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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045923
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240327BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/165 401
B41J2/165
B41J2/17 207
B41J2/165 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151019
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】神吉 耕志
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 保紀
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC26
2C056EC54
2C056EC56
2C056FA13
2C056JA13
2C056JB03
2C056JB15
2C056JC13
2C056JC18
(57)【要約】
【課題】パージ動作の後、吐出ヘッドのノズル面に付着したインクが固まることを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】印刷装置3は、ノズルHcからインクを吐出する吐出ヘッドHと、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に付着したインクを除去する洗浄ブロック7と、パージ工程S101およびインク除去工程S104を実行可能な制御部391と、制御部391に命令を入力するための入力デバイス396とを備える。制御部391は、入力デバイス396を介して、パージ工程S101の実行を示す第1命令の入力を受け付けたか判定する第1入力判定処理を実行可能である。制御部391は、第1入力判定処理によって第1命令の入力を受け付けたと判定した場合、パージ工程S101と、インク除去工程S104とを含むメンテナンス処理を実行する。
【選択図】図14

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
ノズルが開口するノズル面を有し、前記ノズルからインクを吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドのノズル面に付着したインクを除去するインク除去部と、
前記吐出ヘッドにインクを吐出させるインク吐出処理、および、前記インク除去部に前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを除去させるインク除去処理を実行可能な制御部と、
前記制御部に命令を入力するための入力デバイスと、
を備え、
前記制御部は、
前記入力デバイスを介して、前記インク吐出処理の実行を示す第1命令の入力を受け付けたか判定する第1入力判定処理、
を実行可能であり、
前記制御部は、前記第1入力判定処理によって前記第1命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク吐出処理と、前記インク除去処理とを含む第1メンテナンス処理を実行する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記入力デバイスを介して、前記インク除去処理の実行を示す第2命令の入力を受け付けたか判定する第2入力判定処理、
をさらに実行可能であり、
前記制御部は、前記第2入力判定処理によって前記第2命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク除去処理を含み、前記インク吐出処理を含まない第2メンテナンス処理を実行する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
各種情報を表示するディスプレイ、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1命令を入力するための第1操作部を含む第1ウインドウを前記ディスプレイに表示させる、印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、一般ユーザモードと管理者モードとを含む複数の動作モードのうちいずれか1つの動作モードで動作可能であり、
前記制御部は、前記一般ユーザモードの場合、前記第1ウインドウを表示し、
前記制御部は、前記管理者モードの場合、前記第1ウインドウとは異なる第2ウインドウを前記ディスプレイに表示させる、印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記管理者モードの場合、
前記インク吐出処理の実行を示す第3命令の入力を受け付けたか判定する第3入力判定処理、
を実行可能であり、
前記制御部は、前記第3入力判定処理によって前記第3命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク吐出処理を含み、前記インク除去処理を含まない第3メンテナンス処理を実行する、印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記第2ウインドウは、前記第3命令を入力するための第2操作部を含み、
前記第1ウインドウは、前記第2操作部を含まない、印刷装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記インク除去部は、前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを吸引する吸引部を有する、印刷装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記インク除去部は、前記吐出ヘッドの前記ノズル面に洗浄液を吐出する洗浄液吐出部を有する、印刷装置。
【請求項9】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記インク除去部は、
前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを拭き取る拭き取りユニット、
を有する、印刷装置。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
前記吐出ヘッドの前記ノズル面を覆うことが可能なキャップ、
をさらに備え、
前記制御部は、前記インク吐出処理において、前記吐出ヘッドの前記ノズル面が前記キャップで覆われた状態で、前記吐出ヘッドにインクを吐出させる、印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式によってインクを吐出する吐出ヘッドが印刷装置で用いられている。かかる印刷装置では、印刷を行うとノズルにインク液滴が残留し、残留したインクがノズルからのインク吐出を妨げるおそれがある。このような、吐出ヘッド内部のインク流路内の異物をノズル外へ排出する加圧パージが行われる場合がある(例えば、特許文献1)。また、特許文献1には、加圧パージをした後、吐出ヘッドのノズル面に付着しているインクを、拭き取って除去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-80913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置において、パージ動作が行われた後、インク除去動作を行わなかった場合、吐出ヘッドのノズル面に付着したインクが固まるおそれがあった。ノズル面に固まったインクが堆積すると、堆積したインクが印刷媒体に接触したり、印刷媒体にインクが付着したりするおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、パージ動作の後、吐出ヘッドのノズル面に付着したインクが固まることを抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、印刷装置であって、ノズルが開口するノズル面を有し、前記ノズルからインクを吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドのノズル面に付着したインクを除去するインク除去部と、前記吐出ヘッドにインクを吐出させるインク吐出処理、および、前記インク除去部に前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを除去させるインク除去処理を実行可能な制御部と、前記制御部に命令を入力するための入力デバイスと、を備え、前記制御部は、前記入力デバイスを介して、前記インク吐出処理の実行を示す第1命令の入力を受け付けたか判定する第1入力判定処理、を実行可能であり、前記制御部は、前記第1入力判定処理によって前記第1命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク吐出処理と、前記インク除去処理とを含む第1メンテナンス処理を実行する。
【0007】
第2態様は、第1態様の印刷装置であって、前記制御部は、前記入力デバイスを介して、前記インク除去処理の実行を示す第2命令の入力を受け付けたか判定する第2入力判定処理、をさらに実行可能であり、前記制御部は、前記第2入力判定処理によって前記第2命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク除去処理を含み、前記インク吐出処理を含まない第2メンテナンス処理を実行する。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、各種情報を表示するディスプレイ、をさらに備え、前記制御部は、前記第1命令を入力するための第1操作部を含む第1ウインドウを前記ディスプレイに表示させる。
【0009】
第4態様は、第3態様の印刷装置であって、前記制御部は、一般ユーザモードと管理者モードとを含む複数の動作モードのうちいずれか1つの動作モードで動作可能であり、前記制御部は、前記一般ユーザモードの場合、前記第1ウインドウを表示し、前記制御部は、前記管理者モードの場合、前記第1ウインドウとは異なる第2ウインドウを前記ディスプレイに表示させる。
【0010】
第5態様は、第4態様の印刷装置であって、前記制御部は、前記管理者モードの場合、前記インク吐出処理の実行を示す第3命令の入力を受け付けたか判定する第3入力判定処理、を実行可能であり、前記制御部は、前記第3入力判定処理によって前記第3命令の入力を受け付けたと判定した場合、前記インク吐出処理を含み、前記インク除去処理を含まない第3メンテナンス処理を実行する。
【0011】
第6態様は、第5態様の印刷装置であって、前記第2ウインドウは、前記第3命令を入力するための第2操作部を含み、前記第1ウインドウは、前記第2操作部を含まない。
【0012】
第7態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記インク除去部は、前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを吸引する吸引部を有する。
【0013】
第8態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記インク除去部は、前記吐出ヘッドの前記ノズル面に洗浄液を吐出する洗浄液吐出部を有する。
【0014】
第9態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記インク除去部は、前記吐出ヘッドの前記ノズル面に付着したインクを拭き取る拭き取りユニットを有する。
【0015】
第10態様は、第1態様または第2態様の印刷装置であって、前記吐出ヘッドの前記ノズル面を覆うことが可能なキャップ、をさらに備え、前記制御部は、前記インク吐出処理において、前記吐出ヘッドの前記ノズル面が前記キャップで覆われた状態で、前記吐出ヘッドにインクを吐出させる。
【発明の効果】
【0016】
第1態様から第6態様の印刷装置によれば、インク吐出処理を行った後、連続してインク除去処理を行われる。このため、インク吐出処理の後、インク除去処理がされないまま放置されることで、ノズル面に付着したインクが固まることを抑制できる。
【0017】
第2態様の印刷装置によれば、インク除去処理のみを実行するメンテナンスを行うことができる。
【0018】
第2態様の印刷装置によれば、第1ウインドウ上の第1操作部を操作することによって、第1命令を入力することができる。
【0019】
第4態様の印刷装置によれば、受け付けることが可能な命令を動作モードごとに設定できる。
【0020】
第5態様の印刷装置によれば、管理者モードの場合、第3入力に基づいて、インク吐出処理を実行し、インク除去処理を実行しないようにすることができる。
【0021】
第6態様の印刷装置によれば、一般ユーザモードの場合、インク除去処理を含まない第3メンテナンス処理を実行する命令を入力不能にすることができる。このため、インク吐出処理のみを行って、インク除去処理が行われないまま吐出ヘッドが放置されることを抑制できる。
【0022】
第9態様の印刷装置によれば、インク除去処理において、吐出ヘッドのノズル面に付着した洗浄液を拭き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る印刷装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。
図2図1に示される印刷システムが備える印刷装置を模式的に示す正面図である。
図3】ヘッドユニットの底面を模式的に示す底面図である。
図4】ヘッドユニットの側面を模式的に示す側面図である。
図5】実施形態に係るメンテナンスユニットを示す図である。
図6】メンテナンスユニットの拭き取りユニットおよび洗浄ブロックを模式的に示す図である。
図7】洗浄ブロックを模式的に示す上面図である。
図8】吸引ブロックによる清掃作業に必要な負圧や洗浄液を供給する清掃ユニット8の構成を模式的に示す図である。
図9】メンテナンスユニットを制御するために印刷装置が備える電気的構成を示すブロック図である。
図10】メンテナンスユニットが実行するメンテナンス処理の一例を模式的に示す図である。
図11】制御部が実行するウインドウ表示処理の流れを示す図である。
図12】ディスプレイに表示される一般ユーザ用ウインドウの一例を示す図である。
図13】ディスプレイに表示される一般ユーザ用ウインドウの一例を示す図である。
図14図12に示される開始ボタンが押下された後に制御部が実行する動作フローを示す図である。
図15】ディスプレイに表示される管理者用ウインドウの一例を示す図である。
図16図15に示される開始ボタンが押下された後に制御部が実行する動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0025】
<1. 実施形態>
図1は、本発明に係る印刷装置を備えた印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。図1およびそれ以降の図には、水平方向Xおよび鉛直方向Zを示す矢印が適宜図示されている。図1に示されるように、印刷システム1は、水平方向Xに配列された印刷装置3および乾燥装置9を備える。この印刷システム1は、巻出ロール11から巻取ロール12へロール・トゥ・ロールで長尺帯状の印刷媒体Mを搬送する。印刷媒体Mは、例えば、OPP(oriented polypropylene)あるいはPET(polyethylene terephthalate)等のフィルムである。ただし、印刷媒体Mは、フィルムに限られず、紙、または、金属箔でもよい。かかる印刷媒体Mは可撓性を有する。以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0026】
乾燥装置9は乾燥炉90を備え、巻出ロール11から巻取ロール12への搬送に伴って印刷装置3から搬出された印刷媒体Mを乾燥させる。乾燥炉90内には、水平方向Xに配列された2個の上段送風ユニット91Uと、これら上段送風ユニット91Uの下側で水平方向Xに配列された2個の中段送風ユニット91Mと、これら中段送風ユニット91Mの下側で水平方向Xに配列された2個の下段送風ユニット91Lとが具備されている。
【0027】
印刷装置3の搬出口312から搬出された印刷媒体Mは、2個の上段送風ユニット91Uを水平方向Xに通過した後に、1対のローラ92によって2個の中段送風ユニット91Mへ向けて折り返される。続いて、印刷媒体Mは、2個の中段送風ユニット91Mを水平方向Xに通過した後に、1対のエアターンバー93によって下段送風ユニット91Lに向けて折り返される。さらに、印刷媒体Mは、2個の下段送風ユニット91Lを水平方向Xに通過した後に、乾燥装置9の外部へ搬出される。
【0028】
上段送風ユニット91Uは、水平方向Xに通過する印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟むように配置された2個の送風チャンバ94を有する。各送風チャンバ94は、水平方向Xに配列された複数のノズル95を有し、各ノズル95から温風(摂氏60度以上の気体)を印刷媒体Mへ噴射する。こうして、印刷媒体Mは、上下に設けられた2個の送風チャンバ94の間を通過しつつ、これら送風チャンバ94のノズル95から噴射された温風によって乾燥される。また、中段送風ユニット91Mおよび下段送風ユニット91Lのそれぞれも、上段送風ユニット91Uと同様に、印刷媒体Mを鉛直方向Zから挟む2個の送風チャンバ94を有する。
【0029】
ちなみに、上段送風ユニット91Uの具体的構成はこの例に限られない。例えば、上段送風ユニット91Uの上下の送風チャンバ94のうち下側の送風チャンバ94に代えて、水平方向Xに配列された複数のローラを設けてもよい。かかる構成では、複数のローラによって印刷媒体Mの裏面M2を下側から支持しつつ、上側の送風チャンバ94から印刷媒体Mの表面M1に温風を噴射できる。
【0030】
図2は、図1に示される印刷システムが備える印刷装置を模式的に示す正面図である。図2には、水平方向Xの一方側X1および他方側X2を示す矢印が図示されている。一方側X1は、印刷装置3から乾燥装置9へ向う側であり。他方側X2は、一方側X1の反対側である。印刷装置3は、筐体31と、筐体31内に配置されたカラー印刷部32と、筐体31内においてカラー印刷部32の上方に配置された白印刷部33と、筐体31内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部4とを備える。
【0031】
カラー印刷部32は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向(他方側X2から一方側X1へ向かう方向)に配列された複数(6個)のヘッドユニット321を有する。複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)等のインクを含む。こうして、カラー印刷部32の複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0032】
また、白印刷部33は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一のヘッドユニット331を有する。ヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部33のヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。
【0033】
筐体31の他方側X2の側壁には搬入口311が開口する一方、筐体31の一方側X1の側壁には搬出口312が開口している。そして、搬送部4は、上記のカラー印刷部32および白印刷部33を経由しつつ、搬入口311から搬出口312へ印刷媒体Mを搬送する。
【0034】
この搬送部4は、カラー印刷部32の下側に設けられた搬入部41と、カラー印刷部32の一方側X1に設けられた上昇搬送部42と、カラー印刷部32の上側に設けられた上方搬送部43と、カラー印刷部32の他方側X2に設けられた下降搬送部44とを有する。搬入部41は、搬入口311から搬入された印刷媒体Mをローラ411によって一方側X1に搬送し、上昇搬送部42は、搬入部41によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ421によって上側に搬送し、上方搬送部43は、上昇搬送部42によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ431によって他方側X2へ搬送し、下降搬送部44は、上方搬送部43によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ441によって下側に搬送する。
【0035】
さらに、搬送部4は、カラー印刷部32に対向する印刷媒体Mを下方から支持するカラー搬送部45を有し、下降搬送部44を通過した印刷媒体Mはカラー搬送部45に進入する。このカラー搬送部45は、他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ451を有し、各ローラ451が印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触する。こうして、カラー搬送部45によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、カラー印刷部32の各ヘッドユニット321は、この表面M1に上方から対向しつつカラーインクを吐出する。
【0036】
また、搬送部4は、印刷媒体Mの進行方向においてカラー搬送部45と下降搬送部44との間に配置されたローラ461、462、463を有する。ローラ461は、印刷媒体Mを駆動する駆動ローラである。ローラ462、463は印刷媒体Mに従動して回転する従動ローラである。
【0037】
さらに、搬送部4は、カラー搬送部45から一方側X1に搬送されてきた印刷媒体Mを二回上下反転させる反転搬送部47を有する。この反転搬送部47は、駆動ローラ471を含む複数のローラ471~477を有し、これらローラ471~477が印刷媒体Mの裏面M2に接触しつつ、印刷媒体Mを二回上下反転させる。つまり、反転搬送部47は、カラー搬送部45から搬送された印刷媒体Mを、ローラ471、472によって下方向に向けて搬送し、さらに印刷媒体Mの進行方向をローラ472によって他方側X2に変更して搬送することにより、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを上下反転させる。続いて、反転搬送部47は、複数のローラ473によって印刷媒体Mを一方側X1から他方側X2に向けて搬送し、次いで、ローラ474~476によって印刷媒体Mを上方向に向けて搬送する。さらに、反転搬送部47は、ローラ476によって印刷媒体Mの進行方向を一方側X1に変更することによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを再び上下反転させるとともに、ローラ477によって印刷媒体Mを他方側X2から一方側X1に向けて搬送する。
【0038】
また、搬送部4は、白印刷部33に対向する印刷媒体Mを下方から支持する白搬送部48を有し、反転搬送部47によって二回上下反転された印刷媒体Mは白搬送部48に進入する。この白搬送部48は、印刷媒体Mの裏面M2に下側から接触するローラ481を有する。こうして、白搬送部48によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、白印刷部33のヘッドユニット331は、この表面M1に上方から対向しつつ白インクを吐出する。
【0039】
また、搬送部4は、上方搬送部43より上方に設けられた搬出部49を有する。搬出部49は、水平方向Xの他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ491を有する。この搬出部49は、白搬送部48により搬送されてきた印刷媒体Mを、複数のローラ491によって一方側X1へと搬送することで、筐体31の搬出口312から乾燥装置9へ搬出する。
【0040】
上記のように、印刷装置3のカラー印刷部32および白印刷部33は、ヘッドユニット321、331を有する。続いては、これらヘッドユニット321、331について説明する。なお、これらの基本的な構成は、各ヘッドユニット321、331で共通する。そこで、以下では、一のヘッドユニット321について説明を行い、他のヘッドユニット321、331の説明を省略する。また、ヘッドユニット321の吐出ヘッドHは、印刷媒体Mの姿勢に応じて若干傾斜する。ただし、吐出ヘッドHの傾斜は僅かであるため、以下に示す図では傾斜は表していない。
【0041】
図3は、ヘッドユニットの底面を模式的に示す底面図である。図4は、ヘッドユニットの側面を模式的に示す側面図である。図3および図4では、水平方向X(一方側X1および他方側X2)および鉛直方向Zを示す矢印の他に、水平方向Xに直交する水平方向Yを示す矢印が図示されている。図3に示されるように、ヘッドユニット321では、同一の色のインクを吐出する複数の吐出ヘッドHが水平方向Yに一列に配列されている。なお、吐出ヘッドHの配列態様は図3の例に限られず、複数の吐出ヘッドHを千鳥状に配列しても構わない。
【0042】
吐出ヘッドHは、ハウジングHaを有する。ハウジングHaの底面Hb(ノズル面)は、平行四辺形である。図3に示されるように、底面Hbは、水平方向Yに延びる2本の直線と、水平方向Xに対して傾斜する2本の斜辺とを有する。水平方向Yに隣接する2つの吐出ヘッドHは、底面Hbの斜辺同士が重なるように配列される。なお、底面Hbは、平行四辺形に限定されるものではなく、正方形または長方形であってもよい。
【0043】
底面Hbは、インク吐出平面Hb1と、2個の突出平面Hb2とを有する。インク吐出平面Hb1は、水平方向Xにおいて、2個の突出平面Hb2の間に挟まれて位置する。インク吐出平面Hb1と突出平面Hb2とは互いに平行である。インク吐出平面Hb1および突出平面Hb2は、印刷媒体Mの表面M1に対向する。図4に示されるように、水平方向Xに並ぶ2個の突出平面Hb2は、同一の高さに位置する。換言すれば、2個の突出平面Hb2は、面一である。インク吐出平面Hb1は2個の突出平面Hb2より上側に位置する。つまり、2個の突出平面Hb2は、当該2個の突出平面Hb2の間のインク吐出平面Hb1よりも下側に突出する。各突出平面Hb2は、例えばガラスファイバで構成される。
【0044】
インク吐出平面Hb1では、水平方向Yに間隔を空けて並ぶ複数個のノズルHcが開口する。図3の例では、複数のノズルHcは1列に並ぶ。なお、複数個のノズルHcの配列態様はこの例に限られない。例えば、複数個のノズルHcは、水平方向Yに千鳥状に並んでいてもよい。各ノズルHcは、印刷媒体Mの表面M1へ向けてインクの液滴(以下、「インク滴」と称する。)を吐出する。なお、インク滴の吐出は、ピエゾ方式あるいはサーマル方式といった各種のインクジェット技術により実行できる。
【0045】
図5は、実施形態に係るメンテナンスユニットを示す図である。図6は、メンテナンスユニットの拭き取りユニットおよび洗浄ブロックを模式的に示す図である。図5および図6には、水平方向Yの一方側Y1および他方側Y2を示す矢印が図示されている。一方側Y1は、拭き取りユニット6から洗浄ブロック7へ向かう側である。他方側Y2は、一方側Y1の反対側である。図6には、後述するインク除去工程S104(図10)において、洗浄ブロック7と鉛直方向Zに対向する1個の吐出ヘッドHが破線で示されている。
【0046】
図5に示されるように、印刷装置3は、各吐出ヘッドHに対してメンテナンスを実行するメンテナンスユニット51を備える。メンテナンスユニット51は、複数のヘッドユニット321、331のそれぞれに対して配置されているが、各ヘッドユニット321、331に設けられたメンテナンスユニット51の構成および動作は共通する。そのため、ここでは一のメンテナンスユニット51について説明を行う。また、メンテナンスユニット51は、クリーニングの対象となるヘッドユニット321あるいはヘッドユニット331の姿勢に応じて若干傾斜する。ただし、メンテナンスユニット51の傾斜は僅かであるため、以下に示す図では傾斜は表していない。
【0047】
図5に示されるように、印刷装置3は、メンテナンスユニット51を水平方向Yに駆動する直動機構55を備える。直動機構55は、例えばボールネジやリニアモータによって構成される。直動機構55は、対向位置Laと、水平方向Yにおいて対向位置Laに間隔を空けて設けられた退避位置Lbとの間で、メンテナンスユニット51を移動させる。メンテナンスユニット51が対向位置Laに位置する場合、後述するキャップ53が複数の吐出ヘッドHに対向する。メンテナンスユニット51が退避位置Lbに位置する場合、キャップ53が複数の吐出ヘッドHに対向しない。また、メンテナンスユニット51との干渉を回避するために、複数の吐出ヘッドHは一体的に昇降する。例えば、複数の吐出ヘッドHの下端面である突出平面Hb2は、印刷高さ、キャップ高さH1、退避高さH2、洗浄高さH3に適宜配置される(図10)。キャップ高さH1は、印刷高さよりも高い。退避高さH2は、キャップ高さH1よりも高い。洗浄高さH3は、キャップ高さH1よりも高くかつ退避高さH2よりも低い。
【0048】
図5に示されるように、メンテナンスユニット51は、キャップ53、拭き取りユニット6および洗浄ブロック7(洗浄液吐出部)を有する。キャップ53は、下側から吐出ヘッドHを覆うキャッピングを実行する。図6に示されるように、拭き取りユニット6は、巻出ローラ61と巻取ローラ62とを有する。巻出ローラ61および巻取ローラ62は、水平方向Yに間隔を空けて位置する。拭き取りユニット6は、巻出ローラ61から巻取ローラ62へロール・トゥ・ロールでシートSを搬送する。また、拭き取りユニット6は、シートSを下側から巻き掛ける拭き取りローラ63を有する。拭き取りローラ63は、水平方向Yにおいて、巻出ローラ61と巻取ローラ62との間に位置する。拭き取りユニット6は、拭き取りローラ63と吐出ヘッドHの突出平面Hb2との間でシートSを挟みつつシートSを搬送することで、突出平面Hb2に付着したインクをシートSによって拭き取る(ヘッド拭き取り清掃)。シートSとしては長尺な帯状の布が用いられる。ただし、シートSの素材は布に限られず、例えば紙でもよい。
【0049】
図6に示されるように、メンテナンスユニット51は、メンテナンスユニット51のハウジング511に対して拭き取りユニット6を昇降させる昇降アクチュエータE6を有する。拭き取りユニット6がヘッド拭き取り清掃を行う際には、昇降アクチュエータE6は、拭き取りユニット6を拭き取り位置に上昇させる。また、拭き取りユニット6が拭き取り清掃を行わない際には、昇降アクチュエータE6は,拭き取りユニット6を拭き取り位置よりも下方に下降させる。
【0050】
洗浄ブロック7は、水平方向Yにおいて、キャップ53と拭き取りユニット6との間に位置する。洗浄ブロック7の上面は、ヘッド対向平面71を有する。ヘッド対向平面71は、吐出ヘッドHの突出平面Hb2と平行な平面である。洗浄ブロック7は、ヘッド対向平面71に開口する吸引孔72と吐出孔73とを有する。吸引孔72は、後述する清掃ユニット8(図8)により与えられる負圧(大気圧よりも低い気圧)によって、インクや洗浄液をヘッド対向平面71から吸引する。吐出孔73は、清掃ユニット8から供給された洗浄液を吐出する。
【0051】
洗浄ブロック7は、複数個の吐出孔73からインク吐出平面Hb1に対して傾斜する傾斜方向D1へ洗浄液を吐出する。本実施形態では、図6に示されるように、吐出孔73は傾斜方向D1に沿って延びる。傾斜方向D1は、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に対して、0°より大きく、かつ90°未満の角度αで傾斜する方向である。すなわち、傾斜方向D1は、インク吐出平面Hb1に対して非垂直に交差する方向である。また、本実施形態では、傾斜方向D1は、突出平面Hb2およびヘッド対向平面71に対しても、角度αで傾斜する方向である。
【0052】
図6に示されるように、印刷装置3は、受容器74を備える。受容器74は、洗浄ブロック7よりも下方に位置する。受容器74は、上部が開口した有底筒状の容器である。鉛直方向上側から見た平面視において、受容器74の上部の開口は、洗浄ブロック7よりも大きい。洗浄ブロック7は、受容器74の上部の開口の内側に位置する。受容器74は、洗浄ブロック7の各吐出孔73から吐出された洗浄液を受け止める。
【0053】
図6に示されるように、受容器74の内側には、水平方向Yに延びる複数の板バネ75(弾性部材)を有する。板バネ75は、受容器74の内側に位置する。洗浄ブロック7は、板バネ75に支持される。
【0054】
メンテナンスユニット51は、メンテナンスユニット51のハウジング511に対して洗浄ブロック7を昇降させる昇降アクチュエータE7を有する。洗浄ブロック7が後述するヘッドメンテナンスを行う際には、昇降アクチュエータE7は、洗浄ブロック7を洗浄高さH3(図10)に上昇させる。洗浄ブロック7がヘッドメンテナンスを行わない際には、昇降アクチュエータE7は洗浄高さH3よりも下方の待機高さH7(図10)へ下降させる。
【0055】
洗浄ブロック7が洗浄高さH3に位置する場合、図6に示されるように、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71が吐出ヘッドHの底面Hb(詳細には、突出平面Hb2)に当接する。このとき、板バネ75が弾性変形することによって、洗浄ブロック7を適切な押圧力で洗浄ブロック7に当接させることができる。
【0056】
図7は、洗浄ブロックを模式的に示す上面図である。図8は、吸引ブロックによる清掃作業に必要な負圧や洗浄液を供給する清掃ユニット8の構成を模式的に示す図である。図7には、後述するインク除去工程S104(図10)において、洗浄ブロック7と鉛直方向Zに対向する1個の吐出ヘッドHが破線で示されている。
【0057】
図7に示されるように、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71では、複数の吸引孔72が水平方向Xに一列に並ぶとともに、複数の吐出孔73が水平方向Xに一列に並ぶ。ただし、吸引孔72および吐出孔73の配列態様はここの例に限られない。例えば、吸引孔72と吐出孔73とが交互に配置されていてもよい。また、複数の吸引孔72および複数の吐出孔73は、水平方向Yにそれぞれ並んでいてもよい。
【0058】
清掃ユニット8は、吸引孔72に負圧を供給し、吐出孔73に洗浄液を供給する。清掃ユニット8は、洗浄液供給部82を有する。洗浄液供給部82は、洗浄液を貯留する洗浄液タンク81を有する。洗浄液は、例えば、インクの成分のうち着色成分(顔料・染料)を除く成分で構成される。なお、洗浄液は、界面活性剤を含む液体であってもよい。
【0059】
洗浄液供給部82は、配管821と、送液ポンプ822と、開閉電磁弁823とを有する。配管821は、洗浄液タンク81と吐出孔73とを接続する。送液ポンプ822および開閉電磁弁823は、配管821上に位置する。開閉電磁弁823は、送液ポンプ822と吐出孔73との間に位置する。開閉電磁弁823が開いた状態で、送液ポンプ822は、洗浄液タンク81から配管821を介して吐出孔73に洗浄液を供給する。また、送液ポンプ822が停止、あるいは開閉電磁弁823が閉鎖されることにより、吐出孔73への洗浄液の供給が停止される。
【0060】
清掃ユニット8は、負圧付与部84を有する。負圧付与部84は、吸引液トラップタンク83と、配管841と、開閉電磁弁842と、配管843と、イジェクタ844と、配管845と、開閉電磁弁846とを有する。配管841は、吸引液トラップタンク83と吸引孔72とを接続する。開閉電磁弁842は、配管841上に位置し、配管841を開閉する。配管843は、吸引液トラップタンク83と排気口85とを接続する。イジェクタ844は、配管843上に位置する。配管845は、イジェクタ844と正圧源とを接続する。開閉電磁弁846は、配管845上に位置し、配管845を開閉する。
【0061】
開閉電磁弁846が開いた状態で、正圧源からの正圧がイジェクタ844に供給されると、イジェクタ844は、正圧の供給に応じて負圧を発生させて、吸引液トラップタンク83内の気体(空気)を排気口85に排出する。これによって、吸引液トラップタンク83内に負圧が生じる。したがって、開閉電磁弁842が開いた状態では、吸引液トラップタンク83内の負圧が配管841を介して吸引孔72に供給される。
【0062】
吸引孔72が負圧によって吸引した液体(インクまたは洗浄液)は、配管841を介して吸引液トラップタンク83にトラップされる。一方、開閉電磁弁842および開閉電磁弁846の少なくとも一方が閉じられると、吸引孔72への負圧の供給が停止される。
【0063】
図1に示されるように、印刷装置3は、制御部391を備える。制御部391は、コンピュータであって、CPUなどのプロセッサ392、RAM393、および、HDDなどの補助記憶部394を有する。プロセッサ392が補助記憶部394にインストールされたコンピュータプログラムPを実行することによって、制御部391に接続された各部の動作を制御する。
【0064】
図9は、メンテナンスユニットを制御するために印刷装置が備える電気的構成を示すブロック図である。図9に示される駆動制御部391a、負圧制御部391b、供給制御部391c、および、出入力制御部391dは、プロセッサ392がコンピュータプログラムPを実行することによってソフトウェア的に実現される機能である。
【0065】
駆動制御部391aは、直動機構55の動作を制御し、メンテナンスユニット51を対向位置Laと、水平方向Yにおいて対向位置Laに間隔を空けて設けられた退避位置Lbとの間で、移動させる。また、駆動制御部391aは、昇降アクチュエータE6の動作を制御し、メンテナンスユニット51のハウジング511に対して拭き取りユニット6を昇降させる。さらに、駆動制御部391aは、昇降アクチュエータE7の動作を制御し、メンテナンスユニット51のハウジング511に対して洗浄ブロック7を昇降させる。
【0066】
負圧制御部391bは、負圧付与部84を構成する開閉電磁弁842、開閉電磁弁846の開閉動作を制御し、洗浄ブロック7の吸引孔72への負圧の付与を開始させ、あるいは、吸引孔72への負圧の付与を停止させる。
【0067】
供給制御部391cは、送液ポンプ822の供給動作と開閉電磁弁823の開閉動作を制御し、洗浄ブロック7の吐出孔73への洗浄液の供給を開始させ、あるいは、吐出孔73への洗浄液の供給を停止させる。
【0068】
図9に示されるように、印刷装置3は、ディスプレイ395と、入力デバイス396とを有する。ディスプレイ395は、各種情報を表示することが可能であって、液晶ディスプレイなどで構成される。入力デバイス396は、制御部391に情報を入力するための使用されるデバイスであって、マウスまたはキーボードなどで構成される。なお、ディスプレイをタッチパネルディスプレイで構成することにより、ディスプレイ395と入力デバイス396とが一体であってもよい。
【0069】
出入力制御部391dは、ディスプレイ395を制御して、ディスプレイ395に各種情報を表示させる。また、出入力制御部391dは、入力デバイス396を介して各種入力を受け付ける。制御部391は、入力デバイス396を介して受け付けた入力に基づいて、制御部391に接続された各要素の動作を制御する。
【0070】
<メンテナンス処理>
図10は、メンテナンスユニットが実行するメンテナンス処理の一例を模式的に示す図である。図10に示されるメンテナンス処理は、特に断らない限り、制御部391の制御下で行われる。図10に示されるメンテナンス処理は、パージ工程S101と、インク除去工程S104とを含む。
【0071】
パージ工程S101は、吐出不良を抑制するため、各吐出ヘッドHからインクを吐出する工程である。パージ工程S101は、「インク吐出処理」の一例である。図10に示されるように、パージ工程S101では、メンテナンスユニット51は、対向位置Laに位置する。ヘッドユニット321は、キャップ高さH1に位置する。このため、メンテナンスユニット51のキャップ53は、ヘッドユニット321に当接して、複数個の吐出ヘッドHを下側から覆う(キャッピング)。パージ工程S101では、拭き取りユニット6および洗浄ブロック7は、ヘッドユニット321に対して、水平方向Yの他方側Y2に離れて位置する。
【0072】
パージ工程S101では、キャップ53が各吐出ヘッドHの下方を覆う状態で、所定期間、各吐出ヘッドHの全ノズルHcからインク滴が吐出される。また、キャップ53には、インクを吸引して排出する、不図示の排出機構が設けられている。キャップ53内に吐出されるインク滴は、排出機構によって適宜排出される。
【0073】
パージ工程S101が完了すると、キャッピング解除工程S102が行われる。キャッピング解除工程では、ヘッドユニット321が、キャップ高さH1から待避高さH2へ上昇する。これにより、複数個の吐出ヘッドHがキャップ53から離隔される。なお、キャッピング解除工程S102において、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71、および、拭き取りユニット6の上端(詳細には、ローラ63の上端)は、待機高さH7に位置する。待機高さH7は、キャップ高さH1と同じ高さであってもよい。
【0074】
キャッピング解除工程S102が完了すると、ヘッド洗浄工程が開始される。図10に示されるように、ヘッド洗浄工程は、位置調整工程S103と、インク除去工程S104と、終了工程S105とを含む。位置調整工程S103では、ヘッドユニット321は、待避高さH2から洗浄高さH3まで下降する。また、駆動制御部391aは、昇降アクチュエータE6,E7を制御し、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71、および、拭き取りユニット6の上端を、待機高さH7から洗浄高さH3まで上昇させる。
【0075】
インク除去工程S104では、駆動制御部391aが直動機構55を制御し、メンテナンスユニット51を水平方向Yの一方側Y1へ移動させる。インク除去工程S104では、メンテナンスユニット51は、対向位置Laから退避位置Lbへ移動する。このメンテナンスユニット51の移動によって、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71は、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に下側から対向する。ヘッド対向平面71は、突出平面Hb2と同じ洗浄高さH3に位置する。このため、水平方向Xにおけるヘッド対向平面71の両端が突出平面Hb2に接触し、かつ、水平方向Xにおけるヘッド対向平面71の中央がインク吐出平面Hb1に対向した状態で、洗浄ブロック7が水平方向Yの一方側Y1へ移動する。
【0076】
このように、直動機構55は、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71が吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に対向する状態で、吐出ヘッドHに対して洗浄ブロック7を水平方向Y方向の一方側Y1に移動させる。直動機構55は、「移動駆動部」の一例である。
【0077】
インク除去工程S104において、洗浄ブロック7が一方側Y1へ移動する間、供給制御部391cは、洗浄液供給部82を制御し、複数個の吐出孔73から洗浄液を吐出させる。吐出孔73から吐出された洗浄液は、インク吐出平面Hb1および各突出平面Hb2に吹き付けられる。これにより、インク吐出平面Hb1および各突出平面Hb2に付着しているインク滴が適宜洗い流される。また、洗浄ブロック7が一方側Y1へ移動する間、負圧制御部391bは、負圧付与部84を制御し、吸引孔72に負圧を付与する。これにより、吐出孔73から吐出された洗浄液が、インクとともに吸引孔72を介して吸引される。すなわち、洗浄ブロック7は、インクを含む洗浄液を吸引する「吸引部」として機能する。このように、吸引孔72を介して吸引が行われることにより、洗浄ブロック7と吐出ヘッドHとの間で、吐出孔73から吸引孔72に向かう洗浄液の流れが形成される。なお、各吸引孔72に吸引されない洗浄液は、洗浄ブロック7から落下し、受容器74に受け止められる。
【0078】
以上のように、インク除去工程S104において、制御部391は、洗浄ブロック7の吐出孔73から洗浄液を吐出させ、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1および突出平面Hb2に付着したインクを除去する。また、インク除去工程S104において、制御部391は、洗浄ブロック7の吸引孔からインクを含む洗浄液を吸引させ、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1および突出平面Hb2に付着したインクを含む洗浄液を除去する。さらに、インク除去工程S104において、制御部391は、制御部391が拭き取りユニット6を制御して、吐出ヘッドHの底面Hbに付着したインクを含む洗浄液を拭き取る。インク除去工程S104は、「インク除去処理」の一例であり、洗浄ブロック7または拭き取りユニット6は、「インク除去部」の一例である。
【0079】
図7に示されるように、水平方向Xにおいて、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71の幅は、吐出ヘッドHの底面Hbの幅よりも大きい。インク除去工程S104では、X方向において、吐出ヘッドHの底面Hbは、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71よりも内側に位置する。このようにヘッド対向平面71が底面Hbに対向する状態で、洗浄ブロック7を吐出ヘッドHに対して水平方向Yに移動させることによって、吐出ヘッドHの底面Hb全体を良好に洗浄できる。
【0080】
インク除去工程S104では、メンテナンスユニット51が一方側Y1へ移動する途中、拭き取りユニット6のシートSは、吐出ヘッドHの各突出平面Hb2に接触する。この状態で、拭き取りユニット6は、水平方向Yの一方側Y1への移動を継続しつつ、ロール・トゥ・ロールによりシートSを搬送する。これによって、突出平面Hb2に付着している洗浄液およびインクが、シートSによって拭き取られる。なお、インク除去工程S104において、拭き取りユニット6のシートSを、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に接触させてもよい。これにより、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1に残留する洗浄液を拭き取ることができる。
【0081】
終了工程S105では、負圧制御部391bは、負圧付与部84を制御し、吸引孔72に負圧の付与を停止させる。また、供給制御部391cは、洗浄液供給部82を制御し、吐出孔73への洗浄液の供給を停止させる。そして、駆動制御部391aは、昇降アクチュエータE6,E7を制御して、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71、および、拭き取りユニット6の上端を、洗浄高さH3から待機高さH7に下降させる。
【0082】
以上が、メンテナンス処理の流れである。なお、終了工程S105の後、キャッピングが行われてもよい。すなわち、駆動制御部391aが直動機構55を制御してメンテナンスユニット51を対向位置Laに移動させる。そして、ヘッドユニット321が洗浄高さH3からキャップ高さH1に下降することによって、各吐出ヘッドHの下部がキャップ53で覆われる。このキャッピングによって、各吐出ヘッドHの各ノズルが乾燥することを抑制できる。
【0083】
洗浄ブロック7は、吐出孔73から、インク吐出平面Hb1に対して斜めの方向に洗浄液を吐出する。このため、インク吐出平面Hb1に沿う洗浄液の流れを形成できる。これにより、インク吐出平面Hb1を良好に洗浄できる。
【0084】
また、傾斜方向D1に洗浄液を吐出する場合、インク吐出平面Hb1に垂直な方向(以下、「法線方向」と称する。)に洗浄液を吐出する場合よりも、洗浄液の法線方向の速度を小さくすることができる。これにより、ノズルHc内への洗浄液の流入を抑えることができる。したがって、ノズルHc内におけるインクのメニスカスを適切に保護できる。
【0085】
また、法線方向の力が低減されることにより、吐出ヘッドH間の隙間に洗浄液が進入する量を減らすことができる。このため、吐出ヘッドH間の隙間に洗浄液が蓄積することを抑制できる。
【0086】
図6に示されるように、ヘッド対向平面71がインク吐出平面Hb1に対向する状態において、傾斜方向D1は、ヘッド対向平面71からインク吐出平面Hb1に向かって、水平方向Yの一方側Y1に傾斜する。インク除去工程S104では、洗浄ブロック7は、吐出ヘッドHに対して、水平方向Yの一方側Y1に移動する。すなわち、洗浄ブロック7上から見ると、インク除去工程S104では、吐出ヘッドHの移動方向(水平方向Yの他方側Y2)とは、逆方向に洗浄液が吐出される。これにより、吐出ヘッドHに対する洗浄液の相対速度を高めることができるため、洗浄液による吐出ヘッドHの洗浄効果を高めることができる。さらに、吐出孔73に対して、吸引孔72は、水平方向Yの一方側Y1に位置するため、一方側Y1に向かう洗浄液の流れを形成できる。したがって、洗浄液による吐出ヘッドHの洗浄効果を高めることができる。
【0087】
制御部391は、図10に示されるメンテナンス処理を行う各種条件の設定を、ディスプレイ395および入力デバイス396を用いたGUI操作で受け付ける。以下、このGUI操作について説明する。
【0088】
図11は、制御部が実行するウインドウ表示処理の流れを示す図である。制御部391は、GUI操作を受け付けるに当たり、複数の動作モードで動作することが可能である。複数の動作モードは、少なくとも、一般ユーザモードと、管理者モードとを含む。一般ユーザモードは、一般ユーザがメンテナンス処理の条件設定を行うことを想定して設定された動作モードである。管理者モードは、管理者がGUI操作を行うことを想定した動作モードである。一般には、管理者モードは、一般モードよりもより細かい条件設定を受け付けることが可能である。図11に示される、ウインドウ表示処理により、各動作モードに応じた条件設定のためのウインドウがディスプレイ395に表示される。
【0089】
まず、制御部391の出入力制御部391dは、動作モードが一般ユーザモードであるか管理者モードであるかを判定する(動作モード判定処理S21)。制御部391の動作モードは、入力デバイス396を介した所定の入力(パスワード入力や隠しコマンドの入力)が行われた否かなどに基づいて判定される。
【0090】
動作モードが一般ユーザモードであると判定される場合(動作モード判定処理S21においてYes)、出入力制御部391dは、一般ユーザ用ウインドウW1をディスプレイ395に表示させる(一般ユーザ用画面表示処理S22)。動作モードが管理者モードであると判定される場合(動作モード判定処理S21においてNo)、出入力制御部391dは、ディスプレイ395に管理者用ウインドウW2を表示させる(管理者用画面表示処理S23)。
【0091】
図12および図13は、ディスプレイに表示される一般ユーザ用ウインドウの一例を示す図である。図12に示されるように、一般ユーザ用ウインドウW1は、選択ボタンB11,B12,B13,B14と、開始ボタンB15と、キャンセルボタンB16とを有する。
【0092】
選択ボタンB11~B14は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のヘッドユニット321にそれぞれ対応する。選択ボタンB11~B14は、ドロップダウンボタンであって、メンテナンス処理に関する処理条件を示す複数のメニューの中から、1つのメニューを選択するための操作部である。複数のメニューは、本例では、「しない」、「普通」、「強い」、「さらに強い」の4個のメニューを含む。
【0093】
「しない」は、メンテナンス処理を実行しないことを示すメニューである。「普通」は、パージ工程S101(インク吐出処理)をスキップして、インク除去工程S104(インク除去処理)のみを行うメンテナンス処理(第2メンテナンス処理)を実行することを示すメニューである。「強い」および「さらに強い」は、パージ工程S101およびインク除去工程S104の両方を含むメンテナンス処理(第1メンテナンス処理)を実行することを示すメニューである。なお、「強い」と「さらに強い」とでは、処理条件が異なる。具体的には、パージ工程S101におけるインクの吐出時間が異なる。すなわち、「強い」の吐出時間(T1)は、「さらに強い」の吐出時間(T2)よりも短い時間に設定される(T1<T2)。なお、吐出時間以外の条件(例えば、インク除去工程S104における走査速度など)を異ならせてもよい。
【0094】
開始ボタンB15は、メンテナンス処理を開始する命令を入力するための操作部である。出入力制御部391dは、開始ボタンB15を押下する入力(例えば、クリック操作)を受け付けた場合、上記選択ボタンB11~B14で選択された条件を取得する。そして、制御部391は、取得した条件に基づいて、各ヘッドユニット321のメンテナンス処理を行う。
【0095】
キャンセルボタンB16は、メンテナンス処理を実行しない場合に操作される操作部である。出入力制御部391dは、キャンセルボタンB16を押下する入力を受け付けた場合、一般ユーザ用ウインドウW1を閉じてもよいし、あるいは、一般ユーザ用ウインドウW1とは異なる別のウインドウを表示してもよい。
【0096】
図13は、図12に示される開始ボタンが押下された場合の一般ユーザ用ウインドウW1を示す図である。図13に示されるように、開始ボタンが押下されると、一般ユーザ用ウインドウW1の表示内容が変化する。具体的には、選択ボタンB11~B14など、条件を設定するための操作部がグレーアウトになることにより、操作不能となる。また、一般ユーザ用ウインドウW1には、メンテナンス処理中であることを示す表示(ここではは、「洗浄中」という文字)が表示される。さらに、一般ユーザ用ウインドウW1には、停止ボタンB17が表示される。停止ボタンB17は、メンテナンス処理を停止させるための操作部である。出入力制御部391dは、停止ボタンB17を押下する入力を受け付けた場合、各要素の動作を停止させる。これにより、メンテナンス処理が停止される。
【0097】
図14は、図12に示される開始ボタンが押下された後に制御部が実行する動作フローを示す図である。開始ボタンB15の押下された場合、制御部391は、選択ボタンB11~B14を介して選択されたメニューの内容を判定する(メニュー判定処理S31,S32,S33)。選択されたメニューが「普通」である場合(メニュー判定処理S31においてYes)、制御部391は、対応するヘッドユニット321について、パージ工程S101をスキップし、インク除去工程S104を実行する。
【0098】
選択されたメニューが「強い」である場合(メニュー判定処理S32においてYes)、制御部391は、対応するヘッドユニット321について、吐出時間が短時間(T1)のパージ工程S101を実行した後、インク除去工程S104を実行する。また、選択されたメニューが「さらに強い」である場合(メニュー判定処理S33においてYes)、制御部391は、対応するヘッドユニット321について、吐出時間が長時間(T2)のパージ工程S101を実行した後、インク除去工程S104を実行する。そして、制御部391は、対応するヘッドユニット321についてのメンテナンス処理を終了する。
【0099】
なお、選択されたメニューが「しない」である場合(メニュー判定処理S31~S33においてNo)、制御部391は、対応するヘッドユニット321のメンテナンス処理を行わない。
【0100】
以上のように、「強い」または「さらに強い」が選択された状態で、開始ボタンB15が押下された場合、制御部391は、パージ工程S101およびインク除去工程S104を含むメンテナンス処理(第1メンテナンス処理)を実行する。この場合、開始ボタンB15を押下する操作は、制御部391に対して「第1命令」を入力することに相当し、開始ボタンB15は、「第1操作部」として機能する。さらに、メニュー判定処理S32またはS33は、「第1命令」の入力を受け付けたか判定する「第1入力判定処理」の一例である。
【0101】
また、「普通」が選択された状態で、開始ボタンB15を押下された場合、制御部391は、パージ工程S101を含まず、インク除去工程S104を含むメンテナンス処理(第2メンテナンス処理)を実行する。この場合、開始ボタンB15を押下する操作は、制御部391に対して「第2命令」を入力することに相当する。また、メニュー判定処理S31は、「第2命令」の入力を受け付けたか判定する「第2入力判定処理」の一例である。
【0102】
図15は、ディスプレイに表示される管理者用ウインドウの一例を示す図である。図15に示されるように、管理者用ウインドウW2は、選択ボタンB21,B22,B23と、入力ボックスBX1と、開始ボタンB24と、キャンセルボタンB25とを有する。
【0103】
選択ボタンB21は、メンテナンス処理に関する条件設定を行うヘッドユニット321を選択するための操作部である。本例では、選択ボタンB21は、ヘッドユニット321の色を示すK,C,M,Yのラベルが付された4個のサブボタンを含む。操作者は、4個のサブボタンのうちいずれか1個のボタンだけを押下する操作を行うことができる。
【0104】
選択ボタンB22,B23は、メンテナンス処理において実行する処理内容を選択するための操作部である。選択ボタンB22は、メンテナンス処理においてパージ工程S101を実行する場合に選択される。選択ボタンB23は、メンテナンス処理においてインク除去工程S104を実行する場合に選択される。
【0105】
入力ボックスBX1は、メンテナンス処理に関する処理条件(数値)を入力するための操作部である。具体的には、入力ボックスBX1は、パージ工程S101におけるインクの吐出時間(msec)が入力される。なお、図示を省略するが、管理者用ウインドウW2は、吐出時間以外の処理条件を入力するための操作部を有していてもよい。
【0106】
開始ボタンB24は、メンテナンス処理を開始する命令を入力するための操作部である。出入力制御部391dは、開始ボタンB24を押下する入力(例えば、クリック操作)を受け付けた場合、上記選択ボタンB21~B23で選択された条件、および、入力ボックスBX1に入力された条件を取得する。そして、制御部391は、取得された条件に基づいて、各ヘッドユニット321のメンテナンス処理を行う。
【0107】
キャンセルボタンB25は、メンテナンス処理を実行しない場合に操作される操作部である。出入力制御部391dは、キャンセルボタンB25を押下する入力を受け付けた場合、管理者用ウインドウW2を閉じてもよいし、あるいは、管理者用ウインドウW2とは異なる別のウインドウを表示してもよい。
【0108】
図16は、図15に示される開始ボタンが押下された後に制御部が実行する動作フローを示す図である。開始ボタンB24が押下された場合、制御部391は、ヘッドユニット321ごとに、図16に示される動作フローを実行する。
【0109】
まず、制御部391は、選択ボタンB22の押下状況に基づいて、パージ工程S101を実行するかどうか判定する(パージ判定処理S41)。選択ボタンB22が押下された場合(パージ判定処理S41においてYes)、制御部391は、パージ工程S101を実行する。管理者用ウインドウW2上で指定された条件(具体的には、入力ボックスBX1に入力された吐出時間)に従って、パージ工程S101を実行する。一方、選択ボタンB22が押下されなかった場合(パージ判定処理S41においてNo)、制御部391はパージ工程S101をスキップする。
【0110】
続いて、制御部391は、選択ボタンB23の押下状況に基づいて、インク除去工程S104を実行するかどうか判定する(インク除去判定処理S42)。選択ボタンB23が押下された場合(インク除去判定処理S42においてYes)、制御部391は、管理者用ウインドウW2上で設定された条件に従って、インク除去工程S104を実行する。選択ボタンB23が押下されなかった場合(インク除去判定処理S42においてNo)、制御部391は、インク除去工程S104をスキップする。
【0111】
以上のように、動作モードが管理者モードの場合、選択ボタンB21が押下された状態で、選択ボタンB23が押下されない状態で開始ボタンB24が押下された場合、パージ工程S101を含み、インク除去工程S104を含まないメンテナンス処理(第3メンテナンス処理)が行われる。すなわち、この場合、開始ボタンB24を押下することは、「第3命令」を入力することに相当し、開始ボタンB24は、「第2操作部」として機能する。さらに、パージ判定処理S41およびインク除去判定処理S42は、「第3命令」の入力を受け付けたか判定する「第3入力判定処理」の一例である。
【0112】
これに対して、図12図14において説明したように、一般ユーザ用ウインドウW1では、操作者は、インク除去工程S104を含まない第3メンテナンス処理を実行する命令を入力することが不能となっている。すなわち、一般ユーザ用ウインドウW1は、「第2操作部」を含まない。このため、一般ユーザモードでは、パージ工程S101が行われた後に、インク除去工程S104が行われずに吐出ヘッドHが放置されることを抑制できる。したがって、吐出ヘッドHのインク吐出平面Hb1または突出平面Hb2に付着したインクが固まることを抑制できる。
【0113】
また、上記のように、動作モードごとに操作部の内容が異なるウインドウをディスプレイ395に表示することによって、制御部391が受け付けることが可能な命令を動作モードごとに設定することができる。
【0114】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0115】
例えば、すべての吐出孔73が傾斜方向D1に洗浄液を吐出することは必須ではない。例えば、洗浄ブロック7の吐出面のうち、突出平面Hb2に対向する吐出孔73からは、突出平面Hb2に垂直な方向に沿って洗浄液を吐出させてもよい。
【0116】
また、ヘッド対向平面71における吐出孔73と吸引孔72の位置は、逆であってもよい。また、吐出孔73の傾斜方向D1は、他方側Y2へ向いていてもよい。
【0117】
また、受容器74は、省略することが可能である。例えば、ハウジング511を受容器として機能させてもよい。
【0118】
また、インク除去工程S104において、洗浄ブロック7のヘッド対向平面71を吐出ヘッドHの突出平面Hb2に接触させることは必須ではない。例えば、ヘッド対向平面71の高さを、洗浄高さH3よりも低くすることによって、ヘッド対向平面71を突出平面Hb2から離して配置してもよい。なお、ヘッド対向平面71と突出平面Hb2の間隔は、好ましくは、洗浄ブロック7と吐出ヘッドHとの間を吐出孔73から吐出される洗浄液で満たすことが可能な幅である。
【0119】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0120】
3 印刷装置
6 拭き取りユニット
7 洗浄ブロック(吸引部、洗浄液吐出部)
53 キャップ
72 吸引孔
73 吐出孔
391 制御部
395 ディスプレイ
396 入力デバイス
B15 開始ボタン(第1操作部)
B24 開始ボタン(第2操作部)
H 吐出ヘッド
Hb 底面(ノズル面)
Hc ノズル
S101 パージ工程
S104 インク除去工程
W1 一般ユーザ用ウインドウ
W2 管理者用ウインドウ
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図15
図16