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特開2024-45726自動列車運転システムにおける列車の車上装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045726
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自動列車運転システムにおける列車の車上装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/14 20060101AFI20240326BHJP
   B60L 15/40 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B61L23/14
B60L15/40 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024025472
(22)【出願日】2024-02-22
(62)【分割の表示】P 2021063541の分割
【原出願日】2017-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
(72)【発明者】
【氏名】浦 功征
(57)【要約】
【課題】列車が自発的に危険回避を行う自動列車運転システムを提供する。
【解決手段】自動列車運転システムは、列車Tに搭載された車上装置10と、列車Tに搭載されて列車Tの前方を監視する前方監視装置30と、車上装置10に情報を与える地上側設備(ATCループ21、位置補正用地上子22及びATO地上子23等)とを含む。車上装置10の走行制御部14は、前記地上側設備から受けた情報に基づいて、駅出発、駅間走行及び駅停車を含む列車Tの自動運転を行う一方、前方監視装置30が障害物を検知した場合には列車Tを停車させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に搭載された車上装置と、
前記列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置と、
前記車上装置に情報を与える地上側設備と、
を含み、
前記車上装置は、前記地上側設備から受けた情報に基づいて、駅出発、駅間走行及び駅停車を含む前記列車の自動運転を行う一方、前記前方監視装置が障害物を検知した場合には前記列車を停車させる、
自動列車運転システム。
【請求項2】
前記前方監視装置は、前記列車の走行路の形状及び前記列車の進行方向の少なくとも一方に応じて監視エリアを変更可能に構成されている、請求項1に記載の自動列車運転システム。
【請求項3】
前記地上側設備が前記車上装置に与える情報は、停車中の前記列車の出発を許可する出発許可情報を含み、前記車上装置は、前記地上側設備から前記出発許可情報を受けると共に前記前方監視装置が障害物を検知していない場合に停車中の前記列車を出発させる、請求項1又は2に記載の自動列車運転システム。
【請求項4】
前記地上側設備は、前記列車の走行路の所定領域における障害物を検知する障害物検知装置を含み、
前記障害物検知装置は、
前記障害物を検知した場合に前記列車の前記車上装置に停車指令情報を与える停車指令情報付与部と、
前記停車指令によって停車した前記列車の前記車上装置に対して前記出発許可情報を与える出発許可情報付与部と、
を含む、請求項3に記載の自動列車運転システム。
【請求項5】
前記地上側設備は、
前記列車の走行方向における信号機の手前に設けられ、前記信号機が停止現示のときに停止現示情報を前記列車の前記車上装置に与える停止現示情報付与部と、
前記信号機又はその近傍に設けられ、前記停止現示情報によって停車した前記列車の前記車上装置に対して前記出発許可情報を与える出発許可情報付与部と、
を含む、請求項3又は4に記載の自動列車運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の運転を自動で行う自動列車運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動列車運転システムの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された自動列車運転システムは、自動運転列車の進路上の障害を検知し安全に走行可能な速度を前記列車のATC制御部に与えるATC装置と、前記列車のATO制御部に対してブレーキ装置の制御および駆動装置の加速/減速を指示し自動運転させるATO装置とを地上側に有している。そして、前記自動列車運転システムにおいては、自動運転中の列車が駅と駅の中間で停止した場合、当該列車に対してATCループを利用して再出発指令を与えることにより、遠隔的かつ迅速な前記列車の運転再開を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-55143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、運行コストの抑制などのために、自動列車運転システムを導入する路線が増加してきている。しかし、従来の自動列車運転システムにおいて、列車の走行の安全性の確保は、主に地上側設備に委ねられているのが実情であり、危険を検知して回避する機能が列車側に十分に設けられているとはいえなかった。今後の自動列車運転システムの普及、特に無人運転を可能にする自動列車運転システムの普及が進むであろうことを考慮すると、従来の自動列車運転システムが備えていた列車の走行の安全性の確保のための諸機能に加えて、列車が自発的に危険回避を行うことが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、列車が自発的に危険回避を行う自動列車運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、自動列車運転システムは、列車に搭載された車上装置と、前記列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置と、前記車上装置に情報及び指令を与える地上側設備と、を含む。前記車上装置は、前記地上側設備から受けた情報に基づいて、駅出発、駅間走行及び駅停車を含む前記列車の自動運転を行う一方、前記前方監視装置が障害物を検知した場合には前記列車を停車させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転士の操作や地上側設備からの情報などによらずに列車が自発的に危険回避を行う自動列車運転システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に自動列車運転システムの列車側設備の概略構成を示す図である。
図2】前記第1実施形態に係る自動列車運転システムの地上側設備の概略構成を示す図である。
図3】列車が直線状の走行路を走行する場合の前方監視装置の監視エリアの一例を示す図である。
図4】列車がカーブ形状の走行路を走行する場合の前方監視装置の監視エリアの一例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に自動列車運転システムの列車側設備の概略構成を示す図である。
図6】前記第2実施形態に係る自動列車運転システムの地上側設備の概略構成を示す図である。
図7】前記第2実施形態に係る自動列車運転システムの地上側設備の一つである障害物検知装置の配置を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に自動列車運転システムの列車側設備の概略構成を示す図である。
図9】前記第3実施形態に係る自動列車運転システムの地上側設備の概略構成を示す図である。
図10】本発明の第4実施形態に自動列車運転システムの列車側設備の概略構成を示す図である。
図11】前記第4実施形態に係る自動列車運転システムの地上側設備の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、ATCとは自動列車制御(Automatic Train Control)のことを意味し、ATOとは自動列車運転(Automatic Train Operation)のことを意味し、ATSとは自動列車停止(Automatic Train Stop)を意味する。また、列車は、線路などのあらかじめ定められた走行路であって、前記列車が停車する複数の駅が設けられた前記走行路を走行するものとする。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動列車運転システムにおける列車側設備の概略構成を示す図である。図1に示されるように、走行路Rを走行する列車Tには、車上装置10及び前方監視装置30が搭載されている。
【0011】
本実施形態において、車上装置10は、ATC車上アンテナ11、ATO車上子12、速度発電機13、走行制御部14、ブレーキ装置15及び駆動装置16を含む。
【0012】
ATC車上アンテナ11は、主に走行路Rに沿って敷設されたATCループ21から指令情報や許可情報を取り込むように構成されている。ATCループ21は、走行路Rを複数の区間に分割した区間のそれぞれに対応して設けられている。
【0013】
ATO車上子12は、走行路Rに設置された複数のATO地上子から地点情報や許可情報を取り込むように構成されている。本実施形態において、前記複数のATO地上子は、走行路Rの所定位置に設置されて地点情報(絶対位置情報)をATO車上子12に送信する少なくとも一つの位置補正用地上子22と、各駅に設置されて地点情報や指令情報をATO車上子12に送信する少なくとも一つの駅ATO地上子23と、を含む。
【0014】
速度発電機13は、列車Tの速度や走行距離を検出するための装置である。速度発電機13は、列車Tの車軸に取り付けられており、車軸の回転速度に応じた信号を出力する。
【0015】
走行制御部14は、ATC車上アンテナ11がATCループ21から取り込んだ指令情報、ATO車上子12が位置補正用地上子22及び/又は駅ATO地上子23から取り込んだ地点情報や許可情報、及び、速度発電機13の出力信号などを入力する。そして、走行制御部14は、入力した情報(地点情報、指令情報、許可情報)及び/又は速度発電機13の出力信号に基づいてブレーキ装置15及び駆動装置16を適宜制御して駅出発、駅間走行及び駅停車を含む列車Tの自動運転を行うように構成されている。
【0016】
前方監視装置30は、列車Tの先頭に設置されている。本実施形態において、前方監視装置30は、列車Tの前方の走行路R内及び走行路R近傍を監視エリアとしている。前方監視装置30は、列車Tの走行中及び停車中に前記監視エリアを監視し、当該監視エリア内に障害物を検知した場合には「障害物検知信号」を走行制御部14に出力し、前記監視エリア内に障害物を検知しない場合には「障害物非検知信号」を走行制御部14に出力するように構成されている。ここで、前記障害物とは、通常時に前記監視エリア内に存在しないはずの人や物などのことをいう。そして、例えば、前方監視装置30は、検知物の形状、大きさ及び/又は位置などに基づいて前記検知物が前記障害物であるか又は前記障害物でないか(すなわち、線路や地上側設備などの常設物であるか)を判断するように構成され得る。
【0017】
前方監視装置30は、前記監視エリア内にある、通常時に存在しないはずの人や物などを障害物として検知できればよく、特に制限されないが、ステレオカメラ、単眼カメラ、レーダー装置又はソナー装置などによって構成され得る。好ましくは、前方監視装置30は、列車Tが走行路Rをその許容最高速度で走行しているときの列車Tの停止距離(すなわち、列車Tの最大停止距離)よりも長い所定距離先までにある障害物を検知可能に構成される。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る自動列車運転システムにおける地上側設備の概略構成を示す図である。図2に示されるように、本実施形態において、地上側設備は、上述の走行路Rに沿って敷設された複数のATCループ21、走行路Rの所定位置に設置された少なくとも一つの位置補正用地上子22及び各駅に設置された少なくとも一つの駅ATO地上子23に加えて、ATC地上装置24及びATO地上装置25を含む。
【0019】
ATC地上装置24は、列車検知装置41、連動装置42及び運行管理システム43などに通信線を介して接続されている。列車検知装置41は、走行路R上の各列車の位置を検知する装置である。列車検知装置41は、走行路R上の各列車の位置を検出できればよく、特に制限されないが、例えば、各ATCループ21に対応する区間における列車の有無を検知するものであり得る。
【0020】
ATC地上装置24は、列車Tの先行列車の位置(在線状況)や列車Tの進路条件などに基づいて列車Tの制限速度を区間ごとに決定し、決定した列車Tの制限速度に対応する第1のATC信号電流(制限速度情報)を対応するATCループ21に流すように構成されている。また、ATC地上装置24は、列車Tが駅間で停車しているとき、列車Tとその先行列車との距離が十分に確保されたり、列車Tの進路が開通したりするなどの列車Tの出発条件が成立すると、列車Tの出発許可に対応する第2のATC信号電流(出発許可情報)を対応するATCループ21に流すように構成されている。
【0021】
ATO地上装置25は、運行管理システム43及び駅のホームドア(ホーム柵)を開閉制御するホームドア制御装置44などに通信線を介して接続されている。ATO地上装置25は、列車Tが駅に停車しているとき、当該駅における列車Tの出発時刻になり、かつ、前記ホームドアが閉じられているなどの列車Tの出発条件が成立すると、駅ATO地上子23を介して前記駅からの出発許可情報(以下「駅出発許可情報」という)を列車TのATO車上子12に送信するように構成されている。
【0022】
次に、車上装置10の走行制御部14によって実行される列車Tの自動運転に関する各種処理について具体的に説明する。
【0023】
走行制御部14は、図示省略のデータベース内に走行路Rにおける駅間距離や速度パターンなどを記憶している。走行制御部14は、基本的には、ATO車上子12を介して入力される位置補正用地上子22からの地点情報と速度発電機13の出力信号から得られる走行距離とに基づいて列車Tの位置を把握し、速度発電機13の出力信号から得られる列車Tの速度が前記速度パターンに追従するようにブレーキ装置15及び駆動装置16を制御して列車Tを走行させる(駅間走行)。また、走行制御部14は、列車Tが駅に接近すると、列車Tの速度と前記駅における停止目標位置(駅停車位置)までの距離とに基づいてブレーキ装置15を徐々に作動させて列車Tを前記停止目標位置(駅停車位置)に停車させる(駅停車)。
【0024】
走行制御部14は、列車Tが駅間を走行しているときにATC車上アンテナ11を介してATCループ21に流れる前記第1のATC信号電流(前記制限速度情報)を入力すると、入力した前記第1のATC信号電流に基づいて制限速度を判定し、列車Tの速度が前記制限速度を超えるとブレーキ装置15を作動させて列車Tを減速させ又は停車させる。
【0025】
また、走行制御部14は、列車Tが駅間を走行しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力すると、直ちにブレーキ装置15を作動させて列車Tを速やかに停車させる。そして、走行制御部14は、前方監視装置30から入力される信号が前記障害物検知信号から前記障害物非検知信号に切り替わると、列車Tを停車させる他の理由がないことを条件に、停車させた列車Tを出発させる。つまり、走行制御部14は、列車Tの走行中に前方監視装置30が障害物を検知すると列車Tを停車させ、その後、前方監視装置30が障害物を検知しなくなると列車Tを出発させる。
【0026】
走行制御部14は、列車Tが駅に停車しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、ATO車上子12を介して、駅ATO地上子23から送信された前記駅出発許可情報を入力すると、ブレーキ装置15の作動を解除すると共に駆動装置16を作動させて列車Tを駅から出発させる(駅出発)。つまり、走行制御部14は、前記駅出発許可情報(すなわち、駅からの出発許可情報)を入力し、かつ、前方監視装置30が障害物を検知していない場合に、駅に停車中の列車Tを出発させる。
【0027】
また、走行制御部14は、列車Tが駅間で停車しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、ATC車上アンテナ11を介して、ATCループ21に流れる前記第2のATC信号電流(前記出発許可情報)を入力すると、ブレーキ装置15の作動を解除すると共に駆動装置16を作動させて列車Tを出発させる(駅間での出発)。つまり、走行制御部14は、前記出発許可情報を入力し、かつ、前方監視装置30が障害物を検知していない場合に、駅間に停車中の列車Tを出発させる。
【0028】
以上説明した第1実施形態に係る自動列車運転システムにおいて、車上装置10の走行制御部14は、前記地上側設備から受けた情報に基づいて、前記駅出発、前記駅間走行及び前記駅停車を含む列車Tの自動運転を行う。また、車上装置10の走行制御部14は、列車Tに搭載された前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力した場合には列車Tを停車させるように構成されている。つまり、列車Tが自発的に障害物を検知すると共に検知した障害物との衝突を回避する機能を有している。したがって、従来技術に比べて、列車の走行の安全性に優れた自動列車運転システムを構築することができ、特に列車の無人自動運転の実現に寄与し得る。
【0029】
なお、前方監視装置30は、列車Tの前方に障害物を検知した場合に「障害物検知信号」及び「障害物までの距離情報」を走行制御部14に出力するように構成されてもよい。この場合、走行制御部14は、前方監視装置30によって検出された障害物までの距離に応じて列車Tを減速させ又は列車Tを停車させ、その後、前方監視装置30によって障害物が検知されなくなると、列車Tを減速させる他の理由又は列車Tを停車させる他の理由がないことを条件に、減速を解除し又は列車Tを出発させるように構成され得る。
【0030】
また、前方監視装置30は、走行路Rの形状に応じて監視エリアを変更するように構成されてもよい。例えば、前方監視装置30は、位置情報に関連付けられた走行路Rの形状データを記憶すると共に走行制御部14から列車Tの位置を入力するように構成される。そして、前方監視装置30は、列車Tの位置に基づいて走行路Rの形状を読み出し、読み出した走行路Rの形状に合わせるように自身の向きを変更することによって監視エリアを変更し、及び/又は、読み出した走行路Rの形状に合わせるように自身の監視エリアの形状を変更する。あるいは、列車Tの先頭にカメラ等の撮像装置が搭載され、前方監視装置30は、前記撮像装置の撮像画像に基づいて走行路Rの形状を認識し、認識した走行路Rの形状に応じて自身の向き及び/又は自身の監視エリアの形状を変更する。
【0031】
例えばカーブ形状の走行路Rを列車Tが走行する場合には、前方監視装置30は、前記カーブ形状の走行路Rの中心線における各位置の法線に略平行となるように、自身の向きを変更する。また、例えば列車Tが直線状の走行路Rからカーブ形状の走行路Rに進入した場合には、前方監視装置30は、自身の向きを変更せずに又は自身の向きを変更しながら、自身の監視エリアを直線状の走行路Rに対応する形状(図3)からカーブ形状の走行路Rに対向する形状(図4)に変更する。このようにすると、走行路Rの形状にかかわらず、前方監視装置30による列車Tの前方の障害物の検知が安定して行われ得る。
【0032】
さらに、走行路Rが分岐部において走行路R1と走行路R2とに分岐する場合、前方監視装置30は、列車Tの進行方向、すなわち、列車Tが走行すべき走行路R1又は走行路R2に応じて監視エリアを変更するように構成されてもよい。この場合、前方監視装置30は、前記分岐部における列車Tの進行方向を取得又は認識し、取得又は認識した列車Tの前記進行方向に基づいて自身の向き及び/又は自身の監視エリアの形状を変更するように構成される。ここで、前方監視装置30は、例えば(1)~(3)のようにして列車Tの進行方向を取得又は認識するように構成され得る。
【0033】
(1)ATC地上装置24は、列車Tが進むべき走行路、すなわち、列車Tの進行方向を示す情報(進行方向情報)を列車Tの走行方向における前記分岐部の手前のATCループ21に流すように構成され、走行制御部14は、ATC車上アンテナ11を介してATCループ21に流れる列車Tの前記進行方向情報を入力するように構成され、前方監視装置30は、走行制御部14から列車Tの前記進行方向情報を入力することによって列車Tの進行方向を取得する。(2)列車Tの先頭にカメラ等の撮像装置が搭載され、前方監視装置30は、前記撮像装置の撮像画像に基づいて列車Tの進行方向(前記分岐部の状態)を認識する。(3)前方監視装置30又は列車Tに通信部が設けられ、前記分岐部又はその近傍に前記通信部に対して前記列車Tの前記進行方向情報又は前記分岐部の状態情報を送信する通信装置が設けられ、前記前方監視装置30は、前記通信部を介して前記通信装置から列車Tの進行方向情報又は前記分岐部の状態情報を受信することによって列車Tの進行方向を取得又は認識する。
【0034】
なお、ここでは、前方監視装置30が監視エリア(自身の向きや自身の監視エリアの形状)を変更するようにしているが、走行制御部14が、前記データベース内に記憶された前記走行路Rの形状データや列車Tの進行方向に基づいて、前方監視装置30の向きを変更させたり、前方監視装置30の監視エリアの形状を変更させる指令等を前方監視装置30に対して出力したりするように構成されてもよい。また、前方監視装置30が前記撮像装置としての機能を有してもよい。
【0035】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る自動列車運転システムにおける列車側設備の概略構成を示す図であり、図6は、第2実施形態に係る自動列車運転システムにおける地上側設備の概略構成を示す図である。なお、上述の第1実施形態に係る自動列車運転システムと同一又は共通する要素については同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0036】
第1実施形態と第2実施形態との相違は、第2実施形態に係る自動列車運転システムにおいては、列車側設備としての車上装置がさらに車上無線機を含むこと、及び、地上側設備がさらに障害物検知装置を含むことである。
【0037】
すなわち、第2実施形態において、列車Tには、車上装置50及び前方監視装置30が搭載されており、車上装置50は、ATC車上アンテナ11、ATO車上子12、速度発電機13、走行制御部14、ブレーキ装置15及び駆動装置16に加えて車上無線機51を含む。また、第2実施形態において、地上側設備は、複数のATCループ21、少なくとも一つの位置補正用地上子22、少なくとも一つの駅ATO地上子23、ATC地上装置24及びATO地上装置25に加えて障害物検知装置26を含む。
【0038】
障害物検知装置26は、地上側において走行路R内及び走行路R近傍の障害物を検知する装置である。本実施形態において、障害物検知装置26は、装置本体261と、地上子262と、無線機263とを含む。図7は、障害物検知装置26の具体的な配置例を示す図である。
【0039】
本実施形態において、障害物検知装置26の装置本体261は、走行路Rにおける見通しの悪いカーブの近傍に設置されている。装置本体261は、前方監視装置30と同様、ステレオカメラ、単眼カメラ、レーダー装置又はソナー装置などで構成され得る。装置本体261は、列車Tの走行方向における前記カーブの後半部分及びそれよりも先の走行路Rを含む障害物検知エリア内を監視し、通常時に当該障害物検知エリア内に存在しないはずの人や物などを障害物として検知するように構成されている。装置本体261は、前方監視装置30と同様、検知物の形状、大きさ及び/又は位置などに基づいて前記検知物が前記障害物であるか否かを判定してもよいし、前記障害物のない状態における前記障害物検知エリアのデータを参照データとし、前記障害物検知エリアの実際のデータと前記参照データとを比較して前記障害物の有無を検知してもよい。
【0040】
障害物検知装置26の地上子262は、前記カーブよりも列車Tの走行方向における手前に設置され、通信線を介して装置本体261に接続されている。地上子262は、ATC車上アンテナ11との間で情報の送受信が可能に構成されている。
【0041】
障害物検知装置26の無線機263は、装置本体261の近傍に設置され、通信線を介して装置本体261に接続されている。無線機263は、車上無線機51との間で情報の送受信が可能である。なお、無線機263は、装置本体261と一体的に構成されてもよい。
【0042】
装置本体261は、前記障害物検知エリア内に障害物を検知すると、地上子262を介して停車指令情報を列車TのATC車上アンテナ11に送信する。このとき、装置本体261は、地上子262を介して、列車TのATC車上アンテナ11から列車Tの識別情報を受信する。また、装置本体261は、前記停車指令情報の送信後に障害物を検知しなくなると、無線機263を介して、地上子262を介して列車TのATO車上子12から受信した列車Tの識別情報を含む出発許可情報を列車Tの車上無線機51に送信する。
【0043】
第2実施形態において、走行制御部14は、上述の第1実施形態において実行する列車Tの自動運転に関する各種処理に加えて、以下の処理を実行する。
【0044】
走行制御部14は、ATC車上アンテナ11を介して、障害物検知装置26の地上子262から送信された前記停車指令情報を入力すると、直ちにブレーキ装置15を作動させて列車Tを速やかに停車させる共に、ATC車上アンテナ11を介して、列車Tの識別情報を障害物検知装置26の地上子に送信する。
【0045】
また、走行制御部14は、列車Tが前記停車指令情報によって停車しているときに、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、車上無線機51を介して、障害物検知装置26の無線機263から送信された、列車Tの識別情報を含む前記出発許可情報を入力すると、列車Tを停車させる他の理由がないことを条件に列車Tを出発させる。
【0046】
ここで、無線機263の送信する前記出発許可情報が列車Tの識別情報を含むのは、当該出発許可情報が地上子262からの前記停車指令情報によって停車した列車である列車Tを対象とするものであり、列車Tに対してのみ有効な情報だからである。このため、列車Tの識別情報を含む前記出発許可情報は、列車T以外の列車に対しては何ら影響を与えることはなく、これにより、かりに障害物検知装置26の無線機263の送信した前記出発許可情報を列車T以外の列車が受信した場合であっても当該列車が出発してしまうこと(すなわち、前記出発許可情報の対象以外の列車の出発)が防止される。
【0047】
第2実施形態に係る自動列車運転システムによれば、第1実施形態に係る自動列車運転システムと同様に列車Tが自発的に障害物との衝突を回避する機能を有することに加え、走行路Rに見通しの悪いカーブがある場合であっても、列車の前方の障害物の存在を事前に把握して列車と障害物との衝突を回避することが可能になる。このため、列車の走行の安全性に優れた自動列車運転システムを構築することができる。
【0048】
なお、上述の第2実施形態において、障害物検知装置26の装置本体261は、走行路Rにおける見通しの悪いカーブの近傍に設置されて列車Tの走行方向における前記カーブの後半部分及びそれよりも先の障害物を検知するように構成されている。しかし、これに限られるものではない。障害物検知装置26の装置本体261は、走行路Rにおける見通しの悪い登坂路の頂部近傍に設置されて列車Tの走行方向における前記頂部の先の降坂路の障害物を検知するように構成されたり、走行路Rにおけるトンネル内に設置されて前記トンネル内の障害物を検知するように構成されたりしてもよい。これらの場合、障害物検知装置26の地上子262は、前記登坂路又は前記トンネルよりも列車Tの走行方向における手前に設置される。また、走行路Rに踏切がある場合、障害物検知装置26の装置本体261は、前記踏切に設置されて前記踏切内の障害物を検知するように構成され得る。すなわち、障害物検知装置26がいわゆる踏切障害物検知装置であり得る。
【0049】
また、装置本体261は、障害物を検知した場合に、地上子262を介して、地上子262の識別情報を含む停車指令情報を列車TのATC車上アンテナ11に送信すると共に、前記停車指令情報の送信後に障害物を検知しなくなると、無線機263を介して、地上子262の識別情報を含む出発許可情報を列車Tの車上無線機51に送信するように構成されてもよい。このようにしても、地上子262からの前記停車指令情報によって停車した列車のみを無線機263から送信される前記出発許可情報の対象とすることが可能である。
【0050】
[第3実施形態]
図8は、本発明の第3実施形態に係る自動列車運転システムにおける列車側設備の概略構成を示す図であり、図9は、第3実施形態に係る自動列車運転システムにおける地上側設備の概略構成を示す図である。なお、上述の第1、第2実施形態に係る自動列車運転システムと同一又は共通する要素については同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0051】
第2実施形態と第3実施形態との相違は、第3実施形態に係る自動列車運転システムにおいては、列車側設備としての車上装置がATC車上アンテナ11に代えてATS車上子を含むこと、及び、地上側設備がATCループ21及びATC地上装置24に代えてATS地上子、信号機及び地上無線機を含むことである。
【0052】
すなわち、第3実施形態において、列車Tには、車上装置60及び前方監視装置30が搭載され、車上装置60は、ATO車上子12、速度発電機13、走行制御部14、ブレーキ装置15、駆動装置16、車上無線機51及びATS車上子61を含む。また、第3実施形態において、地上側設備は、少なくとも一つの位置補正用地上子22、少なくとも一つの駅ATO地上子23、ATO地上装置25、障害物検知装置26、ATS地上子27、信号機28及び地上無線機29を含む。
【0053】
ATS地上子27は、列車Tの走行方向における信号機28の所定距離だけ手前に設置されている。ATS地上子27は、信号機28が停止現示(R現示)にときに、停止現示情報、信号機28までの距離情報及び自身の識別情報を列車TのATS車上子61に送信するように構成されている。
【0054】
地上無線機29は、信号機28の近傍に設置されている。地上無線機29は、信号機28が停止現示(R現示)から進行現示(G現示)に切り替わると、ATS地上子27の識別情報を含む出発許可情報を車上無線機51に送信するように構成されている。
【0055】
第3実施形態において、走行制御部14は、上述の第2実施形態における前記第1のATC信号電流(制限速度情報)及び前記第2のATC信号電流(出発許可情報)に基づく処理に代えて、以下の処理を実行する。なお、それ以外の処理については、第2実施形態と同様である。
【0056】
走行制御部14は、列車Tが駅間を走行しているときに、ATS車上子61を介して、ATS地上子27から送信された前記停止現示情報、信号機28までの距離情報及びATS地上子27の識別情報を入力すると、ブレーキ装置15を作動させて列車Tを信号機28の手前の所定位置に停車させる。
【0057】
また、走行制御部14は、列車Tが信号機28の手前の前記所定位置に停車しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、車上無線機51を介して、地上無線機29から送信されたATS地上子27の識別情報を含む前記出発許可情報を入力すると、列車Tを停車させる他の理由がないことを条件に列車Tを出発させる。
【0058】
ここで、地上無線機29の送信する前記出発許可情報がATS地上子27の識別情報を含むのは、当該出発許可情報が信号機28の停止現示(R現示)によって停車した列車を対象とする情報、すなわち、信号機28の停止現示(R現示)によって停車した列車に対してのみ有効な情報だからである。これにより、かりに地上無線機29の送信する前記出発許可情報を列車T以外の列車が受信した場合であっても当該列車が出発してしまうことが防止される。
【0059】
第3実施形態に係る自動列車運転システムにおいても上述の第2実施形態に係る自動列車運転システムと同様の効果が得られる。
【0060】
なお、第3実施形態において、車上無線機51は、障害物検知装置26の無線機263から送信された前記出発許可情報及び地上無線機29から送信された前記出発許可情報を受信するように構成されている。しかし、これに限るものではなく、車上装置60は、車上無線機51とは別に、地上無線機29から送信された前記出発許可情報を受信する専用の車上無線機を有してもよい。
【0061】
また、車上装置60が車上無線機51に代えてカメラ等の撮像装置を含んでもよい。この場合、前記撮像装置は、列車Tの前方に搭載され、走行制御部14は、前記撮像装置の撮像画像に基づいて信号機28の現示を認識するように構成される。そして、走行制御部14は、列車Tが信号機28の手前の前記所定位置に停車しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、信号機28が停止現示(R現示)から進行現示(G現示)に切り替わったことを認識すると、列車Tを停車させる他の理由がないことを条件に列車Tを出発させる。なお、前方監視装置30が前記撮像装置としての機能を有してもよい。
【0062】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る自動列車運転システムにおける列車側設備の概略構成を示す図であり、図11は、第4実施形態に係る自動列車運転システムにおける地上側設備の概略構成を示す図である。なお、上述の第1~第3実施形態に係る自動列車運転システムと同一又は共通の要素については同一の符号を用いてその説明は省略する。
【0063】
第2実施形態と第4実施形態との相違は、第4実施形態に係る自動列車運転システムにおいては、列車側設備としての車上装置がATC車上アンテナ11を含んでいないこと、及び、地上側設備がATCループ21及びATC地上装置24に代えて沿線無線機及び中央無線装置を含むことである。
【0064】
すなわち、第4実施形態において、列車Tには、車上装置70及び前方監視装置30が搭載され、車上装置70は、ATO車上子12、速度発電機13、走行制御部14、ブレーキ装置15、駆動装置16及び車上無線機51を含む。また、第4実施形態において、地上側設備は、少なくとも一つの位置補正用地上子22、少なくとも一つのATO地上子23、ATO地上装置25、障害物検知装置26、沿線無線機81及び無線中央装置82を含む。
【0065】
沿線無線機81は、走行路Rに沿って所定間隔ごとに設置されている。各沿線無線機81は、車上無線機51との間で情報及び/指令の送受信が可能に構成されている。無線中央装置82は、各沿線無線機81、連動装置42及び運行管理システム43などに通信線を介して接続されている。
【0066】
走行制御部14は、車上無線機51を介して、列車Tの位置を継続的に沿線無線機81に送信する。また、無線中央装置82は、列車Tの先行列車の位置や列車Tの進路条件などに基づいて列車Tの走行限界情報を生成し、生成した走行限界情報を対応する沿線無線機81を介して列車Tの車上無線機51に送信する。なお、列車Tの走行限界情報とは、列車Tが走行することのできる限界位置、換言すれば、列車Tが停止しなければならない位置を示す情報のことをいう。また、無線中央装置82は、列車Tが駅間で停車しているときに、先行列車との距離が十分に確保されたり、列車Tの進路が開通したりするなどの列車の出発条件が成立すると、列車Tの出発許可情報を対応する沿線無線機81を介して列車Tの車上無線機51に送信する。
【0067】
第4実施形態において、走行制御部14は、上述の第2実施形態における前記第1のATC信号電流(制限速度情報)及び前記第2のATC信号電流(出発許可情報)に基づく処理に代えて、以下の処理を実行する。なお、それ以外の処理については、第2実施形態と同様である。
【0068】
走行制御部14は、列車Tが駅間を走行しているときに、車上無線機51を介して前記停止限界情報を入力すると、そのときの列車Tの位置及び列車Tの速度に基づいて速度照査パターンを生成し、生成された速度照査パターンに従ってブレーキ装置15を作動させて列車Tを減速させ又は停止させる。
【0069】
また、走行制御部14は、列車Tが駅間で停車しているとき、前方監視装置30から前記障害物検知信号を入力していない状態で、車上無線機51を介して、沿線無線機81から送信された出発許可情報を入力すると、ブレーキ装置15の作動を解除すると共に駆動装置16を作動させて列車Tを出発させる(駅間での出発)。
【0070】
第4実施形態に係る自動列車運転システムにおいても上述の第2実施形態に係る自動列車運転システムと同様の効果が得られる。
【0071】
なお、第4実施形態において、車上無線機51は、障害物検知装置26の無線機263から送信された前記出発許可情報及び沿線無線機81から送信された前記出発許可情報を受信するように構成されている。しかし、これに限るものではなく、車上装置60は、車上無線機51とは別に、沿線無線機81から送信された前記出発許可情報を受信する専用の車上無線機を有してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
10,50,60,70…車上装置、11…ATC車上アンテナ、12…ATO車上子、13…速度発電機、14…走行制御部、15…ブレーキ装置、16…駆動装置、21…ATCループ、22…位置補正用地上子、23…ATO地上子、24…ATC地上装置、25…ATO地上装置、26…障害物検知装置、27…ATS地上子、28…信号機、29…地上無線機、41…列車検知装置、42…連動装置、43…運行管理システム、50…車上装置、51…車上無線機、81…沿線無線機、82…無線中央装置、261…障害物検知装置の装置本体、262…障害物検知装置の地上子、263…障害物検知装置の無線機、R…走行路、T…列車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、
地上側設備から制限速度情報を入力すると前記制限速度情報及び前記列車の速度に基づいて前記列車を減速又は停車させ、前記列車が駅間で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記列車の出発条件が成立したことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる、
列車の車上装置。
【請求項2】
列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、
地上側設備から信号機の停止現示情報を入力すると前記列車を前記信号機の手前の所定位置に停車させ、前記列車が前記所定位置で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記信号機が停止現示から進行現示に切り替わったことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる、
列車の車上装置。
【請求項3】
列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、
前記列車が停止しなければならない位置を示す走行限界情報であって地上側設備から無線送信された走行限界情報を入力すると速度照査パターンを生成し、生成された速度照査パターンに従って前記列車を減速又は停車させ、前記列車が駅間で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記列車の出発条件が成立したことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる、
列車の車上装置。
【請求項4】
前記地上側設備は、前記列車の走行路の所定領域における障害物を検知した場合に停車指令情報を送信する障害物検知装置を含み、
前記障害物検知装置から前記停車指令情報を入力すると前記列車を停車させ、前記列車が前記停車指令情報によって停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記障害物検知装置が障害物を検知しなくなったことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の列車の車上装置。
【請求項5】
前記前方監視装置は、列車Tの位置に基づいて前記走行路の形状に合わせるように自身の向き及び監視エリアの形状の少なくとも一方を変更するように構成されている、請求項1~3のいずれか一つに記載の列車の車上装置。
【請求項6】
前記前方監視装置は、前記走行路の分岐部における前記列車の進行方向を取得又は認識し、取得又は認識された前記列車の進行方向に基づいて自身の向き及び監視エリアの少なくとも一方を変更するように構成されている、請求項1~3のいずれか一つの記載の列車の車上装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、列車の運転を自動で行う自動列車運転システムにおける列車の車上装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そこで、本発明は、列車が自発的に危険回避を行う自動列車運転システムにおける列車の車上装置を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一側面によると、列車の車上装置は、列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、地上側設備から制限速度情報を入力すると前記制限速度情報及び前記列車の速度に基づいて前記列車を減速又は停車させ、前記列車が駅間で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記列車の出発条件が成立したことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる。
本発明の他の側面によると、列車の車上装置は、列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、地上側設備から信号機の停止現示情報を入力すると前記列車を前記信号機の手前の所定位置に停車させ、前記列車が前記所定位置で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記信号機が停止現示から進行現示に切り替わったことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる
本発明のさらに他の側面によると、列車の車上装置は、列車に搭載されて前記列車の前方を監視する前方監視装置から障害物検知信号及び障害物までの距離情報を入力すると前記距離情報に応じて前記列車を減速又は停車させ、その後、前記障害物検知信号を入力しなくなると前記列車を減速又は停車させる他の理由がないことを条件に前記列車の減速を解除し又は出発させ、前記列車が停止しなければならない位置を示す走行限界情報であって地上側設備から無線送信された走行限界情報を入力すると速度照査パターンを生成し、生成された速度照査パターンに従って前記列車を減速又は停車させ、前記列車が駅間で停車しているときに前記前方監視装置から障害物検知信号を入力していない状態で前記列車の出発条件が成立したことに基づく出発許可情報を入力すると前記列車を出発させる
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明によれば、列車が自発的に危険回避を行う自動列車運転システムにおける列車の車上装置を提供することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
走行制御部14は、列車Tが駅間を走行しているときに、車上無線機51を介して前記走行限界情報を入力すると、そのときの列車Tの位置及び列車Tの速度に基づいて速度照査パターンを生成し、生成された速度照査パターンに従ってブレーキ装置15を作動させて列車Tを減速させ又は停止させる。