(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045882
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】中容器を備えた包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/06 20060101AFI20240327BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B65D25/06
B65D1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150949
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼口 尚男
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏之
(72)【発明者】
【氏名】橘高 仁隆
(72)【発明者】
【氏名】脇本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 智也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真孝
(72)【発明者】
【氏名】田島 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴大
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033DA08
3E033DE15
3E033EA05
3E062AA03
3E062AB14
3E062AC02
3E062FB01
3E062FC03
3E062FC06
(57)【要約】
【課題】単一の容器本体で、中容器の容量変更に対応可能な包装用容器を提供する。
【解決手段】容器本体内に中容器を収容し蓋体で閉蓋する包装用容器であって、中容器は、容器本体の底面上に凹凸係合によって載置する。そして、容器本体の底面には、中容器の凹凸係合に係る少なくとも二つの本体側係合部を、その底面中心からそれぞれ不等距離且つ非対称位置に設ける。これによって、本体側係合部の中から選択的に容量が異なる中容器を載置可能となる。また、容器本体の底面に中容器の側壁に当接可能な上向きの凸部を設けることで、中容器を平面方向に移動することなく、決められた位置に固定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に中容器を収容し、少なくとも前記容器本体を蓋体で閉蓋する包装用容器であって、前記中容器は、前記容器本体の底面上に凹凸係合によって載置され、前記容器本体の底面には、前記凹凸係合する少なくとも二つの本体側係合部を該底面の中心から互いに不等距離且つ非対称位置に設け、当該複数の本体側係合部の中から選択的に前記中容器を載置可能としたことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
容器本体の底面上に載置した中容器の側壁外面と、前記容器本体の側壁内面が互いに当接する請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
容器本体の底面には、当該底面上に載置した中容器の側壁外面に当接する上向きの凸部をさらに設けた請求項1または2記載の包装用容器。
【請求項4】
本体側係合部のそれぞれは容器本体の底面の一部を上向きに突成する一方、該本体側係合部と凹凸係合する中容器側の被係合部は前記中容器の底面の一部を内方に凹成してなり、前記本体側係合部のうち少なくとも一つを高さh0、前記被係合部を深さd、凸部を高さh1としたとき、h0≦d<h1を満足する請求項3記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中容器を備えた包装用容器に係り、単一の容器本体に対して、異なる容量の中容器を載置パターンを変えて収容可能としたものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等において、一つの容器に数種類の食材を収容して販売する場合、食材同士が混ざり合わないようにするため、例えば特許文献1~3に示されるように、中容器(「中皿」や「小容器」と称されることもある。)を用意し、この中容器を容器本体に収容するといった入れ子式の包装形態(3点式容器)を採用している。こうした中容器を備えた包装用容器によれば、容器本体に仕切りを設けて各区画に食材を収容するよりも確実に食材同士の接触を防ぐことができる。
【0003】
特に、容器本体を閉蓋する蓋体とは別に中容器専用の中蓋を備えたもの(4点式容器)にあっては、中容器に汁気の多い食材を収容した場合でも汁漏れによって容器本体内が汁浸しになることを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-222366号公報
【特許文献2】特開2018-079973号公報
【特許文献3】特開2018-193099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中容器を備えた包装用容器の収容態様として、カレーライスであれば中容器にカレールーを収容し、容器本体の余剰スペースにライスを盛る。この場合、カレールーの量(並か大盛りか)によって大小の中容器を使い分ける必要がある。他の収容態様として、主菜を容器本体に収容し、副菜を中容器に収容する場合、対面販売での量り売りであれば、購入者から主菜よりも副菜を多めにして欲しいとの要望に応じて、いわゆるラージサイズの中容器を用意することもある。
【0006】
このように中容器に何をどのくらい収容するかは様々であるところ、従来の3点式容器や4点式容器は、特許文献1~3に開示された包装用容器を含め、容器本体に対する中容器の載置レイアウトが固定されており、容器本体側・中容器側ともに容量は基本的に一定である。したがって、容量が異なる中容器を使用する場合は、それに見合った容器本体を個別に用意する必要があり、これに伴って蓋体も容器本体に対応するものを用意する必要が生じる。
【0007】
しかしながら、何種類もの容器本体と蓋体を用意することは、製造コストが嵩むだけでなく、バックヤードでの置き場所の確保や在庫管理の負担も増加する。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、単一の容器本体で、中容器の容量変更に対応可能な包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明では、容器本体内に中容器を収容し、少なくとも前記容器本体を蓋体で閉蓋する包装用容器であって、前記中容器は、前記容器本体の底面上に凹凸係合によって載置され、前記容器本体の底面には、前記凹凸係合する少なくとも二つの本体側係合部を該底面の中心から互いに不等距離且つ非対称位置に設け、当該複数の本体側係合部の中から選択的に前記中容器を載置可能とするという手段を用いた。
【0010】
例えば、二つの本体側係合部を容器本体の底面中心から遠近二箇所の非対称位置に設けることによって、底面中心寄りの本体側係合部は、容器本体の側壁との間のスペースが大きくなるため、比較的底面積が大きい大容量の中容器を載置でき、底面中心から遠い方の本体側係合部には、これよりも底面積が小さい小容量の中容器を載置することができる。これを逆から見れば、前者であれば容器本体における中容器の載置スペースを除いた余剰スペースは後者よりも小さくなり、両者で余剰スペースに収容する収容物の容量も調整される。
【0011】
本体側係合部の数は三つ以上であってもよく、その数だけ適用可能な中容器の種類(大きさ)も増加させることができる。
【0012】
ただし、中容器の種類は必ずしも本体側係合部の数に合わせる必要はなく、同一の中容器をレイアウトを変えて載置することも排除しない。同一の中容器であっても、容器本体への載置レイアウトを変更することで容器本体側の収容スペース(上述した余剰スペース)の大きさが変わり、容器本体側において収容物の容量を調整する事も可能だからである。本発明で必要なことは、単一の容器本体に対して本体側係合部ごとに中容器の載置レイアウトを変更することで、容器本体と中容器それぞれの収容物の容量を調整することにある。
【0013】
なお、容器本体の底面上に載置した中容器の側壁外面と、前記容器本体の側壁内面とは、互いに当接することが好ましい。中容器は凹凸係合によって容器本体の底面上に固定されるのに加え、互いの側壁の内外面同士が当接することで、より確実に中容器のズレ(平面方向の変位)を防止することができるからである。
【0014】
さらに、容器本体の底面には、当該底面上に載置した中容器の側壁外面に当接する上向きの凸部をさらに設けることが好ましい。この場合も、凸部によって中容器のズレが防止される。特に、上述した容器本体の側壁内面との当接と併用することでズレ防止の効果がさらに高まると共に、凸部によって中容器の転倒防止効果も奏する。
【0015】
さらにまた、上記凸部を有する場合、容器本体と中容器の凹凸係合については、本体側係合部は容器本体の底面の一部を上向きに突成する一方、該本体側係合部と凹凸係合する中容器側の被係合部は前記中容器の底面の一部を内方に凹成してなり、前記本体側係合部のうち少なくとも一つを高さh0、前記被係合部を深さd、凸部を高さh1としたとき、h0≦d<h1を満足することが好ましい。凸部は中容器の底面と凹凸係合する部分ではないが、このように凸部の高さを最も大きく設定することで、中容器の位置ズレの効果が高まるうえ、中容器を載置する段階においても凸部によって該中容器を凹凸係合位置に誘導することができる。
【0016】
なお、本発明において、中容器を収容した後に容器本体を蓋体で閉蓋することは必須であり、中容器については専用の中蓋によって単独で閉蓋することが好ましいが、例えば、容器本体の蓋体によって中容器も同時に閉蓋できる場合には中蓋を省略することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単一の容器本体に対して異なるレイアウトで中容器を載置することで容易に容量調整を行えるうえ、容器本体と蓋体は共用であるため、製造コストやプラスチック使用量を増大することがなく、バックヤードなどの現場管理も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器全体の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る包装用容器の分解斜視図であって、図中、1は容器本体、2・3は中容器、4は容器本体1に対応した蓋体、5・6は中容器2・3それぞれに対応した中蓋である。この包装用容器は、容器本体1だけでなく、中容器も蓋(中蓋5・6)を備えた所謂4点式容器に属する。そして、この実施形態の場合、中容器2・3は容量(大きさ)が異なる2種類を備え、この中から収容物の種類や収容量に応じた一つの中容器を選んで容器本体1に収容する。
【0020】
中容器2・3それぞれは容器本体1に対する収容位置が予め決まっている。この実施形態では、容器本体1を平面視で左右横長な形状としているのに対して、中容器2・3は何れも平面視真円状としているところ、容量が大きい中容器2については容器本体1の図中左側寄りに収容し、容量が小さい中容器3については容器本体1の図中右側寄りに収容する。このように中容器2・3を予め定めた位置に収容することで、何れの中容器2・3もガタつきやズレなく容器本体1に固定することができるようになっている。
【0021】
中容器2・3を容器本体1に固定的に収容する手段として、本発明では容器本体1の底面上に凹凸係合によって中容器2・3を載置するようにしている。即ち、
図2に示すように、容器本体1の底面1aの左右二箇所には、本体側係合部1b・1cを上向き(収容空間側に向かって)に突成する一方、中容器2・3それぞれの底面2a・3aには各本体側係合部1b・1cに対応した被係合部2b・3bを内方(収容空間側)に向かって凹成している。したがって、中容器2・3を容器本体1に収容する際、その被係合部2b・3bを本体側係合部1b・1cに凹凸係合させることによって、中容器2・3の平面方向(水平方向)のズレを防止することができる。ただし、この凹凸関係は逆であってもよく、本体側係合部を凹形状、被係合部を凸形状とすることも可能である。
【0022】
また、これら本体側係合部1b・1cと被係合部2b・3bは何れも平面視真円状であって、被係合部2b・3bについては中容器2・3の底面2a・3aと同心に形成する一方、本体側係合部1b・1cについては左右非対称位置に形成している。具体的には、
図3に示すように、本体側係合部1b・1cはともに、その中心点C1・C2が容器本体1の底面1aの中心点C0を通る前後二等分線L上に位置しているが、中心点C0からの距離はC1のL1がC2のL2よりも短い非対称となっている。
【0023】
このように被係合部2b・3bの中心点C0からの距離を互いに異にすることで、容器本体1の左右の短辺側の側壁1d・1eとの間隔については、中容器2・3の大きさに応じて、左側が大きく、右側が小さくなる。したがって、
図4に示すように、容量が大きい中容器3の載置パターン(a)と、容量が小さい中容器4の載置パターン(b)の双方で、中容器2・3それぞれを側壁1d・1eに沿って容器本体1にすっぽりと収容することができる。
【0024】
これに関連して、本実施形態では積極的に容器本体1の側壁1d・1eによって中容器2・3の平面的なズレを規制している。即ち、
図5や
図6に示すように、
図4の載置パターン(a)(b)に基づいた中容器2・3の収納時において、それぞれの側壁2c・3cが容器本体1の側壁1d・1eと内外当接するようにしている。
【0025】
さらに、本実施形態では、本体側係合部1b・1cとは別に、容器本体1の底面1aの中心付近に凸部1fを上向きに突成している。そして、この凸部1f(の周壁一部)も中容器2・3の側壁2c・3cの外面と当接することで、収容した中容器2・3のガタつきを防止している。なお、この凸部1fは、容器本体1の側壁全周と繋がっておらず、浮島状である。その意味で従来の仕切り壁とは構成が異なり、製造上も大きさや形状、数を容易に設定することができる。
【0026】
この実施形態では凸部1fを容器本体1の底面一箇所に設け、載置パターン(a)と載置パターン(b)の双方で中容器2・3の側壁2c・3cの外面と当接するように、凸部1fの位置や大きさを設定している。このように一つの凸部1fによって中容器2・3のガタつき防止に兼用することが合理的であり、製造上も有利である。ただし、凸部1fの位置や大きさ、形状、さらに数は本実施形態に限定されず、2以上の凸部1fを形成することであってもよい。また、容器本体1の側壁との当接と凸部1fとの当接を併用する必要はなく、それぞれを単独で採用して中容器2・3の位置ズレを防止してもよい。さらに、中容器2・3を載置したときに、容器本体1の側壁2c・3cと凸部1fの何れか一方が中容器2・3、あるいは中蓋5・6と当接することであっても、中容器2・3の位置ズレを防止することができる。この場合、未当接となる他方については隙間が生じることになるが、この隙間は一例として2mm以下が好ましく、より好ましくは1.5mm以下に設定することが好ましい。中容器2・3の未当接側への変位を抑制することができるからである。
【0027】
この点、凸部1fの高さを大きくすれば、それだけ中容器2・3の側壁2c・3cとの当接領域も大きくなり、ガタつき防止効果を高めることができる。平面方向に大きくすると、収容物の収容スペースが減少してしまうため、それよりも凸部1fの高さを大きくして当接領域を拡大する方が有利である。そして、凸部1fの高さを数値限定するものではないが、
図7に示すように、凸部1fの高さをh1、本体側係合部の何れか(ここでは左側の本体側係合部1b)の高さをh0、これに対応する被係合部(ここでは中容器2の被係合部2b)の深さをdとした場合、h0≦dであれば、中容器が容器本体の底面から浮き上がることなく収納することができる。そのうえで、d<h1、即ち、h0<h1とすれば、容器本体に収納した中容器の側壁に対して凸部を確実に当接させることができる。
【0028】
次に、いくつかの他の実施形態を説明する。
(1)中容器における容器本体の側壁との当接部分について
上記実施形態では、中容器の収納時に容器本体と側壁同士を当接させることとしたが、容器本体の側壁と当接させる部分は、
図1に示した中容器の端縁部10、または中蓋の端縁部11であってもよい。
【0029】
(2)中容器における凸部との当接部分について
上記実施形態では、中容器の収納時にその側壁を凸部と当接させることとしたが、凸部を十分に高くすれば、
図1に示した中容器の端縁部10、または中蓋の端縁部11を凸部と当接させることができる。
【0030】
(3)本体側係合部への目印について
本体側係合部が平面視において同じ形状である場合は、その天面に、
図1に示したように、丸形12と星形13のように異なる形状のレリーフを形成すれば、中容器と本体側係合部の対応関係が明確となり、バックヤードにおいて中容器の収容作業を効率的に行うことができる。なお、本体側係合部(中容器の載置パターン)ごとに付す目印は、丸形や星形のレリーフに限らず、さらには、中容器を載置する妨げにならないのであれば、レリーフ(浮き彫り)に限らず、他の凹凸形状や着色を施すことであってもよい。要は、中容器を載置する作業者が、複数ある本体側係合部それぞれを識別できる目印であればよい。
【0031】
(4)本体側係合部と被係合部の凹凸係合の形態について
上記実施形態では、本体側係合部を二つとも平面視円形としたが、一方を平面視矩形とするなど、複数ある本体側係合部の一部又は全部を異なる外形とした場合も、これを目印として中容器と本体側係合部の対応関係を明確にすることができる。これに伴い、中容器ごとに被係合部の外形を本体側係合部と合わせることで、被係合部と本体側係合部が対応関係にある(外形が一致する)ときのみ、その位置に中容器を収容できるようになり、誤作業を防止することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 容器本体
1a 底面
1b・1c 本体側係合部
1d・1e 左右の短辺側壁
1f 凸部
2 中容器(容量が大)
2a 底面
2b 被係合部
2c 側壁
3 中容器(容量が小)
3a 底面
3b 被係合部
3c 側壁
4 蓋体
5・6 中蓋