IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋ゴム工業株式会社の特許一覧

特開2024-46タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法
<>
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図1
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図2
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図3
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図4
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図5
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図6
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図7
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図8
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図9
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図10
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図11
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図12
  • 特開-タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000046
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20231225BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098565
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安永 智一
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AH20
4F202CA21
4F202CU02
4F202CU04
4F203AA45
4F203AH20
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC02
4F203DL10
(57)【要約】
【課題】容易に切除可能なピンチを形成するタイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】タイヤ成形型は、第1型と、前記第1型と嵌合する第2型と、を備え、前記第1型の嵌合面を第1嵌合面とし、前記第2型の嵌合面を第2嵌合面としたとき、前記第1嵌合面に、タイヤ形成面にゴム導入口を有する複数の第1凹が設けられ、前記第1嵌合面又は前記第2嵌合面に、隣り合う前記第1凹を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型と、前記第1型と嵌合する第2型と、を備え、
前記第1型の嵌合面を第1嵌合面とし、前記第2型の嵌合面を第2嵌合面としたとき、
前記第1嵌合面に、タイヤ形成面にゴム導入口を有する複数の第1凹が設けられ、
前記第1嵌合面又は前記第2嵌合面に、隣り合う前記第1凹を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹が設けられている、タイヤ成形型。
【請求項2】
前記第1型は、タイヤのサイド面を形成するサイドモールドであり、
前記第1凹は、前記タイヤのサイド面にセレーションのリッジを形成する溝であり、
前記第2型は、前記タイヤのトレッド面を形成するセクターであり、
前記第2凹は、タイヤ周方向に沿って延びている、請求項1に記載のタイヤ成形型。
【請求項3】
前記第1凹は、前記タイヤ形成面に向かって幅狭に形成されている、請求項1に記載のタイヤ成形型。
【請求項4】
前記第1型及び前記第2型は、タイヤのトレッド面を形成するセクターであり、
前記第1凹は、タイヤ周方向に沿って延び、
前記第2凹は、タイヤ軸方向に沿って延びている、請求項1に記載のタイヤ成形型。
【請求項5】
前記第1型は、タイヤのサイド面を形成するサイドモールドであり、
前記第2型は、前記タイヤのトレッド面を形成するセクターであり、
前記第2型のタイヤ周方向の一方側の嵌合面を第3嵌合面とし、前記第2型のタイヤ周方向の他方側の嵌合面を第4嵌合面としたとき、
前記第3嵌合面に、トレッド形成面にゴム導入口を有する複数の第3凹が設けられ、
前記第3嵌合面又は前記第4嵌合面に、隣り合う前記第3凹を少なくとも嵌合したときに連結する第4凹が設けられ、
前記第4凹は、少なくとも嵌合したときに前記第2凹と連結する、請求項1に記載のタイヤ成形型。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のタイヤ成形型に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤに加熱加圧を施して加硫成形を行う工程を含む、タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タイヤのサイド面を形成するサイドモールドと、タイヤのトレッド面を形成する複数のセクターと、を備え、サイドモールドとセクターとの嵌合面にゴム導入溝が設けられた、タイヤ成形型が開示されている。当該タイヤ成形型によって製造されたタイヤは、ゴム導入溝によって、タイヤと連続的に繋がった環状のピンチ(嵌合面に形成されるゴムバリ)が形成される。
【0003】
当該ピンチの切除は、カット位置を安定させるためにターンテーブルを用いて行うことが想定されている。具体的には、タイヤをターンテーブル上に載置して、当該ピンチにカッターを切り込ませた状態にして、タイヤをタイヤ周方向に回転させることによって当該ピンチが切除される。そのため、ピンチを切除するために、ターンテーブルが必要なことやターンテーブルまでタイヤを運ぶ必要があることなどから、ピンチの切除作業の容易化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-119624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、容易に切除可能なピンチを形成するタイヤ成形型及びそれを用いたタイヤの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のタイヤ成形型は、第1型と、前記第1型と嵌合する第2型と、を備え、前記第1型の嵌合面を第1嵌合面とし、前記第2型の嵌合面を第2嵌合面としたとき、前記第1嵌合面に、タイヤ形成面にゴム導入口を有する複数の第1凹が設けられ、前記第1嵌合面又は前記第2嵌合面に、隣り合う前記第1凹を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹が設けられている。
【0007】
本開示のタイヤの製造方法は、前記タイヤ成形型に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤに加熱加圧を施して加硫成形を行う工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るタイヤ成形型によって製造された空気入りタイヤの側面図
図2】同実施形態に係るタイヤ成形型の縦断面図
図3図2の矢視III方向から第2型を省略して第1型を見たときの第1凹と第2凹との関係を示す図
図4】実施形態2に係るタイヤ成形型の縦断面図
図5図4の矢視V方向から第2型を省略して第1型を見たときの第1凹と第2凹との関係を示す図
図6図4のVI-VI線断面図
図7】実施形態3に係るタイヤ成形型の横断面図
図8図7の矢視VIII方向から第2型を省略して第1型を見たときの第1凹と第2凹との関係を示す図
図9】実施形態4に係るタイヤ成形型の縦断面図
図10図9の領域Xの拡大図
図11】他の実施形態における第1凹と第2凹との関係を示す第1嵌合面の要部拡大図
図12】他の実施形態における第1凹と第2凹との関係を示す第1嵌合面の要部拡大図
図13】他の実施形態における第1凹と第2凹との関係を示す第1嵌合面の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、タイヤ成形型における実施形態1について、図1図3を参照しながら説明する。なお、各図(図4図13も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ回転軸と平行であるタイヤ軸方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤの直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0011】
タイヤ軸方向D1において、内側は、タイヤ赤道面に近い側となり、外側は、タイヤ赤道面から遠い側となる。また、タイヤ径方向D2において、内側は、タイヤ回転軸に近い側となり、外側は、タイヤ回転軸から遠い側となる。タイヤ赤道面とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤのタイヤ軸方向D1の中心に位置する面のことである。
【0012】
タイヤ成形型についても、不図示のタイヤがセットされた状態として上記方向D1~D3などを用いて説明する。
【0013】
図1は、実施形態1に係るタイヤ成形型によって製造された空気入りタイヤの側面図である。図1に示すように、タイヤ成形型によって加硫成形された空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)100は、一対のビード部101と、各ビード部101からタイヤ径方向D2の外側に延びる一対のサイドウォール102と、一対のサイドウォール102のタイヤ径方向D2の外側端に連なるトレッド103と、を備えている。
【0014】
サイドウォール102の外表面には、タイヤ周方向D3に沿って延びる装飾領域104が設けられている。装飾領域104には、一定幅を有してタイヤ周方向D3に沿って延びるセレーション105と、文字、図形や記号などの印(不図示)と、が設けられている。本実施形態において、セレーション105は、円環状をなす領域に形成されているが、これに限られない。
【0015】
セレーション105は、タイヤ径方向D2に沿って延びる複数のリッジ105aを備えている。リッジ105aは、タイヤ軸方向の外側に突出する突起であり、タイヤ周方向D3に沿って環状に並列されている。リッジ105aは、タイヤ径方向D2に対して傾斜して延びていてもよい。リッジ105aは、後述するタイヤ成形型1(図2参照)におけるサイドモールド2とセクター3との割り位置106まで延びている。本実施形態において、リッジ105aは、断面略三角形状であるが、これに限られない。
【0016】
図2は、実施形態1に係るタイヤ成形型1の縦断面図である。図3は、図2の矢視III方向から第2型(セクター3)を省略して第1型(サイドモールド2)を見たときの第1凹21と第2凹31との関係を示す図である。
【0017】
図2に示すように、タイヤ成形型1は、第1型と、第1型と嵌合する第2型と、を備えている。実施形態1では、第1型がサイドモールド2であり、第2型がセクター3である例を示す。本実施形態において、タイヤ成形型1は、セグメンテッドモールドであるが、これに限られない。例えば、タイヤ成形型1は、ツーピースモールドであってもよい。タイヤ成形型1は、セットされたタイヤの外表面に接するタイヤ形成面1bを備える。タイヤ形成面1bは、セクター3の内面と、サイドモールド2の内面とを含む。
【0018】
本実施形態において、タイヤ成形型1は、一対の第1型(サイドモールド2,2)と、複数の第2型(セクター3)と、を備えている。なお、上記に限られず、第1型をセクターとし、第2型をサイドモールドとしてもよい。
【0019】
一対のサイドモールド2,2は、未加硫タイヤ(不図示)のタイヤ軸方向D1の外側に設けられている。複数のセクター3は、サイドモールド2の側方に設けられ、且つ、未加硫タイヤのタイヤ周方向D3に沿って環状に並列されている。一方のサイドモールド2は、他方のサイドモールド2に対してタイヤ軸方向D1に接近及び離間可能であり、複数のセクター3は、サイドモールド2に対してタイヤ径方向D2に接近及び離間可能である。
【0020】
サイドモールド2は、例えば、一般構造用圧延鋼材(例えば、SS400)などの鋼材で形成されている。セクター3は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金(例えば、Al-Cu系、Al-Mg系、Al-Mn系、Al-Si系の合金)で形成されている。
【0021】
サイドモールド2とセクター3との嵌合面のうち、サイドモールド2の嵌合面を第1嵌合面2aとし、セクター3の嵌合面を第2嵌合面3aとする。タイヤ形成面1bのうち、サイドモールド2のタイヤ形成面を第1形成面2bとし、セクター3のタイヤ形成面(トレッド形成面)を第2形成面3bとする。本実施形態において、第1形成面2bは、図1のサイドウォール102を形成するタイヤ形成面であり、第2形成面3bは、図1のトレッド103を形成するトレッド形成面である。
【0022】
第1嵌合面2aと第1形成面2bとによって形成されるエッジには、面取りが施されていることが好ましい。これにより、サイドモールド2とセクター3との嵌合時における未加硫タイヤのゴム噛みを抑制できる。第2嵌合面3aと第2形成面3bとによって形成されるエッジについても同様である。
【0023】
第1嵌合面2aには、タイヤ形成面1b(第1形成面2b)にゴム導入口211を有する複数の第1凹21が設けられている。第1凹21は、タイヤ周方向D3に沿って複数並列されている。第1凹21は、タイヤ周方向D3に沿って断続的に設けられている。第1凹21を断続的に設けることによって、第1凹21を連続的に設けた場合と比べ、第2嵌合面3aと第2形成面3bとのエッジが摩滅し難くなる。
【0024】
第1凹21は、一対のサイドモールド2,2のうち少なくとも片側に設けられている。本実施形態において、第1凹21は、一対のサイドモールド2,2のうち両側に設けられている。
【0025】
第1凹21は、タイヤ径方向D2において、一端が第1嵌合面2aに開口し、他端が第1形成面2b上で終端している。第1凹21は、第1嵌合面2aからタイヤ径方向D2の内側に延びる溝である。本実施形態において、第1凹21は、図1のセレーション105のリッジ105aを形成する溝である。第1凹21は、断面略三角形状に形成されている。
【0026】
第1凹21のタイヤ軸方向D1の外側端は、第1嵌合面2aの近傍において、タイヤ軸方向D1の外側に向かって傾斜している。本実施形態において、第1凹21のタイヤ軸方向D1の外側端は、タイヤ周方向D3視において湾曲している。なお、第1凹21は、上記に限られない。
【0027】
第1嵌合面2a又は第2嵌合面3aには、隣り合う第1凹21を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹31が設けられている。第1凹21と第2凹31とを設けることによって、図1のタイヤ100に断続的に繋がったピンチを形成することができる。これにより、タイヤ100に連続的に繋がったピンチを手作業で切除した場合と比べて簡単に引き千切ることが可能となり、手作業によるピンチの切除作業を容易にすることができる。その結果、例えば、ターンテーブルを用いることなくピンチを容易に切除することができる。
【0028】
本実施形態において、第2凹31は、第2嵌合面3aに設けられている。これにより、セクター3をタイヤ径方向D2の外側に離間させた際に、ピンチが第2凹31から抜けやすくなる。その結果、セクター3を離間させた際に、ピンチが引きちぎられることを抑制でき、ピンチが第2凹31に残ることを抑制できる。
【0029】
第2凹31は、少なくともタイヤ軸方向D1の片側に設けられている。本実施形態において、第2凹31は、タイヤ軸方向D1の両側の第2嵌合面3aに設けられている。一対の第2凹31は、それぞれタイヤ赤道面S1に関して面対称に形成されている。なお、片側又は両側の第2凹31は、第1嵌合面2aに設けられていてもよい。また、一対の第2凹31は、それぞれ非対称に形成されていてもよい。
【0030】
第2凹31は、タイヤ周方向D3に沿って連続的に延びる溝である(図3参照)。第2凹31は、一端がセクター3のタイヤ周方向の一方側の嵌合面に開口し、他端がセクター3のタイヤ周方向の他方側の嵌合面に開口している。これにより、タイヤ周方向D3に連ねた複数のセクター3を互いに嵌合させた際に、複数の第2凹31によって円環溝が形成される。セクター3のタイヤ周方向D3の嵌合面は、セクター3と他のセクターとの嵌合面である。
【0031】
第2凹31は、断面が角張った形状であることが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。本実施形態において、第2凹31は、断面台形形状に形成されているが、これに限られない。例えば、第2凹31は、断面三角形状や断面半円形状に形成されていてもよい。
【0032】
第2凹31は、第2形成面3bから離れた位置に形成されている。第2凹31は、第2嵌合面3aに向かって幅広に形成されていることが好ましい。これにより、ピンチが第2凹31から抜けやすくなり、セクター3を離間させた際に、ピンチが引きちぎられることを抑制できる。第2凹31のタイヤ軸方向D1の外側端は、第1凹21のタイヤ軸方向D1の外側端よりもタイヤ軸方向D1の外側に設けられている。
【0033】
第2凹31のタイヤ軸方向D1の幅W2は、2mm以上であることが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。また、幅W2は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹31においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0034】
第2凹31のタイヤ径方向D2の深さH2は、1mm以上であることが好ましい。これにより、ピンチの強度を確保することができ、ピンチを引っ張った際に図1のリッジ105aとピンチとの繋ぎ部以外で引きちぎられることを抑制できる。深さH2は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹31においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0035】
第2凹31の幅W2は、第2凹31の深さH2よりも大きいことが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0036】
第2形成面3bから第2凹31のタイヤ軸方向D1の外側端までの距離L1は、2.5mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹31の幅W2を確保することができ、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。距離L1は、20mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹31においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0037】
第2凹31の幅W2は、第2凹31の外側端までの距離L1の50%以上であることが好ましい。これにより、第2凹31の幅W2を確保することができ、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。幅W2を距離L1の90%以下とすることにより、第2凹31においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0038】
図3に示すように、第1凹21のタイヤ周方向D3に沿った幅W1は、0.5mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹31へのゴムの導入を良好にすることができる。また、サイドモールド2の離間時や第2凹31によって形成されたピンチを引きちぎった際に、図1のリッジ105aが引きちぎられることを抑制できる。幅W1は、5mm以下であることが好ましい。これにより、セレーション105を適度なサイズで設けることができる。第1凹21の幅W1は、ゴム導入口211の幅と実質的に同じである。
【0039】
第1凹21のタイヤ軸方向D1の深さH1は、0.3mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹31をタイヤ形成面1bから離すことができ、ピンチがタイヤの外表面に連続的に繋がることを抑制できる。深さH1は、3mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹31へのゴムの導入を良好にすることができる。
【0040】
第1凹21の設置間隔P1は、0.5mm以上であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。設置間隔P1は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第1凹21が設けられていない第1嵌合面2aと第2嵌合面3a(図2参照)との隙間にピンチが形成されることを抑制できる。
【0041】
第1凹21の幅W1は、第1凹21の設置間隔P1の50%以上であることが好ましい。これにより、第1凹21が設けられていない第1嵌合面2aと第2嵌合面3a(図2参照)との隙間にピンチが形成されることを抑制できる。幅W1は、設置間隔P1の90%以下であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0042】
第1凹21と第2凹31との連結部4(図3のハッチング部)のタイヤ周方向D3に沿った幅W3は、0.2mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹31へのゴムの導入を良好にすることができる。また、セクター3の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。幅W3を3mm以下とすることにより、切除の容易なピンチを形成することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。本実施形態において、連結部4の幅W3は、第1凹21の幅W1よりも小さい。
【0043】
連結部4のタイヤ軸方向D1の厚みT1は、0.1mm以上であることが好ましい。これにより、セクター3の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。厚みT1は、2mm以下であることが好ましい。これにより、切除の容易なピンチを形成することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0044】
連結部4の面積は、0.01mm以上であることが好ましい。これにより、セクター3の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。連結部4の面積は、4mm以下であることが好ましい。これにより、ピンチを作業者の手で引きちぎることができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。本実施形態において、連結部4の面積は、ゴム導入口211の面積よりも小さい。
【0045】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係るタイヤ成形型1について、図4図6を参照して説明する。実施形態2に係るタイヤ成形型1は、第1凹21及び第2凹31の両方にピンチを形成させる点で実施形態1に係るタイヤ成形型1と異なる。実施形態2では、第1型がサイドモールド2であり、第2型がセクター3である例を示す。実施形態1と同様の構成については、説明を省略する。
【0046】
図4は、実施形態2に係るタイヤ成形型1の縦断面図である。図5は、図4の矢視V方向からセクター3を省略してサイドモールド2を見たときの第1凹21と第2凹31との関係を示す図である。図6は、図4のVI-VI線断面図である。
【0047】
図4に示すように、第1凹21は、タイヤ形成面1b(第1形成面2b)からタイヤ軸方向D1に沿って延びる溝である。第1凹21は、一端が第1嵌合面2a上に終端し、他端が第1形成面2bに開口している。第1凹21は、第1形成面2bに向かって(タイヤ軸方向D1の内側に向かって)溝深さが小さくなっている。
【0048】
第2凹31は、タイヤ形成面1b(第2形成面3b)からタイヤ軸方向D1に沿って延びる溝である。第2凹31は、第2形成面3bにゴム導入口311を備えている。第2凹31は、一端が第2嵌合面3a上に終端し、他端が第2形成面3bに開口している。第2凹31は、第2形成面3bに向かって(タイヤ軸方向D1の内側に向かって)溝深さが小さくなっている。本実施形態において、第2凹31は、セクター3に形成されているが、これに限られない。第2凹31は、サイドモールド2に形成されていてもよい。第2凹31は、実施形態1の第2凹31(図2及び図3参照)と同じ形状であってもよい。
【0049】
第1凹21のゴム導入口211のタイヤ径方向D2の深さH3は、0.2mm以上であることが好ましい。これにより、第1凹21へのゴムの導入を良好にすることができる。また、サイドモールド2の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。深さH3は、5mm以下であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。第2凹31のゴム導入口311のタイヤ径方向D2の深さH4についても同様である。
【0050】
図5に示すように、第1凹21は、第1形成面2bに向かって(タイヤ軸方向D1の内側に向かって)幅狭に形成されている。第2凹31は、第2形成面3bに向かって(タイヤ軸方向D1の内側に向かって)幅狭に形成されている。第2凹31は、少なくとも嵌合したときに、隣り合う第1凹21の間に設けられている。
【0051】
第1凹21及び第2凹31の連結部4は、タイヤ形成面1bから離れた位置に設けられている。第1凹21及び第2凹31は、角張った形状であることが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0052】
図5及び図6に示すように、本実施形態において、第1凹21は、略三角錘状、即ち、断面三角形状(断面二等辺三角形状)に形成されている。第1凹21の最深部(三角錐の頂点)は、第1凹21の終端よりもタイヤ軸方向D1の内側に設けられている。第1凹21の終端は、タイヤ径方向D2視において第1形成面2bと実質的に平行である。なお、第1凹21は、上記に限られず、例えば、断面不等辺三角形状や断面略半円形状に形成されていてもよい。
【0053】
本実施形態において、第2凹31は、略三角錘状、即ち、断面三角形状(断面二等辺三角形状)に形成されている。第2凹31の最深部(三角錐の頂点)は、第2凹31の終端よりもタイヤ軸方向D1の内側に設けられている。第2凹31の終端は、タイヤ径方向D2視において第2形成面3b(図4参照)と実質的に平行である。なお、第2凹31は、上記に限られず、例えば、断面不等辺三角形状や断面略半円形状に形成されていてもよい。
【0054】
図5に示すように、第2凹31の終端は、第1凹21の終端よりもタイヤ軸方向D1の外側に設けられていることが好ましい。これにより、サイドモールド2及びセクター3の嵌合時のずれや製造誤差などによって第1凹21と第2凹31との連結部4の面積が小さくなることを抑制できる。
【0055】
第1凹21のゴム導入口211のタイヤ周方向D3に沿った幅W4は、0.4mm以上であることが好ましい。これにより、サイドモールド2の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。幅W4は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第1凹21へのゴムの導入を良好にすることができる。また、切除の容易なピンチを形成することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。第2凹31のゴム導入口311のタイヤ周方向D3に沿った幅W5についても同様である。
【0056】
第1凹21のゴム導入口211の面積は、0.04mm~以上であることが好ましい。これにより、第1凹21へのゴムの導入を良好にすることができる。また、サイドモールド2の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。ゴム導入口211の面積は、25mm以下であることが好ましい。これにより、ピンチを作業者の手で引きちぎることができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。第2凹31のゴム導入口311の面積についても同様である。
【0057】
連結部4の面積は、ゴム導入口211の面積やゴム導入口311の面積よりも大きいことが好ましい。これにより、ピンチを引っ張った際、ピンチがタイヤとの繋ぎ部以外で引きちぎられることを抑制できる。
【0058】
第1凹21の設置間隔P2は、0.6mm以上であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。設置間隔P2は、20mm以下であることが好ましい。これにより、第1凹21が設けられていない第1嵌合面2aと第2嵌合面3a(図4参照)との隙間にピンチが形成されることを抑制できる。第2凹31の設置間隔P3についても同様である。
【0059】
第1凹21のゴム導入口211の幅W4は、第1凹21の設置間隔P2の30%以上であることが好ましい。これにより、第1凹21へのゴムの導入を良好にすることができる。幅W4は、設置間隔P2の90%以下であることが好ましい。これにより、セクター3の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。第2凹31のゴム導入口311の幅W5と第2凹31の設置間隔P3との比率についても同様である。
【0060】
[実施形態3]
次に、実施形態3に係るタイヤ成形型1について、図7及び図8を参照して説明する。実施形態3に係るタイヤ成形型1は、第1型及び第2型の両方がセクターである点で実施形態1に係るタイヤ成形型1と異なる。実施形態3では、第1型がセクター6であり、第2型がセクター7である例を示す。実施形態1のセクター3と同様の構成については、説明を省略する。
【0061】
図7は、実施形態3に係るタイヤ成形型1の横断面図である。図8は、図7の矢視VIII方向からセクター7を省略してセクター6を見たときの第1凹61と第2凹71との関係を示す図である。
【0062】
図7に示すように、セクター6とセクター7との嵌合面のうち、セクター6の嵌合面を第1嵌合面6aとし、セクター7の嵌合面を第2嵌合面7aとする。タイヤ形成面1bのうち、セクター6のタイヤ形成面(トレッド形成面)を第1形成面6bとし、セクター7のタイヤ形成面(トレッド形成面)を第2形成面7bとする。
【0063】
第1嵌合面6aには、タイヤ形成面1b(第1形成面6b)にゴム導入口611を有する複数の第1凹61が設けられている。第1凹61は、タイヤ軸方向D1に沿って複数並列されている(図8参照)。第1凹61は、タイヤ軸方向D1に沿って断続的に設けられている。第1凹61を断続的に設けることによって、第1凹61を連続的に設けた場合と比べ、第2嵌合面7aと第2形成面7bとのエッジが摩滅し難くなる。
【0064】
第1凹61は、タイヤ周方向D3に沿って延びる溝である。第1凹61は、一端が第1嵌合面6aに開口し、他端が第1形成面6b上で終端している。
【0065】
第1凹61のタイヤ径方向D2の外側端は、第1嵌合面6aに向かってタイヤ径方向D2の外側に傾斜している。第1凹61のタイヤ径方向D2の深さH5は、第1嵌合面6aに向かって大きくなっている。
【0066】
第1凹61の深さH5は、0.3mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹71をタイヤ形成面1bから離すことができる。深さH5は、2mm以下であることが好ましい。これにより、第1凹61によってトレッド面に形成される突起を小さくすることができる。
【0067】
第1嵌合面6a又は第2嵌合面7aには、隣り合う第1凹61を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹71が設けられている。第1凹61と第2凹71とを設けることによって、タイヤに断続的に繋がったピンチを形成することができる。これにより、タイヤに連続的に繋がったピンチを手作業で切除した場合と比べ、手作業によるピンチの切除作業を容易にすることができる。その結果、ターンテーブルを用いることなくピンチを容易に切除することができる。
【0068】
本実施形態において、第2凹71は、第2嵌合面7aに設けられている。これにより、セクター7をセクター6に対しタイヤ周方向D3に離間させた際に、ピンチが第2凹71から抜けやすくなる。その結果、セクター7を離間させた際に、ピンチが引きちぎられることを抑制できる。
【0069】
第2凹71は、タイヤ軸方向D1に沿って(第2形成面7bに沿って)延びる溝である(図8参照)。第2凹71のタイヤ径方向D2の幅W7は、2mm以上であることが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。幅W7は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹71においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0070】
第2凹71のタイヤ周方向D3に沿った深さH6は、1mm以上であることが好ましい。これにより、ピンチの強度を確保することができ、ピンチを引っ張った際に第1凹61によって形成された突起とピンチとの繋ぎ部以外で引きちぎられることを抑制できる。深さH6は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹71においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0071】
第2凹71の幅W7は、第2凹71の深さH6よりも大きいことが好ましい。これにより、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0072】
第2形成面7bから第2凹71のタイヤ径方向D2の外側端までの距離L2は、2.5mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹71の幅W7を確保することができ、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。距離L2は、20mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹71においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0073】
第2凹71の幅W7は、第2凹71の外側端までの距離L2の50%以上であることが好ましい。これにより、第2凹71の幅W7を確保することができ、作業者がピンチを掴みやすくなり、ピンチの切除作業を容易にすることができる。幅W7は、距離L2の90%以下であることが好ましい。これにより、第2凹71においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0074】
図8に示すように、第1凹61は、第1形成面6bに向かって幅広に形成されている。本実施形において、第1凹61は、断面略三角形状に形成されている。第1凹61は、第1嵌合面6aに向かって幅広に形成されている。本実施形において、第1凹61は、タイヤ径方向D2視において略三角形状に形成されている。なお、第1凹61は、上記に限られない。
【0075】
第1凹61のタイヤ軸方向D1に沿った幅W6は、0.5mm以上であることが好ましい。これにより、第1凹61へのゴムの導入を良好にすることができる。また、セクター6の離間時や第2凹71によって形成されたピンチを引きちぎった際に、第1凹61によって形成された突起が引きちぎられることを抑制できる。幅W6は、5mm以下であることが好ましい。これにより、第2凹71においてピンチを形成するためのゴムが不足することを抑制できる。
【0076】
第1凹61の設置間隔P4は、0.5mm以上であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。設置間隔P4は、10mm以下であることが好ましい。これにより、第1凹61が設けられていないセクター6とセクター7との嵌合面の隙間にピンチが形成されることを抑制できる。
【0077】
第1凹61の幅W6は、第1凹61の設置間隔P4の30%以上であることが好ましい。これにより、第1凹61が設けられていない第1嵌合面6aと第2嵌合面7a(図7参照)との隙間にピンチが形成されることを抑制できる。幅W6は、設置間隔P4の90%以下であることが好ましい。これにより、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0078】
本実施形態において、第2凹71は、対をなすように2本設けられている。一対の第2凹71,71は、それぞれタイヤ赤道面S1に関して面対称に形成されており、それぞれ不連続である。なお、第2凹71は、上記に限られず、第2凹71は、連続的に延びる1本の溝であってもよい。
【0079】
連結部8のタイヤ軸方向D1に沿った幅W8は、0.2mm以上であることが好ましい。これにより、第2凹71へのゴムの導入を良好にすることができる。また、セクター7の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。幅W8は、3mm以下であることが好ましい。これにより、切除の容易なピンチを形成することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0080】
連結部8のタイヤ径方向D2の厚みT2は、0.1mm以上であることが好ましい。これにより、セクター7の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。厚みT2は、2mm以下であることが好ましい。これにより、切除の容易なピンチを形成することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0081】
連結部8の面積は、0.01mm以上であることが好ましい。これにより、セクター7の離間時にピンチが引きちぎられることを抑制できる。連結部8の面積は、4mm以下であることが好ましい。これにより、ピンチを作業者の手で引きちぎることができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0082】
[実施形態4]
次に、実施形態4に係るタイヤ成形型1について、図9及び図10を参照して説明する。実施形態4に係るタイヤ成形型1は、実施形態1に係るタイヤ成形型1と実施形態3に係るタイヤ成形型1とを複合したものである。実施形態4では、第1型がサイドモールド2であり、第2型がセクター3である例を示す。実施形態1と同様の構成については、説明を省略する。
【0083】
図9は、実施形態4に係るタイヤ成形型1の縦断面図である。図9に示すように、セクター3同士の嵌合面のうち、セクター3のタイヤ周方向D3の一方側の嵌合面を第3嵌合面3cとし、セクター3のタイヤ周方向D3の他方側の嵌合面を第4嵌合面3dとする。第3嵌合面3cは、実施形態3の第1嵌合面6a(図7及び図8参照)に相当し、第4嵌合面3dは、実施形態3の第2嵌合面7a(図7参照)に相当する。
【0084】
図10は、図9の領域Xの拡大図である。図9及び図10に示すように、第3嵌合面3cには、タイヤ形成面1b(第2形成面3b)にゴム導入口321を有する複数の第3凹32が設けられている。第3凹32は、実施形態3における第1凹61(図7参照)に相当する。
【0085】
第3嵌合面3c又は第4嵌合面3dには、隣り合う第3凹32を少なくとも嵌合したときに連結する第4凹33が設けられている。本実施形態において、第4凹33は、第4嵌合面3dに2本設けられているが、これに限られない。第4凹33は、実施形態3における第2凹71(図7参照)に相当する。第3凹32と第4凹33との連結部5(図10のハッチング部)は、実施形態3における連結部8(図8参照)に相当する。
【0086】
第4凹33は、第2凹31まで延びており、第4嵌合面3d上で第2凹31と連結している。これにより、タイヤのサイド面に形成されるピンチとトレッド面に形成されるピンチとを繋げることができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。本実施形態において、一対の第4凹33,33は、それぞれ異なる第2凹31と連結しているが、これに限られない。
【0087】
タイヤ軸方向D1の一方の第2凹31と連結される第4凹33は、他方の第2凹31と連結される第4凹33と不連続であることが好ましい。これにより、タイヤ軸方向D1の一方側のピンチと他方側のピンチとを別々に切除することができる。その結果、タイヤ軸方向D1の両側のピンチが繋がっている場合と比べ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0088】
[タイヤの製造方法]
次に、上記のタイヤ成形型1を用いたタイヤ製造方法について説明する。
【0089】
まず、タイヤ成形型1に未加硫タイヤをセットして型締めする。次に、ブラダーを膨張させて、タイヤのトレッドの外面をセクターのトレッド形成面に押し当てると共に、サイドウォールの外面をサイドモールドのタイヤ形成面に押し当て、所定の加硫温度にて加熱加圧を施すことで加硫成形を行う。この加硫成形の際に、タイヤのゴム余剰分が第1凹及び第2凹に流れ込み、ピンチが形成される。
【0090】
加硫成形を終えた後、型開きしてタイヤを脱型する。そして、脱型したタイヤのピンチを掴んで、ピンチを切除する。上記実施形態においては、ピンチをタイヤから引きちぎることができ、ピンチを容易に切除することできる。なお、ピンチの切除は、切断具などの道具を用いてもよい。ピンチを切除したタイヤには、断続的な(ミシン目状の)ピンチの切除跡が形成される。
【0091】
[1]
以上、本実施形態に係るタイヤ成形型1は、第1型と、第1型と嵌合する第2型と、を備え、第1型の嵌合面を第1嵌合面とし、第2型の嵌合面を第2嵌合面としたとき、第1嵌合面に、タイヤ形成面1bにゴム導入口を有する複数の第1凹が設けられ、第1嵌合面又は第2嵌合面に、隣り合う第1凹を少なくとも嵌合したときに連結する第2凹が設けられている。
【0092】
斯かる構成によれば、第1凹と第2凹とを設けることによって、タイヤ100に断続的に繋がったピンチを形成することができる。これにより、タイヤ100に連続的に繋がったピンチを手作業で切除した場合と比べて引き千切りやすくなり、手作業によるピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0093】
[2]
また、上記[1]に係るタイヤ成形型1において、第1型は、タイヤ100のサイド面を形成するサイドモールド2であり、第1凹21は、タイヤ100のサイド面にセレーション105のリッジ105aを形成する溝であり、第2型は、タイヤ100のトレッド面を形成するセクター3であり、第2凹31は、タイヤ周方向D3に沿って延びている、という構成が好ましい。
【0094】
斯かる構成によれば、セレーション105にピンチを形成することによって、ピンチの切除によって生じるピンチ跡を目立ち難くすることができる。また、リッジ105aを形成する溝を第1凹21として利用することにより、第1凹21を形成する加工コストを削減することができる。
【0095】
[3]
また、上記[1]に係るタイヤ成形型1において、第1凹は、タイヤ形成面1bに向かって幅狭に形成されている、という構成が好ましい。
【0096】
斯かる構成によれば、タイヤ100との繋ぎ部の幅が他部の幅よりも小さいピンチを形成することができる。これにより、タイヤ100との繋ぎ部でピンチを切除することができる。
【0097】
[4]
また、上記[1]に係るタイヤ成形型1において、第1型及び第2型は、タイヤ100のトレッド面を形成するセクター6,7であり、第1凹61は、タイヤ周方向D3に沿って延び、第2凹71は、タイヤ軸方向D1に沿って延びている、という構成が好ましい。
【0098】
斯かる構成によれば、タイヤ100のトレッド面に形成されるピンチを容易に切除することができる。
【0099】
[5]
また、上記[1]~[3]の何れか1つに係るタイヤ成形型1において、第1型は、タイヤ100のサイド面を形成するサイドモールド2であり、第2型は、タイヤ100のトレッド面を形成するセクター3であり、第2型(セクター3)のタイヤ周方向D3の一方側の嵌合面を第3嵌合面3cとし、第2型(セクター3)のタイヤ周方向D3の他方側の嵌合面を第4嵌合面3dとしたとき、第3嵌合面3cに、トレッド形成面(第2形成面3b)にゴム導入口321を有する複数の第3凹32が設けられ、第3嵌合面3c又は第4嵌合面3dに、隣り合う第3凹32を少なくとも嵌合したときに連結する第4凹33が設けられ、第4凹33は、少なくとも嵌合したときに第2凹31と連結している、という構成が好ましい。
【0100】
斯かる構成によれば、タイヤ100のサイド面に形成されるピンチとトレッド面に形成されるピンチとを繋げることができる。これにより、例えば、ピンチを引きちぎって切除する場合において、タイヤ100のサイド面とトレッド面とに形成されるピンチを同時に切除することができ、ピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0101】
[6]
また、本実施形態に係るタイヤ100の製造方法は、上記[1]~[5]の何れか1つのタイヤ成形型1に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤに加熱加圧を施して加硫成形を行う工程を含む、という方法が好ましい。
【0102】
斯かる方法によれば、タイヤ100に断続的に繋がったピンチを形成することができる。これにより、タイヤ100に連続的に繋がったピンチを手作業で切除した場合と比べ、手作業によるピンチの切除作業を容易にすることができる。
【0103】
なお、タイヤ成形型1及びタイヤ100の製造方法は、上記した実施形態1~4の構成や方法などに限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものではない。また、タイヤ成形型1及びタイヤ100の製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した実施形態1~4の何れかの構成や方法など任意に一つ又は複数選択して、他の実施形態1~4に係る構成や方法などに採用してもよい。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法などを任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態1~4に係る構成や方法などに採用してもよい。
【0104】
(A)
実施形態3において、第1凹61は、第1形成面6bに向かって幅広に形成されている、という構成であるが、これに限られない。例えば、第1凹61は、図11に示すように、第1形成面6bに向かって幅狭(タイヤ軸方向D1の内側に向かって幅狭)に形成されている、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、第1凹61によって形成された突起をピンチとすることができ、ピンチを切除することによってトレッド面に突起が形成されることを抑制できる。
【0105】
斯かる構成において、第1凹61のゴム導入口611の幅、深さ、面積については、実施形態2の第1凹21のゴム導入口211の幅W5、深さH3、面積(図4及び図5参照)と同様である。第1凹61の面積は、第1凹61と第2凹71との連結部8の面積よりも小さい。
【0106】
(B)
実施形態3において、図12に示すように、トレッド面に主溝を形成するセクター6の突起62に第1凹61が設けられ、トレッド面に主溝を形成するセクター7(図7参照)の突起に第2凹71が設けられている、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、タイヤの主溝に形成されるピンチも容易に切除することができる。
【0107】
(C)
実施形態3において、図13に示すように、セクター6は、トレッド面に突起を形成する溝63を備え、セクター7(図7参照)は、溝63と共にトレッド面に突起を形成する溝を備え、セクター6の溝63の周りに第1凹61が設けられ、セクター7の溝の周りに第2凹71が設けられている、という構成であってもよい。斯かる構成によれば、トレッド面の突起に形成されるピンチも容易に切除することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…タイヤ成形型、1b…タイヤ形成面、2…サイドモールド、2a…第1嵌合面、2b…第1形成面、21…第1凹、211…ゴム導入口、3,6,7…セクター、3a,7a…第2嵌合面、3b,7b…第2形成面、3c…第3嵌合面、3d…第4嵌合面、31…第2凹、311…ゴム導入口、32…第3凹、321…ゴム導入口、33…第4凹、6a…第1嵌合面、6b…第1形成面、61…第1凹、611…ゴム導入口、71…第2凹、4,5,8…連結部、100…タイヤ、101…ビード部、102…サイドウォール、103…トレッド、104…装飾領域、105…セレーション、105a…リッジ、106…割り位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13