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特開2024-45662情報処理コンピュータ、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045662
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】情報処理コンピュータ、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240326BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240326BHJP
【FI】
G06Q50/163
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024077
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2020171079の分割
【原出願日】2020-10-09
(71)【出願人】
【識別番号】510084297
【氏名又は名称】株式会社ブロードリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】大 山 堅 司
(57)【要約】
【課題】 売買等の譲渡や貸与等の取引を必須とすることなく、財産の取引の機会を見出すことのできる財産管理装置を提供する。
【解決手段】 コンピュータを用いて構成された財産管理装置であって、利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶部と、当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理部と、当該公表管理部が公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する、譲受又は借用の申し込み情報からなる取引申込情報を保持する取引申込情報記憶部と、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産についての市場価値を算出する財産評価部を備える財産管理装置を提供する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて構成され、利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を管理する財産管理装置であって、
利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶部と、
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理部と、
当該公表管理部が公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する取引の申し込み情報からなる取引申込情報を記憶する取引申込情報記憶部と、
前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の取引履歴をもとに、前記公表管理部で公表を管理している財産および公表を管理していない財産の財産価値を評価する財産評価部と、
を備える、財産管理装置。
【請求項2】
前記財産評価部が評価した、利用者が取引を希望しない財産の財産価値を前記利用者に提示する、請求項1に記載の財産管理装置。
【請求項3】
コンピュータを用いて実行される、利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を管理する財産管理方法であって、
利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶ステップと、
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理ステップと、
当該公表管理ステップで公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する取引の申し込み情報からなる取引申込情報を記憶する取引申込情報記憶ステップと、
前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の取引履歴をもとに、前記公表管理部で公表を管理している財産および公表を管理していない財産の財産価値を評価する財産評価ステップとからなる、財産管理方法。
【請求項4】
コンピュータを用いて実行される、利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を管理する財産管理コンピュータプログラムであって、
利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶ステップと、
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理ステップと、
当該公表管理ステップで公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する取引の申し込み情報からなる取引申込情報を記憶する取引申込情報記憶ステップと、
前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の取引履歴をもとに、前記公表管理部で公表を管理している財産および公表を管理していない財産の財産価値を評価する財産評価ステップとからなる、財産管理コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が管理する財産を取引の対象として管理する為の財産管理装置に関し、特に取引の活性化を支援する事のできる財産管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が所有等する財産は不動産であれば登記簿に登録され、自動車などの一部の動産であれば陸運局などに登録されている。しかし、このような登記簿や陸運局の登録は、積極的な公表を前提とするものではなく、その財産を所有等していることを第三者に知らせたい場合などには有効な手段とは言い難い。例えば、趣味で集めたコレクターズアイテムなどは自己が保有していることを自慢する為に第三者に公表したい場合もあるが、従前では個々のブログなどのソーシャルネットワークシステム(SNS)で公表するしか有効な方法は存在しなかった。
【0003】
一方で、利用者が管理する財産を取引の対象とする場合には、取引の対象となる財産を明確にする必要がある。即ち、財産を市場で売買等する為には、少なくとも当該財産に関する情報を公表しなければならなかった。かかる所有物の公表に関する技術として特許文献1(特開2001-167151号公報)が提案されている。この文献の車両売買システムは、売却条件を満たしたときに中古車情報を公開可能とすることが開示されたものである。また自己が所有する財産を公表する場面として商取引がある。例えば特許文献2(特開2002-117340号公報)の自動販売システム及び方法では、外出先での商品の受取りが容易であって、特にユーザ個人の情報の漏洩を防ぐことができる自動販売システムを開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-167151号公報
【特許文献2】特開2002-117340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの技術は商品の売買を目的としており、商品の売買を適切に行うことを可能としたものである。そこで本発明は、売買等の譲渡や貸与等の取引を必須とすることなく、財産の取引の機会を見出すことのできる財産管理装置を提供することを課題の1つとする。
【0006】
また、前記先行技術の様に売買を目的とする場合には、売買する目的物の情報を公表することが必要となるが、その対価をいくらに設定するのが適切なのかを判断するのは困難であった。そこで本発明は、利用者が管理する財産の登録を受け付けて、これを取引の対象として公表するものの、必ずしも譲渡や貸与の対価を設定する必要がなく、当該財産の譲受又は借用を希望する希望者からの申し出を受けられるようにした財産管理装置を提供することも別の課題とする。
【0007】
また譲受や借用を望んでいる財産が存在するものの、その所有者や使用者等を含む管理者が分からない場合も多く、このような場合には取引を開始することができなかった。また自己が所有する財産について、必ずしも譲渡や貸与等の取引を欲してはいないが、条件次第では譲渡や貸与等の取引をしても良い場合も存在する。そこで本発明は、譲渡や貸与等の取引の意思の有無にかかわらず、利用者が管理する財産を公表することができ、譲渡や貸与等の取引の希望者から提示された条件次第で譲渡や貸与などの取引を行うことができるようにした財産管理装置を提供することを、更に別の課題とする。
【0008】
また、特定の財産の譲渡や貸与を欲している場合、対象となる財産次第では不動産登記簿や陸運局の登録を確認することでその所有者や使用者を知ることはできる。しかしこのような登録簿が存在しない場合、例えば財産が腕時計やコレクターズアイテム等である場合には、所有者を知ることができなかった。そこで本発明は、財産の所有者や使用者等を含む管理者を知ることができるようにした財産管理装置を提供することを更に別の課題とする。
【0009】
更に利用者が管理する財産を譲渡又は貸与等の取引をする際、及び財産の譲渡又は貸与等の取引を希望する希望者が申し込みを行う際には、当該財産の価値を知りたい場合も多い。しかしながら、前記特許文献1等で提案されている売買システムでは、販売するものが主観的に価値を定めるものであって、客観的な判断材料が存在しなかった。特に市場価格の算定基準が明確にされていない財産においては、取引の成立には当該財産の価値評価が重要である。そこで本発明は、利用者が管理する財産の価値評価を支援する事のできる財産管理装置、又は譲受又は借用を希望するものが対象となる財産の客観的な価値を提示して、商取引を行うことができる財産管理装置を提供することを更に別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為に、本発明では、取引に対する対価を設定しなくとも取引対象とすることができ、及び/又は取引対象となる財産の価値を把握することができるようにした財産管理装置を提供するものである。
【0011】
即ち本発明に係る財産管理装置は、コンピュータを用いて構成され、利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を管理する財産管理装置であって、利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶部と、当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理部と、当該公表管理部が公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する取引の申し込み情報からなる取引申込情報を記憶する取引申込情報記憶部と、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の取引履歴をもとに、前記公表管理部で公表を管理している財産および公表を管理していない財産の財産価値を評価する財産評価部とを備える。
【0012】
そして前記財産情報記憶部は前記財産特定情報及び/又は前記利用者情報の少なくとも何れかの公表又は非公表を特定する公表特定情報を保持することができ、且つ当該公表特定情報に基づいて、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理部を備えることができる。前記公表特定情報は、前記財産特定情報及び利用者情報の何れも公表しない事も選択可能とすることができる。即ち、前記公表特定情報は、財産特定情報及び/又は利用者情報を公表することを特定する情報の他、公表しない事を特定する情報を含むことができる。かかる公表しない事を選択する際には、財産特定情報及び/又は利用者情報の公表を選択するラジオボックスを設けるか、公表しない事を選択するラジオボックスなどを設けて形成することができる。
【0013】
また前記公表特定情報は、前記公表管理部が公表する為の条件及び公表する範囲の少なくとも何れかを特定する公表条件情報を含むことができる。
【0014】
≪財産の取引支援装置及び取引支援システム≫
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記財産管理装置を用いて取引を行うように構成した財産の取引支援装置(又は財産管理装置)を提供する。
【0015】
即ち、コンピュータを用いて構成され、利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を管理する財産管理装置であって、利用者が管理する財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを保持する財産情報記憶部と、当該財産情報記憶部が保持する公表特定情報に基づいて、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する公表管理部と、当該公表管理部が公表している前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産に対する、譲受又は借用の申し込み情報からなる取引申込情報を保持する取引申込情報記憶部と、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産についての市場価値を算出する財産評価部を備える財産管理装置を提供する。
かかる財産評価部は、財産情報記憶部が保持する財産特定情報を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績から、当該財産の価値を評価することができる。
【0016】
かかる財産取引支援装置において、前記取引希望情報は、前記利用者における前記財産を譲渡するか又は貸与する意思の度合いを段階的に特定するランク情報を含むことができる。また前記取引希望情報記憶部が保持する情報は、更に財産を譲渡するか又は貸与する意思の形成に影響を与える要素を特定する取引要素情報を含むことができ、前記公表管理部が公表を管理する情報として、当該取引要素情報を含むことができる。更に、前記公表管理部によって公表された財産特定情報に対する、譲受又は借用の申し込み情報からなる取引申込情報を保持する取引申込情報記憶部を備えることができる。
【0017】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為に、上記財産取引支援装置(又は財産管理装置)を用いて形成した財産取引支援システム(又は財産管理システム)を提供する。
【0018】
即ち、上記本発明に係る財産取引支援装置(又は財産管理装置)と、当該財産管理装置とネットワークで接続されている前記利用者が操作する利用者端末と、当該財産管理装置とネットワークで接続されている前記財産の譲受又は借用を希望する希望者が操作する希望者端末とからなる財産取引支援システム(又は財産管理システム)であって、当該財産取引支援装置(又は財産管理装置)における公表管理部は、前記財産情報記憶部が保持する公表特定情報に基づいて、前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報を公表すると共に、前記希望者端末から取得した取引申込情報を、前記利用者端末に公表する取引実行部を備える、財産取引支援システム(又は財産管理システム)を提供する。
【0019】
≪財産の評価支援装置及び評価支援システム≫
また本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、前記財産管理装置を用いて財産の価値を評価できるように構成した財産評価支援装置(又は財産管理装置)を提供する。
【0020】
即ち、前記本発明に係る財産管理装置を用いて構成した財産評価支援装置(又は財産管理装置)であって、更に、前記前記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産についての市場価値を算出する財産評価部を備えた財産評価支援装置(又は財産管理装置)を提供する。かかる財産評価部は、前記財産情報記憶部が保持する財産特定情報を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績から、当該財産の価値を評価するか、または当該財産に関する履歴(取引履歴や当該財産の管理者履歴など)情報を提供するものとすることができる。
【0021】
かかる財産評価支援装置(又は財産管理装置)では、更に、前記財産評価部が評価した財産の価値について、ネットワークで接続された外部の鑑定装置から出力された鑑定情報を取得する鑑定情報取得部を備えることができる。
【0022】
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかの課題を解決する為に、上記財産評価支援装置(又は財産管理装置)を用いて形成した財産評価支援システム(又は財産管理システム)を提供する。
【0023】
即ち、上記本発明に係る財産評価支援装置(又は財産管理装置)と、当該財産管理装置とネットワークで接続されている、前記利用者が操作する利用者端末と、前記財産の譲受又は借用を希望する希望者が操作する希望者端末とからなる財産管理システムであって、当該財産評価支援装置(又は財産管理装置)の財産情報記憶部における財産特定情報の保持、若しくは前記利用者端末又は前記希望者端末からの財産の価値評価要求の取得を契機として、前記財産評価部によって財産の価値を評価して評価情報を作成し、当該評価情報を前記利用者端末及び前記希望者端末の少なくとも何れかに公表する財産評価支援システム(又は財産管理システム)を提供する。
また本発明では、上記本発明に係る財産管理装置と、当該財産管理装置とネットワークで接続されており、前記財産の譲受希望者又は借用希望者が操作する希望者端末とからなる財産管理システムであって、前記財産評価部における前記財産の価値の評価は、前記希望者端末からの譲渡又は貸与の申し込み情報の取得を契機として実行され、前記取引申込情報は、当該財産評価部における財産の価値の評価結果と、前記希望者端末から送信された前記財産の譲受又は借用の条件とを取引申込情報として保持する財産管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
上記本発明にかかる財産管理装置は、前記公表管理部が公表する前記財産特定情報及び利用者情報は、当該財産の譲渡又は貸与に対する対価情報を必須の構成要件としていない事から、譲渡又は貸与の対価を特定することなく取引に供することができる。この為、利用者が管理する財産を、例え使現在使用しているものであっても、気軽に取引の対象とすることができ、当該財産の全てを取引対象(即ち、在庫)とすることができる。かかる財産管理装置は、財産情報記憶部が保持する公表特定情報に基づいて、財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表又は非公表を管理する公表管理部を備えていても良い。この場合、財産情報記憶部に保持している財産特定情報及び/又は利用者情報を公表するか又は非公表にするかを、利用者は任意に選択して管理することができる。特に前記公表特定情報は、前記財産特定情報及び利用者情報の何れも公表しない事も選択可能とすることにより、当該財産に関する情報を秘匿化することができる。よって、本発明によって、利用者が管理する有体財産及び無体財産を一元管理することができ、しかも当該財産の公表又は非公表を任意に選択可能とする財産管理装置を提供することができる。
【0025】
特に、公表管理部によって財産特定情報及び/又は利用者情報を公表する場合であっても、当該公表は必ずしも譲渡や貸与を目的とするものではない事から、単に利用者が管理していることを公表する事のできる財産管理装置とすることができる。その結果、第三者においては、財産の所有者や使用者等を含む管理者を知ることができる。すなわち財産の譲受や借用を希望する希望者が取引の相手を知る事のできる財産管理装置を提供することができる。
【0026】
そして前記公表特定情報が、前記公表管理部が公表する為の条件及び公表する範囲の少なくとも何れかを特定する公表条件情報を保有することにより、利用者が保有又は管理する財産の情報の公表タイミングや公表の範囲などを任意にコントロールすることができ、必要に応じて且つ必要な範囲内で財産に関する情報を公表可能とする財産管理装置を提供することができる。
【0027】
更に本発明に係る財産管理装置は、更に前記利用者における、前記財産を譲渡又は貸与する意思の有無を特定する取引希望情報を保持する取引希望情報記憶部を備え、当該取引希望情報は、財産を譲渡しない又は貸与しない事も選択可能であって、前記公表管理部が公表を管理する情報として当該取引希望情報を含むことができる。
【0028】
かかる財産管理装置は、当該財産管理装置が財産情報記憶部に保持する財産特定情報及び/又は利用者情報を公表する際に、当該財産を譲渡又は貸与することを希望するか否かの利用者の意思を明確にすることができることから、当該財産の取引の機会を提供して取引を支援することができる。特に当該利用者における譲渡又は貸与の要求の度合いを段階的に示すランク情報として、これを公表することにより、当該財産特定情報及び/又は利用者情報に接した譲受又は借用を希望する希望者は、取引の可能性を予測することができる。また当該取引希望情報では、必ずしも譲渡又は貸与に対する対価や条件を特定する必要がないことから、利用者が管理する財産について、たとえ使用中の財産であっても取引の対象(即ち在庫)とすることができ、その結果、取引の機会を増加させることができる。
【0029】
更に、前記取引希望情報記憶部が保持する情報として、利用者が管理する財産を譲渡するか又は貸与する為の意思の形成に影響を与える要素を特定する取引要素情報を含み、前記公表管理部が公表を管理する情報として、当該取引要素情報を含む場合には、財産の譲受又は借用を希望する希望者は、当該取引要素情報に基づいて取引の申し込みを行うか否かを判断することができる。
【0030】
そして前記公表管理部によって公表された財産特定情報に対する、譲受又は借用の申し込み情報からなる取引申込情報を保持する取引申込情報記憶部を備えることにより、利用者に対して譲受又は借用の申込があったことを通知することも可能になる。その際、取引申し込み情報が対価や時期などを含む取引条件を含んでいる場合には、これを利用者に通知することもできる。これにより利用者においては、譲渡や貸与の意思の有無にかかわらず、利用者が管理する財産を公表することができ、取引の希望者から提示された条件次第で譲渡や貸与などの取引を行うことができるようにした財産管理装置とすることができる。その結果、利用者が管理する財産について、譲渡又は貸与等の取引の対象となりうるか不明な場合であっても、更には現在使用している財産であっても、気軽に取引対象(在庫)として公表することができる。
【0031】
そして本発明に係る財産管理装置が、前記財産情報記憶部が保持する財産特定情報を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績から、当該財産の価値を評価したり、当該財産に関する履歴(取引履歴や当該財産の管理者履歴など)情報を提供する財産評価部を備える場合には、市場に置ける価値評価の算定基準が存在しない財産であっても、客観的な価値判断を行うことができる。よって、利用者が管理する財産の価値評価を支援する事のできる財産管理装置を提供することができる。
特に取引対象となる財産の譲受又は借用を望んでいる希望者から、取引の申し込みを行う場合には、当該財産評価部における評価結果と共に、取引の条件を利用者(即ち財産の譲渡又は貸与を行う者)に対して取引の申し込みを行うことができる。その結果、利用者においては市場における価値などを考慮した上で、当該取引の申し込みを受諾するか拒絶するかを判断することができる。従って、当該財産管理装置により、利用者は、保有する財産についての取引を安心して行うことができる。更に当該財産評価部における評価結果に対して、外部の専門機関による鑑定結果を付した場合には、当該評価結果についての信頼性を高めて、より一層商取引の活性化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1の実施の形態に係る財産管理装置を示すブロック図。
図2】財産特定情報に含めることができる項目一覧。
図3】利用者情報に含めることができる項目を示したファイル(又はデータベース)構成図。
図4】公表特定情報に含めることができる項目を示したファイル(又はデータベース)構成図。
図5】財産管理システム(財産の公表管理システム)の処理を示すシーケンス図。
図6】利用者端末における財産特定情報及び/又は利用者情報登録画面。
図7】第2の実施の形態に係る財産管理装置を示すブロック図。
図8】利用者端末に表示す取引希望情報の入力画面。
図9】財産管理システム(財産の取引支援システム)の処理を示すシーケンス図。
図10】希望者端末における表示画面。
図11】第3の実施の形態に係る財産管理装置を示すブロック図。
図12】財産評価部における評価結果の出力画面。
図13】財産の公表管理システムを用いた財産の評価支援システムのシーケンス図。
図14】財産管理システム(財産の評価支援システム)のネットワーク構成図。
図15】財産管理システム(財産の取引支援システム)の処理を示すシーケンス図。
図16】評価結果と希望条件とを含む取引申込情報表示画面。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本実施の形態に係る財産管理装置10を具体的に説明する。 特に本実施の形態に係る財産管理装置10は、財産情報記憶部21に保持する財産(対象物)についての情報(財産特定情報85及び/又は利用者情報)を公表するか非公表にするかを管理する「財産の公表管理装置11及び公表管理システム110」、財産情報記憶部21に保持する財産の取引を支援する「財産の取引支援装置12及び取引支援システム120」、並びに財産情報記憶部21に保持する財産の価値の評価を支援する「財産の評価支援装置13及び評価支援システム130」として具体化している。
≪財産の公表管理装置11及び公表管理システム110≫
【0034】
図1は、第1の実施の形態に係る財産管理装置10を示すブロック図を示しており、特に利用者の財産の公表又は非公表を管理する財産の公表管理装置11を示している。
この図1に示す財産管理装置10はコンピュータを用いて構成されており、財産特定情報85と利用者情報と公表特定情報とを保持する財産情報記憶部21と、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報の公表または非公表を管理する公表管理部22を備えて構成される。
当該コンピュータは、情報処理を実行するのに必要な構成を含んでおり、具体的にはプログラムやデータを保持する記憶部23、情報処理を演算し実行するCPU(中央処理装置)24、CPU24で情報処理を実行する際のデータの読み書きを行うメモリ25、CPU24に対する実効指令やCPU24からの情報出力を行う入出力インターフェース26を含む。
そして、前記公表管理部22は、コンピュータにおけるCPU24、メモリ25、及び入出力インターフェース26などを利用して構成することができる。
【0035】
前記利用者が管理する財産は、前記財産が有体財産(有形対象物)である場合には、土地や建物などの不動産情報であって良く、更に土地に付着した樹木などであっても良い。このほか、有体財産として、ワイン・日本酒・ブランデー等を含む飲料、地金・コイン・指輪・ネックレスや時計等を含む貴金属製品、玩具・切手・美術品や工芸品などのコレクターズアイテム、自動車やバイクのほか飛行機や列車を含む乗り物、ゴルフ用品などのスポーツ用品、バッグやケース等の収納物、服や靴などのアパレル用品などを含み、売買取引可能なものであれば、この他の対象物を排除するものではない。もちろん、日用品であってもよい。
また無体財産(無形対象物)である場合には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などの知的財産権である他、営業秘密などの知的財産であるほか、プログラムソースコードなどであっても良い。即ち、本発明に係る財産管理装置10は、所有権又は使用権を確定できるか、資産価値を有するものであれば、特に制限なく管理対象とすることができる。
なお、利用者による財産の管理には、適切な状態を維持して保有する状態に加えて、利用者が所有権を有して所有している状態、利用者とは異なる第三者が所有権を有している財産を単に使用している状態を含む。すなわち、利用者が管理する財産には、利用者が管理する財産に加えて、利用者が所有する財産、利用者が使用している財産を含まれる。
【0036】
前記財産特定情報85は、当該財産管理装置10が管理する財産を特定する為の情報若しくは財産の価値を評価するための情報であって、その内容(または項目)は対象となる財産の種類によって任意に選択することができる。
かかる財産特定情報85は、当該対象となる財産を特定できる情報若しくは財産の価値を評価できる情報であれば良く、特にその財産の価値に影響を与える情報を含むことが望ましい。
【0037】
図2は、当該財産特定情報85に含めることができる項目を示した一覧であり、これらの項目はファイル(又はデータベース)を構成する際の項目とすることができる。この図2に示す様に、当該項目(即ち、対象となる財産特定情報85を構成する情報)は財産の種類によって変えることができる。具体的には、対象となる財産が土地である場合には、「画像」「所在」「広さ」「法規制」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が建物である場合には、「画像」「所在」「広さ」「築年数」「間取」「構造」「法規制」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が車両である場合には、「画像」「所在」「メーカー(ブランド)」「車種」「グレード」「色」「登録年式」「走行距離」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が時計やカバン等の物品である場合には「画像」「所在」「物品名」「メーカー」「状態」「色」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が切手、美術品、工芸品などのコレクターズアイテムである場合には「画像」「所在」「物品名」「メーカー」「状態」「色」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が特許権、実用新案権、意匠権及び商標権などの産業財産権や、著作権、育成者権、回路配置権などの無体財産権である場合には「権利の種類」「内容」「残存期間(又は権利の発生日)」などで財産特定情報85を構成することができる。また、対象となる財産が営業秘密を含むビジネスモデルである場合には「事業内容」「付随する権利」「顧客」「設備」などで財産特定情報85を構成することができる。なお財産の種類ごとに登録される各財産については、これを管理する為の「財産種類識別情報」を付与することができる。
【0038】
前記利用者情報は、前記財産を管理する利用者を特定できれば良い。当該利用者の特定は、直接的であれ、間接的であれ、当該財産を管理する利用者を特定できれば良い。
【0039】
図3は、当該利用者情報に含めることができる項目を示したファイル(又はデータベース)構成図である。特に本実施の形態では、利用者毎に付与する「利用者ID」31の他、利用者を特定し、且つ連絡先情報として使用する為の項目として、「利用者名」「利用者住所」「利用者電話番号」「利用者電子メールアドレス」「SNSのユーザ名」などの利用者連絡先情報32を含むことができる。
更に当該利用者情報を公表する際の表示名としてニックネームを含むこともできる。そして当該利用者情報には、当該利用者が登録している財産に関する情報として、「登録財産」の項目33を設けている。これにより利用者と登録財産との連携を行うことができる。但し、当該利用者と登録財産との連携は、後述する公表特定情報において利用者ID31を設けて管理しても良く、又は利用者ID31と財産種類識別番号40とを別途マスターファイル等で連携させて管理しても良い。
【0040】
前記公表特定情報は前記財産特定情報85及び利用者情報の少なくとも何れかの公表又は非公表を特定する情報で構成することができる。また、当該公表特定情報として、前記財産特定情報85及び利用者情報の何れも公表しない事も選択可能とすることにより、公表を前提としない財産の管理を実現することができる。
【0041】
図4は、当該公表特定情報に含めることができる項目を示したファイル(又はデータベース)構成図である。特に本実施の形態では、財産特定情報85及び/又は利用者情報について公表又は非公表を選択するラジオボックス41を設けることができる。かかる公表特定情報として、公表を選択するラジオボックス41だけを設けるか、又は非公表を選択するラジオボックス41だけを設けることもできる。
【0042】
そして前記公表特定情報は、前記公表管理部22が、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表する条件及び/又は範囲を特定する情報としての公表条件情報42を含むことができる。当該公表条件情報は、公表する時期などの確定した条件である他、為替が所定の金額になったときや他の財産の取引が完了したときなどの外的要因に基づいた公表の条件を設定しても良い。当該公表条件情報に設定した条件を満たしたときには、これを利用者端末51に通知して公表を促すか、又は財産管理装置10において公表処理を実行することができる。
また当該財産に関する情報(即ち、財産特定情報85及び/又は利用者情報)を公表する範囲を特定する情報として「公表範囲」の項目43を設けることができる。かかる「公表範囲」の項目43では、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表する地域的範囲である他、年齢、性別、収入等を選択できるように構成することができる。そして当該公表条件情報は、公表する前記財産特定情報85及び/又は利用者情報の内容を特定する公表内容情報を指定する「公表内容」の項目44を含んでも良い。
【0043】
図4に示した公表条件情報としては、財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表する為の公表条件42(公表日時、外的要因)と、当該財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表する対象者を特定する公表範囲43(公表地域、公表対象者)、及び財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表する際に公表する内容を特定する公表内容44(財産特定情報85又は利用者情報の項目に含まれる特定の情報)からなる項目で形成することができる。
【0044】
以上の様にして財産情報記憶部21に、財産特定情報85及び/又は利用者情報を登録することにより、前記財産管理装置10は、これら財産特定情報85及び/又は利用者情報で特定される財産を管理することができる。特に、財産情報記憶部21に財産特定情報85及び/又は利用者情報を登録した財産がある場合、財産管理装置10は、類似又は関連する他の財産の譲渡又は貸与等の取引に関する取引情報を提供する関連財産取引情報提供部27を設けることが望ましい。
かかる関連財産取引情報提供部27は、財産情報記憶部21に登録した財産特定情報85及び/又は利用者情報で特定される財産に関連する財産の譲渡や貸与などの取引の有無や、取引の条件、取引の時期などの取引情報を、後述する取引申込情報や、ネットワーク上に存在する情報から抽出する。その後、関連財産取引情報提供部27は、これを前記財産特定情報85及び/又は利用者情報を登録した利用者に通知することができる。ネットワーク上に存在する情報の抽出は、人工知能(Artificial Intelligence)によって行うことができる。その際、財産の類似性や関連性については、利用者が、人工知能で抽出する度合いや範囲を設定することが望ましい。
【0045】
上記の関連財産取引情報提供部27が提供する取引情報は、後述する財産評価部30において、財産の価値を評価する為の情報としても使用することができる。
従って、この実施の形態に係る財産管理装置10は、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表するか、非公表にするかを問わず、類似性や関連性を有する財産(関連財産)に関する取引情報や、更には後述する財産評価部30で評価した財産の価値に関する情報を取得するように構成することができる。
公表管理装置11及び公表管理システム110では、当該関連財産取引情報提供部27を設けることにより、現在は取引を希望していない財産に対しても、類似又は関連する財産の取引実績や財産の価値に関する情報を取得することができるようになり、利用者は、当該財産の価値判断の参考に用いることができる。そして利用者は、当該財産の価値判断の結果に応じて、当該財産の譲渡又は貸与等の取引意思を特定する取引希望情報を指定することができる。
【0046】
また当該財産管理装置10では、当該財産特定情報85及び/又は利用者情報が公表されているか非公表であるかに関わらず、財産情報記憶部21に登録した財産特定情報85及び/又は利用者情報で特定される財産についての取引が成立した際に、その取引の履歴を公表する取引履歴公表部28を設けても良い。
かかる取引履歴公表部28が公表する取引の履歴は、取引対象となる財産に関する情報(取引財産情報)、取引の日付、取引の金額などの他の取引の参考となる情報を含むことができ、利用者や希望者等の取引当事者を特定できる個人情報は公表しないように設定することができる。
【0047】
以上の構成からなる財産管理装置10(財産の公表管理装置11)は、更にネットワークで接続されている、前記利用者が操作する利用者端末51と、前記財産の譲受又は借用を希望する希望者が操作する希望者端末52とで財産管理システム100(財産の公表管理システム110)を構築することができる。
かかる財産管理システム100(財産の公表管理システム110)では、利用者端末51から入力又は送信されるか、或いはネットワークを介して収集した財産特定情報85及び/又は利用者情報を財産情報記憶部21に保持することができる。
【0048】
図5は、当該財産の公表管理装置11を用いて構築した財産管理システム100(財産の公表管理システム110)の処理を示すシーケンス図であり、図6は、利用者端末51から財産特定情報85及び/又は利用者情報を登録可能な画面を示している。
【0049】
財産管理システム100(財産の公表管理システム110)は、最初に利用者端末51から送信されるか又はネットワーク上に公表されている情報から財産特定情報85及び/又は利用者情報を収集し、これらを財産情報記憶部21に登録する。
図5に示す様に、利用者端末51から財産特定情報85及び/又は利用者情報を登録する場合、当該利用者端末51は、前記公表管理装置11にネットワークを介して接続することで、図6に示す入力画面を表示させる(S51)。利用者は、予め利用者情報を登録しておくこともでき、この場合、入力画面での利用者情報の入力を省略することができる。
かかる入力画面を用いて、利用者が、財産管理装置10(財産の公表管理装置11)に登録する財産を特定できる情報を入力する(S52)。当該入力する情報の項目は前記図2に示したように、対象となる財産の種類に応じて変えることができる。
この為、当該入力画面は財産の種類(より詳細には上記の「財産種類識別番号40」)によって分類して表示する。希望者が財産の種類を特定する事によって、入力画面では、分類された入力項目を段階的に表示することもできる。
このときの入力画面の例を図6に示している。図6(A)では、対象となる財産として、「不動産>土地」を選択した場合の入力画面を示しており、図6(B)では、「動産>自動車」を選択した場合の入力画面を示している。
【0050】
続いて、財産管理装置10(財産の公表管理装置11)は、当該財産特定情報85及び/又は利用者情報を取得する。ネットワーク上に公表されている情報から当該財産特定情報85及び/又は利用者情報を収集する場合、当該利用者情報は、当該ネットワーク上のURLや、当該情報を掲載している者に関する情報を使用することができる。
そして、財産特定情報85は、当該ネットワーク上に掲載されている情報そのものとするほか、その情報から必要な情報を抽出又は追加するなどの加工を施した新たな情報とすることができる。
【0051】
かかる財産特定情報85及び/又は利用者情報の取得の際に又は取得後に、利用者は、利用者端末51を用いて公表特定情報および/又は公表条件情報の入力を行うことができる。これにより、財産管理装置10(財産の公表管理装置11)は、これらの情報について公表するか、又は非公表とするかを特定する公表特定情報を取得し(S53)、これを財産情報記憶部21等で保持する(S54)。
続いて、財産管理装置10(財産の公表管理装置11)では、当該公表特定情報に基づいて、取得した財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表又は非公表のいずれかに設定する処理を実行して(S55)、各情報を公表又は非公表の状態で保持する。
特に、かかる公表特定情報が、前記公表条件情報を含んでいる場合には、当該公表条件情報に従って、これらの情報を公表する条件及び公表する範囲の少なくとも何れかを制御または選択する(S56)。
【0052】
以上のように構成した財産管理システム100(財産の公表管理システム110)では、利用者情報に関連付けて前記財産特定情報85を保持することとなり、当該利用者は、登録した財産を一元管理することができる。また、利用者においては、登録した財産のうち、特定の財産の公表の有無、公表時期や公表条件等を任意に設定することによって、財産を適切に管理することができる。
【0053】
よって、財産管理装置10は、利用者が管理する財産を一元管理し、当該財産の公表又は非公表を任意に選択可能としている。更に、売買等の譲渡や貸与等の取引を必要とせずに登録しておくことができるため、利用者は、財産管理装置10を、当該財産の管理等の所望の形態で使用することができる。
【0054】
≪財産の取引支援装置12及び取引支援システム120≫
図7は、第2の実施の形態に係る財産管理装置10を示すブロック図を示しており、特に利用者の財産の取引を支援する財産の取引支援装置12を示している。この図7に示す財産管理装置10(財産取引支援装置12)はコンピュータを用いて構成されており、前記第1の実施の形態に示した財産管理装置10(財産の公表管理装置11)に対して、更に前記利用者における、前記財産を譲渡又は貸与等の取引意思の有無を特定する取引希望情報81を保持する取引希望情報記憶部29を備えて構成している。
かかる取引希望情報81は、財産を譲渡又は貸与等の取引をしない事も選択可能な情報であって、任意のタイミングで設定できる。取引希望情報81が設定できることによって、取引希望の有無にかかわらず、財産に関する情報の登録を利用者に促すことができる。また、当該取引希望情報81は、前記公表管理部22が公表を管理する情報として取引条件情報82を含むことができる。
【0055】
即ち、本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、財産情報記憶部21に保持する情報の公表又は非公表を管理する他、更に譲渡又は貸与等の取引を行うか否かを選択もできるように構成されている。従って利用者は、取引を希望しない財産についても安心して登録することができる。
【0056】
この図8に示す入力画面は、前記図6(B)で示す入力画面で入力可能な情報に加えて、取引希望情報81を入力できる入力欄が設けられている。そして、この取引希望情報81の入力欄に入力された情報は、取引希望情報記憶部29にファイル形式またはデータベース形式で記録することができる。
【0057】
取引希望情報81は、当該財産管理装置10(財産の取引支援装置12)が管理する財産について、利用者が譲渡又は貸与等の取引を希望する情報を含み、更に当該財産を譲渡や貸与等の取引をしない事も選択できる情報をも含む。かかる取引希望情報81は、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報を公表するか否かを特定する公表特定情報に関連することなく選択できる情報であっても良い。
例えば、取引希望情報81は、前記財産特定情報85や利用者情報を公表しないが、譲渡又は貸与等の取引することを希望する情報を含むこととしても良い。特に、当該取引希望情報81は、財産を譲渡又は貸与等の取引をしない事を選択肢の1つとする情報とすることにより、財産管理装置10は、譲渡又は貸与等の取引を希望せずに財産の公表だけを可能とする。
【0058】
また当該取引希望情報81は、任意ではあるが、譲渡又は貸与等の取引に対する対価、時期、及び譲渡又は貸与等の取引の対象となる範囲(取引相手となる対象者の範囲や地域、又は取引の対象となる財産の範囲)等の取引条件を特定する取引条件情報82を含むことができる。
但し、本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、その財産を管理している者(利用者)を公表することが重要であることから、当該譲渡又は貸与等の取引をする為の対価などの取引条件の特定は必ずしも必要ではない。
当該取引条件は譲受や借用を希望する取引の希望者からの提示を待って判断することもできる。即ち、本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、その財産の所有者、使用者又は管理者を特定することと、利用者における譲渡又は貸与等の取引意思とが公表できれば良い。
これにより、取引支援装置12は、利用者に対して財産の管理を提供するとともにその財産の取引の機会を提供することとなる。さらに、取引支援装置12は、財産の譲受又は借用を希望する希望者にも当該財産の取引の機会を提供することができる。
【0059】
本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の取引支援装置12)において、前記取引希望情報81は、利用者における前記財産を譲渡するか又は貸与する意思の度合いを段階的に特定するランク情報83を含むことができる。
当該ランク情報83は、利用者における譲渡又は貸与等の取引をしたい意思の度合いを特定する情報で構成することができる。このランク情報83は、図8に示す様にスライダ形式で形成する他、「譲渡(又は貸与)したい」、「譲渡(又は貸与)しても良い」、「条件次第で譲渡(又は貸与)しても良い」、「譲渡(又は貸与)しない」等の譲渡又は貸与等の取引意思を、複数の段階を特定する数字や記号を用いて段階的に特定する情報を含むことができる。かかるランク情報によって希望者は取引開始の判断を行うことができ、またランク情報に基づいて表示順を変更でき、更に当該ランク情報を抽出項目とすることができる。
【0060】
そして、前記取引希望情報記憶部29が保持する情報は、更に財産を譲渡するか又は貸与する意思の形成に影響を与える要素を特定する取引要素情報84を含むことができる。前記公表管理部22が公表を管理する情報として、当該取引要素情報84を含むことができる。
【0061】
かかる取引要素情報84は、取引条件ではないものの、譲渡又は貸与等の取引をしたくなる要素を特定する情報で構成することができる。当該取引要素情報84は、譲渡又は貸与等の取引に対する対価のみならず、譲渡又は貸与等の取引を行う希望者の所在や時期、年齢、性別など、利用者が所有する財産を譲渡又は貸与等の取引をしても良いと判断する上で有効な情報とすることができる。
図8に示す例では、「車に詳しい事」を取引要素情報84としている。かかる取引要素情報84も公表することにより、当該要素を満たした希望者は、当該財産に対して譲渡又は貸与の申し込みを行いやすくなり、取引を促進することができる。
【0062】
また本実施の形態に係る財産管理装置10は、公表した財産特定情報85や利用者情報を閲覧した希望者からの譲受又は借用等の取引の申し込みを受け付けるように構成することができる。即ち、前記財産管理装置10は、更に、前記公表管理部22によって公表された財産特定情報85で特定される財産に対する、譲受又は借用等の取引の申し込み情報からなる取引申込情報を保持する取引申込情報記憶部20を備えることができる。
取引申込情報記憶部20を設けることにより、財産管理装置10は、取引交渉を支援することができる他、管理している財産に対する取引の経緯や履歴の情報を保持することができ、これらの情報を後述の財産評価部30における評価処理に利用することができる。
【0063】
かかる取引申込情報は、公表管理部22によって公表されている財産特定情報85及び/又は利用者情報の公表について、当該財産の譲渡又は貸与等の取引の申し込みの意思を特定する情報が含まれる。更に取引申込情報は、譲渡又は貸与等の取引を行う取引条件や、譲渡又は貸与等の取引を希望する希望者の情報を含むことができる。
【0064】
図9は、当該財産管理装置10(財産の取引支援装置12)を用いて構築した財産管理システム100(財産の取引支援システム120)の処理を示すシーケンス図であり、利用者端末51における入力画面は前記図8に示した処理と同一である。
また図10には、当該財産管理装置10(財産の取引支援装置12)にネットワークを介して接続されている希望者端末52に表示される「(A)財産特定情報85及び利用者情報の表示画面」、「(B)取引申込情報入力画面」を示している。
【0065】
図9に示す、財産管理システム100(財産の取引支援システム120)のシーケンス図は、図5に示した、財産管理システム100(財産の公表管理システム110)のシーケンス図に、更に希望者端末52を付加して構成したものである。この希望者端末52は、財産特定情報85及び/又は利用者情報が公表されている財産に対して、その譲受や借用等の取引を希望する希望者が操作する端末である。
【0066】
かかる財産管理システム100(財産の取引支援システム120)における財産の譲渡や貸与等の取引に先立ち、利用者は、管理する財産の登録処理を実行する。かかる財産の登録処理は、前記図5で示した通り、利用者が利用者端末51を用いて登録するか、又は取引支援装置12がネットワーク上に公表されている情報を収集して登録するかのいずれかである。
【0067】
財産情報記憶部21に保持する財産特定情報85及び/又は利用者情報は、公表特定情報において公表することが選択された場合、希望者端末52等の外部端末からアクセスすることが可能となる。
但し、財産特定情報85及び/又は利用者情報は、特定の者(地域)又は特定の期間だけ公表するなどの公表の範囲を限定し、一部公表とすることもできる。なお、当該入力画面の表示(S51)から、公表条件情報に従ってこれらの情報を公表する条件及び公表する範囲の少なくとも何れかを制御または選択する(S56)までの処理は、前記図5と同じであるため、同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0068】
そして、本実施の形態に係る財産管理装置10は、特に財産の取引を支援するものであることから、更に、前記利用者における、前記財産を譲渡又は貸与等の取引をする意思の有無を特定する取引希望情報81を取得し(S57)、これを取引希望情報記憶部29に保持する。
取引希望情報81は、利用者端末51からの入力や選択の他(S50)、ネットワーク上に取引対象として掲載されているか否かに基づいて取得することができる。かかる取引希望情報81は、前記財産特定情報85及び/又は利用者情報の登録時点において、当該財産を譲渡又は貸与等の取引をしない事を示す情報で構成できるが、利用者における任意のタイミング、又は後述の取引希望情報81の内容に応じて取引を行うように設定することができる。そして、当該取引希望情報記憶部29に保持した取引希望情報81は、前記公表管理部22において公表することもできる(S58)。
【0069】
特に当該取引希望情報81には、譲渡又は貸与等の取引を行う場合の前記取引条件情報82、前記ランク情報83、及び前記取引要素情報84の少なくとも何れかを含むことができ、前記公表管理部22ではこれらの情報も公表することができる。
【0070】
財産管理装置10(財産の取引支援装置12)で公表されている財産特定情報85及び/又は利用者情報は、その譲受や借用等の取引を希望する者が操作する希望者端末52から閲覧することができる(S58)。
図10(A)は、当該希望者端末52における財産特定情報85及び/又は利用者情報の表示画面の一例を示す。希望者は、当該希望者端末52を操作して、探している財産の有無を検索することができる。このときの検索対象となる財産は、必ずしも利用者において譲渡や貸与等の取引を希望することが設定されたものではなく、またその対価も特定されている必要はない。
希望者に対しては、欲している財産について取引相手などの情報を提供するだけで、取引の機会を提供することができ、十分に取引支援を行うことができる。特に図10(A)は、取引対象となる財産が動産の自動車である場合の表示画面を示しており、利用者において公表を希望しない項目には「--」が表示されている。
【0071】
このようにして、希望者は、財産管理装置10(財産の取引支援装置12)によって公表されている財産特定情報85及び/又は利用者情報を、希望者端末52を用いて検索・閲覧する(S58)。そして、希望者が取引を希望したい財産を検索した場合、希望者は、その財産について公表されている前記譲渡又は貸与等の取引の条件情報、ランク情報83、及び取引要素情報84等から、取引交渉を行うか否かを判断することができる。
そして、取引交渉を行う場合、希望者は、希望者端末52を操作することによって図10(B)に示す取引交渉画面を表示させて当該財産についての譲受又は借用等の取引の申し込み情報である取引申込情報を入力する(S59)。
この図10(B)に示す取引交渉画面では、譲受又は貸与等の取引の希望金額、譲受又は貸与の希望時期、貸与にあっては希望期間などの取引に関する取引希望条件情報101と、希望者自身を特定することができる取引希望者情報102からなる取引申込情報を入力する。この取引希望情報102として、例えば、住所、氏名、電話番号、電子メールアドレス、又はSNSのアカウント名などの情報が含まれる。
【0072】
以上の操作によって入力された取引申込情報を、財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、取引申込情報記憶部20に記録する(S60)。そして、当該財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、前記取引申込情報記憶部20に記録した取引申込情報の全て、又は任意に選択した項目を抽出して、これを取引実行部35により利用者端末51に任意のタイミングで公表する(S61)。
【0073】
そして、財産管理装置10(財産の取引支援装置12)から公表された当該取引申込情報を利用者端末51が取得すると(S62)、利用者は、取得した取引申込情報に基づいて取引を行うか否かを判断することができる。このときの当該取引は従前の取引の手法によって行うことができる。
【0074】
上記の処理を行うことにより、取引の希望者などの第三者は、財産を管理している利用者を知ることができるようになる。
財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、利用者が管理する財産に対する取引交渉を行う機会を提供することができる。特に、取引希望情報81が、財産を譲渡又は貸与等の取引する条件情報、ランク情報83、及び取引要素情報84の少なくとも何れかを含み、これらも公表する場合には、取引の希望者などの第三者は、当該財産の取引の可能性を客観的に知ることができる。
そして、財産管理装置10(財産の取引支援装置12)は、利用者が管理する財産の譲渡や貸与等の取引意思の有無にかかわらず公表することができ、譲受や貸借等の取引の希望者から提示された条件次第で譲渡や貸与などの取引を行うことを促進できる。
よって、本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の取引支援装置12)及び財産管理システム100(財産の取引支援システム120)は、利用者が管理する財産の全てを取引対象(即ち、取引における在庫)とする事ができるようになり、従来にはない、利用者が管理する財産を、取引の意思にかかわらず取引対象(即ち、在庫)にするという新たな形態の取引を支援することができる。
【0075】
≪財産の評価支援装置13及び評価支援システム130≫
図11は、第3の実施の形態に係る財産管理装置10を示すブロック図であり、図11(A)は、財産の公表管理装置11を用いて形成した評価支援装置13のブロック図を示し、図11(B)は、財産の取引支援装置12を用いて形成した評価支援装置13のブロック図を示している。
図12は、財産評価部30における評価結果を出力した出力画面を示している。
本実施の形態にかかる財産管理装置10は、コンピュータを用いて構成しており、特に利用者の財産の評価を支援する財産の評価支援装置13である。
【0076】
かかる財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、上記に示す第1の実施形態又は第2の実施形態に示した財産管理装置10の構成に加えて、財産評価部30を設けた構成である。
当該財産評価部30は、コンピュータのCPU24、メモリ25、及び入出力インターフェース26などで構成することができる。当該財産評価部30は、前記財産情報記憶部21が保持する財産特定情報85を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績(「取引履歴」ともいう)から、当該財産の価値を評価するものとして構成している。
【0077】
当該財産評価部30は、財産管理装置10(財産の公表管理装置11又は財産の取引支援装置12)における財産情報記憶部21に保持している財産特定情報85に基づいて、当該財産を評価する。かかる財産の評価は、評価対象となる財産と同一又は類似の財産についての現在又は過去の取引実績を用いて行うことができる。また利用者情報によって特定される利用者が誰であるのかも当該財産の評価に使用することができる。
特に、評価対象となる財産そのものと同種の財産が、過去に取引された実績がある場合、財産評価部30は、その取引実績を用いて当該財産の価値を算出することができる。また、価値評価において、評価対象となる財産と関連性を有する財産についての現在又は過去の取引実績によっても当該財産の価値を算出することができる。
これらの財産の価値の算出は、過去の取引実績を当該財産の価値とするほか、過去の取引実績となる価値に一定の増減率や当該財産の状態によって定められる係数などを乗算する演算を行うことによって算出することもできる。
また、現在又は過去に取引が成立又は不成立であった取引実績そのものを当該財産の評価情報として価値の算出に用いることもできる。なお、財産の同一性は、上記する財産の種類を示す「財産種類識別番号」が同一か否かによって判断することができる。
【0078】
また、財産(即ち、取引対象)の価値を評価する為の現在又は過去の取引実績としては、譲渡又は貸与等の取引の実績のみならず、取引の経緯情報や、当該取引実績における真贋鑑定などの情報も使用することが望ましい。このほか、取引に際しての価値を評価する場合には、平均的な取引金額、最大金額又は最小金額を算出しても良い。
更に、財産(取引対象)の製造時点や販売時点等の初期段階における初期履歴の情報のほか、財産のメンテナンスや保管等の利用段階における利用履歴(特に、メンテナンス履歴や保管履歴とも称する)の情報などに代表される財産の状態を示す情報が存在する場合、その履歴情報に基づく市場価値を考慮して評価結果を提示することもできる。
【0079】
従って、前記財産評価部30における財産の価値の評価は、例えば図12に示す様な現在又は過去における取引実績の他、図示していないが、取引の経緯情報、真贋鑑定情報や、当該財産の状態、当該財産の管理者を示す情報も含むことができる。
【0080】
特に、本実施の形態に係る評価支援装置13は、譲渡又は貸与等の取引を希望しない財産も評価の対象としているため、これまでの取引実績を考慮して財産を評価する事で、利用者は、対象となる財産の適正な価値を容易に知ることができる。さらに、利用者は、その財産に関する適正な価値を取引の希望者に対して知らせることもできる。その結果、当初は譲渡又は貸与等の取引を希望しない財産についても、希望者からの申し込みを受けるなどによって、取引対象の財産とすることができ、取引の促進につながる。
【0081】
上記の本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、財産特定情報85及び/又は利用者情報を財産情報記憶部21に保持して管理するものである。少なくとも利用者情報を財産情報記憶部21に記録しておくことにより、評価支援装置13は、利用者情報に基づいて財産を管理することができる。その結果、特定の利用者が管理している財産について、その価値を評価することもできる。
従って、本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、例えば、前記財産情報記憶部21に保持している利用者情報に基づいて、当該利用者が管理している財産を特定し、その価値を評価することにより、当該利用者が財産を譲渡又は相続等の取引をする際の価値を算出することもできる。また当該財産の譲渡先又は相続先などの取引先を特定する事で、利用者が管理している財産について、価値を評価した上で管理しておくこともできる。
また、当該財産の譲渡先又は相続先などの取引先を特定しておくことで、当該財産とその財産の取引先とからなる内容についての遺言の作成にも資することができる。さらに、利用者、財産、及び相続人の情報を特定のコンピュータ(遺言作成装置など)に送信することで、この遺言作成装置が遺言状を作成することができる。
【0082】
更に本実施の形態に係る財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、ネットワークで接続された外部の鑑定装置から鑑定情報を取得する鑑定情報取得部を備えても良い。かかる鑑定情報は、前記財産評価部30が評価した財産の価値の妥当性・正当性や対象財産の真贋に関する鑑定情報として良い。
かかる鑑定情報を取得する為に、当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、外部の鑑定装置に対して、財産特定情報85と、財産評価部30が評価した財産の価値情報とを送信するほか、必要に応じて財産の利用者情報を送信する。これらの情報は、財産情報記憶部21において財産特定情報85を記録したタイミングのほか、前記利用者端末51及び/又は希望者端末52からの鑑定を要求する鑑定要求情報を取得したタイミングで送信してもよい。
【0083】
外部の鑑定装置では、これらの情報を取得すると、当該情報と、当該外部の鑑定装置が保有する情報やネットワーク上に公表されている情報に基づいて、前記財産評価部30における財産の評価情報の妥当性又は正当性を評価又は鑑定する。そして、外部の鑑定装置は、その結果(評価結果または鑑定結果)を前記財産管理装置10(財産評価支援装置13)に出力する。当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、鑑定情報取得部において、外部の鑑定装置から出力された鑑定情報を取得する。
【0084】
上記の鑑定情報としては、鑑定装置が評価した結果に基づく価値情報である他、前記財産評価部30における評価結果の妥当性・正当性を示す情報や、財産評価部30の評価結果を認証した情報で構成することができる。このほか、鑑定情報は、真贋鑑定結果を示す情報によっても構成することができる。
このときの外部の鑑定装置は、評価の対象となる財産の種類ごとに異なる装置を使用することもできる。例えば、評価対象の財産が「不動産」である場合、不動産の取引情報や登記情報を保持する鑑定装置を使用することができる。また、評価対象の財産が「自動車」である場合には、自動車の取引情報や当該自動車の所有者や使用者等の利用者の情報を保持する鑑定装置を使用することができる。
従って、評価支援装置13では、鑑定に使用する鑑定装置を財産の種類に関連付けて鑑定装置特定情報として保持しておき、この鑑定装置特定情報に基づいて最適な鑑定装置で鑑定を行うことができるようにしておくことが望ましい。
【0085】
図13は、前記財産管理装置10(財産の評価支援装置13)を用いて形成した財産管理システム100(財産の評価支援システム130)のシーケンス図である。本実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、前記図5のシーケンス図に示した財産管理システム100(財産の公表管理システム110)における財産管理装置10(財産の公表管理装置11)が、財産の価値を評価する財産評価部30をさらに備えて形成している。
【0086】
即ち、この実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)では、財産管理装置10(財産の公表管理装置11)の財産情報記憶部21に保持された財産、即ち譲渡又は貸与等の取引意思を問わず、また公表か非公表かを問わない財産について、その価値を評価するものとして構成している。
【0087】
具体的には、利用者端末51を用いた利用者による操作、又は当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)におけるインターネット上の情報収集によって、評価支援装置13は、財産特定情報85を財産情報記憶部21に記憶する。
続いて、当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)の財産評価部30は、当該財産情報記憶部21が保持する財産特定情報85を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績から、当該財産の価値を評価する評価処理を実行する。
かかる評価処理の実行は、財産情報記憶部21への財産特定情報85の記録のときに行う他、当該財産情報記憶部21に財産特定情報85を記録した後における任意のタイミング(例えば利用者端末51からの評価要求を受信したこと)で実行することができる。
例えば、図13では、財産情報記憶部に情報を保持する処理(S54)の後に、利用者端末51は、評価支援装置13に財産評価要求の指示を送信する(S63)。この財産評価要求を取得した財産管理装置(財産の評価支援装置13)は、当該財産価値評価処理(S64)を実行しているが、これに限らず任意のタイミングで財産価値評価処理を実行することができる。なお、図13のシーケンス図においては、図5に示すシーケンス図の処理と同じものについては同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0088】
特に本実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、前記図5に示したシーケンス図における財産管理システム100(財産の公表管理システム110)に基づく処理であることから、評価対象の財産は公表するものに限られず、非公表のものも含まれる。
この為、当該財産管理システム100(財産の評価支援システム130)においては、譲渡や貸与等の取引を目的とせず、第三者への公表も目的としない財産についても、その価値を評価することができる。
従って、使用者が管理する財産についての価値評価結果は、譲渡や貸与等の取引意思を必要とすることなく、且つ公表を必要とすることなく、取得することができる。
そして、当該価値情報を取得した利用者は、当該価値を参考にした上で、財産の譲渡又は貸与等の取引を再検討することができるようになる。その結果、利用者は、当初、譲渡又は貸与等の取引を希望していない財産を、価値情報によって譲渡又は貸与等の取引対象の財産へと変更することができる。このとき、利用者は、取引希望情報81を前記取引希望情報記憶部29に記録することができる。
【0089】
よって、本実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)により、利用者自身が管理している財産についての取引(譲渡又は貸与等の取引を含む)の機会を提供することができる。これは、利用者自身が管理している財産を、単なる管理している状態の財産から、取引における取引対象(在庫)の財産へと変更することを可能とするものであって、取引の機会を促進させるものとなる。
【0090】
そして本実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)では、更に、前記財産評価部30が評価した財産の価値について、鑑定情報を生成する外部の鑑定装置を設けている。
図14は、財産管理システム100(財産の評価支援システム130)のネットワーク構成図である。この図14に示す様に当該財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、評価支援装置13、利用者端末51及び鑑定装置53をインターネットなどのネットワークで接続している。
【0091】
当該外部の鑑定装置53は、前記財産評価部30が作成した評価結果に対して、その妥当性を含めた鑑定結果を出力することができる。本実施の形態において、前記財産評価部30の評価結果は、当該財産管理システム100(財産の評価支援システム130)における客観的な評価を信頼づけるものとして使用することができる。かかる鑑定装置53は、外部専門機関に設けた装置を使用することができ、この場合、財産支援装置13は、当該外部専門機関における装置に鑑定を依頼して鑑定結果を受信することで、この鑑定結果とともに取引条件の提示を行う事が可能になる。
【0092】
かかる鑑定装置に対する鑑定依頼は、前記財産評価部30における評価情報の作成後であり、当該評価情報を、前記財産管理装置10(財産の評価支援装置13)が所定のタイミングで鑑定装置に送信する。このほか、利用者端末51からの鑑定依頼を要求する鑑定依頼情報の取得を契機に、前記財産管理装置10(財産の評価支援装置13)が、当該評価情報を鑑定装置に送信することもできる。そして、鑑定装置において鑑定情報が生成されると、前記財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、鑑定情報取得部において当該鑑定情報を取得する。
【0093】
また前記財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、前記図9に示した処理を実行する財産管理システム100(財産の取引支援システム120)を用いて構成することもできる。
図15は、財産管理システム100(財産の取引支援システム120)を利用して形成した財産管理システム100(財産の評価支援システム130)の処理を示している。この図15において、図9に示した処理と同じ処理については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態に係る財産管理システム100(財産の評価支援システム130)における財産管理装置10(財産の評価支援装置13)は、前記財産の価値を評価する財産評価部30を備えて構成されており、前記図14に示したネットワークに、希望者端末52を接続して形成することができる。
また当該財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、財産管理装置10(財産の取引支援装置12)の財産情報記憶部21に保持された財産、即ち公表管理部22によって公表され、譲渡又は貸与等の取引意思を有する財産について、その価値を評価するものとして構成している。
【0094】
かかる財産管理システム100(財産の評価支援システム130)における処理は、前記図9に示した財産管理システム100(財産の取引支援システム120)と同様に、最初に利用者が管理する財産の登録処理が実行される。かかる財産の登録処理は、前記図5で示した通り、利用者端末51から送信されるか、又は評価支援装置13がネットワーク上に公表されている情報(財産特定情報85及び/又は利用者情報)を収集することで行われる。この財産特定情報85及び/又は利用者情報は、公表されていることが望ましく、且つ譲渡又は貸与等の取引を行うことを前提とすることが望ましいが、その取引における対価や時期を含む条件については、特定する必要はない。
【0095】
この取引支援システム120においても、取引対象となる財産についての価値評価結果を取得することができる。具体的には、最初に、利用者が利用者端末51を操作すること、又は当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)がインターネット上から情報を収集することによって、財産特定情報85を財産情報記憶部21に記憶する(S54)。 当該財産管理装置10(財産の評価支援装置13)の財産評価部30は、取引希望情報を取得することによって(S57)、当該財産情報記憶部21が保持する財産特定情報85を使用して、当該財産と同一又は類似の財産についての現在または過去の取引実績から、当該財産の価値を評価する評価処理を実行する(S66)。
【0096】
かかる評価処理の実行(S66)は、財産情報記憶部21への財産特定情報85の記録のときに行う他、当該財産情報記憶部21に財産特定情報85を記録した後における任意のタイミングで実行することができる。
例えば、評価処理の実行(S66)は、利用者端末51からの評価要求の指示(S65)によって実行する他、公表されている財産情報に接した希望者端末52からの当該財産に対する評価要求の指示によって実行することができる。
【0097】
上記財産評価部30における評価結果の情報は、財産管理装置10(財産の評価支援装置13)の記憶部に保持する他、必要に応じて利用者端末51や希望者端末52に送信することができる。具体的には、利用者端末51及び希望者端末52の両方に送信する他、前記評価要求の指示を行った利用者端末51又は希望者端末52に送信することができる。このほか、前記評価要求の指示に際して指定した利用者端末51又は希望者端末52に送信することとしてもよい。
【0098】
特に取引対象となっている財産について、譲受や借用を望んでいる希望者にあっては、取引交渉に際して、当該財産評価部30における評価結果を付して交渉を行うこともできる。
図16は、当該財産評価部30における評価結果161と、希望者における譲受又は借用の希望条件とを含んだ取引申込情報162を表示した画面である。
取引の希望者は、譲受や借用を希望する財産についての評価結果を取得し、これを考慮した上で利用者に対して提示する対価や時期などの取引条件を特定する。そして、希望者は、取引条件を取引申込情報162として利用者に提示することができる。これに対して、利用者は、客観的な評価結果である市場価値を考慮した取引条件に基づいて取引を行うか否かを判断することができる。
【0099】
特に、財産管理システム100(財産の取引支援システム120)を元に構築した財産管理システム100(財産の評価支援システム130)は、利用者が管理する財産を、取引における潜在的な在庫(即ち取引対象)として公表することができる。
また、財産の評価支援システム130は、当該在庫(即ち取引対象)に対して客観的な価値評価を行い、その結果を利用者又は希望者に提供することができる。
従って、財産の評価支援システム130は、当該在庫(即ち取引対象)を管理する利用者に対して、客観的な評価結果である市場価値を考慮した取引条件を提供することができる。
利用者は客観的な評価結果である市場価値が提供されることによって安心でき、取引に応じる可能性が高まり、結果として商品の取引機会が増加することになる。
【符号の説明】
【0100】
10 財産管理装置
11 公表管理装置
12 取引支援装置
13 評価支援装置
20 取引申込情報記憶部
21 財産情報記憶部
22 公表管理部
27 関連財産取引情報提供部
28 取引履歴公表部
29 取引希望情報記憶部
30 財産評価部
32 利用者連絡先情報
42 公表条件情報
43 公表範囲情報
51 利用者端末
52 希望者端末
53 鑑定装置
81 取引希望情報
82 取引条件情報
83 ランク情報
84 取引要素情報
85 財産特定情報
100 財産管理システム
101 取引希望条件情報
110 公表管理システム
120 取引支援システム
130 評価支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、前記記憶部と接続された中央処理装置とを備える情報処理コンピュータであって、
前記記憶部は、
利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを記憶し、
前記中央処理装置は、
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する処理と、
記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の履情報をもとに、財の価値を算出する処理と、
実行し
前記財産の価値を算出する処理は、
前記財産の取引が成立または不成立であった取引実績を用いて前記財産の価値を算出する、情報処理コンピュータ
【請求項2】
利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを記憶する記憶部を備えるコンピュータが
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する処理と、
記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の履情報をもとに産の価値を算出する処理と、
を実行し、
前記財産の価値を算出する処理は、前記財産の取引が成立または不成立であった取引実績を用いて前記財産の価値を算出することを含む、情報処理方法。
【請求項3】
利用者が管理する有体財産及び無体財産の少なくとも何れかの財産を特定する財産特定情報と、当該財産を管理する利用者を特定する利用者情報とを記憶する記憶部を備えるコンピュータに
当該財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかの情報の公表を管理する処理と、
記財産特定情報及び利用者情報の少なくとも何れかで特定される財産と同一又は類似の財産の履情報をもとにの価値を算出する処理と
を実行させ
前記財産の価値を算出する処理は、前記財産の取引が成立または不成立であった取引実績を用いて前記財産の価値を算出することを含む、情報処理プログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、利用者が管理する財産を取引の対象として管理する為の情報処理コンピュータ、情報処理方法および情報処理プログラムに関し、特に取引の活性化を支援する事のできる情報処理コンピュータ、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決する為に、本発明では、取引に対する対価を設定しなくとも取引対象とすることができ、及び/又は取引対象となる財産の価値を把握することができるようにした情報処理コンピュータ、情報処理方法および情報処理プログラムを提供するものである。