(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045972
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】無人航空機の搬送システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/46 20240101AFI20240327BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240327BHJP
【FI】
G05D1/10
G05D1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151085
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】武野 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】新田 聡
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA06
5H301AA09
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301FF07
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】搬送効率が高い搬送システムを実現する。
【解決手段】無人航空機20及び搬送車40を制御する制御装置を備え、制御装置は、無人航空機20の目的地T1を指定した移動指令を搬送車40及び当該搬送車40に保持された無人航空機20の双方に対して出力し、移動指令を受け取った搬送車40は、走行経路R上における、目的地T1に対応して設定された停止位置である対応停止位置P1まで走行して対応停止位置P1に停止し、無人航空機20は、搬送車40が対応停止位置P1に停止した状態で、航空機保持部から離陸して目的地T1へ移動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機と、
前記無人航空機を保持する航空機保持部を備え、規定の走行経路に沿って走行する搬送車と、
前記無人航空機及び前記搬送車を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記無人航空機の目的地を指定した移動指令を前記搬送車及び当該搬送車に保持された前記無人航空機の双方に対して出力し、
前記移動指令を受け取った前記搬送車は、前記走行経路上における、前記目的地に対応して設定された停止位置である対応停止位置まで走行して前記対応停止位置に停止し、
前記移動指令を受け取った前記無人航空機は、前記搬送車が前記対応停止位置に停止した状態で、前記航空機保持部から離陸して前記目的地へ移動する、無人航空機の搬送システム。
【請求項2】
前記無人航空機の前記目的地を指定した前記移動指令を第1移動指令とし、
前記制御装置は、前記第1移動指令の出力と、第2移動指令及び第3移動指令の出力と、を選択的に実行し、
前記第2移動指令は、前記走行経路上に設定された前記搬送車の目的停止位置を指定して前記搬送車に対して出力される移動指令であり、
前記第3移動指令は、前記無人航空機の前記目的地を指定して前記無人航空機に対して出力される移動指令であり、
前記制御装置は、前記第2移動指令を前記搬送車に対して出力した後に、当該搬送車に保持された前記無人航空機に対して前記第3移動指令を出力することができるように構成され、
前記第2移動指令を受け取った前記搬送車は、前記目的停止位置まで走行して前記目的停止位置に停止し、
前記第3移動指令を受け取った前記無人航空機は、前記搬送車が前記目的停止位置に停止した状態で、前記航空機保持部から離陸して前記目的地へ移動する、請求項1に記載の無人航空機の搬送システム。
【請求項3】
前記搬送車は、前記無人航空機が前記目的地から帰還して前記航空機保持部に着陸するまで、前記対応停止位置に停止する、請求項1に記載の無人航空機の搬送システム。
【請求項4】
前記無人航空機は、物品の保持及び当該保持の解除が可能である物品保持部を備え、
前記制御装置は、前記移動指令における前記目的地として、前記物品を搬送する搬送先、及び、前記物品を受け取る受取先の少なくとも一方を指定する、請求項1に記載の無人航空機の搬送システム。
【請求項5】
前記制御装置は、操作者の操作入力を受け付ける操作受付部を備えると共に、定められたプログラムに従って前記目的地を自動的に設定するモードである自動モードと、前記操作入力に応じて前記無人航空機及び前記搬送車を制御するモードである手動モードと、に切り替え可能に構成され、
前記自動モードでは、前記搬送車の走行中における前記無人航空機の飛行は禁止され、
前記手動モードでは、前記操作入力に応じて前記搬送車の走行が行われると共に、前記搬送車が走行中であるか停止中であるかに関わらず、前記操作入力に応じて前記無人航空機の飛行が行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機の搬送システム。
【請求項6】
前記対応停止位置は、前記無人航空機が前記航空機保持部から離陸する場合の障害になる障害物がない場所に設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機の搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機の搬送システムが知られている。特許文献1には、物品を搬送する無人航空機の搬送システムが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている搬送システムの無人航空機は、商用電力の電線路に沿って飛行し、電線路を流れる商用電力を利用して充電される。このため、充電している時間は無人航空機の移動が中断されてしまう。特に、重量物である物品を搬送する場合には無人航空機の充電回数が増えることになる。また、屋内や屋外で飛行禁止区域がある場合には、その区域を無人航空機が迂回する必要がある。これらのことにより、物品や無人航空機の搬送効率が低くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、搬送効率が高い搬送システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
無人航空機と、前記無人航空機を保持する航空機保持部を備え、規定の走行経路に沿って走行する搬送車と、前記無人航空機及び前記搬送車を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記無人航空機の目的地を指定した移動指令を前記搬送車及び当該搬送車に保持された前記無人航空機の双方に対して出力し、前記移動指令を受け取った前記搬送車は、前記走行経路上における、前記目的地に対応して設定された停止位置である対応停止位置まで走行して前記対応停止位置に停止し、前記無人航空機は、前記搬送車が前記対応停止位置に停止した状態で、前記航空機保持部から離陸して前記目的地へ移動する。
【0007】
本構成によれば、搬送車により目的地に対応する対応停止位置まで無人航空機を搬送することができ、当該対応停止位置から目的地まで無人航空機が飛行することができる。このため、例えば、無人航空機と搬送車とにより重量物を搬送する場合に無人航空機の飛行距離や飛行時間を削減できる。また、例えば、搬送車により複数の無人航空機をまとめて搬送したり、無人航空機が飛行できない区間であっても搬送車を用いて無人航空機を移動させることができる。従って、物品や無人航空機の搬送効率を高くすることができる。また、走行経路が設定されていない場所が目的地となった場合であっても無人航空機により目的地まで到達することができるため、搬送車の走行経路を想定される目的地の全てに近接させて設ける必要がなくなるため、走行経路の設置費用を低減できる。また、搬送車が対応停止位置に停止した状態で無人航空機が離陸するため、自動で飛行する無人航空機の離陸を精度よく行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る無人航空機の搬送システムを示す図
【
図4】
図1の搬送システムによる無人航空機搬送処理のフローチャート
【
図5】第2の実施形態に係る無人航空機の搬送システムを示す図
【
図6】
図5の搬送システムによる無人航空機搬送処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施形態〕
以下では、本実施形態に係る無人航空機20の搬送システム10について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る無人航空機20の搬送システム10を示す図である。搬送システム10は、無人航空機20と、規定の走行経路Rに沿って走行する搬送車40とを備えている。ここで、鉛直方向に沿う方向を上下方向Zとし、走行経路Rに沿う方向を走行方向Xとし、上下方向視で走行方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。本実施形態では、搬送システム10は、複数の無人航空機20と、複数の搬送車40と、を備える。なお、搬送システム10が備える無人航空機20、搬送車40のそれぞれの数は適宜設定可能である。また、本実施形態では、走行経路Rは、無人航空機20の飛行が禁止される飛行禁止エリアA1を通るように構成されている。
【0010】
無人航空機20としては、遠隔操作或いは自律飛行が可能な固定翼機や回転翼機が例として挙げられる。本実施形態では、無人航空機20は垂直離着陸可能な電動式の回転翼機である。好適には、無人航空機20は自律飛行が可能なマルチコプタ(所謂ドローン)である。また、好適には、無人航空機20は、後述の給電線62を介して搬送車40が備える電源部63から電力が供給される有線式の回転翼機である。無人航空機20は、例えば、受取先である目的地T1から物品Wを受け取り、搬送先である目的地T2或いは目的地T3に物品Wを搬送する。
【0011】
搬送車40としては、例えば遠隔操作或いは自律走行が可能であって、屋内又は屋外の通路上の走行経路Rを走行する無人搬送車両や、床や天井に設置された軌条により形成される走行経路Rを走行する有軌道台車等が挙げられる。本実施形態では、搬送車40は室内の天井に沿って設置された走行経路Rに沿って走行する天井搬送車である。
【0012】
本実施形態では、走行経路R上には目的地Tに対応して設定された停止位置である対応停止位置Pが設定されている。また、対応停止位置Pは、無人航空機20が航空機保持部44から離陸する場合の障害になる障害物B1がない場所に設定されている。図示の例では、停止位置P1,P2,P3は、それぞれ目的地T1,T2,T3毎に予め設定されている対応停止位置Pである。また、対応停止位置Pは、飛行禁止エリアA1ではない場所に設定されている。障害物B1としては、排気ダクトやトンネル等が例として挙げられる。好適には、対応停止位置Pは、走行経路R上の複線区間に設けられた停止位置である。このようにすれば、対応停止位置Pに搬送車40が停止していても、他の搬送車40が追い越すことができる。
【0013】
図2は無人航空機20及び搬送車40の側面を示す図である。本実施形態では、無人航空機20は、物品Wの保持及び当該保持の解除が可能である物品保持部21を備えている。また、無人航空機20は、物品保持部21により保持された物品Wよりも上側に位置する本体部22を備えている。本体部22は、無人航空機20の飛行機能を実現するための部分である。本体部22には、推進力や揚力を発生させる機構が設けられる。本体部22は、例えば、回転翼と、回転翼を駆動する電気モータと、を備える。また、物品保持部21は、物品Wを吊り下げた状態で保持するように構成されている。ここで、無人航空機20が物品保持部21により物品Wを保持した状態を物品保持状態とし、無人航空機20が物品保持部21により物品Wを保持していない状態を物品非保持状態とする。
【0014】
本実施形態では、搬送車40は、無人航空機20を保持する航空機保持部44を備えている。航空機保持部44は、物品保持状態及び物品非保持状態のいずれの状態の無人航空機20でも保持できると共に、物品保持状態及び物品非保持状態のいずれの状態の無人航空機20でも離陸及び着陸できるように構成されている。図示の例では、搬送車40は複数(
図2では2つ)の航空機保持部44を備えている。
【0015】
本実施形態では、搬送車40は、航空機保持部44に保持された無人航空機20を収容する収容部45を備えている。この収容部45は、走行部42よりも下側に配置されている。図示の例では、収容部45は離陸及び着陸を行う無人航空機20が通る開口46を走行方向Xの両側及び幅方向Yの両側に備えている。
【0016】
本実施形態では、搬送車40の航空機保持部44は、物品保持部21に保持された物品Wよりも上側において本体部22を下側から支持する支持部材50を備えている。本実施形態では、
図2に示すように、支持部材50は、無人航空機20が離陸及び着陸に際して出入りする側である支持部材50の先端側が高くなるように傾斜している。なお、支持部材50は、一本の挿入部材であってもよく、一対の挿入部材であってもよい。また支持部材50が吊持用ハンガであり無人航空機20の本体部22が吊持される構成であってもよい。
【0017】
本実施形態では、搬送車40は車輪41を備えた走行部42を備えている。また、搬送車40の走行部42は、車輪41及び車輪41を駆動する電動機48を備えている。また、搬送車40は走行部42の減速中に電動機48の回生制動を行って得られる電力を回収する回生電力回収部49と、航空機保持部44に保持された無人航空機20に電力を供給する給電部60と、を備えている。この回生電力回収部49により回収された電力が給電部60から無人航空機20に供給される。また、本実施形態では、搬送車40は、無人航空機20に接続された接続部61を備える給電線62と、給電線62を介して無人航空機20に電力を供給する電源部63と、給電線62の巻き取り及び繰り出しを行う巻取装置64と、を備えている。巻取装置64は、給電線62の繰り出し長さを予め定められた長さで制限する。このように、給電線62を介して無人航空機20に電力を供給することにより無人航空機20に常時給電することができ、無人航空機20の飛行時間を長く確保できる。図示の例では、接続部61と給電線62と電源部63と巻取装置64とが給電部60を構成している。
【0018】
本実施形態では、搬送車40は、物品保持部21に保持された物品Wよりも下側であって当該物品Wと上下方向視で重複する位置に配置され、物品Wの落下を規制する落下規制部材70を備えている。搬送車40は、
図2に示すように、落下規制部材70を無人航空機20の物品保持部21により保持された物品Wの落下を規制する規制姿勢D1と、無人航空機20の離陸及び着陸が行われる場合に当該無人航空機と干渉しない退避姿勢D2と、に姿勢変更する姿勢変更機構72を備えている。
【0019】
本実施形態では、姿勢変更機構72は、落下規制部材70を上下方向Zに移動することにより規制姿勢D1と退避姿勢D2とに姿勢変更する。このようにすれば、高さの異なる物品Wの落下を規制し易い。なお、
図2に示す例では、規制姿勢D1において落下規制部材70は物品Wから離間しているが、規制姿勢D1において落下規制部材70が物品Wと当接してもよい。また、落下規制部材70が上下方向Zでなく、水平方向の移動や旋回することにより規制姿勢D1と退避姿勢D2とに姿勢変更されてもよい。落下規制部材70に加えて或いは落下規制部材70に代えて、物品Wの側面を挟み込んで保持する保持部材が設けられていてもよい。
【0020】
図3は、搬送システム10のブロック図である。本実施形態では、搬送システム10は、無人航空機20及び搬送車40を制御する制御装置100をそなえている。本実施形態では、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の当該演算処理装置が参照可能な主記憶装置と、を備えている。制御装置100の各機能は、制御装置100が備えるハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。具体的には、制御装置100が、記憶装置(主記憶装置や別途設けられた記憶部等)に記憶されているプログラムを実行することで、制御装置100の各機能が実現される。言い換えれば、制御装置100の各機能をコンピュータに実現させるためのプログラム(例えば、搬送制御プログラム)は、当該コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。このプログラムは、例えば、記憶媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供される。そして、提供されたプログラムは、コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。本実施形態では、制御装置100(具体的には、制御装置100が備える演算処理装置)が「コンピュータ」として機能する。好適には、制御装置100は、図示しない制御施設に設置された上位制御装置であるが、制御装置100が搬送車40や無人航空機20に設けられてもよい。また、制御装置100が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが無人航空機20や搬送車40に設けられ、残りのハードウェアが図示しない制御施設に設置されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、制御装置100は、複数の無人航空機20及び複数の搬送車40に移動指令を出力する移動指令部101を備えている。移動指令部101は、移動指令における目的地Tとして、物品Wを受け取る受取先(例えば目的地T1)、及び、物品Wを搬送する搬送先(例えば目的地T2)の少なくとも一方を指定する。
【0022】
本実施形態では、複数の無人航空機20は、それぞれ無人航空機20を制御する航空制御部121を備えている。航空制御部121は、無人航空機20の離陸、飛行、及び、着陸の制御を行う。また、航空制御部121は、無人航空機20における物品Wの保持及び当該保持の解除の制御を行う。また、本実施形態では、複数の無人航空機20は、それぞれ無人航空機20の位置情報である航空機位置情報を取得する航空機位置情報取得部122を備えている。航空機位置情報取得部122は、例えば、無人航空機20の座標情報を、航空機位置情報として取得する。航空機位置情報としては、例えば、GPS(Global Positioning System)、RTK(Realtime Kinematic)、無人航空機20、搬送車40、施設等に供えられた図示しない撮像装置により撮像された画像の処理等によって得られる座標情報等が挙げられる。
【0023】
本実施形態では、複数の搬送車40は、それぞれ搬送車40を制御する走行制御部141を備えている。走行制御部141は、搬送車40の走行及び停止の制御を行う。また、走行制御部141は、姿勢変更機構72の制御を行う。また、本実施形態では、複数の搬送車40は、それぞれ搬送車40の位置情報である搬送車位置情報を取得する搬送車位置情報取得部142を備えている。搬送車位置情報取得部142は、例えば、搬送車40の座標情報を搬送車位置情報として取得する。搬送車位置情報としては、例えば、GPS、RTK、無人航空機20、搬送車40、施設等に供えられた図示しない撮像装置により撮像された画像の処理等によって得られる座標情報等が挙げられる。
【0024】
本実施形態では、制御装置100は、無人航空機20の目的地Tを指定した第1移動指令を搬送車40及び当該搬送車40に保持された無人航空機20の双方に対して出力する。また、制御装置100は、第1移動指令における目的地Tとして、物品Wを搬送する搬送先、及び、物品Wを受け取る受取先の少なくとも一方を指定する。
図3に示す例では、制御装置100は移動指令部101を備え、移動指令部101が第1移動指令を搬送車40が備える走行制御部141及び無人航空機20が備える航空制御部121の双方に対して出力する。
【0025】
本実施形態では、第1移動指令を受け取った搬送車40は、走行経路R上における、目的地Tに対応して設定された停止位置である対応停止位置Pまで走行して対応停止位置Pに停止する。
図3に示す例では、搬送車40の走行制御部141が、搬送車40を走行させて対応停止位置Pに停止させる。また、搬送車40は、無人航空機20が目的地Tから帰還して搬送車40の航空機保持部44に着陸するまで、対応停止位置Pに停止する。
図3に示す例では、搬送車40の走行制御部141が、搬送車40を無人航空機20が航空機保持部44に着陸するまで対応停止位置Pに停止させる。
【0026】
本実施形態では、第1移動指令を受け取った無人航空機20は、搬送車40が対応停止位置Pに停止した状態で、航空機保持部44から離陸して目的地Tへ移動する。
図3に示す例では、無人航空機20の航空制御部121が対応停止位置Pに停止した状態の搬送車40の航空機保持部44から、無人航空機20を離陸させて目的地Tへ移動させる。
【0027】
本実施形態では、制御装置100は、操作者の操作入力を受け付ける操作受付部102を備えている。また、制御装置100は、定められたプログラムに従って目的地Tを自動的に設定するモードである自動モードと、操作入力に応じて無人航空機20及び搬送車40を制御するモードである手動モードと、に切り替え可能に構成されている。操作受付部102は、例えば、携帯端末、キーボード、マイクロフォン、スマートフォン等の入力操作装置90により入力信号に変換された操作者の操作入力を無線又は有線により受信可能に構成されている。また、制御装置100は、入力操作装置90からの入力信号に基づいて、自動モードと手動モードとに切り替え可能に構成されている。
【0028】
自動モードでは、搬送車40の走行中における無人航空機20の飛行は禁止される。本実施形態では、搬送システム10は複数の無人航空機20を備えており、搬送車40の走行中における当該搬送車40の航空機保持部44に保持された無人航空機20の飛行が禁止される。手動モードでは、操作者の操作入力に応じて搬送車40の走行が行われると共に、搬送車40が走行中であるか停止中であるかに関わらず、操作者の操作入力に応じて無人航空機20の飛行が行われる。このようにすれば、手動モードでは、搬送車40及び無人航空機20の双方を操作者が操作することができる。従って、例えば、異常な状態となってしまった搬送車40や無人航空機20を正常な状態に復旧させる作業を行うことができる。また、無人航空機20により、床や天井に設置された軌条の上部の汚れやずれを検査したり、工場内の環境の検査、ファンフィルタユニットやダクトの検査等を行うことができる。好適には、自動モードでは、搬送車40が所定の停止位置(例えば、対応停止位置Pや後述の目的停止位置Pm)以外の位置に停止中、及び、搬送車40が走行中における無人航空機20の飛行が禁止され、手動モードでは、操作者の操作入力に応じて搬送車40の走行が行われると共に、走行中又は停止中の搬送車40の位置が所定の停止位置(例えば、対応停止位置Pや後述の目的停止位置Pm)以外の位置であるかに関わらず、操作者の操作入力に応じて無人航空機20の飛行が行われる。
【0029】
以下、
図4に示すフローチャートを参照して、無人航空機20を搬送する無人航空機搬送処理S10を説明する。
【0030】
本実施形態では、制御装置100の移動指令部101は、移動指令の出力先となる無人航空機20及び搬送車40を選択する搬送車選択処理S11を実行する。次に、移動指令部101は、選択した搬送車40が備える走行制御部141と搬送車40に保持された無人航空機20が備える航空制御部121との双方に対して無人航空機20の目的地Tを指定した第1移動指令を出力する第1移動指令出力処理S12を実行する。
【0031】
第1移動指令が入力された走行制御部141は、走行経路R上における目的地Tに対応して設定された停止位置である対応停止位置Pまで搬送車40を走行させる第1走行制御処理S13を実行する。次に、走行制御部141は、搬送車位置情報取得部142により取得された搬送車位置情報に基づいて、搬送車40が対応停止位置Pに到着したか否かを判断する第1到着判断処理S14を実行する。
【0032】
第1到着判断処理S14が否定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、第1走行制御処理S13及び第1到着判断処理S14を繰り返す。
【0033】
第1到着判断処理S14が肯定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、搬送車40を停止状態とする第1停止処理S15を実行する。好適には、停止状態は搬送車40の走行を禁止する走行禁止状態である。
【0034】
搬送車40が対応停止位置Pに停止した停止状態とされると、無人航空機20の航空制御部121は、無人航空機20を航空機保持部44から離陸させて目的地Tへ移動させる移動処理S16を実行する。無人航空機20が目的地Tに到着すると、航空制御部121は、物品Wの受渡を行う物品受渡処理S17を実行する。次に、航空制御部121は、無人航空機20を搬送車40へ移動させて帰還させる帰還処理S18を実行する。
【0035】
次に、搬送車40の走行制御部141は、無人航空機20の航空機位置情報取得部122により取得された航空機位置情報に基づいて、移動処理S16において離陸した全ての無人航空機20が帰還して搬送車40に収容されたか否かを判断する帰還判断処理S19を実行する。
【0036】
帰還判断処理S19が否定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、帰還判断処理S19を繰り返す。
【0037】
帰還判断処理S19が肯定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、搬送車40を走行させるために停止状態を解除する走行準備処理S20を実行し、無人航空機搬送処理S10を終了する。好適には、走行準備処理S20は、搬送車40の走行禁止状態を解除して搬送車40が対応停止位置Pから移動可能な走行許可状態とする。このようにすれば、無人航空機20が目的地Tから帰還して航空機保持部44に着陸するまで、搬送車40が対応停止位置Pに待機しているため、自動で飛行する無人航空機20の目的地Tからの帰還及び着陸を精度よく行い易くなる。
【0038】
〔第2の実施形態〕
以下では、第2の実施形態に係る無人航空機20の搬送システム10について図面を参照して説明する。本実施形態では、制御装置100が第1移動指令の出力と、第2移動指令及び第3移動指令の出力と、を選択的に実行する点で第1の実施形態と異なっている。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。
【0039】
図5は、本実施形態に係る無人航空機20の搬送システム10を示す図である。
図6は、本実施形態における無人航空機搬送処理S10のフローチャートである。本実施形態では、停止位置P1,P2,P3が目的地T1,T2,T3毎に対応して設定されていなくてもよい。また、
図5に示す例では、停止位置P1が搬送車40の目的停止位置Pmとして示されているが、停止位置P2や停止位置P3が目的停止位置Pmであってもよい。本実施形態では、目的停止位置Pmは、無人航空機20が航空機保持部44から離陸する場合の障害になる障害物B1がない場所に設定されている。好適には、目的停止位置Pmは、走行経路R上の複線区間に設けられた停止位置である。
【0040】
本実施形態では、制御装置100が第1移動指令の出力と、第2移動指令及び第3移動指令の出力と、を選択的に実行する。第2移動指令は、走行経路R上に設定された搬送車40の目的停止位置Pmを指定して搬送車40に対して出力される移動指令である。また、第3移動指令は、無人航空機20の目的地Tを指定して無人航空機20に対して出力される移動指令である。制御装置100は、例えば、無人航空機20の目的地Tが決定されている場合に第1移動指令の出力を選択して実行し、無人航空機20の目的地Tが決定されていない場合であって、搬送車40の目的停止位置Pmが決定されている場合に第2移動指令及び第3移動指令の出力を選択して実行する。
【0041】
本実施形態では、制御装置100が、上述した第1移動指令を出力できることに加えて、第2移動指令を搬送車40に対して出力でき、第3移動指令を無人航空機20に対して出力することができるように構成されている。第2移動指令を受け取った搬送車40は、目的停止位置Pmまで走行して目的停止位置Pmに停止する。
【0042】
本実施形態では、制御装置100は、第2移動指令を搬送車40に対して出力した後に、当該搬送車40に保持された無人航空機20に対して第3移動指令を出力する。第3移動指令を受け取った無人航空機20は、搬送車40が目的停止位置Pmに停止した状態で、航空機保持部44から離陸して目的地Tへ移動する。例えば、第3移動指令の出力は、第2移動指令の出力後、搬送車40が目的停止位置Pmへの走行を開始した後に実行される。第3移動指令の出力は、搬送車40の走行中であってもよく、搬送車40が目的停止位置Pmに停止した後でもよい。
【0043】
以下、
図6に示すフローチャートを参照して、本実施形態における無人航空機20を搬送する無人航空機搬送処理S10を説明する。
【0044】
本実施形態では、制御装置100の移動指令部101は、移動指令の出力先となる無人航空機20及び搬送車40を選択する搬送車選択処理S11を実行する。次に、移動指令部101は、第1移動指令の出力と、第2移動指令及び第3移動指令の出力と、のいずれかを選択する指令選択処理S101を実行する。
【0045】
指令選択処理S101において、第1移動指令の出力が選択された場合には、制御装置100は、上述の第1移動指令出力処理S12から走行準備処理S20を実行し、無人航空機搬送処理S10を終了する。
【0046】
指令選択処理S101において、第1移動指令の出力が選択されなかった場合には、すなわち、第2移動指令及び第3移動指令の出力が選択された場合には、移動指令部101は、選択した搬送車40が備える走行制御部141に対して搬送車40の目的停止位置Pmを指定した第2移動指令を出力する第2移動指令出力処理S102を実行する。
【0047】
第2移動指令が入力された走行制御部141は、走行経路R上に設定された搬送車40の目的停止位置Pmまで搬送車40を走行させる第2走行制御処理S103を実行する。次に、走行制御部141は、搬送車位置情報取得部142により取得された搬送車位置情報に基づいて、搬送車40が対応停止位置Pに到着したか否かを判断する第2到着判断処理S104を実行する。
【0048】
第2到着判断処理S104が否定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、第2走行制御処理S103及び第2到着判断処理S104を繰り返す。
【0049】
第2到着判断処理S104が肯定された場合は、搬送車40の走行制御部141は、搬送車40を停止状態とする第2停止処理S105を実行する。好適には、停止状態は搬送車40の走行を禁止する走行禁止状態である。
【0050】
搬送車40が対応停止位置Pに停止した停止状態とされると、移動指令部101は、選択した搬送車40に保持された無人航空機20が備える航空制御部121に対して無人航空機20の目的地Tを指定した第3移動指令を出力する第3移動指令出力処理S106を実行する。第3移動指令が出力されると、制御装置100は、上述の移動処理S16から走行準備処理S20を実行し、無人航空機搬送処理S10を終了する。
【0051】
〔その他の実施形態〕
次に、無人航空機20の搬送システム10のその他の実施形態について説明する。
【0052】
(1)上記の実施形態では、無人航空機20が有線式の回転翼機である構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、無人航空機20が接続部61と給電線62と巻取装置64とを備えておらず、搬送車40の電源部63から無人航空機20が備える蓄電池に対して無線給電が行われる構成であってもよい。
【0053】
(2)上記の実施形態では、無人航空機20が物品保持部21を備えている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、無人航空機20が物品Wを搬送せず、例えば、搬送車40が点検用の無人航空機20を搬送する構成であってもよい。
【0054】
(3)上記の実施形態では、全ての無人航空機20が収容されるまで、搬送車40が対応停止位置P又は目的停止位置Pmに停止する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、無人航空機20が収容部45の外部で航空機保持部44に着陸する場合に、搬送車40が全ての無人航空機20が帰還し着陸するまで、対応停止位置P又は目的停止位置Pmに停止し、搬送車40の発車後に収容部45への無人航空機20の収容が行われる構成であってもよい。また、例えば、有線式の無人航空機20のみ全て帰還し着陸するまで、搬送車40が対応停止位置P又は目的停止位置Pmに停止する構成であってもよい。
【0055】
(4)上記の実施形態では、無人航空機20が帰還するまで、搬送車40が対応停止位置P又は目的停止位置Pmに停止する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、搬送車40が走行経路R上の対応停止位置P以外の位置に移動し、その移動先で無人航空機20が着陸する構成であってもよい。また、例えば、無人航空機20が離陸した搬送車40が対応停止位置Pから移動し、当該対応停止位置Pに停止した別の搬送車40に無人航空機20が着陸する構成であってもよい。また、例えば、無人航空機20が次の対応停止位置P、次の目的停止位置Pm、他の施設、徐行中の搬送車40等に無人航空機20が着陸する構成であってもよい。
【0056】
(5)上記の実施形態では、対応停止位置Pが目的地T毎に予め設定されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、対応停止位置Pが、目的地Tから最も近い走行経路R上の位置に毎回設定される構成であってもよい。
【0057】
(6)上記の実施形態では、無人航空機20が航空制御部121及び航空機位置情報取得部122を備え、搬送車40が走行制御部141及び搬送車位置情報取得部142を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、制御装置100が航空制御部121及び走行制御部141を備えて集中制御を行う構成であってもよい。
【0058】
(7)上記の実施形態では、制御装置100が自動モードと手動モードとに切り替え可能に構成され構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、制御装置100が自動モードのみを備える構成であってもよい。
【0059】
(8)上記の実施形態では、無人航空機20が航空機保持部44から離陸する場合の障害になる障害物B1がない場所に対応停止位置P又は目的停止位置Pmが設定されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、対応停止位置P又は目的停止位置Pmに備えられた搬送装置により無人航空機20が離陸可能な位置に搬送される構成であってもよい。
【0060】
(9)上記第2の実施形態では、指令選択処理S101が搬送車選択処理S11の後に行われる構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、指令選択処理S101が行われた後に、搬送車選択処理S11により無人航空機20及び搬送車40が選択されてもよい。また、例えば、搬送車選択処理S11において、搬送車40のみが選択されてもよい。
【0061】
(10)上記第2の実施形態では、第3移動指令出力処理S106が第2停止処理S105の後に実行される構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、第2移動指令出力処理S102の後であって第2停止処理S105の前に第3移動指令出力処理S106が実行されてもよい。また、例えば、第2移動指令出力処理S102と同時に第3移動指令出力処理S106が実行されてもよい。
【0062】
(11)上記第2の実施形態では、制御装置100は、例えば、無人航空機20の目的地Tが決定されている場合に第1移動指令の出力を選択して実行し、無人航空機20の目的地Tが決定されていない場合に第2移動指令及び第3移動指令の出力を選択して実行する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、制御装置100が操作者の操作入力を受け付ける操作受付部102を備え、当該操作者の操作入力に基づいて、第1移動指令の出力と第2移動指令及び第3移動指令の出力とを選択的に実行する構成であってもよい。また、例えば、無人航空機20の目的地Tが複数個所である場合に、最初の目的地Tを決定する前に第2移動指令により搬送車40の走行を開始させる構成であってもよい。
【0063】
(12)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0064】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した無人航空機の搬送システムについて説明する。
【0065】
本開示に係る搬送システムは、無人航空機と、前記無人航空機を保持する航空機保持部を備え、規定の走行経路に沿って走行する搬送車と、前記無人航空機及び前記搬送車を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記無人航空機の目的地を指定した移動指令を前記搬送車及び当該搬送車に保持された前記無人航空機の双方に対して出力し、前記移動指令を受け取った前記搬送車は、前記走行経路上における、前記目的地に対応して設定された停止位置である対応停止位置まで走行して前記対応停止位置に停止し、前記移動指令を受け取った前記無人航空機は、前記搬送車が前記対応停止位置に停止した状態で、前記航空機保持部から離陸して前記目的地へ移動する。
【0066】
本構成によれば、搬送車により目的地に対応する対応停止位置まで無人航空機を搬送することができ、当該対応停止位置から目的地まで無人航空機が飛行することができる。このため、例えば、無人航空機と搬送車とにより重量物を搬送する場合に無人航空機の飛行距離や飛行時間を削減できる。また、例えば、搬送車により複数の無人航空機をまとめて搬送したり、無人航空機が飛行できない区間であっても搬送車を用いて無人航空機を移動させることができる。従って、物品や無人航空機の搬送効率を高くすることができる。また、走行経路が設定されていない場所が目的地となった場合であっても無人航空機により目的地まで到達することができるため、搬送車の走行経路を想定される目的地の全てに近接させて設ける必要がなくなるため、走行経路の設置費用を低減できる。また、搬送車が対応停止位置に停止した状態で無人航空機が離陸するため、自動で飛行する無人航空機の離陸を精度よく行い易い。
【0067】
一態様として、前記無人航空機の前記目的地を指定した前記移動指令を第1移動指令とし、前記制御装置は、前記第1移動指令の出力と、第2移動指令及び第3移動指令の出力と、を選択的に実行し、前記第2移動指令は、前記走行経路上に設定された前記搬送車の目的停止位置を指定して前記搬送車に対して出力される移動指令であり、前記第3移動指令は、前記無人航空機の前記目的地を指定して前記無人航空機に対して出力される移動指令であり、前記制御装置は、前記第2移動指令を前記搬送車に対して出力した後に、当該搬送車に保持された前記無人航空機に対して前記第3移動指令を出力することができるように構成され、前記第2移動指令を受け取った前記搬送車は、前記目的停止位置まで走行して前記目的停止位置に停止し、前記第3移動指令を受け取った前記無人航空機は、前記搬送車が前記目的停止位置に停止した状態で、前記航空機保持部から離陸して前記目的地へ移動すると好適である。
【0068】
本構成によれば、搬送車により目的停止位置まで無人航空機を搬送することができ、当該目的停止位置への搬送車の走行中又は当該目的停止位置での搬送車の停止中に、制御装置は、無人航空機の目的地を指定した第3移動指令を出力することができる。このため、例えば、無人航空機の目的地や物品の搬送先が具体的に決定されていない場合でも搬送車の走行を開始させることができ、無人航空機や物品の搬送の効率を高め易い。
【0069】
一態様として、前記搬送車は、前記無人航空機が前記目的地から帰還して前記航空機保持部に着陸するまで、前記対応停止位置に停止すると好適である。
【0070】
本構成によれば、無人航空機が帰還して着陸するまで搬送車が対応停止位置に停止しているため、自動で飛行する無人航空機の目的地からの帰還及び着陸を精度よく行い易い。
【0071】
一態様として、前記無人航空機は、物品の保持及び当該保持の解除が可能である物品保持部を備え、前記制御装置は、前記移動指令における前記目的地として、前記物品を搬送する搬送先、及び、前記物品を受け取る受取先の少なくとも一方を指定すると好適である。
【0072】
本構成によれば、搬送車から目的地までの物品の搬送を無人航空機により行うことができるため、搬送車の走行経路から離れた目的地に対しても物品を搬送することができる。逆に言えば、搬送車の走行経路を想定される目的地の全てに近接させて設ける必要がなくなるため、走行経路の設置コストを低減できると共に、搬送車による物品及び無人航空機の搬送効率を高めることができる。そして、物品を目的地まで搬送した後の無人航空機を再び搬送車に保持させることで、無人航空機を別の場所まで搬送することができる。
【0073】
一態様として、前記制御装置は、操作者の操作入力を受け付ける操作受付部を備えると共に、定められたプログラムに従って前記目的地を自動的に設定するモードである自動モードと、前記操作入力に応じて前記無人航空機及び前記搬送車を制御するモードである手動モードと、に切り替え可能に構成され、前記自動モードでは、前記搬送車の走行中における前記無人航空機の飛行は禁止され、前記手動モードでは、前記操作入力に応じて前記搬送車の走行が行われると共に、前記搬送車が走行中であるか停止中であるかに関わらず、前記操作入力に応じて前記無人航空機の飛行が行われると好適である。
【0074】
本構成によれば、手動モードでは、搬送車及び無人航空機の双方を操作者が操作することができる。従って、例えば、異常な状態となってしまった搬送車や無人航空機を正常な状態に復旧させたり、通常とは異なる動作を行わせて点検作業などを実行させたり、といったことが可能になる。
【0075】
一態様として、前記対応停止位置は、前記無人航空機が前記航空機保持部から離陸する場合の障害になる障害物がない場所に設定されていると好適である。
【0076】
本構成によれば、無人航空機の離陸を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
10 :搬送システム
20 :無人航空機
21 :物品保持部
40 :搬送車
44 :航空機保持部
100 :制御装置
102 :操作受付部