(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045858
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ドアウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/16 20160101AFI20240327BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20240327BHJP
B60J 10/27 20160101ALI20240327BHJP
【FI】
B60J10/16
B60J10/86
B60J10/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150911
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】持田 孝明
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA02
3D201AA03
3D201AA31
3D201BA01
3D201CA23
3D201DA03
3D201DA06
3D201DA23
3D201DA31
3D201DA32
3D201DA34
3D201DA36
3D201DA54
3D201EA02H
3D201EA04D
3D201FA04
(57)【要約】
【課題】ドアパネルに対する取付作業能率の低下とシール性能の低下を防止できるドアウェザーストリップを提供する。
【解決手段】ドアサッシュ部4に取り付けられ、本体22aの一部がソリッドゴム30によって形成された取付基部22と、基底部23aがドアインナーパネル4aの外面に当接配置され、ドア閉時に、ボディアウターパネル7に弾接して撓み変形するスポンジゴムによって成形された中空シール部23と、中空シール部の基底部と取付基部とを連結するスポンジゴムによって成形された連結部24と、を備え、中空シール部の基底部と前記連結部のそれぞれの内部に、ソリッドゴム32を連続して埋設した。これによって、基底部と連結部の剛性を高くした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルに取り付けられ、少なくとも一部が硬質ゴムによって形成された取付基部と、
基底部が前記ドアパネルの外面に当接配置され、ドア閉時に、車体パネルに弾接して撓み変形する軟質ゴムによって成形された中空シール部と、前記中空シール部の基底部と前記取付基部とを連結する軟質ゴムによって成形された連結部と、を備え、
前記中空シール部の基底部と前記連結部のそれぞれの内部に、硬質ゴムを連続して埋設したことを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアウェザーストリップであって、
前記連結部は、前記取付基部から中空シール部の基底部方向へ延出して幅広に形成されていることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項3】
請求項1に記載のドアウェザーストリップであって、
前記硬質ゴムは、ソリッドゴム、または比重が0.7~1.2の硬質発泡ゴムであり、前記軟質ゴムはスポンジゴムであることを特徴とするドアウェザーストリップ。
【請求項4】
請求項1に記載のドアウェザーストリップであって、
前記中空シール部の基底部と前記連結部との結合部の下面に、ドアパネルの上面に当接するシールビードを突設すると共に、該シールビードを前記中空シール部の長手方向に沿って延出したことを特徴とするドアウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアパネルに取り付けられ、該ドアパネルと車体パネルとの間をシールするドアウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドアウェザーストリップとしては、以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
図1は本発明及び従来技術のドアウェザーストリップが適用される自動車のフロントドアの側面図、
図4は従来のドアウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図、
図5は従来のドアウェザーストリップの一方向への撓み変形状態を示す説明図である。
【0004】
このドアウェザーストリップ1は、
図1に示すように、ドア本体3とドアサッシュ部4とからなるフロントドア(以下、ドアという。)2の周囲に閉ループ状に配設されている。
【0005】
従来のドアウェザーストリップ1は、ドアサッシュ部4の上辺部に配設されたものであって、
図4に示すように、ドアサッシュ部4に形成された横断面ほぼコ字形状の取付部5に取り付け固定される取付基部6と、ドア閉時に車体パネル(ボディサイドアウターパネル)7に弾接する中空シール部8と、該中空シール部8のドアサッシュ部4のドアインナーパネル4aの下降部の上面に当接配置される基底部8aと取付基部6の幅方向の一端部を連結する連結部9と、を備えている。
【0006】
前記取付基部6は、内部中空状の横断面ほぼ矩形状に形成され、前記取付部5に嵌着固定されていると共に、少なくとも一部あるいはほぼ全体が硬質ゴムであるソリッドゴムによって形成されて剛性が確保されている。なお、取付基部6の図中上端には、前記ボディサイドアウターパネル7に当接してシールするサブリップ10が立設されている。
【0007】
前記中空シール部8は、前述したドアサッシュ部4の上面に当接配置されるほぼ直線状の基底部8aの上方に一体に設けられ、ドア閉時に前記ボディサイドアウターパネル7に弾接してシールする円弧部8bを有している。また、この中空シール部8は、全体が軟質ゴムであるスポンジゴムによって形成されている。
【0008】
連結部9は、短尺な棒状に形成されて、材質が中空シール部8と同じくスポンジゴムで形成されており、幅方向の一端部が取付基部6の中空シール部8側の外端縁に結合されている一方、他端部が中空シール部8の基底部8aと円弧部8bとの結合部の外端縁に結合されている。
【0009】
そして、このドアウェザーストリップ1によれば、取付基部6を介してドアサッシ部4の取付部5に取り付ける際には、中空シール部8が連結部9によって下方向へ傾倒するが、ドアサッシュ部4のドアインナーパネル4aには下降部が形成されていることから容易に傾倒することができる。これによって、中空シール部8は、円弧部8bがボディサイドアウターパネル7の円弧部7aの下端面に弾接して底付きすることがなくなるので、シール性とドア閉じ性を向上させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記公報記載の従来のドアウェザーストリップ1にあっては、前記取付基部6がソリッドゴムで形成されているのに対して、中空シール部8や連結部9がスポンジゴムによって形成されている。このため、このドアウェザーストリップ1を、例えば押出成形を行った際、あるいは押出成形後の所定期間経過後の自由状態時に、スポンジゴムの発泡比率が大きいことや、取付基部6のソリッドゴムとの収縮差などに起因して、全体が
図5の矢印で示すように、一点鎖線位置から実線位置方向の一方向(中空シール部8方向)へ膨らんで湾曲状に撓み変形してしまうおそれがある。特に、全体がスポンジゴムからなる中空シール部8側がより大きく一方向へ湾曲変形するおそれがある。
【0012】
この結果、ドアウェザーストリップ1の手作業によるドアサッシュ部4の取付部5への取付作業が煩雑になって、該取付作業能率の低下を招いている。
【0013】
また、スポンジゴムで成形されている中空シール部8や連結部9は、これらの全体の剛性が低くなっていることから、前述したドア閉時に、中空シール部8の円弧部8bから基底部8aへの反力が小さくなって、該基底部8aとドアサッシュ部4のドアインナーパネル4aの下降部の上面との十分な圧接力が得られない。このため、基底部8aとドアインナーパネル4aの上面との間のシール性能が低下してしまうおそれがある。
【0014】
本発明は、前記従来技術の技術的課題に鑑みて案出されたもので、例えば押出成形時におけるドアウェザーストリップの湾曲状の撓み変形を抑制すると共に、中空シール部の基底部とドアパネルとのシール圧の減少化を抑制して、ドアパネルに対する取付作業能率の低下とシール性能の低下を防止できるドアウェザーストリップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願請求項1に記載の発明は、車両のドアパネルに取り付けられ、少なくとも一部が硬質ゴムによって形成された取付基部と、
基底部が前記ドアパネルの外面に当接配置され、ドア閉時に、車体パネルに弾接して撓み変形する軟質ゴムによって成形された中空シール部と、前記中空シール部の基底部と前記取付基部とを連結する軟質ゴムによって成形された連結部と、を備え、
前記中空シール部の基底部と前記連結部のそれぞれの内部に、硬質ゴムを連続して埋設したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、成形時などにおけるドアウェザーストリップの湾曲状の撓み変形を抑制すると共に、中空シール部の基底部とドアパネルとのシール圧の減少化を抑制して、ドアパネルに対する取付作業能率の低下とシール性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明及び従来技術のドアウェザーストリップが適用される自動車のフロントドアの側面図である。
【
図2】本発明に係るドアウェザーストリップの一実施形態を示す
図1のA-A線断面図である。
【
図3】本実施形態のドアウェザーストリップにおける図心位置と重心位置を示す断面図である。
【
図4】従来のドアウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【
図5】従来のドアウェザーストリップの一方向への撓み変形状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のドアウェザーストリップの実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0019】
図2は本発明に係るドアウェザーストリップの一実施形態を示す
図1のA-A線断面図、
図3は本実施形態のドアウェザーストリップにおける図心位置と重心位置を示す断面図である。
【0020】
前述したように、車両である自動車のフロントドア2のドア本体3の上部に設けられたドアサッシュ部4は、ロールフォーミング加工によって形成され、
図2に示すように、ドアインナーパネル4aの車内側にモールチャンネル4bが形成されていると共に、該モールチャンネル4bよりも車外側に取付部であるリテーナ5が設けられている。また、このリテーナ5の下部には、図外のドアガラスの端部が摺動保持されるランチャンネルが取り付けられている。
【0021】
前記リテーナ5は、モールチャンネル4b側の幅方向の一端部に断面ほぼ横U字形状の突部5aを有していると共に、幅方向の他端部に底壁から車内方向へ傾斜上に立ち上がった断面ほぼ横V字形の支持片5bを有している。
【0022】
前記ドアサッシュ部4の外周には、ドア閉時に、車体パネルであるボディサイドアウターパネル7の外面に弾接して車体開口部とドアとの間をシールするドアウェザーストリップ21が取り付けられている。
【0023】
前記ボディサイドアウターパネル7は、ルーフ部7b側から
図2中、左方向へ段差状に下降形成された段差部7cを有してしていると共に、この段差部7cの先端部側には、図外のシール材が保持されている。
【0024】
前記ドアウェザーストリップ21は、
図2に示すように、ドアサッシュ部4のリテーナ5の内部に嵌合して取り付け固定される取付基部22と、該取付基部22の車外側端部側に設けられ、基底部23aが前記ドアインナーパネル4aの上面に当接配置される中空シール部23と、該中空シール部23の基底部23aと前記取付基部22とを連結する連結部24と、を有している。
【0025】
取付基部22は、
図2及び
図3に示すように、横断面ほぼ矩形状に形成された本体22aと、該本体22aの幅方向の車内側の一端部に一体に設けられ、前記リテーナ5の突部5aに嵌合する断面ほぼC字形状の嵌合部22bと、本体22aの幅方向の車外側の他端部に設けられ、リテーナ5の支持片5cに嵌合支持される断面ほぼ矩形状の突起部22cと、有している。
【0026】
前記取付基部22は、材質が基本的に軟質ゴムである例えばEPDMなどの発泡スポンジゴムによって形成されているが(図中集合点部)、本体22aの下端部と嵌合部22bの下部が硬質ゴムであるソリッドゴム30によって形成されている(太い斜線部)。すなわち、取付基部22は、本体22aの上端部と嵌合部22bの上部及び突起部22bがスポンジゴムによって形成されているが、本体22aの下端部と嵌合部22bの下部がソリッドゴム30によって形成されている。
【0027】
また、取付基部22の本体22aの突起部22b側の上端には、ドア閉時に、ボディサイドアウターパネル7の外面に弾接するサブリップ25が一体に設けられている。このサブリップ25は、材質がスポンジゴムによって形成されているが、内部にはソリッドゴム31が埋設されている。サブリップ25は、埋設されたソリッドゴム31によって全体の剛性が確保されている。
【0028】
中空シール部23は、ドアインナーパネル4aの上面に当接配置されるほぼ直線状の前記基底部23aと、該基底部23aの上端部に一体に設けられ、ドア閉時に、ボディサイドアウターパネル7に弾接して撓み変形する円弧部23bと、を有している。中空シール部23は、基底部23a及び円弧部23bの全体の材質が基本的にスポンジゴムによって形成されている。
【0029】
連結部24は、取付基部22の本体22aの幅方向の車外側の他端部から中空シール部23の基底部23aの端縁まで延設されて、その幅方向の長さWが比較的長く形成されていると共に、ドアウェザーストリップ21の長手方向に沿って帯状に形成されている。また、連結部24は、基本的な材質がスポンジゴムによって形成されている。
【0030】
なお、連結部24の幅方向の長さWは、本実施形態の長さに限定されるものではなく、仕様や大きさなどによって、例えば、さらに短く形成し、あるいはさらに長く形成することも可能である。
【0031】
そして、前記中空シール部23の基底部23aと連結部24のそれぞれの内部には、硬質ゴムであるソリッドゴム32が埋設されている。このソリッドゴム32は、基底部23aから連結部24の内部にわたって連続して形成されていると共に、全体が僅かにドアインナーパネル4a方向へ膨出したほぼ直線状に形成されている。また、このソリッドゴム32は、その肉厚Hが基底部23aの全体の肉厚の約2/3に形成されていると共に、幅方向の先端側の一端部32aが基底部23aの円弧部23bの外端部付近まで延びている一方、他端部32bが連結部24の取付基部22付近まで延出している。
【0032】
本実施形態では、硬質ゴムとして、前記各ソリッドゴム30,31、32を用いているが、比重が0.7~1.2の硬質発泡ゴムで形成することも可能である。
【0033】
また、ソリッドゴム23は、基底部23a側では上面が円弧部23b側の内部に露出しているのに対して、連結部24側では該連結部24の内部中央に配置されて全体がスポンジゴムで覆われた形になっている。
【0034】
また、基底部23aの連結部24との結合箇所の下面には、シールビード26が設けられている。このシールビード26は、横断面ほぼ三角形状に形成されていると共に、中空シール部23の長手方向に沿って延出されており、頂部の先端縁26aがドアインナーパネル4aの上面に当接している。
【0035】
なお、前記円弧部23bは、取付基部22側の内面に、ドア閉時にボディサイドアウターパネル7に弾接した際の屈曲点となるノッチ部27が形成されている。
〔本実施形態に係るドアウェザーストリップの作用効果〕
本実施形態のドアウェザーストリップ21を、ドアサッシュ部4に取り付けるには、取付基部22の本体22aをリテーナ5の内部に嵌合すると同時に、嵌合部22bがリテーナ5の突部5aに嵌合保持されると共に、突起部22cがリテーナ5の支持片5c内に嵌合係止される。これによって、取付基部22は、リテーナ5内に嵌合支持され、特に、支持片5cによって上方への抜け出しが規制される。
【0036】
したがって、ドアウェザーストリップ21は、取付基部22とリテーナ5を介してドアサッシュ部4に強固に取り付けられる。なお、取付基部22は、さらに図外のクリップなどを用いてリテーナ5に取り付けることも可能である。
【0037】
このように、ドアウェザーストリップ21がドアサッシュ部4に取り付けられた状態では、中空シール部23は、連結部24の取付基部22との連結箇所を支点としてドアインナーパネル4aの方向へ撓んで、基底部23aの底面がドアインナーパネル4aの上面に当接すると共に、シールビード26の先端縁26aもドアインナーパネル4aの上面に当接する。
【0038】
特に、基底部23aと連結部24の内部には、ソリッドゴム32が埋設されて、両者23a、24の剛性が高くなっていることからドアインナーパネル4aの上面への当接力が大きくなる。すなわち、前記基底部23aと連結部24とはソリッドゴム32によって連結剛性を含めた全体の剛性が高くなって、ドアサッシュ部4への取り付け後において両者23a、24間のほぼ直線的な姿勢が安定に維持されることから、基底部23aがドアインナーパネル4aの上面から浮き上がることなく、前記基底部23aをドアインナーパネル4aの上面に対して圧接させることができる。
【0039】
しかも、基底部23aと連結部24の剛性が高くなることから、シールビード26の先端縁26aもドアインナーパネル4aの上面に圧接させることができる。したがって、基底部23a及びシールビード26とドアインナーパネル4aの上面との間のシール性が良好になる。
【0040】
また、前記フロントドア2を閉じた際には、中空シール部23の円弧部23bの先端部の外面がボディサイドアウターパネル7の段差部7aの外面に弾接すると、ノッチ部27を屈曲点として円弧部23bがフロントドア2の押圧力によって全体が潰れる方向へ撓み変形する。これによって、ボディサイドアウターパネル7の段差部7aの下面との間を効果的にシールする。
【0041】
そして、前述したように、中空シール部23の基底部23aと連結部24とはソリッドゴム32によって剛性が高くなっていることから、ドアウェザーストリップ21を例えば押出成形で成形した直後や成形後の長時間経過後などにおいて、スポンジゴムとソリッドゴムとの発泡密度差によるリテーナ5への取り付ける前の自由状態時における一方向への撓み変形を抑制できる。つまり、前記従来技術のように、中空シール部23と連結部24とをスポンジゴムのみで形成した場合に、
図5に示すような自由状態時におけるドアウェザーストリップ21の矢印で示した一方向への撓み変形を十分に抑制することが可能になる。
【0042】
したがって、ドアウェザーストリップ21のドアサッシュ部4への手作業による取付作業能率の低下を防止することができる。
【0043】
さらに、ソリッドゴム32を、中空シール部23の基底部23aと連結部24の内部に埋設したことによって、取付基部22の本体22aの一部のソリッドゴム30を含めたソリッドゴム全体の領域を分散させることができる。これによって、
図3に示すように、従来のような、スポンジゴムのみで形成した場合のドアウェザーストリップ21の重心(図中黒丸P1)の位置を、ソリッドゴムを埋設したことによって、図中黒丸Pに示すように、ドアウェザーストリップ21の図心(図中白丸X)の位置に近づけることができる。
このため、図心Xと重心Pの位置ずれが十分に抑制されて、ドアウェザーストリップ21の断面全体の発砲バランスをほぼ均等にすることができる。この結果、従来技術に比較してドアウェザーストリップ21の押出成形時など発生する前記一方向への撓み変形をさらに抑制することができる。
【0044】
また、前記公報記載の従来のドアウェザーストリップでは、ドア閉時には、中空シール部は、剛性の低下によって前記連結部側を支点として基底部側が下降部の上面から浮いてしまうおそれがある。この結果、ドア閉時の浮き上がりによるドア閉じ性が低下すると共に、外観の見栄えが低下する。
【0045】
これに対して、本実施形態では、ドア閉時には、中空シール部23の円弧部23bがボディサイドアウターパネル7に弾接した際の反力が基底部23aに伝達されて該基底部23aをドアインナーパネル4aの上面に圧接させることができるので、ドア閉時の浮き上がりによるドア閉じ性の低下を抑制できると共に、外観の見栄えを向上させることができる。
【0046】
ところで、近時の自動車のドア構造として、ドアサッシ部4の構造の変化や外観品質の向上を図るために、本実施形態のような連結部24を設け、さらには連結部24の幅方向の長さWを長くする傾向にあるが、この連結部24をスポンジゴムで成形する場合には、前述したドアウェザーストリップ21の取り付け作業性やシール性などの技術的課題を助長するおそれがある。
【0047】
しかし、本実施形態は、幅広に形成した連結部24であっても、中空シール部23の基底部23aと連結部24の内部にソリッドゴム32が埋設されていることから、前述した取付作業性やシール性の技術的課題を解決することができる。
【0048】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨にしたがってドアウェザーストリップの各構成をさらに変更することが可能である。例えば、取付基部22全体をソリッドゴム30で形成することも可能であり、また、中空シール部23の基底部23aと連結部24の内部に埋設されたソリッドゴム32の肉厚や幅長さなどを任意に変更することも可能である。
【0049】
また、本実施形態では、ドアウェザーストリップをフロントドアに適用した場合を示したが、リアドア側に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1・21…ドアウェザーストリップ
2…ドア(フロントドア)
3…ドア本体
4…ドアサッシュ部
4a…ドアインナーパネル
5…リテーナ
22…取付基部
22a…本体
23…中空シール部
23a…基底部
23b…円弧部
24…連結部
26…シールビード
30…取付基部側のソリッドゴム
32…基底部と連結部内のソリッドゴム