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  • 特開-ストッカ 図1
  • 特開-ストッカ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046005
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】ストッカ
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/122 20060101AFI20240327BHJP
   A47G 29/30 20060101ALI20240327BHJP
   G07F 17/12 20060101ALI20240327BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A47G29/122 D
A47G29/30
G07F17/12
A47B55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151131
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 淳一
【テーマコード(参考)】
3B067
3K100
【Fターム(参考)】
3B067AA01
3K100CA25
3K100CA43
3K100CA47
3K100CC05
3K100CC10
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】制御ボックス内部に配置された機器のメンテナンス等の作業をより容易に行なえるようにする。
【解決手段】ストッカは、複数のボックスを有する。このストッカは、複数のボックスのうちの一部であって、開閉可能で、開放状態でボックス内部に物品を収容可能な収容ボックスと、複数のボックスのうちの一つであって、前面部と底面部とが一体化した引き出し状に形成され、引き出し内部にストッカを制御する制御器を含む機器が配置された制御ボックスと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボックスを有するストッカにおいて、
前記複数のボックスのうちの一部であって、開閉可能で、開放状態でボックス内部に物品を収容可能な収容ボックスと、
前記複数のボックスのうちの一つであって、前面部と底面部とが一体化した引き出し状に形成され、引き出し内部に前記ストッカを制御する制御器を含む機器が配置された制御ボックスと、
を備えるストッカ。
【請求項2】
請求項1に記載のストッカであって、
前記機器は、前記制御ボックスの天面部から垂れ下がるように配置された電線と接続される、
ストッカ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のストッカであって、
前記機器は、上方から用紙をセット可能な収容部を含み、前記収容部から用紙を取り出して印刷する印刷機を含む、
ストッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ストッカについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉可能な扉を有し扉を開いて物品を納品可能な複数の納品庫と、各納品庫を制御する制御ユニットと、を備えるストッカが提案されている(例えば、特許文献1参照)。制御ユニットは、納品庫と同じサイズの本体と、当該本体の前面を覆うと共にタッチパネルやカードリーダ、コードリーダ等の各種機器が取り付けられた前面パネルと、本体内の空間に配置される制御部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/054041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御ユニットの前面パネル(前面部)を納品庫と同様の開き扉により形成すると共に、制御部等の機器が配置される底面部を引き出し式にして前面部と別体とした場合、作業者は、メンテナンス等に際して、制御ユニットの扉を開いて底面部を手前に引き出すことにより、制御ユニット内部にアクセスすることが可能である。しかしながら、この場合、扉を大きく開かないと、底面部を引き出すことができないため、作業性が悪いという問題が生じる。
【0005】
本開示は、制御ボックス内部に配置された機器に対する作業をより容易に行なうことが可能なストッカを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のストッカは、
複数のボックスを有するストッカにおいて、
前記複数のボックスのうちの一部であって、開閉可能で、開放状態でボックス内部に物品を収容可能な収容ボックスと、
前記複数のボックスのうちの一つであって、前面部と底面部とが一体化した引き出し状に形成され、引き出し内部に前記ストッカを制御する制御器を含む機器が配置された制御ボックスと、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示のストッカでは、収容ボックスの他に、前面部と底面部とが一体化した引き出し状に形成され、引き出し内部に制御器を含む機器が配置された制御ボックスを備える。これにより、作業者は、制御ボックスの前面部を手前に引き出すだけで引き出し内部に容易にアクセスすることができるため、メンテナンス等の作業がより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ストッカの斜視図である。
図2】制御ボックス内部の正面側の斜視図である。
図3】制御ボックス内部の背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のストッカの好適な実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、ストッカ10の斜視図である。図2は、制御ボックス30内部の正面側の斜視図である。図3は、制御ボックス30内部の背面側の斜視図である。
【0011】
ストッカ10は、図1に示すように、物品を納入可能な箱状の複数の収容ボックス20と、各収容ボックス20への物品の納入や取り出しに関する各種操作を受け付けたり各収容ボックス20の施錠や解錠に関する各種処理を行ったりする制御ボックス30と、を備える。ストッカ10には、上下に複数個(図1では4個)ずつの収容ボックス20が左右に複数列(図1では5列)並んで配置されている。制御ボックス30は、左端の列に1の収容ボックス20に代えて配置されている。このストッカ10は、オフィスや店舗、駅、学校、マンション、ショッピングセンタなど様々な場所の屋内あるいは屋外に設置される。ストッカ10は、主として、いずれかの収容ボックス20を配達先(納品先)として配達者(納品者)により物品が納入された後に、受取者が当該収容ボックス20から物品を取り出して物品を受け取ることにより、配達者により配達される物品の受け渡しに用いられる。
【0012】
収容ボックス20は、前方が開口した直方体状の本体21と、本体21の開口部にヒンジを介して開閉可能に取り付けられた扉22と、扉22の施錠および解錠を行なう電気錠24と、扉22の開閉を検出する開閉センサや収容ボックス20内の物品を検知する物品検知センサなどの各種センサと、を備える。扉22は、ヒンジに設けられたスプリングにより開方向に付勢され、電気錠24が解錠されると、当該スプリングの付勢力により自動で開扉する。
【0013】
制御ボックス30は、各収容ボックス20と同じサイズの直方体状の本体31と、本体31に収容された引き出し部材32と、引き出し内部に設置された各種機器と、を備える。引き出し部材32は、当該引き出し部材32が閉じられた状態で本体31の開口を覆う前面部32a(前面パネル)と、前面部32aと一体的に設けられ本体31に対して前後にスライド可能な底面部32bと、を有する。前面部32aには、鍵機構41や操作パネル42、読取機43、ラベル排出口44、スピーカ45などが固定されている。底面部32bには、制御装置51やラベル印刷機52、電源装置53などが固定されている。
【0014】
鍵機構41は、前面部32aの表面に鍵穴41aを有する。引き出し部材32は通常は鍵機構41によって引き出し不能にロックされており、ストッカ10の管理者等は、鍵を鍵穴41aに挿入して回すことで、ロックを解除して引き出し部材32を手前に引き出すことができる。操作パネル42は、タッチパネル式のディスプレイであり、物品の納品や受取に関する操作案内などを表示すると共に、物品の納品や受取に際して必要な入力操作などを受け付ける。読取機43は、受取者が物品を受け取るための認証に用いるQRコード(登録商標)を読み取るためのQRコードリーダである。ラベル排出口44は、後述するラベル印刷機52で印刷されたラベルが排出される排出口である。スピーカ45は、物品の納入や取り出しに関する操作案内などを複数の音声出力孔を介して音声で出力する。
【0015】
ラベル印刷機52は、用紙トレイ52aと印刷機本体52bとを有する。用紙トレイ52aは、上方から用紙Pをセット可能に上方が開口したトレイである。本実施形態では、用紙トレイ52aには、ミシン目に沿って折り畳まれたファンフォールド紙がセットされる。印刷機本体52bは、用紙トレイ52aから用紙Pを取り出して印刷した後、切断してラベル排出口44へ排出する。
【0016】
電源装置53は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータを有する。本実施形態では、電源装置53は、AC100Vの電源をDC24VやDC5Vの電力に変換して制御ボックス30内の各機器や各収容ボックス20の各機器へ出力する。DC24Vの電力は、例えば、制御装置51を作動させるための制御装置作動用の電力や各収容ボックス20の電気錠24を駆動するための電気錠駆動用の電力として用いられる。また、DC5Vの電力は、例えば、読取機43を駆動させるための読取機駆動用の電力や各種センサ駆動用の電力として用いられる。なお、ラベル印刷機52は、電源装置53を介さずに商用電源と接続され、AC100Vの電力の供給を受けて駆動する。
【0017】
制御装置51は、CPUやROM,RAM,ストレージを含むコンピュータであり、電源装置53からDC24Vの電力の供給を受けて作動する。制御装置51のストレージには、各収容ボックス20を管理するための管理情報(例えば、収容ボックス20毎に収容されている物品の有無や当該物品の受取者に関する受取者情報)が記憶されている。
【0018】
制御装置51には、操作パネル42からの操作信号や、読取機43からの読み取り信号、収容ボックス20毎の各種センサ(開閉センサや物品検知センサなど)からの検出信号などが入力される。一方、制御装置51からは、操作パネル42への制御信号や読取機43への制御信号、スピーカ45への音声信号、収容ボックス20毎の電気錠24への制御信号などが出力される。制御装置51は、前面部32aに設けられた操作パネル42の裏側に設置され、図示しないハーネスを介して操作パネル42へ給電すると共に当該操作パネル42からの操作信号の入力と当該操作パネル42への制御信号の出力とを行なう。
【0019】
制御装置51のCPUは、納品者による操作パネル42の操作に基づいて収容ボックス20への物品の納品が要求されると、納品者の認証番号と受取者に関する受取者情報(例えば、受取者が購入した物品の注文番号)とを入力させた後、管理情報に基づいて空いている収容ボックス20を検索して当該収容ボックス20を解錠し、収容ボックス20への物品の納品を受け付ける。CPUは、物品の納品を受け付けると、入力した受取者情報と物品が納品された収容ボックス20の番号とを関連付けてストレージ(管理情報)に記憶すると共に該当する番号の収容ボックス20の物品の有無を有りに変更する。制御装置51のCPUは、受取者による操作パネル42の操作に基づいて収容ボックス20からの物品の受取が要求されると、受取者に受取者情報(例えば、注文番号)を入力させた後、入力した受取者情報に対応する収容ボックス20の番号を管理情報から読み出し、該当する収容ボックス20を解錠する。これにより、受取者は、収容ボックス20から物品を取り出すことができる。CPUは、収容ボックス20から物品が取り出されると、管理情報の該当する受取者情報をクリアすると共に該当する番号の収容ボックス20の物品の有無を無しに変更する。
【0020】
ここで、例えばフリーマーケットサイトで販売された物品を販売者がストッカ10に納品し、配達者がストッカ10から物品を集荷し、購入者の元へ配達することもできる。この場合、ラベル印刷機52は、当該物品に貼り付ける発送ラベルの印刷に用いられる。また、ラベル印刷機52は、例えば、配達者がストッカ10から物品を集荷する場合に、集荷物が何個あるのかを確認するための明細の印刷に用いられる。
【0021】
制御ボックス30の制御装置51や電源装置53と各収容ボックス20の各種機器(電気錠24やセンサ類)との間は、電源線と制御線とを束ねたケーブル11によって電気的に接続される。なお、ケーブル11には、電源装置53と商用電源とを接続する電源線も束ねられている。ケーブル11は、制御ボックス30の天面部から垂れ下がるように延びており、制御装置51やラベル印刷機52、電源装置53等に接続されている。ケーブル11には、若干のたるみを持たせているため、制御ボックス30の引き出し部材32が手前に引き出されても、ケーブル11を良好に追従させることができる。
【0022】
本実施形態では、引き出し部材32は、前面部32aと底面部32bとが一体的に形成され、前面部32aには、操作パネル42が固定され、底面部32bには、操作パネル42とハーネスを介して接続された制御装置51が固定される。これにより、引き出し部材32が引き出されても、操作パネル42と制御装置51との位置関係は変わらないため、操作パネル42と制御装置51とを接続するハーネスの長さを短くすることができる。これに対して、制御ボックス30を開き扉によって形成した場合、操作パネルが前面部に固定され、制御装置が底面部に固定されると、扉が閉鎖している状態では、操作パネルと制御装置とが近接し、扉が開放された状態では、操作パネルと制御装置とが離間する。この場合、扉が開放されても、操作パネルと制御装置とを接続するハーネスが断線しないように当該ハーネスの長さに十分に余裕を持たせる必要があり、扉を閉鎖する際には、ハーネスが扉に挟み込まれないように注意する必要がある。
【0023】
また、ラベル印刷機52の用紙トレイ52aは、上部が開口しているため、用紙切れの際には、引き出し部材32を引き出し、新しい用紙Pを上方から用紙トレイ52aに載置し、用紙Pの始端部を印刷機本体52bに接続することにより、用紙Pを補給することができる。このように、制御ボックス30を引き出し式にすることにより、用紙Pの補給作業も容易になる。
【0024】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の収容ボックス20が本開示の収容ボックスに相当し、制御装置51が制御器に相当し、制御ボックス30が制御ボックスに相当する。また、ラベル印刷機52が印刷機に相当する。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、制御ボックス30と各収容ボックス20(または商用電源)とを接続するケーブル11を制御ボックス30の天面部から垂れ下がるように配置したが、制御ボックス30の背面部から前方に向かって延びるように配置してもよい。
【0027】
また、上述した実施形態では、ラベル印刷機52は、ファンフォールド紙を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、ロール紙を用いてもよい。この場合、印刷機本体52bの上部にロール紙トレイを設けることにより、制御ボックス30の引き出し部材32を手前に引き出し、ロール紙を上方からセットすることが可能となる。このため、ロール紙の補給作業が容易となる。
【0028】
以上説明したように、本開示のストッカでは、収容ボックスの他に、前面部と底面部とが一体化した引き出し状に形成され、引き出し内部に制御器を含む機器が配置された制御ボックスを備える。これにより、作業者は、制御ボックスの前面部を手前に引き出すだけで引き出し内部に容易にアクセスすることができるため、メンテナンス等の作業がより容易となる。
【0029】
こうした本開示のストッカにおいて、前記機器は、前記制御ボックスの天面部から垂れ下がるように配置された電線と接続されてもよい。こうすれば、制御ボックスが手前に引き出された際にも、電線を容易に追従させることができる。
【0030】
また、本開示のストッカにおいて、前記機器は、上方から用紙をセット可能な収容部を含み、前記収容部から用紙を取り出して印刷する印刷機を含んでもよい。こうすれば、用紙切れの際に、新たな用紙を補給する作業をより容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、制御ボックスを備えるストッカの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 ストッカ、11 ケーブル、20 収容ボックス、21 本体、22 扉、24 電気錠、30 制御ボックス、31 本体、32 引き出し部材、32a 前面部、32b 底面部、41 鍵機構、41a 鍵穴、42 操作パネル、43 読取機、44 ラベル排出口、45 スピーカ、51 制御装置、52 ラベル印刷機、52a 用紙トレイ、52b 印刷機本体、53 電源装置、P 用紙。
図1
図2
図3