(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046052
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】NCプログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20240327BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G05B19/4093 M
B23B1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151209
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】家田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 聡
【テーマコード(参考)】
3C045
3C269
【Fターム(参考)】
3C045AA01
3C269AB02
3C269BB01
3C269CC01
3C269CC17
3C269EF02
3C269EF20
3C269EF39
3C269EF53
3C269EF59
3C269QC01
3C269QC03
3C269QD02
(57)【要約】
【課題】簡易に振動切削を実現することが可能なNCプログラムを提供すること。
【解決手段】ワーク22を切削する切削工具23をワーク22に対して相対的に回転させながら切削加工する際にワーク22に対して切削工具23を加工送り方向Aに沿って相対的に送るように設定された送り動作と、ワークに対して切削工具23を加工送り方向に沿って相対的に振動させる振動波形とに基づいて設定された振動切削波形に沿って、切削工具23をワーク22に対して相対的に移動させるように、切削工具23のワーク22に対する直線または円弧の複数の移動指令を作成する移動指令作成ステップをプロセッサに実行させるためのNCプログラムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切削する切削工具を前記ワークに対して相対的に回転させながら切削加工する際に前記ワークに対して前記切削工具を加工送り方向に沿って相対的に送るように設定された送り動作と、前記ワークに対して前記切削工具を前記加工送り方向に沿って相対的に振動させる振動波形とに基づいて設定された振動切削波形に沿って、前記切削工具を前記ワークに対して相対的に移動させるように、前記切削工具の前記ワークに対する直線または円弧の複数の移動指令を作成する移動指令作成ステップをプロセッサに実行させるためのNCプログラム。
【請求項2】
前記移動指令作成ステップは、前記ワークに対する前記切削工具の前の座標から前記振動切削波形上の次の移動先の座標に関する情報を算出して、前記情報を含む前記移動指令を作成する算出ステップを複数含み、
前記NCプログラムは、前記移動先の座標に移動するように、前記ワークに対して前記切削工具を前記加工送り方向に沿って相対的に送る送り駆動部に前記移動指令を出力する出力ステップを更に前記プロセッサに実行させ、
前記切削加工の始点から終点まで、前記算出ステップと前記出力ステップを繰り返すことによって前記ワークに対して前記切削工具を前記振動切削波形に沿って相対的に振動させる、
請求項1に記載のNCプログラム。
【請求項3】
前記移動指令作成ステップは、前記ワークに対する前記切削工具の前の座標から前記振動切削波形上の次の移動先の座標に関する情報を算出して、前記情報を含む前記移動指令を作成することを、前記切削加工の始点から終点まで繰り返すことによって前記複数の移動指令を作成し、
前記NCプログラムは、前記複数の移動指令を記憶する記憶ステップを更に前記プロセッサに実行させる、
請求項1に記載のNCプログラム。
【請求項4】
ワークを切削する切削工具を前記ワークに対して相対的に回転させながら切削加工する際に前記ワークに対して前記切削工具を加工送り方向に沿って相対的に送るように設定された送り動作と、前記ワークに対して前記切削工具を前記加工送り方向に沿って相対的に振動させる振動波形とに基づいて設定された振動切削波形に沿って、前記切削工具を前記ワークに対して相対的に移動させるような前記切削工具の前記ワークに対する直線または円弧の複数の移動指令が記憶されている記憶部から、前記ワークに対して前記切削工具を前記加工送り方向に沿って相対的に送る送り駆動部に前記移動指令を順次出力する出力ステップをプロセッサに実行させる、
NCプログラム。
【請求項5】
前記振動波形は、正弦波である、
請求項1または4に記載のNCプログラム。
【請求項6】
前記振動切削波形は、前記送り動作と、前記振動波形とを足し合わすことによって求められる、
請求項1または4に記載のNCプログラム。
【請求項7】
前記移動指令は、
前記切削工具を前記ワークに対して一回転させる際の前記振動波形の振動数と、
前記切削工具を前記ワークに対して一回転させる際の、前記切削工具の前記ワークに対する前記加工送り方向における送り量に対する前記振動波形の振幅の倍率と、
前記移動指令を作成する間隔と、に基づいて作成される、
請求項1または4に記載のNCプログラム。
【請求項8】
前記算出ステップは、
前記移動先の座標が前記始点の座標よりも前記加工送り方向に進んでいない場合には、前記移動先の座標を前記始点に設定する、
請求項2に記載のNCプログラム。
【請求項9】
前記移動指令作成ステップは、
前記移動先の座標が前記始点の座標よりも前記加工送り方向に進んでいない場合には、前記移動先の座標を前記始点に設定する、
請求項3に記載のNCプログラム。
【請求項10】
前記移動指令は、
直線または円弧のどちらの指令であるかを示す情報と、
移動先の座標の情報と、
前記移動先の座標までの移動速度の情報と、を含む、
請求項1に記載のNCプログラム。
【請求項11】
請求項1または4に記載のNCプログラムを記録した前記プロセッサで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、NCプログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを切削工具に対して相対的に回転させながら、ワークに対して切削工具を相対的に移動させることによって、ワークを切削加工する工作機械が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に示す工作機械では、ワークに切屑が絡まることを抑制するために、ワークに対して切削工具を加工方向に振動させることによって切屑を分断する手法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の工作機械は、ワークに対して切削工具を振動させる振動切削の機能を持った制御装置を有しており、制御装置からの指令によって振動切削が行われる。このため、振動切削の機能を予め持たない工作機械で振動切削を行うためには、制御装置自体を乗せ換える等といった大掛かりな変更を行う必要があった。
【0006】
本開示は、簡易に振動切削を実現することが可能なNCプログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかるNCプログラムは、ワークを切削する切削工具をワークに対して相対的に回転させながら切削加工する際にワークに対して切削工具を加工送り方向に沿って相対的に送るように設定された送り動作と、ワークに対して切削工具を加工送り方向に沿って相対的に振動させる振動波形とに基づいて設定された振動切削波形に沿って、切削工具をワークに対して相対的に移動させるように、切削工具のワークに対する直線または円弧の複数の移動指令を作成する移動指令作成ステップをプロセッサに実行させるためのNCプログラムである。
【0008】
本開示の他の一態様にかかるNCプログラムは、ワークを切削する切削工具をワークに対して相対的に回転させながら切削加工する際にワークに対して切削工具を加工送り方向に沿って相対的に送るように設定された送り動作と、ワークに対して切削工具を加工送り方向に沿って相対的に振動させる振動波形とに基づいて設定された振動切削波形に沿って、切削工具をワークに対して相対的に移動させるように、振動切削波形上の次の移動先の座標または次の移動先の座標までの移動量を含む、切削工具のワークに対する直線または円弧の複数の移動指令が記憶されている記憶部から、ワークに対して切削工具を加工送り方向に沿って相対的に送る送り駆動部に移動指令を順次出力する出力ステップをプロセッサに実行させるためのNCプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡易に振動切削を実現することが可能なNCプログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る切削加工装置の構成を示す模式図である。
【
図2】加工方向について説明するためのワークおよび切削工具の模式図である。
【
図3】(a)~(c)振動切削波形作成のイメージ図である。
【
図4】(a)~(c)実施形態の周波数倍率および振幅倍率を説明するための図である。
【
図5】(a)、(b)実施形態の制御周期を説明するための図である。
【
図6】実施形態のNCプログラムを実行したときの切削加工装置の動作を示す図である。
【
図7】実施形態のNCプログラムを用いた切削振動波形の近似を説明するための図である。
【
図8】(a)実施形態のマクロ機構を用いたNCプログラムの一例を示す図、(b)
図8(a)のNCプログラムの呼び出す指令を示す図である。
【
図9】複数の移動指令を記憶したNCプログラムの一例を示す図である。
【
図10】(a)~(d)実施形態のNCプログラムを適用可能な加工を説明するための図である。
【
図11】(a)~(c)実施形態のNCプログラムを適用可能な加工を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態におけるNCプログラムについて図面を参照しながら説明する。
【0012】
(切削加工装置)
切削加工装置10は、NCプログラムによって駆動する。本実施形態に係る切削加工装置10の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、切削加工装置10の構成を示す模式図である。
【0013】
切削加工装置10は、切削加工部20と、切削加工制御装置30とを備える。
【0014】
(切削加工部)
切削加工部20は、主軸21と、被加工物であるワーク22と、切削工具23と、主軸駆動部24と、送り駆動部25とを有する。
図1では、金属の丸棒をワーク22として、切削工具23によって丸棒の外形を所望の外形に切削加工する場合を例に挙げて説明する。
【0015】
主軸21は、回転軸Lを中心として回転する。ワーク22は、主軸21に取り付けられる。ワーク22は、主軸21とともに回転軸Lを中心として回転する。
【0016】
切削工具23は、ワーク22の切削加工に用いられる。切削工具23は、加工方向Aに移動する。これによって、切削工具23が、ワーク22に対して加工方向Aに沿って相対移動しながらワーク22を切削加工する。加工方向Aとは、いわゆる送り方向である。
【0017】
切削工具23は、後述するように、送り側及び逆送り側に振動しながら加工方向Aに沿って移動する。送り側Afとは、加工方向Aにおいてワーク22の加工が進められる側であり、逆送り側Arとは、加工方向Aにおいて送り側の反対側である。
【0018】
主軸駆動部24は、主軸21を回転駆動させる。主軸駆動部24としては、例えばサーボモータを用いることができる。
【0019】
送り駆動部25は、送り側Af及び逆送り側Arに切削工具23を振動させながら、切削工具23を加工方向に沿って移動させる。送り駆動部25は、切削加工制御装置30からの移動指令に基づいて送り側Afまたは逆送り側Arに移動する。送り駆動部25としては、例えばサーボモータを用いることができる。送り駆動部25は、回転軸Lに垂直な径方向(X軸方向)に切削工具23を適宜移動させることもできる。
【0020】
(加工方向)
図1では、加工方向Aは、回転軸Lと平行な方向として示されているが、これに限られるものではない。
【0021】
図2は、加工方向について説明するための図であり、切削工具23によるワーク22の切削形状を示す図である。上述したように切削工具23は、X軸とZ軸の2軸方向に移動可能である。
【0022】
図2に示すワーク22をテーパ状部分22aに切削する際には、Z軸に対して傾斜した直線の加工方向Aに沿って切削工具23が移動する。また、振動切削を行う際には、切削工具23は、Z軸に対して傾斜した加工方向Aに沿って送り側Afおよび逆送り側Arに振動しながら移動する。
【0023】
また、切削加工を実行するNCプログラムでは、ワーク22に対する切削工具23の相対的な移動指令は、直線および円弧で行うことができる。すなわち、NCプログラムでは、ワーク22を、
図2に示すような円弧状部分22bに切削できる。円弧状部分22bが形成されるように振動切削を行う場合、切削工具23は、円弧状の加工方向Aに沿って送り側Afおよび逆送り側Arに振動しながら移動する。
【0024】
このように、側面視においてワーク22を直線状に加工する場合には、切削工具23は、直線の加工方向Aに沿って送り側Afおよび逆送り側Arに振動させながら移動する。側面視においてワーク22を円弧状に加工する場合には、切削工具23は、円弧の加工方向Aに沿って送り側Afおよび逆送り側Arに振動させながら加工方向Aに移動する。
【0025】
(切削加工制御装置30)
図1に戻り、切削加工制御装置30について説明する。切削加工制御装置30は、切削加工部20の制御を行う。切削加工制御装置30は、制御部31と、記憶部32と、入力部33と、表示部34と、を有する。
【0026】
制御部31は、例えばプロセッサを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサは、記憶部32に記憶されているNCプログラムに従って、送り駆動部25と主軸駆動部24に指令を出力して、主軸21と切削工具23を駆動する。
【0027】
制御部31は、ワークを切削加工する際に、切削工具23を加工方向Aに沿って所定の振動波形に基づいて相対的に振動させるように、直線または円弧の複数の移動指令を送り駆動部25に出力する。
【0028】
本実施形態では、切削工具23が所定の切削振動波形に沿った振動を行うように、所望の加工形状が直線の場合には、切削振動波形を微小な直線に分割し、所望の加工形状が円弧の場合には、切削振動波形を微小な円弧に分割して移動指令を行う。
【0029】
記憶部32は、切削工具23によるワーク22の切削加工に用いられるNC(Numerical Control)プログラムを記録する。記憶部32は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリおよびRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含む。メモリは、HDD(Hard Disk Drive)或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでいてもよい。メモリは、非一時的な(non-transitory)プロセッサで読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0030】
入力部33は、たとえばキーボード、マウス、またはタッチパネルを含む。表示部34は、たとえばディスプレイである。作業者は、表示部34を見ながら入力部33を操作して各種設定を入力する。具体的には、作業者は、入力部33を操作して、切削振動波形を設定するための周波数倍率Iおよび振幅倍率K、並びに移動指令を出力する間隔である制御周期Qを入力する。
【0031】
制御部31は、入力部33に入力された周波数倍率Iおよび振幅倍率Kに基づいて切削振動波形を算出し、算出した切削振動波形に沿うように、直線または円弧の複数の移動指令を送り駆動部25に出力して、NCプログラムによる振動切削を実現する。
【0032】
図3(a)~(c)は、切削振動波形の作成イメージを示す図である。
図3(a)は、切削加工する際の切削工具23に対して設定された送り動作のグラフg1を示す図である。グラフg1に示す送り動作には、振動が付与されていない。
図3(a)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。座標Cは、ワーク22に対する切削工具23の加工方向Aに沿った位置を示す。座標Cは、加工方向Aが直線の場合には、直線に沿った位置を示す。座標Cは、加工方向Aが円弧状の場合には、円弧に沿った位置を示す。座標Cは、加工方向Aに沿った移動距離ともいえる。
【0033】
図3(a)では、切削工具23を
図1に示す送り側に進める場合を示している。 Cを座標(mm)とし、Cstartを切削の開始座標(mm)とし、Faveを平均送り速度とし、Tを経過時間(s)とすると、
図3(a)に示すグラフg1は、以下の式(1)で表わされる。
【0034】
C=Cstart+Fave×T・・・式(1)
このグラフg1(設定された送り動作の一例)は、ワーク22の種類や切削の形状毎に予め設定されており、記憶部32にNCプログラムとして記憶されている。
【0035】
図3(b)は、グラフg1に足し合わせる振動波形のグラフg2を示す図である。
図3(b)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。fを主軸が1回転したときの送り速度(mm/rev)とし、θを振動のsin波の回転角(°)とし、Kを振幅倍率とし、Iを周波数倍率とすると、振動波形のグラフg2は、以下の式(2)で表わされる。詳しくは後述するが、振幅倍率Kは、振動の振幅が、主軸21の一回転あたりの送り量に対して何倍であるかを規定する。周波数倍率Iは、主軸21が一回転中において何回振動するかを規定する。
【0036】
C=Kfsinθ・・・式(2)
図3(c)は、グラフg1にグラフg2を足し合わせて得られる振動切削波形のグラフg3を示す図である。
図3(c)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。グラフg3は、以下の式(3)で表わされる。
【0037】
C=Cstart+Fave・T+Kfsinθ・・・式(3)
なお、切削工具23が逆送り側に進むときは、グラフg1が、C=Cstart-Fave・Tとなり、グラフg2が、C=-Kfsinθと表されるため、グラフg3は、C=Cstart-Fave・T-Kfsinθ・・・式(4)と表される。
【0038】
(周波数倍率I、振幅倍率K)
次に、上述した周波数倍率Iおよび振幅倍率Kについて次に説明する。
【0039】
図4(a)は、主軸21が1回転する時間における切削工具23の座標Cの変化を示すグラフである。
図4(a)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。
【0040】
図4(a)では、1回目に主軸21が1回転した際の振動を付与しない場合のグラフをm1で示し、2回目に主軸21が1回転した際の振動を付与しない場合のグラフをm2で示し、3回目に主軸21が1回転した際の振動を付与しない場合のグラフをm3で示し、4回目に主軸21が1回転した際の振動を付与しない場合のグラフをm4で示す。グラフm1、m2、m3、m4は、
図3(a)のグラフg1を主軸21の1回転分の時間ごとに時刻が0になるように描いたものである。m1~m4は、点線で示されている。主軸21の1回転分の時間がT0と記載されている。
【0041】
グラフm1に示すように、1回目の主軸21の1回転分の時間T0で、切削工具23はワーク22に対して加工方向Aに沿って座標Cstartから座標C1まで送られる。次に、グラフm2に示すように、2回目の主軸21の1回転分の時間T0で、切削工具23はワーク22に対して加工方向Aに沿って座標C1から座標C2まで送られる。次に、グラフm3に示すように、3回目の主軸21の1回転分の時間T0で、切削工具23はワーク22に対して加工方向Aに沿って座標C2から座標C3まで送られる。次に、グラフm4に示すように、4回目の主軸21の1回転分の時間T0で、切削工具23はワーク22に対して加工方向Aに沿って座標C3から座標C4まで送られる。
【0042】
グラフn1~n4は、グラフm1~m4に振動波形を足し合わせたものである。グラフn1、n2、n3、n4は、
図3(c)のグラフg3を主軸21の1回転分の時間ごとに時刻が0になるように描いたものである。
【0043】
1回目に主軸21が1回転した際のグラフをn1(実線)で示し、2回目に主軸21が1回転した際のグラフをn2(一点鎖線)で示し、3回目に主軸21が1回転した際のグラフをn3(実線)で示し、4回目に主軸21が1回転した際のグラフをn4(二点鎖線)で示す。
【0044】
周波数倍率Iは、主軸21が一回転する間に、切削工具23がワーク22に対して相対的に送り方向に何回振動するかを規定する。振幅倍率Kは、振動の振幅が、主軸21の一回転あたりの送り量に対して何倍であるかを規定する。
【0045】
図4(a)では、周波数倍率Iが0.5に設定され、振幅倍率Kが1.0に設定されている。このため、実線のグラフn1に示すように、1回目の主軸21の一回転分の間に、切削工具23は送り側に移動して戻るように半周期分振動する。そして、一点鎖線のグラフm2に示すように、2回目の主軸の一回転分の間に、切削工具23は、逆送り側に移動して戻るように半周期分振動する。また、振幅倍率Kが1.0に設定されているため、主軸1回転分の送り量をXΔとすると、
図4(a)に示すように振幅もXΔに設定されている。
【0046】
ここで、主軸21の1回転目のグラフn1と主軸21の2回転目のグラフn2が重なっている。この重なっている領域Rは、1回転目において切削した箇所であるため、2回転目においてワーク22から切削工具23が離れる。この領域Rにおいて2回転目では切屑が発生しないため、切屑が分断される。また、主軸21の3回転目のグラフn3と主軸21の4回転目のグラフn4も重なっており、重なった領域Rにおいて切屑が分断される。
【0047】
図4(b)は、振動波形の周波数倍率Iを1.5に設定し、振幅倍率Kを1.0に設定した場合において、主軸21が1回転する時間における切削工具23の座標Cの変化を示すグラフである。
図4(b)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。
図4(b)では、
図4(a)と同様にグラフm1~m4およびグラフn1~n4が示されている。
【0048】
図4(b)では、
図4(a)と比較して、切削振動波形の主軸21の1回転当たりにおける波の数が多くなっており、1周期と半周期の分の波が示されている。この場合、1回転目のグラフn1と2回転目のグラフn2が重なる領域Rは、主軸21の一回転に当たり2回発生する。また、3回転目のグラフn3と4回転目のグラフn4が重なる領域Rも、主軸21の一回転に当たり2回発生する。
【0049】
図4(c)は、振動波形の周波数倍率Iを0.5に設定し、振幅倍率Kを1.5に設定した場合において、主軸21が1回転する間における座標Cの変化を示すグラフである。
図4(c)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。
図4(c)では、
図4(a)と同様にグラフm1~m4およびグラフn1~n4が示されている。
【0050】
図4(c)では、
図4(a)と比較して、振動波形の振幅が大きくなっている。この場合、
図3(a)の場合と比較して、領域Rの加工方向Aにおける幅が大きくなる。
【0051】
(制御周期Q)
図5(a)および
図5(b)は、制御周期Qを説明するための図である。
図5(a)および
図5(b)は、主軸1回転分の時間における切削工具23の座標Cの変化を示すグラフである。
図5(a)および
図5(b)における横軸は経過時間(s)を示し、縦軸は座標Cを示す。
【0052】
図5(a)では、
図4(a)で示した振動切削波形のグラフn1を複数の直線または円弧の移動指令で近似している。振動切削波形のグラフを複数の直線または円弧の移動指令で表わしている。具体的には、グラフn1を4つの直線または円弧の移動指令で近似している。主軸1回転分の時間をT0(s)とすると、制御周期Qは、T0/4で表わされる。
図5(a)では、グラフn1を4つの移動指令で近似することになる。
【0053】
移動指令は、直線または円弧のいずれの指令であるかという情報、次に移動する振動切削波形上の指令座標(次の移動先の一例)の情報と、前の座標から次の指令座標までの移動速度の情報と、を含む。制御部31は、制御周期Qごとに、移動指令を送り駆動部25に出力する。送り駆動部25は、移動指令に基づいて切削工具23をワーク22に対して相対的に移動する。制御部31は、所望の加工形状が直線の場合には、直線の移動指令を送り駆動部25に出力する。また、制御部31は、所望の加工形状が円弧の場合には、円弧の移動指令を送り駆動部25に出力する。
【0054】
図5(a)では、送り駆動部25は、移動指令内の、直線か円弧かの情報と、次の指令座標C11の情報と、始点座標Cstartから座標C11までの移動速度の情報とに基づいて、送り駆動部25を制御し、切削工具23を始点座標Cstartから座標C11に移動させる。始点座標Cstartから座標C11までの移動が、L1で示されている。なお、縦軸は加工方向Aに沿った座標を示しているため、直線の移動指令および円弧の移動指令のいずれの移行指令であっても、図上における移動は直線で示される。始点座標Cstart、座標C11、および下記の座標C12、C13、C14は、いずれも振動切削波形のグラフn1上の座標である。
【0055】
次に、送り駆動部25は、移動指令内の、直線か円弧かの情報と、次の指令座標C12の情報と、座標C11から座標C12までの移動速度に基づいて、切削工具23を座標C11から座標C12まで移動させる。座標C11から座標C12までの移動が、L2で示されている。
【0056】
次に、送り駆動部25は、移動指令内の、直線か円弧かの情報と、次の指令座標C13の情報と、座標C12から座標C13までの移動速度に基づいて、切削工具23を座標C12から座標C13まで移動させる。座標C12から座標C13までの移動が、L3で示されている。
【0057】
次に、送り駆動部25は、移動指令内の、直線か円弧かの情報と、次の指令座標C14の情報と、座標C13から座標C14までの移動速度に基づいて、切削工具23を座標C13から座標C14まで移動させる。座標C13から座標C14までの移動が、L4で示されている。
【0058】
図5(b)は、
図5(a)よりも制御周期Qを短くした場合を示す図である。
図5(b)では、1回転分の時間を10等分しており、振動切削波形のグラフn1を10コの移動指令で近似している。主軸1回転分の時間をT0(s)とすると、制御周期Qは、T0/10で表わされる。分割数を多くすればするほど、振動切削波形に近づくことになる。
【0059】
このように、振動切削波形を複数の直線または円弧の移動指令で近似することによって、切削工具23を加工方向に沿って振動させながら切削加工を行うことができる。
【0060】
(NCプログラム実行時の切削加工装置10の動作)
次に、本実施形態のNCプログラムを実行した際の切削加工装置10の動作について説明する。
【0061】
図6は、本実施形態のNCプログラムを実行した際の切削加工装置10の制御動作を示すフロー図である。
図7は、本実施形態のNCプログラムで近似する振動切削波形を示す図である。
図7では、周波数倍率Iは、0.5に設定されており、主軸21が2回転する際に、切削工具23は1周期振動する。
図7では、主軸21が2回転する時間0~2T0までの波形が示されている。
図7に示すように、制御周期Qは、主軸21の2回転の時間T0を8分割しているため、制御周期Q=T0/4に設定されている。なお、切削の始点座標をCstartとし、制御周期Qごとの振動切削波形上の座標を順次C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、およびC18と示す。
【0062】
制御部31は、記憶部32に記憶されているNCプログラムを実行することによって、下記のステップの処理を行う。
【0063】
はじめに、NCプログラムが実行されると、制御部31から主軸駆動部24に駆動指令が出力され、主軸21が所定の回転数で回転する。また、制御部31は、送り駆動部25に指令を出力し、切削工具23を始点座標Cstartに移動させる。
【0064】
そして、ステップS10において、制御部31は、制御周期Q、主軸21の回転数および周波数倍率Iより、制御周期当たりのsin波(振動波形)の回転角の増加分を計算する。
図7に示す例では、1周期が8分割されているため、制御周期Q当たりのsin波の回転角の増分は360°÷8=45°と計算される。
【0065】
次に、ステップS11において、制御部31は、前の経過時間と制御周期Qを足し合わすことによって、次の経過時間を計算する。具体的には、前の座標が切削の始点座標Cstartの場合は前の経過時間が0であるため、制御周期Qが次の経過時間となる。また、前の座標が座標C11の場合は、前の経過時間がQであり、制御周期がQであるため、次の経過時間は2Qとなる。
【0066】
次に、ステップS12において、制御部31は、前のsin波の回転角に制御周期当たりの回転角の増分を足して、次のsin波の回転角を算出する。具体的には、前の座標が切削の始点座標Cstartの場合は、前のsin波の回転角が0°であり、制御周期当たりの回転角の増分が45°であるため、次のsin波の回転角は45°となる。また、前の座標が座標C11の場合は、前のsin波の回転角が45°であり、制御周期当たりの回転角の増分が45°であるため、次のsin波の回転角は90°となる。
【0067】
次に、ステップS13において、制御部31は、次の経過時間と、次のsin波の回転角から、式(3)または式(4)を用いて次の指令座標を計算する。制御部31は、切削工具23が送り側に進む場合には、式(3)を用い、切削工具23が逆送り側に進む場合には、式(4)を用いる。具体的には、前の座標が始点座標Cstartの場合、次の指令座標である座標C11が計算される。また、前の座標が座標C11の場合、次の指令座標である座標C12が計算される。
【0068】
次に、ステップS14において、制御部31は、次の指令座標が始点の座標よりも進んでいるか否かを判断する。
【0069】
ステップS14において、次の指令座標が始点の座標よりも進んでいないと判断された場合、制御は、ステップS15に移動する。そして、ステップS15において、制御部31は、次の指令座標を始点の座標に修正する。振動によって切削工具23は逆送り側にも移動するが、その際に始点P1よりも逆送り側に移動すると、切削工具23が治具等に干渉するおそれやワーク22から切削工具23が離れるおそれがある。これを防ぐために、次の指令座標が始点の座標よりも進んでいない場合、次の指令座標を始点P1の位置に設定する。仮に座標C15やC16が始点座標Cstartよりも送り側に進んでいない場合、次の座標C15やC16は始点座標Cstartの座標に設定される。なお、ステップS14とステップS15は省略してもよい。
【0070】
ステップS14またはステップS15の次に、ステップS16において、制御部31は、次の指令座標が切削の終点の座標を超えているか否かを判断する。
【0071】
ステップS16において、次の指令座標が切削の終点の座標を超えていると判断された場合、始点から終点までの切削が終了したと判断して制御が終了する。
【0072】
一方、ステップS16において、次の指令座標が切削の終点の座標を超えていないと判断された場合、制御はステップS17に移動し、ステップS17において、制御部31は、前の座標、次の指令座標、および制御周期Qから移動速度を計算する。具体的には、前の座標と次の座標から移動距離を算出し、その移動距離を制御周期Qの間に移動するための移動速度を計算する。ステップS10~S13およびステップS17が、算出ステップの一例に対応し、ステップS10~S13およびステップS17を繰り返すことが、移動指令作成ステップの一例に対応する。
【0073】
次に、ステップS18において、制御部31は、直線または円弧のいずれの指令かの情報、次の指令座標の情報、および移動速度の情報を含む移動指令を、送り駆動部25に出力する。なお、制御部31は、加工形状が直線の場合には、直線の指令とし、加工形状が円弧の場合には、円弧の指令とする。
【0074】
これにより、切削工具23はワーク22に対して次の指令座標に移動する。例えば、前の座標が始点座標Cstartの場合、切削工具23は加工方向Aに沿って次の座標C11に図上直線的に移動する。ステップS18が、出力ステップの一例に対応する。
【0075】
次に、制御はステップS11に戻り、ステップS15において、次の指令座標が切削の終点の座標を超えていると判断されるまで、ステップS11~ステップS17の制御が繰り返される。これによって、切削工具23は座標Cstart、C11、C12、C13、C14・・・と図上直線的に順次移動していき、切削振動波形に沿うように切削工具23をワーク22に対して移動することができる。このため、振動しながらワーク22の切削を行うことができる。
【0076】
以上のように、本実施形態では、NCプログラムによって切削振動波形を複数の微小な直線または円弧の移動指令を組み合わせて実現している。このため、振動切削機能を予め有していない切削加工装置に対しても大掛かりな変更を行わずに、本開示のNCプログラムを実行するだけで容易に振動切削を行うことが可能となる。
【0077】
本開示のNCプログラムは、切削加工装置10に搭載のマクロ機能を利用して実現することができる。
図8(a)は、マクロ機能を用いたマクロプログラムの一例を示す図である。
図8(a)に示すNCプログラムでは、上から4行目が、微小な直線移動を行う指令201を示す。上から5行目~10行目が、次の指令座標と移動速度の計算を行う指令202を示す。上から2行目は、終点の座標を超えるまで繰り返すループの指令203を示す。
図8(b)は、マクロプログラムを呼び出す指令を示す。
図8(b)に示す左部分204は、記憶部32に記憶されているマクロの番号を示す。
図8(b)に示す右部分205は、マクロプログラムの呼び出し時に与える振動条件を示す。振動条件は、周波数倍率I、振幅倍率K、および制御周期Qである。
【0078】
(他の実施形態)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0079】
(A)
上記実施形態では、切削加工装置10において、NCプログラムが実行されることによって、制御部31が移動指令を作成し、送り駆動部25に出力する毎に切削工具23が移動しているが、移動指令を作成する毎に出力せず、作成した複数の移動指令を記録した後に、記録した複数の移動指令に基づいて切削工具23が駆動されてもよい。すなわち、全ての移動指令を予め作成して記憶し、記憶した移動指令に基づいて切削工具23を移動させてもよい。
【0080】
この場合、切削加工装置10において複数の移動指令を作成しなくてもよく、別途設けられた装置によってNCプログラムを用いて複数の移動指令を作成して記録してもよい。複数の移動指令を記憶したNCプログラムを有線、無線、またはSDカード等の記録媒体を用いて、切削加工装置10の記憶部32に記憶し、切削加工装置10は、記憶された複数の移動指令に基づいて送り駆動部25を制御することによって振動切削を実現することができる。
図9は、複数の移動指令を記憶したNCプログラムの一例を示す図である。それぞれの行において次の指令座標の絶対座標を示す指令206と、その指令座標までの速度を示す指令207が示されている。
【0081】
なお、複数の移動指令を作成して記憶する際の制御フローは、
図6で説明したフローにおけるステップS18の移動指令を、移動指令を記憶するステップ(記憶ステップの一例)に変更したものとなる。
【0082】
(B)
上記実施形態および上記(A)では、次の指令座標を算出しており、次の指令座標が、次の移動先の座標に関する情報の一例に対応するが、次の移動先の座標に関する情報は、次の指令座標に限らなくてもよく、次の指令座標への移動量であってもよい。すなわち、
図8(a)および
図9のプログラムにおいて絶対座標に代えて移動量が用いられてもよい。
【0083】
(C)
上記実施形態では、本開示のNCプログラムを用いてワーク22の外形旋削する場合について説明したが、本開示のNCプログラムを適用させる加工は、外形旋削に限らなくてもよい。
【0084】
本開示のNCプログラムは、
図10(a)~
図10(d)に示すような加工に対しても適用することができる。
【0085】
図10(a)には、端面旋削が示されている。端面旋削では、ワーク22の端面22eが切削工具23で切削される。加工方向Aは、例えば回転軸Lに対して垂直な方向となる。
【0086】
図10(b)には、溝入れ加工が示されている。溝入れ加工では、ワーク22の側面22cに切削工具23によって周方向に沿って溝が形成される。加工方向Aは、例えば回転軸Lに対して垂直な方向となる。
【0087】
図10(c)には、ボーリング加工が示されている。ボーリング加工では、ワーク22に切削工具23によって孔22dが形成される。ボーリング加工では、切削工具23が回転する。加工方向Aは、例えば回転軸Lと平行な方向となる。
【0088】
図10(d)には、ドリル加工が示されている。ドリル加工では、ワーク22に切削工具23としてのドリルによって孔が形成される。ドリル加工では、切削工具23が回転する。加工方向Aは、例えば回転軸Lと平行な方向となる。
【0089】
(D)
上記実施形態では、ワーク22が回転し、切削工具23が加工方向に沿って振動しているが、これに限らなくてもよく、ワーク22と切削工具23のいずれが回転し、いずれが振動するかは適宜変更してもよい。
【0090】
図11(a)は、切削工具23が回転し、切削工具23が加工方向Aに沿って振動する例を示す図である。
図11(a)では、切削工具23が主軸21ととともに回転する。切削工具23の加工方向(振動方向)Aは、Z軸と平行に設定されている。
【0091】
図11(b)は、ワーク22が回転し、切削工具23が加工方向Aに沿って振動する例を示す図である。
図11(b)では、ワーク22が主軸21とともに回転する。切削工具23の加工方向(振動方向)Aは、Z軸と平行に設定されている。
【0092】
図11(c)は、ワーク22が回転し、ワーク22が加工方向Aに沿って振動する例を示す図である。
図11(c)では、ワーク22が主軸21とともに回転し、加工方向Aに沿って振動する。加工方向Aは、Z軸と平行に設定されている。
【0093】
(E)
上記実施形態では、直線の移動指令と円弧の移動指令のうちいずれか一方のみを用いているが、所望の形状に基づいて直線の移動指令と円弧の移動指令を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本開示のNCプログラムは、簡易に振動切削を実現することが可能な効果を有し、既存の切削加工装置であっても容易に振動切削加工を実現することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 :切削加工装置
20 :切削加工部
21 :主軸
22 :ワーク
22a :円弧状部分
22b :テーパ状部分
22c :側面
22d :孔
22e :端面
23 :切削工具
24 :主軸駆動部
25 :送り駆動部
30 :切削加工制御装置
31 :制御部
32 :記憶部
33 :入力部
34 :表示部