(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045920
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】仮設部屋ユニット
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240327BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
E04H1/12 305
E04B1/348 L
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151016
(22)【出願日】2022-09-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年9月22日 出願人ホームページ 1 令和3年9月22日 日刊工業新聞 1 令和4年2月1日 起業革新vol.7.5 特別版 1 令和4年2月28日 千葉日報 1 令和3年12月1日~3日 防災産業展2021出展者一覧 1 令和4年2月3日~4日 出願人ホームページ(第26回「震災対策技術展」出展時画像含む) 1 令和4年2月8日~10日 出願人ホームページ(CareShowJapan2022出展情報) 1 令和4年3月1日~4日 日経メッセ街づくり・店づくり総合展2022年 来場者数「SECURITY SHOW 2022」 1 令和4年3月1日~4日 出願人ホームページ(「SRCURITY SHOW 2022」出展情報) 1 令和4年1月18日 四ツ葉薬局 請求書 1 令和4年1月24日 社会福祉法人賛育会 賛育会病院 請求書 1 令和4年2月9日 医療法人社団 博翔会 五香病院 請求書 1 令和4年3月28日 千葉県ホームページ 1 令和4年9月6日 岡山放送ユーチューブ公式チャンネル 1
(71)【出願人】
【識別番号】512287056
【氏名又は名称】シフトアップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】山田稔
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、簡便に設置が可能である一方十分な強度が確保でき、簡便に出入りが可能であり、電気を使用する機器の設置に対しても十分対応が可能な仮設部屋ユニット、好ましくは屋外の様々な天候に対しても十分に対応可能な仮説部屋ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一観点に係る仮設部屋ユニット1は、扉ユニット2と、複数の柱部材3と、複数の梁部材4及び複数の床枠部材5を有し、梁部材3によって形成される天井領域に架けられる屋根ユニットは、天井領域及び梁部材上を覆う天板部と、天板部周縁に設けられ梁部材外側面に当たることで位置ずれを防止する周縁凸部を有し、本発明の他の一観点に係る仮設部屋ユニット1は、扉ユニット2、複数の柱部材3、複数の梁部材4及び複数の床枠部材5を組み合わせることで仮設部屋となる一方、分離保管可能なものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉部材及び扉枠部材を有する扉ユニットと、
複数の柱部材と、
前記扉ユニットと前記柱部材、又は、前記柱部材同士を接続するための複数の梁部材及び複数の床枠部材と、を有し、
前記梁部材によって形成される天井領域に架けられる屋根ユニットを備える仮設部屋ユニット。
【請求項2】
前記屋根ユニットは、
前記天井領域及び前記梁部材上を覆う天板部と、
前記天板部周縁に設けられ前記梁部材外側面に当たることで位置ずれを防止する周縁凸部と、を備える請求項1記載の仮設部屋ユニット。
【請求項3】
前記屋根ユニットは、複数の分割屋根部材に分かれている請求項1記載の仮設部屋ユニット。
【請求項4】
一の前記分割屋根部材の接合部近傍に設けられる接合凸部と、
他の前記分割屋根部材の接合部近傍に設けられ、かつ、前記接合凸部を覆う接合カバー部と、を有することで、隣接する二つの前記分割屋根部材の前記接合部を覆う請求項3記載の仮設部屋ユニット。
【請求項5】
隣接する分割屋根部材の前記周縁凸部の接合部近傍を覆う周縁カバー部を有する請求項3記載の仮設部屋ユニット。
【請求項6】
前記天板部周縁に設けられ前記梁部材内側面に当たることで位置ずれを防止する内側固定部材を有する請求項2記載の仮設部屋ユニット。
【請求項7】
前記分割屋根部材の下かつ前記接合部近傍に設けられ、隣接する前記分割屋根部材同士を接合する分割屋根部材固定部材を有する請求項4記載の仮設部屋ユニット。
【請求項8】
前記天板部の下に設けられる照明ユニットを有する請求項2記載の仮設部屋ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設部屋ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、季節性のインフルエンザ等の感染症が流行している場合において、医療機関では当該患者をインフルエンザ等に感染していない者から隔離するため、医療機関各自が備える隔離室(陰圧室)に、当該患者を収容する。
【0003】
しかしながら、近年の新型コロナウイルス感染症といった爆発的に感染症が拡大する状況において、医療機関に備えられる隔離室だけではその数が十分でないといった課題がある。
【0004】
そこで、屋外又は広い建物内に仮設の陰圧室を設置することで多数の感染者が発生した場合でも対応できることが望まれており、例えば、下記非特許文献1には、パイプにより組み立てられる簡易陰圧室が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.airtech.co.jp/products/kanseneq/1054/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の技術では、パイプによって折り畳み可能な陰圧ブースであるがその強度に課題が残る。特に、屋外では強い風雨にさらされる場合があり、これらに十分耐えられる必要がある。また、上記非特許文献1に記載の技術は出入口が無く、医師や患者の出入りが容易ではないといった課題がある。これは一刻を争う非常時においては大きな問題である。また、陰圧ブース内に様々な機器の設置を行う場合は、別途陰圧ブース内に配線コードを持ち込む必要があるが、機器の設置に対して十分対応することができていない。
【0007】
ところで、仮設の部屋については、上記の陰圧ブースとしての使用が好適な例の一つであるが、必ずしも陰圧ブースとしての使用に限られず、屋外イベント等における急患に対応するための救護室や、個室としての利用の可能性もあり得る。また、屋外イベントにおいては、雨天等においては雨水が屋内に入ってこないようしっかりと防ぐ必要があるとともに、晴天時には太陽光が必要以上に差し込んでこないよう防ぐ必要もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、簡便に設置が可能である一方十分な強度が確保でき、簡便に出入りが可能であり、電気を使用する機器の設置に対しても十分対応が可能な仮設部屋ユニット、好ましくは屋外の様々な天候に対しても十分に対応可能な仮説部屋ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の一観点にかかる仮設部屋ユニットは、扉部材及び扉枠部材を有する扉ユニットと、複数の柱部材と、扉ユニットと柱部材、又は、柱部材同士を接続するための複数の梁部材及び複数の床枠部材と、を有し、梁部材によって形成される天井領域に架けられる屋根ユニットを備えるものである。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、屋根ユニットは、天井領域及び梁部材上を覆う天板部と、天板部周縁に設けられ梁部材外側面に当たることで位置ずれを防止する周縁凸部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、屋根ユニットは、複数の分割屋根部材に分割されていることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、一の分割屋根部材の接合部近傍に設けられる接合凸部と、他の分割屋根部材の接合部近傍に設けられ、かつ、接合凸部を覆う接合カバー部と、を有することで、隣接する二つの分割屋根部材の接合部を覆うことが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、隣接する分割屋根部材の周縁凸部の接合部近傍を覆う周縁カバー部を有することが好ましい。
【0014】
また、本観点において、限定されるわけではないが、天板部周縁に設けられ梁部材内側面に当たることで位置ずれを防止する内側固定部材を有することが好ましい。
【0015】
また、本観点において、限定されるわけではないが、分割屋根部材下かつ接合部近傍に設けられ、隣接する分割屋根部材同士を接合する分割屋根部材固定部材を有することが好ましい。
【0016】
また、本観点において、限定されるわけではないが、天板部下に設けられる照明ユニットを有することが好ましい。
【0017】
また、本発明の他の一観点に係る仮設部屋ユニットは、扉部材及び扉枠部材を有する扉ユニットと、複数の柱部材と、扉ユニットと柱部材、又は、柱部材同士を接続するための複数の梁部材及び複数の床枠部材と、を有し、扉ユニット、複数の柱部材、複数の梁部材及び複数の床枠部材を組み合わせることで仮設部屋となる一方、扉ユニット、複数の柱部材、複数の梁部材及び複数の床枠部材に分離保管可能なものである。
【0018】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、扉枠部材、柱部材、梁部材及び床枠部材の少なくともいずれかは中空の金属角柱で構成されており、扉枠部材、柱部材、梁部材及び床枠部材の少なくともいずれかの中空に電気配線が挿入されていることが好ましい。
【0019】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、扉枠部材、柱部材、梁部材又は床枠部材に挿入された電気配線は、それぞれの端部近傍において接続コネクタを有し、隣接する扉枠部材、柱部材、梁部材又は床枠部材と接続可能であることが好ましい。
【0020】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、複数の梁部材及び複数の床枠部材は、両端近傍に突起部及び固定具を備え、柱部材及び扉枠部材には、両端近傍に複数の梁部材及び複数の床枠部材の突起部を挿入するための孔が形成されていることが好ましい。
【0021】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、梁部材同士に架けられる天井ユニットを有することが好ましい。
【0022】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、陰圧ユニットを有することが好ましい。
【0023】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、扉ユニット、柱部材、柱部材及び床枠部材により形成される平面を覆う壁部材を有することが好ましい。
【0024】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、複数の梁部材に張り巡らされるカーテンレール及びカーテンレールに設置されるカーテンと、を備えることが好ましい。
【0025】
また、本観点においては、限定されるわけではないが、扉枠部材に設置される照明灯用スイッチを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
以上、本発明によって、簡便に設置が可能である一方十分な強度が確保でき、簡便に出入りが可能であり、電気を使用する機器の設置に対しても十分対応が可能な仮設部屋ユニット、好ましくは屋外の様々な天候に対しても十分に対応可能な仮説部屋ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態1に係る仮設部屋ユニットの概略を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る仮設部屋ユニットの概略を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る扉ユニットの概略を示す図である。
【
図4】実施形態1に係る接続コネクタのイメージ図である。
【
図5】実施形態1に係る扉枠部材の接続部を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る柱部材の概略を示す図である。
【
図7】実施形態1に係る梁部材の概略を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る床枠部材の概略を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る天井ユニットの概略を示す図である。
【
図10】実施形態1に係る仮設部屋ユニットの概略を示す図である。
【
図11】実施形態1に係る陰圧ユニットの概略を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る面ファスナーの概略を示す図である。
【
図13】実施形態1に係る仮設部屋ユニットを組み立てた状態の写真図である。
【
図14】実施形態1に係る仮設部屋ユニットを分解した状態の写真図である。
【
図15】実施形態2に係る仮設部屋ユニットの概略を示す図である。
【
図16】実施形態2に係る屋根ユニットの概略を示す図である。
【
図17】実施形態2に係る屋根ユニットの一部断面図を示す図である。
【
図18】実施形態2に係る複数の分割屋根部材の概略を示す図である。
【
図19】実施形態2に係る複数の分割屋根部材の接合部の概略を示す図である。
【
図20】実施形態2に係る屋根ユニットの周縁カバー部の概略を示す図である。
【
図21】実施形態2に係る屋根ユニットの内側固定部材の概略を示す図である。
【
図22】実施形態2に係る照明ユニットの概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0029】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る仮設部屋ユニット1の概略を示す図である。なお本図は、仮設部屋として組み立てられた場合の概略図である。なお、本図は壁部材8が付されていない例であり、
図2は、壁部材8が付された本仮設部屋ユニット1の概略図である。
【0030】
本図で示すように、本仮設部屋ユニット1は、扉部材21及び扉枠部材22を有する扉ユニット2と、複数の柱部材3と、扉ユニット2と柱部材3、又は、柱部材3同士を接続するための複数の梁部材4及び複数の床枠部材5と、を有し、扉ユニット2、複数の柱部材3、複数の梁部材4及び複数の床枠部材5を組み合わせることで仮設部屋となる一方、扉ユニット2、複数の柱部材3、複数の梁部材4及び複数の床枠部材5に分離保管可能なものである。
【0031】
本仮設部屋ユニット1は、複数の部材により分割可能であるとともに、扉部材21及び扉枠部材22を有する扉ユニット2を設けることで、組み立て容易であるにもかかわらず仮説部屋の中と外を明確に区分けすることができ、またその内部への出入りが容易となるため、非常に簡便であるとともに使い勝手が非常に良いといった利点がある。また、後述の記載からも明らかなように、仮設部屋ユニット1内に電気を使用する機器を設置する場合も非常に便利に活用できる。更に、後述の好適な例では、カーテンレール等も備えており、簡易的であるにもかかわらず中の様子が外から見えないようにすることが可能である。
【0032】
まず、本仮設部屋ユニット1では、扉ユニット2を有する。また、上記の通り、扉ユニット2は、扉部材21及び扉枠部材22を有する。
図3に、扉ユニット2の概略を示す。
【0033】
扉ユニット2において、扉部材21は文字通り出入口となる扉として機能する部材である。扉部材21は扉枠部材22に開閉自在となるよう接続されている。本図の例では、蝶番等の部品によって開閉できるいわゆる開き戸を示しているが、本仮設部屋ユニット1の大きさが許す限りにおいて、他の形状の扉、例えば溝が形成されたレールを用いてこのレールに沿って開閉する引き戸(スライドドア)であってもよい。また、場合によっては折り畳み可能な引き戸であるいわゆるアコーディオンカーテンも可能である。
【0034】
また、扉ユニット2における扉部材21には、窓211が付されていることも好ましい。窓211を付することでこの窓211を介して本仮設部屋ユニット1の空気を換気することが可能となり、特に、仮設部屋ユニット1内に陰圧ユニットを配置すれば、窓211から内部の空気を直接排出することなく仮設部屋ユニット1内に外気を取り入れることができるようになる。
【0035】
また、扉ユニット2には、ノブ212が付されていることが好ましい。ノブ212を付することでこの使用者は扉部材21の開閉が可能となる。このノブ212には鍵が付されていなくてもよいが、鍵が付されていればセキュリティ(安全性)を高めることができ好ましい。
【0036】
扉部材の材質は特に限定されるものではなく、金属、樹脂、木材により構成されていることが好ましいが、金属で構成されていることが保存性及び強度の観点から好ましい。
【0037】
また扉ユニット2において扉枠部材22は、扉部材21を開閉自在となるよう支えるとともに他の部材(例えば梁部材や床枠部材)と接続可能となっているものである。
【0038】
扉枠部材22は、扉部材21を支持するとともに他の部材との接続を可能とする限りにおいて限定されるわけではないが、一般的に矩形である扉部材21の四辺に設けられていることが好ましい。扉部材21の四辺を覆うことで、扉部材と他の部材との間の隙間を無くすことが容易となるとともに、他の部材との接続をより容易にする。ただし、扉部材21の下辺(地面に接地する側の辺)は敷居となり、この高さが高いと使用者が跨ぐ際躓いてしまうおそれもあるため、下辺部分に扉枠部材22を設けない構成としておくことも好ましい。このような場合、下辺部分には可撓性の柔らかい部材(例えばゴム等)を設けておけば密封性を高めることができる。
【0039】
また、扉枠部材22の材質は、この仮設部屋ユニット1の強度を安定的に保持することができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム又はアルミニウムを含む合金である。アルミニウム又はアルミニウムを含む合金とすることで強度を確保しつつ軽量化を図ることが可能となる。また、扉枠部材22は、限定されるわけではないが、中空の金属角柱で構成されていることが好ましい。このようにすることで、各面毎において他の部材との接続を確実に行うことが可能となる。また、扉枠部材22を中空の金属とすることで、この内部に電気配線を挿入することが可能となり、複雑な電気配線が不要となる。なおこの場合において、挿入された電気配線は、それぞれの端部近傍において孔から出ており、先端に接続コネクタECを有し、隣接する梁部材等の接続コネクタECと接続可能となっていることが好ましい。
【0040】
また、本仮設部屋ユニット1においては、照明灯用スイッチ23を備えることが好ましく、この照明灯用スイッチ23は、扉ユニット2、柱部材3、梁部材4及び床枠部材5のいずれかに設置されていることが好ましく、具体的には扉枠部材22に設置されていることがより好ましい。照明灯用スイッチ23を扉枠部材22に設置することで部屋に入る際に容易に電気のスイッチを操作することが可能となる。なお、この照明灯用スイッチ23も、後述するように、扉枠部材22内に挿入された電気配線に接続され、電源の供給を受けることが可能となっていることが好ましい。
【0041】
また、扉枠部材22が中空である場合において、上記のように、この中空部分に電気配線が挿入され、扉枠部材22の少なくとも一ヶ所において引き出され、接続コネクタECが付されていることが好ましい。このようにすることで、本仮設ユニット1を分解することが容易になるとともに、本仮設ユニット1を組み立てた後、隣接する他の部材の接続コネクタECと接続することだけで本仮設ユニット1内において電気配線を効率的に張り巡らせることが可能となる。特に、扉枠部材22に照明灯用スイッチ23を設けるため他の部材と接続することで電源との位置関係を大きく気にすることなく容易に設置することができる。なお、接続コネクタECが付された場合のイメージを
図4に示しておく。また、後述のように、本仮設部屋ユニット1の各部材ではこれと同様に内部に電気配線が挿入されコネクタで接続され、これらが本仮設部屋ユニット1全体に電気配線ネットワークELを形成するが、外部からの電力供給は一ヶ所のコネクタから行うことができるようにしてあることが好ましい。このようにすることで、一ヶ所コネクタを出しておくだけで、このコネクタのみで本仮設部屋ユニット1の装置全体に電力を供給することができるようになる。なお、このコネクタの形状や種類については適宜調整可能であり限定されるものではないが、外部電源に接続する場合は、その外部電源に接続するために好適なコネクタ形状(例えば一般的な差し込みプラグ形状等)であることが好ましい。
【0042】
また、後述の記載から明らかとなるが、扉枠部材22には、上下の両端近傍に、梁部材4及び床枠部材5の突起部を挿入するための孔Hが形成されていることが好ましい。このようにすることで、梁部材4及び床枠部材5との接続を確実にすることが可能である。なお、逆に、梁部材4及び床枠部材5にこの孔Hが形成されている場合は、扉枠部材22には上下の両端近傍に、孔Hに挿入するための突起部P及びこれを固定する固定具Fを備えていることが好ましい。この場合における孔H及び、挿入される突起部P及び固定具Fのイメージを
図5に示しておく。この図で示すように、孔Hは、更に大きな孔である挿入孔部H1と、この挿入孔部H1に接続された細長の引掛孔部H2に分かれており、一方突起部Pは、膨らんだ先端の先端突起部P1と、細長の板状となった引掛突起部P2に分かれていることが好ましい。このようにすると、使用者は、まず先端突起部P1を孔Hの挿入孔部H1の奥まで挿入し、その後この突起部P(この突起Pが付された梁部材4若しくは床枠部材5、又は扉部材21)を挿入した方向とは略垂直な方向にスライドさせて、引掛孔部H2と引掛突起部P2をはめ合わせる。これにより、確実な接続と固定を可能とする。そして、固定具Fによってその固定を確実なものとする。すなわち固定具Fは螺子部材であることが好ましく、孔はこれに対応したネジ穴H3であることが好ましい。
【0043】
なおこの孔と固定具の関係については、他の構成部材の接続において同様である。また、本図で示すように突起部P及び固定具Fは、板状の当て材Bに付されており、この板状の当て材Bにさらに筋交いCを設けることで、より強度を増すことが可能となる。特に板状の当て材Bを設けることで、本来直交して接続する部材同士において突起部P及び固定具Fを安定的に配置することができるようになるといった利点がある。
【0044】
なお、扉枠部材22に対しては、後述のように少なくとも二つの梁部材4、二つの床枠部材5が接続されるが、これらが略直交する方向から接続されるよう構成されていることが好ましい。特に二つの床枠部材5を略直行する方向から接続することで、扉枠部材22を自立させることが可能となる。これにより、手を放しても扉枠部材22が倒れることは無く、少人数でも簡便に本仮設部屋ユニット1を設置することが可能となる。
【0045】
また、本仮設部屋ユニット1では、複数の柱部材3を有する。
図6に、柱部材3の概略を示す。それぞれの柱部材3は、後述のように二つの梁部材4、二つの床枠部材5が接続される。また、柱部材3には、内部に設置する装置に対して電源を供給するためのコンセントユニットが付されていることが好ましい。このようにすることで、複雑な配線を不要として本仮設部屋ユニット1ごとに簡易な電気配線を可能とする。
【0046】
また、柱部材3の材質は、この仮設部屋ユニット1の強度を安定的に保持することができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属であることが好ましく、より好ましくはアルミニウムである。アルミニウムとすることで軽量化を図ることが可能となる。また、柱部材3は、限定されるわけではないが、中空の金属角柱で構成されていることが好ましい。このようにすることで、各面毎において他の部材との接続を確実に行うことが可能となる。また、柱部材3を中空の金属とすることで、この内部に電気配線を挿入することが可能となり、電気配線を傷つけることなく複雑な電気配線が不要となる。なおこの場合において、挿入された電気配線は、それぞれの端部近傍において接続コネクタECを有し、隣接する扉枠部材等の接続コネクタECと接続可能であることが好ましい。この場合のイメージは上記
図4で示すとおりである。特に柱部材3の場合、外部に接続するための接続コネクタを有していることが好ましい。柱部材3は角部にあり、外部電源に接続する接続位置として好適である。この接続コネクタECを起点とすることにより、本仮設部屋ユニット1全体に電力の供給が可能となるため、複雑な電気配線を不要とするといった利点がある。もちろん可能な限りこの外部接続のための接続コネクタECは他の部材に付してもよい。
【0047】
また、上記扉枠部材22と同様、柱部材3の上下の両端近傍には、梁部材4及び床枠部材5の突起部を挿入するための孔Hが形成されていることが好ましい。このようにすることで梁部材4及び床枠部材5との接続を確実にすることが可能である。なお、逆に、梁部材4及び床枠部材5にこの孔Hが形成されている場合は、柱部材3には上下の両端近傍に突起部P及び固定具F、更にはこれらを支持する板状の当て材Bを備えていることが好ましい。
【0048】
また、本仮設部屋ユニット1では、複数の梁部材4を有する。そして上記の通り、本梁部材4は、扉ユニット2と柱部材3、又は、柱部材3同士を接続するためのものである。
図7に、梁部材4の概略を示す。
【0049】
また、梁部材4の材質は、この仮設部屋ユニット1の強度を安定的に保持することができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属であることが好ましく、より好ましくはアルミニウムである。アルミニウムとすることで軽量化を図ることが可能となる。また、梁部材4は、限定されるわけではないが、中空の金属角柱で構成されていることが好ましい。このようにすることで、各面毎において他の部材との接続を確実に行うことが可能となる。また、梁部材4を中空の金属とすることで、この内部に電気配線を挿入することが可能となり、複雑な電気配線が不要となる。なおこの場合において、挿入された電気配線は、それぞれの端部近傍において接続コネクタECを有し、隣接する柱部材等の接続コネクタECと接続可能であることが好ましい。この場合のイメージは上記
図4で示すとおりである。
【0050】
また、上記の通り、梁部材4の両端近傍においても、上記扉枠部材22及び柱部材3に形成された孔Hに挿入するための突起部Pと、この突起部を確実に扉枠部材22又は柱部材3に固定するための固定具Fを有することが好ましい。このようにすることで扉枠部材22及び柱部材3との接続を確実にすることが可能である。なお、逆に、扉枠部材22及び柱部材3にこの突起部P及び固定具F、板状の当て材Bが形成されている場合は、梁部材4の両端近傍に孔Hが形成されていることが好ましい。
【0051】
また、本仮設部屋ユニット1では、床枠部材5を有する。そして上記の通り、本床枠部材5は、扉ユニット2と柱部材3、又は、柱部材3同士を接続するためのものである。
図8に、床枠部材5の概略を示す。
【0052】
また、床枠部材5の材質は、この仮設部屋ユニット1の強度を安定的に保持することができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属であることが好ましく、より好ましくはアルミニウムである。アルミニウムとすることで軽量化を図ることが可能となる。また、床枠部材5は、限定されるわけではないが、中空の金属角柱で構成されていることが好ましい。このようにすることで、各面毎において他の部材との接続を確実に行うことが可能となる。また、床枠部材5を中空の金属とすることで、この内部に電気配線を挿入することが可能となり、複雑な電気配線が不要となる。なおこの場合において、挿入された電気配線は、それぞれの端部近傍において接続コネクタECを有し、隣接する柱部材等の接続コネクタECと接続可能であることが好ましい。
【0053】
また、上記の通り、床枠部材5の両端近傍にも、上記扉枠部材22及び柱部材3に形成された孔Hに挿入するための突起部Pと、この突起部を確実に扉枠部材22又は柱部材3に固定するための固定具Fを有することが好ましい。このようにすることで扉枠部材22及び柱部材3との接続を確実にすることが可能である。なお、逆に、扉枠部材22及び柱部材3にこの突起部P、固定具F、板状の当て材Bが形成されている場合は、床枠部材5の両端近傍に孔Hが形成されていることが好ましい。
【0054】
また、本仮設部屋ユニット1では、梁部材4同士に架けられる天井梁部材61と、照明部材62を備えた天井ユニット6を有することが好ましい。
図9に、天井ユニット6の概略を示す。本仮設部屋ユニット1に天井ユニット6を設け部屋内に照明を確保することでより快適な空間となるとともに、本仮設部屋ユニット1の天井部分に屋根として機能するよう配置される壁部材を安定的に支えることができる。なお、照明が不要である場合、天井梁部材61のみで構成することが可能である。
【0055】
また、天井ユニット6も電気によって発光するものである以上電源があることが好ましく、そのため、上記他の部材と同様、天井梁部材61を中空の金属で構成し、この中空部分に電気配線を挿入し、照明部材62に接続しておくことが好ましい。このようにすることでより簡便に電気配線を形成することが可能となる。また、上記した他の部材と同様、少なくとも一端近傍において、他の電気配線の接続コネクタECと接続するための接続コネクタECを設けておくことが好ましい。
【0056】
また、本仮設部屋ユニット1では、陰圧ユニット7を有することが好ましい。陰圧ユニット7を設けることで、本仮設部屋ユニット1内の空気をフィルターを通して清浄化した状態で排出することができる。陰圧ユニット7が付されている場合の本仮設ユニット1全体(壁部材省略)の概略を
図10に、陰圧ユニット7の概略について
図11に示しておく。
【0057】
本仮設部屋ユニット1は、扉ユニット2と類似する構成を採用できる。具体的には板部材71と、板部材を囲う板枠部材72と、を有して構成され、更に板部材71に固定され本仮設部屋ユニット1内の空気を外部に排気する排気ユニット73と、を備えていることが好ましい。このように排気ユニット73を設けることで、上記の通り本仮設部屋ユニット1内の圧力を外気よりも低くすることが可能となる。また、排気ユニット73は上記の通り、仮に本仮設部屋ユニット1内に病原ウイルス等が存在していた場合でも無害な状態で排気させる必要があるため、フィルターを備えていることが好ましい。なお、陰圧ユニット7は、用途に応じて暖房装置や冷房装置等に代替可能である。
【0058】
また、この板枠部材72の上下近傍には、柱部材3、梁部材4、及び床枠部材5に設けられる突起部P及び固定具Fを挿入するための孔Hが形成されていることが好ましい。このようにすることで、上記の柱部材3、梁部材4、及び床枠部材5との接続を確実にすることが可能である。なお、逆に、板枠部材72にこの突起部P及び固定具F、板状の当て材Bが形成されている場合は、これに接続される柱部材3、梁部材4、床枠部材5の両端近傍に孔Hが形成されていることが好ましい。
【0059】
また、本仮設部屋ユニット1では、扉ユニット2、柱部材3及び床枠部材5により形成される平面を覆う壁部材8を有することが好ましい。壁部材8によって覆うことで外部と内部とを遮断することが可能となる。特に、上記のように陰圧ユニット7を設ける場合は、本仮設部屋ユニット内の気圧を本仮設部屋ユニット外よりも低くすることが可能となり、陰圧ブースとしての機能を確保することができるようになる。陰圧ユニット7を設けない場合は、救護室や休憩室等の一般的な部屋として利用が可能である。
【0060】
なお、壁部材8の材質としては、部屋の内部を外部と仕切ることができる限りにおいて限定されず様々な材質のものを採用することが可能である、例えば木材、ビニール等の樹脂等を用いることができるがこれに限定されない。
【0061】
また、壁部材8を柱部材3、梁部材4、床枠部材5、扉ユニット2、陰圧ユニット7等に貼り付けることで安定的に本仮設部屋ユニット1を外気と遮断させることができるようになる。この貼り付けに関しては、壁部材8がビニールなどの柔軟性のある材質を用いている場合、一般的なテープを用いて貼り付けることが可能であるが、いわゆる面ファスナーを用いて行うことも可能である。例えば、柱部材3、梁部材4、床枠部材5、扉ユニット2、陰圧ユニット7等の部材にはフック側の面ファスナーを、他方壁部材にはループ側の面ファスナーをそれぞれ付すことで、簡便に壁部材8を張り付けることが可能となる。この場合におけるイメージを
図12に示しておく。なおこの結果面ファスナー部分、壁部材8同士に隙間ができる可能性があるがこの間隙は粘着テープなどで簡単に塞ぐことが可能である。
【0062】
また、本仮設部屋ユニット1では、複数の梁部材4に張り巡らされるカーテンレール101及びカーテンレールに設置されるカーテン102と、を備えることが好ましい。これにより、壁部材8を透明性のある部材によって構成した場合でも、室内を外側から見えないようにすることが可能となる。この場合、梁部材8には、このカーテンレール101を保持するためのレール保持具を設けておくことが好ましい。
【0063】
以上、本発明によって、簡便に設置が可能である一方、十分な強度が確保でき、簡便に出入りが可能であり、電気を使用する機器の設置に対しても十分対応が可能な仮設部屋ユニットを提供することができる。
【0064】
また、本仮設部屋ユニット1では、上記の通り、扉ユニット、梁部材、柱部材、床枠部材等の細かなパーツに分割することが可能であり、非常にコンパクトにまとめることができる。また、材質としてアルミニウムなどの軽量金属を採用することで、非常に軽量化が可能となる。例えば高さ、幅、奥行きがそれぞれ180cm程度の大きさの仮設部屋ユニットとする場合、高さ25cm以下、幅65cm、長さ1.8m以下、重さ24kg以下のコンパクトなサイズにまでコストダウンが可能である。すなわち、不必要な際は物置等に簡便に収容しておき、仮設部屋の設置が必要となった際、これらを組み立てて仮設部屋とすることが可能となる。また、本仮設部屋ユニットは非常に簡便な組み立て方式であり、たとえ一人でも短時間で組み立てることができるといった利点がある。なお、実際に作製して組み立てた場合の本仮設部屋ユニットの写真図を
図13に、分解した状態の写真図を
図14にそれぞれ示す。
【0065】
(実施形態2)
本実施形態は、屋外により好ましく適用される実施形態であり、屋根ユニットが特徴的である。屋根ユニット以外の構成についてはほぼ実施形態1と同様であり、その説明は省略する。
【0066】
図15は、本実施形態に係る仮設部屋ユニット(本実施形態においても「本仮設部屋ユニット」という。)1の概略を示す。また
図16は、本仮設部屋ユニット1の屋根ユニット9の概略をそれぞれ示す。なお、本図中、(a)は、上側斜めから見た場合の斜視であり、(b)は下側斜めから見た場合の斜視である。
【0067】
これらの図で示すように、本仮設部屋ユニット1は、扉部材21及び扉枠部材22を有する扉ユニット2と、複数の柱部材3と、扉ユニット2と柱部材3、又は、柱部材3同士を接続するための複数の梁部材4及び複数の床枠部材5と、を有し、梁部材4によって形成される天井領域に架けられる屋根ユニット9を備えるものである。
【0068】
本仮設部屋ユニット1は、屋根ユニット9を備えることで、天井を壁部材8で覆うのではなくより強固な天井を確保し、強い風雨に耐えることができる。ここで「天井領域」とは、梁部材4によって囲われることにより形成される領域をいう。
【0069】
屋根ユニット9は、上記の通り、天井領域を覆うように梁部材4に架けられるものである限りにおいて限定されるわけではないが、天井領域及び梁部材4上を覆う天板部91と、天板部91周縁に設けられ梁部材4外側面に当たることで位置ずれを防止する周縁凸部92と、を備えることが好ましい。
図17に、屋根ユニット9の一部断面図を示しておく。
【0070】
本図で示すように、屋根ユニット9は、天板部91と周縁凸部92を備えることで、屋外に設置した場合の雨天時においても、雨水が屋根ユニット9と梁部材4の隙間から本仮設部屋ユニット1内に侵入するおそれを格段に低くすることができるようになる。
【0071】
後述のように屋根ユニット9は分割可能であるが、各分割された分割屋根部材911において、天板部91と周縁凸部92は一体で構成されている部分を有することが好ましい。一体で構成されていることでこの隙間を排除することが可能である。この天板部91及び周縁凸部92の材質としては、雨水を浸透させない部材である限りにおいて限定されず、金属や樹脂であることが好ましく、例えば金属である場合は、アルミ及びアルミニウム複合材、樹脂である場合、ウレタン等の発泡樹脂、ポリカーボネート等を例示することができるがこれに限定されない。
【0072】
なお、周縁凸部92の内側には、補強板921を設けておくことも好ましい。補強板921を設けることで、周縁凸部92を補強するとともに、梁部材4に安定して屋根ユニット9を固定することが可能となる。
【0073】
また、本仮設部屋ユニット1において、屋根ユニット9は、複数の分割屋根部材911に分割されていることが好ましい。この場合の分割イメージ図を
図18に示す。本仮設部屋ユニット1は、複数の細かな部材によって組み立て及び分割が可能であるため、屋根ユニット9も分割することで、組み立て及び分割が可能となり、さらに小さく収納することが可能になるといった利点がある。
【0074】
屋根ユニット9の分割数としては、特に限定されるわけではないが、2以上5以下であることが好ましく、より好ましくは3以上4以下である。本図ではその一例として3の例を示しておく。
【0075】
また、屋根ユニット9が分割されている場合、それぞれの分割屋根部材911間は隙間ができにくいようにあわされる部分(接合部)が形成される。しかしながら、この接合部においては一体でない以上完全に隙間なくするということは極めて困難である。そのため、本屋根ユニット9においては、一の分割屋根部材911の接合部近傍に設けられる接合凸部93と、これに隣接して配置される他の分割屋根部材911の接合部近傍に設けられ、かつ、接合凸部93を覆う接合カバー部94と、を有することが好ましい。これにより、隣接する二つの分割屋根部材の接合部を覆うことが可能となる。この場合のイメージを
図19に示しておく。
【0076】
本図で示すように、隣接して接合させる分割屋根部材911の一方に接合凸部93を設ける一方、これを覆う接合カバー部94を設けることで、雨水が接合部から部屋内にしみこむためには、接合凸部93を乗り越えなければならなくなる。しかもこの接合凸部93は接合カバー部94によっておおわれているため、この隙間もさらに狭くなっている。すなわち、雨水が接合部から部屋内にしみこむことは非常に困難となっている。これにより、屋外の様々な天候に対しても十分に対応可能な仮説部屋ユニットとなる。
【0077】
なお、接合凸部93、接合カバー部94は、組み合わされて使用されるものであるため、一の分割屋根部材911に接合凸部93が配置されている場合、他の分割屋根部材911にはこれに対応する接合カバー部94が配置されている必要がある(すなわち組になっている必要がある)が、いずれの分割屋根部材911に接合凸部93を配置するのか、接合カバー部94を配置するのかの配置の関係は自由である。
【0078】
なおこの場合において、接合凸部93の上には、緩衝部材931が設けられていることが好ましい。緩衝部材931を設けることで、接合凸部93と接合カバー部94の間のこの緩衝部材931の密着を高め、防水効果を高めることが可能となる。なおこの緩衝部材931は、外部の力に応じて縮むことが可能である一方、この外力が解除された場合は元の形状に戻る性質を備えているものである限りにおいて限定されるわけではないが、例えばゴムやスポンジ等であることが好ましい。
【0079】
また、本観点において、限定されるわけではないが、分割屋根部材911の下かつ接合部近傍に設けられ、隣接する分割屋根部材911同士を接合する分割屋根部材固定部材95を有することが好ましい。確かに上記の接合凸部93及び接合カバー部94を設けることで複数の分割屋根部材911同士を効率的に接続することが可能となるが天板部91の下部にさらに分割屋根部材固定部材95を設けることで、さらに分割屋根部材911同士を強固に接続することができるといった利点がある。また、分割屋根部材固定部材95を設けることで分割屋根部材911のたわみを抑えることができるといった効果がある。なお、このイメージ図は上記
図19のとおりである。なおこの場合において、分割屋根部材固定部材95同士は、ボルトとナット等の固定具等951等によって固定することが好ましい。
【0080】
さらに、本仮設部屋ユニット1の屋根ユニット9が分割されている場合に、隣接する分割屋根部材911の周縁凸部92の接合部近傍を覆う周縁カバー部96を有することが好ましい。この場合のイメージ図を
図20に示す。周縁カバー部96によると、上記の接合凸部93及び接合カバー部94だけでは防ぐことができない屋根ユニット9の側面の接合部を覆うことが可能となり、さらに室内の防水効果を高めることが可能となる。
【0081】
また、本仮設部屋ユニット1の天板部91の内側には、天板部内側周縁に設けられ、梁部材4の内側面に当たることで位置ずれを防止する内側固定部材97を有することが好ましい。屋根ユニット9は、周縁凸部92を設けることで梁部材4の外側に当てることが可能となり、屋根ユニット9が天井領域からずれてしまうおそれを少なくすることができるが、さらに内側固定部材97を設けることで内側からも梁部材4の内側面に当てることが可能となり、より固定を安定化することができる。この場合のイメージ図を
図21に示しておく。なお、内側固定部材97と梁部材4とは例えば、梁部材4にねじ穴をあけ、このねじ穴に挿入されるねじ部材等の固定具とを組み合わせて固定することが可能である。
【0082】
また、この場合において、本仮設部屋ユニット1の屋根ユニット9では、天井ユニット6を設ける代わりに照明ユニット98を分割屋根部材911の下面に設けておくことが好ましい。照明ユニット98を設けることで、天井ユニット6を設けずとも仮設部屋ユニット1内を効果的に照らすことが可能となる。この場合のイメージについて
図22に示しておく。
【0083】
以上、本発明によって、簡便に設置が可能である一方十分な強度が確保でき、簡便に出入りが可能であり、電気を使用する機器の設置に対しても十分対応が可能な仮設部屋ユニット、好ましくは屋外の様々な天候に対しても十分に対応可能な仮説部屋ユニットを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は仮設部屋ユニットとして産業上の利用可能性がある。