(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045965
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】キャップ及びそれが装着される口栓
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
B65D41/04 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151077
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】深川 大
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA34
3E084AB01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB02
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD01
3E084HD04
(57)【要約】
【課題】口栓に装着するときの装着力が小さく且つ口栓に装着された状態での密封性が良好なキャップ及び口栓を提供する。
【解決手段】筒状の口栓1の開口部10を覆うようにキャップ2が装着され、口栓1の内周面11aに当接される当接部3をキャップ2の天板部21から口栓1側に向けて突設し、その当接部3と天板部21との連結部に口栓1の内周面11aと非当接の逃げ部4を形成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口栓の開口部を覆うように装着され、前記口栓の内周面に当接される当接部が天板部から口栓側に向けて突設されたキャップにおいて、
前記当接部と天板部との連結部に前記口栓の内周面と非当接の逃げ部が形成された、キャップ。
【請求項2】
前記逃げ部の外周よりも径方向外側の位置で、前記天板部から前記口栓側に向けて、前記口栓の開口縁部に当接するコンタクトリングが突設され、前記コンタクトリングは、コンタクトリングの突設方向を対称軸とする対称断面形状とされた、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記当接部の前記口栓側先方に、前記当接部に向けて次第に外側に広がるテーパ状の外周面を有する案内部が連設された、請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記口栓の外周に設けられた雄ねじに螺合する雌ねじが前記当接部よりも径方向外側に設けられ、その雌ねじのねじ山における前記天板部側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度が前記雌ねじのねじ山の前記天板部側と反対側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度よりも小さく設定された、請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
請求項4に記載のキャップが装着される口栓であって、前記雄ねじのねじ山における前記開口部側と反対側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度が前記雄ねじのねじ山の前記開口部側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度よりも小さく設定された、口栓。
【請求項6】
前記雌ねじのねじ山における前記天板部側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度が前記雄ねじのねじ山における前記開口部側と反対側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度より大きく設定された、請求項4に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ及びそれが装着される口栓、特に、口栓の内周面に当接されるインナーリングがキャップの天板部に設けられたキャップとそれが装着される口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体などを収容する紙パックに樹脂製の口栓が設けられ、この口栓の開口部を覆うようにしてキャップが装着される。一般に、口栓の外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじにキャップの雌ねじを螺合して口栓にキャップが装着される。このようなキャップとしては、例えば、下記特許文献1に記載されるものがある。このキャップでは、口栓の開口部を覆う天板部に円筒形状のインナーリングが口栓側に向けて突設されている。このインナーリングは、キャップ装着時に外周面が口栓の内周面に当接され、キャップ装着時における口栓の密封性を高めると共に、口栓を適正な円筒形状に復元・維持する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のインナーリングを備えたキャップでは、口栓にキャップを装着するときの装着力、すなわちキャップを装着するときの回転トルクとキャップを装着した状態における口栓の密封性はトレードオフの関係にある。すなわち、キャップを装着した状態での密封性を向上するためにインナーリングと口栓の競り量(設計上の締め付け代)を大きくするとキャップを装着するときの回転トルクが大きくなり、キャップを装着するときの回転トルクを小さくするためにインナーリングと口栓の競り量を小さくするとキャップを装着した状態における密封性が低下する。したがって、口栓にキャップを装着する時の装着力が小さく且つキャップを装着した状態における口栓の密封性が良好なキャップ及びそれが装着される口栓が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、口栓に装着するときの装着力が小さく且つ口栓に装着された状態での密封性が良好なキャップ及びそれが装着される口栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るキャップは、筒状の口栓の開口部を覆うように装着され、前記口栓の内周面に当接される当接部が天板部から口栓側に向けて突設されたキャップにおいて、前記当接部と天板部との連結部に前記口栓の内周面と非当接の逃げ部が形成されたことを要旨とする。
また、本発明の他の態様に係るキャップは、前記口栓の外周に設けられた雄ねじに螺合する雌ねじが前記当接部よりも径方向外側に設けられ、その雌ねじのねじ山における前記天板部側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度が前記雌ねじのねじ山の前記天板部側と反対側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度よりも小さく設定されたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様に係る口栓は、上記のキャップが装着される口栓であって、前記雄ねじのねじ山における前記開口部側と反対側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度が前記雄ねじのねじ山の前記開口部側の斜面の口栓軸線に対する傾斜角度よりも小さく設定されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のキャップ及びそれが装着される口栓によれば、インナーリングの当接部の天板部側に口栓の内周面と非当接の逃げ部が設けられていることにより、インナーリングと口栓の接触面積を小さくすることができることから、口栓にキャップを装着するときの装着力を小さくすることができ、その一方でインナーリングと口栓の競り量を確保することによってキャップを装着した状態における口栓の密封性も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のキャップ及び口栓の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のキャップ及びそれが装着される口栓の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1は、キャップ2及び口栓1の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。口栓1は、例えば液体などの内容物が充填される紙パックなどの函体に取り付けられるものであり、全体が例えば比較的柔軟な樹脂製で一体に形成されている。この口栓1は、円筒形状の本体部11を有し、図の上端開口部10から内容物が注出される。また、この本体部11の下端開口部(不図示)の周縁部からは、函体に取り付けるための円板形状のフランジ部12が径方向外側に向けて延設されている。また、このフランジ部12の中央部には、例えば、開栓前にキャップ2の開口縁部に取り付けられているタンパーエビデンスバンド(不図示)を係合するための厚板円板形状の土台部13が本体部11と一体的に設けられている。これら口栓1の概略構造は、従来既存ものと同等又はほぼ同等である。また、口栓1の本体部11の外周面には、従来既存の口栓1と同様に、キャップ2を装着するための雄ねじ14が形成されている。この雄ねじ14には、例えば3条ねじなどの多条ねじが用いられており、これによりねじのリード(ねじが1回転したときの軸方向の移動量)を大きくして少ない回転数でキャップ2を開閉することができる。なお、雄ねじ14のねじ山の詳細については、従来既存のねじ山と異なる。詳細は後述する。
【0011】
図2は、
図1のキャップ2を口栓1に装着した状態の断面図である。なお、構成上、煩雑で見にくい部分があるので、ハッチングは省略している。口栓1の本体部11の内周面11aは、フランジ部12側から開口部10側に向けて次第に先細りとなるテーパ形状とされており、本体部11の開口端部は、更に、強度を確保するために一定の厚さの肉厚部15とされている(外径は一定)。一方、キャップ2は、口栓1の開口部10を覆う円板形状の天板部21と、この天板部21の外周縁から口栓1の土台部13に向けて延設された円筒形状の外周部22を備え、全体が例えば比較的柔軟な樹脂製で一体に形成され、天板部21と反対側の外周部22の端部は開口している。この外周部22の内周面に、口栓1の本体部11に設けられている雄ねじ14と螺合する雌ねじ23が形成されている。したがって、この雌ねじ23も3条ねじなどの多条ねじで構成されている。この雌ねじ23のねじ山も、従来既存のねじ山と異なる。詳細は後述する。
【0012】
キャップ2の天板部21からは、外周部22の径方向内側において口栓1の内部に差し込まれる筒状のインナーリング24が口栓1側に向けて突設されている。このインナーリング24は、口栓1、特にその開口端部の肉厚部15の内周面11aに当接してキャップ2が装着されている状態での口栓1の密封性を高めると共に、口栓1を適正な円筒形状に復元・維持するためのものである。この実施形態では、口栓軸線Lと平行な断面において、インナーリング24は、長手(軸線)方向中央部が径方向外側に広がり且つ長手方向両端部が径方向内側にすぼまった、断面「く」(逆「く」)字形状断面を有する。すなわち、このインナーリング24は、凡そ同じ肉厚で、長手方向中央部が径方向外側に膨出したような形状となっている。したがって、このインナーリング24では、長手方向中央部が口栓1(の肉厚部15)の内周面11aに積極的に当接する当接部3を規定し、これよりも天板部21側には、口栓1(の肉厚部15)の内周面11aに非当接な逃げ部4が形成されている。
【0013】
また、当接部3よりも口栓側先方、すなわちインナーリング24の突出先方側は、案内部5を規定する。この案内部5は、インナーリング24の突出先方端から当接部3に向けて次第に径方向外側に広がる外周面を有する。口栓1にキャップ2が装着されるとき、後述するように、ねじの推力によってインナーリング24は口栓1の肉厚部15の内側に押し込まれる。その際、インナーリング24の突出方向先方に向けて先細りの案内部5がインナーリング24を口栓1の肉厚部15の内側に案内する。したがって、口栓1の肉厚部15が変形している(断面が真円でない)ような場合であっても、インナーリング24は口栓1の肉厚部15の内側にスムーズに押し込まれる。
【0014】
また、インナーリング24の逃げ部4の外周よりも径方向外側の位置には、天板部21から口栓1側に向けて突出するコンタクトリング6が天板部21と一体的に設けられている。このコンタクトリング6は、
図2に明示するように、キャップ2を装着した状態で口栓1の開口縁部に当接するものであり、インナーリング24と共にキャップ2を装着した状態での口栓1の密封性を向上する。このコンタクトリング6は、コンタクトリング6の突設方向(口栓軸線Lと平行な軸)を対称軸とする対称断面形状とされ、この実施形態では、コンタクトリング6の外周部22側の外周面もインナーリング24側の内周面も天板部21側が裾広がりのテーパ面とされ、図の左右の辺が等しい二等辺三角形断面形状とされている。したがって、後述するように、ねじの推力でコンタクトリング6の突出先端部が口栓1の開口縁部に押し付けられても、コンタクトリング6が何れかの方向に倒れてしまうようなことが起こりにくい。
【0015】
このインナーリング24、特に当接部3と口栓1(の肉厚部15)がオーバラップしている領域の径方向最大寸法が競り量であり、双方、この例ではインナーリング24が大きく弾性変形することでインナーリング24の当接部3の外周面が口栓1(の肉厚部15)の内周面11aに密着して、キャップ2が装着されている状態での口栓1の密封性を高める。キャップ2を装着するときには、口栓1とインナーリング24、特にインナーリング24を変形させながらキャップ2を回転しなければならないので、口栓1とインナーリング24の競り量が大きいほど、キャップ2の装着力、すなわちキャップ2を回転する回転トルクが大きい。但し、この実施形態では、インナーリング24の当接部3の天板部21側には、口栓1の内周面11aと非当接な逃げ部4が設けられているので、口栓1の内周面11aには、インナーリング24の長手方向中央部の当接部3のみが当接され、すなわち両者の接触面積が小さく、これにより口栓1とインナーリング24の競り量を確保しても、キャップ2を装着するときの装着力はさほど大きくない。
【0016】
図3は、従来のキャップ2及び口栓1の一例を示す説明図であり、
図2と同じく、キャップ2を口栓1に装着した状態の断面図である。前述の特許文献1に記載されるインナーリング24の外周面は、
図3にも示すように、天板部21側もストレートな円筒形状であり、突出先端部だけが次第に先細りテーパ状の案内部5になっている。すなわち、この従来のインナーリング24は、テーパ状の案内部5より天板部21側が当接部3として口栓1の内周面11aに当接される。したがって、キャップ2を口栓1に装着する際、インナーリング24の円筒形状の外周面が当接部3として口栓1の内周面11aに当接されるので、両者の接触面積が大きく、インナーリング24と口栓1の競り量が小さくても、キャップ2の装着力、すなわちキャップ2の回転トルクは
図2のインナーリング24と比較して大きい。
【0017】
また、この従来のインナーリング24の円筒形状外周面からなる当接部3が天板部21まで連続している結果、天板部21の内側面におけるコンタクトリング6との隙間が小さく、この隙間を確保してコンタクトリング6を口栓1側に向けて突設するために、コンタクトリング6はインナーリング24側と反対側、すなわち外周部22側の外周面がストレートの円筒形状になっており、したがってコンタクトリング6は、インナーリング24側の内周面のみが天板部21側に向けて裾広がりのテーパ状となっている。すなわち、コンタクトリング6の断面形状は、外周面がストレートで内周面が傾斜面をなす直角三角形となっている。この外周面がストレートで、内周面のみが裾広がりの傾斜面である直角三角形断面形状のコンタクトリング6が口栓1の開口縁部に押し付けられると、コンタクトリング6が撓んで径方向内側又は外側の何れかの方向に倒れ易くなってしまい、口栓1の開口縁部との接触が安定しない。このようにコンタクトリング6と口栓1の開口縁部との接触が安定しないと、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性が低下するおそれがある。
【0018】
また、前述のように、
図2に示す実施形態のキャップ2及び口栓1では、それぞれ、雌ねじ23と雄ねじ14のねじ山の斜面に特徴がある。まず、キャップ2の雌ねじ23では、ねじ山の天板部21側の斜面23Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度が天板部21側と反対側の斜面23Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度よりも小さく設定されている。一方、口栓1の雄ねじ14では、ねじ山の開口部10側と反対側の斜面14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度が開口部10側の斜面14Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度よりも小さく設定されている。このように口栓軸線Lに対する傾斜角度が小さく設定されているねじ山の斜面23T、14Tは、何れも
図2のように口栓1にキャップ2を装着した状態で当接する斜面であり、換言すれば締め付け側の斜面である。また、キャップ2の雌ねじ23と口栓1の雄ねじ14を比較すると、キャップ2の雌ねじ23のねじ山における天板部21側の斜面23Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度が口栓1の雄ねじ14のねじ山における開口部10側と反対側の斜面14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度より大きく設定されている。
【0019】
図3の従来例は、キャップ2の雌ねじ23も口栓1の雄ねじ14も、ねじ山の斜面23T、23L、14T、14Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度が一定である。これらのねじ山の斜面23T、23L、14T、14Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度は、
図2に示す口栓1の雄ねじ14におけるねじ山の開口部10側の斜面14Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度と同等である。キャップ2が口栓1に装着され、雄ねじ14に雌ねじ23が締め付けられると、締め付け側の斜面23T、14Tに反力が生じ、結果として、口栓1が径方向内側に押し付けられる。このように口栓1が径方向内側に押し付けられると、口栓1(の肉厚部15)の内周面11aがインナーリング24の当接部3に押し付けられるので、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性が向上する。このとき、
図2に示すように、締め付け側の斜面23T、14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度を小さくしておくと、口栓1を径方向内側に押し付ける力のベクトルが大きくなり、これにより口栓1(の肉厚部15)の内周面11aがインナーリング24の当接部3により強く押し付けられ、結果として、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性が向上する。また、キャップ2の雌ねじ23のねじ山における天板部21側の斜面23Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度を口栓1の雄ねじ14のねじ山における開口部10側と反対側の斜面14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度より大きくしておくことにより、口栓1をキャップ2の天板部21側に押し付ける力のベクトルが大きくなるので、結果としてコンタクトリング6が口栓1の開口縁部に強く押し付けられ、これによりキャップ2を装着した状態での口栓1の密封性がより一層向上する。
【0020】
このように、この実施形態のキャップ2では、インナーリング24の当接部3の天板部21側に口栓1の内周面11aと非当接の逃げ部4が設けられていることにより、インナーリング24と口栓1の接触面積を小さくすることができることから、口栓1にキャップ2を装着するときの装着力を小さくすることができ、その一方でインナーリング24と口栓1の競り量を確保することによってキャップ2を装着した状態における口栓1の密封性も向上することができる。
また、インナーリング24の逃げ部4の外周よりも径方向外側の位置で、天板部21から口栓1側に向けて、口栓1の開口縁部に当接するコンタクトリング6を突設し、そのコンタクトリング6の断面形状をコンタクトリング6の突設方向を対称軸とする対称断面形状とした。これにより、キャップ2を口栓1に装着した状態でのコンタクトリング6の倒れが防止され、キャップ2を装着した状態における口栓1の密封性を向上することができる。
【0021】
また、インナーリング24の当接部3の口栓側先方に、当接部3に向けて次第に外側に広がるテーパ状の外周面を有する案内部5を連設した。これにより、口栓1が変形しているような場合であっても、インナーリング24を口栓1の内側にスムーズに押し込むことができる。
また、キャップ2の雌ねじ23のねじ山における天板部21側の斜面の口栓軸線Lに対する傾斜角度23Tを天板部21側と反対側の斜面23Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度よりも小さく設定した。これにより、口栓1の内周面11aがインナーリング24の当接部3により強く押し付けられ、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性が向上する。
【0022】
また、口栓1の雄ねじ14のねじ山における開口部10側と反対側の斜面14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度を開口部10側の斜面14Lの口栓軸線Lに対する傾斜角度よりも小さく設定した。これにより、口栓1の内周面11aがインナーリング24の当接部3により強く押し付けられ、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性が向上する。
また、キャップ2の雌ねじ23のねじ山における天板部21側の斜面23Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度を口栓1の雄ねじ14のねじ山における開口部10側と反対側の斜面14Tの口栓軸線Lに対する傾斜角度より大きく設定した。これにより、コンタクトリング6が口栓1の開口縁部に強く押し付けられ、キャップ2を装着した状態での口栓1の密封性がより一層向上する。
【0023】
以上、実施形態に係るキャップ2及びそれが装着される口栓1について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、筒状のインナーリング24の形状を調整して口栓1の内周面11aに当接する当接部3と、その天板部21側で口栓1の内周面11aに非当接な逃げ部4を構成したが、これら当接部3と逃げ部4の構成はこれに限定されない。例えば、天板部21の中央部から円柱形状の当接部3を口栓1側に向けて突設し、その外周面の天板部21側を小径化して逃げ部4を規定するといった構成なども本発明に包含される。
【0024】
また、一般的には、口栓1の外周面に雄ねじ14が形成され、その雄ねじ14に螺合される雌ねじ23がキャップ2の外周部22の内周面に形成され、口栓1の雄ねじ14にキャップ2の雌ねじ23を螺合してキャップ2が口栓1に装着されるが、口栓1とキャップ2の装着形態はこれに限定されない。
また、上記実施形態では、コンタクトリング6の断面形状を径方向外側の面と径方向内側の面が対称となる二等辺三角形断面形状としたが、本発明のコンタクトリング6は、コンタクトリング6の突設方向を対称軸とする対称断面形状であればどのような断面形状であってもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 口栓
2 キャップ
3 当接部
4 逃げ部
5 案内部
6 コンタクトリング
10 開口部
11a 内周面
14 雄ねじ
21 天板部
23 雌ねじ
L 口栓軸線