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特開2024-45999静電容量型ソフトセンサ及び静電容量型センサモジュール
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  • 特開-静電容量型ソフトセンサ及び静電容量型センサモジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045999
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】静電容量型ソフトセンサ及び静電容量型センサモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20240327BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240327BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20240327BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20240327BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H05K1/02 B
H05K1/02 L
G06F3/02 F
G06F3/0362 464
G06F3/041 640
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151116
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】浅川 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】宮島 健太郎
【テーマコード(参考)】
5B020
5B087
5E338
5G046
【Fターム(参考)】
5B020BB10
5B020DD02
5B087AA04
5E338AA01
5E338AA05
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB55
5E338BB63
5E338BB72
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD15
5E338CD23
5E338CD25
5E338EE27
5G046AB02
5G046AC26
(57)【要約】
【課題】シリコーンエラストマーからなる基材シートであっても端子部近傍の破損を抑制できる静電容量型ソフトセンサ、及びそれを用いた静電容量型センサモジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】柔軟性を有する基材シート10上に、静電容量の変化を検出する検出電極20が設けられた静電容量型ソフトセンサ1において、基材シート10としてシリコーンエラストマーからなるシートを用い、基材シート10における検出電極20が配置された本体部12から突出した突出部14の先端部分に端子部16を形成し、突出部14における配線22が形成された側に、UV硬化系粘着剤からなる接着層40を介して延伸抑制層30を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有する基材シート上に、静電容量の変化を検出する検出電極が設けられた静電容量型ソフトセンサであって、
前記基材シートは、シリコーンエラストマーからなるシートであり、
前記基材シートは、前記検出電極が配置された本体部と、前記検出電極が設けられた側から見て前記本体部の少なくとも一辺から突出した突出部と、を有し、
前記突出部の先端部分には端子部が形成され、
前記突出部には前記検出電極と前記端子部とを繋ぐ配線が形成されており、
前記突出部における前記配線が形成された側とその反対側の少なくとも一方に、UV硬化系粘着剤からなる接着層を介して延伸抑制層が設けられている、静電容量型ソフトセンサ。
【請求項2】
前記基材シートの厚みが12μm以上250μm以下である、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項3】
JIS K 6251:2017に従って測定される前記基材シートの破断伸びが100%以上800%以下である、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項4】
JIS K 6253に従って測定される前記シリコーンエラストマーのショアA硬度が10以上90以下である、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項5】
JIS K 6251:2017に従って測定される前記基材シートの引張強さが4MPa以上12MPa以下である、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項6】
前記接着層の厚みが5μm以上50μm以下である、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項7】
前記突出部における前記接着層が設けられる面にエキシマ処理が施されている、請求項1に記載の静電容量型ソフトセンサ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の静電容量型ソフトセンサを備えた静電容量型センサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型ソフトセンサ及び静電容量型センサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用の電子機器等の様々な分野において、操作面の操作を静電容量の変化から検知する静電容量型のタッチセンサが広く用いられている。なかでも、静電容量の変化を検出する検出電極や配線が、シリコーンエラストマー等の柔軟で伸縮性を有する基材シート上に設けられたソフトセンサは、曲面や凹凸面等に追従させて自在に配置することができるため、特に有用である(例えば特許文献1)。
【0003】
一般に、質量が大きく剛性が高い電源や制御基板等の外部機器は、ソフトセンサには搭載されず、外部接続される。具体的には、ソフトセンサの基材シートに帯状の突出部を設け、その先端部分に端子部を形成し、前記端子部と外部機器とを電気的に接続する(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-162124号公報
【特許文献2】特許第6676373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2のような従来のソフトセンサでは、端子部を外部機器と接続する際に、基材シートの突出部に強いストレスがかかって引き裂き等の破損が生じるおそれがある。特にシリコーンエラストマーからなる基材シートの場合に引き裂きが生じやすい傾向がある。特許文献1、2では、このような外部機器と接続される際の端子部近傍の引き裂きに対する検討は行われていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シリコーンエラストマーからなる基材シートであっても端子部近傍の破損を抑制できる静電容量型ソフトセンサ、及びそれを用いた静電容量型センサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を含む。
[1]柔軟性を有する基材シート上に、静電容量の変化を検出する検出電極が設けられた静電容量型ソフトセンサであって、
前記基材シートは、シリコーンエラストマーからなるシートであり、
前記基材シートは、前記検出電極が配置された本体部と、前記検出電極が設けられた側から見て前記本体部の少なくとも一辺から突出した突出部と、を有し、
前記突出部の先端部分には端子部が形成され、
前記突出部には前記検出電極と前記端子部とを繋ぐ配線が形成されており、
前記突出部における前記配線が形成された側とその反対側の少なくとも一方に、UV硬化系粘着剤からなる接着層を介して延伸抑制層が設けられている、静電容量型ソフトセンサ。
[2]前記基材シートの厚みが12μm以上250μm以下である、[1]に記載の静電容量型ソフトセンサ。
[3]JIS K 6251:2017に従って測定される前記基材シートの破断伸びが100%以上800%以下である、[1]又は[2]に記載の静電容量型ソフトセンサ。
[4]JIS K 6253に従って測定される前記シリコーンエラストマーのショアA硬度が10以上90以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の静電容量型ソフトセンサ。
[5]JIS K 6251:2017に従って測定される前記基材シートの引張強さが4MPa以上12MPa以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の静電容量型ソフトセンサ。
[6]前記接着層の厚みが5μm以上50μm以下である、[1]に記載の静電容量型ソフトセンサ。
[7]前記突出部における前記接着層が設けられる面にエキシマ処理が施されている、[1]~[6]のいずれかに記載の静電容量型ソフトセンサ。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の静電容量型ソフトセンサを備えた静電容量型センサモジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シリコーンエラストマーからなる基材シートであっても端子部近傍の破損を抑制できる静電容量型ソフトセンサ、及びそれを用いた静電容量型センサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例の静電容量型ソフトセンサの概略構成を示した平面図である。
図2図1の静電容量型ソフトセンサのA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
[静電容量型ソフトセンサ]
図1は、実施形態の一例の静電容量型ソフトセンサ1(以下、「ソフトセンサ1」とも記す。)を検出電極及び配線が設けられた側から見た平面図である。図2は、図1のソフトセンサ1のA-A断面図である。
【0012】
本実施形態に係るソフトセンサ1は、基材シート10と、検出電極20と、配線22と、延伸抑制層30と、接着層40と、を備えている。
【0013】
図1に示す例の基材シート10は、平面視で長方形状の本体部12と、本体部12の両方の短辺からそれぞれ突出するように延在する帯状の突出部14,14とを有している。各々の突出部14,14の先端部分には端子部16,16が形成されている。
なお、基材シート10の平面視形状は、この例の形状には限定されず、用途に応じて適宜設定できる。例えば、基材シート10は、突出部14を1つのみ有するものであってもよい。
【0014】
基材シート10は、シリコーンエラストマーからなるシートであり、柔軟性を有している。
シリコーンエラストマーのショアA硬度は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。ショアA硬度が下限値以上であれば、外部機器との接続などの際に基材シート10に引き裂き等の破損が生じにくくなる。シリコーンエラストマーのショアA硬度は、90以下が好ましく、60以下がより好ましい。ショアA硬度が上限値以下であれば、ソフトセンサ1の三次元形状への追従性が向上する。エラストマーのショアA硬度の好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば10~90が好ましい。
なお、ショアA硬度は、試験片の厚さ(高さ)を1cmとしてJIS K 6253に従って測定した際のタイプAのデュロメータ硬さである。
【0015】
基材シート10の厚みは、12μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。基材シート10の厚みが前記下限値以上であれば、外部機器との接続などの際に基材シート10に引き裂き等の破損が生じにくくなる。基材シート10の厚みは、250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。基材シート10の厚みが前記上限値以下であれば、ソフトセンサ1の三次元形状への追従性が向上する。基材シート10の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば12~250μmが好ましい。
【0016】
基材シート10の破断伸びは、100%以上が好ましく、500%以上がより好ましい。基材シート10の破断伸びが前記下限値以上であれば、ソフトセンサ1の三次元形状への追従性が向上する。基材シート10の破断伸びは、800%以下が好ましく、600%以下がより好ましい。基材シート10の破断伸びが前記上限値以下であれば、過大な伸長による検出電極20及び配線22の剥離や断線を抑制しやすい。基材シート10の破断伸びの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば100~800%が好ましい。
なお、破断伸びは、JIS K 6251:2017に従って、試験片はダンベル状2号形を用い、引張速度は500mm/分の条件で測定される。
【0017】
基材シート10の引張強さは、4MPa以上が好ましく、8MPa以上がより好ましい。基材シート10の引張強さが前記下限値以上であれば、外部機器との接続などの際に基材シート10に引き裂き等の破損が生じにくくなる。基材シート10の引張強さは、12MPa以下が好ましく、10MPa以下がより好ましい。基材シート10の引張強さが前記上限値以下であれば、ソフトセンサ1の三次元形状への追従性が得られやすい。基材シート10の引張強さの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば4~12MPaが好ましい。
なお、引張強さは、JIS K 6251:2017に従い、試験片としてダンベル状2号形を用い、引張速度500mm/分の条件で測定される。
【0018】
この例では、基材シート10の本体部12における第1面10a側に、4つの検出電極20が本体部12の長辺方向に沿って間隔をあけて設けられている。また、各検出電極20には配線22が電気的に接続されており、それら配線22の2本ずつが2つの端子部16のそれぞれに至るように形成されている。
【0019】
各端子部16は、例えば電源や制御基板等の外部機器と電気的に接続することができる。これにより、ソフトセンサ1は、各端子部16が外部機器と電気的に接続された状態で、検出電極20に導体が接触又は近接したときに、検出電極20の静電容量の変化からそれを検知することができる。
検出電極20の数は、4個には限定されず、適宜設定でき、3個以下であってもよく、5個以上であってもよい。
【0020】
検出電極20は、静電容量の変化を検出することにより、導体の接触又は近接を検知するための電極である。検出電極20による静電容量の変化の検出は、自己容量方式であってもよく、相互容量方式であってもよい。
検出電極20の態様としては、例えば、ベタ電極、櫛歯電極、メッシュ電極、田形電極パターン、ダイヤモンドパターン等が挙げられる。
検出電極20の平面視形状は、図1に示す例では矩形であるが、円形、楕円形等であってもよい。
【0021】
検出電極20を構成する材料としては、例えば、金属フィラーを含むペーストインクを例示できる。金属フィラーとしては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、金フィラーを例示でき、銀フィラーが好ましい。ペーストインクに含まれる金属フィラーは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0022】
検出電極20を構成するペーストインクには、導電性高分子(ポリチオフェン系導電性ポリマー(PEDOT/PSS)、インジウムドープ酸化錫(ITO)等)、導電性ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、金ナノワイヤー等)、導電性金属酸化物粒子(ITO粒子等)等の他の導電物質が含まれていてもよい。
検出電極20を構成する材料としては、銀ペーストインクが好ましく、アクリル樹脂に銀フィラーが添加された銀ペーストインクが特に好ましい。
【0023】
検出電極20の厚みは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。検出電極20の厚みが前記下限値以上であれば、検出電極20の剥離や断線を抑制しやすい。検出電極20の厚みは、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。検出電極20の厚みが前記上限値以下であれば、ソフトセンサ1の薄型化が容易になる。検出電極20の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば1~20μmが好ましい。
【0024】
配線22の材料としては、特に限定されず、例えば検出電極20の材料と同じものを例示でき、銀ペーストインクが好ましく、アクリル樹脂に銀フィラーが添加された銀ペーストインクが特に好ましい。
【0025】
配線22の厚みは、例えば検出電極20の厚みと同程度にすることができ、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、また20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。配線22の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば1~20μmが好ましい。
【0026】
基材シート10の突出部14の第1面10a側には配線22を覆うように延伸抑制層30が設けられている。延伸抑制層30は、接着層40を介して基材シート10の突出部14に接着されている。基材シート10の突出部14に延伸抑制層30が設けられることにより、端子部16を外部機器と接続する際においても、基材シート10の突出部14が過度に延伸されにくくなり、突出部14に加わるストレスを軽減することができる。その結果、基材シート10の突出部14に引き裂き等の破損が生じにくくなる。
なお、延伸抑制層30は、基材シート10の突出部14における第1面10aとは反対側の第2面10b側に接着層40を介して接着されていてもよい。
【0027】
延伸抑制層30としては、端子部16を外部機器と接続する際における基材シート10の突出部14の延伸を低減であればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレン(PP)を例示できる。延伸抑制層30を構成するフィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
高強度(伸びにくく)、安価であることから、延伸抑制層30としては、PETフィルム、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
【0028】
延伸抑制層30の厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。延伸抑制層30の厚みが前記下限値以上であれば、外部機器との接続などの際に基材シート10の突出部14に引き裂き等の破損が生じることを抑制しやすい。延伸抑制層30の厚みは、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。延伸抑制層30の厚みが前記上限値以下であれば、延伸を抑制しつつ薄膜化が可能となり設計の自由度を上げる事が可能となる。延伸抑制層30の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば20~30μmが好ましい。
【0029】
接着層40を構成する材料は、UV硬化系粘着剤である。
UV硬化系粘着剤としては、特に限定されず、公知のUV硬化系粘着剤を制限なく使用することができ、例えばアクリル系のUV硬化系粘着剤、エポキシ系のUV硬化系粘着剤を例示できる。接着層40に使用するUV硬化系粘着剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0030】
接着層40の厚みは、5μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましい。接着層40の厚みが前記下限値以上であれば、基材シート10の突出部14と延伸抑制層30を充分な接着強度で接着することが容易になる。接着層40の厚みは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。接着層40の厚みが前記上限値以下であれば、接着力を確保しつつ薄膜化が可能となり設計の自由度を上げる事が出来る。接着層40の厚みの好ましい下限と上限は任意に組み合わせることができ、例えば5~40μmが好ましい。
【0031】
基材シート10の突出部14における接着層40が設けられる面には、エキシマ処理が施されていることが好ましい。これにより、基材シート10の突出部14と延伸抑制層30をさらに高い接着強度で接着することができる。
【0032】
ソフトセンサ1の製造方法は、特に限定されない。
例えば、基材シート10は、プレス成形、押出成形、カレンダー成形等の公知の成形方法を利用して製造できる。
また、検出電極20、配線22、延伸抑制層30、及び接着層40は、例えばスクリーン印刷によって基材シート10上に所定のパターンで順次形成することができる。スクリーン印刷によって検出電極20、配線22及び接着層40を形成する場合、スクリーン印刷の前工程として基材シート10の第1面10aに光学的な表面処理もしくは易接着コート(プライマー)塗布を行ってもよい。基材シート10の突出部14における接着層40を設ける第1面10aにはエキシマ処理を施すことが好ましい。
【0033】
以上説明したように、ソフトセンサ1においては、基材シートとして柔軟性に優れたシリコーンエラストマーからなるシートを用いるため、曲面や凹凸面等への追従性に優れ、皺が生じにくい。また、先端部分に端子部16を有する基材シート10の突出部14には延伸抑制層30が設けられているため、端子部16を外部機器と接続する際においても、基材シート10の突出部14に過度なストレスがかかりにくく、引き裂き等の破損が生じにくい。さらに、シリコーンエラストマーを用いた基材シート10は、アクリル系接着剤等の非UV硬化系の接着剤では充分な接着強度が得られにくいが、UV硬化系粘着剤を用いることにより、基材シート10の突出部14と延伸抑制層30を充分な接着強度で接着することができる。
【0034】
[静電容量型センサモジュール]
本発明の静電容量型センサモジュールは、本発明の静電容量型ソフトセンサを備えたモジュールである。
本発明の静電容量型センサモジュールは、本発明の静電容量型ソフトセンサを備える以外は公知の態様を採用できる。例えばソフトセンサ1の基材シート10の第2面10b側に接着層を設け、当該接着層を介して曲面や凹凸面等の三次元形状を有する対象物に貼り付けた静電容量型センサモジュールを例示できる。
【0035】
ソフトセンサ1を対象物に貼り付ける際の接着層を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、接着層40において例示したUV硬化系粘着剤を例示できる。
【0036】
なお、本発明は前記した態様には限定されない。
例えば、本発明の静電容量型ソフトセンサは、基材シートに、検出電極に加えてGND電極が設けられていてもよい。
また、ソフトセンサ1では、延伸抑制層は基材シートの突出部における配線が形成された側のみに設けられていたが、突出部の配線が形成された側とその反対側の両方に設けられていてもよく、突出部における配線が形成された側とは反対側のみに設けられていてもよい。
【0037】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【実施例0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0039】
[実験例1]
シリコーンエラストマー(信越ポリマー社製、型番:KE-971T-U)を原材料として、公知の方法によってフィルム状の試験片を成形し、その試験片の表面に対してエキシマ処理を施した。エキシマ処理においては、UV波長172nm、照度50mW/cmのエキシマランプを用い、試験片とランプの距離(照射距離)を3mmに設定し、2秒間の照射を行った。
前記試験片のエキシマ処理を施した表面に、スクリーン印刷によってUV硬化系粘着剤(アクリル系、協立化学産業社製、型番:3990)を乾燥厚みが40μmとなるように塗布し、乾燥した後、PETフィルム(厚み25μm、東レ社製、型番:ルミラーS10)を貼り合わせてサンプルを製造した。
【0040】
[実験例2]
試験片のPETフィルムを貼り合わせる表面にエキシマ処理を施さなかった以外は、実験例1と同様にしてサンプルを製造した。
【0041】
[参考例1]
PETフィルム(厚み25μm、東レ社製、型番:ルミラーS10)の片面にアクリル系両面テープ(3M社製、型番:467MP)を貼り合わせて参考用のサンプルとした。
【0042】
[接着強度の測定]
各例で得たサンプルについて、以下の引張試験を行って接着強度(N/cm)を測定した。
具体的には、引張試験機にて速度300mm/minにて引張試験を実施した。
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、エキシマ処理を行った実験例1のサンプルは、エキシマ処理を行わなかった実験例2のサンプルに比べ、シリコーンエラストマーからなるフィルムとPETフィルムとの接着強度が高く、参考例1の両面テープを貼り合わせたサンプルの接着強度をほぼ同等であった。
【符号の説明】
【0045】
1…静電容量型ソフトセンサ、10…基材シート、10a…第1面、10b…第2面、12…本体部、14…突出部、16…端子部、20…検出電極、22…配線、30…延伸抑制層、40…接着層。
図1
図2