(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045836
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240327BHJP
G08B 29/18 20060101ALI20240327BHJP
G08B 17/103 20060101ALI20240327BHJP
G08B 17/12 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B29/18 Z
G08B17/103
G08B17/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150862
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 真道
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛
(72)【発明者】
【氏名】水谷 顕治
【テーマコード(参考)】
5C085
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA03
5C085AA11
5C085AB01
5C085AB03
5C085AC03
5C085AC07
5C085BA31
5C085CA07
5C085CA08
5C085CA15
5C085CA20
5C085CA21
5C085DA00
5C085EA31
5C085FA16
5C087BB06
5C087CC41
5C087DD04
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG38
5C087GG46
5C087GG48
5C087GG59
5C087GG65
5C087GG70
5G405AA01
5G405AA03
5G405AA06
5G405AB02
5G405AB05
5G405CA09
5G405CA16
5G405CA46
5G405DA07
5G405DA08
5G405EA31
(57)【要約】
【課題】清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を得る。
【解決手段】火災監視エリアに設けられ、火災の発生を感知する感知部を備えた火災感知器であって、清掃作業に伴って火災が発生したことを誤検出してしまうことを防止するために、監視モードと未監視モードとを設定切り替え可能なモード設定部をさらに備え、感知部は、未監視モードが設定された場合には、感知結果を出力しない未監視制御を実行するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災監視エリアに設けられ、火災の発生を感知する感知部を備えた火災感知器であって、
清掃作業に伴って火災が発生したことを誤検出してしまうことを防止するために、監視モードと未監視モードとを設定切り替え可能なモード設定部をさらに備え、
前記感知部は、前記未監視モードが設定された場合には、感知結果を出力しない未監視制御を実行する
火災感知器。
【請求項2】
前記モード設定部は、外部からの磁力によりOFF状態からON状態に切り替え可能なマグネットスイッチで構成され、
前記感知部は、前記マグネットスイッチが前記ON状態に切り替わってからあらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間は前記未監視モードであると判断し、前記未監視制御を実行する
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記モード設定部は、複数の火災感知器によるそれぞれの感知結果に基づいて火災警報を行う火災受信機から、未監視モード設定指令を受信した場合には、前記未監視モード設定指令を受信してからあらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間は前記未監視モードとし、
前記感知部は、前記モード設定部により未監視モードが設定された場合には、前記未監視制御を実行する
請求項1に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火災感知器に関するものであり、特に、清掃作業に伴って非火災報が発生してしまうことを防止するための火災感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災報知システムにおいては、火災を検出するために、種々のタイプの火災感知器が用いられている。具体的なタイプとしては、熱感知器、炎感知器、煙感知器が挙げられる。また、煙感知器には、光電式分離型感知器および光電式スポット型感知器が含まれる。
【0003】
いずれのタイプであっても、汚れなどの影響により非火災報あるいは失報になるおそれがある。ここで、「非火災報」とは、火災感知器が火災以外の原因によって作動し、火災ではないのに警報を発すること、すなわち、火災が発生したことを誤検出してしまうことを意味する。また、「失報」とは、火災が発生したにもかかわらず警報を発することができなかったことを意味する。
【0004】
従って、火災感知器は、検出精度の劣化を防止し、非火災報および失報の発生を防止することを目的として、清掃が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
感知器の清掃を行う際には、清掃作業に伴う非火災報を回避するために、感知器を未監視状態とすることが有効である。しかしながら、現状では、清掃作業時に感知器を未監視状態とする簡便な機能がなかった。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る火災感知器は、火災監視エリアに設けられ、火災の発生を感知する感知部を備えた火災感知器であって、清掃作業に伴って火災が発生したことを誤検出してしまうことを防止するために、監視モードと未監視モードとを設定切り替え可能なモード設定部をさらに備え、感知部は、未監視モードが設定された場合には、感知結果を出力しない未監視制御を実行するものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態1における火災感知器を含む火災報知システムの全体構成図である。
【
図2】本開示の実施の形態1における火災感知器において、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能を備えた第1の構成を示した説明図である。
【
図3】本開示の実施の形態1における火災感知器において、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能を備えた第2の構成を示した説明図である。
【
図4】本開示の実施の形態1における炎感知器の清掃作業に関する説明図である。
【
図5】本開示の実施の形態1における光電式分離型感知器の清掃作業に関する説明図である。
【
図6】本開示の実施の形態1における光電式スポット型感知器の清掃作業に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の火災感知器の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る火災感知器は、所望の期間にわたって、感知結果を出力しない未監視モードに設定変更できる簡便な構成を備えることを技術的特徴とするものである。
【0012】
実施の形態1.
まず始めに、火災感知器を含むシステムの全体像について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における火災感知器を含む火災報知システムの全体構成図である。具体的には、
図1に示した火災報知システムは、火災受信機10および複数の火災感知器を主な構成要素として含んでいる。
【0013】
火災受信機10は、信号線SGを介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0014】
感知器用中継器40には、火災感知器が、複数台接続されている。
図1では、4台の火災感知器41~44を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0015】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41~44は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0016】
なお、火災感知器41~44は、いわゆる一般型の感知器としてもよく、感知器用中継器40にアドレスが付与されており、火災受信機10と感知器用中継器40とで通信を行っている。感知器用中継器40を使用する場合には、火災感知器41~44をひとまとめにして、後述する監視モードと未監視モードの設定を行うことが可能である。
【0017】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する複数の端末設備に相当する。複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0018】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた情報として、火災関連情報を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0019】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる指令を送信することができる。
【0020】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災関連情報を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0021】
なお、端末設備群に含まれているそれぞれの端末設備は、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。例えば、複数の火災感知器と複数の端末設備との連動動作の対応関係を連動表としてあらかじめ設定しておくことで、火災受信機10は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果に基づいて、連動表から適切な端末設備を特定し、連動動作させることができる。
【0022】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、非常放送装置により火災報知あるいは避難誘導を行ったり、ネットワークを介して上位装置に対して火災関連情報を伝送したりすることができる。
【0023】
なお、以上の説明では、複数の火災感知器のそれぞれに対して、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられており、火災受信機10とそれぞれの火災感知器との間で通信機能による情報伝達が行われる場合を例示したが、本開示に係る火災感知器は、このようなタイプに限定されない。火災受信機10からの情報を受信することのできる通信機能を有さず、火災を感知した際に接点信号を出力する構成を備えたタイプの火災感知器も、本開示に係る火災感知器に含まれる。
【0024】
いずれのタイプの火災感知器においても、検出精度の劣化を防止し、非火災報および失報が発生することを防止する目的で、清掃が行われる。そこで、以下では、火災感知器の具体例として、炎感知器110、光電式分離型感知器120、および光電式スポット型感知器130を挙げ、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能について詳細に説明する。
【0025】
なお、以下の説明では、まず初めに、炎感知器110、光電式分離型感知器120、および光電式スポット型感知器130の総称を火災感知器100として、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能のコンセプトを
図2、
図3を用いて説明する。
【0026】
図2は、本開示の実施の形態1における火災感知器100において、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能を備えた第1の構成を示した説明図である。
図2に示した火災感知器100は、モード設定部101および感知部102を備えている。
【0027】
モード設定部101は、清掃作業に伴って火災が発生したことを誤検出してしまうことを防止するために、監視モードと未監視モードとを設定切り替え可能な機能を有している。モード設定部101は、監視モードから未監視モードへの設定切り替えを行うための外部信号を受信することで、未監視モードに切り替えるためのトリガ信号を出力する。モード設定部101には、後述する設定時間を計時するためのタイマが設けられる。
【0028】
感知部102は、火災監視エリアに設置され、通常の監視モードにおいては、火災の発生を感知した場合に感知結果を出力する感知制御を実行する。さらに、感知部102は、モード設定部101からトリガ信号を受信した場合には、監視モードから未監視モードへの設定切替を行い、感知結果を出力しない未監視制御を実行する。
【0029】
なお、感知部102は、トリガ信号を受信してから、あらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間は未監視制御を実施し、設定時間が経過した後は、未監視モードから監視モードへの設定切替を行い、通常の監視制御に復帰することができる。
【0030】
また、モード設定部101において、外部信号を受信してから、あらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間、監視モードから未監視モードへの設定切替を行い、感知部102においてモード設定部101から未監視モードの信号を受信するような構成を採用することも可能である。
【0031】
このような未監視制御を実行できる構成を備えることで、清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を実現できる。特に、
図2に示した第1の構成は、火災感知器100が火災受信機10からの信号を受信できる機能を備えていない場合であっても採用することができる。例えば、モード設定部101は、外部信号として磁力を受け取り、この磁力によりOFF状態からON状態に切り替え可能なマグネットスイッチとして実現することができる。
【0032】
図3は、本開示の実施の形態1における火災感知器において、清掃作業に伴う非火災報を回避する機能を備えた第2の構成を示した説明図である。
図3に示した火災感知器100は、モード設定部101aおよび感知部102を備えている。
【0033】
モード設定部101aは、清掃作業に伴って火災が発生したことを誤検出してしまうことを防止するために、監視モードと未監視モードとを設定切り替え可能な機能を有している。ただし、
図3におけるモード設定部101aは、
図2におけるモード設定部101と比較すると、監視モードから未監視モードへの設定切り替えを行うための外部信号を火災受信機10から出力される未監視モード設定指令として受信する。モード設定部101aは、火災受信機10から外部信号を受信することで、未監視モードに切り替えるためのトリガ信号を出力する。
【0034】
感知部102は、火災監視エリアに設置され、通常の監視モードにおいては、火災の発生を感知した場合に感知結果を出力する感知制御を実行する。さらに、感知部102は、モード設定部101aからトリガ信号を受信した場合には、監視モードから未監視モードへの設定切替を行い、感知結果を出力しない未監視制御を実行する。
【0035】
なお、感知部102は、トリガ信号を受信してから、あらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間は未監視制御を実施し、設定時間が経過した後は、未監視モードから監視モードへの設定切替を行い、通常の監視制御に復帰することができる。
【0036】
また、モード設定部101aにおいて、外部信号を受信してから、あらかじめ決められた設定時間が経過するまでの間、監視モードから未監視モードへの設定切替を行い、感知部102においてモード設定部101aから未監視モードの信号を受信するような構成を採用することも可能である。
【0037】
このような未監視制御を実行できる構成を備えることで、清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を実現できる。特に、
図3に示した第2の構成は、火災感知器100が火災受信機10からの信号を受信できる機能を備えている場合に採用することができ、この場合には、火災受信機10側で未監視モードへの設定変更、およびモード管理を行うことができる。
【0038】
次に、火災感知器100として、炎感知器110、光電式分離型感知器120、および光電式スポット型感知器130を用いる場合を具体例として、本開示における未監視制御機能について、詳細に説明する。
【0039】
<1>炎感知器110を火災感知器100として用いた場合
図4は、本開示の実施の形態1における炎感知器110の清掃作業に関する説明図である。
図4に示すように、既存の炎感知器110では、受光窓113の汚損監視用に試験用光源111および試験用受光素子112が設けられている。試験用光源111から照射される光を試験用受光素子112で受光することで、受光窓113の汚れを検出している。
【0040】
炎感知器110は、炎特有の赤外線と炎の揺れを検知して火災判定を行っている。しかしながら、受光窓113が汚れると、火災監視エリアを正常に監視できないため、失報のおそれがある。
【0041】
そこで、試験用受光素子112による受光量が所定値未満となることで汚損警報が出た場合には、受光窓113を掃除する必要があることを知らせるために、確認灯114を点灯あるいは点滅させている。
【0042】
ここで、炎感知器110は、一般的には高所に取り付けられる。このため、清掃目的で炎感知器110を取り外すためには足場工事が必要になる。そこで、足場工事の手間を削減するためには、棒の先にウエスを巻いて、高所に取り付けられた炎感知器110の受光窓113を拭くことが行われる。ただし、このようにウエスを用いてふき取り作業を行った際に、遮光と受光が繰り返され、その周期が一定の条件を満たした場合には、清掃作業を火災と誤判定するおそれがある。
【0043】
そこで、このような誤判定を防止するために、本実施の形態1に係る炎感知器110は、未監視モードへの設定切替を可能とすることで、清掃作業中においては感知結果を出力しないような未監視制御を実行する。
【0044】
具体的には、炎感知器110は、監視モードから未監視モードへの設定切り替えを行うための外部信号を火災受信機10から受信することで、一定時間、炎感知器110による火災監視を停止し、感知結果を出力しない未監視制御を実行することができる。
【0045】
なお、複数の炎感知器110による実運用においては、全体が未監視となってしまうことを防止するために、アドレスを指定して炎感知器110を1台ずつ未監視モードにすることが考えられる。
【0046】
また、清掃作業が終了したにもかかわらず未監視モードが継続することを防止するために、一定時間が経過した後は監視モードに切り替えるが、清掃作業が終了した後に直ちに監視モードに復帰させる機能をさらに付加することも考えられる。
【0047】
<2>光電式分離型感知器120を火災感知器100として用いた場合
図5は、本開示の実施の形態1における光電式分離型感知器120の清掃作業に関する説明図である。
図5に示すように、既存の光電式分離型感知器120では、送光部121と受光部122とが対向配置され、送光部121と受光部122との間に煙が発生することで、送光部121から出射された光が遮られ、受光部122での受光量の減少を検出して、火災判定を行っている。
【0048】
このような検出を行う際に、送光部121の窓、あるいは受光部122の窓が汚れると、出力が低下して正常に煙を検出できないため、非火災報あるいは失報のおそれがある。そこで、送光部121の窓および受光部122の窓の清掃作業が必要となる。
【0049】
窓の清掃作業を行った場合には、清掃により送光部121の向き、あるいは受光部122の向きがずれ、送光部121の光軸と受光部122の光軸がずれてしまうことで、清掃作業後の監視が正常に行えないおそれがある。また、清掃時には送光部121から出射される光が遮られるため、清掃作業により発生した減光を火災や故障と誤判定するおそれがある。
【0050】
そこで、このような誤判定を防止するために、本実施の形態1に係る光電式分離型感知器120は、未監視モードへの設定切替を可能とすることで、清掃作業中においては感知結果を出力しないような未監視制御を実行する。
【0051】
具体的には、光電式分離型感知器120は、監視モードから未監視モードへの設定切り替えを行うための外部信号を火災受信機10から受信することで、一定時間、光電式分離型感知器120による火災監視を停止し、感知結果を出力しない未監視制御を実行することができる。
【0052】
また、本実施の形態1に係る光電式分離型感知器120は、監視モードから未監視モードへ切り替わった直後の受光部122での受光レベルを清掃前の受光レベルとして記憶しておき、清掃作業終了後の受光レベルとの比較を行う機能も有している。
【0053】
このような機能を有することで、本実施の形態1に係る光電式分離型感知器120は、
清掃前受光レベル<清掃後受光レベル
であれば、清掃作業が正常に行われたと判断でき、
清掃前受光レベル≧清掃後受光レベル
であれば、窓の汚れを取りきれなかったか、あるいは光軸がずれたことで正常に監視ができない状態になったと判断できる。
【0054】
なお、複数の光電式分離型感知器120による実運用においては、全体が未監視となってしまうことを防止するために、アドレスを指定して光電式分離型感知器120を1台ずつ未監視モードにすることが考えられる。
【0055】
また、清掃作業が終了したにもかかわらず未監視モードが継続することを防止するために、一定時間が経過した後は監視モードに切り替えるが、清掃作業が終了した後に直ちに監視モードに復帰させる機能をさらに付加することも考えられる。
【0056】
清掃作業が終了したか否かを自動的に検知する手段としては、火災感知器自体に圧力センサなどを設け、清掃作業による外力を検知できるようにして、所定の外力がかからなくなったことを一定時間にわたって継続して検知したときは、清掃作業が終了したものと判断するようにしてもよい。
【0057】
<3>光電式スポット型感知器130を火災感知器100として用いた場合
図6は、本開示の実施の形態1における光電式スポット型感知器130の清掃作業に関する説明図である。
図6に示すように、既存の光電式スポット型感知器130では、光学台内部の発光部131から照射された光が煙によって散乱し、受光部132で受光されることで火災判定を行っている。
【0058】
光電式スポット型感知器130では、無煙状態における、工場設定時の受光レベルと、監視時の受光レベルとを比較することで、受光部132のセンサの汚れを判定している。
【0059】
掃除機やエアースプレーで埃を除去することで、清掃作業が行われているが、このような清掃作業の際に、光学台内部の埃が舞い、散乱光が増加することで火災と誤判定するおそれがある。
【0060】
そこで、このような誤判定を防止するために、本実施の形態1に係る光電式スポット型感知器130は、未監視モードへの設定切替を可能とすることで、清掃作業中においては感知結果を出力しないような未監視制御を実行する。
【0061】
具体的には、光電式スポット型感知器130は、監視モードから未監視モードへの設定切り替えを行うための外部信号を火災受信機10から受信することで、一定時間、光電式スポット型感知器130による火災監視を停止し、受光部132から感知結果を出力しない未監視制御を実行することができる。
【0062】
なお、光電式スポット型感知器130を用いる場合には、急激な受光レベルの変化を火災と判断する。その一方で、汚れは徐々に蓄積するものであり、通常、汚れの判定は時間をかけて行っており、清掃後に清掃の効果を短時間では確認できていなかった。
【0063】
そこで、本実施の形態1に係る光電式スポット型感知器130は、未監視モードが設定されている状態で、清掃作業の終了後に特定の操作を行うことで、短時間(例えば1分間)の受光出力を用いて、清掃後の感度を確認する機能を有している。
【0064】
一例として、清掃モードが終了した際には、特定の操作による清掃完了を示す時刻から1分間の受光レベルの平均値を清掃後の受光レベルとして求め、工場設定時の受光レベルに到達しているかを判断する機能を感知部102に持たせることができる。さらに、感知部102は、受光レベルの判断結果を火災受信機10に送信することもできる。この結果、清掃作業の効果を短時間で簡易的に簡便に確認することができる。
【0065】
なお、複数の光電式スポット型感知器130による実運用においては、全体が未監視となってしまうことを防止するために、アドレスを指定して光電式スポット型感知器130を1台ずつ未監視モードにすることが考えられる。
【0066】
また、清掃作業が終了したにもかかわらず未監視モードが継続することを防止するために、一定時間が経過した後は監視モードに切り替えるが、清掃作業が終了した後に直ちに監視モードに復帰させる機能をさらに付加することも考えられる。
【0067】
以上のように、実施の形態1によれば、火災感知器を未監視状態に設定変更し、感知結果を出力しないように、未監視制御を実行することでできる。この結果、清掃作業に伴う非火災報を回避することができる簡便な機能を備えた火災感知器を実現できる。さらに、火災感知器から非火災報が出力されることで端末設備群が誤って連動動作してしまう状況も回避することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 火災受信機、31、41、100 火災感知器、101、101a モード設定部、102 感知部、110 炎感知器、111 試験用光源、112 試験用受光素子、113 受光窓、114 確認灯、120 光電式分離型感知器、121 送光部、122 受光部、130 光電式スポット型感知器、131 発光部、132 受光部。