(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045866
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】風推定装置、風推定システム、風推定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20240327BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240327BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240327BHJP
G05D 1/46 20240101ALN20240327BHJP
【FI】
G01P13/00 E
B64D47/08
B64U20/87
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150922
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】川上 和也
【テーマコード(参考)】
2F034
5H301
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034AB06
2F034DA07
2F034DA15
2F034DB07
2F034DB14
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC10
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】簡便に風の状況を把握することができる風推定装置、風推定システム、風推定方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】風推定装置10は取得部110および推定部130を備える。取得部110は、対象領域の対象画像を取得する。推定部130は、対象画像を用いて対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。たとえば、風推定装置10は飛行体等の移動体に搭載されおり、取得部110は、対象画像を移動体に搭載されたカメラから取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
風推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得する
風推定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の風推定装置において、
前記移動体は飛行体であり、
当該風推定装置は前記移動体の飛行を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記移動体の飛行を制御する
風推定装置。
【請求項4】
請求項2に記載の風推定装置において、
前記移動体の周囲の音を取得する音取得手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記音取得手段を制御する
風推定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の風推定装置において、
前記推定手段は、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
風推定装置。
【請求項7】
請求項5に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得し、
前記推定手段は、前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定装置。
【請求項8】
請求項2に記載の風推定装置と、
前記カメラと、
前記対象領域に光を照射する照射手段とを備える
風推定システム。
【請求項9】
1以上のコンピュータが、
対象領域の対象画像を取得し、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法。
【請求項10】
コンピュータを風推定装置として機能させるプログラムであって、
前記風推定装置は、
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風推定装置、風推定システム、風推定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン等の飛行体を輸送、監視、捜索等に利用するための開発が進められている。ここで、飛行体が安全に飛行するためには、周囲の風の状況を把握する必要がある。
【0003】
特許文献1には、飛翔機から延びるケーブルに設けられた計測部で風速に関する情報を取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1の技術においては、飛翔機とは別途、計測部を設ける必要があった。
【0006】
本発明の目的の一例は、上述した課題を鑑み、簡便に風の状況を把握することができる風推定装置、風推定システム、風推定方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
風推定装置が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、
上記の風推定装置と、
カメラと、
前記対象領域に光を照射する照射手段とを備える
風推定システムが提供される。
【0009】
本発明の一態様によれば、
1以上のコンピュータが、
対象領域の対象画像を取得し、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法が提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、
コンピュータを風推定装置として機能させるプログラムであって、
前記風推定装置は、
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、簡便に風の状況を把握することができる風推定装置、風推定システム、風推定方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る風推定装置の概要を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る対象画像の撮像について説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態に係る風推定システムの機能構成を例示するブロック図である。
【
図6】風推定装置を実現するための計算機を例示する図である。
【
図7】第1実施形態に係る風推定方法の概要を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る風推定方法の流れを例示するフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態に係る風推定システムの機能構成を例示するブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る風推定システムの機能構成を例示するブロック図である。
【
図11】第4の実施形態に係る風推定システムの機能構成を例示するブロック図である。
【
図12】他の実施形態に係る風推定システムの機能構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る風推定装置10の概要を示す図である。風推定装置10は取得部110および推定部130を備える。取得部110は、対象領域の対象画像を取得する。推定部130は、対象画像を用いて対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。
【0015】
この風推定装置10によれば、対象画像を用いて簡便に風の状況を把握することができる。
【0016】
以下、風推定装置10の詳細例について説明する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る対象画像の撮像について説明するための図である。
図2の例において、風推定装置10は移動体20に搭載されている。ただし、風推定装置10は、移動体20から離れて設けられていてもよい。その場合、風推定装置10と、移動体20とは、有線または無線接続により通信することができる。
図2の例において、移動体20は飛行体である。
図2の例において、移動体20は具体的にはドローンである。ただし、移動体20は飛行体に限定されず、地面を走行する車両や、船等であってもよい。移動体20が移動している間に、移動体20に搭載されたカメラ210が移動体20の周りの画像を撮像する。風推定装置10の取得部110は、対象画像を、カメラ210から取得する。
【0018】
移動体20の移動は操縦者により制御されていてもよいし、自動制御されていてもよい。移動体20の移動が操縦者により制御される場合、移動体20は遠隔操縦されもよいし、移動体20に乗り込んだ操縦者により操縦されてもよい。移動体20の移動が自動制御される場合、たとえば、移動体20が移動すべきルートを予め設定しておく。また、カメラ210による撮像に関する制御は、カメラ210の操作者により行われてもよいし、移動体20の移動に連携して自動で行われてもよい。カメラ210による撮像に関する制御がカメラ210の操作者により行われる場合、カメラ210は遠隔操作されもよいし、移動体20に乗り込んだ操作者により操作されてもよい。
【0019】
移動体20には、一以上のカメラ210が搭載されている。風推定装置10は、移動体20の移動および、カメラ210を制御することができる。
【0020】
図2において、カメラ210の撮影範囲(画角)が破線で示されている。また、対象領域50における気流が矢印で示されている。対象領域50は、風の状況を推定しようとする領域であり、二次元または三次元の領域であり得る。対象領域50は、移動体20の周囲の領域のうち、少なくとも一部の領域である。移動体20に対する対象領域50の位置は固定されていてもよいし、可変であってもよい。少なくとも一つの対象領域50は、移動体20に対して、移動体20の進行方向側に位置することが好ましい。移動体20に複数のカメラ210が搭載される場合、移動体20に対する対象領域50の方向に応じて、風推定装置10が対象画像を撮像するカメラ210を切り替えてもよい。また、複数のカメラ210により、複数の方向の対象画像が撮像され、複数の方向の風の状況が推定されてもよい。複数の方向の対象画像は、同時に撮像されてもよいし、順に撮像されてもよい。
【0021】
対象領域50の大きさは特に限定されない。対象画像は、対象領域50を撮像した画像である。対象画像は、対象領域50の中心とカメラ210との距離が、カメラ210の焦点距離に一致する状態で撮像される。対象領域50の中心とカメラ210との距離、すなわち、対象画像を撮像するときのカメラ210の焦点距離はたとえば20m以上40m以下である。カメラ210は特に限定されない。カメラ210の画角はたとえば180°でもよいし、360°でもよい。
【0022】
風推定装置10の取得部110は、時系列の複数の対象画像を取得する。各対象画像は、動画を構成する画像、すなわち動画のフレーム画像である。動画のフレームレートは特に限定されないが、例えば、3fps以上120fps以下である。対象領域50内には、塵やホコリ等、浮遊物52が複数浮遊しており、それら浮遊物52の移動の軌跡は、対象領域50内の風の状況に依存する。そこで、風推定装置10の推定部130は、時系列の複数の対象画像中の浮遊物52の軌道を特定する。そして推定部130は、特定された軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。浮遊物52の大きさは特に限定されないが、たとえば外接球の直径として10μm以上1mm以下である。推定部130が実行する推定方法については、詳しく後述する。
【0023】
図3は、本実施形態に係る風推定システム30の機能構成を例示するブロック図である。本図の例において、風推定システム30は、カメラ210および風推定装置10を備える。風推定システム30は、移動体20をさらに含んでもよい。本図の例において、風推定装置10は、参照情報を保持した参照情報記憶部150をさらに備える。取得部110は、カメラ210で対象画像が撮像されると、その対象画像を取得する。取得部110は、たとえば動画等、一連の時系列の対象画像である複数の対象画像をまとめて取得してもよい。取得部110は、所定の時間長さに相当する複数の対象画像を取得することが好ましい。
【0024】
取得部110はさらに、複数の対象画像が撮像されたときの移動体20の移動に関する情報を取得する。移動体20の移動に関する情報は、予め複数の対象画像に関連付けられていてもよい。または、取得部110が、移動体20に設けられたセンサーから、または移動体20の移動を制御する移動体制御部250から、移動体20の移動に関する情報を取得し、複数の対象画像に関連付けてもよい。移動体20の移動に関する情報は、移動体20の速度、すなわち、移動体20の移動の向きと移動速さとの組み合わせを含む。なお、ここで移動の向きは、東西南北等の方位ではなく、移動体20から見た方向(前、後、左、右、上、下等)であることが好ましい。ここで、移動体20から見ての所定の方向を前方向と定義する事ができる。
【0025】
推定部130は、取得部110が取得した複数の対象画像と、参照情報記憶部150から読み出した参照情報とを用いて、対象領域50における風の状況を推定する。推定部130は、推定した風の情報を、出力する。推定部130は、風の情報を、ディスプレイに画像として出力させてもよいし、スピーカーに音として出力させてもよい。または、推定部130は、風の情報を、記憶部等に保持させてもよい。推定部130が、風の情報を、移動体20の操縦者が見ることのできるディスプレイに画像として出力させる場合、またはスピーカーに移動体20の操縦者が聞くことができる音として出力させる場合、移動体20の操縦者は、移動体20の周囲の風の状況を把握した上で、移動体20を適切に操縦することができる。たとえば、移動体20の操縦者は、風が強い領域を避けて移動体20を移動させたり、移動体20を風が強い領域から退避させたりすることができる。
【0026】
推定部130が風の状況を推定する方法について以下に詳しく説明する。ただし、推定部130が風の状況を推定する方法は、以下の方法に限定されない。推定部130は、対象画像に加え、移動体20の移動パターンごとに準備された、浮遊物52の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。
【0027】
参照情報は、軌道を示す情報である。参照情報については詳しく後述する。移動パターンとは、たとえば移動速度であり、すなわち移動の向きと移動速さの組み合わせである。移動パターンごとに参照情報が準備されていることで、様々な移動パターンをとりながら撮像した対象画像を用いて風の状況を推定できる。したがって、移動体20が移動しながら、次の移動先の風の状況を推定することができる。
【0028】
推定部130は、時系列の複数の対象画像を用いて、それらの対象画像に含まれる複数の浮遊物52それぞれの軌道を特定する。推定部130は、複数の対象画像にわたって、各浮遊物52をトラッキングすることで、各浮遊物52の軌跡を特定することができる。
【0029】
そして推定部130は、時系列の複数の対象画像中において特定された、浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成する。所定の条件を満たす軌道とは、移動体20に近い領域内に位置する浮遊物52の軌道であると推定される軌道である。対象画像において特定された浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去することにより、移動体20からある程度はなれた対象領域50内に位置すると推定される第1対象軌道を示す情報が得られる。なお、対象画像において特定された浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去した結果として複数の軌道が得られる場合、それらの軌道の平均を第1対象軌道とすることができる。
【0030】
上述した通り、対象画像は、対象領域50の中心とカメラ210との距離が、カメラ210の焦点距離に一致する状態で撮像される。しかし、対象画像には、対象領域50内に位置する浮遊物52のみならず、移動体20と対象領域50との間に位置するような浮遊物52、たとえば移動体20のごく近くに位置する浮遊物52が写っている。推定部130は対象画像において特定された浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去することにより、対象領域50の風の状況を精度良く推定できる。所定の条件については、詳しく後述する。
【0031】
推定部130は、処理対象である対象画像に関連付けられた移動体20の移動に関する情報に基づき、参照情報記憶部150に保持された複数の参照情報の中から、利用すべき参照情報を読み出して取得する。ここで、推定部130は、移動体20の移動に関する情報に示された移動パターンに対応する参照情報を取得する。
【0032】
参照情報は、実質的に無風の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である。実質的に無風の状態とは、具体的には風の強さが所定の強さ以下の状態である。ここで、所定の強さは、たとえば1.0m/s以上2.0m/s以下の値とすることができる。
【0033】
所定の条件は、第1対象軌道を示す情報を生成するために用いる条件と同じ条件とすることができる。すなわち、第1参照軌道は、実質的に無風の状態で、移動体20から見て対象領域50に対応する領域に存在する浮遊物52の軌道に相当する。
【0034】
推定部130は、第1対象軌道と、読み出した参照情報に示される第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。軌道を示す情報はたとえば、複数の時点間それぞれの、浮遊物52の移動を示すベクトルを時系列に示す情報(v1,v2,・・・,vt,・・・,vn)であり得る。各ベクトルvtは、画像内の移動を示す二次元のベクトルであってよい。複数の時点tのそれぞれは、複数の対象画像のそれぞれに対応し得る。ただし複数の時点tのそれぞれは、複数の対象画像のそれぞれに対応しなくてもよい。たとえば、複数の対象画像から推定される軌道を示すように、一以上の時点が補完されてもよい。推定部130は、第1参照軌道を示す複数のベクトル(vr1,vr2,・・・,vrt,・・・,vrn)と、第1対象軌道を示す複数のベクトル(vs1,vs2,・・・,vst,・・・,vsn)をそれぞれ、時系列に互いに対応付ける。そして、第1対象軌道のベクトルvstから、そのベクトルvstに対応付けられた第1参照軌道のベクトルvrtを差し引くことで、各時点の推定ベクトルvetを得る。得られた時系列の推定ベクトル(ve1,ve2,・・・,vet,・・・,ven)により、対象領域50の風の推定軌道が示される。さらに推定部130は、得られた複数の推定ベクトルve1~venの平均ベクトルを算出してもよい。そして推定部130は、算出された平均ベクトルが示す向きおよび速さをそれぞれ、対象領域50の風の向きおよび速さの推定結果とする。
【0035】
なお、浮遊物52の軌道は多くの場合に直線的であると想定されるため、各軌道はそれぞれ一つのベクトルで示されてもよい。その場合、第1対象軌道を示すベクトルから第1参照軌道を示すベクトルを差し引くことで、推定ベクトルを得てもよい。その場合、推定部130は、推定ベクトルが示す向きおよび速さをそれぞれ、対象領域50の風の向きおよび速さの推定結果とする。
【0036】
なお、軌道を示す情報の構成は上記の例に限定されない。
【0037】
推定部130は、推定結果を出力する。推定部130は、推定結果をたとえば移動体20の操縦者等のユーザが視認可能なディスプレイに表示させることができる。
【0038】
図4は、推定結果の表示方法を例示する図である。たとえば
図4の矩形内には移動体20のいずれかのカメラ210で撮像された画像、または移動体20が移動しているエリアの地図が表示される。ここで、矩形の外枠のうち、移動体20の進行方向に位置する部分が強調表示される。強調表示はたとえば線幅や線の色の変更により行われる。具体的には、強調表示される部分の線幅が他の部分よりも太く表示される。ここで、推定される風の強さが強いほど、線幅が太くてもよい。または、強調表示される部分が赤で表示され、他の部分が黒で表示されてもよい。また、これらの両方が行われてもよい。
図4の例では、さらに風速が数値により表示されている。移動体20が飛行体である場合、移動体20の操縦者は、たとえば風速に応じてプロペラの回転数を調整する等の操作をすることができる。
【0039】
その他、推定部130は、推定結果をスピーカーに出力してもよい。スピーカーからは、たとえば「右前方に時速10kmの風が吹いています。」等の音声をユーザが聞くことができるように出力させることができる。また、推定部130は、推定した風の強さが予め定めた閾値以上である場合に、ディスプレイの表示またはスピーカーからの音としてアラートを出力してもよい。本実施形態に係る風推定装置10によれば、局所的な強風の検知も可能であるため、局所的な強風が吹いている領域を避けて移動体20を安定的に移動させることができる。
【0040】
また、推定部130は、対象領域50の風の状況と移動体20の周囲の状況とを含むライブラリを生成および更新してもよい。ライブラリには、推定部130により推定された対象領域50の風の状況、対象領域50の位置情報、風の状況が推定された時の日時、風の状況が推定された時の気温、および風の状況が推定された時の天候が登録される。移動体20にはGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機および方位センサーが備えられており、推定部130は、GNSSを利用して得られる移動体20の位置情報、および、移動体20と対象領域50との位置関係に基づいて対象領域50の位置情報を得ることができる。推定部130は、風の状況が推定された時の気温、および風の状況が推定された時の天候を、気象情報を提供するサーバ等から通信ネットワークを介して受信してもよいし、移動体20に備えられたセンサー等から取得してもよい。
【0041】
風推定装置10は、ユーザがライブラリの内容を所望のタイミングで確認できるように構成されていてもよい。一例では、ユーザが風推定装置10に備えられたタッチパッド等に所定の操作(たとえば「ライブラリ」ボタンをタッチする操作)を行うことにより、ディスプレイにライブラリの内容が表示される。風推定装置10のユーザは、ライブラリで過去の情報を閲覧することにより、環境の傾向を把握することができる。
【0042】
<参照情報>
参照情報について以下に詳しく説明する。上述した通り、参照情報は、第1画像において特定された、複数の浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である。
【0043】
第1画像は予め、屋内等の空間において、移動体20を移動させた状態で撮像することができる。第1画像は、動画を構成する画像であり得る。第1画像の撮像に用いる移動体20およびカメラ210は対象画像を撮像する移動体20およびカメラ210とそれぞれ同タイプとすることが好ましい。また、第1画像を撮像するときの撮像条件と、対象画像を撮像するときの撮像条件とは同じであることが好ましい。第1画像を撮像するカメラ210の、移動体20に対する取り付け位置および向きと、対象画像を撮像するカメラ210の、移動体20に対する取り付け位置および向きとは同じであることが好ましい。移動体20の形状やカメラ210の取り付け方、カメラ210の撮像条件等に依存して、得られる軌道や、画像への浮遊物52の写り方が異なる可能性があるからである。
【0044】
移動体20の複数の移動パターンのそれぞれについて第1画像を撮像し、各第1画像を用いて各移動パターンに対応する参照情報を得ることができる。詳しくは、時系列の複数の第1画像を用いて、それらの第1画像に含まれる複数の浮遊物52それぞれの軌道が特定される。複数の第1画像にわたって、各浮遊物52をトラッキングすることで、各浮遊物52の軌跡を特定できる。特定された複数の浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して第1参照軌道が特定される。各参照情報は、移動パターンまたは、移動パターンの範囲に対応付けられて参照情報記憶部150に保持される。なお、第1画像において特定された浮遊物52の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去した結果として複数の軌道が得られる場合、それらの軌道の平均を第1参照軌道とすることができる。
【0045】
図5は、参照情報の構成を例示する図である。本図は各参照情報が移動パターンの範囲に対応付けられている例を示している。「移動の向きの範囲」は、予め定められた移動体20の前方向と移動方向とのなす角の範囲を示す。「移動速さの範囲」は、移動体20の移動速さの範囲を示す。「移動の向きの範囲」と「移動速さの範囲」との各組み合わせに対して、第1参照軌道が関連付けられている。推定部130は、処理対象である対象画像が撮像されたときの、移動体20の移動の向きおよび速さが属する組み合わせに対応付けられた、第1参照軌道を読み出して用いることができる。
【0046】
なお、各参照情報は、画像内の部分領域ごとの第1参照軌道を示す情報を含んでもよい。画像のうち、右側の領域であるか左側の領域であるかにより、また、上側の領域であるか下側の領域であるかにより、画像により捉えられる軌道が異なる可能性があるからである。ここで、画像(対象画像または第1画像)を分割して得られる複数の領域のそれぞれを部分領域とする。たとえば軌道の最も多くの部分(たとえば最も長い距離)が含まれる部分領域に、その軌道は属すると定義する。
【0047】
参照情報が、画像内の部分領域ごとの第1参照軌道を示す情報を含む場合、推定部130が第1対象軌道と第1参照軌道との差を導出する際は、互いに対応する部分領域(すなわち、画像内での位置が同じ部分領域)に関連付けられた、第1対象軌道と第1参照軌道との差を導出する。
【0048】
<所定の条件>
所定の条件について以下に詳しく説明する。上述した通り、所定の条件は、画像を撮像した際のカメラ210の焦点距離を基準として、カメラ210に充分近い位置にある浮遊物52を除去するための条件である。所定の条件の例として、以下の第1例から第4例が挙げられる。また、所定の条件として、これらの例に係る複数の条件の組み合わせが用いられてもよい。たとえば、複数の条件のうち少なくともいずれかが満たされる場合、所定の条件が満たされると定義することができる。または、複数の条件のうち所定の数以上の条件が満たされる場合に、所定の条件が満たされると定義することができる。なお、以下の第1例から第4例の説明において、各軌道について所定の条件を満たすか否かの判定を行うべき第1画像と対象画像を、総じて「判定対象画像」と呼ぶ。
【0049】
<<第1例>>
所定の条件の第1例は、判定対象画像における浮遊物52のボケ量に関する条件である。カメラ210の近くにある浮遊物52には焦点が合っていないため、そのような浮遊物52は判定対象画像中でボケた状態である。したがって、ボケ量に基づいて判定が行える。具体的には推定部130は、判定対象の軌道について、その軌道をとる浮遊物52の、時系列の各判定対象画像中でのボケ量を特定する。推定部130は、特定されたボケ量の平均を算出する。推定部130は、算出したボケ量の平均が所定の閾値以上である場合、その軌道が所定の条件を満たすと判定する。なお、各判定対象画像中でのボケ量の特定は、エッジ検出等の既存の技術を用いて行える。
【0050】
<<第2例>>
所定の条件の第2例は、判定対象画像における浮遊物52の大きさに関する条件である。同じ大きさの浮遊物52であっても、カメラ210に近い浮遊物52ほど判定対象画像に大きく写る。また、カメラ210の近くにある浮遊物52は、カメラ210の焦点が合っていないことに起因して、より膨張して撮像される。したがって、浮遊物52の大きさに基づいて判定が行える。具体的には推定部130は、判定対象の軌道について、その軌道をとる浮遊物52の、時系列の各判定対象画像中での大きさを特定する。推定部130は、特定された大きさの平均を算出する。推定部130は、算出した大きさの平均が所定の閾値以上である場合、その軌道が所定の条件を満たすと判定する。
【0051】
<<第3例>>
所定の条件の第3例は、時系列の判定対象画像における浮遊物52の移動距離に関する条件である。浮遊物52が同じ距離を移動した場合でも、カメラ210に近い浮遊物52ほど時系列の判定対象画像における移動距離が長くなる。したがって、移動距離に基づいて判定が行える。具体的には推定部130は、時系列の判定対象画像(複数の判定画像)中での各軌道の長さ、すなわち浮遊物52の移動距離を特定する。そして推定部130は、複数の軌道のうち、長さの順位で上からM%までの軌道を所定の条件を満たす軌道と判定する。Mの値はたとえば5以上30以下とすることができる。
【0052】
<<第4例>>
所定の条件の第4例は、第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である。たとえば第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である。第1画像には、第2画像の焦点付近に位置する浮遊物52(以下、「近距離浮遊物」と呼ぶ)と第1画像の焦点付近に位置する浮遊物52(以下、「対象浮遊物」と呼ぶ)との両方が含まれる。一方で第2画像には、近距離浮遊物のみが含まれ、対象浮遊物は含まれない。したがって、第2画像に含まれる浮遊物52(すなわち近距離浮遊物)の軌道をモデル化し、そのモデルのパターンにマッチする軌道を所定の条件を満たす軌道とすることができる。
【0053】
第2画像に含まれる浮遊物52の軌道をモデル化する方法としては、たとえば、軌道の特徴量を抽出することが挙げられる。また、推定部130は、機械学習により生成された判定モデルを用いて、各軌道が所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。この判定モデルは、たとえば時系列の第2画像、または、時系列の第2画像から特定された軌道を教師データとして、機械学習を行うことにより得ることができる。また、この機械学習には教師データとして、各軌道に近距離浮遊物であるか対象浮遊物であるかのラベル付けがされた時系列の第1画像がさらに用いられてもよい。
【0054】
推定部130は、このような判定モデルに時系列の判定対象画像を入力する。そして、推定部130は、判定モデルの出力として各軌道が近距離浮遊物であるか対象浮遊物であるかを識別可能な情報を得ることができる。推定部130は、近距離浮遊物であるとされた軌道を、条件を満たす軌道とする。
【0055】
以上、所定の条件について説明した。
【0056】
風推定装置10のハードウエア構成について以下に説明する。風推定装置10の各機能構成部(取得部110および推定部130)は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、風推定装置10の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0057】
図6は、風推定装置10を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は、SoC(System On Chip)、Personal Computer(PC)、サーバマシン、タブレット端末、またはスマートフォンなどである。計算機1000は、風推定装置10を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。また、風推定装置10は、一つの計算機1000で実現されてもよいし、複数の計算機1000の組み合わせにより実現されてもよい。
【0058】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、およびネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、およびネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、または FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、または ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0059】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードやタッチパネルなどの入力装置や、ディスプレイなどの出力装置が接続される。入出力インタフェース1100が入力装置や出力装置に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0060】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000をネットワークに接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1120がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0061】
ストレージデバイス1080は、風推定装置10の各機能構成部を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0062】
また、参照情報記憶部150が風推定装置10の内部に設けられる場合、例えば参照情報記憶部150は、ストレージデバイス1080を用いて実現される。ただし参照情報記憶部150は風推定装置10の外部に設けられてもよい。
【0063】
移動体20の移動体制御部250を実現する計算機のハードウエア構成は、風推定装置10と同様に、例えば
図6によって表される。ただし、本実施形態の移動体制御部250を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の移動体制御部250の機能を実現するプログラムモジュールがさらに記憶される。移動体制御部250を実現する計算機1000は、風推定装置10を実現する計算機1000を兼ねてもよい。
【0064】
図7は、本実施形態に係る風推定方法の概要を示す図である。本実施形態に係る風推定方法は、1以上のコンピュータにより実行される。本実施形態に係る風推定方法は、取得ステップS10および推定ステップS20を含む。取得ステップS10では、対象領域50の対象画像が取得される。推定ステップS20では、対象画像を用いて対象領域50における風の向きおよび強さの少なくとも一方が推定される。
【0065】
本風推定方法は、本実施形態に係る風推定装置10により実行され得る。
【0066】
本実施形態に係る風推定方法では、移動体20の移動中に常に推定が行われてもよいし、風推定装置10に対して、操縦者による所定の操作が行われたときに推定が行われてもよい。移動体20の移動中に常に推定が行われる場合、移動体20が移動を開始するとカメラ210による撮像が開始される。そして、カメラ210で得られた対象画像を取得部110が取得し、推定部130が風の状況を推定する。一方、操縦者による所定の操作が行われたときに推定が行われる場合、移動体20の移動中、操縦者が風推定装置10に備えられたタッチパネル等に対して、風の状況を推定するための操作を行う。たとえば「風推定」ボタンをタッチする。すると、その操作に基づいてカメラ210で得られた対象画像を取得部110が取得し、同様に推定部130が風の状況を推定する。なお、カメラ210による撮像および取得部110による画像の取得は、所定の操作が行われるか否かに関わらず、移動体20の移動中に続けられていてもよい。すなわち、少なくとも推定部130による推定が、所定の操作に基づいて行われる。
【0067】
図8は、本実施形態に係る風推定方法の流れを例示するフローチャートである。ステップS100において取得部110は、複数の対象画像を取得する。ステップS101において、推定部130は、複数の対象画像中の浮遊物52の一以上の軌道を特定する。ステップS102において、推定部130は、特定した一以上の軌道のうち、所定の条件を満たす軌道を除去することにより、第1対象軌道を示す情報を生成する。ステップS103において、推定部130は、移動体20の移動に関する情報に基づき、参照情報記憶部150に保持された複数の参照情報の中から、利用すべき参照情報を読み出して取得する。ステップS104において、推定部130は、第1対象軌道と、参照情報に示される第1参照軌道との差を算出する。また、推定部130は、得られた差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方の推定結果を得る。ステップS105において推定部130は、得られた推定結果を出力する。
【0068】
以上、本実施形態によれば、推定部130は、対象画像を用いて対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する。したがって、簡便に風の状況を把握することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る風推定システム30の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る風推定システム30は、以下に説明する点を除いて第1の実施形態に係る風推定システム30と同じである。本実施形態に係る風推定装置10は、制御部140をさらに備える。
【0070】
本実施形態において移動体20は飛行体であり、制御部140は移動体20の飛行を制御する。制御部140は、推定部130により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、移動体20の飛行を制御する。制御部140は、たとえば移動体制御部250に制御信号を出力することにより、移動体20を制御できる。
【0071】
例として、制御部140は、推定部130により強い風が推定される対象領域50がある場合に、強い風が推定される対象領域50を避けるよう、移動体20を制御する。強い風が推定される対象領域50とはたとえば、推定された風の強さが予め定められた閾値以上である対象領域50である。強い風が推定される対象領域50を避ける制御として具体的には、制御部140は、移動体20を、停止させること、または来た道に所定の距離後退させることができる。または、予め回避ルートのパターンを設定しておき、制御部140はその回避ルートに沿って移動体20を移動させてもよい。移動体20に対して複数の方向にある各対象領域50の風の状況が推定されている場合、制御部140は、複数の対象領域50のうち最も風が弱い対象領域50の方向へ移動体20を移動させてもよい。
【0072】
また、制御部140は、移動体20の周囲の状況に基づいて、移動体20が採るべき移動パターンの判定を行ってもよい。たとえば制御部140は、機械学習により生成されたモデルを用いて、対象領域50内に移動体20を進めるか否かの判定をおこなうことができる。このモデルの学習には、第1の実施形態で説明したライブラリの情報を用いることができる。具体的には、ライブラリに含まれる対象領域50の風の状況と移動体20の周囲の状況のデータに対し、移動体20が採るべき移動パターン(たとえば前、後、上、下、左、右のいずれか)を付したものを教師データとする。
【0073】
制御部140はこの学習済みのモデルに対して、推定部130により推定された対象領域50の風の状況、対象領域50の位置情報、風の状況が推定された時の日時、風の状況が推定された時の気温、および風の状況が推定された時の天候を入力する。そして制御部140は、モデルの出力として移動体20が採るべき移動パターンを得る。制御部140は、得られた移動パターンに基づいて、移動体20を移動させる。
【0074】
本実施形態に係る風推定装置10を実現する計算機のハードウエア構成は、第1の実施形態に係る風推定装置10と同様に、例えば
図6によって表される。ただし、本実施形態に係る風推定装置10を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の制御部140の機能を実現するプログラムモジュールがさらに記憶される。
【0075】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。加えて、制御部140は、推定部130により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、移動体20の飛行を制御する。したがって、移動体20をより安定的に移動させることができる。
【0076】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る風推定システム30の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る風推定システム30は、以下に説明する点を除いて第1および第2の実施形態の少なくともいずれかに係る風推定システム30と同じである。
【0077】
本実施形態に係る風推定装置10は、制御部140を備える。制御部140は、移動体20の周囲の音を取得する音取得部260を制御する。制御部140は、推定部130により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、音取得部260を制御する。音取得部260はたとえばマイクロフォンである。音取得部260は、ノイズキャンセル機能および指向性可変機能の少なくとも一方を有している。
【0078】
たとえば、カメラ210で生成された画像が表示されるのに伴い、音取得部260で取得された音データがスピーカーから出力される。
【0079】
たとえば制御部140は、推定部130により推定される風が強いほど、ノイズキャンセルの程度を高くする。そうすることで、風によるノイズ音を適切に低減できる。また、制御部140は、推定部130により推定される風の向きに基づいて、風下側からの音を取得しやすくするよう、音取得部260の指向性を制御する。そうすることで、音を取得しにくい領域からの音を集音することができる。移動体20が災害現場等で要救助者の捜索に使用される場合、これらの各制御により、要救助者からの支援要請の合図を捕捉しやすくなる。
【0080】
本実施形態に係る風推定装置10を実現する計算機のハードウエア構成は、第1の実施形態に係る風推定装置10と同様に、例えば
図6によって表される。ただし、本実施形態に係る風推定装置10を実現する計算機1000のストレージデバイス1080には、本実施形態の制御部140の機能を実現するプログラムモジュールがさらに記憶される。
【0081】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1および第2の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて本実施形態に係る制御部140は、推定部130により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、音取得部260を制御する。したがって、音の取得における風の影響を低減できる。
【0082】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る風推定システム30の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る風推定システム30は、以下に説明する点を除いて第1から第3の実施形態の少なくともいずれかに係る風推定システム30と同じである。
【0083】
本実施形態に係る風推定システム30は、照射部220をさらに備える。照射部220は、対象領域50に光を照射する。カメラ210は照射部220から光が照射された状態の対象領域50の画像を生成する。取得部110は、照射部220から光が照射された状態の対象領域50の画像を対象画像として取得する。
【0084】
照射部220はたとえばライトである。照射部220は、移動体20に備えられている。移動体20は、複数の方向に光を照射できるよう、複数の照射部220を備えていてもよい。また、照射部220の照射方向は可変であってもよい。照射部220による対象領域50への光の照射は、カメラ210が対象領域50を撮像する期間にのみ行われてもよいし、さらにそれ以外の期間に行われてもよい。照射部220により対象領域50に光を照射すると、浮遊物52からの反射光がカメラ210に入射する。したがって、対象画像において浮遊物52がより明確に認識される。照射部220からの出力光は直進光であることが好ましい。
【0085】
本実施形態において、カメラ210は、反射光により浮遊物52を認識しやすいように、コントラストが調整されていることが好ましい。また、カメラ210は、照射部220の出力光の波長に対して他の波長よりも高い感度を有してもよい。
【0086】
第1の実施形態で説明した第1画像および第2画像を撮像する場合、それらの画像の撮像時にも、撮像される領域に対して、対象領域50と同様に照射部220から光が照射されることが好ましい。
【0087】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1から第3の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて本実施形態に係る風推定システム30は、対象領域50に光を照射する照射部220を備える。したがって、対象画像において浮遊物52がより明確に認識される。ひいては、風の状況の推定精度が向上する。
【0088】
(他の実施形態)
図12は、他の実施形態に係る風推定システム30の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る風推定システム30は、以下に説明する点を除いて第1から第4の実施形態の少なくともいずれかに係る風推定システム30と同じである。
【0089】
本実施形態に係る風推定システム30は、噴霧部230をさらに備える。噴霧部230は、対象領域50に対して、浮遊物52となる粒子を噴霧する。浮遊物52はたとえば噴霧器である。たとえば噴霧部230は、浮遊物52となる粒子として水を噴霧することができる。そうすることで、その場に偶然存在する塵や埃を浮遊物52として認識する場合に比べ、浮遊物52の数、分布、大きさ等、浮遊物52の条件をコントロールした状態で、たとえば統一された条件下で、画像を得て、風の状況を推定できる。ひいては、風の推定精度を向上させることができる。
【0090】
第1の実施形態で説明した第1画像および第2画像を撮像する場合、それらの画像の撮像時にも、撮像される領域に対して、対象領域50と同様に噴霧部230から粒子が噴霧されることが好ましい。
【0091】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態においては第1から第4の実施形態の少なくともいずれかと同様の作用および効果が得られる。加えて本実施形態に係る風推定システム30は、対象領域50に対して、浮遊物52となる粒子を噴霧する噴霧部230を備える。したがって、浮遊物52の条件をコントロールした状態で画像を得て、風の状況を推定できる。ひいては、風の推定精度を向上させることができる。
【0092】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0093】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0094】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1-1. 対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
風推定装置。
1-2. 1-1.に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得する
風推定装置。
1-3. 1-2.に記載の風推定装置において、
前記移動体は飛行体であり、
当該風推定装置は前記移動体の飛行を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記移動体の飛行を制御する
風推定装置。
1-4. 1-2.に記載の風推定装置において、
前記移動体の周囲の音を取得する音取得手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記音取得手段を制御する
風推定装置。
1-5. 1-1.から1-4.のいずれか一つに記載の風推定装置において、
前記推定手段は、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定装置。
1-6. 1-5.に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
風推定装置。
1-7. 1-5.または1-6.に記載の風推定装置において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得し、
前記推定手段は、前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定装置。
1-8. 1-7.に記載の風推定装置において、
前記参照情報は、風の強さが所定の強さ以下の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である
風推定装置。
1-9. 1-8.に記載の風推定装置において、
前記所定の条件は、前記第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である
風推定装置。
1-10. 1-9.に記載の風推定装置において、
前記第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、
前記第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である
風推定装置。
1-11. 1-8.から1-10.のいずれか一つに記載の風推定装置において、
前記推定手段は、
前記時系列の複数の前記対象画像中において特定された、前記浮遊物の軌道のうちから、前記所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成し、
前記第1対象軌道と前記第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定装置。
2-1. 1-2.から1-4.のいずれか一つに記載の風推定装置と、
前記カメラと、
前記対象領域に光を照射する照射手段とを備える
風推定システム。
2-2. 2-1.に記載の風推定システムにおいて、
前記推定手段は、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定システム。
2-3. 2-2.に記載の風推定システムにおいて、
前記取得手段は、前記照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
風推定システム。
2-4. 2-2.または2-3.に記載の風推定システムにおいて、
前記推定手段は、前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定システム。
2-5. 2-4.に記載の風推定システムにおいて、
前記参照情報は、風の強さが所定の強さ以下の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である
風推定システム。
2-6. 2-5.に記載の風推定システムにおいて、
前記所定の条件は、前記第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である
風推定システム。
2-7. 2-6.に記載の風推定システムにおいて、
前記第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、
前記第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である
風推定システム。
2-8. 2-5.から2-7.のいずれか一つに記載の風推定システムにおいて、
前記推定手段は、
前記時系列の複数の前記対象画像中において特定された、前記浮遊物の軌道のうちから、前記所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成し、
前記第1対象軌道と前記第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定システム。
3-1. 1以上のコンピュータが、
対象領域の対象画像を取得し、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法。
3-2. 3-1.に記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータは、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得する
風推定方法。
3-3. 3-2.に記載の風推定方法において、
前記移動体は飛行体であり、
当該1以上のコンピュータはさらに、推定される前記風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記移動体の飛行を制御する
風推定方法。
3-4. 3-2.に記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータはさらに、前記移動体の周囲の音を取得する音取得手段を、推定される前記風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて制御する
風推定方法。
3-5. 3-1.から3-4.のいずれか一つに記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータは、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法。
3-6. 3-5.に記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータは、照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
風推定方法。
3-7. 3-5.または3-6.に記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータは、
前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得し、
前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法。
3-8. 3-7.に記載の風推定方法において、
前記参照情報は、風の強さが所定の強さ以下の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である
風推定方法。
3-9. 3-8.に記載の風推定方法において、
前記所定の条件は、前記第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である
風推定方法。
3-10. 3-9.に記載の風推定方法において、
前記第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、
前記第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である
風推定方法。
3-11. 3-8.から3-10.のいずれか一つに記載の風推定方法において、
前記1以上のコンピュータは、
前記時系列の複数の前記対象画像中において特定された、前記浮遊物の軌道のうちから、前記所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成し、
前記第1対象軌道と前記第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
風推定方法。
4-1. コンピュータを風推定装置として機能させるプログラムであって、
前記風推定装置は、
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
プログラム。
4-2. 4-1.に記載のプログラムにおいて、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得する
プログラム。
4-3. 4-2.に記載のプログラムにおいて、
前記移動体は飛行体であり、
前記風推定装置は前記移動体の飛行を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記移動体の飛行を制御する
プログラム。
4-4. 4-2.に記載のプログラムにおいて、
前記風推定装置は前記移動体の周囲の音を取得する音取得手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記音取得手段を制御する
プログラム。
4-5. 4-1.から4-4.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記推定手段は、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
プログラム。
4-6. 4-5.に記載のプログラムにおいて、
前記取得手段は、照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
プログラム。
4-7. 4-5.または4-6.に記載のプログラムにおいて、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得し、
前記推定手段は、前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
プログラム。
4-8. 4-7.に記載のプログラムにおいて、
前記参照情報は、風の強さが所定の強さ以下の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である
プログラム。
4-9. 4-8.に記載のプログラムにおいて、
前記所定の条件は、前記第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である
プログラム。
4-10. 4-9.に記載のプログラムにおいて、
前記第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、
前記第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である
プログラム。
4-11. 4-8.から4-10.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記推定手段は、
前記時系列の複数の前記対象画像中において特定された、前記浮遊物の軌道のうちから、前記所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成し、
前記第1対象軌道と前記第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
プログラム。
5-1. プログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、コンピュータを風推定装置として機能させ、
前記風推定装置は、
対象領域の対象画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を用いて前記対象領域における風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する推定手段とを備える
記録媒体。
5-2. 5-1.に記載の記録媒体において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得する
記録媒体。
5-3. 5-2.に記載の記録媒体において、
前記移動体は飛行体であり、
前記風推定装置は前記移動体の飛行を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記移動体の飛行を制御する
記録媒体。
5-4. 5-2.に記載の記録媒体において、
前記風推定装置は前記移動体の周囲の音を取得する音取得手段を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記推定手段により推定される風の向きおよび強さの少なくとも一方に基づいて、前記音取得手段を制御する
記録媒体。
5-5. 5-1.から5-4.のいずれか一つに記載の記録媒体において、
前記推定手段は、
時系列の複数の前記対象画像中の浮遊物の軌道を特定し、
特定された当該軌道に基づいて風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
記録媒体。
5-6. 5-5.に記載の記録媒体において、
前記取得手段は、照射手段から光が照射された状態の前記対象領域の画像を前記対象画像として取得する
記録媒体。
5-7. 5-5.または5-6.に記載の記録媒体において、
前記取得手段は、前記対象画像を、移動体に搭載されたカメラから取得し、
前記推定手段は、前記移動体の移動パターンごとに準備された、浮遊物の軌道に関する参照情報をさらに用いて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
記録媒体。
5-8. 5-7.に記載の記録媒体において、
前記参照情報は、風の強さが所定の強さ以下の状態で撮像された第1画像において特定された、複数の浮遊物の軌道のうちから、所定の条件を満たす軌道を除去して得られた第1参照軌道を示す情報である
記録媒体。
5-9. 5-8.に記載の記録媒体において、
前記所定の条件は、前記第1画像よりも焦点距離が短い状態のカメラで撮像された第2画像を用いて生成された条件である
記録媒体。
5-10. 5-9.に記載の記録媒体において、
前記第1画像は焦点距離が20m以上40m以下の状態のカメラで撮像された画像であり、
前記第2画像は焦点距離が1m以上10m以下の状態のカメラで撮像された画像である
記録媒体。
5-11. 5-8.から5-10.のいずれか一つに記載の記録媒体において、
前記推定手段は、
前記時系列の複数の前記対象画像中において特定された、前記浮遊物の軌道のうちから、前記所定の条件を満たす軌道を除去して得られる第1対象軌道を示す情報を生成し、
前記第1対象軌道と前記第1参照軌道との差に基づいて、風の向きおよび強さの少なくとも一方を推定する
記録媒体。
【符号の説明】
【0095】
10 風推定装置
20 移動体
30 風推定システム
50 対象領域
52 浮遊物
110 取得部
130 推定部
140 制御部
150 参照情報記憶部
210 カメラ
220 照射部
230 噴霧部
250 移動体制御部
260 音取得部
1000 計算機
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース