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特開2024-45912画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045912
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240327BHJP
【FI】
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151003
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲也
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096FA64
5L096FA77
5L096GA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出対象を高精度に検出する画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラムを提供する。
【解決手段】画像解析装置と、外観検査装置と、を有する画像解析システムにおいて、画像解析装置1は、分割部111と、検出部113と、設定部112とを有する。前記分割部は、1つの画像を複数の分割画像に分割する。前記検出部は、前記分割画像における検出対象を検出する。前記設定部は、前記検出部による検出が行われる検出領域を設定する。前記複数の分割画像の各々は、矩形である。前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含む。前記設定部は、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域を前記検出領域に設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの画像を複数の分割画像に分割する分割部と、
前記分割画像における検出対象を検出する検出部と、
前記検出部による検出が行われる検出領域を設定する設定部と
を有し、
前記複数の分割画像の各々は、矩形であり、
前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含み、
前記設定部は、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域を前記検出領域に設定する、画像解析装置。
【請求項2】
前記第1分割画像の左に位置する第4分割画像と前記第4分割画像のうち前記第1分割画像と重複する第3重複領域とに跨って前記検出対象が位置するか、前記第1分割画像の上に位置する第5分割画像のうちと前記第5分割画像のうち前記第1分割画像と重複する第4重複領域とに跨って前記検出対象が位置する場合、前記検出部は、前記検出対象を検出しない、請求項1に記載の画像解析装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記検出領域を前記第1重複領域の一部及び前記第2重複領域の一部の少なくとも一方に拡張させる、請求項1又は請求項2に記載の画像解析装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記第1重複領域の幅又は前記第2重複領域の幅のうち短い方から前記検出対象の幅を引いた値を前記検出領域の拡張幅の最大値として設定する、請求項3に記載の画像解析装置。
【請求項5】
1つの画像を複数の分割画像に分割するステップと、
前記分割画像における検出対象を検出するための検出領域を設定するステップと、
前記分割画像における検出対象を検出するステップと
を含み、
前記複数の分割画像の各々は、矩形であり、
前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含み、
前記検出領域を設定するステップにおいて、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域が前記検出領域に設定される、画像解析方法。
【請求項6】
1つの画像を複数の分割画像に分割するステップと、
前記分割画像における検出対象を検出するための検出領域を設定するステップと、
前記分割画像における検出対象を検出するステップと
をコンピューターに実行させ、
前記複数の分割画像の各々は、矩形であり、
前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含み、
前記検出領域を設定するステップにおいて、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域が前記検出領域に設定される、画像解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物体検出方法は、カメラで撮影した入力画像および物体のないときの背景画像を取得し、取得した入力画像および背景画像を小領域に分割し、分割した各小領域の入力画像および背景画像についてそれぞれ周波数強調演算し、周波数強調演算した後の各小領域の入力画像と背景画像とを比較して閾値以上のときに小領域に物体有と判定する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-302115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物体検出方法では、分割の位置により、ある小領域において物体の縁部分のみが含まれる場合、物体が正しく検出されなかったり、検出すべき物体に似た物体を誤って検出してしまうことがある。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出対象を高精度に検出することが可能な画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な画像解析装置は、分割部と、検出部と、設定部とを有する。前記分割部は、1つの画像を複数の分割画像に分割する。前記検出部は、前記分割画像における検出対象を検出する。前記設定部は、前記検出部による検出が行われる検出領域を設定する。前記複数の分割画像の各々は、矩形である。前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含む。前記設定部は、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域を前記検出領域に設定する。
【0007】
本開示の例示的な画像解析方法は、1つの画像を複数の分割画像に分割するステップと、前記分割画像における検出対象を検出するための検出領域を設定するステップと、前記分割画像における検出対象を検出するステップとを含む。前記複数の分割画像の各々は、矩形である。前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含む。前記検出領域を設定するステップにおいて、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域が前記検出領域に設定される。
【0008】
本開示の例示的な画像解析プログラムは、1つの画像を複数の分割画像に分割するステップと、前記分割画像における検出対象を検出するための検出領域を設定するステップと、前記分割画像における検出対象を検出するステップとをコンピューターに実行させる。前記複数の分割画像の各々は、矩形である。前記複数の分割画像のうち第1分割画像は、前記第1分割画像の右に位置する第2分割画像と重複する第1重複領域及び前記第1分割画像の下に位置する第3分割画像と重複する第2重複領域の少なくとも一方を含む。前記検出領域を設定するステップにおいて、前記第1分割画像における前記第1重複領域及び前記第2重複領域以外の領域が前記検出領域に設定される。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本開示によれば、検出対象を高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る画像解析装置を有する画像解析システムを示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る画像解析装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、撮像装置によって撮像された撮像画像の一例を示す。
図4図4は、撮像画像が分割された4つの分割画像を示す図である。
図5図5は、撮像画像と各分割画像との関係を模式的に示す図である。
図6図6は、本実施形態における検出領域の一例を示す図である。
図7図7は、本実施形態における検出領域の他の例を示す図である。
図8図8は、分割画像に設定された検出領域の変形例を示す図である。
図9図9は、検出領域を設定する際の処理を模式的に示す図である。
図10図10は、分割画像GAに設定された検出領域の変形例の他の例を示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る画像解析方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る画像解析装置及び画像解析システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像解析装置を有する画像解析システムを示す図である。図2は、本実施形態に係る画像解析装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、画像解析システム100は、画像解析装置1と、外観検査装置2とを有する。画像解析装置1は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピューター(PC)である。外観検査装置2は、例えば、ノート型PCと、撮像装置C1とを有する。外観検査装置2は、デスクトップ型PC、タブレット端末、又はスマートフォン等であってもよく、ユーザが使用する端末である。撮像装置C1は、例えば、カメラである。撮像装置C1は、ノート型PCに接続される。
【0014】
例えば、画像解析システム100は、複数の対象物Tが正常であるか異常であるか判定する検査処理に用いられる。具体的には、撮像装置C1は、複数の対象物Tを含む撮像領域R1を撮像し、撮像画像G1を示す画像データD1を生成する。画像解析装置1は、検査対象である対象物Tを撮像画像G1から検出する。外観検査装置2は、撮像装置C1によって生成された画像データD1を取得する。
【0015】
画像解析装置1と外観検査装置2とは、図示しないネットワークを介して通信を行うことができる。ネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)、無線LAN、携帯電話通信網、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等である。外観検査装置2は、ネットワークを介して、撮像装置C1から取得した画像データD1を画像解析装置1に送信する。
【0016】
図2に示すように、画像解析装置1は、制御部11と、表示部12と、操作部13と、通信部14と、記憶部15とを有する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。制御部11は、表示部12、操作部13、通信部14及び記憶部15を制御する。
【0017】
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を含む。表示部12は、各種画面を表示する。
【0018】
操作部13は、キーボード、マウス、トラックパッド等を含む。操作部13は、ユーザの操作を受け付ける。
【0019】
通信部14は、ネットワークを介して、画像解析装置1外部の機器と相互に通信を行う。ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、及び公衆電話網を含む。具体的には、通信部14は、例えば、所定の通信プロトコルに従って通信を行うネットワークインターフェースコントローラー(NIC)、又は、WiFiによる通信規格に準じた通信機器を含む。所定の通信プロトコルは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコル・スイート(つまり、インターネット・プロトコル・スイート)である。なお、通信部14は、無線通信を行う無線通信モジュールであってもよい。具体的には、無線通信モジュールは、例えば、近距離無線通信を実行する。近距離無線通信は、例えば、通信距離が数メートルから数十メートル程度の無線通信である。近距離無線通信は、例えば、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)による通信規格に準じた通信である。Bluetooth(登録商標)による通信規格に準じた通信は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)である。
【0020】
記憶部15は、半導体メモリー及びハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置を含む。記憶部15は、データ及びコンピュータープログラム等を記憶する。コンピュータープログラムは、一例として、画像解析プログラムを含む。
【0021】
制御部11は、記憶部15に記憶された画像解析プログラムを実行することにより、分割部111、設定部112及び検出部113として機能する。分割部111は、1つの画像を複数の分割画像に分割する。検出部113は、分割画像における検出対象を検出する。設定部112は、検出部113による検出が行われる検出領域を設定する。
【0022】
次に、図3を参照して、画像解析装置1において用いられる画像について説明する。図3は、撮像装置C1によって撮像された撮像画像G1の一例を示す。なお、以下の説明では、検出対象パターンTPは検出対象の一例として記載する。
【0023】
撮像画像G1は、各々が対象物Tを示す複数の検出対象パターンTPを含む。一例として、図3に示す撮像画像G1は、7つの検出対象パターンTPを含む。例えば、対象物Tは、はんだ付けが施された箇所を示すはんだ箇所である。なお、対象物Tは、はんだ箇所に限定されない。
【0024】
外観検査装置2は、ネットワークを介して、画像データD1を画像解析装置1に送信する。画像解析装置1の通信部14は、ネットワークを介して、外観検査装置2から送信された画像データD1を受信する。
【0025】
次に、図2図5を参照して、分割部111による撮像画像G1の分割について説明する。図4は、撮像画像G1が分割された分割画像GA、GB、GC、GDを示す図である。図5は、撮像画像G1と分割画像GA、GB、GC、GDとの関係を模式的に示す図である。
【0026】
例えば、分割部111は、通信部14によって受信された画像データD1を取得し、画像データD1の示す撮像画像G1を4つの矩形の分割画像GA、GB、GC、GDに分割する。なお、説明を簡単にするため、撮像画像G1を4つの分割画像GA、GB、GC、GDに分割する例を説明するが、撮像画像G1を分割する数は4つに限定されない。
【0027】
分割画像GAは、撮像画像G1のうち左上に位置する領域を示す。分割画像GBは、撮像画像G1のうち右上に位置する領域を示す。分割画像GCは、撮像画像G1のうち左下に位置する領域を示す。分割画像GDは、撮像画像G1のうち右下に位置する領域を示す。つまり、分割画像GAは、分割画像GBの左に位置するとともに分割画像GCの上に位置する。分割画像GBは、分割画像GAの右に位置するとともに分割画像GDの上に位置する。分割画像GCは、分割画像GAの下に位置するとともに分割画像GDの左に位置する。分割画像GDは、分割画像GBの下に位置するとともに分割画像GCの右に位置する。
【0028】
分割画像GAは、検出対象パターンTP1の全部、検出対象パターンTP2の全部、検出対象パターンTP4の全部及び検出対象パターンTP6の全部と、検出対象パターンTP3の一部とを含む。分割画像GBは、検出対象パターンTP3の全部、検出対象パターンTP6の全部及び検出対象パターンTP7の全部と、検出対象パターンTP2の一部とを含む。分割画像GCは、検出対象パターンTP5の全部及び検出対象パターンTP6の全部と、検出対象パターンTP4の一部とを含む。分割画像GDは、検出対象パターンTP6の全部と、検出対象パターンTP5の一部及び検出対象パターンTP7の一部とを含む。
【0029】
図4及び図5に示すように、分割画像GAは、分割画像GBと重複する重複領域W1と、分割画像GCと重複する重複領域W2とを含む。分割画像GBは、分割画像GAと重複する重複領域W1と、分割画像GDと重複する重複領域W4とを含む。分割画像GCは、分割画像GAと重複する重複領域W2と、分割画像GDと重複する重複領域W3とを含む。分割画像GDは、分割画像GBと重複する重複領域W4と、分割画像GCと重複する重複領域W3とを含む。図5では、重複領域W1~重複領域W4をハッチングで示す。
【0030】
次に、図2図6を参照して、画像解析装置1における検出対象の検出の一例について説明する。図6は、本実施形態における検出領域の一例を示す図である。
【0031】
分割部111によって分割画像GA、GB、GC、GDが生成されると、設定部112は、分割画像GA、GB、GC、GDのうちから1つの分割画像を選択する。図6では、設定部112が分割画像GAを選択した例を示す。設定部112によって選択された分割画像GAは、第1分割画像の一例である。分割画像GAに含まれる重複領域W2は、第1重複領域の一例である。分割画像GAに含まれる重複領域W3は、第2重複領域の一例である。
【0032】
設定部112は、選択した分割画像GAに対して検出領域V1を設定する。具体的には、設定部112は、分割画像GAに含まれる各画素の座標に基づいて、分割画像GAのうちから重複領域W2と重複領域W3とを判定し、分割画像GAにおける重複領域W2及び重複領域W3以外の領域を検出領域V1に設定する。図6では、検出領域V1をハッチングで示す。
【0033】
なお、図示しないが、一例として、設定部112は、分割画像GBを選択した場合、分割画像GBのうち重複領域W4以外の領域を検出領域に設定する。設定部112が分割画像GBを選択した場合、分割画像GBは、第1分割画像の一例であり、重複領域W4は、第2重複領域の一例である。
【0034】
分割画像GAの全部を検出領域V1に設定せず、分割画像GAのうち、分割画像GAの右に位置する分割画像GBに重複する重複領域W1と、分割画像GAの下に位置する分割画像GCに重複する重複領域W2とを除く領域を検出領域V1に設定することで、検出領域の重複を避けることができる。その結果、重複領域W1又は重複領域W2に位置する検出対象パターンTPが、2つの分割画像においてそれぞれ検出されることを防ぐことができる。したがって、画像解析装置1において、検出対象を高精度に検出できる。
【0035】
例えば、検出部113は、分割画像GAにおける検出対象パターンTPを検出する。検出部113は、検出領域V1に含まれる各画素の色を示すパラメータと、検出領域V1に含まれる各画素の座標とに基づいて、検出対象パターンTPを特定する。図6に示す例では、検出部113は、検出対象パターンTP1、検出対象パターンTP2と、検出対象パターンTP4とを特定する。つまり、検出部113は、検出領域V1において、検出対象パターンTP1、検出対象パターンTP2及び検出対象パターンTP4を検出する。
【0036】
一方、検出部113は、検出領域V1には位置せず重複領域W1に一部が位置する検出対象パターンTP3と、検出領域V1には位置せず重複領域W1に全部が位置する検出対象パターンTP6とは、分割画像GAに設定された検出領域V1において検出しない。例えば、検出部113は、分割画像GA以外の分割画像のいずれかに設定された検出領域において検出対象パターンTP3及び検出対象パターンTP6を検出する。具体的には、検出部113は、分割画像GBに設定された検出領域において検出対象パターンTP3を検出する。また、検出部113は、分割画像GDに設定された検出領域において検出対象パターンTP6を検出する。検出対象パターンTP6の検出の詳細は後述する。
【0037】
次に、図2図7を参照して、画像解析装置1における検出対象の検出の他の例について説明する。図7は、本実施形態における検出領域の他の例を示す図である。図7は、設定部112が分割画像GDを選択した例を示す。
【0038】
設定部112によって選択された分割画像GDは、第1分割画像の一例である。分割画像GDに含まれる重複領域W3は、第3重複領域の一例である。分割画像GDに含まれる重複領域W4は、第4重複領域の一例である。
【0039】
設定部112は、選択した分割画像GDに検出領域V2を設定する。図7に示す例では、分割画像GDの右に位置する分割画像及び分割画像GDの下に位置する分割画像が存在しないため、設定部112は、分割画像GDの全部を検出領域V2に設定する。
【0040】
図7に示すように、検出対象パターンTP5は、一部が分割画像GCであって重複領域W3以外の領域W5に位置し、残りの一部が重複領域W3に位置する。つまり、検出対象パターンTP5は、分割画像GCと重複領域W3とに跨って位置する。分割画像GCは、第4分割画像の一例である。検出部113は、領域W5と重複領域W3とに跨って位置する検出対象パターンTP5を、検出領域V2において検出しない。なお、検出対象パターンTP5は、分割画像GCに設定された検出領域において検出される。
【0041】
同様に、検出対象パターンTP7は、一部が分割画像GBであって重複領域W4以外の領域W6に位置し、残りの一部が重複領域W4に位置する。つまり、検出対象パターンTP7は、分割画像GBと重複領域W4とに跨って位置する。分割画像GBは、第5分割画像の一例である。検出部113は、領域W6と重複領域W4とに跨って位置する検出対象パターンTP7を、検出領域V2において検出しない。なお、検出対象パターンTP7は、分割画像GBに設定された検出領域において検出される。
【0042】
また、検出対象パターンTP6は、全部が重複領域W3であって重複領域W4の領域に位置する。検出部113は、検出領域V2において検出対象パターンTP6を検出する。
【0043】
以上のように、本実施形態において、検出領域が設定された分割画像の左及び上に隣接する分割画像のうち重複領域以外の領域と、重複領域とに跨って位置する検出対象パターンは、検出対象から除外される。つまり、本実施形態において、より左又は上に位置する分割画像における検出対象パターンの検出が優先される。その結果、2つの分割画像に跨る検出対象パターンが、2つの分割画像においてそれぞれ検出されることを防ぐことができる。
【0044】
次に、図8を参照して、本実施形態における検出領域の変形例を説明する。図8は、分割画像GAに設定された検出領域の変形例の一例を示す図である。
【0045】
例えば、設定部112は、選択した分割画像GAに対して検出領域V3を設定する。図8に示すように、設定部112は、図6に示す検出領域V1を右下に移動させた検出領域V3を設定する。言い換えると、設定部112は、検出領域を重複領域W1の一部及び重複領域W2の一部に拡張させる。
【0046】
検出領域V1を検出領域V3に移動させることで、例えば、検出領域V1からわずかに一部がはみ出した検出対象パターンTP(不図示)及びわずかに一部が検出領域V1に位置する検出対象パターンTP(不図示)をより検出しやすくなる。つまり、検出領域V3において、検出領域V1では検出対象パターンTPの縁の画像のみにより検出対象パターンTPであると誤認される対象パターンが検出される可能性を低減できる。
【0047】
次に、図9を参照して、検出領域V3を設定方法について説明する。図9は、検出領域V3を設定する際の処理を模式的に示す図である。
【0048】
例えば、設定部112は、重複領域W1の幅d2又は重複領域W2の幅d3のうち短い方から検出対象パターンTPの幅d1を引いた値を検出領域V3の拡張幅dmの最大値dxとして設定する。図9に示すように、幅d1が幅d2及び幅d3より短く、更に、幅d3が幅d2より短い場合、拡張幅dmの最大値dxは、幅d3から幅d1を引いた値である。
【0049】
仮に、拡張幅dmを幅d3から幅d1を引いた値よりも大きい値に設定すると、検出対象パターンTP9の縁が検出領域V3に位置することから、検出部113によって検出対象パターンTP9が検出領域V3において検出されてしまう。更に、検出対象パターンTP9は、全部が重複領域W2に位置することから、分割画像GCに設定された検出領域においても検出部113によって検出される。つまり、検出部113は、検出対象パターンTP9を二重に検出する。そこで、拡張幅dmを幅d3から幅d1を引いた値までに制限することで、検出部113による検出対象パターンTP9の二重の検出を防止できる。
【0050】
次に、図10を参照して、本実施形態における検出領域の他の変形例を説明する。図10は、分割画像GAに設定された検出領域の変形例の他の例を示す図である。
【0051】
図10に示すように、設定部112は、検出領域V1を移動させる以外に、図6に示す検出領域V1に加えて、重複領域W1の一部と、重複領域W2の一部とを更に含むように検出領域V3を設定してもよい。
【0052】
なお、本実施形態において、例えば、ゼロから最大値dxまでの値のうち複数の値をそれぞれ拡張幅dmに設定して検出対象パターンTPの検出を行うことで、検出対象パターンTPの検出精度が測定される。測定された検出精度に基づいて、例えばユーザが適切な拡張幅dmを判断して画像解析装置1に対して入力する。
【0053】
本実施形態において、検出部113が4つの分割画像GA~GDに含まれる検出対象パターンTPを検出すると、例えば、制御部11は、検出結果を示す画面を生成して表示部12に表示する処理を行う。
【0054】
例えば、検出部113は、分割画像GA~GDの各々に設定された検出領域において検出した複数の検出対象パターンTPをそれぞれ示す座標を制御部11に出力する。制御部11は、検出部113から出力された各座標に基づいて、撮像画像G1における検出対象パターンTPを抽出し、例えば、抽出した検出対象パターンTPの色を変更するように撮像画像G1の各画素のパラメータを変更する。制御部11は、検出部113による検出結果を示す画面として、パラメータの変更後の撮像画像G1を示す画面を表示部12に表示する処理を行う。
【0055】
本実施形態において、撮像画像G1は、少なくとも2つに分割される。例えば、撮像画像G1は、分割画像GAと分割画像GBとに分割される。分割画像GBは、分割画像GAの右に位置する。例えば、第1分割画像として選択された分割画像GAは、分割画像GBと重複する重複領域W1を第1重複領域として含む。第1分割画像として選択された分割画像GBは、分割画像GAと重複する重複領域W1を第3重複領域として含む。
【0056】
または、撮像画像G1は、分割画像GAと分割画像GCとに分割される。分割画像GCは、分割画像GAの下に位置する。例えば、第1分割画像として選択された分割画像GAは、分割画像GCと重複する重複領域W2を第2重複領域として含む。第1分割画像として選択された分割画像GCは、分割画像GAと重複する重複領域W2を第4重複領域として含む。
【0057】
つまり、本実施形態において、第1分割画像は、第1重複領域及び第2重複領域の少なくとも一方を含む場合がある。また、第1分割画像は、第3重複領域及び第4重複領域の少なくとも一方を含む場合がある。
【0058】
次に、図11を参照して、本実施形態に係る画像解析方法について説明する。図11は、本実施形態に係る画像解析方法を示すフローチャートである。
【0059】
分割部111は、撮像画像G1を複数の矩形の分割画像に分割する(ステップS11)。
【0060】
設定部112は、複数の分割画像のうちから1つの分割画像を第1分割画像に選択する(ステップS12)。
【0061】
設定部112は、第1分割画像に対して検出領域を設定する(ステップS13)。
【0062】
第1分割画像に含まれる検出対象パターンTPが、検出領域と、第1分割画像の左又は上に位置する分割画像との重複領域以外の領域とに跨って位置する場合(ステップS14でYes)、検出部113は、検出対象パターンTPを検出しない(ステップS15)。処理は、ステップS17に進む。
【0063】
一方、第1分割画像に含まれる検出対象パターンTPが、検出領域と、第1分割画像の左又は上に位置する分割画像との重複領域以外の領域とに跨らずに位置する場合(ステップS14でNo)、検出部113は、検出対象パターンTPを検出する(ステップS16)。処理は、ステップS17に進む。
【0064】
第1分割画像に選択されていない分割画像がある場合(ステップS17でNo)、設定部112は、複数の分割画像のうちから他の分割画像を選択する(ステップS12)。
【0065】
一方、すべての分割画像が第1分割画像に選択されている場合(ステップS17でYes)、検出部113による検出対象パターンTPの検出処理が終了する。
【0066】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0067】
また、図面は、開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示は、画像解析装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 :画像解析装置
11 :制御部
111 :分割部
112 :設定部
113 :検出部
G1 :撮像画像
GA :分割画像
GB :分割画像
GC :分割画像
GD :分割画像
T :対象物
TP :検出対象パターン
TP1 :検出対象パターン
TP2 :検出対象パターン
TP3 :検出対象パターン
TP4 :検出対象パターン
TP5 :検出対象パターン
TP6 :検出対象パターン
TP7 :検出対象パターン
V1 :検出領域
V2 :検出領域
V3 :検出領域
W1 :重複領域
W2 :重複領域
W3 :重複領域
W4 :重複領域
dm :拡張幅
dx :最大値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11