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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045903
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/42 20060101AFI20240327BHJP
   D06F 58/34 20200101ALI20240327BHJP
【FI】
D06F37/42 Z
D06F58/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150986
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA04
3B165AB23
3B165AB24
3B165AB30
3B165AB43
3B165AD07
3B165AE01
3B165AE02
3B165AE05
3B165AE07
3B165AE12
3B165AE13
3B165BA78
3B165CA01
3B165CA11
3B165CB01
3B165CB02
3B165CB31
3B165CC02
3B165DW03
3B165DW05
3B165EW01
3B165EW02
3B165EW03
3B165EW04
3B165EW05
3B165GA02
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB24
3B167AB30
3B167AB43
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3B167AE07
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA78
3B167FB01
3B167FB02
3B167JA01
3B167JA11
3B167JA31
3B167JA54
3B167KA52
3B167LA08
3B167LA23
3B167LA38
3B167LC02
3B167LC10
3B167LC20
(57)【要約】
【課題】複数の紫外線光源の配置により除菌効果を高めた衣類処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態の衣類処理装置は、円筒状に形成される水槽と、円筒状に形成されて水槽内に設けられ、回転軸周りに回転可能な回転槽と、回転槽の内部に紫外線を照射する複数の照射装置と、を備える。複数の照射装置は、各照射装置の光軸が回転軸上において互いに交差するように配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成される水槽と、
円筒状に形成されて前記水槽内に設けられ、回転軸周りに回転可能な回転槽と、
前記回転槽の内部に紫外線を照射する複数の照射装置と、を備え、
前記複数の照射装置は、各照射装置の光軸が前記回転軸上において互いに交差するように配置されている、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記複数の照射装置は、前記回転軸より上方から前記回転槽の内部を照射するように配置される、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記複数の照射装置の少なくとも一部は、前記回転軸より上方から前記回転槽の内部を照射するように配置され、前記複数の照射装置の少なくとも一部は、前記回転軸より下方から前記回転槽の内部を照射するように配置される、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記回転軸より上方から前記回転槽の内部を照射するように配置された複数の照射装置と、前記回転軸より下方から前記回転槽の内部を照射するように配置された複数の照射装置と、を備える、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記回転槽を回転駆動する回転槽モータと、
前記回転槽モータと前記照射装置との駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記回転槽モータを駆動せず又は低速で駆動しつつ前記照射装置を駆動する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯物の除菌、抗菌機能を有する洗濯機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、洗濯物を収容する洗濯槽と、光励起作用を有する銀イオンを溶出させて水に添加する電解槽で銀イオン溶解水を供給して洗濯物に接触させ、洗濯物および銀イオン溶解水に光照射手段により可視光から紫外光を照射し洗濯物の除菌、抗菌効果を向上することが開示されている。
【0004】
紫外線による除菌効果を高めるために、光源を複数設けることが検討されている。しかし、光源の配置の詳細については、検討の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-178721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、複数の紫外線照射装置の配置により除菌効果を高めた衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類処理装置は、円筒状に形成される水槽と、円筒状に形成されて前記水槽内に設けられ、回転軸周りに回転可能な回転槽と、前記回転槽の内部に紫外線を照射する複数の照射装置と、を備える。前記複数の照射装置は、各照射装置の光軸が前記回転軸上において互いに交差するように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯機に適用した例の構成を概略的に示す縦断面図
図2】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯機に適用した例の構成を概略的に示す背面図
図3】第1実施形態による水槽カバー周辺の構成を回転軸方向から見た図
図4】第1実施形態による照射装置の電気的な構成を示すブロック図
図5】第1実施形態による水槽及び回転槽周辺の構成を、図3のI-I線に沿って示す概略横断面図
図6】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯機に適用した例の電気的な構成を示すブロック図
図7】第1実施形態による除菌運転のタイミングチャート
図8】第1実施形態によるおしゃれ着洗い運転の概要を示す図
図9】第1実施形態によるおしゃれ着洗い運転のおしゃれ着洗い工程のタイミングチャート
図10】第1実施形態によるおしゃれ着洗い運転のおしゃれ着すすぎ工程の概要を示す図
図11】第1実施形態によるおしゃれ着洗い運転の第1すすぎ工程のタイミングチャート
図12】第1実施形態によるつけおき洗い運転のタイミングチャート
図13】第2実施形態による水槽カバー周辺の構成を回転軸方向から見た図
図14】第2実施形態による水槽及び回転槽周辺の構成を、図13のII-II線に沿って示す概略横断面図
図15】第3実施形態による水槽カバー周辺の構成を回転軸方向から見た図
図16】第4実施形態による水槽カバー周辺の構成を回転軸方向から見た図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、図1に示す横軸又は斜め横軸のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸側の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1図10を参照して説明する。まず、図1を参照して、衣類処理装置としての洗濯機10の概略構成について説明する。洗濯機10は、図1及び図2に示すように、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、排水機構17、及び給水機構18、循環機構19、風路20、及び送風装置30を備えている。なお図1において、洗濯機10の設置面側、つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面の反対側、つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10を正面から見た場合の左右方向を、洗濯機10の左右方向とする。洗濯機10は、例えば回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型又は後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。本実施形態では、洗濯機10は斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、例えばヒートポンプ式やヒーター式の乾燥機能を有していても良いし、備えていなくてもよい。
【0011】
外箱11は、例えば鋼材又は樹脂材等の部材によって全体として矩形の箱状に構成されており、洗濯機10の外殻を構成する。外箱11は、前面部111と、前面部111に形成された開口である取出し口112とを有する。取出し口112は、衣類を出し入れする際の出入口となる。
【0012】
水槽12は、有底円筒状に形成されて外箱11内に配置されて、図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。水槽12は、開口部121と、排水部122と、胴部123と、水槽カバー124と、空気出口125と、空気入口126とを有する。開口部121は、水槽12の前面に形成された開口であって、取出し口112に面している。開口部121は、水槽12の内部と外部とを連通する。
【0013】
胴部123は、水槽12の円筒状部分の後ろ側部分を形成する。水槽カバー124は、胴部123の前端部に設けられて、水槽12の円筒状部分の前側部分を形成する。水槽カバー124は、正面視略円環状に形成されている。開口部121は、水槽カバー124によって形成されている。
【0014】
空気出口125は、例えば水槽12の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、水槽12の左右方向の中心つまり水槽12の筒状の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。空気入口126は、例えば水槽12の底部において底部の上下方向の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口125及び空気入口126は、水槽12の内部と外部とを連通している。
【0015】
回転槽13は、衣類を収容可能な有底円筒状に形成されて水槽12内に回転可能に配置されている。この場合、水槽12及び回転槽13は、衣類を収容する洗濯槽として機能する。回転槽13は、開口部131と、連通口132と、図示しないバッフルとを有する。開口部131は、回転槽13の前面において、取出し口112に面して形成されている。開口部131と連通口132とは、回転槽13の内部と外部とを連通する。連通口132は、回転槽13の筒状部分を形成する周壁及び底部の全域に形成されている。連通口132は、洗濯運転及び脱水運転時には、主に水が出入する通水孔として機能し、除菌運転時には空気が出入する通風孔として機能する。また、バッフルは、周壁の内側に複数設けられ、回転槽13の回転時に回転槽13の内部に収容された衣類の攪拌を促進する。
【0016】
回転槽モータ14は、水槽12の外側後方に設けられている。回転槽モータ14は軸部141を有する。軸部141は、水槽12を貫通して回転槽13に接続されており、回転槽モータ14が駆動することにより回転槽13を回転させる。
【0017】
水槽12と回転槽13との円筒形状の中心線は、軸部141及び回転槽13の回転軸Axに一致する。なお、洗濯機10が横軸型のドラム式洗濯機であった場合、回転軸Axの方向は前後方向に一致する。
【0018】
扉15は、図示しないヒンジにより前面部111に回動可能に支持され、取出し口112を開閉する。扉15は、少なくとも一部が透明又は半透明の例えばガラスなどの部材により構成されており、外箱11の外部から扉15を通して内部を透視できるようになっている。ベローズ16は、正面視円環状に形成されて取出し口112と水槽12との間を水密に接続する。ベローズ16は、ゴムなどの柔軟性と弾性と水密性とを有する部材により構成されている。
【0019】
排水機構17は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための機能を有する。排水機構17は、排水経路171と、排水弁172と、を有している。排水経路171は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁172に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外へ引き出されている。排水弁172は、例えば電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁で構成されている。排水弁172は、水槽12の底部に設けられた排水部122と、排水経路171との間に設けられており排水経路171を開閉する。
【0020】
給水機構18は、例えば外箱11内の水槽12の上方に設けられている。給水機構18は、例えば水道などの外部の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。給水機構18は、例えば図2に示すように、接続口181、給水経路182及び給水弁183を有している。接続口181は、外箱11の天面部において、例えば左奥部に露出するように設けられている。接続口181は、例えばホースを介して外部の水源に接続される。給水経路182は、接続口181から水槽12及び回転槽13までを接続する経路である。給水弁183は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。給水経路182の途中には、詳細は図示しないが、洗剤や仕上げ剤等を投入可能な注水ケースが設けられている。
【0021】
循環機構19は、外箱11内部に設けられて、水槽12から排水された水を再び水槽12に放水して循環させる。循環機構19は、循環水路191と、循環ポンプ192と、放水部193とを有する。循環水路191は、排水部122と放水部193とを接続する経路であり、循環ポンプ192によって水槽12内に貯留された水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上方から再び水槽12内に供給する経路である。循環ポンプ192は、循環水路191の途中に設けられており、水槽12内の水を汲み上げる機能を有する。放水部193は、循環水路191の終端部つまり排水部122とは反対側の端部に設けられている。
【0022】
循環水路191の下流部分は、水槽カバー124の内部を水槽12の下部から上部まで進む。放水部193は、水槽カバー124の上部に設けられており、水槽12の上部から水槽12及び回転槽13内部に向けて水を放水する。本実施形態では、図4に示すように、放水部193は複数この場合2個設けられている。排水弁172が閉じた状態で循環ポンプ192を駆動すると、循環ポンプ192は水槽12内の水を排水部122と循環水路191とを通して汲み上げて、放水部193から再び水槽12内に給水する。このようにして、循環ポンプ192は、循環水路191を通して水槽12内に貯留されている水を循環させる。
【0023】
風路20は、水槽12の外側において、空気出口125と空気入口126とを繋いでいる。風路20は、水槽12内の空気を空気出口125から風路20内に取り込み、風路20内の空気を空気入口126から水槽12内へ供給する。
【0024】
風路20は、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、中間ダクト24、及び給気ダクト25を有して構成することができる。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、中間ダクト24、及び給気ダクト25は、風路20内を流れる空気の方向に沿って順に配置されている。
【0025】
排気ダクト21は、水槽12の空気出口125とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、風路20内を流れる空気に含まれるリントなどの異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と、中間ダクト24とを繋ぐダクトである。中間ダクト24は、外箱11の内側下部で且つ水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。乾燥機能付きの洗濯機の場合、中間ダクト24に温風を供給する装置を設けても良い。給気ダクト25は、中間ダクト24と水槽12の空気入口126とを繋ぐダクトである。
【0026】
送風装置30は、例えば中間ダクト24と給気ダクト25との接続部分に設けられており、例えばモータとファンを有するシロッコファン等で構成することができる。送風装置30は、中間ダクト24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、送風装置30の送風作用によって、空気が空気入口126から水槽12及び回転槽13へ供給され、また再び空気出口125から風路20内部へと排気されて循環する。
【0027】
風路20は、図2に示すように風路排気口26と、風路ダンパ27とを有する。風路排気口26は、フィルタ装置22の下流に設けられて、風路20の内部と外部とを連通する。本実施形態では、風路排気口26は、接続ダクト23に設けられている。図2に示すように、風路ダンパ27は詳細は図示しないダンパモータによって回動して風路排気口26を開閉する。
【0028】
図3に示すように、洗濯機10は、複数この場合2つの照射装置40を備えている。照射装置40は、回転槽13内に臨む位置に設けられている。本実施形態では、照射装置40は、回転槽13の外部に設けられている。複数の照射装置40は、例えば水槽12の開口部121の内周面、ベローズ16の内周面、又は扉15の内部に、分散して設けることができる。本実施形態では、2つの照射装置40は、水槽12の開口部121の内周面、具体的には水槽カバー124において互いから離れた位置に取り付けられている。
【0029】
照射装置40は、回転槽13内に紫外線を含む光線を照射する機能を有しており、例えば波長が200nm~380nmの紫外線を発光することができる。照射装置40から照射される紫外線は、紫外線単独でつまり触媒等を用いなくても除菌もしくは殺菌能力を有している。この場合、照射装置40から照射される紫外線の波長は、除菌もしくは殺菌力を考慮すると、200nm~280nmの範囲内であることが好ましい。
【0030】
また、照射装置40は、例えば紫外線の照射と同時に、又は紫外線の照射とは別に可視光を照射する構成としても良い。本実施形態の場合、照射装置40は、紫外線の照射と共に可視光を照射可能に構成されている。この場合、照射装置40から照射される紫外線の照射領域と、照射装置40から照射される可視光の照射領域との少なくとも一部が重なるように設定することができる。更に、例えば紫外線の照射領域の内側に可視光の照射領域全体が収まるように照射領域を設定することもできるし、可視光の照射領域の内側に紫外線の照射領域全体が収まるように照射領域を設定することもできる。
【0031】
照射装置40は、照射ユニット41と、ケース42と、を含んで構成される。照射ユニット41は、紫外線を含む光線を照射する機能を有する、ケース42は、照射ユニット41を内部に保持し、ネジなどの締結部材を使用して又は使用せずに、洗濯機10に取り付けることができる。
【0032】
照射ユニット41は、図4に示すように、例えば光源用回路411、紫外線光源412、青色光源413、及び白色光源414を含んで構成することができる。照射装置40は、光源用回路411、紫外線光源412、青色光源413、及び白色光源414を、例えば1つの基板415に実装して構成することができる。
【0033】
光源用回路411は、紫外線光源412、青色光源413、及び白色光源414の動作を制御するための電気回路である。紫外線光源412は、紫外線を照射可能な光源であり、例えば紫外線ランプや紫外線LEDで構成することができる。青色光源413は、青色の可視光、例えば紫に近い可視光を照射可能な、例えば青色ランプや青色LEDで構成することができる。また、白色光源414は、白色の可視光を照射可能な、例えば白色ランプや白色LEDで構成することができる。
【0034】
紫外線光源412から照射される紫外線は人の目には見えない。そのため、照射装置40は、紫外線光源412から紫外線を照射する場合に青色光源413から紫に近い青色の可視光を照射することで、照射装置40から紫外線が照射されていることをユーザに認知させることができる。この場合、紫外線光源412と青色光源413とは、共通の電気配線によって光源用回路411に接続することで、紫外線光源412と青色光源413とが常に同時に発光するように構成することができる。なお、紫外線光源412と青色光源413とは、別の電気配線によって光源用回路411に接続されて、相互に独立して発光するように構成することもできる。その場合、例えば青色光源413を紫外線光源412に先行して発光させるようにすれば使用者は紫外線光源412の発光開始をそれ以前に知ることが可能となる。
【0035】
また、白色光源414は、例えば回転槽13内の照明に用いることができる。この場合、照射装置40は、回転槽13の内部を照明するための照明装置としての機能を兼用している。白色光源414は、紫外線光源412及び青色光源413とは別の電気配線によって光源用回路411に接続されて、紫外線光源412及び青色光源413とは独立して発光するように構成することができる。
【0036】
複数の照射装置40は、回転槽13内に対して、上方又は下方から紫外線を含む光線を照射することができる。また、複数の照射装置40は、それぞれの紫外線光源412の光軸Lが回転槽13の回転軸Ax上で交差するように配置されている。すなわち、照射装置40は、回転軸Axと垂直な方向から見た場合、回転軸Axを中心線とする線対称となるように配置されている。これにより、照射装置40によって、比較的広い範囲に対して紫外線を照射できるとともに、衣類が集中する回転槽13の中心部において、紫外線を重ねて照射することで、衣類の除菌効果を高めることができる。
【0037】
また、各照射装置40の紫外線光源412の光軸Lは、各照射装置40の紫外線光源412から回転軸Axを通り、回転槽13の底部と周壁との間の隅部に向けて延びている。これにより、照射装置40に近い開口部131の近傍つまり回転槽13の前部だけでなく、回転槽13の底部近傍つまり回転槽13の背部まで、紫外線を照射することができる。
【0038】
本実施形態では、図3図5に示すように、洗濯機10は、複数の照射装置40として照射装置40a、40bを備える。なお、各照射装置40a、40bを区別する必要がない場合は、照射装置40と総称する場合がある。
【0039】
複数の照射装置40a、40bは、いずれも回転軸Axよりも上方に設けられ、上方から回転槽13の内部に向けて紫外線を照射する。これにより、複数の照射装置40a、40bは、衣類の上面に対して紫外線を照射して除菌、殺菌を施すことができる。複数の照射装置40a、40bの光軸La、Lbは、上方から、回転軸Axを挟んで対角に位置する回転槽13の下部の隅部に向けて延びる。また、照射装置40a、40bは、水槽カバー124の上部において、左右方向に関する中心線に関して線対称に配置されている。これにより、回転槽13内に収容された衣類に対して左右方向に関して偏りなく紫外線を照射して、除菌、殺菌を施すことができる。例えば、照射装置40a、40bは、水槽12を正面から見た際に、上部の左右方向の中心線からそれぞれ時計回り又は反時計回りにθ1回転した位置に配置されていてよい。θ1は、例えば30°~60°の範囲内に設定することができる。本実施形態では、θ1は45°に設定されている。
【0040】
洗濯機10は、図6に示すように、制御装置50、運転処理部51、及び照射処理部52を備える。制御装置50は、CPU501や、ROM、RAM、不揮発性メモリ等の記憶領域502を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置50は、洗濯機10全体の動作を管理する機能を有する。回転槽モータ14、排水弁172、給水弁183、循環ポンプ192、風路ダンパ27、送風装置30、及び照射装置40は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50の制御を受けて動作する。
【0041】
制御装置50の記憶領域502は、例えば運転処理部51及び照射処理部52を実現するためのプログラムを記憶している。制御装置50は、記憶領域502に記憶されている上記プログラムをCPU501において実行することにより、運転処理部51及び照射処理部52をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、運転処理部51及び照射処理部52は、制御装置50と一体の集積回路としてハードウェア的に実現しても良い。
【0042】
運転処理部51は、回転槽モータ14、排水弁172、給水弁183、循環ポンプ192、及び送風装置30を必要に応じて動作させることにより、洗濯運転と、除菌運転とを選択的に実行することができる。本実施形態において、「洗濯運転」、又は「除菌運転」における「運転」とは、1以上の工程を含む概念であり、ユーザが選択可能な単位である。すわなち、ユーザは、図示しない操作パネルなどを操作することにより、洗濯運転、又は除菌運転のうち所望の運転を選択して実行することができる。
【0043】
洗濯運転は、主に衣類の洗濯を目的としており、例えば洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程とを含んで構成される。洗濯運転は、更に、衣類の種類や、汚れの程度などに応じて、通常の洗濯運転と、おしゃれ着洗い運転と、つけおき洗い運転と、を含むことができる。おしゃれ着洗い運転と、つけおき洗い運転とにおいて、照射装置40を駆動して紫外線によって衣類の除菌、殺菌を行っても良い。
【0044】
おしゃれ着洗い運転は、デリケートな素材で形成された衣類の洗濯に適する。おしゃれ着洗い運転では、回転槽モータ14は、通常の洗濯運転と比較して低速で駆動される。そのため、回転槽13内に収容された衣類は、低速で穏やかに撹拌されるので、衣類の摩耗が抑えられる。つけおき洗い運転は、長期間洗濯水に漬けて衣類の汚れを溶かし出すことができるので、例えば衣類の汚れの程度が強い場合に適する。長期間衣類を撹拌し続けることで衣類が摩耗する虞があるので、つけおき洗い運転では、回転槽モータ14は、通常の洗濯運転と比較して低速で駆動される。なお、各運転の具体的内容については、衣類の量や汚れの状態に応じて自動で又は操作パネルなどに対するユーザの操作に基づいて、適宜変更することができる。
【0045】
除菌運転は、主に紫外線による衣類の除菌、殺菌を目的としている。本実施形態の除菌運転では、衣類は濡らされることがなく、また加熱も行われない。除菌運転においては、回転槽モータ14は駆動しないか、通常の洗濯運転よりも低速で駆動する。本実施形態では、除菌運転において回転槽モータ14は低速で駆動する。
【0046】
なお、本実施形態において、低速とは、例えば回転槽13内の衣類が回転槽13の内側の周壁に張り付かない程度の回転速度、つまり回転槽13の回転に伴い衣類が一旦持ち上がった後に落ちる程度の速度である。また、中速とは、低速よりも速い速度であって、例えば回転槽13内の衣類が回転槽13の内側の周壁に張り付き始める程度の回転速度である。そして、高速とは、中速よりも更に早い速度であって、例えば回転槽13内の衣類が回転槽13の内側の周壁にほぼ張り付いた状態に維持される回転速度である。なお、各工程における回転槽モータ14の回転速度つまり回転槽13の回転速度は、工程の内容等に応じて適宜変更することができる。
【0047】
各運転の詳細について、図7図12までも参照して説明する。なお、図7図12において、ONは装置が動作すること、OFFは装置が動作しないことを意味する。
【0048】
除菌運転は、例えば図7に示すように、第1工程と、第2工程とを含んで実行されても良い。制御装置50は、除菌運転が実行されると、第1工程と、第2工程とを順に実行する。制御装置50は、第1工程が実行されると、照射装置40を駆動して回転槽13内に紫外線を照射しながら、風路ダンパ27を閉じた状態で送風装置30を駆動して水槽12及び回転槽13に空気を送風しつつ、回転槽モータ14を低速~中速で駆動して衣類を穏やかに撹拌する。
【0049】
制御装置50は、第2工程が実行されると、照射装置40を駆動して回転槽13内に紫外線を照射しながら、風路ダンパ27を開いた状態で送風装置30を駆動して水槽12及び回転槽13に空気を送風しつつ、回転槽モータ14を低速~中速で駆動して衣類を穏やかに撹拌する。第2工程では、風路ダンパ27が開かれているため、衣類に風を当てることで衣類から蒸発した水分や臭気成分などを、風路排気口26から外部に排出することができる。
【0050】
本実施形態では、回転槽モータ14は、第1工程及び第2工程において、中速である第1回転数r1で正逆回転を繰り返す。回転槽13内の衣類は、回転槽13と共に高く持ち上げられた後に回転槽13の下部に落下し、穏やかに撹拌される。第1回転数r1は、例えば45rpm~55rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第1回転数r1は50rpmに設定されている。
【0051】
除菌運転全体の期間は、例えば15分~45分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、除菌運転全体の期間は、20分に設定されている。また、第1工程の期間の長さは、例えば除菌運転全体の期間の長さの約1/10~1/5に設定することができる。本実施形態では、第1工程の期間の長さは、除菌運転全体の期間の長さの約1/6に設定されている。
【0052】
図8に示すように、おしゃれ着洗い運転は、おしゃれ着洗い工程と、おしゃれ着すすぎ工程と、おしゃれ着脱水工程とを含んで構成されていても良い。制御装置50は、おしゃれ着洗い運転が実行されると、おしゃれ着洗い工程と、おしゃれ着すすぎ工程と、おしゃれ着脱水工程とを順に実行する。
【0053】
図9に示すように、本実施形態では、おしゃれ着洗い工程は、給水動作と、洗い動作と、排水動作とを含んで構成されている。制御装置50は、おしゃれ着洗い工程が開始すると、給水動作と、洗い動作と、排水動作とを順に実行する。
【0054】
給水動作は、給水弁183を開いて外部の水源からの水を水槽12及び回転槽13に供給する動作である。制御装置50は、給水動作が実行されると、給水弁183を開いた状態とする。この際、注水ケース内に洗濯処理剤が注入されていた場合、洗濯処理剤は、外部の給水源からの水と共に、給水経路182を通って水槽12内に供給される。また、制御装置50は、給水弁183を開いて所定期間経過後に、循環ポンプ192を駆動して、水槽12内の水を循環水路191を介して循環させ、衣類に上方から水をかける。制御装置50は、循環ポンプ192を停止した後、水槽12内に所定の水位まで水が貯留されると、給水弁183を閉じる。給水動作において、制御装置50は、照射装置40と、回転槽モータ14とを駆動せず、排水弁172は閉じた状態に維持する。
【0055】
洗い動作は、水槽12内に水を溜めて、回転槽13を回転させて衣類を撹拌し、衣類の汚れを水に溶解させる動作である。制御装置50は、洗い動作が実行されると、照射装置40を駆動して、回転槽13内部に紫外線を照射する。また、制御装置50は、回転槽モータ14と循環ポンプ192とを、間歇的に駆動する。洗い動作の間、制御装置50は、給水弁183と排水弁172とを閉じた状態に維持する。
【0056】
おしゃれ着洗い工程での洗い動作において、制御装置50は、回転槽モータ14の回転数を低速である第2回転数r2に設定する。第2回転数r2は、第1回転数r1よりも低く設定されており、例えば10rpm~18rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第2回転数r2は15rpmに設定されている。
【0057】
排水動作は、水槽12内に貯留された水を機外に排出する動作である。排水動作が実行されると、制御装置50は、排水弁172を開いた状態とする。これにより、洗い動作中に衣類から出た汚れを含んだ水が、機外に排出される。
【0058】
図10に示すように、おしゃれ着すすぎ工程は、1回又は複数のすすぎ工程を含んで構成されても良い。本実施形態では、おしゃれ着すすぎ工程は、第1すすぎ工程と、第2すすぎ工程と、第3すすぎ工程との、3回のすすぎ工程を含んで構成される。おしゃれ着すすぎ工程が実行されると、制御装置50は、第1すすぎ工程と、第2すすぎ工程と、第3すすぎ工程とを、順に実行する。なお、すすぎ工程の回数は、自動で又はユーザの操作パネルなどへの操作によって、適宜変更可能である。
【0059】
第1すすぎ工程は、脱水動作と、第1給水動作と、第1すすぎ動作と、第1排水動作と、第2給水動作と、第2すすぎ動作と、第2排水動作と、を含んで構成されても良い。第1すすぎ工程が実行されると、制御装置50は、脱水動作と、第1給水動作と、第1すすぎ動作と、第1排水動作と、第2給水動作と、第2すすぎ動作と、第2排水動作とを順に実行する。
【0060】
第2すすぎ工程と、第3すすぎ工程とは、それぞれ、第1給水動作と、第1すすぎ動作と、第1排水動作と、第2給水動作と、第2すすぎ動作と、第2排水動作と、を含んで構成されても良い。第2すすぎ工程又は第3すすぎ工程が実行されると、制御装置50は、第1給水動作と、第1すすぎ動作と、第1排水動作と、第2給水動作と、第2すすぎ動作と、第2排水動作とを順に実行する。
【0061】
ここでは、おしゃれ着すすぎ工程のうち、代表して第1すすぎ工程について図11を参照して説明する。脱水動作は、回転槽13を回転して遠心脱水することにより、おしゃれ着洗い工程において衣類が吸収した水分を除去して機外に排出する工程である。脱水動作が実行されると、制御装置50は、回転槽モータ14を高速の第3回転数r3で駆動して、回転槽13を回転させる。脱水動作において、制御装置50は、照射装置40と循環ポンプ192とを駆動せず、また給水弁183と排水弁172とを閉じた状態に維持する。
【0062】
第3回転数r3は、第1回転数r1及び第2回転数r2よりも高く設定されており、例えば、400rpm~500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第3回転数r3は、440rpmに設定されている。
【0063】
第1給水動作が実行されると、制御装置50は、給水弁183を開いた状態にして、外部の給水源からの水を水槽12に供給する。給水弁183が開いてから所定の期間経過後に、制御装置50は、循環ポンプ192を駆動して、循環水路191を介して水槽12内の水を循環させ、衣類に上方から水をかける。制御装置50は、循環ポンプ192を停止した後、水槽12内に所定の水位まで水が貯留されると、給水弁183を閉じる。第1給水動作において、制御装置50は、照射装置40と、回転槽モータ14とを駆動せず、排水弁172は閉じた状態に維持する。
【0064】
第1すすぎ動作が実行されると、制御装置50は、照射装置40を駆動して回転槽13内部に紫外線を照射すると共に、回転槽モータ14と循環ポンプ192とを間歇的に駆動する。これにより、衣類は、水中で撹拌されながら、紫外線の照射を受けて除菌、殺菌される。第1すすぎ動作において、給水弁183と排水弁172とは、閉じた状態に維持される。
【0065】
第1すすぎ動作における回転槽モータ14の回転数は、例えば第1回転数r1、及び第2回転数r2よりも低速の第4回転数r4に設定されている。第4回転数r4は、例えば、3rpm~10rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第4回転数r4は、4rpmに設定されている。
【0066】
第1排水動作が実行されると、制御装置50は、排水弁172を開いた状態にして、水槽12内の水を機外に排出する。第1排水動作において、制御装置50は、照射装置40、回転槽モータ14、循環ポンプ192を駆動せず、給水弁183を閉じた状態に維持する。
【0067】
第2給水動作が実行されると、制御装置50は、給水弁183を開いた状態にして、外部の給水源からの水を水槽12に供給する。第2給水動作において、制御装置50は、照射装置40、回転槽モータ14、循環ポンプ192を駆動せず、排水弁172を閉じた状態に維持する。
【0068】
第2すすぎ動作が実行されると、制御装置50は、照射装置40を駆動して回転槽13内部に紫外線を照射すると共に、回転槽モータ14と循環ポンプ192とを間歇的に駆動する。これにより、衣類は、水中で撹拌されながら、紫外線の照射を受けて除菌、殺菌される。第2すすぎ動作において、給水弁183と排水弁172とは、閉じた状態に維持される。
【0069】
第2すすぎ動作における回転槽モータ14の回転数は、例えば第1回転数r1よりも低速ではあるが第4回転数r4よりも高速である第5回転数r5に設定されている。第5回転数r5は、例えば、10rpm~20rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第5回転数r5は、15rpmに設定されている。
【0070】
第2排水動作における各構成の動作は、第1排水工程と同様である。
【0071】
詳細は図示しないが、おしゃれ着洗い運転における脱水工程が開始すると、制御装置50は、排水弁172を開いた状態で、回転槽モータ14を高速で回転させる。
【0072】
つけおき洗い運転は、つけおき洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程とを含んで構成されても良い。つけおき洗い運転が実行されると、制御装置50は、つけおき洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程とを順に実行する。つけおき洗い工程は、紫外線を照射しながら洗濯処理剤を含む又は含まない水に衣類を浸して、低速で回転し又は回転せずに、衣類を除菌しつつ衣類の汚れを水に溶解させる工程である。なお、すすぎ工程と、脱水工程とは、通常の洗濯運転におけるすすぎ工程と脱水工程とに従って実行することができる。
【0073】
図12に示すように、つけおき洗い工程は、給水動作と、第1洗い動作と、つけおき動作と、第2洗い動作と、排水動作とを含んで構成されても良い。つけおき洗い工程が実行されると、制御装置50は、第1洗い動作と、つけおき動作と、第2洗い動作と、排水動作とを、順に実行する。
【0074】
給水動作が実行されると、制御装置50は、回転槽モータ14を中速である第6回転数r6で間歇的に駆動して回転槽13を回転させながら、給水弁183を開いた状態とする。給水動作において、制御装置50は、照射装置40、循環ポンプ192を駆動せず、排水弁172を閉じた状態に維持する。この際、注水ケースに洗剤などの洗濯処理剤が注入されていたり、または図示しない自動投入装置により給水経路182に洗濯処理剤が自動で投入されていたりする場合、外部の水源からの水と共に、洗濯処理剤が水槽12に供給される。
【0075】
第6回転数r6は、例えば第1回転数r1と同程度又は第1回転数r1よりも高速である50rpm~60rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第6回転数r6は、55rpmに設定されている。
【0076】
第1洗い動作において、制御装置50は、回転槽モータ14を中速である第7回転数r7で間歇的に駆動して回転槽13を回転させながら、循環ポンプ192を駆動して上方から衣類に水を掛ける。また、第1洗い動作の開始後所定の期間経過後に、制御装置50は、給水弁183を開いた状態とする。これにより、再び水槽12に外部の給水源からの水が供給されて、水槽12の水位が高くなる。水槽12の水位が所定の高さとなると、制御装置50は、給水弁183を閉じた状態とする。
【0077】
第7回転数r7は、第6回転数r6よりも低速に設定されており、例えば40rpm~50rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第7回転数r7は、45rpmに設定されている。
【0078】
つけおき動作は、照射装置40によって紫外線を照射しながら、洗濯処理剤を含む又は含まない水に衣類を浸した状態で、回転槽13を回転し、衣類を除菌しながら長期間かけて水に衣類の汚れを溶解させる動作である。つけおき動作が実行されると、制御装置50は、循環ポンプ192を駆動した状態で、照射装置40と回転槽モータ14を間歇的に駆動する。つけおき動作において、制御装置50は、給水弁183及び排水弁172を閉じた状態に維持する。
【0079】
つけおき動作において、制御装置50は、回転槽モータ14を低速である第8回転数r8で駆動する。第8回転数r8は、第2回転数r2、及び又は第4回転数r4よりも高速に設定することができ、例えば15rpm~30rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第8回転数r8は、25rpmに設定されている。
【0080】
照射装置40の照射と、回転槽モータ14の回転とは、ONとOFFとのタイミングが交互となるように設定されている。つまり、制御装置50は、照射装置40を駆動するときは回転槽モータ14を駆動せず、照射装置40を駆動しないときに回転槽モータ14を駆動する。これにより、照射装置40によって紫外線を照射中には、回転槽13は静止しており衣類は撹拌されず、衣類が攪拌されて移動している間は、照射装置40によって紫外線が照射されない。照射期間と回転期間との比は、例えば1:15~1:25の範囲内に設定することができる。
本実施形態では、7秒間、照射装置40が駆動し回転槽モータ14が停止した後、143秒間照射装置40が停止し回転槽モータ14が駆動することを1セットとして、複数セットが繰り返される。
【0081】
つけおき動作の期間は、自動で又はユーザの操作によって設定することができる。例えば、つけおき動作の期間は、0.5時間~10時間の範囲内で設定することができる。
【0082】
第2洗い動作において、制御装置50は、回転槽モータ14を中速である第7回転数r7で間歇的に駆動して回転槽13を回転させながら、循環ポンプ192を駆動して上方から衣類に水を掛ける。また、第1洗い動作と異なり、制御装置50は、給水弁183を閉じた状態に維持する。第2洗い動作が開始して所定の期間が経過すると、制御装置50は、排水弁172を開いた状態とする。これにより、第2洗い動作の後期において、水槽12内に貯留された水は、機外に排出され始める。
【0083】
排水動作が開始すると、制御装置50は、排水弁172を開いた状態に維持する。これにより、水槽12内に貯留された水は、機外に排出される。排水動作において、制御装置50は、照射装置40、回転槽モータ14、循環ポンプ192を駆動せず、給水弁183を閉じた状態に維持する。
【0084】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯機10は、水槽12と、回転槽13と、複数の照射装置40a、40bとを備える。水槽12は、円筒状に形成されている。回転槽13は、円筒状に形成されて水槽12内に設けられ、回転軸Ax周りに回転可能に構成されている。複数の照射装置40a、40bは、回転槽13の内部に紫外線を照射可能に構成されいてる。複数の照射装置40a、40bは、各照射装置40a、40bの光軸La、Lbが回転軸Ax上において互いに交差するように配置されている。
【0085】
これによれば、各照射装置40a、40bの光軸La、Lbが交差するように配置することで、照射範囲が過度に分散せず、紫外線が定められた範囲内に位置する衣類に照射される。そのため、各照射装置40a、40bの照射範囲が互いに部分的に重なり合う。また、各光軸La、Lbが回転軸Axの上又はその近傍で交差することで、比較的衣類が存在する回転槽13の中心部付近に紫外線を照射することができる。これらにより、複数の照射装置40a、40bの配置により、除菌効率を高めた衣類処理装置が提供される。
【0086】
なお、本明細書中で回転軸Ax上において交差するとは、厳密に回転軸Ax上で交差することのみを意図せず、回転軸Ax近傍の領域内で交差することを含む概念である。例えば、各光軸La、Lbは、回転軸Axを中心とする半径5cmの仮想円柱内の領域で交差していても良い。
【0087】
なお、複数の照射装置40a、40bの各光軸La、Lbの交差部分は、回転槽13の軸方向の長さの中央部に位置する。ここで中央部とは、端部ではないことを意味し、必ずしも中心であることを意味しない。本実施形態では、各光軸La、Lbの交差部分は、回転軸Axのうち照射装置40寄りこの場合前後方向の中心よりもやや前寄りに位置する。
【0088】
さらになお、複数の照射装置40a、40bは水平方向以外の方向に紫外線を含む光線を照射する。これにより、照射装置40から照射された紫外線が回転槽13の周壁又は底部に到達するまでに進む距離が長くなるため、より多くの衣類に対して除菌、殺菌効果を奏することができる。
【0089】
複数の照射装置40a、40bは、回転軸Axより上方から回転槽13の内部を照射するように配置される。
【0090】
これによれば、重力で回転槽13の周壁と接しやすい衣類の下面ではなく、露出し易い衣類の上面に対して紫外線を照射することができる。例えば除菌運転、おしゃれ着洗い運転や、つけおき洗い運転のように、回転槽13が静止している又は低速度で回転している場合に、衣類は回転槽13の周壁下部に留まりやすくなる。この場合、比較的大きく露出している衣類の上面に対して、上方から照射することによって、衣類の広範囲を除菌することができる。
【0091】
ここで、回転槽モータ14を中速以上で回転させて、衣類を回転槽13の回転に従って回転槽13の上部に持ち上げてから重力で叩き落すいわゆるタンブリングを行いながら紫外線を照射する場合、持ち上げられた衣類が照射装置40の至近距離に来ることがある。その場合、特定の衣類によって紫外線が遮られ、局所的にしか紫外線が照射されず、除菌、殺菌にムラが発生してしまう可能性がある。
【0092】
洗濯機10は、回転槽モータ14と、制御装置50とを備える。回転槽モータ14は、回転槽13を回転駆動する。制御装置50は、回転槽モータ14と照射装置40との駆動を制御する。制御装置50は、回転槽モータ14を駆動せず又は低速で駆動しつつ照射装置40を駆動する。
【0093】
回転槽13が回転していない又は穏やかに回転している場合、特定の衣類が持ち上げられて照射装置40の至近距離に来ることが抑制される。したがって、本実施形態による洗濯機10によれば、衣類全体に効率よく紫外線を照射することができ、除菌ムラの発生を抑制することができる。そのため、除菌効果の向上が期待できる。
【0094】
(第2実施形態)
続いて、図13図14も参照して第2実施形態について説明する。本実施形態の洗濯機10は第1実施形態の照射装置40a、40bに替えて、複数のこの場合2つの照射装置40c、40dを備える。
【0095】
本実施形態では、複数の照射装置40c、40dは、いずれも回転軸Axよりも下方において分散して配置され、下方から回転槽13の内部に向けて紫外線を含めた光線を照射する。回転槽13内の衣類は、とりわけ回転槽13が静止している場合又は低速で回転されている場合には、回転槽13の下部に留まっていることが多い。このような場合、複数の照射装置40c、40dは、衣類の近くから紫外線を照射して除菌、殺菌を施すことができる。
【0096】
複数の照射装置40c、40dは、各照射装置40c、40dの光軸Lc、Ldが回転軸Ax上において互いに交差するように配置されている。複数の照射装置40c、40dの光軸Lc、Ldは、下方から、回転軸Axを挟んで対角に位置する回転槽13の上部の隅部に向けて延びる。また、照射装置40c、40dは、水槽カバー124の下部において、左右方向に関する中心線に関して線対称に配置されている。これにより、回転槽13内に収容された衣類に対して左右方向に関して偏りなく紫外線を照射して、除菌、殺菌を施すことができる。例えば、照射装置40c、40dは、水槽12を正面から見た際に、下部の左右方向の中心線からそれぞれ時計回り又は反時計回りにθ2回転した位置に配置されていてよい。θ2は、例えば30°~60°の範囲内に設定することができる。本実施形態では、θ2は45°に設定されている。これにより、回転槽13が時計回りおよび反時計回りに交互に回転する自動反転運転をする際にも、その回転方向のどちらに対しても偏りなく紫外線を照射して、除菌、殺菌を施すことができる。
【0097】
以上説明した本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0098】
また、本実施形態によれば、とりわけ回転槽13が静止している或いは低速で回転する場合、例えば除菌運転、おしゃれ着洗い運転、つけおき洗い運転などにおいて、衣類の比較的近くから紫外線を照射することができるため、除菌効果を向上することができる。
【0099】
(第3実施形態)
続いて、図15を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯機10は、複数この場合4つの照射装置40e、40f、40g、40hを備える。複数の照射装置40e、40f、40g、40hは、分散して配置されており、一部が回転軸Axよりも上方に設けられ、一部が回転軸Axよりも下方に設けられ、上方及び下方から回転槽13の内部に向けて紫外線を含めた光線を照射する。
【0100】
複数の照射装置40e、40fの光軸Le、Lfは、上方から、回転軸Axを挟んで対角に位置する回転槽13の下部の隅部に向けて延びる。また、照射装置40e、40fは、水槽カバー124の上部において、左右方向に関する中心線に関して線対称に配置されている。複数の照射装置40g、40hの光軸Lg、Lhは、下方から、回転軸Axを挟んで対角に位置する回転槽13の上部の隅部に向けて延びる。4つの照射装置40e、40f、40g、40hの各光軸Le、Lf、Lg、Lhは、回転軸Ax上で交差する。
【0101】
また、照射装置40g、40hは、水槽カバー124の下部において、左右方向に関する中心線に関して線対称に配置されている。これらにより、回転槽13内に収容された衣類に対して左右方向に関して偏りなく紫外線を照射して、除菌、殺菌を施すことができる。例えば、照射装置40e、40f、40g、40hは、水槽12を正面から見た際に、左右方向の中心線からそれぞれ時計回り又は反時計回りにθ3回転した位置に配置されていてよい。θ3は、例えば30°~60°の範囲内に設定することができる。本実施形態では、θ3は45°に設定されている。
【0102】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0103】
本実施形態によれば、複数の照射装置40、具体的には照射装置40e、40f、40g、40hの少なくとも一部この場合照射装置40e、40fは、回転軸Axより上方から回転槽13の内部を照射するように配置される。複数の照射装置40、具体的には照射装置40e、40f、40g、40hの少なくとも一部この場合照射装置40g、40hは、回転軸Axより下方から回転槽13の内部を照射するように配置される。
【0104】
これによれば、上方からは、衣類の上面のより広い範囲に紫外線を照射することができると共に、下方からは、衣類の近くから強力に紫外線を照射することができる。したがって、それらの相乗効果により、紫外線による除菌、殺菌効果を向上することができる。
【0105】
洗濯機10は、回転軸Axより上方から回転槽13の内部を照射するように配置された複数の照射装置40e、40fと、回転軸Axより下方から回転槽13の内部を照射するように配置された複数の照射装置40g、40hと、を備える。
【0106】
これによれば、回転槽13内部の衣類に対して、上方及び下方から一層強力に紫外線を照射することができる。したがって、照射装置40による衣類の除菌、殺菌効果を、一層向上することができる。
【0107】
なお、本実施形態では、複数の照射装置40e、40f、40g、40hの各光軸Le、Lf、Lg、Lhはほぼ1点で交差するが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、複数の照射装置のうち、上部に配置された照射装置40e、40fの光軸Le、Lfの交点と、下部に配置された照射装置40g、40hの光軸Lg、Lhの交点とは、回転軸Ax上の互いに異なる点に位置していても良い。
【0108】
(第4実施形態)
続いて、図16を参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯機10は、複数この場合2つの照射装置40i、40jを備える。複数の照射装置40i、40jは、分散して配置されており、一方は回転軸Axよりも上方に設けられ、他方は回転軸Axよりも下方に設けられ、上方及び下方から回転槽13の内部に向けて紫外線を照射する。
【0109】
本実施形態では、照射装置40iは水槽カバー124の上部に設けられ、上方から回転槽13内部に向けて紫外線を含めた光線を照射する。照射装置40jは水槽カバー124の下部に設けられ、下方から回転槽13内部に向けて紫外線を含めた光線を照射する。
【0110】
照射装置40i、40jの光軸Li、Ljは、回転軸Ax上で交差する。照射装置40iと、照射装置40jとは、回転軸Axに関して回転対称となる位置に配置されている。これにより、回転槽13内に収容された衣類に対して比較的偏りなく紫外線を照射して、除菌、殺菌を施すことができる。例えば、照射装置40iは、水槽12を正面から見た際に、左右方向の中心線の上部から反時計回りにθ4回転した位置に配置され、照射装置40jは、水槽12を正面から見た際に、左右方向の中心線の下部から反時計回りにθ4回転した位置に配置されていてよい。θ4は、例えば30°~60°の範囲内に設定することができる。本実施形態では、θ4は45°に設定されている。なお、照射装置40i、40jは、左右反転した位置に配置されていても良い。
【0111】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様な効果が奏される。
【0112】
本実施形態によれば、少ない個数の照射装置40i、40jによって、上下左右から回転槽13内に紫外線を照射することができる。したがって、複数の照射装置40i、40jの配置により、製造コストを抑えつつ除菌効果を向上することができる。
【0113】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
10…洗濯機(衣類処理装置)、12…水槽、13…回転槽、14…回転槽モータ、40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40i、40j…照射装置、50…制御装置、Ax…回転軸、L、La、Lb、Lc、Ld、Le、Lf、Lg、Lh、Li、Lj…光軸
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