(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045886
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】物品切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 1/06 20060101AFI20240327BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20240327BHJP
A23L 17/60 20160101ALN20240327BHJP
【FI】
B26D1/06 Z
B26D3/26 605C
A23L17/60 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150959
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】593074215
【氏名又は名称】中村物産テクニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 弌大
【テーマコード(参考)】
3C027
4B019
【Fターム(参考)】
3C027HH05
3C027HH09
3C027HH14
4B019LP03
4B019LP19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】止め具による送り面の分離又は変形で装置全体を小型化及び軽量化して不使用時には片付けが容易な物品切断装置を提供する。
【解決手段】長尺物品が載置される載置面を有する受け台と、載置面に向けて移動自在に設けられる切断刃と、載置面に向けて切断刃を載置面と交差する方向へ移動させる駆動部と、を備え、受け台は、載置面に沿って長尺物品の長手方向へ延びるように形成される送り面と、載置面に対して送り面を分離可能又は変形可能に取り付ける止め具と、を有し、止め具により送り面が載置面に連続して送り面から載置面に向かう長尺物品の送り路を構成する展開状態と、送り面が載置面に不連続な収納状態と、に切り換わることを特徴とする物品切断装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺物品が載置される載置面を有する受け台と、
前記載置面に向けて移動自在に設けられる切断刃と、
前記載置面に向けて前記切断刃を前記載置面と交差する方向へ移動させる駆動部と、を備え、
前記受け台は、前記載置面に沿って前記長尺物品の長手方向へ延びるように形成される送り面と、前記載置面に対して前記送り面を分離可能又は変形可能に取り付ける止め具と、を有し、前記止め具により前記送り面が前記載置面に連続して前記送り面から前記載置面に向かう前記長尺物品の送り路を構成する展開状態と、前記送り面が前記載置面に不連続な収納状態と、に切り換わることを特徴とする物品切断装置。
【請求項2】
前記送り面が、前記載置面を挟んで前記長尺物品の長手方向へ直線状に配設される第一送り面と第二送り面を有することを特徴とする請求項1記載の物品切断装置。
【請求項3】
前記載置面が、前記切断刃の刃部と当接する刃当たり部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の物品切断装置。
【請求項4】
前記載置面に対して前記送り面が、前記止め具により分離可能で着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の物品切断装置。
【請求項5】
前記載置面に対して前記送り面が、前記止め具により変形可能で折り畳み自在に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の物品切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆布などの食用海藻が含まれた長尺物品を切断するために用いられる物品切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物品切断装置として、所定長さに一次裁断された乾燥状態の昆布を、所望の長さに二次裁断する昆布裁断装置がある(例えば、特許文献1参照)。
この昆布裁断装置は、略直方体状の筐体を有し、筐体の上部には搬入コンベアが設けられ、筐体の上面で搬入コンベアの搬送方向入側となる入側載置部から、搬入コンベアの搬送方向出側となる出側載置部に向けて昆布が搬送される。搬入コンベアの上方には、搬送された昆布を加熱する加熱部が配設され、加熱部の出側載置部の出側にはスタック部が設けられ、スタック部の下方には、加熱後の昆布を裁断する裁断部が設けられている。裁断部に続いて、裁断された昆布をその後の工程に搬送するための搬出コンベアが付設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乾燥した昆布の切断は、一次裁断だけでなく二次裁断を含めて、収穫又は採取が行われた現地にて、生産者自身が行う場合が多い。
しかし乍ら、特許文献1のような昆布裁断装置では、筐体に搬入コンベア,加熱部,スタック部,搬出コンベアに加えて駆動源も備えられるため、筐体を含めた装置の全体が大型化してしまった。これにより、装置の設置には広い占有面積が必要になるとともに、筐体及び装置の全体が重いから、昆布を切断しない不使用時には、装置を簡単に移動して片付けることも困難であり、邪魔になってスペースを有効利用できないという問題があった。
しかも、昆布を切断する装置の使用期間は、収穫又は採取された昆布を乾燥させた後の僅かな期間のみであり、昆布の切断に費やす稼働時間が比較的に短い割には、装置が高価になることも問題であった。
そこで、特許文献1のような駆動式の昆布裁断装置に代えて手動式の押し切りカッターにより乾燥状態の昆布を切断することも考えられる。しかし、この場合には、特に乾燥状態の昆布は波打った形状であるため、乾燥した複数枚の昆布を層状に積み重ねると、厚みが高くなるため、手動式の押し切りカッターによる切断では、僅かな数枚の積み重ねしか対応できず、切断作業が困難で且つ切断面が乱れ易くて商品価値を著しく低下させるという問題もあった。
このような状況下で、装置全体が小型化軽量で且つ不使用時には片付けが容易な物品切断装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係る物品切断装置は、長尺物品が載置される載置面を有する受け台と、前記載置面に向けて移動自在に設けられる切断刃と、前記載置面に向けて前記切断刃を前記載置面と交差する方向へ移動させる駆動部と、を備え、前記受け台は、前記載置面に沿って前記長尺物品の長手方向へ延びるように形成される送り面と、前記載置面に対して前記送り面を分離可能又は変形可能に取り付ける止め具と、を有し、前記止め具により前記送り面が前記載置面に連続して前記送り面から前記載置面に向かう前記長尺物品の送り路を構成する展開状態と、前記送り面が前記載置面に不連続な収納状態と、に切り換わることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態(第一実施形態)に係る物品切断装置の全体構成を示す切断前の説明図であり、
図1(a)が展開状態(使用時)の縦断正面図、
図1(b)が同縦断側面図である。
【
図2】切断時の説明図であり、
図1(a)が展開状態(使用時)の縦断正面図、
図1(b)が同縦断側面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態(第二実施形態)に係る物品切断装置の全体構成を示す説明図であり、収納状態(不使用時)の分解斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態(第三実施形態)に係る物品切断装置の全体構成を示す説明図であり、
図5(a)が展開状態(使用時)の縦断側面図、
図5(b)が収納状態(不使用時)の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る物品切断装置Aは、
図1~
図5に示すように、昆布などの食用海藻やその他の海産物製品又はそれに類する加工品となどからなる長尺物品Bの切断用に用いられる切断装置や切断機である。その具体例として長尺物品Bが、収穫または採取して所定長さに一次裁断された乾燥状態の昆布などである場合には、所望の長さに二次裁断するための利用可能な裁断装置や裁断機となる。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る物品切断装置Aは、長尺物品Bが載置される載置面11aを有する受け台1と、載置面11aに向けて移動自在に設けられる切断刃2と、載置面11aに向けて切断刃2を移動させるように設けられる駆動部3と、を主要な構成要素として備えている。
さらに、駆動部3を作動制御するために設けられる制御部4や操作部5が備えられる。
なお、図示例では、受け台1の載置面11aに対して長尺物品Bは、受け台1の載置面11aに対して切断刃2が上下などの縦方向へ対向するように載置され、長尺物品Bを水平などの横方向へ送りながら切断刃2の縦移動で切断して、長尺物品Bの長手方向に分離している。ここで、縦方向となる長尺物品Bの厚み方向を以下「Z方向」という。Z方向と交差する長尺物品Bの長手方向を以下「X方向」といい、長尺物品Bの幅方向を以下「Y方向」という。
【0008】
受け台1は、金属や合成樹脂などの硬質な材料で形成され、装置本体となるフレーム1aやカバー1bなどからなる。受け台1は、長尺物品Bが載置される載置面11aと、載置面11aに沿って設けられる送り面12aと、載置面11aに対して送り面12aを取り付けるために設けられる止め具13と、を有する。
載置面11aは、薄板状の載置板11の平滑な表面に形成され、載置面11aが後述する切断刃2と対向するように載置板11をフレーム1aの頂部に設置している。
また、載置面11aは、切断刃2の先端に形成された刃部2aと当接する刃当たり部11bを有することが好ましい。つまり、切断刃2を刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに突き当たる位置まで移動させることにより、刃部2aと刃当たり部11bの間に長尺物品Bが挟み込まれ、刃部2aを長尺物品Bに押し込んで切断される。これにより、後述する駆動部3による切断刃2の移動を刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに突き当たるまで位置制御するだけで、長尺物品Bの切断構造を簡素化することができる。
さらに、載置面11aにおいて少なくとも刃当たり部11bは、合成ゴムやエラストマー樹脂などの弾性変形可能なゴム系素材で形成することが好ましい。これにより、載置面11aに対する刃部2aの刃当たりが柔らかく、薬品塗布などの殺菌・滅菌処理にも対応している。
【0009】
送り面12aは、薄くスライスされた多層の単板(ベニヤ)を接着した合板やその他の木材又は合成樹脂や金属などからなる薄板状の送り板12の平滑な表面に形成され、載置板11の載置面11aに対して送り面12aが連続するように送り板12を取り付けている。送り板12の送り面12aは、載置板11の載置面11aに向けて長尺物品Bの長手方向(X方向)へ延びる矩形(長方形及び正方形を含む角が直角の四辺形)に形成され、載置面11aに対して送り面12aを連続させることで、送り面12aから載置面11aに向かう長尺物品Bの送り路Rが構成される。
さらに、送り面12aは、載置面11aを挟んで長尺物品Bの長手方向(X方向)に一対配設され、その一方を搬入側の第一送り面12a′とし、他方を搬出側の第二送り面12a″とすることが好ましい。この場合の送り路Rは、載置面11a上の後述する切断刃2による切断位置Pを挟んで、搬入側の第一送り路R′と搬出側の第二送り路R″に分けられる。搬出側の第二送り面12a″には、長尺物品Bの切断(二次裁断)長さを計測するために補助となるメジャーなどの表示部(図示しない)を設けることが好ましい。
また、フレーム1aの頂部には、送り板12や載置板11を取り付けるために、L型アングルなどの固定金具1cを設けることが好ましい。また、フレーム1aの底部には、設置面Gに接地するキャスターなどの脚車1dを設けることが好ましい。
【0010】
止め具13とは、載置板11の載置面11aに対して送り板12の送り面12aを分離可能や変形可能などに取り付ける(設置する)ために用いられる器具である。
止め具13の一例として載置面11aに対し送り面12aが分離可能に取り付けられる場合は、
図1(a)(b)~
図4に示されるようにボルトやナットなどの締結部品13aを用いることが好ましい。
止め具13のその他の例として載置面11aに対し送り面12aが変形可能に取り付けられる場合は、
図5に示されるようにリンク13b′やアームやロッド又はストッパー13b″などの連結部品13bを用いることが好ましい。
止め具13となる締結部品13aや連結部品13bの操作によって物品切断装置Aは、
図1(a)(b)~
図3や
図5(a)に示されるような展開状態と、
図4や
図5(b)に示されるような収納状態と、に切り換えることが可能となる。
展開状態とは、送り面12aを載置面11aと面一状に連続させた状態である。このため、長尺物品Bを切断する使用時には、物品切断装置Aの展開状態で用いることにより、送り面12aから載置面11aに向かう長尺物品Bの送り路Rが構成される。
また、収納状態とは、送り面12aを載置面11aから分離することや、送り面12aを載置面11aから変形して不連続にさせた状態である。このため、長尺物品Bの切断が完了した不使用時には、物品切断装置Aの収納状態で用いることにより、コンパクトに片付けることが可能になる。
また、止め具13のそれ以外の変形例として図示しないが、締結部品13aや連結部品13bに代えてそれ以外の部品を用いることも可能である。
【0011】
さらに、載置面11a及び送り面12aのサイズは、
図1(a)(b)~
図3や
図5(a)に示される展開状態で、送り面12aから載置面11aに亘って載置される長尺物品Bのサイズよりも大きくなるように設定されている。
詳しく説明すると、載置面11a及び送り面12aにおいて長尺物品Bの長手方向(X方向)の全長サイズは、長尺物品Bの長手寸法よりも長く設定され、載置面11a及び送り面12aにおいて長尺物品Bの幅方向(Y方向)の全幅サイズは、長尺物品Bの幅寸法よりも広く設定される。これにより、長尺物品Bは、載置面11a及び送り面12aに沿って長尺物品Bの長手方向(X方向)へ送り移動可能になる。
つまり、載置面11aを挟んで一対の送り面12aが長尺物品Bの長手方向(X方向)に配設される場合には、作業者が搬入側の第一送り面12a′(搬入側の第一送り路R′)に長尺物品Bをセットすることで、送り路Rに沿って載置面11a(切断刃2による切断位置P)や搬出側の第二送り面12a″(搬出側の第二送り路R″)に向け送り移動可能になる。図示例において長尺物品Bは、
図1(a)(b)~
図2(a)(b)に示されるようにしわを伸ばして所定長さ(約1m程度)に切断(一次裁断)された乾燥状態の昆布を複数枚積み重ねた集積体B1である場合を示している。
長尺物品Bを送り移動する方法の具体例としては、作業者が手動で長尺物品Bを送り路Rに沿って押し込むことが最も簡単な方法である。これに代えて、予めバンドや紐やテープなどの結束具(図示しない)で荷崩れしないように束ねた状態で集積体B1を送り移動する方法や、集積体B1の一部をホルダー(図示しない)で荷崩れしないように仮止めした状態で集積体B1を送り移動する方法などの変更が可能である。
【0012】
切断刃2は、炭素鋼,ステンレス鋼などの金属やセラミックなどで帯板状に形成され、受け台1の載置面11aと対向する先端に刃部2aを有し、刃部2aが載置面11aに対して長尺物品Bの幅方向(Y方向)に交差するように配置されるとともに、長尺物品Bの厚み方向(Z方向)へ移動自在に支持される。
刃部2aの全幅サイズは、長尺物品Bの幅寸法よりも広く設定される。また、載置面11aが刃当たり部11bを有する場合の刃部2aは、切断刃2の表裏両面に刃を有する両刃であることが好ましい。その他の例として刃部2aを片刃に変更することも可能である。
切断刃2の支持構造として図示例の場合には、長尺物品Bの幅方向(Y方向)に並設した一対のスライダー21が、載置板11の載置面11aや受け台1のフレーム1aを貫通して、軸受22で長尺物品Bの厚み方向(Z方向)へ往復動自在に支えられる。スライダー21は、載置面11aよりも上方で受け台1のフレーム1aから露出する上側端部に亘って、刃部2aの両端部を取り付けている。スライダー21に対する刃部2aの取り付け方法としては、ボルトなどの固定用締結具23で、刃部2aの両端部をZ方向へ調整移動自在に固定することが好ましい。
載置面11aよりも下方で受け台1の内部に没入するスライダー21の下側端部には、後述する駆動部3が連係され、駆動部3の作動でスライダー21とともに切断刃2の刃部2aをZ方向へ往復動させている。
【0013】
駆動部3は、切断刃2を直線運動させるアクチュエーターなどで構成され、制御部4により作動制御される。
制御部4は、駆動部3,切断刃2の位置を検出するリミットスイッチなどのセンサー(図示しない),操作部5などと電気的に接続した制御回路(図示しない)を有するコントローラーである。制御部4となるコントローラーは、操作部5からの作動信号に基づいて駆動部3などを作動制御する。
操作部5は、載置面11aの近傍で且つ長尺物品Bの送り移動に邪魔とならない箇所に設置され、少なくとも駆動部3による切断刃2の移動を開始させるためのスタートスイッチ5aと、駆動部3による切断刃2の移動を緊急停止させるためのストップスイッチ5bと、を有する。これに加えて、切断刃2を刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに当接する下限位置で停止させて移動不能に保持するロックスイッチ5cと、刃部2aを上限位置に戻して切断刃2の移動を可能にするリセットスイッチ5dを有することが好ましい。
駆動部3の一例としては、
図1(a)(b),
図2(a)(b)及び
図5(a)(b)に示されるように受け台1のフレーム1aからスライダー21に亘って油圧シリンダー31が設置され、
図3や
図4に示されるように油圧シリンダー31の駆動源となる油圧ユニット32をフレーム1aの下端部に配備している。制御部4及び操作部5の一例としては、
図3や
図4に示されるように制御回路が組み込まれた制御盤(図示しない)を油圧ユニット32と一緒にフレーム1aの下端部に配備し、載置面11a近くの受け台1の表面に操作部5としてスタートスイッチ5a,ストップスイッチ5b,ロックスイッチ5c及びリセットスイッチ5dを設置している。
また、その他の例として図示しないが、駆動部3として油圧シリンダー31や油圧ユニット32に代えそれ以外のアクチュエーターなどを用いることや、制御部4及び操作部5の構成や設置個所を変更することも可能である。
【0014】
制御部4による駆動部3の作動制御の具体例として、
図1(a)(b)などに示される展開させた初期状態では、油圧シリンダー31が短縮して、切断刃2の刃部2aを載置面11a(刃当たり部11b)から離れた位置(上死点)で待機させている。この際に作業者は、所定長さに切断(一次裁断)された長尺物品Bを送り移動して、載置面11a上の切断刃2による切断位置Pから長尺物品Bの送り方向先端側が、搬出側の第二送り面12a″(搬出側の第二送り路R″)に向けて、所望の長さ(二次裁断に該当する長さ)分だけ突出したことを、メジャーなどの表示部により確認した時点で送り移動を停止すれば、送り移動作業が完了する。
これに続いて、作業者による操作部5(スタートスイッチ5a)の手動操作で油圧シリンダー31を伸長させると、切断刃2が載置面11aに向け接近移動して、
図2(a)(b)に示される切断状態では、刃部2aを載置面11a(刃当たり部11b)に当接させて、長尺物品Bの切断(二次裁断)が完了する。
その後は、リミットスイッチなどのセンサーにより、油圧シリンダー31の作動が自動的に切り替わって短縮し、切断刃2の刃部2aが載置面11a(刃当たり部11b)から離れて、
図1(a)(b)などに示される初期状態に戻って待機する。
つまり、駆動部3による切断刃2の移動設定は、刃部2aが載置面11a(刃当たり部11b)に突き当たる瞬間で移動停止させ、そのまま初期状態に戻るように設定されている。
また、長尺物品Bの切断(二次裁断)が完了した不使用時には、作業者による操作部5(ロックスイッチ5c)の手動操作で切断刃2を刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに当接する下限位置で停止させて移動不能に保持すると、物品切断装置Aを移動させても切断刃2が不意に移動せず、安全に片付けることが可能になる。
このような物品切断装置Aの収納状態から上述した初期状態に戻すには、作業者による操作部5(リセットスイッチ5d)の手動操作で刃部2aを上限位置に戻して切断刃2の移動を可能にする必要がある。
それ以降は、上述した作動が繰り返される。
【0015】
次に、本発明の第一実施形態に係る物品切断装置A1と、その変形例となる第二実施形態に係る物品切断装置A2,第三実施形態に係る物品切断装置A3について説明する。
図1(a)(b)~
図3に示される第一実施形態の物品切断装置A1は、載置面11aに対して送り面12aを止め具13の締結部品13aにより着脱自在で分離可能に取り付けている。
第一実施形態の載置板11は、その前後端面11cがフレーム1aの頂部から長尺物品Bの長手方向(X方向)へ突出しないように設置され、フレーム1aの頂部には、載置板11の前後端面11cと隣接して凹状の係止部1eが形成される。第一実施形態の送り板12は、その一端部が係止部1eに係合されて、送り面12aを載置面11aと面一状に連続させるように締結部品13aで取り付けられる。締結部品13aは、送り板12の一端部の裏面から固定金具1cを貫通して突出するボルトと、このボルトの突出部位に螺着されるナットとからなる。
このため、図示される展開状態において作業者は、締結部品13aとなる送り板12のボルトからナットを外すことで、受け台1のフレーム1aから送り板12が取り外されて分離可能となる。これにより、図示しないがフレーム1aから送り板12を取り外した収納状態では、物品切断装置A1の全体サイズが送り板12の取り外し分だけ長尺物品Bの長手方向(X方向)へ短尺化されて、占有スペースが狭くなる。特に載置板11の載置面11aを挟んで一対の送り板12の送り面12aが長尺物品Bの長手方向(X方向)に配設される場合には、物品切断装置A1の全体サイズを長尺物品Bの長手方向(X方向)へ大幅に短尺化することが可能になる。
【0016】
図4に示される第二実施形態の物品切断装置A2は、送り板12の裏面に脚部14を設けた構成が、前述した第一実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態と同じものである。
脚部14は、載置板11より離れた送り板12の他端部から脚部14を設置面Gに向け垂下して接地させることが好ましい。図示例の分解斜視図では、送り板12の裏面に対して脚部14が折り畳み自在に取り付けられている。
このため、図示しないが載置板11の載置面11aに対して送り板12の送り面12aを載置面11aと面一状に連続させた展開状態では、送り板12の送り面12aが脚部14を介して設置面Gに接地されるため、送り面12aに荷重が作用しても安定してガタ付きを防止できる。特に図示例のように送り板12の裏面に対して脚部14を折り畳み自在に取り付けた場合には、載置板11の載置面11aから送り板12の送り面12aを取り外して不連続になった収納状態で、送り板12の裏面に沿って脚部14が折り畳まれるから、コンパクトに収納可能になる。
なお、図示例の収納状態では、刃部2aが上限位置に待機した切断刃2を移動可能にしている。これに代えて前述したようにロックスイッチ5cの操作により、切断刃2を刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに当接する下限位置で停止させて移動不能に保持することも可能である。
【0017】
図5(a)(b)に示される第三実施形態の物品切断装置A3は、載置面11aに対して送り面12aを止め具13の連結部品13bにより折り畳み自在で変形可能に取り付けた構成が、前述した第一実施形態や第二実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態や第二実施形態と同じものである。
第三実施形態の載置板11は、その前後端面11cが固定金具1cから長尺物品Bの長手方向(X方向)へ突出するように設置される。第三実施形態の送り板12は、その一端部の裏面と載置板11の前後端部の裏面に亘ってヒンジ13cが設けられ、長尺物品Bの厚み方向(Z方向)へ回動自在で且つ送り面12aを載置面11aと面一状に連続させるように連結部品13bで取り付けられる。連結部品13bは、送り板12の裏面から受け台1の前後面1fに亘って掛け渡される複数のリンク13b′と、複数のリンク13b′の可動接続部位に設けられるストッパー13b″とからなる。
このため、
図5(a)に示される展開状態において作業者は、締結部品13aとなる複数のリンク13b′の可動接続部位からストッパー13b″を外すことで、受け台1の載置板11から送り板12が折り畳まれて変形可能となる。これにより、
図5(b)に示される載置板11から送り板12を折り畳んだ収納状態では、物品切断装置A1の全体サイズが送り板12の折り畳み分だけ長尺物品Bの長手方向(X方向)へ短尺化されて、占有スペースが狭くなる。特に載置板11の載置面11aを挟んで一対の送り板12の送り面12aが長尺物品Bの長手方向(X方向)に配設される場合には、物品切断装置A1の全体サイズを長尺物品Bの長手方向(X方向)へ大幅に短尺化することが可能になる。
【0018】
このような本発明の実施形態に係る物品切断装置Aによると、駆動部3による切断刃2の移動で長尺物品Bの切断が完了した不使用時には、受け台1の載置面11aに対して送り面12aを止め具13で分離又は変形させることにより、送り面12aから載置面11aに向かう長尺物品Bの送り路Rが長尺物品Bの長手方向(X方向)へ短尺化されて、送り板12の分だけ占有スペースが狭くなる。
したがって、止め具13による送り面12aの分離又は変形で装置全体を小型化及び軽量化して不使用時には片付けが容易な物品切断装置Aを提供することができる。
その結果、筐体を含めた装置の全体が大型化して重い従来のものに比べ、長尺物品Bの切断が完了した不使用時には、止め具13の操作で受け台1に対し送り面12aが容易に分離又は変形可能となるため、装置全体の占有面積が広く必要なく、簡単に片付け移動できる。このため、長尺物品Bの年間切断スケージュールに合わせて作業スペースを有効利用できて利便性に優れる。しかも、装置の構造が簡素化されてコストの低減化も図れる。これに加えて受け台1の底部にキャスターなどの脚車1dを設けた場合には、軽量化された装置全体をより簡単に片付け移動できて作業性に優れる。
また、手動式の押し切りカッターで乾燥状態の昆布を切断するものに比べ、切断作業が極めて容易で且つ切断面が乱れ難く、作業効率に優れて商品価値の著しい低下も防止できる。
【0019】
特に、送り面12aが、載置面11aを挟んで長尺物品Bの長手方向(X方向)へ直線状に配設される第一送り面12a′と第二送り面12a″を有することが好ましい。
この場合には、受け台1の載置面11aを挟んで搬入側の第一送り面12a′と搬出側の第二送り面12a″を止め具13でそれぞれ分離又は変形可能に取り付けることにより、載置面11aを中心とした両側に長尺物品Bの送り路Rが均等なバランスで形成可能となる。
したがって、受け台1に対して一対の送り面12a(第一送り面12a′と第二送り面12a″)を載置面11aが中心となる均等なバランスで組み付けることができる。
その結果、受け台1が簡素な構造であっても、長尺物品Bを送り移動させながら所望の長さに切断することに十分な長さの送り路Rが、理想的な重量バランスで確保できる。
【0020】
また、載置面11aが、切断刃2の刃部2aと当接する刃当たり部11bを有することが好ましい。
この場合には、長尺物品Bの切断が完了した不使用時に、切断刃2の刃部2aが載置面11aの刃当たり部11bに当接した状態を保持しながら装置全体を移動させることにより、装置全体の移動に伴って振動などが発生しても切断刃2が不意に移動することがない。
したがって、装置全体の片づけに際して切断刃2の不意な移動による事故を防止することができる。
その結果、安全性の向上が図れて装置全体をケガすることなく片付けることができる。
【0021】
さらに、載置面11aに対して送り面12aを、止め具13(締結部品13a)により分離可能で着脱自在に取り付けることが好ましい。
図1~
図3に示される第一実施形態の物品切断装置A1及び
図4に示される第二実施形態の物品切断装置A2によると、不使用時には受け台1の載置面11aに対し送り面12aが止め具13(締結部品13a)で取り外されて分離することにより、長尺物品Bの送り路Rが、送り面12aの取り外し分だけ長尺物品Bの長手方向(X方向)へ短尺化されて、占有スペースが狭くなる。
したがって、止め具13による載置面11aからの送り面12aの着脱で装置全体を小型化及び軽量化させることができる。
その結果、簡単な送り面12aの着脱作業で装置全体を容易に片付けることができる。
【0022】
また、載置面11aに対して送り面12aを、止め具13(連結部品13b)により変形可能で折り畳み自在に取り付けることが好ましい。
図5に示される第三実施形態の物品切断装置A3によると、不使用(収納)時には、受け台1の載置面11aに対し送り面12aが止め具13(連結部品13b)で折り畳み変形されることにより、長尺物品Bの送り路Rが、長尺物品Bの長手方向(X方向)へ短尺化されて、送り面12aの折り畳み分だけ占有スペースが狭くなる。
したがって、止め具13による載置面11aに対する送り面12aの折り畳みで装置全体を小型化及び軽量化させることができる。
その結果、簡単な送り面12aの折り畳み作業で装置全体を容易に片付けることができる。
【0023】
なお、前示の実施形態において図示例では、水平などの横方向へ長尺物品Bを送りながら切断刃2の縦移動で裁断したが、これに限定されず、長尺物品Bの重量を利用して傾斜方向や上下などの縦方向へ長尺物品Bを送りながら切断刃2の移動で裁断してもよい。
さらに、長尺物品Bが乾燥昆布を複数枚積み重ねた集積体B1であったが、これに限定されず、乾燥昆布を除いた食用海藻やその他の食品又は帯状物品であってもよい。
また、長尺物品Bを送り路Rに沿って手動で送り移動しているが、これに限定されず、送り面12a(搬入側の第一送り面12a′)などに設けられる送り機構(図示しない)を用いて長尺物品Bが送り路Rに沿って自動的に送り移動されるように変更してもよい。
【符号の説明】
【0024】
A 物品切断装置
1 受け台 11a 載置面
11b 刃当たり部 12a 送り面
12a′ 第一送り面 12a″ 第二送り面
13 止め具 2 切断刃
2a 刃部 3 駆動部
B 長尺物品 R 送り路