状態は、相ごとに4つのコイル11を用い、2つのコイル11を直列接続した対を、2つずつ並列接続するように接続部50U、50V、50Wに引き出した、デルタ結線(
図7B)を構成する。
図7において、2本ずつ巻線12が接続された接続ポイント5U、5V、5Wは、それぞれ接続部50U、50V、50Wに対応し、接続ポイント5U、5V、5Wに接続された巻線対(2本ずつの巻線12)は、それぞれ、接続部50U、50V、50Wに接続される巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2に対応する。
【0080】
図7の「cw」および「ccw」は、各コイル11における巻線12の巻装方向(軸心から径方向にコイル11を視たときの時計回り方向および反時計回り方向)を示している。また、「開始」は、巻線12の巻装の開始位置を例示している。
【0081】
図7Aに示すように、各相U、V、Wごとに4つずつ設けられたコイル11は、回転軸21の軸心を中心として、相U、V、Wの配列が互いに回転対称となるように配置されている。なお、
図7の各コイル11に付された「U」、「V」、「W」は、
図7Aのコイル11に付された「U」、「V」、「W」に対応している。
【0082】
一方、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2に対応するブラケット30の貫通孔31の位置は、各相について回転対称ではなく、
図6Aにおいて左回りに、巻線対W1→巻線対V1→巻線対V2→巻線対W2→巻線対U2→巻線対U1の順序となっている。
【0083】
このため、コイル11から引き出される巻線12を巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の位置に対応させるために、コイル11からガイド部40までの間で、U相およびV相において巻線12を渡り線でクロスさせる必要がある。
【0084】
この点に関し、本実施例では、巻線12を内周部15a(
図6A、
図6B)の外周面に沿って軸周りの両方向に配索することができる。また、
図6Dに示すように、内周部15a(
図6A、
図6B)の外周面に沿って配索されてきた巻線12を、対応するガイド部40の凸部43の円弧形状に沿って折り曲げることにより、巻線12を所定の貫通孔31へ導くことができる。このため、コイル11の各相の並びと、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の位置関係が一致していないにも関わらず、巻線12を適切に配索し、所定の貫通孔31(ガイド部40)に導くことができる。また、巻線12を配索する工程に巻線機による自動かけ回しを適用することができ、巻線12をフォーミングするための工数が削減できる。
【0085】
次に、接続部50の構成について説明する。
【0086】
図8は、
図6の一部拡大部、
図8Aおよび
図8Bは、ターミナルを示す斜視図、
図9は、巻線の引き出し方法を示す斜視図、
図10は、ターミナルホルダに保持された巻線を示す斜視図である。
【0087】
図8に示すように、接続部50は、U相に対応する接続部50Uと、V相に対応する接続部50Vと、W相に対応する接続部50Wと、を備える。接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wは、軸心からオフセットした位置で直線状に配列されている。
【0088】
接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのそれぞれは、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2のそれぞれが圧入されるスリット61a~61hが形成されたスリット部61(
図8A~
図8B)を有するターミナル60と、ターミナル60を保持する絶縁性のターミナルホルダ51と、を備える。接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのターミナルホルダ51は、絶縁性を有する共通のホルダ部材51Aにより構成されている。
図5に示すように、ホルダ部材51Aは、ブラケット30の表面に取り付けられるが、その絶縁性によりターミナル60とブラケット30との間の絶縁性が確保される。
【0089】
図8に示すように、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのターミナルホルダ51には、それぞれ、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を案内する溝状のガイド52が4つずつ形成されている。
図8に示すように、ガイド52の内部に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分が収容される。なお、ターミナルホルダ51の構成を示すために、
図8では、接続部50Uのターミナル60を取り外した状態を示している。また、
図5では、接続部50Uのターミナルホルダ51のみについてガイド52を示している。
【0090】
また、
図8に示すように、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのターミナルホルダ51には、それぞれ、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を一時的に保持するための爪部53が設けられている。爪部53は、ガイド52の延長線上に位置する溝を有し、この溝に収容された巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端に係合する。これにより、爪部53は、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端を仮保持する機能を有する。
【0091】
なお、巻線12の径は限定されないが、巻線12の径が大きい場合、例えば、径が1mm以上の場合には、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2が硬くなり、仮保持することなくガイド52内に収容することが困難になる。しかし、本実施例では、爪部53によって巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の位置が固定されるため、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を正しくガイド52内に位置づけることができる。
【0092】
図8Aおよび
図8Bに示すターミナル60は、導電性を有する金属からなり、8つのスリット61a~61hを有する。また、ターミナル60は、駆動回路の各相の出力端子が接続される端子部62を有する。
【0093】
図8~
図8Bに示すように、ターミナルホルダ51の形状は、ターミナル60の形状に応じた凹凸を有しており、ターミナルホルダ51にターミナル60を差し込んだときに、ターミナル60が安定してターミナルホルダ51に対し固定される。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2がガイド52内に収容された状態で、ターミナル60に対して圧入されるため、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2と、ターミナル60との間の導通を確実なものとすることができる。
【0094】
本実施例では、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2が、スリット61a~61hに圧入されることによりターミナル60に接続される。この際、ターミナル60に対して圧入される際に、ターミナル60が巻線12の絶縁被膜を削ぎ落し、削ぎ落とされた巻線12に対してターミナル60が圧接して電気的に接続される。これにより、溶接を用いることなく、4本の巻線12を1度に接続できるので、製造工程が容易になる。また、フュージングやプロジェクション溶接などを用いる必要がない。また、耐熱性を有するタングステン材料を用いた電極などを用いることなく、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2をターミナル60に接続することができる。
【0095】
次に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wに接続する工程について説明する。
【0096】
図9に示すように、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wに接続される前の段階では、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を構成する巻線12は、切断されずに連続したループ状とされ、支持部材41を介して
図9における上方に引き出される。なお、
図4に至るまでの巻線12のすべての配索工程は、巻線機を用いて行うことができる。
【0097】
この状態で、キャップ部材46の通し孔47に巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を通して、キャップ部材46を支持部材41に嵌め込むことにより、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の第1部位、すなわち貫通孔31を貫通する部位がガイド部40により固定される。この状態で、ブラケット30の貫通孔31に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を通して、貫通させることができる。
【0098】
次に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、軸方向外側端部の屈曲部90(
図5、軸方向外側端部の一例)において、それぞれ
図9において右側に約90°折り曲げると、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分が、それぞれ対応する接続部50U、50V、50Wに届く状態になる。
図10に示すように、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分を、それぞれ対応するガイド52内に挿入するとともに爪部53の溝に係合させると、爪部53によって巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分がガイド52内に収容された状態で保持される。
【0099】
ここで、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の長さは、それぞれ先端部分が接続部50に届き、かつ、余剰の長さが抑制されるように設定されている。すなわち、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2のそれぞれに対応するガイド部40から接続部50U、50V、50Wまでの部位(第2部位の一例)の長さは、それぞれに対応するガイド部40から接続部50U、50V、50Wまでの距離に対応している。この第2部位の長さは、各巻線対に対応するガイド部40から接続部50U、50V、50Wまでの距離に応じて異なる。また、巻線対U1、U2、V1、V2、W1、W2の第2部位の長さは、リード部U1a、U2a、V1a、V2a、W1a、W2aと、リード部U1b、U2b、V1b、V2b、W1b、W2bとで同じとされている。このため、後述するように、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2は、それぞれほぼ直線状に配置されることになる。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、誤った接続部50U、50V、50Wに接続するおそれもなくなる。
【0100】
次に、ターミナル60を、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのターミナルホルダ51に嵌め込むと、対応するスリット61a~61hに、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2がそれぞれ圧入される。このとき、スリット61a~61hのエッジにより、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の絶縁被膜が剥離されるとともに、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の導体と、対応するターミナル60との間の導通が確保される。これにより、同相の巻線対どうし、すなわち、巻線対U1と巻線対U2、巻線対V1と巻線対V2、および巻線対W1と巻線対W2が互いに導通する。
【0101】
次に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分を直線55Aまたは直線55Bに沿って切断することにより、ループ状となっている巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の不要な先端部分を除去することができる。
【0102】
ここで、
図6Aに示すように、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2は、それぞれ、ほぼ直線状に、かつ互いにほぼ平行に延ばされた状態で配置される。このため、異なる相の巻線対どうしは、軸方向から視て互いに交差しない状態となっている。したがって、異なる相の巻線対どうしの接触および導通を防止することができる。
【0103】
本実施例では、コイル11から引き出された12本分の巻線12に相当する巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を同一方向に折り曲げることで、U、V、W3相の巻線対を対応する接続部50U、50V、50Wのターミナル60にまとめて接続することができる。すなわち、12本分の巻線12が6つの巻線対に集約されるとともに、巻線対を構成する巻線12どうし間の導通を、作業上の負担なく確保することができる。このため、コイル11からの巻線12をターミナル60に接続するための作業性が向上する。
【0104】
さらに、12本分の巻線12が相ごとに3つの接続部50U、50V、50Wに纏めて接続されるため、駆動回路への接続作業が容易なものとなる。また、接続部分の構成を複雑化させることがない。
【0105】
次に、
図11に示すように、駆動回路が実装された駆動回路基板101を、カバーC(
図4)とともに
図10におけるブラケット30の上方に取り付ける。またこのとき、駆動回路基板101から引き出された、あるいは駆動回路基板101に実装されたU、V、W3相の出力端子(不図示)を、各相の接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wのターミナル60の端子部62に嵌合して接続する。この状態では、ブラケット30と駆動回路基板101との間に確保された間隙に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2が収容される。なお、駆動回路基板101と、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2との間に、絶縁を確保するための部材を挿入してもよい。
【0106】
図11に示すように、本実施例では、軸方向から視て、駆動回路基板101と、接続部50とが、互いに離れた領域に取り付けられる。このため、駆動回路基板101と接続部50との間の干渉を防ぐとともに、カバーCの軸方向の高さを抑制することができる。
【0107】
また、
図11に示すように、駆動回路基板101の近傍には、接続モジュール102(
図4)が設けられ、駆動回路基板101に対して接続モジュール102を介して電源が供給されるとともに、U、V、W3相の出力を制御する入力信号が与えられる。このため、駆動回路基板101内で、接続モジュール102の側から接続部50の側へ、一方向に信号や電力が流れるように駆動回路を実装することができる。このため、回路パターンの合理化により、駆動回路基板101の小型化を図ることができる。また、接続部50U、50V、50Wの並びに合わせて、駆動回路から3相の出力を横並びで出力すればよいため、駆動回路を簡素化することができる。
【0108】
(第3の実施例)
図12および
図13は、接続部の他の構成例を示す斜視図である。
【0109】
図12に示すように、接続部150は、U相に対応する接続部150Uと、V相に対応する接続部150Vと、W相に対応する接続部150Wと、を備える。接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wは、軸心からオフセットした位置で直線状に配列されている。
【0110】
接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wのそれぞれは、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2のそれぞれが圧入されるスリット(スリット61a~61hに相当)が形成されたスリット部を有するターミナル160と、ターミナル160を保持する絶縁性のターミナルホルダ151と、を備える。接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wのターミナルホルダ151は、絶縁性を有する共通のホルダ部材151Aにより構成されている。ホルダ部材151Aは、取り付けねじ157を介して、ブラケット30の表面に取り付けられるが、その絶縁性によりターミナル160とブラケット30との間の絶縁性が確保される。
【0111】
また、ホルダ部材151Aには、巻線対U1を貫通させるための貫通孔155Uと、巻線対V1を貫通させるための貫通孔155Vと、巻線対W1を貫通させるための貫通孔155Wと、が形成されている。貫通孔155U、貫通孔155V、および貫通孔155Wは、それぞれ対応する貫通孔31に対向して設けられる。
【0112】
さらに、ホルダ部材151Aには、巻線対U2を支持するフック部FUと、巻線対V2を支持するフック部FVと、巻線対W2を支持するフック部FWと、が形成されている。これにより、巻線対U1、V1、W1よりも長く引き延ばされた巻線対U2、V2、W2の位置を固定することができる。
【0113】
図12に示すように、接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wのターミナルホルダ151には、それぞれ、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を案内する溝状のガイド(ガイド52に相当)が4つずつ形成されている。
図9に示すように、ガイドの内部に、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端部分が収容される。
【0114】
また、
図12に示すように、接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wのターミナルホルダ151には、それぞれ、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を一時的に保持するための爪部153(爪部53に相当)が設けられている。爪部153は、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2の先端を仮保持する機能を有する。
【0115】
ターミナル160は、導電性を有する金属からなり、8つのスリット(スリット61a~61hに相当)を有する。また、ターミナル160は、駆動回路の各相の出力端子が接続される雄型の端子部162を有する。
【0116】
ここで、端子部162は、軸方向と直交する平面内において、スリットが形成されたスリット部(スリット部61に相当)の領域から立ち上がるのではなく、この領域から外れた位置に設けられる。このため、端子部162の高さ(軸方向の高さ)を抑制することができ、例えば、接続に必要なスペースを抑制できる。
【0117】
図12に示すように、ターミナルホルダ151の形状は、ターミナル160の形状に応じた凹凸を有しており、ターミナルホルダ151にターミナル160を差し込んだときに、ターミナル160が安定してターミナルホルダ151に対し固定される。また、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2がガイド(ガイド52に相当)内に収容された状態で、ターミナル160に対して圧入されるため、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2と、ターミナル160との間の導通を確実なものとすることができる。
【0118】
本実施例では、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2が、スリットに圧入されることによりターミナル160に接続される。このため、フュージングやプロジェクション溶接などを用いる必要がない。このため、耐熱性を有するタングステン材料を用いた電極などを用いることなく、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2をターミナル160に接続することができる。
【0119】
巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wに接続する工程は、巻線対U1、U2、巻線対V1、V2および巻線対W1、W2を、接続部50U、接続部50Vおよび接続部50Wに接続する工程と同様である。
【0120】
図13の例では、接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wのそれぞれに、巻線対U1、V1、W1のみが接続される例、すなわち、接続部150U、接続部150Vおよび接続部150Wに接続されるべき巻線対U2、V2、W2が存在しない例を示している。
図13に示すように、この場合においても、
図12の例と共通のホルダ部材151Aを使用することができる。ただし、ホルダ部材151Aを使用する代わりに、巻線対U2、V2、W2に対応する構成を省略したホルダ部材を使用してもよい。例えば、フック部FU、フック部FV、およびフック部FWを省略してもよい。また、ターミナルホルダ151の形状(溝状のガイド(ガイド52に相当)および爪部153の形状)またはターミナル160の形状(例えば、スリットの数)を、巻線対U1、V1、W1のみに対応する形状としてもよい。
【0121】
以上、実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0122】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0123】
[付記1]
モータ本体(M)と、
前記モータ本体が取り付けられたブラケット(30、230)と、
前記ブラケットに形成された貫通孔(31、231)を介して前記モータ本体に電力を供給する給電構造(40、50、150、240、250)と、
を備えるブラシレスモータであって、
前記ブラケットは、前記モータ本体の軸方向端面を覆うように設けられ、
前記モータ本体は、ステータ(10、210)を備え、
前記ステータは、複数のティース(13A)を有するステータコア(13)と、前記複数のティースに巻装される巻線(12)により形成されるステータコイル(11)とを備え、
前記給電構造は、
相ごとに、
前記巻線の第1のリード部(U1a、U2a、V1a、V2a、W1a、W2a)および前記巻線の第2のリード部(U1b、U2b、V1b、V2b、W1b、W2b)からなる巻線対(U1、U2、V1、V2、W1、W2)と、
前記巻線対のそれぞれをガイドするガイド部(40、240)と、
前記第1のリード部および前記第2のリード部が電気的に接続された接続部(50U、50V、50W、150U、150V、150W、250U、250V、250W)と、を備え、
前記巻線対は、
前記ガイド部によりガイドされた第1部位と、
前記第1部位の軸方向外側端部から前記ブラケットの表面に沿った方向に折り曲げられてなる第2部位とを含み、
前記第1部位は、軸方向に前記貫通孔を貫通し、
前記第2部位は、前記接続部まで延在する、ブラシレスモータ。
【0124】
付記1の構成によれば、巻線対が、ガイド部によりガイドされた第1部位で軸方向に貫通孔を貫通し、さらにブラケットの表面に沿った方向に折り曲げられて、第1のリード部および第2のリード部が互いに接続部に導通した状態で接続部に接続される。このように、巻線対ごとにガイド部が設けられ、巻線対ごとに接続部に接続されるため、組み付け作業を合理化できるとともに、接続のために必要な構成を簡素化することができる。
【0125】
[付記2]
前記給電構造は、
相ごとに、
複数の前記巻線対と、
複数の前記ガイド部と、
を備え、
前記複数の前記巻線対の前記第1のリード部および前記第2のリード部がともに共通の前記接続部に電気的に接続されている、付記1に記載のブラシレスモータ。
【0126】
付記2の構成によれば、複数の巻線対の第1のリード部および第2のリード部がともに共通の接続部に電気的に接続されているので、接続部を相ごとに纏めることができる。接続部の個数を抑制することができるので、組み付け作業が容易となる。
【0127】
[付記3]
一の相に対応する前記巻線対と、他の一の相に対応する前記巻線対とが、前記第2部位において軸方向から視て互いに交差していない、付記1または付記2に記載のブラシレスモータ。
【0128】
付記3の構成によれば、異なる相に対応する巻線間の導通を防止できる。
【0129】
[付記4]
前記第2部位の長さは、前記第1のリード部と前記第2のリード部とで同じであり、かつ、前記巻線対ごとに異なる、付記1~付記3のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
【0130】
付記4の構成によれば、各巻線対の第2部位を直線状に配置することができる。
【0131】
[付記5]
前記第2部位の長さは、対応する前記ガイド部から前記接続部までの距離に対応している、付記4に記載のブラシレスモータ。
【0132】
付記5の構成によれば、各巻線対の第2部位を直線状に配置することができる。
【0133】
[付記6]
前記ブラシレスモータは3相モータであり、
前記ブラケットには、各相に対応した複数の前記貫通孔が形成され、
前記給電構造は、
前記貫通孔のそれぞれに対応する複数の前記ガイド部と、
3相のそれぞれに対応する3つの前記接続部とを備え、
各相の前記巻線対は、各相の前記接続部に接続されている、付記2に記載のブラシレスモータ。
【0134】
付記6の構成によれば、貫通孔ごとに巻線対が貫通され、巻線対が3つの接続部に纏められる。
【0135】
[付記7]
各相の前記接続部は、軸心からオフセットした位置で直線状に配列されている、付記1~付記6のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
【0136】
付記7の構成によれば、複数の接続部は、軸心からオフセットした位置で直線状に配列しているので、軸心の近傍にスペースを確保することができる。
【0137】
[付記8]
前記接続部は、
前記第1のリード部および前記第2のリード部が圧入されるスリットを有するターミナルと、
前記ターミナルを保持する絶縁性のターミナルホルダと、
を備える、付記1に記載のブラシレスモータ。
【0138】
付記8の構成によれば、ターミナルは、第1のリード部および第2のリード部が圧入されるスリットを有するので、フュージングやプロジェクション溶接などを用いることなく、第1のリード部および第2のリード部をターミナルに接続できる。
【0139】
[付記9]
前記ターミナルホルダには、前記第1のリード部および前記第2のリード部を案内する溝状のガイドが形成されている、付記8に記載のブラシレスモータ。
【0140】
付記9の構成によれば、第1のリード部および第2のリード部がガイドに案内されるので、安定して第1のリード部および第2のリード部をスリットに圧入できる。
【0141】
[付記10]
前記ターミナルホルダは、前記ブラケットの表面に取り付けられている、付記8または付記9に記載のブラシレスモータ。
【0142】
付記10の構成によれば、ターミナルホルダにより、ターミナルがブラケットから絶縁される。
【0143】
[付記11]
前記ターミナルは、相ごとに設けられ、各相の前記ターミナルホルダは、共通のホルダ部材(TH、51A、151A)により構成される、付記8~付記10のいずれか1項に記載のブラシレスモータ。
【0144】
付記11の構成によれば、ターミナルホルダを1つの部材により構成できる。
【0145】
[付記12]
ブラシレスモータの製造方法であって、
前記ブラシレスモータは、
モータ本体と、
前記モータ本体が取り付けられたブラケットと、
前記ブラケットに形成された貫通孔を介して前記モータ本体に電力を供給する給電構造と、
を備えるブラシレスモータであって、
前記ブラケットは、前記モータ本体の軸方向端面を覆うように設けられ、
前記モータ本体は、ステータを備え、
前記ステータは、複数のティースを有するステータコアと、前記複数のティースに巻装される巻線により形成されるステータコイルとを備え、
前記ブラシレスモータの製造方法は、
相ごとに設けられた、前記巻線の第1のリード部および前記巻線の第2のリード部からなる巻線対を、軸方向に前記貫通孔を貫通させるステップと、
前記貫通孔を貫通した前記巻線対を前記ブラケットの表面に沿った方向に折り曲げて、第1のリード部および前記第2のリード部を接続部に電気的に接続するステップと、
を備える、ブラシレスモータの製造方法。
【0146】
付記12の構成によれば、巻線対を接続部に接続するので、簡単な組み付け作業で、第1のリード部および第2のリード部を接続部に接続できる。
【0147】
[付記13]
前記巻線対が前記接続部に電気的に接続された状態で前記巻線対を切断して、前記巻線対を前記第1のリード部および前記第2のリード部に分離するステップをさらに備える、付記12に記載のブラシレスモータの製造方法。
【0148】
付記12の構成によれば、巻線対が接続部に電気的に接続された状態で巻線対を切断して、巻線を第1のリード部および第2のリード部に分離するので、ブラシレスモータの軽量化、小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0149】
11 コイル
12 巻線
30、230 ブラケット
31、231 貫通孔
40、240 ガイド部
50、50U、50V、50W 接続部
150、150U、150V、150W 接続部
250、250U、250V、250W 接続部
U1、U2、V1、V2、W1、W2 巻線対
U1a、U2a、V1a、V2a、W1a、W2a リード部
U1b、U2b、V1b、V2b、W1b、W2b リード部