(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045757
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】自動走行システム及び自動走行方法
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 303K
A01B69/00 303A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026103
(22)【出願日】2024-02-26
(62)【分割の表示】P 2022150000の分割
【原出願日】2019-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】絹田 圭志
(57)【要約】
【課題】ユーザ等の作業負荷の軽減を図るとともに、作業効率の向上を図ること。
【解決手段】自動走行システムは、自動走行制御部を備える。自動走行制御部は、作業車両1を自動走行させる際の基準となる複数の基準線K1,K2のそれぞれに沿って作業車両1を自動走行させる。複数の基準線K1,K2は、それぞれ異なる方向に設定される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両を自動走行させる際の基準となる複数の基準方位のそれぞれに沿って前記作業車両を自動走行させる自動走行制御部を備え、
前記複数の基準方位は、それぞれ異なる方向に設定される、
自動走行システム。
【請求項2】
前記複数の基準方位の少なくとも一つは、前記作業車両の位置情報に基づいて設定される、
請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項3】
作業車両を自動走行させる際の基準となる複数の基準方位のそれぞれに沿って前記作業車両を自動走行させることを有し、
前記複数の基準方位は、それぞれ異なる方向に設定される、
自動走行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両を目標走行経路に沿って自動走行させる自動走行システム及び自動走行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の自動走行システムは、目標走行経路としての基準線を設定し、その基準線に沿って作業車両を自動直進させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。第1特許文献に記載のシステムでは、例えば、作業開始位置において、直進する方向に作業車両の向きを調整する調整作業を行った上で、設定器等を操作することで、基準線の設定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、基準線を設定するために、作業開始位置において、直進する方向に作業車両の向きを調整する調整作業を行わなければならない。よって、異なる基準線を設定するためには、再度、作業開始位置において、直進する方向に作業車両の向きを調整する調整作業を行わなければならず、ユーザ等の作業負担が増大するとともに、作業効率の低下を招いてしまう。
【0005】
また、ユーザ等が作業車両を運転操作して作業車両を実際に走行させたときの移動軌跡等に基づいて基準経路を生成して、その基準経路に応じた目標走行経路を生成することも行われている。この場合には、例えば、基準経路に平行に並ぶ複数の平行経路を含む目標走行経路を生成している。
【0006】
しかしながら、基準経路に平行な平行経路に沿って自動走行できるものの、ユーザ等が基準経路とは平行ではない方向に自動走行させたい場合もある。よって、基準経路とは平行ではない方向に自動走行させる場合には、再度、ユーザ等が作業車両を運転操作して作業車両を実際に走行させる作業を行わなければならず、同様に、ユーザ等の作業負担が増大するとともに、作業効率の低下を招いてしまう。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ユーザ等の作業負荷の軽減を図るとともに、作業効率の向上を図ることができる自動走行システム及び自動走行方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る自動走行システムは、自動走行制御部を備える。前記自動走行制御部は、作業車両を自動走行させる際の基準となる複数の基準方位のそれぞれに沿って前記作業車両を自動走行させる。前記複数の基準方位は、それぞれ異なる方向に設定される。
【0009】
本発明の第2態様に係る自動走行方法は、作業車両を自動走行させる際の基準となる複数の基準方位のそれぞれに沿って前記作業車両を自動走行させることを有する。前記複数の基準方位は、それぞれ異なる方向に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】自動走行システムの概略構成を示すブロック図
【
図6】目標走行経路を生成した状態及び自動走行を行う状態を示す図
【
図7】自動走行を行う場合の動作の流れを示すフローチャート
【
図8】作業領域にて目標走行経路を生成した状態及び自動走行を行う状態を示す図
【
図11】作業領域において第1基準線及び第2基準線を生成した状態を示す図
【
図12】隣接する第1平行経路の間隔を調整する状態を示す図
【
図13】第1平行経路を平行移動させる状態を示す図
【
図14】第1平行経路を平行移動させる状態を示す図
【
図15】第2実施形態において第1基準線及び第2基準線を生成した状態を示す図
【
図16】第2実施形態における第1平行経路及び第2平行経路を生成した状態を示す図
【
図18】自動走行システムの概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る自動走行システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この自動走行システムは、
図1に示すように、作業車両として田植機1を適用しているが、田植機以外の、トラクタ、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ、除雪車等の乗用作業車両、及び、無人草刈機等の無人作業車両に適用することができる。
【0012】
この自動走行システムは、
図1及び
図2に示すように、田植機1に搭載された自動走行ユニット2、及び、自動走行ユニット2と通信可能に通信設定された携帯通信端末3を備えている。携帯通信端末3には、タッチ操作可能なタッチパネル式の表示部71(例えば、液晶パネル)等を有するタブレット型のパーソナルコンピュータやスマートフォン等を採用することができる。
【0013】
田植機1は、走行機体11と、走行機体11の後部に昇降駆動機構12を介して植付部13とが備えられている。走行機体11は、前後方向に延びる車体フレーム14の前上部に動力源としてのエンジン15が配置され、エンジン15を覆うボンネット16が備えられている。
【0014】
車体フレーム14の前部には、フロントアクスルケース17が支持されており、フロントアクスルケース17の左右両側に前輪18が取り付けられている。車体フレーム14の後部には、リアアクスルケース19が支持されており、リアアクスルケース19の左右両側に後輪20が取り付けられている。
【0015】
ボンネット16の側部には、車体フレーム14から門型の予備苗載台フレーム21が立設され、予備苗載台フレーム21の左右両側に予備苗載台22が配置されている。予備苗載台フレーム21の上部左右中央に測位ユニット23が配置されている。
【0016】
ボンネット16の後部には、パワーステアリング機構24を介した左右の前輪18の手動操舵を可能にするステアリングホイール25、搭乗者用の運転席26等が備えられている。ボンネット16の後部のダッシュボードには、操作パネル式の表示部27(
図2参照)、報知装置28(
図2参照)等が備えられている。
【0017】
植付部13は、苗マットが載置される苗載台29と、苗を圃場等の作業場に植え付ける複数のロータリ式の植付装置30とが備えられている。苗載台29は、前方側が高く後方側が低い傾斜姿勢で、左右方向に移動自在に備えられている。植付装置30の数は、植え付け作業における条数に対応して備えられており、例えば、6条植えの場合には、6つの植付装置30が備えられている。植付装置30は、植付伝動ケース31の後部に配置されている。
【0018】
植付部13は、植付クラッチ43(
図2参照)を介してエンジン15からの動力が伝達されると、複数の植付装置30が、苗載台29から所定量の苗を掻き取って、圃場等の作業場に植え付けるようにしている。複数の植付装置30の夫々に対して、条止めクラッチ44(
図2参照)が備えられ、各植付装置30への動力の伝達を断続自在に構成されている。
【0019】
苗載台29の左右両側には、次工程の作業の目安となる印を圃場等の作業場に付けるマーカ32が備えられている。マーカ32は、外方側に突出して印を作業場に付ける作用位置と上方側に退避させる非作用位置とに揺動自在に備えられ、マーカ32を作用位置と非作用位置とに駆動操作自在なマーカ操作機構45(
図2参照)が備えられている。
【0020】
田植機1には、
図2に示すように、エンジン15からの動力を変速する電子制御式の変速装置41、左右の前輪18を操舵する全油圧式のパワーステアリング機構24、ブレーキ装置を操作するブレーキ操作機構42、植付部13への動力の伝動を断続する植付クラッチ43、植付部13における各植付装置30への動力の伝動を断続する条止めクラッチ44、植付部13を昇降駆動する電子油圧制御式の昇降駆動機構12、マーカ32を作用位置と非作用位置とに駆動操作するマーカ操作機構45、田植機1の自動走行等に関する各種の制御プログラム等を有する車載電子制御ユニット46、田植機1における各種の車両状態を検出する車両状態検出センサ47等が備えられている。
【0021】
ちなみに、変速装置41には、油圧機械式無段変速装置(HMT)、静油圧式無段変速装置(HST)、又は、ベルト式無段変速装置等を採用することができる。パワーステアリング機構24には、電動モータを備えた電動式のパワーステアリング機構24等を採用してもよい。車両状態検出センサ47としては、例えば、エンジン15の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ、田植機1の車速を検出する車速センサ、前輪18の操舵角を検出する舵角センサ等が備えられている。
【0022】
図2に示すように、車載電子制御ユニット46は、エンジン15の作動を制御するエンジン制御部46A、変速装置41の作動を制御する変速制御部46B、ブレーキ操作機構42の作動を制御する制動制御部46C、植付部13等の作業装置の作動を制御する作業装置制御部46D、自動走行時に左右の前輪18の目標操舵角に応じてパワーステアリング機構24の作動を制御する操舵制御部46E、及び、生成された自動走行用の目標走行経路P(例えば、
図6参照)等を記憶する不揮発性の車載記憶部46F等を有している。
【0023】
図2に示すように、測位ユニット23には、衛星測位システム(NSS:Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)を利用して田植機1の現在位置と現在方位とを測定する衛星航法装置51、及び、3軸のジャイロスコープ及び3方向の加速度センサ等を有して田植機1の姿勢や方位等を測定する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)52等が備えられている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)やRTK-GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)等がある。本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK-GPSが採用されている。そのため、圃場等の作業領域周辺の既知位置には、
図1及び
図2に示すように、RTK-GPSによる測位を可能にする基準局4が設置されている。
【0024】
田植機1と基準局4との夫々には、
図2に示すように、測位衛星50(
図1参照)から送信された電波を受信する測位アンテナ53,61、及び、田植機1と基準局4との間における測位情報(補正情報)を含む各種情報の無線通信を可能にする通信モジュール54,62等が備えられている。これにより、衛星航法装置51は、田植機側の測位アンテナ53が測位衛星50からの電波を受信して得た測位情報と、基地局側の測位アンテナ61が測位衛星50からの電波を受信して得た測位情報(田植機1の現在位置を測定するための補正情報)とに基づいて、田植機1の現在位置及び現在方位を高い精度で測定することができる。また、測位ユニット23は、衛星航法装置51と慣性計測装置52とを備えることにより、田植機1の現在位置、現在方位、姿勢角(ヨー角、ロール角、ピッチ角)を高精度に測定することができる。
【0025】
図2に示すように、携帯通信端末3には、表示部71等の作動を制御する各種の制御プログラム等を有する端末電子制御ユニット72、及び、田植機側の通信モジュール54との間における測位情報を含む各種情報の無線通信を可能にする通信モジュール73等が備えられている。端末電子制御ユニット72は、田植機1を自動走行させるための目標走行経路P(例えば、
図6参照)を生成する走行経路生成部74、及び、ユーザが入力した各種の入力情報や走行経路生成部74が生成した目標走行経路P等を記憶する不揮発性の端末記憶部75等を有している。
【0026】
走行経路生成部74による目標走行経路Pの生成の仕方については後述する。走行経路生成部74にて生成された目標走行経路Pは、表示部71に表示可能であり、経路情報として端末記憶部75に記憶されている。経路情報には、目標走行経路Pの方位角、及び、目標走行経路Pでの田植機1の走行形態等に応じて設定された設定エンジン回転速度や目標走行速度等が含まれている。
【0027】
このようにして、走行経路生成部74が目標走行経路Pを生成すると、端末電子制御ユニット72が、携帯通信端末3から田植機1に経路情報を転送することで、田植機1の車載電子制御ユニット46が、経路情報を取得することができる。車載電子制御ユニット46は、取得した経路情報に基づいて、測位ユニット23にて自己の現在位置(田植機1の現在位置)を取得しながら、目標走行経路Pに沿って田植機1を自動走行させることができる。測位ユニット23にて取得する田植機1の現在位置については、リアルタイム(例えば、数ミリ秒周期)で田植機1から携帯通信端末3に送信されており、携帯通信端末3にて田植機1の現在位置を把握している。
【0028】
田植機1の自動走行を行う場合には、各種の自動走行開始条件が満たされると、携帯通信端末3にて、ユーザが表示部71を操作して自動走行の開始を指示している。車載電子制御ユニット46は、自動走行の開始指示を受けることで、測位ユニット23にて自己の現在位置(田植機1の現在位置)を取得しながら、目標走行経路Pに沿って田植機1を自動走行させる自動走行制御を行う。車載電子制御ユニット46が、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、目標走行経路Pに沿って田植機1を自動走行させる自動走行制御を行う自動走行制御部として構成されている。
【0029】
自動走行制御には、エンジン15の作動を自動制御する自動エンジン制御、変速装置41の作動を自動制御する自動変速制御、ブレーキ操作機構42の作動を自動制御する制動制御、左右の前輪18を自動操舵する自動操舵制御、及び、植付部13等の作業装置の作動を自動制御する作業用自動制御、等が含まれている。
【0030】
自動エンジン制御においては、エンジン制御部46Aが、車両状態検出センサ47におけるエンジン回転速度センサの検出情報に基づいて、エンジン15の回転速度が設定エンジン回転速度になるように、エンジン15の作動を自動制御する。
【0031】
自動変速制御においては、変速制御部46Bが、目標走行経路Pの経路情報と測位ユニット23の出力と車両状態検出センサ47における車速センサの出力とに基づいて、目標走行経路Pでの田植機1の走行形態等に応じて設定された目標走行速度が田植機1の車速として得られるように変速装置41の作動を自動制御する。
【0032】
自動制動制御においては、制動制御部46Cが、目標走行経路Pと測位ユニット23の出力とに基づいて、目標走行経路Pの経路情報に含まれている制動領域において適正に制動するようにブレーキ操作機構42の作動を自動制御する。
【0033】
自動操舵制御においては、田植機1が目標走行経路Pを自動走行するように、操舵制御部46Eが、目標走行経路Pの経路情報に基づく目標操舵角と車両状態検出センサ47における舵角センサの出力とに基づいて、目標操舵角が左右の前輪18の操舵角として得られるようにパワーステアリング機構24の作動を自動制御する。
【0034】
作業用自動制御においては、作業装置制御部46Dが、目標走行経路Pの経路情報と測位ユニット23の出力とに基づいて、田植機1が目標走行経路Pの作業開始地点に達するのに伴って植付部13等の作業装置による所定の作業(例えば植え付け作業)が開始され、かつ、田植機1が目標走行経路Pの作業終了地点に達するのに伴って植付部13等の作業装置による所定の作業が停止されるように、植付クラッチ43、条止めクラッチ44、昇降駆動機構12、及び、マーカ操作機構45の作動を自動制御する。
【0035】
このようにして、田植機1においては、変速装置41、パワーステアリング機構24、ブレーキ操作機構42、植付クラッチ43、条止めクラッチ44、昇降駆動機構12、マーカ操作機構45、車載電子制御ユニット46、車両状態検出センサ47、測位ユニット23、及び、通信モジュール54、等によって自動走行ユニット2が構成されている。
【0036】
以下、走行経路生成部74による目標走行経路Pの生成の仕方について説明する。
圃場等の作業領域Rにおいて、ユーザ等が運転操作して田植機1を走行させて実際に作業を行うことで、走行経路生成部74が目標走行経路Pを生成している。
【0037】
図3及び
図4に示すように、作業領域Rにおいて、ユーザ等の手動運転により田植機1を走行させることで、地点A、及び、地点Bの夫々を登録している。地点A及び地点Bを登録するために、
図2に示すように、携帯通信端末3には、地点A及び地点Bを設定する基準点設定部76と、人為操作式の基準点設定用操作部77とが備えられている。
【0038】
まず、
図3及び
図4に示すように、田植機1を地点Aから地点Bまで植付部13にて植付作業を行いながら走行させる。
図3は、地点Bに田植機1が位置している場合を示している。このとき、基準点設定部76は、基準点設定用操作部77の操作に基づいて、作業の開始地点を地点Aとし、作業の終了地点を地点Bとして設定している。図示は省略するが、基準点設定用操作部77は、例えば、携帯通信端末3の表示部71に表示され、地点A用の操作部と地点B用の操作部とが備えられている。自動走行を行う場合には、運転席26の近傍に配置された端末保持部等に携帯通信端末3を設置しているので、基準点設定用操作部77が田植機1(作業車両)に備えられた操作具となっている。
【0039】
基準点設定用操作部77は、携帯通信端末3の表示部71に表示されるものに限らず、各種の操作部を適用することができる。例えば、田植機1の表示部27に表示されるものとしたり、田植機1の運転席26の近傍に配置される操作スイッチや操作ボタンとすることもできる。また、後述するが、
図17に示すリモートコントローラ200を基準点設定用操作部77とすることもでき、田植機1に搭乗するユーザ等が基準点設定用操作部77(リモートコントローラ200)を携帯することもできる。
【0040】
作業の開始地点に田植機1が位置するときに、基準点設定用操作部77の地点A用の操作部をユーザ等が操作すると、基準点設定部76は、その操作時点における測位ユニット23の位置情報(田植機1の位置情報)を取得して、作業領域Rに地点A(緯度・経度から定まる地点)を設定している。また、作業の終了地点に田植機1が到達して、基準点設定用操作部77の地点B用の操作部をユーザ等が操作すると、基準点設定部76は、その操作時点における測位ユニット23の位置情報(田植機1の位置情報)に基づいて、作業領域Rに地点B(緯度・経度から定まる地点)を設定している。
【0041】
このように、基準点設定部76は、基準点設定用操作部77の操作タイミングに応じて、測位ユニット23にて田植機1の位置情報を取得して、地点A、及び、地点Bの夫々を設定している。基準点設定部76は、地点A及び地点Bの設定情報を端末記憶部75に記憶させている。
【0042】
基準点設定部76にて地点A及び地点Bが設定されると、基準線生成部78(
図2参照)が、
図5に示すように、地点A及び地点Bの位置情報に基づいて、第1基準線K1及び第2基準線K2を生成している。基準線生成部78は、地点Aと地点Bとを結ぶ直線を第1基準線K1として生成し、第1基準線K1に直交する直線を第2基準線K2として生成している。基準線生成部78は、生成した第1基準線K1及び第2基準線K2の位置情報等を端末記憶部75(記憶部に相当する)に記憶している。
【0043】
走行経路生成部74は、
図6に示すように、目標走行経路Pとして、第1基準線K1又は第2基準線K2に平行な第1平行経路P1及び第2平行経路P2を含む経路を生成している。第1平行経路P1及び第2平行経路P2は、田植機1を自動走行させながら、所定の作業(植え付け作業)を行う経路となっている。
【0044】
田植機1の自動走行を開始させる際には、自動走行開始用の所定条件が成立した後、携帯通信端末3にてユーザが表示部71を操作して自動走行の開始が指示されると、田植機1の自動走行が開始される。第1平行経路P1については、走行経路生成部74が、
図4及び
図5に示すように、基準線生成部78にて第1基準線K1が生成された時点で、第1平行経路P1を生成しており、自動走行開始用の所定条件が成立する以前に予め第1平行経路P1を生成している。それに対して、第2平行経路P2については、
図4及び
図5に示すように、基準線生成部78にて第1基準線K1が生成された時点では第2平行経路P2を生成されておらず、走行経路生成部74は、
図6に示すように、自動走行開始用の所定条件が成立した時点で、第2平行経路P2を生成しており、自動走行開始用の所定条件が成立した以後に第2平行経路P2を生成している。
【0045】
第1平行経路P1について、走行経路生成部74は、
図5に示すように、第1基準線K1と同じ又は略同じ長さの経路を第1平行経路P1としており、第1基準線K1と第1平行経路P1との間隔及び第1平行経路P1同士の間隔を設定間隔L1として設定本数(例えば、
図5及び
図6では6本)の第1平行経路P1を生成している。設定本数については、適宜変更が可能であるが、作業領域の大きさや作業領域の形状等の作業領域に関する作業領域情報を取得していない場合には、作業領域外まで第1平行経路P1を生成するように、例えば、500本の第1平行経路P1を生成している。また、作業領域情報を取得している場合には、作業領域内に収まるように設定本数を設定することもできる。
【0046】
走行経路生成部74は、設定本数の第1平行経路P1を生成するに当たり、
図5及び
図6に示すように、第1基準線K1を中心に左右対称に第1平行経路P1を生成したり、第1基準線K1を端部に位置させて第1基準線K1の右側又は左側に設定本数の第1平行経路P1を生成することができる。設定間隔L1については、例えば、ユーザ等が入力した植付部13等の作業装置に関する入力情報に基づく作業間隔を設定間隔L1として設定している。この実施形態では、田植機1であるので、苗を植え付ける条の間隔を設定間隔L1とすることができる。
【0047】
第2平行経路P2について、走行経路生成部74は、
図6に示すように、田植機1の現在位置を通り第2基準線K2に平行な第2平行経路P2を生成している。走行経路生成部74は、田植機1の現在位置を第2平行経路P2の始端位置とし、生成された設定本数の第1平行経路P1のうち、一番端部に位置する第1平行経路P1の位置(
図6では、一番左側に位置する第1平行経路P1の位置)を第2平行経路P2の終端位置として、第2平行経路P2を生成している。
【0048】
図5及び
図6では、第1基準線K1と隣接する第1平行経路P1とを連結する連結経路Q、及び、隣接する第1平行経路P1同士を連結する連結経路Qについて、参考に図示しているが、この実施形態では、走行経路生成部74は、連結経路Qを生成していない。連結経路Qは、作業を行わずに、田植機1の走行方向を転換させるための経路となる。
【0049】
走行経路生成部74が目標走行経路Pを生成すると、端末電子制御ユニット72が、携帯通信端末3から田植機1に経路情報を転送することで、田植機1の車載電子制御ユニット46が、経路情報を取得している。これにより、車載電子制御ユニット46は、取得した経路情報に基づいて、測位ユニット23にて自己の現在位置(田植機1の現在位置)を取得しながら、目標走行経路Pに沿って田植機1を自動走行させることができる。測位ユニット23にて取得する田植機1の現在位置については、リアルタイム(例えば、数ミリ秒周期)で田植機1から携帯通信端末3に送信されており、携帯通信端末3にて田植機1の現在位置を把握している。例えば、田植機1の自動走行中には、目標走行経路Pの走行方向に直交する方向での田植機1の現在位置と目標走行経路Pとの偏差(横方向偏差)を、携帯通信端末3の表示部71や田植機1の表示部27に表示させている。よって、田植機1の自動走行中には、ユーザ等が目標走行経路Pに対して田植機1の位置がどれくらいずれているかを把握できるようにしている。
【0050】
自動走行を行う場合の動作の流れについて、
図7のフローチャートに基づいて説明する。
まず、
図3及び
図4に示すように、ユーザ等の手動運転にて田植機1を走行させて実際に作業を行い、基準点設定部76による地点A及び地点Bの登録(設定)を行う(ステップ#1、ステップ#2)。基準線生成部78が、地点A及び地点Bの設定情報に基づいて、第1基準線K1及び第2基準線K2を生成し、走行経路生成部74が、第1基準線K1に平行な複数の第1平行経路P1を生成している(ステップ#3、ステップ#4)。
【0051】
端末電子制御ユニット72は、田植機1の走行方向の方位と第1平行経路P1の延設方向の方位とが所定範囲内になる第1所定条件が成立するか、又は、田植機1の走行方向と第2基準線K2の延設方向の方位とが所定範囲内になる第2所定条件が成立するか否かを判定している(ステップ#5、ステップ#6)。ちなみに、田植機1の走行方向の方位については、測位ユニット23の測定情報から取得することができ、基準線の延設方向の方位については、第1平行経路P1及び第2基準線K2の位置情報から取得することができる。
【0052】
第1所定条件が成立して、他の自動走行開始用の所定条件が満たされて、携帯通信端末3にて、ユーザが表示部71を操作して自動走行の開始が指示されると、車載電子制御ユニット46が、
図6の上方側に示すように、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、第1平行経路P1に沿って田植機1を自動走行させる第1自動走行を行う(ステップ#5のYesの場合、ステップ#7のYesの場合、ステップ#8)。この第1自動走行は、予め生成された複数の第1平行経路P1のうち、第1所定条件が成立した第1平行経路P1に対して行う。
【0053】
第1自動走行では、車載電子制御ユニット46が、
図6に示すように、第1平行経路P1の始端位置P1aにて植付部13による作業(植え付け作業)を開始し、第1平行経路P1の終端位置P1bにて植付部13による作業(植え付け作業)を終了する形態で、第1平行経路P1に沿って田植機1を自動直線走行させている。
【0054】
第2所定条件が成立すると、走行経路生成部74が、第2基準線K2に平行な第2平行経路P2を生成している(ステップ#6のYesの場合、ステップ#9)。携帯通信端末3にて、ユーザが表示部71を操作して自動走行の開始が指示されると、車載電子制御ユニット46が、
図6の下方側に示すように、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、第2平行経路P2に沿って田植機1を自動走行させる第2自動走行を行う(ステップ#10のYesの場合、ステップ#11)。
【0055】
この第2自動走行では、車載電子制御ユニット46が、植付部13による作業(植え付け作業)を開始し、第2平行経路P2の終端位置P2aにて植付部13による作業(植え付け作業)を終了する形態で、第2平行経路P2に沿って田植機1を自動直線走行させている。植付部13による作業を開始する際には、田植機1が手動運転されているので、ユーザ等の手動操作により植付部13による作業を開始することもできる。
【0056】
このように、第1所定条件又は第2所定条件が成立することで、第1平行経路P1又は第2平行経路P2に沿って田植機1を自動走行させており(ステップ#5~ステップ#11)、これらの動作を圃場等の作業領域での作業が終了されるまで、繰り返し行われる(ステップ#12のNoの場合)。車載電子制御ユニット46は、田植機1が作業領域外に移動される等の作業終了条件が成立すると、作業領域での作業が終了したと判定している。
【0057】
図6に示すものでは、複数の第1平行経路P1を生成しているので、ある第1平行経路P1に沿って田植機1を自動走行させると、ユーザの手動運転により次の第1平行経路P1に向けて田植機1が旋回走行(例えば、連結経路Q)される。その後、第1所定条件が成立して、他の自動走行開始用の条件が満たされると、自動走行の開始が指令されることで、次の第1平行経路P1に沿って田植機1が自動走行させる。このように、複数の第1平行経路P1については、第1平行経路P1の自動走行→手動走行(連結経路Qの手動走行)→次の第1平行経路P1の自動走行が繰り返し行われる。
【0058】
それに対して、第2平行経路P2については、第2所定条件が成立することで、第2平行経路P2を生成しているので、ユーザの手動運転により田植機1の位置が第2所定条件が成立する位置に移動される毎に、第2平行経路P2の自動走行が行われる。
【0059】
作業領域での作業が終了して、設定情報消去条件が満たされると、端末電子制御ユニット72が、端末記憶部75に記憶されている地点A及び地点Bの設定情報、第1基準線K1及び第2基準線K2に関する情報を消去している。これにより、次の作業領域における地点A及び地点Bを登録して、第1基準線K1及び第2基準線K2を生成することができるようにしている。設定情報消去条件は、例えば、田植機1が作業領域外に移動したことや、自動走行の終了から設定時間が経過したこと等、各種の条件を設定することができる。
【0060】
上述の如く、第1平行経路P1及び第2平行経路P2については、田植機1を自動走行させているが、田植機1の走行方向を転換するための連結経路Qについては、田植機1を自動走行させずに、ユーザの手動操作により田植機1を手動運転させている。よって、車載電子制御ユニット46は、複数の第1平行経路P1及び第2平行経路P2における田植機1の自動走行を行うことが可能であり、且つ、
図6に示すように、第1平行経路P1から次の第1平行経路P1への移動については田植機1の手動走行を許容している。
【0061】
第1平行経路P1から次の第1平行経路P1へ田植機1を手動走行させる場合(田植機1を手動運転させて連結経路Qを走行する場合)に、手動走行終了後の田植機1の位置と次の第1平行経路P1における自動走行の開始位置との偏差を示唆する偏差報知を行う報知制御部46G(
図2参照)が備えられている。
【0062】
報知制御部46Gは、偏差報知として、例えば、田植機1の表示部27に田植機1の現在位置と次の第1平行経路P1を重畳表示させることで、ユーザが田植機1の現在位置と次の第1平行経路P1における自動走行の開始位置との偏差を認識できるようにしている。また、端末電子制御ユニット72が、携帯通信端末3の表示部71においても、田植機1の表示部27に田植機1の現在位置と次の第1平行経路P1を重畳表示させることができる。これにより、手動運転される田植機1を第1平行経路P1の始端位置P1aに向けて案内することができる。
【0063】
また、田植機1の表示部27や携帯通信端末3の表示部71等に、複数の表示ランプ部を有する偏差情報表示部を備え、報知制御部46Gや端末電子制御ユニット72が、偏差報知として、複数の表示ランプ部の点灯形態を制御することで、田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対してどの方向にどれだけずれているのかを表示させることができる。
【0064】
例えば、田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対して所定範囲内に位置しているときには、複数の表示ランプ部のうち、中央部に位置する表示ランプ部のみを点灯させる。田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対して所定範囲を超えて右側に位置しているときには、複数の表示ランプ部のうち、中央部よりも右側に位置する表示ランプ部のみを点灯させる。このとき、右側へのずれ量が大きくなる程、より右側に位置する表示ランプ部を点灯させる形態で点灯させる表示ランプ部の数を増やすことができる。
【0065】
このように、報知制御部46Gや端末電子制御ユニット72は、どのような表示形態にて、田植機1の現在位置と次の第1平行経路P1の始端位置P1aとの偏差を示唆する偏差報知を行うかは適宜変更が可能である。また、例えば、「右側に寄っています」等の音声による偏差報知を行うこともできる。
【0066】
自動走行中には、作業領域外への田植機1の飛び出しを防止するために、田植機1が作業領域の端部等に接近した接近状態をユーザ等に報知している。
図2に示すように、地点A、地点Bの設定情報、及び、第1平行経路P1の位置情報に基づいて、作業領域の端部に対する接近状態であることを報知する端部報知を行う報知位置を特定する報知位置特定部79と、田植機1が自動走行を行う場合に、田植機1の現在位置が報知位置に到達すると、端部報知を行う報知制御部46Gとが備えられている。
【0067】
報知位置特定部79は、携帯通信端末3に備えられている。報知位置特定部79は、
図6に示すように、第1平行経路P1について、地点A及び地点Bの位置情報に基づいて、第1平行経路P1の終端位置P1bを報知位置として特定している。また、報知位置特定部79は、第2平行経路P2について、一番端部側に生成される第1平行経路P1の位置情報に基づいて、第2平行経路P2の終端位置P2aを報知位置として特定している。
【0068】
このように、報知位置特定部79が報知位置を特定しているので、田植機1を自動走行させる自動走行制御において、報知制御部46Gが、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、田植機1の現在位置が報知位置(例えば、終端位置P1bや終端位置P2a)に到達していると判定すると、報知装置28を作動させて端部報知を行い、作業領域の端部等に接近した接近状態をユーザ等に報知している。端部報知では、例えば、接近状態であるとの音声、警報ランプの点灯、警報ブザーの作動等の報知装置28による各種の報知を行うことができる。また、端部報知では、田植機1の報知装置28を作動させるだけでなく、携帯通信端末3の表示部71に接近状態であることを表示させる等、携帯通信端末3においても接近状態を報知することができる。
【0069】
報知制御部46Gが端部報知を行うのに伴って、車載電子制御ユニット46が、田植機1を走行停止させることもできる。このように、田植機1を走行停止させることで、作業領域外への田植機1の飛び出しを適切に防止することができる。
【0070】
上述の如く、第1基準線K1に平行な第1平行経路P1だけでなく、第2基準線K2に平行な第2平行経路P2に対しても、田植機1を自動走行させることができるので、例えば、
図8に示すように、作業領域Rにおいて、作業領域Rの全体に亘って田植機1を自動走行させながら所定の作業(植え付け作業)を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0071】
図8に示すものでは、作業領域Rの上下方向の中央領域において、第1基準線K1に平行な第1平行経路P1を生成して田植機1の自動走行を行い、作業領域Rの上下方向の両端部領域において、第2基準線K2に平行な第2平行経路P2を生成して田植機1の自動走行を行っている。
【0072】
走行経路生成部74は、第1平行経路P1として、第1基準線K1と同じ経路長さのものだけでなく、第1基準線K1よりも経路長さの長い延長第1平行経路P3を生成している。延長第1平行経路P3を生成する場合には、例えば、第1平行経路P1の自動走行中や手動運転中に、ユーザが携帯通信端末3の表示部71を操作することで、走行経路生成部74が、その操作時点における田植機1の位置まで第1平行経路P1を延長させて、延長第1平行経路P3を生成している。ちなみに、延長第1平行経路P3をどれだけ延長させるかについては、例えば、予め設定した距離だけ、或いは、ユーザ等が設定した距離だけ延長することもできる。
【0073】
走行経路生成部74は、第2平行経路P2として、田植機1の現在位置から一番端部側に生成される第2平行経路P2までの経路長さを有する経路だけでなく、それよりも経路長さの長い延長第2平行経路P4を生成している。延長第2平行経路P4を生成する場合には、例えば、第2平行経路P2の自動走行中や手動運転中に、ユーザが携帯通信端末3の表示部71を操作することで、走行経路生成部74が、その操作時点における田植機1の位置まで第2平行経路P2を延長させて、延長第2平行経路P4を生成している。ちなみに、延長第2平行経路P4をどれだけ延長させるかについては、例えば、予め設定した距離だけ、或いは、ユーザ等が設定した距離だけ延長することもできる。
【0074】
図8に示すものでは、田植機1を自動走行させる経路について走行順序を図示しているので、その走行順序に基づいて説明する。
(1)田植機1の走行方向の方位と走行順序(1)の第1平行経路P1の延設方向の方位とが所定範囲内になり第1所定条件が成立すると、車載電子制御ユニット46が、走行順序(1)の第1平行経路P1に沿って田植機1を自動走行させる。
(2)ユーザの手動運転により連結経路Qを走行させ、田植機1の走行方向の方位と走行順序(2)の第1平行経路P1の延設方向の方位とが所定範囲内になり第1所定条件が成立すると、車載電子制御ユニット46が、走行順序(2)の第1平行経路P1に沿って田植機1を自動走行させる。
(3)~(5)については、(1)及び(2)と同様の動作を行うので、説明は省略する。
【0075】
(6)走行順序(5)の第1平行経路P1の終端位置P1bに到達した後、田植機1を手動運転に切り替えて図中右下方側に田植機1を移動させて、田植機1の走行方向の方位と第2基準線K2の延設方向の方位とが所定範囲内になり第2所定条件が成立すると、(6)の延長第2平行経路P4を生成する。そして、車載電子制御ユニット46が、(6)の延長第2平行経路P4に沿って田植機1を自動走行させる。
【0076】
(7)走行順序(6)の延長第2平行経路P4の終端位置P4aに到達した後、田植機1を手動運転に切り替えて図中上方側に田植機1を移動させ、田植機1の走行方向の方位と走行順序(7)の第2基準線K2の延設方向の方位とが所定範囲内になり第2所定条件が成立すると、車載電子制御ユニット46が、走行順序(7)の第2平行経路P2に沿って田植機1を自動走行させる。この自動走行では、当初の終端位置P2aよりも第2平行経路P2を延長させて延長第2平行経路P4を生成しながら、その延長第2平行経路P4に沿って自動走行させている。
【0077】
(8)走行順序(7)の延長第2平行経路P4の終端位置P4aに到達した後、田植機1を手動運転に切り替えて図中上方側に田植機1を移動させる。田植機1の走行方向の方位と走行順序(8)の第1平行経路P1の延設方向の方位とが所定範囲内になり第1所定条件が成立すると、車載電子制御ユニット46が、(8)の第1平行経路P1に沿って自動走行させる。この自動走行では、当初の終端位置P1bよりも第1平行経路P1を延長させて延長第1平行経路P3を生成しながら、その延長第1平行経路P3に沿って自動走行させている。
【0078】
(9)走行順序(6)の延長第2平行経路P4の自動走行と同様の動作を行うので、説明は省略する。
(10)走行順序(7)の延長第2平行経路P4の自動走行と同様の動作を行うので、説明は省略する。
(11)走行順序(8)の延長第1平行経路P3の自動走行と同様の動作を行うので、説明は省略する。走行順序(11)の延長第1平行経路P3では、第1平行経路P1の始端位置側、及び、第1平行経路P1の終端位置側の両側に経路を延長させている。
【0079】
第1実施形態において、第1基準線K1と第1平行経路P1との間の間隔、及び、隣接する第1平行経路P1同士の間の間隔についての別実施形態を説明する。
この第1実施形態では、
図3及び
図4に示すように、地点Aと地点Bを登録しているが、例えば、
図9に示すように、地点A及び地点Bに加えて、地点Cも登録することもできる。この場合には、走行経路生成部74が、第1基準線K1と第1平行経路P1との間隔L2及び隣接する第1平行経路P1同士の間隔L2を、地点Bと地点Cとの間の距離に基づいて設定することができる。つまり、走行経路生成部74が、第1基準線K1と第1平行経路P1との間隔L2及び隣接する第1平行経路P1同士の間隔L2を、地点Bと地点Cとの間の距離と同一に設定することができる。
【0080】
第1実施形態において、第2基準線K2についての別実施形態を説明する。
この第1実施形態では、
図5及び
図6に示すように、第2基準線K2を第1基準線K1に直交する直線としているが、第2基準線K2は、第1基準線K1に直交する直線に限らず、第1基準線K1に所定の交差角度を有する直線とすることもできる。例えば、
図10に示すように、地点A及び地点Bに加えて、地点Cを登録する場合には、基準線生成部78が、地点Bと地点Cとを結ぶ直線を第2基準線K2として生成することができる。
【0081】
また、
図11に示すように、地点Cに代えて、作業領域Rの出入口R1に対応する出入口用の基準点Sを登録することもできる。この場合には、まず、出入口用の基準点Sを登録した後、地点A及び地点Bを登録することになる。基準線生成部78は、出入口用の基準点Sと作業の開始地点となる地点Aとを結ぶ直線を第2基準線K2として生成することができる。これにより、第2基準線K2を作業領域Rの端部の形状に応じた直線とすることができ、作業領域Rの形状に応じた効率よい作業を行うことができる。
【0082】
第1実施形態において、第1基準線K1と第1平行経路P1との間の間隔、及び、隣接する第1平行経路P1同士の間の間隔についての別実施形態を説明する。
圃場等の作業領域において田植機1にて所定の作業(植え付け作業)を行う場合に、作業領域の幅等の作業領域の状況に応じて、条止めクラッチ44により植付装置30への動力の伝達を切る(動力の伝達を停止する)ことで、複数の植付装置30のうち、一部の植付装置30のみにて植え付け作業を行う場合がある。
【0083】
この条止めクラッチ44による条止めを行った状態での植え付け作業では、植え付け作業の作業幅が小さくなる。そこで、走行経路生成部74は、
図12に示すように、条止めを行った状態での植え付け作業を行った第1平行経路P1(図中右から2番目の第1平行経路P1)と次の第1平行経路P1(図中一番右側の第1平行経路P1)との間隔を、他の隣接する第1平行経路P1同士の間隔L1よりも小さい間隔L3に変更している。このように、条止めを行った状態での植え付け作業を行った場合には、走行経路生成部74は、次の第1平行経路P1を現在走行中の第1平行経路P1に対して接近する側に所定距離だけ平行移動させている。所定距離は、条止めを行った植付装置30の数に応じて設定することができ、条止めを行った植付装置30の数が多くなるほど、所定距離を大きくなるように設定している。ちなみに、条止めクラッチ44の作動状態を検出することで、条止めを行った状態での植え付け作業を行っているか否かの判定を行うことができる。
【0084】
第1平行経路P1の平行移動については、例えば、
図13に示すように、自動走行を行う前に、ユーザが携帯通信端末3の表示部71を操作することで、走行経路生成部74が、複数の第1平行経路P1の全てを所定距離だけ平行移動させることができる。
図13では、複数の第1平行経路P1を平行移動させる前の状態を左側に示しており、複数の第1平行経路P1を平行移動させた後の状態を右側に示している。右側に示す第1平行経路P1について、どのように平行移動させたかが分かるように、平行移動する前の第1平行経路P1を点線にて示し、平行移動した後の第1平行経路P1を実線にて示している。
【0085】
また、
図14に示すように、自動走行中において、田植機1の位置を第1平行経路P1よりも横方向にずれた位置に移動させた状態において、ユーザが携帯通信端末3の表示部71を操作することで、走行経路生成部74が、田植機1の現在位置と第1平行経路P1とが合致するように、第1平行経路P1を平行移動させることができる。
図14では、平行移動させる前の第1平行経路P1を点線にて示しており、平行移動された後の第1平行経路P1を一点鎖線にて示している。
【0086】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、第1実施形態の別実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同符号を記す等により説明は省略する。
【0087】
この第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、
図5及び
図6に示すように、複数の第1平行経路P1を生成するための設定間隔L1に関する情報を取得していない。そこで、この第2実施形態では、走行経路生成部74が、
図15及び
図16に示すように、田植機1の位置情報に基づいて第1基準線K1及び第2基準線K2の何れかの基準線を選択し、田植機1の現在位置を通り選択した基準線に平行な平行経路P5、P6を生成している。
【0088】
第1実施形態と同様に、田植機1の手動運転を行うことで、
図15に示すように、基準点設定部76が地点A及び地点Bを設定すると、基準線生成部78が、第1基準線K1及び第2基準線K2を生成している。走行経路生成部74は、
図16に示すように、自動走行開始用の所定条件が成立するか否かを判定している。所定条件は、田植機1の走行方向の方位と基準線の延設方向の方位(第1基準線K1の延設方向の方位又は第2基準線K2の延設歩行の方位)とが所定範囲内となる条件に設定されている。ちなみに、田植機1の走行方向の方位については、測位ユニット23の測定情報から取得することができ、基準線の延設方向の方位については、第1基準線K1及び第2基準線K2の位置情報から取得することができる。
【0089】
走行経路生成部74は、田植機1の走行方向の方位と第1基準線K1の延設方向の方位とが所定範囲内となり第1所定条件が成立すると、
図16の点線で示すように、田植機1の現在位置を通り第1基準線K1に平行な第1平行経路P5を生成している。この第1平行経路P5は、田植機1の現在位置を始端位置とし、地点A又は地点Bに相当する位置を終端位置とする経路長さを有する経路としている。
【0090】
このようにして、第1平行経路P5を生成すると、他の自動走行開始用の所定条件が満たされて、携帯通信端末3にて、ユーザが表示部71を操作して自動走行の開始が指示されると、車載電子制御ユニット46が、
図16の点線にて示すように、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、第1平行経路P5に沿って田植機1を自動走行させる第1自動走行を行う。
【0091】
走行経路生成部74は、田植機1の走行方向の方位と第2基準線K2の延設方向の方位とが所定範囲内となり第2所定条件が成立すると、
図16の実線で示すように、田植機1の現在位置を通り第2基準線K2に平行な第2平行経路P6を生成している。この第2平行経路P6は、田植機1の現在位置を始端位置とし、設定距離だけの経路長さを有する経路としている。設定距離については、適宜設定することができ、例えば、ユーザが変更設定することができる。
【0092】
このようにして、第2平行経路P6を生成すると、他の自動走行開始用の所定条件が満たされて、携帯通信端末3にて、ユーザが表示部71を操作して自動走行の開始が指示されると、車載電子制御ユニット46が、
図16の実線にて示すように、衛星測位システムを用いて測位ユニット23により取得される田植機1の測位情報に基づいて、第2平行経路P6に沿って田植機1を自動走行させる第2自動走行を行う。
【0093】
第2実施形態では、第1所定条件又は第2所定条件が成立した時点で、第1平行経路P5又は第2平行経路P6を生成して、その生成した第1平行経路P5又は第2平行経路P6に沿って田植機1を自動走行させている。
【0094】
第2実施形態における自動走行を行う場合の動作の流れについて、
図7を用いて説明する。
第2実施形態では、第1実施形態に対して、第1平行経路P5を生成するタイミングが異なる。第1実施形態では、
図7において、第1基準線K1及び第2基準線K2を生成した後で、且つ、第1所定条件又は第2所定条件が成立する前のタイミングで、第1基準経路を生成している。それに対して、第2実施形態では、
図7において、第1所定条件が成立した後のタイミングで、第1平行経路P5を生成している。つまり、
図7において、「第1平行経路生成」のステップ#4を、「第1所定条件成立か?」のステップ#5と「自動走行開始か?」のステップ#7との間に変更するだけで、その他の動作については、
図7のフローチャートにて示す動作の流れと同様である。
【0095】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、第1実施形態の別実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同符号を記す等により説明は省略する。
【0096】
この第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、携帯通信端末3に加えて又は代えて、
図17に示すように、リモートコントローラ200が備えられている。例えば、携帯通信端末3に代えて、リモートコントローラ200を備える場合には、
図18に示すように、走行経路生成部74、基準点設定部76、基準線生成部78、報知位置特定部79等が、車載電子制御ユニット46に備えられている。
【0097】
この場合には、基準点設定部76にて設定された地点A及び地点Bに関する情報、基準線生成部78にて生成された第1基準線K1及び第2基準線K2に関する情報、走行経路生成部74にて生成された第1平行経路P1及び第2平行経路P2等の目標走行経路Pに関する情報が、車載記憶部46Fに記憶されるので、車載記憶部46Fが記憶部に相当することになる。
【0098】
基準点設定用操作部77として、
図17及び
図18に示すように、ユーザ等が携帯自在なリモートコントローラ200が備えられている。リモートコントローラ200は、田植機1の車載電子制御ユニット46との間で通信モジュール54、205等を介して各種の情報を通信自在に構成されている。リモートコントローラ200には、
図17に示すように、地点Aを登録するための地点A用の操作部201と、地点Bを登録するための地点B用の操作部202と、自動走行を指令するための円形状のAUTO用の操作部203とが備えられている。円形状のAUTO用の操作部203の周囲には、複数のLED等の発光部を有するリング状の表示部204が備えられ、表示部204は、複数の発光部の点灯状態を異ならせることで、複数の表示形態に切換自在に構成されている。
【0099】
第3実施形態では、基準点設定部76が地点A及び地点Bを設定するに当たり、ユーザが操作する操作対象がリモートコントローラ200となっている。よって、基準点設定部76は、リモートコントローラ200の地点A用の操作部201が操作されると、その操作時点における測位ユニット23の位置情報(田植機1の位置情報)を取得して、地点A(緯度・経度から定まる地点)を設定している。また、基準点設定部76は、リモートコントローラ200の地点B用の操作部202が操作されると、その操作時点における測位ユニット23の位置情報(田植機1の位置情報)を取得して、地点B(緯度・経度から定まる地点)を設定している。
【0100】
この第3実施形態でも、第1実施形態と同様に、
図6に示すように、第1平行経路P1及び第2平行経路P2については、田植機1を自動走行させているが、田植機1の走行方向を転換するための連結経路Qについては、田植機1を自動走行させずに、ユーザの手動操作により田植機1を手動運転させている。よって、第1平行経路P1から次の第1平行経路P1へ田植機1を手動走行させる場合(田植機1を手動運転させて連結経路Qを走行する場合)に、手動走行終了後の田植機1の位置と次の第1平行経路P1における自動走行の開始位置との偏差を示唆する偏差報知を行っている。
【0101】
この偏差報知について、第1実施形態では、田植機1の表示部27や携帯通信端末3の表示部71を用いて偏差報知を行っているが、第3実施形態では、リモートコントローラ200が備えられているので、リモートコントローラ200を用いた偏差報知について説明する。
【0102】
リモートコントローラ200には、
図18に示すように、表示部204の表示形態を制御する表示制御部206が備えられている。表示制御部206は、例えば、偏差報知として、表示部204における複数の発光部の点灯状態を制御することで、田植機1の現在位置と次の第1平行経路P1の始端位置P1aとの偏差を示唆している。例えば、田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対して所定範囲内に位置しているときには、
図18(a)のグレーにて示すように、複数の発光部のうち、中央部に位置する発光部のみを点灯させる。田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対して所定範囲を超えて左側に位置しているときには、
図18(b)のグレーにて示すように、複数の発光部のうち、中央部及び右側に位置する発光部のみを点灯させる。このとき、左側へのずれ量が大きくなる程、より右側に位置する発光部を点灯させる形態で点灯させる発光部の数を増やすことができる。
【0103】
リモートコントローラ200の表示部204の表示により、ユーザが田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対してどの方向のどれだけずれているかを認識することができる。しかも、田植機1の現在位置が次の第1平行経路P1の始端位置P1aに対して所定範囲を超えて左側に位置しているときには、リング状の表示部204において、中央部及び右側に位置する発光部のみが点灯されるので、ユーザが、ステアリングホイール25を操作する方向も容易に認識することができ、次の第1平行経路P1の始端位置P1aにスムーズに案内することができる。
【0104】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0105】
(1)作業車両の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両は、エンジン15と走行用の電動モータとを備えるハイブリット仕様に構成されていてもよく、また、エンジン15に代えて走行用の電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両は、左右の後輪20が操舵輪として機能する後輪ステアリング仕様に構成されていてもよい。
【0106】
(2)上記第1実施形態では、走行経路生成部74、基準点設定部76、基準線生成部78、報知位置特定部79等が携帯通信端末3に備えられているが、例えば、走行経路生成部74、基準点設定部76、基準線生成部78、報知位置特定部79等を田植機1に備えたり、外部の管理装置に備えることもでき、配置箇所は適宜変更することができる。
【0107】
(3)上記実施形態では、走行経路生成部74が、連結経路Qを生成せずに、連結経路Qについて田植機1の自動走行を行っていないが、走行経路生成部74が、連結経路Qを生成し、端末記憶部75等に記憶しておくことで、車載電子制御ユニット46が、連結経路Qに沿って田植機1を自動走行させることもできる。この場合には、第1平行経路P1の自動走行に引き続いて、連結経路Qの自動走行を行い、その後、更に引き続いて次の第1平行経路P1の自動走行を行うことができる。よって、複数の第1平行経路P1及び複数の連結経路Qに対して連続して田植機1を自動走行させることができる。
【0108】
<発明の付記>
本発明の第1特徴構成は、第1基準線、及び、第2基準線を記憶する記憶部と、
前記第1基準線又は前記第2基準線に平行な平行経路を生成する走行経路生成部と、
その走行経路生成部にて生成された前記平行経路に沿って作業車両を自動走行させる自動走行制御部とが備えられている点にある。
【0109】
本構成によれば、走行経路生成部は、記憶部に記憶されている第1基準線だけでなく、第2基準線に平行な平行経路を生成することができる。自動走行制御部は、第1基準線に平行な平行経路だけでなく、第2基準線に平行な平行経路に沿って作業車両を自動走行させて、効率よく所定の作業を行うことができる。これにより、第2基準線に平行な平行経路に沿って自動走行を行うために、ユーザ等が新たに調整作業や作業車両の手動運転を行わなくてもよい。よって、ユーザの作業負担の軽減を図りながら、第1基準線に平行な平行経路だけでなく、第2基準線に平行な平行経路に沿って作業車両を自動走行させて、作業効率の向上を図ることができる。
【0110】
本発明の第2特徴構成は、前記走行経路生成部は、前記作業車両の位置情報に基づいて前記第1基準線及び前記第2基準線の何れかの基準線を選択し、前記作業車両の現在位置を通り選択した基準線に平行な前記平行経路を生成している点にある。
【0111】
本構成によれば、ユーザ等が作業を開始したい地点等に作業車両を移動させた場合に、走行経路生成部が、そのときの作業車両の位置情報に基づいて第1基準線及び第2基準線の何れかの基準線を選択し、作業車両の現在位置を通り選択した基準線に平行な平行経路を生成することができる。よって、ユーザは、作業開始地点等に作業車両を移動させるだけで、その作業開始地点に応じた平行経路に沿って自動走行を行うことができ、ユーザの作業負担の軽減を効果的に図りながら、自動走行を適切に行うことができる。
【0112】
本発明の第3特徴構成は、前記走行経路生成部は、前記平行経路として、前記第1基準線に平行な複数の第1平行経路を所定間隔隔てて生成可能であるとともに、前記作業車両の現在位置を通り前記第2基準線に平行な第2平行経路を生成可能である点にある。
【0113】
本構成によれば、走行経路生成部は、所定間隔の作業幅を有する複数の第1平行経路を生成できるとともに、作業車両の現在位置に応じた第2平行経路を生成することができる。例えば、作業領域の中央領域では、複数の第1平行経路を生成して自動走行にて所定の作業を行うことができながら、中央領域の周囲の周囲領域では、作業領域の形状等に対応しながら第2平行経路を生成して自動走行にて所定の作業を行うことができる。このように、作業領域の形状等の各種の状況に応じて、第1平行経路又は第2平行経路を生成しながら、自動走行にて効率よく作業を行うことができる。しかも、第1平行経路については、複数の第1平行経路を生成するので、既に生成した第1平行経路を目標としながら自動走行を行うことができ、第1平行経路に沿った自動走行を効率よく且つ適切に行うことができる。
【0114】
本発明の第4特徴構成は、前記自動走行制御部は、複数の前記平行経路における前記作業車両の自動走行を行うことが可能であり、且つ、前記平行経路から次の前記平行経路への移動については前記作業車両の手動走行を許容しており、
前記平行経路から次の前記平行経路へ前記作業車両を手動走行させる場合に、手動走行終了後の前記作業車両の位置と次の前記平行経路における自動走行の開始位置との偏差を示唆する報知を行う報知制御部が備えられている点にある。
【0115】
本構成によれば、平行経路から次の前記平行経路へ作業車両を手動走行させる場合に、報知制御部が、手動走行終了後の作業車両の位置と次の平行経路における自動走行の開始位置との偏差を示唆する報知を行うので、次の平行経路における自動走行の開始位置まで案内することができる。これにより、次の平行経路における自動走行をスムーズに開始することができ、次の平行経路に沿った自動走行を効率よく且つ適切に行うことができる。
【0116】
本発明の第1態様に係る自動走行システムは、走行経路生成部と、自動走行制御部と、が備えられている。前記走行経路生成部は、それぞれ異なる方向に延び、作業領域の外形の一辺とは別に登録される複数の基準線にそれぞれ平行な平行経路を前記作業領域に生成する。前記自動走行制御部は、その走行経路生成部にて生成された前記平行経路に沿って作業車両を自動走行させる。
【0117】
本発明の第2態様に係る自動走行システムは、走行経路生成部と、自動走行制御部と、が備えられている。前記走行経路生成部は、それぞれ異なる方向に延びる複数の基準線にそれぞれ平行な平行経路を生成する。前記自動走行制御部は、その走行経路生成部にて生成された前記平行経路に沿って作業車両を自動走行させる。前記走行経路生成部は、少なくとも前記作業車両の位置情報に関する所定条件に基づいて前記複数の基準線の何れかの基準線を選択し、選択した基準線に平行な前記平行経路を生成している。
【符号の説明】
【0118】
1 田植機(作業車両)
46 車載電子制御ユニット(自動走行制御部)
46F 車載記憶部(記憶部)
46G 報知制御部
74 走行経路生成部
75 端末記憶部(記憶部)
206 表示制御部
K1 第1基準線
K2 第2基準線
P1 第1平行経路
P2 第2平行経路
P5 第1平行経路
P6 第2平行経路