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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045833
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20240327BHJP
【FI】
B62J45/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150858
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓希
(72)【発明者】
【氏名】中西 孝文
(72)【発明者】
【氏名】北本 寛
(72)【発明者】
【氏名】久野 あい理
(72)【発明者】
【氏名】渡部 誠多
(57)【要約】
【課題】車体のデザインをシャープにできる鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両は、左右一対に設けられるフレーム(20b)と、ACGスタータ(31)を制御する第1制御ユニット(50)と、エンジン(12)への燃料噴射を制御する第2制御ユニット(70)とを有する鞍乗り型車両において、前記第1制御ユニット(50)と、前記第2制御ユニット(70)と、の2つの制御ユニット(50、70)のうち、一方の前記制御ユニット(50)は、前記左右一対のフレーム(20b)よりも車両外側に取り付けられ、他方の前記制御ユニット(70)は、前記左右一対のフレーム(20b)の間に設けられる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対に設けられるフレーム(20b)と、ACGスタータ(31)を制御する第1制御ユニット(50)と、エンジン(12)への燃料噴射を制御する第2制御ユニット(70)とを有する鞍乗り型車両において、
前記第1制御ユニット(50)と、前記第2制御ユニット(70)と、の2つの制御ユニット(50、70)のうち、
一方の前記制御ユニット(50)は、前記左右一対のフレーム(20b)よりも車両外側に取り付けられ、
他方の前記制御ユニット(70)は、前記左右一対のフレーム(20b)の間に設けられる
ことを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記一方の制御ユニット(50)の少なくとも一部を車幅方向外側から覆うサイドカバー(32)を有し、
前記一方の制御ユニット(50)と前記サイドカバー(32)との間には、カバー(61)が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記一方の制御ユニット(50)は、前記左右一対のフレーム(20b)の幅が最大の部分よりも狭い部分に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記左右一対のフレーム(20b)の間には収納ボックス(30)が配置され、
前記左右一対のフレーム(20b)の間に跨るリアクロス(20c)を有し、
前記他方の制御ユニット(70)は、前記他方の制御ユニット(70)の辺のうち、長さが最も短い辺の延びる方向が車両前後方向に沿うように配置され、
前記他方の制御ユニット(70)は前記左右一対のフレーム(20b)と前記リアクロス(20c)とに囲まれる範囲内に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記他方の制御ユニット(70)は、コネクタ(73)を有し、
前記コネクタ(73)は、前記他方の制御ユニット(70)の前記一方の制御ユニット(50)側に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記一方の制御ユニット(50)は、前記第1制御ユニット(50)であり、
前記他方の制御ユニット(70)は、前記第2制御ユニット(70)であり、
前記第1制御ユニット(50)は、車両前後方向において、前記ACGスタータ(31)及び前記エンジン(12)と、前記第2制御ユニット(70)と、の間に配置される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記一方の制御ユニット(70)は、前記第2制御ユニット(70)であり、
前記他方の制御ユニット(50)は、前記第1制御ユニット(50)である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品が密集する車幅方向中央に制御ユニットを配置することを回避した鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、シートの下方に位置する左右一対のフレームよりも車幅方向外側において、2つの制御ユニットが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/261278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左右一対のフレームよりも車幅方向外側において制御ユニットを配置すると、車体が車幅方向に膨出し易いために、車体のデザインをシャープにし難いという課題があった。
本発明は上述した事情を鑑みてなされたものであり、車体のデザインをシャープにできる鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、左右一対に設けられるフレームと、ACGスタータを制御する第1制御ユニットと、エンジンへの燃料噴射を制御する第2制御ユニットとを有する鞍乗り型車両において、前記第1制御ユニットと、前記第2制御ユニットと、の2つの制御ユニットのうち、一方の前記制御ユニットは、前記左右一対のフレームよりも車両外側に取り付けられ、他方の前記制御ユニットは、前記左右一対のフレームの間に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
車体のデザインをシャープにできる鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】鞍乗り型車両の後部の内部構造を示す側面図である。
図3】第1制御ユニットおよび第2制御ユニットの周囲の配線を示す側面図である。
図4】第1制御ユニット付近における鞍乗り型車両の内部構造を示す側面図である。
図5】金具付近における鞍乗り型車両の内部構造を示す斜視図である。
図6】第1制御ユニットと第2制御ユニットとの位置関係を示す斜視図である。
図7】第2制御ユニット付近における鞍乗り型車両の内部構造を示す後方からみた図である。
図8】収納ホルダー付近における鞍乗り型車両の内部構造を示す斜視図である。
図9】第2制御ユニット付近における鞍乗り型車両10の内部構造の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
本実施の形態の鞍乗り型車両10は、シート17に着座した乗員が足を載せる低床のステップ28を有するスクータ型の自動二輪車である。鞍乗り型車両10では、ステップ28は、フラットフロアとして構成されている。パワーユニット12は、車体フレーム11の後部に支持されるユニットスイングエンジンである。パワーユニット12は、クランクケース23とシリンダー部24とスイングアームと16を一体に備える。本実施形態におけるパワーユニット12は、「エンジン」の一例である。また、パワーユニット12は、クランクケース23の内部においてACG(Alternating Current Generator)スタータ31を有する。ACGスタータ31は、クランクケース23に格納された図示しないクランクシャフトに連結され、クランクシャフトの回転によって発電する発電機である。また、ACGスタータ31は、モーターとして駆動することにより、パワーユニット12のスタータとしても機能する。
【0016】
リアフレーム20は、フロントフレーム19の後端から、左右一対に分岐して後方に延びるフレームである。左右一対のリアフレーム20はそれぞれ、フロントフレーム19の下端からステップ28の下方を略水平に延びるステップ部20aと、「左右一対に設けられるフレーム」の一例としてのシートフレーム20bと、を備える。シートフレーム20bは、ステップ部20aの後端から後ろ上がりに延びるフレームである。
【0017】
シートフレーム20bは、シート17を下方から支持する。シートフレーム20bは、後上がりに延びる前部20b1と、前部20b1の後端から後上がりに延びる後部20b2とを有する。左右一対の前部20b1は互いに略平行に延びる。後部20b2は、後方に進むに連れて車幅方向内側に傾斜している。左右一対の後部20b2は、後方に進むに連れて互いの間隔が狭くなっている。
【0018】
左右一対のシートフレーム20bの間には、収納ボックス30と、上述した燃料タンク29と、が配置される。収納ボックス30は、内部にヘルメット等を収納可能な容器である。収納ボックス30は、シート17が図示しないヒンジを中心として回動することによって開閉される。
左右一対のシートフレーム20bは、それぞれ車幅方向外側(車両外側)から、左右一対のサイドカバー32によって覆われている。サイドカバー32は、樹脂製であり、鞍乗り型車両10の外部に露出する。
【0019】
図2は、鞍乗り型車両10の後部の内部構造を示す側面図である。図3は、第1制御ユニット50および第2制御ユニット70の周囲の配線を示す側面図である。図2に示すように、シートフレーム20bの近傍には、第1制御ユニット(制御ユニット)50および第2制御ユニット(制御ユニット)70が配置される。また、第1制御ユニット50および第2制御ユニット70よりも後方には、鞍乗り型車両10の後方に向けて発光するテールライト35が配置される。
【0020】
第1制御ユニット50は、ACGスタータ31から出力される電流を整流するACG-ECU(ACG― Electronic Control Unit)である。また、第1制御ユニット50は、ACGスタータ31に制御信号を送信し、ACGスタータ31の動作を制御する。例えば、第1制御ユニット50は、ACGスタータ31をスタータとして動作させ、パワーユニット12を始動させる。図2および図3に示すように、第1制御ユニット50は、略矩形板状の第1ユニット本体部51を有する。第1ユニット本体部51は、ACGスタータ31の制御のためのマイクロコントローラに加え、ACGスタータ31からの電流を整流する素子を有する。第1ユニット本体部51の下端部には、第1コネクタ53a、ACGSTコネクタ53b、および、サブコネクタ53cが設けられている。第1コネクタ53aは、第1ユニット本体部51の後部に設けられる。第1コネクタ53aの前方には、ACGSTコネクタ53bが設けられる。ACGSTコネクタ53bの前方にはサブコネクタ53cが配置される。各コネクタは下方に向けて配置される。また、第1ユニット本体部51の下部には、支持部51aが設けられる。支持部51aは、第1制御ユニット50を固定するための孔である。
【0021】
第1コネクタ53aには、第1制御ハーネス41aが接続される。第1制御ハーネス41aは、下方から前方に曲げられる。第1制御ハーネス41aは、第1制御ユニット50の前方において、メインハーネス40として束ねられる。
【0022】
ACGSTコネクタ53bには、ACGSTハーネス49が接続される。ACGSTハーネス49は、下方から前方に曲げられる。ACGSTハーネス49は、前方に向けて配索され、右側のシートフレーム20bを越えると、右側のシートフレーム20bの車幅方向内側に配索される。ACGSTハーネス49は、右側のシートフレーム20bに配索されると、下方のACGスタータ31に向けて配索されACGスタータ31に対して接続される。ACGSTハーネス49は、メインハーネス40とは独立して設けられている。ACGSTハーネス49は、ACGスタータ31と第1制御ユニット50との間において電力および制御信号を伝達する。ACGSTハーネス49は、ACGスタータ31からの大電流が流れるため、メインハーネス40に束ねられた各種ハーネスよりも太く、断面積が大きい。
【0023】
サブコネクタ53cには、第1サブハーネス45aが接続される。第1サブハーネス45aは、下方から前方に曲げられる。第1サブハーネス45aは、第1制御ユニット50の前方において、メインハーネス40として束ねられ、各種ハーネスに接続される。
【0024】
メインハーネス40は、鞍乗り型車両10の各機器を電気的に接続させるハーネスを束ねて構成される。各ハーネスは、それぞれ信号線や送電線を内蔵し、鞍乗り型車両10の各種機器同士を通信接続させる。メインハーネス40は、第1制御ハーネス41a、第2制御ハーネス41b、第1サブハーネス45a、および、複数のサブハーネス45を有する。サブハーネス45は、メインハーネス40から延びて、テールライト35の光源等の鞍乗り型車両10の各機器に接続されるハーネスである。サブハーネス45の一部は、メインハーネス40から延びた後、第1制御ユニット50を上方から覆う板状部材であるハーネスガイド39に沿って後方に向けて配索される。第2制御ハーネス41bは、メインハーネス40から延びて、第2制御ユニット70に接続されるハーネスである。
【0025】
第2制御ユニット70は、パワーユニット12における燃料噴射および点火を制御するFI-ECU(Fuel Injection ― Electronic Control Unit)である。第2制御ユニット70は、扁平な形状の第2ユニット本体部71を有する。第2ユニット本体部71は、パワーユニット12の燃料噴射および点火を制御するためのマイクロコントローラを有する。第2ユニット本体部71の右端部には、「コネクタ」の一例としての第2コネクタ73が設けられている。
【0026】
第2コネクタ73には、第2制御ハーネス41bが接続される。第2制御ハーネス41bは、第2コネクタ73から前方に向けて延び、メインハーネス40に束ねられる。第2制御ハーネス41bは、メインハーネス40において第1制御ハーネス41aと接続する。すなわち、第1制御ユニット50と第2制御ユニット70とは、第1制御ハーネス41aと第2制御ハーネス41bとを介して接続される。また、第2コネクタ73は、第2制御ハーネス41bの中途部から分岐して延びるハーネスである分岐ハーネス41b1、41b2を介し、パワーユニット12に対して接続される。
【0027】
ACG-ECUは、ACGスタータ31の制御のためのマイクロコントローラに加え、ACGスタータ31からの電流を整流する素子を有する。そのため、一般に、AGC-ECUは、FI-ECUと比較して大型になりやすく、かつ重くなりやすい。本実施形態において、ACG-ECUである第1制御ユニット50は、FI―ECUである第2制御ユニット70よりも大型でありかつ重い。
【0028】
また、図2に示すように、ACG-ECUである第1制御ユニット50は、車両前後方向において、FI-ECUである第2制御ユニット70と、ACGスタータ31と、の間に位置している。そのため、第1制御ユニット50とパワーユニット12に設けられたACGスタータ31との距離が近くなり、ACGSTコネクタ53bとACGスタータ31とをつなぐACGSTハーネス49は短くなる。
【0029】
図4は、第1制御ユニット50付近における鞍乗り型車両10の内部構造を示す側面図である。図5は、ユニットステー60付近における鞍乗り型車両10の内部構造を示す斜視図である。
【0030】
図4に示すように、第1制御ユニット50の第1ユニット本体部51の一部、ACGSTコネクタ53b、およびサブコネクタ53cは、ユニットステー60に形成された、「カバー」の一例としての金属カバー61によって右方向(車幅方向一方向)から覆われている。本実施の形態では、ユニットステー60は鉄製である。また、ユニットステー60および第1制御ユニット50は、右側のサイドカバー32によって車幅方向外側(車両外側)から覆われている。そのため、金属カバー61は、第1制御ユニット50とサイドカバー32との間に位置する。
【0031】
図5に示すように、ユニットステー60は、金属カバー61と、溶着部63と、固定部65と、を有する。溶着部63は、ユニットステー60においてシートフレーム20bに溶着される部分である。固定部65は、ボルトを捻じ込むことができる孔であり、ユニットステー60と第1ユニット本体部51の支持部51aとは、固定部65に捻じ込まれるボルトによって締結される。すなわち、ユニットステー60は、金属カバー61によって第1制御ユニット50の一部を覆って保護し、且つ、第1制御ユニット50をシートフレーム20bに対して固定する。図5に示すように、ユニットステー60は、シートフレーム20bに対して下方に突出している。これにより、図4に示すように、第1制御ユニット50は、第1ユニット本体部51が右側面視でシートフレーム20bに重複し、各コネクタ53a~53cがシートフレーム20bよりも下方に位置するように配置される。また、図4に示すように、ユニットステー60はリアサスペンション37よりも前方に位置しており、第1制御ユニット50は、リアサスペンション37よりも前方に位置する。
【0032】
図6は、第1制御ユニット50と第2制御ユニット70との位置関係を示す斜視図である。図7は、第2制御ユニット70付近における鞍乗り型車両10の内部構造を後方からみた図である。
【0033】
図6および図7に示すように、第1制御ユニット50は、左右一対のシートフレーム20bの内、右側(車幅方向一側)にあるシートフレーム20bよりも右側に配置されている。すなわち、第1制御ユニット50は、左右一対のシートフレーム20bよりも車幅方向外側、換言すれば、左右一対のシートフレーム20bよりも車両外側に取り付けられている。上述したように、金属カバー61は第1制御ユニット50の一部を右方向から覆うため、第1制御ユニット50は、金属カバー61によって車幅方向外側から覆われることとなる。これにより、第1制御ユニット50は、鞍乗り型車両10に対する側面衝突や鞍乗り型車両10の転倒時の衝撃から、サイドカバー32に加え、金属カバー61によっても保護される。特に、金属カバー61は、車幅方向外側からACGSTコネクタ53b、およびサブコネクタ53cを覆うため、ACGSTハーネス49や第1サブハーネス45aの端子も保護される。これにより、仮に鞍乗り型車両10に対する側面衝突や鞍乗り型車両10の転倒が発生した場合に、第1制御ユニット50、ACGSTハーネス49、および第1サブハーネス45aの交換が必要になりにくくなる。また、第1制御ユニット50は、ハーネスを案内する板状のハーネスガイド39によって上方から保護される。
【0034】
図6および図7に示すように、第1制御ユニット50は、扁平な略直方体形状の第1ユニット本体部51の辺のうち、長さが最も短い辺E1が、左右方向に沿うような向きに配置される。これにより、左右一対のシートフレーム20bよりも車幅方向外側に設けられる第1制御ユニット50を、左右方向の広がりが狭いスペースに配置できる。そのため、鞍乗り型車両10を車幅方向外側に膨出させる量を低減しつつ、第1制御ユニット50を配置できる。
【0035】
第2制御ユニット70は、収納ホルダー80に収納される。収納ホルダー80は、可撓性の樹脂によって形成された袋であり、右側に向けて開口する。収納ホルダー80は、左右一対のシートフレーム20bの間に設けられており、前後方向および上下方向から第2制御ユニット70を覆う。これにより、第2制御ユニット70が盗まれにくくなる。
【0036】
第2制御ユニット70が収納ホルダー80に収納された状態において、扁平な形状である第2ユニット本体部71の辺のうち、長さが最も短い辺E2は、車両前後方向に沿う。換言すれば、扁平な形状の第2制御ユニット70は、厚さ方向が前後方向に沿うように配置される。これにより、収納ボックス30や燃料タンク29などが配置されることによって車両前後方向の広がりが狭くなった左右一対のシートフレーム20bの間に、第2制御ユニット70を配置できる。また、左右一対のシートフレーム20bの左右方向外側には、第2制御ユニット70を配置するためのスペースを確保する必要がなくなる。
【0037】
第2制御ユニット70において、第2コネクタ73は第2ユニット本体部71の右側に配置され、第2制御ハーネス41bは、第2制御ユニット70の右側から接続される。換言すれば、第2コネクタ73は、第2制御ユニット70における、第1制御ユニット50側に配置され、第2制御ハーネス41bは、第2制御ユニット70に対して第1制御ユニット50側から接続される。これにより、第1制御ユニット50と第2制御ユニット70とを接続する第1制御ハーネス41a、および第2制御ハーネス41bを短くし易くなる。また、第2コネクタ73はシートフレーム20bよりも下方に配置される。このため、制御ハーネスを第2コネクタ73に対して車幅方向外側から着脱し易くなっている。
【0038】
図8は、収納ホルダー80付近における鞍乗り型車両10の内部構造を示す斜視図である。図9は、第2制御ユニット70付近の底面図である。図8に示すように、リアフェンダー27は、燃料タンク29から後方に延出する後方延出部27aと、後方延出部27aの後端から後下がりに延出する傾斜延出部27bとを有する。後方延出部27aの前端部には、上方に突出する突出部27cが形成される。突出部27cは、車幅方向に延びて、燃料タンク29の後端面を覆うように配置される。突出部27cには、第2制御ユニット70を収納する収納ホルダー80が取付けられる。
【0039】
図8および図9に示すように、収納ホルダー80は、リアクロス20cの近傍、且つ、リアクロス20cの前方に位置する。リアクロス20cは、左右方向に延びて左右一対のシートフレーム20bの後端同士の間に跨るフレームである。図9に示すように、収納ホルダー80に収納される第2制御ユニット70は、左右一対のシートフレーム20bおよびリアクロス20cにより、左右方向及び後方から囲まれた位置に配置される。これにより、シートフレーム20bおよびリアクロス20cによって第2制御ユニット70を保護し易くできる。なお、収納ホルダー80は、シートフレーム20bよりも下方に配置される。このため、収納ホルダー80に第2制御ユニット70を出し入れする際に、シートフレーム20bと第2制御ユニット70とが干渉しにくい。
【0040】
図9に示すように、本実施の形態では、第1制御ユニット50が設けられる前後方向の位置P1は、シートフレーム20bの前部20b1と後部20b2の境界付近であり、リアクロス20cおよび第2制御ユニット70よりも前方である。また、第1制御ユニット50は、リアサスペンション37よりも前方に位置する(図2図5参照)。そのため、第1制御ユニット50は、鞍乗り型車両10に対する後方からの衝突から保護される。
【0041】
また、本実施の形態では、左右一対のシートフレーム20bのうち、左右一対の前部20b1は左右方向の幅が略一定であり、左右一対の後部20b2は後方の幅が狭くなるようにそれぞれ傾斜している。そのため、左右一対のシートフレーム20bのうち、第1制御ユニット50が設けられる前後方向の位置P1に対応する部分の左右方向の幅は、最大の幅W1となる。
【0042】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、左右一対に設けられるシートフレーム20bと、ACGスタータ31を制御する第1制御ユニット50と、パワーユニット12への燃料噴射を制御する第2制御ユニット70とを有する鞍乗り型車両10において、第1制御ユニット50と、第2制御ユニット70と、の2つの制御ユニット50、70のうち、第1制御ユニット50は、左右一対のシートフレーム20bよりも車両外側に取り付けられ、第2制御ユニット70は、左右一対のシートフレーム20bの間に設けられる。
この構成によれば、複数の部品が配置されてスペースが制限され易い左右一対のシートフレーム20b内に、二つの制御ユニットのうち、第2制御ユニット70を配置することにより、車体デザインをシャープにしつつ、パワーユニット12への燃料噴射を制御する第2制御ユニット70と、ACGスタータ31を制御する第1制御ユニット50と、の間の距離が離れすぎないようにすることができる。また、二つの制御ユニットのうち、第2制御ユニット70が左右一対のシートフレーム20bの間に配置されるために、車体の左右方向中央に重心をもっていき易くなる。
【0043】
本実施の形態では、第1制御ユニット50の少なくとも一部を車幅方向外側から覆うサイドカバー32を有し、一方の第1制御ユニット50とサイドカバー32との間には、金属カバー61が設けられる。
この構成によれば、左右一対のシートフレーム20bの外側に配置される第1制御ユニット50は、サイドカバー32に加え、金属カバー61によっても保護される。
【0044】
本実施の形態では、左右一対のシートフレーム20bの間には収納ボックス30が配置され、左右一対のシートフレーム20bの間に跨るリアクロス20cを有し、第2制御ユニット70は、第2制御ユニット70の辺のうち、長さが最も短い辺E2の延びる方向が車両前後方向に沿うように配置され、第2制御ユニット70は左右一対のシートフレーム20bとリアクロス20cとに囲まれる範囲内に配置される。
この構成によれば、収納ボックス30が配置されることによって前後方向の広がりが狭くなったスペースに第2制御ユニット70を配置することができる。また、第2制御ユニット70をシートフレーム20bおよびリアクロス20cによって保護できる。
【0045】
第2制御ユニット70は、第2コネクタ73を有し、第2コネクタ73は、第2制御ユニット70の第1制御ユニット50側に設けられる。
この構成によれば、第2制御ユニット70を左右一対のシートフレーム20bの内側に配置しつつ、第1制御ユニット50と第2制御ユニット70とを第1制御ハーネス41a、第2制御ハーネス41bによって接続するときに、第1制御ハーネス41a、第2制御ハーネス41bを短くすることができる。
【0046】
本実施の形態では、第1制御ユニット50は、車両前後方向において、ACGスタータ31及びパワーユニット12と、第2制御ユニット70と、の間に配置される。
この構成によれば、ACGスタータ31を制御する第1制御ユニット50がACGスタータ31に近づくため、第1制御ユニット50とACGスタータ31とを繋ぐACGSTハーネス49を短くできて、大電流が流れ易いACGSTハーネス49を短くできる。また、パワーユニット12への燃料噴射を制御する第2制御ユニット70はACGスタータ31を制御する第1制御ユニット50よりも小型化しやすいため、第2制御ユニット70を左右一対のシートフレーム20bの間に配置することにより、デッドスペースを有効活用できる。
【0047】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0048】
実施の形態では、図9に示すように、第1制御ユニット50が設けられる前後方向の位置P1に対応する左右一対のシートフレーム20bの部分は、左右方向の幅が最大の幅W1となる部分であると説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、第1制御ユニット50は前後方向において、左右一対のシートフレーム20bの後部20b2の中途部に対応する位置P2に設けられ、左右一対のシートフレーム20bのうち、前後方向の位置P2に対応する部分は、左右方向の幅が最大の幅W1よりも小さい幅W2、W3となる位置である構成としてもよい。これにより、第1制御ユニット50のうちで最も車幅方向外側に位置する部分は、第1制御ユニット50が前後方向において位置P1に設けられる場合に比べて、車幅方向の距離の差分dだけ車幅方向内側に配置される。
【0049】
すなわち、第1制御ユニット50は、左右一対のシートフレーム20bの幅が最大の部分よりも狭い部分に配置される構成としてもよい。
この構成によれば、鞍乗り型車両10の左右方向に向けての膨出をさらに抑制することができる。従って、鞍乗り型車両10をさらにシャープなデザインとすることが可能となる。
【0050】
本発明は、実施の形態において説明した第1制御ユニット50および第2制御ユニット70の配置に限定されない。例えば、第1制御ユニット50の配置と、第2制御ユニット70の配置と、を入れ替えた構成としてもよい。
【0051】
すなわち、実施の形態において説明した第1制御ユニット50の位置及び向きに配置される制御ユニットを一方の制御ユニットと定義し、実施の形態において説明した位置及び向きに配置される制御ユニットを他方の制御ユニットと定義した場合に、一方の制御ユニットは第2制御ユニット70であり、他方の制御ユニットは第1制御ユニット50である構成としてもよい。
この構成によれば、パワーユニット12への燃料噴射を制御する第2制御ユニット70はACGスタータ31を制御する第1制御ユニット50よりも小型化および軽量化しやすいため、第1制御ユニット50よりも小型の第2制御ユニット70を左右一対のシートフレーム20bの外側に配置することにより、鞍乗り型車両10の左右方向に向けての膨出をさらに抑制できる。従って、鞍乗り型車両10をさらにシャープなデザインとすることができる。また、第2制御ユニット70よりも重い第1制御ユニット50は左右一対のシートフレーム20bの間に配置されるため、鞍乗り型車両10の重心を左右方向中央に寄せることができる。
【0052】
実施の形態では、収納ホルダー80は袋であると説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、収納ホルダー80は、可撓性の樹脂が環状に形成されることによって構成され、左右方向に開口する構成であってもよい。具体的には、収納ホルダー80は、例えば、樹脂バンドでもよい。
【0053】
実施の形態では、図9に示すように、第2制御ユニット80は、燃料タンク29および収納ボックス30の後方に設けられていたが、これは一例である。第2制御ユニット80は、左右一対のシートフレーム20bの間に配置されればよく、前後方向における燃料タンク29、収納ボックス30、および第2制御ユニット80の並び順は任意に設定できる。例えば、第2制御ユニット80は、収納ボックス30よりも前方に位置してもよい。また、第2制御ユニット80は、燃料タンク29よりも前方に位置してもよい。
【0054】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0055】
(構成1)左右一対に設けられるフレームと、ACGスタータを制御する第1制御ユニットと、エンジンへの燃料噴射を制御する第2制御ユニットとを有する鞍乗り型車両において、前記第1制御ユニットと、前記第2制御ユニットと、の2つの制御ユニットのうち、一方の前記制御ユニットは、前記左右一対のフレームよりも車両外側に取り付けられ、他方の前記制御ユニットは、前記左右一対のフレームの間に設けられることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、複数の部品が配置されてスペースが制限され易い左右一対のフレーム内に、二つの制御ユニットのうち、他方の制御ユニットを配置することにより、車体デザインをシャープにしつつ、エンジンへの燃料噴射を制御する制御ユニットと、ACGスタータを制御する制御ユニットと、の間の距離が離れすぎないようにすることができる。また、二つの制御ユニットのうち、他方の制御ユニットが左右一対のフレームの間に配置されるために、車体の左右方向中央に重心をもっていくことができる。
【0056】
(構成2)前記一方の制御ユニットの少なくとも一部を車幅方向外側から覆うサイドカバーを有し、前記一方の制御ユニットと前記サイドカバーとの間には、カバーが設けられることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、左右一対のフレームの外側に配置される一方の制御ユニットは、サイドカバーに加え、カバーによっても保護される。
【0057】
(構成3)前記一方の制御ユニットは、前記左右一対のフレームの幅が最大の部分よりも狭い部分に配置されることを特徴とする構成1または2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、鞍乗り型車両の左右方向に向けての膨出をさらに抑制することができる。従って、鞍乗り型車両をさらにシャープなデザインとすることが可能となる。
【0058】
(構成4)前記左右一対のフレームの間には収納ボックスが配置され、前記左右一対のフレームの間に跨るリアクロスを有し、前記他方の制御ユニットは、前記他方の制御ユニットの辺のうち、長さが最も短い辺の延びる方向が車両前後方向に沿うように配置され、前記他方の制御ユニットは前記左右一対のフレームと前記リアクロスとに囲まれる範囲内に配置されることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、収納ボックス及びリアクロスが配置されることによって前後方向の広がりが狭くなった左右一対のフレーム間のスペースに他方の制御ユニットを配置することができる。また、他方の制御ユニットをシートフレームおよびリアクロスによって保護できる。
【0059】
(構成5)前記他方の制御ユニットは、コネクタを有し、前記コネクタは、前記他方の制御ユニットの前記一方の制御ユニット側に設けられることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、他方の制御ユニットを左右一対のフレームの内側に配置しつつ、一方の制御ユニットと他方の制御ユニットとをハーネスによって接続するときに、ハーネスを短くすることができる。
【0060】
(構成6)前記一方の制御ユニットは、前記第1制御ユニットであり、前記他方の制御ユニットは、前記第2制御ユニットであり、前記第1制御ユニットは、車両前後方向において、前記ACGスタータ及び前記エンジンと、前記第2制御ユニットと、の間に配置されることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ACGスタータを制御する第1制御ユニットがACGスタータに近づくため、第1制御ユニットとACGスタータとを繋ぐハーネスを短くできて、大電流が流れ易いハーネスを短くできる。また、エンジンへの燃料噴射を制御する第2制御ユニットは、ACGスタータを制御する第1制御ユニットよりも小型化しやすいため、第2制御ユニットを左右一対のフレームの間に配置することにより、デッドスペースを有効活用できる。
【0061】
(構成7)前記一方の制御ユニットは、前記第2制御ユニットであり、前記他方の制御ユニットは、前記第1制御ユニットであることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、エンジンへの燃料噴射を制御する第2制御ユニットはACGスタータを制御する第1制御ユニットよりも小型化および軽量化しやすいため、第1制御ユニットよりも小型の第2制御ユニットを左右一対のフレームの外側に配置することにより、鞍乗り型車両の左右方向に向けての膨出をさらに抑制できる。従って、鞍乗り型車両をさらにシャープなデザインとすることができる。また、第2制御ユニットよりも重い第1制御ユニットは左右一対のフレームの間に配置されるため、鞍乗り型車両の重心を左右方向中央に寄せることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 鞍乗り型車両
12 パワーユニット(エンジン)
20b シートフレーム(フレーム)
20c リアクロス
27 リアフェンダー
30 収納ボックス
31 ACGスタータ
32 サイドカバー
50 第1制御ユニット(制御ユニット)
61 金属カバー(カバー)
70 第2制御ユニット(制御ユニット)
73 第2コネクタ(コネクタ)
80 収納ホルダー
図1
図2
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図9