(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045855
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20240327BHJP
F16L 37/133 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F16L21/08 B
F16L37/133
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150906
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】頼 蘭馨
(72)【発明者】
【氏名】川▲高▼ 俊基
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔太
(72)【発明者】
【氏名】近本 博章
【テーマコード(参考)】
3H015
3J106
【Fターム(参考)】
3H015AA05
3H015AC02
3H015BA01
3H015BB05
3H015BC01
3H015FA06
3J106AA02
3J106AA06
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BD01
3J106CA02
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC07
3J106ED13
3J106EE01
3J106EF04
(57)【要約】
【課題】抜け止めリングのリング幅とスペーサー幅を調整することで、パイプの挿入力の上昇を抑えつつ、引張強度及び引張疲労強度が両立可能な管継手を提供することを目的とする。
【解決手段】継手本体と、前記継手本体の内周面に配置された環状のパッキンと、前記継手本体の内周面に配置された環状のベース103bと、前記継手本体の内周面に配置された環状のスペーサー104cと、前記継手本体の内周面に配置された第1の抜け止めリング104aと、前記継手本体の内周面に配置された第2の抜け止めリング104bと、を備え、前記第1の抜け止めリング104aおよび前記第2の抜け止めリング104bは、内周に複数の食い込み歯を有し、前記スペーサー104cの幅と、前記第1の抜け止めリング104aおよび前記第2の抜け止めリング104bの幅との比が、0.5~0.8である管継手。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
前記継手本体の内周面に配置された環状のパッキンと、
前記継手本体の内周面に配置された環状のベースと、
前記継手本体の内周面に配置された環状のスペーサーと、
前記継手本体の内周面に配置された第1の抜け止めリングと、
前記継手本体の内周面に配置された第2の抜け止めリングと、を備え、
前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングは、内周に複数の食い込み歯を有し、
前記スペーサーの幅と、前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングの幅との比が、0.5~0.8である管継手。
【請求項2】
前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングのスリット径が、前記スペーサーの内径より大きい請求項1に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物内の給水、給湯、又は空調機器等に用いられるパイプを接続するために、管継手が用いられている(例えば、特許文献1参照)。管継手は、軸方向に対向配置した一対のパイプを接続する。
【0003】
管継手は、内周面に収容凹部が形成された筒状の継手本体と、収容凹部に収容され、継手本体の内側に挿入されるパイプの外周面に接触する抜け止めリングと、継手本体の内周面に配置された環状のスペーサーと、を備えている。スペーサーは、第1の抜け止めリングと第2の抜け止めリングに挟まれている。また、第1の抜け止めリングは、ベースとスペーサーに挟まれている。抜け止めリングは、鋼帯から作製された環状のリングである。抜け止めリングは、内周に複数の食い込み歯を有している。複数の食い込み歯は、隣接する2つの食い込み歯の間にスリットを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された管継手のように、パイプの挿入、又は引張時に抜け止めリングの複数の食い込み歯がパイプに食い込む。スペーサー内径が小さいほど、抜け止めリングが曲がりにくく、引張強度が高くなり、パイプが抜け止めリングから抜けにくくなる。その結果として、挿入力が劣ることがあった。一方、スペーサー内径が大きいほど、スペーサーの幅が小さくなり、抜け止めリングがひっくり返りやすい。その結果として、引張強度が低下することがあった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、抜け止めリングのリング幅とスペーサー幅を調整することで、パイプの挿入力の上昇を抑えつつ、引張強度及び引張疲労強度が両立可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の管継手は、継手本体と、前記継手本体の内周面に配置された環状のパッキンと、前記継手本体の内周面に配置された環状のベースと、前記継手本体の内周面に配置された環状のスペーサーと、前記継手本体の内周面に配置された第1の抜け止めリングと、前記継手本体の内周面に配置された第2の抜け止めリングと、を備え、前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングは、内周に複数の食い込み歯を有し、前記スペーサーの幅と、前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングの幅との比が、0.5~0.8である。
【0008】
この発明によれば、抜け止めリングのリング幅の値とスペーサー幅の値が適切に設定されているため、パイプの挿入力の上昇を抑えつつ、引張強度及び引張疲労強度が両立可能となる。
【0009】
また、上記の管継手において、前記第1の抜け止めリングおよび前記第2の抜け止めリングのスリット径が、前記スペーサーの内径より大きくてもよい。
この発明によれば、パイプの挿入、又は引張時に引張応力がスリット径に集中することを低減する効果が得られる。これにより、リングの疲労割れを防止することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パイプの挿入力の上昇を抑えつつ、引張強度及び引張疲労強度が両立可能で、引張応力がスリット径に集中することを低減することが出来る管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管継手を示す図であって、一部断面を含む斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る管継手の部品構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る管継手の抜け止めリングの示す平面図の拡大図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る管継手の縦断面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1から
図2を参照し、本発明の一実施形態に係る管継手100について説明する。
図1は、継手本体101と、継手本体101の内周面に配置された環状のパッキン103aと、継手本体101の内周面に配置された環状のベース103bと、継手本体101の内周面に配置された環状のスペーサー104cと、継手本体101の内周面に配置された第1の抜け止めリング104aと、継手本体101の内周面に配置された第2の抜け止めリング104bと、を備える。
本実施形態に係る管継手100は、建物内の吸水、給湯又は空調機器用の複数のパイプ(配管)を接続するための部材である。管継手100と、この管継手100に接続されるパイプと、は配管構造を構成する。
【0013】
管継手100は、筒状の継手本体101と、継手本体101の端部に設けられたキャップ102と、を備えている。
以下では、継手本体101の中心軸線に沿う方向を軸方向といい、継手本体101を軸方向から見た平面視で、前記中心軸線と交差する方向を径方向という。また、前記平面視で前期中心軸線回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
継手本体101の軸方向の端部における内周面には、段113が形成されている。段113は、継手本体101の内周面から径方向の内側に向けて突出している。段113は、周方向の全周にわたって設けられている。段113において、継手本体101の内径は、軸方向の外側から内側に向けて段階的に(段状に)縮径している。段113には、継手本体101とは別体で形成されたインコア105が突き当たる。
以下では、継手本体101のうち、継手本体101の端面から段113に至るまでの部分を、継手本体101の開口端という。
【0015】
継手本体101の軸方向の両端部それぞれにおける外周面には、外フランジ部101bと、雄ねじ部101cと、が形成されている。
外フランジ部101bは、継手本体101から径方向の外側に向けて突出する。外フランジ部101bは、継手本体101の外周面に、全周にわたって延びている。
雄ねじ部101cは、継手本体101の外周面のうち、外フランジ部101bよりも軸方向の外側(即ち、継手本体101の端部寄り)に位置する部分に形成されている。
【0016】
図1~
図2に示すように、キャップ102は、軸方向に段階的に外径が小さくなっている筒状である。キャップ102は、内周面に雌ねじが形成された第1筒102aと、第1筒102aよりも軸方向に沿って外側に位置する第2筒102bと、を備えている。
第1筒102aは、雄ねじ部101cに螺着する。キャップ102の内周の第1筒102aと第2筒102bとの境界に相当する部分には段差102dが設けられている。段差102dは、周方向の全周にわたって延びている。段差102dは、継手本体101において軸方向の外側を向く端面に接触又は近接する。
【0017】
第2筒102bは、第1筒102aよりも小径である。第2筒102bは、第1筒102aから軸方向の外側に延びる。
管継手100において、継手本体101とキャップ102との間には、止水部103及び固定部104を収容するための収容凹部106が形成されている。収容凹部106は、段差102dと、継手本体101において軸方向の外側を向く端面と、の間に形成されている。収容凹部106は、周方向の全周にわたって延びている。
【0018】
継手本体101は、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
キャップ102は、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
前記合成樹脂材料としては、例えば、架橋ポリエチレン、ポリブデン、塩化ビニル(PVC)、ポリサルフォン樹脂(PSU)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ガラス繊維強化PPS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。また、切削加工や融着等の他の加工方法を用いてもよい。
前記金属材料としては、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼、低温用炭素鋼、低温用合金鋼、真鍮、砲金、アルミニウム合金、マグネシウム合金等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。
【0019】
管継手100における軸方向の各端部には、継手本体101の端部に向かって順に、パッキン103a(シール部材)と、ベース103bと、抜け止めリング104a(第1の抜け止めリング)と、スペーサー104cと、抜け止めリング104b(第2の抜け止めリング)と、が設けられている。即ち、固定部104は止水部103よりも端部寄りに位置している。
パッキン103a及びベース103bは止水部103を構成する。止水部103によって、パイプPの内容物が管継手100から漏れ出ることを防ぐ。
抜け止めリング104a、スペーサー104c及び抜け止めリング104bは固定部104を構成する。管継手100に挿入したパイプPは、固定部104によって管継手100に固定される。
【0020】
管継手100における軸方向の各端部には、継手本体101の端部に向かって順に、パッキン103a(シール部材)と、ベース103bと、抜け止めリング104a(第1の抜け止めリング)と、スペーサー104cと、抜け止めリング104b(第2の抜け止めリング)と、が設けられている。即ち、固定部104は止水部103よりも端部寄りに位置している。
パッキン103a及びベース103bは止水部103を構成する。止水部103によって、パイプPの内容物が管継手100から漏れ出ることを防ぐ。
抜け止めリング104a、スペーサー104c及び抜け止めリング104bは固定部104を構成する。管継手100に挿入したパイプPは、固定部104によって管継手100に固定される。
【0021】
パッキン103a(シール部材)は、継手本体101の内周面に配置されている。パッキン103aは、図示の例では1つだが、軸方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。パッキン103aは、断面円形の環状である。パッキン103aは、周方向の全周にわたって延びている。図示の例では、パッキン103aとしてOリングが採用されている。パッキン103aの材質としては、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、ビニルメチルシリコンゴム(VMQ)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料を採用することができる。
【0022】
ベース103bは、パッキン103aと抜け止めリング104aとの間に配置されている。ベース103bは、パッキン103aと抜け止めリング104aとが接触することを規制する。ベース103bは、環状に形成されている。ベース103bは、周方向の全周にわたって延びている。ベース103bは、継手本体101の開口端内に嵌め込まれている。ベース103bは、継手本体101の内周面に設けられた段である第1段に接触している。ベース103bは、継手本体101の前記第1段に対して軸方向の外側から引っ掛けられている。ベース103bの内径は、パッキン103aの内径よりも大きい。ベース103bは、例えば、合成樹脂材料の射出成形又は金属材料の切削加工、鋳造若しくは鍛造により形成されている。
前記合成樹脂材料としては、例えば、架橋ポリエチレン、ポリブデン、塩化ビニル(PVC)、ポリサルフォン樹脂(PSU)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ガラス繊維強化PPS、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。また、切削加工や融着等の他の加工方法を用いてもよい。
前記金属材料としては、ステンレス鋼、低合金鋼、炭素鋼、低温用炭素鋼、低温用合金鋼、真鍮、砲金、アルミニウム合金、マグネシウム合金等、用途に応じた品質設計に基づき、任意に選択することができる。
【0023】
抜け止めリング104a、104b(第1の抜け止めリング、第2の抜け止めリング)及びスペーサー104cは、ベース103bに対して軸方向の外側に配置されている。抜け止めリング104a、104b及びスペーサー104cは、継手本体101の収容凹部に配置されている。収容凹部は、前記第1段よりも軸方向の外側に位置している。抜け止めリング104a、104b及びスペーサー104cは、前記収容凹部に対して、軸方向に若干の遊びをもった状態で配置されている。抜け止めリング104a、スペーサー104c及び抜け止めリング104bは、軸方向の外側から内側に向けてこの順に並べられて配置されている。スペーサー104cは、前記収容凹部において、抜け止めリング104a及び抜け止めリング104bの間に軸方向に挟まれて配置されている。
【0024】
抜け止めリング104a、104b(第1の抜け止めリング、第2の抜け止めリング)は、平面部1102を有し、その内周縁には、径方向の内側に向かうに従い漸次、軸方向の内側に向かって延びる複数の食い込み歯1104が形成されている。
【0025】
さらに、
図3に示すように、複数の食い込み歯1104は、隣接する2つの食い込み歯の間にスリット1106を有する。また、抜け止めリング104bも、抜け止めリング104aと同様の構造である。これらのスリット1106の先端(径方向の外側の端)には、円孔が設けられていない。抜け止めリング104a、104bの疲労割れは、スリット1106の先端の起点から、リングの外周方向に向けて進行する。スリット径が大きいほど、引張疲労により、抜け止めリング104a、104bは割れやすくなる。一方、スリット径が小さいほど、複数の食い込み歯1104は変形し難くなり、パイプPの挿入が難しくなる。そのため、スリット径を調整することで、パイプPの挿入しやすさと抜け止めリング104a、104bの割れにくさを両立させることができる。なおスリット径とは、スリット1106の先端を通る仮想円C1の直径である。
【0026】
さらに、
図4に示すように、スペーサーの幅B1と、抜け止めリング104a、104bの幅A1との比を0.5~0.8と設定する。これは、試作品でスペーサーの幅B1と、抜け止めリング104a、104bの幅A1の比を0~1とし、それぞれの挿入力、引張強度、引張疲労強度を検証した結果、スペーサーの幅B1と、抜け止めリング104a、104bの幅A1との比を0.5~0.8にすることで、挿入力、引張強度及び引張疲労強度の性能が合格であったためである。これにより、抜け止めリング104a、104bの両方が曲げやすくなり、挿入力、引張強度及び引張疲労強度が両立可能となる。
【0027】
また、抜け止めリング104a、104bのスリット径が、スペーサー104cの内径より大きくてもよい。このように調整することで、引張疲労試験において応力の集中場所が変わり、引張疲労強度も変わる。結果としてスリット1106の先端に応力が集中しにくくなり、抜け止めリング104a、104bのリング疲労割れを防止することが出来る。
【0028】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【実施例0029】
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
【0030】
実施例1~3では、以下の(1)~(3)の一部または全部を測定した。すなわち、(1)JIS K 6788:2016「水道用架橋ポリエチレン管継手」に準拠して引張強度を計測し、(2)繰返し疲労試験を実施して引張疲労強度を計測し、(3)万能試験機にてパイプ挿入時の最大挿入力(パイプの挿入し易さ)を計測した。(2)の繰返し疲労試験では、0.75MPa相当の軸引張力×3倍安全率とした。上記(2)の引張疲労試験においては、20A継手を用い、試験荷重は、0.1kN~1.29kNと設定した。荷重として繰り返しの引張荷重を付与し、その荷重の周波数は6Hzと設定した。試験目標値は300万回と設定した。この目標値は、住宅寿命75年以上に相当する。
【0031】
(実施例1)
実施例1では、スペーサーの幅と、第1の抜け止めリングおよび第2の抜け止めリングの幅との比を0~0.5(すなわち、0.5未満)、0.5~0.8、0.8~1として調整し、引張疲労強度と引張強度と挿入力を計測した。このときの結果を表1に示す。なお、引張疲労強度が「○」とは、ウォータハンマーで発生した内圧×3倍安全率の条件下で引張疲労試験回数が300万回以上のものであり、「×」とは、引張疲労試験回数が300万回以下のものである。また、引張強度が「○」とは、管破壊水圧(外面止水相当)×安全率1.2以上の条件下で管破壊水圧(外面止水相当)×安全率1.2で換算した軸力以上のものであり、「×」とは、管破壊水圧(外面止水相当)×安全率1.2で換算した軸力以下のものである。また、挿入力が「○」とは、継手の口径によって合格基準が異なるが、口径20Aのものを用いた場合、160N以下でのものであり、「×」とは、口径20Aのものを用いた場合、160N以上でのものである。
【0032】
【0033】
スペーサーの幅と、第1の抜け止めリングおよび第2の抜け止めリングの幅との比を0~0.5としたとき、挿入力は優れていたが、引張疲労強度も引張強度も劣っていた。一方、スペーサーの幅と、第1の抜け止めリングおよび第2の抜け止めリングの幅との比を0.5~0.8としたとき、挿入力も引張疲労強度も引張強度も優れていた。スペーサーの幅と、第1の抜け止めリングおよび第2の抜け止めリングの幅との比を0.8~1としたとき、引張疲労強度も引張強度も優れていたが、挿入力が劣っていた。
【0034】
(実施例2)
実施例2では、スリット径内径とスペーサー内径の位置関係を、スリット径>スペーサー内径、スリット径=スペーサー内径、スリット径<スペーサー内径と調整し、引張疲労強度を計測した。このときの結果を表2に示す。また、このときスペーサーの幅と、第1の抜け止めリングおよび第2の抜け止めリングの幅との比は0.5~0.8とした。なお、引張疲労強度が「高」のとき、性能は合格であり、「低」、「若干低」のとき、性能は不合格である。
【0035】
【0036】
スリット径>スペーサー内径としたとき、引張応力はスリット先端に集中しにくく、引張疲労強度は優れていた。一方、スリット径=スペーサー内径としたとき、引張応力はスリット先端に集中しやすく、引張疲労強度は劣っていた。スリット径<スペーサー内径としたとき、引張応力はスリット先端に集中しやすく、引張疲労強度は若干劣っていた。