(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045995
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
B29C 55/28 20060101AFI20240327BHJP
B29L 22/02 20060101ALN20240327BHJP
【FI】
B29C55/28
B29L22:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151108
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】広崎 真司
【テーマコード(参考)】
4F210
【Fターム(参考)】
4F210AG01
4F210AJ08
4F210AM23
4F210AP01
4F210AP05
4F210AP07
4F210AP20
4F210AQ01
4F210AR20
4F210QA01
4F210QG04
4F210QG18
4F210QK05
4F210QK80
(57)【要約】
【課題】延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置を提供することを目的とする。
【解決手段】延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置であって、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定部を、備える、装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置であって、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定部を、備える、
装置。
【請求項2】
前記情報aが、インフレーション延伸前の前記フィルムの配向性に関する情報a1を含み、
前記情報a1が、MDの配向性、TDの配向性、及び/又は、MD/TD配向性比を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記情報aが、前記情報a1として、ラマンスペクトルに関する情報を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記情報aと前記延伸フィルムに関する情報bに基づいて、前記情報eを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記情報bが、前記延伸フィルムの、融解熱量、引裂強度、結晶化度、結晶子サイズ、及び/又は、結晶配向の指数に関する情報を含む、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記推定部は、上記情報aと前記インフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報cに基づいて、前記情報eを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記情報cが、前記インフレーション延伸前のフィルムの、押出条件に関する情報、冷却条件に関する情報、及び/又は、送り速度に関する情報を含む、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記推定部は、前記情報aと前記延伸フィルムの製造条件に関する情報dに基づいて、前記情報eを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記情報dが、前記延伸フィルムの、延伸条件に関する情報を含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
学習用データに基づいてモデルを作成する学習部をさらに備え、
前記学習用データは、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報Aと、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報Eと、を含み、
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記モデルにより、前記情報eを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記学習用データは、延伸フィルムに関する情報Bをさらに含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記推定部は、インフレーション延伸機にインライン設置された測定装置から取得した前記情報aに基づいて、前記情報eを推定し、
インライン設置された前記測定装置を通過したフィルムの前記情報eを表示制御する表示制御部を、さらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、
装置が、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行する、
装置。
【請求項14】
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、
装置に、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニリデン系樹脂などから形成されるラップフィルムは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性(防湿性)及び透明性に優れ、更に電子レンジ加熱が可能であることから、鮮魚、生肉、加工肉、新鮮野菜、惣菜類等の包装に、酸素遮断、防湿等の目的で広く利用されている。
【0003】
ラップフィルムは、通常、樹脂を、溶融押出し、次いで延伸を行うことにより製造され、紙管に巻き取られ化粧箱(カートン)中で保管される。紙管に巻き取られた巻回体は、例えば、自動で、化粧箱の端部より化粧箱に挿入される。この際に化粧箱の例えば底面の紙と巻回体が擦れることにより、巻回体に傷が生じることがあり、この傷が起点となって、使用時に切れ傷が生じる問題がある。特許文献1には、このような切れ傷をラップフィルムの組成面から改善する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、切れ傷が全く生じないようにすることは困難であり、延伸フィルムをひとたび梱包してしまうと、このような傷に気づかないまま、商品が流通する恐れがある。そのため、延伸フィルムの耐傷つき性を評価し、傷つきにくい延伸フィルムを生産することが望まれる。
【0006】
このような延伸フィルムの耐傷つき性の評価手法としては、予め、延伸フィルムと箱とをこすり合わせて傷の発生を評価する方法が考えられる。しかしながら、延伸フィルムと箱とをこすり合わせて傷の発生を評価するといった破壊的手法では、結果的に延伸フィルムに傷がつかないとしても、出荷前の延伸フィルムを自ら痛めることとなり、好ましくない。
【0007】
また、延伸フィルムにした状態で傷の発生を評価した場合には、傷が生じやすいと評価された製品は廃棄などを余儀なくされるため、環境負荷が大きい。そのため、製造ラインの上流の工程、例えば延伸前のフィルムの性状に基づいて傷の発生を予測できることが好ましい。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置であって、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定部を、備える、
装置。
〔2〕
前記情報aが、インフレーション延伸前の前記フィルムの配向性に関する情報a1を含み、
前記情報a1が、MDの配向性、TDの配向性、及び/又は、MD/TD配向性比を含む、
〔1〕に記載の装置。
〔3〕
前記情報aが、前記情報a1として、ラマンスペクトルに関する情報を含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の装置。
〔4〕
前記推定部は、前記情報aと前記延伸フィルムに関する情報bに基づいて、前記情報eを推定する、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の装置。
〔5〕
前記情報bが、前記延伸フィルムの、融解熱量、引裂強度、結晶化度、結晶子サイズ、及び/又は、結晶配向の指数に関する情報を含む、
〔4〕に記載の装置。
〔6〕
前記推定部は、上記情報aと前記インフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報cに基づいて、前記情報eを推定する、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の装置。
〔7〕
前記情報cが、前記インフレーション延伸前のフィルムの、押出条件に関する情報、冷却条件に関する情報、及び/又は、送り速度に関する情報を含む、
〔6〕に記載の装置。
〔8〕
前記推定部は、前記情報aと前記延伸フィルムの製造条件に関する情報dに基づいて、前記情報eを推定する、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の装置。
〔9〕
前記情報dが、前記延伸フィルムの、延伸条件に関する情報を含む、
〔8〕に記載の装置。
〔10〕
学習用データに基づいてモデルを作成する学習部をさらに備え、
前記学習用データは、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報Aと、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報Eと、を含み、
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記モデルにより、前記情報eを推定する、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の装置。
〔11〕
前記学習用データは、延伸フィルムに関する情報Bをさらに含む、
〔10〕に記載の装置。
〔12〕
前記推定部は、インフレーション延伸機にインライン設置された測定装置から取得した前記情報aに基づいて、前記情報eを推定し、
インライン設置された前記測定装置を通過したフィルムの前記情報eを表示制御する表示制御部を、さらに備える、
〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の装置。
〔13〕
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、
装置が、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行する、
装置。
〔14〕
延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、
装置に、
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行させる、
プログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本実施形態のフィルムを製造するシステムの概略断面図である。
【
図2A】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
【
図2B】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
【
図2C】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
【
図2D】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
【
図3】本実施形態の装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の耐傷つき性の評価方法を示す概略図である。
【
図5】本実施形態の情報a,eの経時変化の一例を示す概略図である。
【
図6】本実施形態の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0013】
1.フィルムの製造方法
初めに、フィルムの製造方法について説明する。本実施形態においては、押出装置によってペレットをフィルム状に押し出し、延伸装置によって押し出したフィルムを延伸する。
【0014】
ペレットに含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。さらに、ペレットは、必要に応じて、可塑剤、安定剤など公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0015】
1.1.押出工程
図1Aに、本実施形態のフィルムの製造方法の概略図を示す。
図1Aに示すように、押出装置100は、駆動部110、シリンダ120、スクリュ130、フィーダ140、ダイス150、及び制御部160を備えていてもよい。一例として、押出装置100は、シリンダ120内で、原料を溶融混錬してダイス150から押し出す。
【0016】
駆動部110は、シリンダ120内のスクリュ130を回転させるものであり、回転速度によってシリンダ内の混練物の押出速度、圧力などを調整することができる。シリンダ120は、スクリュ130を収容する筒状の部材である。スクリュ130が回転することで、混練物がシリンダ120の中をフィーダ140からダイス150まで、押し出される。シリンダ120の内部には、複数、例えば、2本のスクリュ130が配置されてもよい。
【0017】
スクリュ130は、シリンダ120の内部で回転することで、フィーダ140から供給された原料を混練しながらダイス150へと押し出す。この際、シリンダ120内の原料は、スクリュ130の回転により動的に生成されるせん断熱により溶融してもよい。
【0018】
スクリュ130は、制御部160からの信号に応じて、その回転速度などを制御可能なように構成されていてもよい。これにより、押出速度やシリンダ内の圧力などを調整することができる。また、添加剤が混練中に樹脂の分子量やその他物性に影響を与えるようなものであるなど成分が混練中に互いに作用し得る場合には、スクリュ130による押出速度やシリンダ内の圧力の制御によって、得られる混練物の物性を調整してもよい。
【0019】
フィーダ140は、シリンダ120に対して、ペレットなど混練物の原料となる樹脂や、添加剤を供給する。フィーダ140の上流には、ペレットを共有するフィーダ140a、添加剤を供給する140bなど、供給する原料の種類ごとに個別のフィーダが設けられていてもよい。フィーダ140から供給された原料は、回転するスクリュ130の根元部から反対側の先端部に向かう方向に押し出されてもよい。
【0020】
フィーダ140,140a,140bは、それぞれ、制御部160からの信号に応じて、各原料の供給量を制御可能なように構成されていてもよい。これにより、混練物に含まれる各原料の割合などを調整することができる。また、原料組成が混練物の物性に影響を与えるようなものである場合には、フィーダ140,140a,140bによる各原料の割合の制御によって、得られる混練物の物性を調整してもよい。
【0021】
ダイス150は、シリンダ120から混練物が押し出される開口部である。
図1Aにおいては、リング状の開口部を用いるダイス150から管状のフィルムが押し出され、ソック310が形成される態様が示されている。しかしながら、ダイス150の開口部はこれに限定されず、Tダイであってもよい。なお、ソック310はパイルとも呼ぶ。
【0022】
制御部160は、所定の運転条件に従って押出装置100の運転制御を行うほか、温度計や圧力計などの各種計器(不図示)により測定される押出条件を記録することができる。なお、制御部160は、駆動部110、フィーダ140、各種計器などと有線又は無線のネットワークNにより接続されていてもよい。
【0023】
1.2.冷却工程
ソック310の内側にソック液320を注入し、ソック310の外側は冷水槽330の冷水に接触させる。これにより、ソック310は、内側と外側の両方から冷却され、ソック310を構成するフィルムは固化する。
【0024】
ダイス150から冷水槽330までの距離をホットディスタンスという。このホットディスタンスの距離を調整することにより、フィルムを引っ張った際の結晶長周期などの物性を調整してもよい。
【0025】
1.3.延伸工程
図1Aに示すように、延伸装置200は、第1ロール210、第2ロール220、第3ロール230、第4ロール250、ガイド板240、巻き取りロール260、制御部160を備えていてもよい。一例として、延伸装置200は、押し出されたフィルムを延伸して延伸フィルムを形成する。延伸されたフィルムは、巻き取られて券回体となる。
【0026】
まず、第1ロール210は、固化したソック310を折りたたみ、パリソン340を成形する。第1ロール210と第2ロール220により、パリソン340には張力がかけられてもよい。続いて、第2ロール220を通過したパリソン340の内側にエアを注入してもよい。これにより、パリソン340を開口し、環状のフィルムを形成する。このとき、ソック310の内面に当たる部分に塗布されたソック液320はパリソン340の開口剤としての効果を発揮してもよい。
【0027】
次いで、第2ロール220と第3ロール230との間において、開口したパリソン340は、延伸に適した温度まで再加熱されてもよい。加熱は温水などによって行われてもよい。この際、パリソン340の外側に付着した温水は、第3ロール230にて搾り取られてもよい。
【0028】
さらに、第3ロール230を通過したパリソン340の内側にエアをさらに注入して、バブル350を形成してもよい。このエアが内側からバブル350を押し広げることで、フィルムが延伸され、延伸フィルムが得られる。
【0029】
第1ロール210から第4ロール250までの工程を延伸工程という。バブル350は、第4ロール250を通過するとともに、第4ロール250で折り畳まれ、ダブルプライフィルム360となる。ダブルプライフィルム360は、巻き取りロール260にて巻き取られる。
【0030】
主にTD方向のフィルムの延伸倍率の調整は、エアの量により行ってもよい。また、MD方向のフィルムの延伸倍率の調整は、第3ロール230と第4ロール250の回転速度やロール間の距離により行ってもよい。この際、MD方向及びTD方向の延伸倍率に加えて、MD方向及びTD方向の延伸速度を所定の範囲に調整してもよい。さらに、延伸条件の温度によって、延伸倍率や延伸速度を調整してもよい。
【0031】
さらに、本実施形態のフィルムの製造方法は、延伸直後のフィルムを緩和する緩和工程や、フィルムをスリットして1枚のフィルムになるように剥がすスリット工程、又はフィルムを任意のサイズに切断するトリム工程を有してもよい。
【0032】
1.4.フィルム収容体
図1Bに、フィルム収容体の概略斜視図を示す。フィルム収容体1は、巻回フィルム11と、この巻回フィルム11を収納する収納箱31とを備える。巻回フィルム11は、紙製又はプラスチック製の筒状芯体12の外周12aに延伸フィルム13を所定の数量分、巻きつけた(巻回した)ものである。巻回フィルム11は、図示の如く、巻回フィルム11の軸方向が収納箱31の長手方向に一致するように、収納箱31内に収納されている。
【0033】
収納箱31は、巻回フィルム11を梱包、輸送、陳列、販売、保管する際に使用する包装材であって、少なくとも1枚の原紙を複数の折り線に沿って折り曲げて外形略柱状に成形した折箱から構成されている。本実施形態の収納箱31は、図示の如く、上面に開口部33aを有する収納部33と、この開口部33aを塞ぐ蓋部38とを有する構成となっている。
【0034】
収納箱31を構成する原紙としては、例えば、ボール紙、コートボール紙、片面段ボール、段ボール等が挙げられるが、これらに特に限定されず、当業界で公知の紙類を適宜選択して用いることができる。原紙は、これらの素材に、エンボス加工、印刷加工、ポリエチレン等を用いたラミネート加工等が施されたものであってもよい。梱包、輸送、陳列、販売、保管する際に、延伸フィルム13は収納箱31の内側とこすれて、傷が発生する恐れがある。
【0035】
本実施形態においては、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性を、非破壊的手法により評価することができる。
【0036】
3.装置
本実施形態の装置は、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置であって、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定部を備える。また、本実施形態の装置は、必要に応じて、表示制御部や学習部などを備えていてもよい。
【0037】
これにより、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価することができる。そのため、傷に気づかないまま、商品が流通することを回避できる。
【0038】
図2A~
図2Dに、本実施形態の装置400の態様について示す。例えば、
図2Aに示すように、本実施形態の装置400は、押出装置100と延伸装置200によって構成されるフィルムの製造システム500と独立した端末400aであってもよい。端末400aはユーザが使用する端末であってもよい。ここでいう「端末」は、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ウェアラブル端末等であってもよい。
【0039】
図2Bに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500と独立したサーバであってもよい。ユーザは、端末400aを操作して、サーバ400に各種情報を送信し、サーバ400から各種情報を受信できる。
【0040】
図2Cに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500とネットワークNを介して接続されたサーバ400であってもよい。製造システム500は、
図2Bにおける端末400aの代替として機能するように構成されていてもよい。この場合、ユーザは、端末400aに代えて製造システム500を操作して、サーバ400に各種情報を送信し、サーバ400から各種情報を受信できる。
【0041】
図2Dに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500に組み込まれる装置であってもよい。この場合、本実施形態の装置400は、上記制御部160と一体となっていてもよい。
【0042】
本実施形態では、例えば、装置400は、任意の情報を取得または推定するために、他の装置と有線又は無線のネットワークNを介して接続されてもよい。また、装置400は、
図3に示す少なくとも一部の情報をネットワークNで接続したサーバなどの他の装置から取得してもよいし、又は、
図3に示す機能部の少なくとも一部の処理を、ネットワークNで接続したサーバなどの他の装置により実行させるような構成としてもよい。
【0043】
【0044】
3.1.ハードウェア構成
図3を参照しつつ、装置400のハードウェア構成について説明する。装置400は
、例えば、プロセッサ410、通信インターフェース420、入出力インターフェース
430、メモリ440、ストレージ450、及びこれらの構成要素を相互接続するため
の1つ又は複数の通信バス460を含む。
【0045】
プロセッサ410は、ストレージ450に記憶されるプログラムに含まれるコード、
又は、命令によって実現する処理、機能、又は、方法を実行する。プロセッサ410は
、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processi
ng Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocesso
r)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、AS
IC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Ga
te Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Sc
ale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実
施形態に開示されるそれぞれの、処理、機能、又は、方法を実現してもよい。
【0046】
通信インターフェース420は、ネットワークを介して他の装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インターフェース420は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0047】
ネットワークは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ネットワークは、1つまたは複数のネットワークを含むことができる。
【0048】
入出力インターフェース430は、装置400に対する各種操作を入力する入力装置、および、装置400で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。例えば、入出力インターフェース430は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、及びディスプレイ等の情報出力装置を含む。なお、装置400は、外付けの入出力インターフェース430を接続することで、所定の入力を受け付けてもよいし、所定の出力を実行してもよい。
【0049】
例えば、装置400は、情報a~dなどのデータを記録した他の装置と、有線又は無線のネットワークNで接続されていてもよい。これにより、例えば、他の装置が、情報a~dなどのデータを最新に保つことにより、装置400は常にその最新に保たれたデータ、及び当該データを利用したモデルを利用することができる。また、これに加えて、複数の装置400が個別にこれら情報a~eなどの情報を重複して蓄積し、計算するような無駄を削減できる。ここで、他の装置は、要求に応じてデータを提供するサーバであってもよい。
【0050】
メモリ440は、ストレージ450からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プ
ロセッサ410に対して作業領域を提供する。メモリ440には、プロセッサ410が
プログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ4
40は、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体
記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリであってよく、これらが組み合わせられて
もよい。
【0051】
ストレージ450は、プログラム、各機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ450は、例えば、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ450の他の例としては、プロセッサ410から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
【0052】
本発明の一実施形態において、ストレージ450はプログラム、機能部及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。装置400は、ストレージ450に記憶されているプログラムに含まれる命令をプロセッサ410が実行することによって、
図3に示すように、推定部454として機能するように構成されている。
【0053】
オペレーティングシステム451は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
【0054】
ネットワーク通信部452は、例えば、装置400を他のコンピュータに、通信インターフェース420、及びインターネット、他の広域ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、大都市圏ネットワークなどの1つ又は複数の通信ネットワークを介して接続するために使用される。
【0055】
3.1.1.取得部
取得部453は、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する。また、取得部453は、必要に応じて、延伸フィルムに関する情報bや、インフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報c、延伸フィルムの製造条件に関する情報dを取得してもよい。
【0056】
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aは、延伸装置200にインライン設置された測定装置280から取得してもよいし、インフレーション延伸前のフィルムをサンプリングして、他の測定装置から取得してもよい。
【0057】
取得部453は、例えば、ネットワークNを介して、他の装置からこれら情報a~dを取得してもよい。例えば、また、取得部453は、情報a~dを製造システム500から、ネットワークを介して取得してもよい。また、取得部453は、入出力インターフェースを介したユーザの入力により、これら情報a~dを取得してもよい。
【0058】
また、取得部453は、取得した情報a~eを、推定用データ455に蓄積してもよい。なお、後述する推定部454は、推定用データ455に蓄積された情報a~eを推定処理に利用してもよい。
【0059】
さらに、取得部453は、後述する推定部454が推定した、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを、推定用データ455に蓄積してもよい。
【0060】
3.1.2.推定部
本発明者らが鋭意検討した結果、延伸フィルムの耐傷つき性は、延伸前のフィルムの状態により影響を受けることが分かってきた。この点に鑑みて、本開示の推定部454は、取得部453によって取得されたインフレーション延伸前のフィルムに関する情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する。
【0061】
インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aとしては、特に限定されないが、例えば、インフレーション延伸前のフィルムの配向性に関する情報a1を含む。情報a1は、MDの配向性、TDの配向性、及び/又は、MD/TD配向性比を含んでもよい。なお、本開示においてTDとは幅方向、MDとは長尺方向又は機械方向を意味する。
【0062】
なお、延伸前フィルムは非晶状態にあり、時間とともに状態が変化し得る。そのため、延伸前フィルムの非晶部の構造解析を解析する時には、例えば、押し出してから30分間静置した後の延伸前フィルムの配向性を測定し、上記情報aとしてもよい。
【0063】
また、情報aは、情報a1として、ラマンスペクトルに関する情報を含んでもよく、MDの配向性、TDの配向性は、ラマンスペクトルに関する情報を含んでもよい。より具体的には、延伸前のフィルムについてMDのスペクトルと、TDのスペクトルと、を比較することにより、配向性の評価をすることができる。例えば、所定のC-C伸縮ピークに着目し、そのピーク強度比(垂直方向/水平方向)を、配向度を示すパラメーターとして使用してもよい。ピーク強度比(垂直方向/水平方向)はMD/TD配向性比として用いてもよい。
【0064】
また、情報aは、原料に関する情報が含まれてもよい。原料に関する情報としては、特に限定されないが、例えば、フィルムを構成する樹脂やフィルムに含まれる樹脂以外の成分など原料に関する情報、延伸前のフィルムの押出条件に関する情報、ソック液や冷却条件などの押出後であって延伸前の条件に関する情報などが挙げられる。
【0065】
取得部453は、インフレーション延伸機にインライン設置された測定装置280から情報aを取得してもよい。また、推定部454は、インフレーション延伸機にインライン設置された測定装置280から取得した情報aに基づいて、耐傷つき性情報eを推定してもよい。これにより、製造中のフィルムについて耐傷つき性情報eを取得できる。そのため、製造中のフィルムが耐傷つき性に劣る場合には、速やかに製造を中止し、それ以上不良品が生産されることを回避できる。
【0066】
耐傷つき性情報eは、延伸フィルムが傷つきやすいか否かに関する情報である。例えば、耐傷つき性情報eは、耐傷つき性を評価する評価方法を行ったとした場合に、想定される結果の推定情報であってもよい。
【0067】
例えば、
図4に耐傷つき性の評価方法の概略図を示す。例えば、紙管に、実施例及び比較例で作成したフィルムを幅22cmで50m巻きつけて巻回体をそれぞれ15本製造する。この際、片側の紙管の端面とフィルム端部の距離は5mmとする。次に、製膜直後のスリット、リワインド及び箱詰め工程を想定し、
図4に示すように、製膜直後の巻回体の一端を金属製の治具に固定する。そして、他端の縁がコンベアベルトに貼りつけた化粧箱に使用される紙と接するように配置する。この際、巻回体は化粧箱の紙に対して傾斜角が3.7°となるように傾ける。そして、このように巻回体のフィルム端部を接触させた状態で、速度0.27m/分で、コンベアを30cm動かすことで、フィルム端部と化粧箱の紙とが擦れるようにする。
【0068】
このフィルム端部と化粧箱の紙とを擦り合わせる操作を、フィルム端部の位置を変えて4回行う。具体的には、紙管横から見て、90°ずつ離れた位置のフィルム端部を、それぞれ化粧箱の紙と擦り合わせる。そして、4か所の切れ傷発生有無を確認する評価を実施する。15本すべての巻回体で同様の操作を行い、15本×4か所の合計60か所の擦り合わせをする。そして、60か所の擦り合わせ部分を確認し、60か所の内、大きさ1mm以上の切れ傷の発生比率を評価してもよい。
【0069】
上記の方法は耐傷つき性を破壊的手法で評価する一例である。本開示においては、このような破壊的手法による評価をじっすすることなく、このような手法で評価をしたと想定した場合の耐傷つき性の推定結果を、上記情報eとして出力してもよい。
【0070】
また、上記方法に限らず、取得部453は、他の破壊的手法あるいは非破壊的手法によって、評価をしたと想定した場合の耐傷つき性の推定結果を、上記耐傷つき性情報eとして出力してもよい。
【0071】
取得部453が延伸フィルムに関する情報bを取得した場合には、推定部454は情報aと情報bとに基づいて、耐傷つき性情報eを推定してもよい。情報bとしては、特に限定されないが、例えば、延伸フィルムの、融解熱量、引裂強度、結晶化度、結晶子サイズ、及び/又は、結晶配向の指数に関する情報を含んでもよい。これにより、耐傷つき性情報eの推定に当たり、延伸後のフィルムの情報、例えば結晶構造や非晶構造を考慮できる。
【0072】
取得部453がインフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報cを取得した場合には、推定部454は情報aと情報cとに基づいて、耐傷つき性情報eを推定してもよい。情報cとしては、特に限定されないが、例えば、インフレーション延伸前のフィルムの、押出条件に関する情報、冷却条件に関する情報、及び/又は、送り速度に関する情報が挙げられる。
【0073】
取得部453が延伸フィルムの製造条件に関する情報dを取得した場合には、推定部454は情報aと情報dとに基づいて、耐傷つき性情報eを推定してもよい。情報bとしては、特に限定されないが、例えば、延伸フィルムの延伸条件に関する情報が挙げられる。延伸フィルムの延伸条件としては、特に限定されないが、例えば、延伸温度、TD延伸倍率、MD延伸倍率などが挙げられる。
【0074】
3.1.3.表示制御部
本実施形態の装置400は、表示制御部456をさらに備えてもよい。表示制御部456は、耐傷つき性情報eを表示装置に表示制御してもよい。例えば、表示制御部456は、耐傷つき性情報eは、傷つきやすさ又は傷つきにくさを、数値で表現するものであってもよいし、色や所定の分類などで表現制御してもよい。
【0075】
表示制御部456は、インライン設置された測定装置を通過したフィルムの耐傷つき性情報eを表示制御してもよい。インライン設置された測定装置により、リアルタイムで、延伸前のフィルム又は延伸されようとしているフィルムの耐傷つき性情報eを推定することができる。
【0076】
図5に、本実施形態の情報a,eの経時変化の一例を表す概略図を示す。
図5において、横軸は時間軸、縦軸は情報a,eの値を示す。
図5に示すように、表示制御部456がインライン設置された測定装置を通過したフィルムの耐傷つき性情報eをリアルタイムで表示制御することにより、耐傷つき性に劣ると評価された製品の製造を速やかに停止することができる。また、ユーザは、耐傷つき性が劣る要因の特定作業に速やかに映ることができる。
【0077】
さらに、表示制御部456は、耐傷つき性情報eが、閾値F1の範囲内であるかいなか、閾値F2の範囲内であるかいなかなど、を表示制御してもよい。ここで、例えば、閾値F1の範囲内であれば耐傷つき性が良好であることを示し、閾値F1とF2の間であれば、耐傷つき性が損なわれるリスクが上がっていることを示し、閾値F2の範囲が居であれば、耐傷つき性のリスクが高いことを示してもよい。
【0078】
3.1.4.学習部
本実施形態の装置400は、学習部457をさらに備えてもよい。学習部457は、学習用データ458を収集し、学習用データに基づいてモデルを作成してもよい。このようにして得られたモデルを用いて、上記推定部454は、各推定処理を実行してもよい。
【0079】
学習用データ458は、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報Aと、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報Eと、を含んでもよい。また、学習用データ458は、延伸フィルムに関する情報B、インフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報C、又は延伸フィルムの製造条件に関する情報Dをさらに含んでもよい。
【0080】
ここで、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報Eは、上記のように、
図4で示すような耐傷つき性の評価方法の結果であってもよいし、その他の耐傷つき性の評価方法の結果であってもよい。
【0081】
なお、本開示において、推定部454が使用又は推定する情報は、小文字の記号(情報a~e)で表し,学習部457が使用する情報は、大文字の記号(情報A~E)で表す。なお、大文字の記号であらわした情報は、小文字の記号であらわす情報と同様の情報を含んでいてもよい。例えば、情報Aは、情報aで例示した各情報を含んでいてもよい。
【0082】
モデルの作成方法は特に制限されず、従来公知の方法を利用することができる。例えば、ロジスティック回帰モデル、多層パーセプトロン、CNN(Convolutional Neural Network)及びRNN(Recurrent Neural Network)などのニューラルネットワーク、ガウシアンカーネル等の任意のカーネル関数を用いるサポートベクターマシーン、回帰木としてモデル化したランダムフォレスト、重回帰分析、隠れマルコフモデルなどを利用したモデル、統計モデルや確率モデルなど種々の他のモデルを採用することもできる。また、種々のモデルを組み合わせて総合的な判定を行うモデルを採用することもできる。
【0083】
さらに、学習部457は、定期的に学習用データ458を収集し、再学習によりモデルを更新してもよい。
【0084】
3.2.動作処理
次に、装置400の動作について説明する。
図6は、装置400が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0085】
3.2.1.モデル作成
ステップA01において、装置400の学習部457は、学習用データ458に基づいて、破断しにくい耐傷つき性情報eを推定するモデルを作成する。
【0086】
3.2.2.取得工程
ステップA02において、端末400の取得部453は、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する。この際に、端末400の取得部453は、延伸フィルムに関する情報bや、インフレーション延伸前のフィルムの製造条件に関する情報c、延伸フィルムの製造条件に関する情報dを取得してもよい。
【0087】
3.2.3.推定工程
ステップA03において、端末400の推定部454は、取得部453によって取得した情報から、耐傷つき性情報eを推定する。この際に、端末400の推定部454は、上記モデルに情報aを入力し、耐傷つき性情報eを出力してもよい。
【0088】
そして、ステップA04において、端末400の表示制御部456は、推定された情報eを表示制御してもよい。
【0089】
3.3.他の態様
次いで、
図2B~
図2Dに示す態様について説明する。
図2Bは、本実施形態の装置400が、サーバである態様を示す。ユーザは、端末400aを介して、サーバである装置400に情報aなどを入力し、端末400aを介して、サーバである装置400から耐傷つき性情報eを取得することができる。
図2Bにおいては、本実施形態の装置400をサーバ400ともいう。
【0090】
サーバ400を介することで、サーバ400に各種情報を集約することができる。これにより、より精度の高い推定モデルを構築することが可能となる。また、サーバ400を利用することで、端末にとっては負荷の高い処理も安定して実行することが可能となる。さらに、端末400aは、サーバ400との各種情報の送受信ができればよいものとなるため、端末400aを新たに開発することなく、既存の端末を利用することができる。
【0091】
なお、本実施形態の処理において、サーバ400は、有線又は無線のネットワークNを介して接続された他の装置を、各種情報のストレージの一部として、あるいは、各種処理を実行する機能部の一部として、利用してもよい。
【0092】
図2Cは、本実施形態の装置400が、製造システム500とネットワークNを介して接続されたサーバである態様を示す。
図2Cでは、ユーザは、製造システム500を介して、サーバ400に情報aを入力し、製造システム500を介して、サーバ400から耐傷つき性情報eを取得することができる。
図2Cは、
図2Bの端末400aが製造システム500に組み込まれて一つのクライアント端末として機能する態様ということもできる。
【0093】
図2Dは、本実施形態の装置400が、製造システム500に組み込まれる態様を示す。
図2Dでは、ユーザは、製造システム500に組み込まれた装置400に情報aを入力し、製造システム500に組み込まれた装置400から耐傷つき性情報eを取得することができる。
図2Dは、
図2Aの端末400aが製造システム500に組み込まれた態様ということもできる。
【0094】
4.方法
本実施形態の方法は、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、装置が、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行する。
【0095】
なお、本実施形態の方法の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0096】
5.プログラム
本実施形態のプログラムは、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための方法であって、装置に、インフレーション延伸前のフィルムに関する情報aを取得する取得工程と、情報aに基づいて、延伸フィルムの耐傷つき性に関する情報eを推定する推定工程を実行させる。
【0097】
プログラムは、読み取り可能な記録媒体に記録された物であってもよい。なお、本実施形態のプログラムが実行する処理の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の装置は、延伸フィルムの耐傷つき性を非破壊的手法により評価するための装置として産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0099】
1…フィルム収容体、11…巻回フィルム、12…筒状芯体、13…延伸フィルム、31…収納箱、33a…開口部、33…収納部、38…蓋部、100…押出装置、110…駆動部、120…シリンダ、130…スクリュ、140,140a,140b,140c…フィーダ、150…ダイス、160…制御部、200…延伸装置、210…第1ロール、220…第2ロール、230…第3ロール、240…ガイド板、250…第4ロール、260…ロール、280…インライン測定装置、310…ソック、320…ソック液、330…冷水槽、340…パリソン、350…バブル、360…ダブルプライフィルム、400…装置、400a…端末、410…プロセッサ、420…通信インターフェース、430…入出力インターフェース、440…メモリ、450…ストレージ、451…オペレーティングシステム、452…ネットワーク通信部、453…取得部、454…推定部、455…推定用データ、456…表示制御部、457…学習部、458…学習用データ、460…通信バス、500…製造システム。