(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046053
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】リレー装置及び車両の電源装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/12 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
H01H50/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151210
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朋也
(72)【発明者】
【氏名】住吉 誠
(57)【要約】
【課題】接点に氷結が生じにくいリレー装置、並びに、寒冷期に障害が生じ難い車両の電源装置を提供する。
【解決手段】リレー装置(33)は、第1接点(A331)及び第2接点(A332)と、第1接点が電気的に接続された第1導体(331)と、第2接点が電気的に接続された第2導体(332)と、第1接点、第2接点、第1導体及び第2導体を収容する筐体(339)と、筐体よりも熱伝導率が高い伝熱部材(336A、336B)とを備える。そして、伝熱部材(336A、336B)が、筐体(339)の外から筐体(339)の内へわたって設けられ、かつ、第1導体(331)及び第2導体(332)の少なくとも一方に接している。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接した状態と離間した状態とに切替可能な第1接点及び第2接点と、
前記第1接点が電気的に接続された第1導体と、
前記第2接点が電気的に接続された第2導体と、
前記第1接点、前記第2接点、前記第1導体及び前記第2導体を収容する筐体と、
前記筐体よりも熱伝導率が高い伝熱部材と、
を備え、
前記伝熱部材が、前記筐体の外から前記筐体の内へわたって設けられ、かつ、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方に接していることを特徴とするリレー装置。
【請求項2】
前記伝熱部材は、前記筐体の外に配置されたフィンを含むことを特徴とする請求項1記載のリレー装置。
【請求項3】
前記第1導体は、前記第1接点が固定された導体バーを含み、
前記伝熱部材は前記導体バーに接することを特徴とする請求項1記載のリレー装置。
【請求項4】
前記第2導体は、前記第2接点が固定された可動導体バーを含み、
前記伝熱部材は前記第2接点が前記第1接点から離間したときの前記可動導体バーに接することを特徴とする請求項1記載のリレー装置。
【請求項5】
走行用の動力を発生する動力源と、前記動力源が配置される動力源室とを備えた車両に搭載される車両の電源装置であって、
電力線と、前記電力線の電路を開閉する請求項1記載のリレー装置とを備え、
前記リレー装置が前記動力源室に配置されていることを特徴とする車両の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー装置及び車両の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リレー装置において接点の氷結を避けたいという要求がある。特許文献1には、電磁コイルから発せられる熱を固定接点に伝える熱伝導材を備えた電磁リレーが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱を加えて接点の氷結に対処する方式では、氷結を解かすことで接点を復活させることができる。しかし、このような方式では、接点の切替要求が生じてから接点を機能させるまでにタイムラグが生じるという課題が生じる。このようなタイムラグを無くすには、接点の氷結を未然に防ぐ必要がある。
【0005】
熱を加えて接点の氷結に対処する方式においても、氷結が生じえる期間に加熱を続けることで、接点の氷結を未然に防ぐことができる。しかし、この場合、加熱用の電力が長い期間消費されるという課題が生じる。
【0006】
本発明は、接点に氷結が生じにくいリレー装置、並びに、寒冷期に障害が生じ難い車両の電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリレー装置は、
第1接点及び第2接点と、
前記第1接点が電気的に接続された第1導体と、
前記第2接点が電気的に接続された第2導体と、
前記第1接点、前記第2接点、前記第1導体及び前記第2導体を収容する筐体と、
前記筐体よりも熱伝導率が高い伝熱部材と、
を備え、
前記伝熱部材が、前記筐体の外から前記筐体の内へわたって設けられ、かつ、前記第1導体及び前記第2導体の少なくとも一方に接している。
【0008】
本発明に係る車両の電源装置は、
走行用の動力を発生する動力源と、前記動力源が配置される動力源室とを備えた車両に搭載される車両の電源装置であって、
電力線と、前記電力線の電路を開閉する上記のリレー装置とを備え、
前記リレー装置が前記動力源室に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
リレー装置の周辺では、リレー装置の周囲温度よりもリレー装置に接続された外部ケーブルの温度が先に大きく低下することがある。このような場合、リレー装置から外部ケーブルへ熱が多く引かれることで、リレー装置の第1接点又は第2接点の温度が筐体内の空気の温度よりも大きく低下する。そして、その温度差により、第1接点又は第2接点に結露が生じ、そのまま氷点下まで温度が低下した場合に氷結が生じる恐れがある。一方、本発明によれば、伝熱部材と第1導体又は第2導体とを介して、筐体の外と第1接点又は第2接点との間で熱が伝導され、これらの温度の均衡を図ることができる。したがって、リレー装置の周囲温度よりも外部ケーブルの温度が先に大きく低下しても、第1接点又は第2接点と筐体内の空気との間に大きな温度差が生じることを抑制できる。よって、第1接点又は第2接点に結露が生じることが抑制される。結露が無ければ、氷点下になっても氷結が生じない。したがって、本発明によれば、第1接点又は第2接点に氷結が生じにくいリレー装置を提供できる。さらに、当該リレー装置により寒冷期に障害が生じ難い車両の電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両及びその電源装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両及びその電源装置を示すブロック図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る車両1は、
図1に示すように、駆動輪2と、駆動輪2に動力を送る走行用モータ3と、走行用モータ3を駆動するインバータ4と、走行用の電力を蓄積する走行用バッテリ5と、内燃機関であるエンジン11と、車両負荷(例えば電子制御式インジェクター等)12と、エンジン11を始動するスタータモータ13と、車両負荷12を駆動するための電力を蓄積する補機バッテリ17と、アイドリングストップ後のエンジン11の再始動用に発電と動力の出力とを行うモータ機能付き発電機(具体的にはISG:Integrated Starter Generator、再始動モータと呼んでもよい)21と、モータ機能付き発電機21の電力を蓄積する再始動バッテリ23と、を備える。
【0013】
補機バッテリ17と再始動バッテリ23とは、第1電圧系(例えば12V系)の電圧で電力を蓄積及び供給する。走行用バッテリ5は、第1電圧系よりも高い第2電圧系(例えば100V系又は200V系等)の電圧で電力を蓄積及び供給する。
【0014】
車両1は、さらに、走行用バッテリ5の電圧を第1電圧系の電圧に変換し、車両負荷12の電力線31に電力を供給可能なDC/DCコンバータ19を備える。補機バッテリ17は、DC/DCコンバータ19から供給される電力により充電されてもよい。
【0015】
車両1は、さらに、運転者が操作を行う運転操作部26と、車両1の走行用の制御を行う車両コントローラ28とを備える。運転操作部26は、操舵部26a、アクセル操作部26b及びブレーキ操作部26cを含み、アクセル操作部26b及びブレーキ操作部26cの操作信号が車両コントローラ28に送られる。運転操作部26は、自動運転システムが操作する構成が適用されてもよい。
【0016】
車両コントローラ28は、1つのECU(Electronic Control Unit)、あるいは、互いに通信を行って協働する複数のECUである。車両コントローラ28は、運転操作部26からの操作信号と、図示略の他のECUから送られた制御情報と、図示略のセンサによって検出された車両状態等の各種情報とに基づいて、車両1の走行制御を行う。具体的には、車両コントローラ28は、車両負荷12、スタータモータ13、インバータ4、DC/DCコンバータ19及びモータ機能付き発電機21を制御する。
【0017】
<車両の電源装置>
本発明の実施形態に係る電源装置30は、補機バッテリ17及びDC/DCコンバータ19から、車両負荷12、スタータモータ13及び車両コントローラ28へ電力を伝送する電力線31と、モータ機能付き発電機21と再始動バッテリ23との間で電力を伝送する電力線32とを備える。さらに、電源装置30は、2つの電力線31、32の間に介在する電力線34と、電力線34の電路を開閉するリレー装置33とを備える。リレー装置33の開閉は、車両コントローラ28により制御されるが、別のコントローラにより制御されてもよい。電力線34は、再始動バッテリ23と、補機バッテリ17及びDC/DCコンバータ19との間で電力を伝送することができる。
【0018】
車両1は、動力源(エンジン11及び走行用モータ3)が配置される動力源室40を有する。動力源室40は、所謂エンジンルームである。リレー装置33は、動力源室40に配置される。動力源室40は、エンジン11又は走行用モータ3の駆動時に室内の空気が高温になる一方、外気を受けることで低温になりやすい部品が含まれる。あるいは、外気を受ける部品と熱伝導性の高い部材を介して接続されることで低温になりやすい部品が含まれる。当該低温になりやすい部品には、電力線31、32、34が含まれる。これらの部品は、動力源室40の空気が温かいときに当該空気の温度よりも大幅に低い温度に変化することがある。
【0019】
図2Aは、
図1のリレー装置を示す構成図である。
図2Bは、
図2Aのリレー装置を上方から見た構成図である。リレー装置33は、互いに離間した状態と接触した状態とに切り替え可能な第1接点A331及び第2接点A332と、開閉される電力線34の一方と他方とが接続される第1端子T331及び第2端子T332と、第1接点A331と第1端子T331とを電気的に接続する第1導体331と、第2接点A332と第2端子T332とを電気的に接続する第2導体332とを備える。
【0020】
リレー装置33は、さらに、第1接点A331と第2接点A332とを近接又は離間させる駆動機構334と、筐体339とを備える。筐体339は、第1接点A331、第2接点A332、第1導体331、第2導体332及び駆動機構334を収容する。筐体339は内側を封止する構造を有していてもよい。
【0021】
第1導体331は、第1接点A331が固定された導体バーであり、筐体339に固定される。導体バーとは、板状又は棒状の導体であり、ケーブルのように柔軟に曲がらない硬さを有する導体である。第1導体331は、第1端子T331と一体的な構成であってもよい。
【0022】
第2導体332は、筐体339に固定された固定導体バー332aと、第2接点A332が固定された可動導体バー332bと、固定導体バー332aと可動導体バー332bとを電気的に接続する接続導体332cとを含む。可動導体バー332bは、バネ材を介して支持され、第2接点A332が第1接点A331に近接する配置と、第2接点A332が第1接点A331から離間した配置とに変位可能である。接続導体332cが上記のバネ材としての機能を有していてもよいし、接続導体332cとバネ材とが別に設けられていてもよい。固定導体バー332aは、第2端子T332と一体的な構成であってもよい。
【0023】
第1端子T331及び第2端子T332は、大電流を流すことが可能な接続態様(例えばボルト接続)で電力線34と接続され、電力線34は大電流を流すことが可能な電流容量を有する。当該構成に付随して、第1端子T331及び第2端子T332と電力線32との間の熱の伝導抵抗、並びに、第1端子T331及び第2端子T332から電力線32の先の部材又は機器との間の熱の伝導抵抗は低くなる。よって、電力線32又はその先の機器や部材が冷却された場合に、電力線32を介して第1端子T331及び第2端子T332から大きな熱が排出されやすい。
【0024】
駆動機構334は、コイル334a及び鉄心334bを有し、電磁力の作用で第2導体332の可動導体バー332bを変位させる。コイル334aに電流を流す図示略の端子は、筐体339の外側に配置される。リレー装置33は、通電を停止しても開状態と閉状態と保持できるラッチリレーであってもよく、その場合、コイル334aは、開から閉へ切り替える際に通電される第1系統のコイルと、閉から開へ切り替える際に通電される第2系統のコイルとを含んでいてもよい。ラッチリレーの場合、可動導体バー332bの位置を二つの個所で保持できるラッチ機構が設けられる。
【0025】
リレー装置33は、さらに、筐体339の外から内へわたって設けられた伝熱部材336A、336Bを備える。伝熱部材336A、336Bは、筐体339よりも熱伝導率の高い部材であり、銅、アルミ、鉄などを主成分とする部材であってもよい。
【0026】
伝熱部材336Aは、筐体339の内部で第1導体331(導体バー)に接し、第1導体331と筐体339の外との温度の均衡を図る。第1導体331と伝熱部材336Aとの接触は、ボルト接続など高い熱伝導性を実現する態様により行われてもよい。
【0027】
伝熱部材336Bは、筐体339の内部で可動導体バー332bに接し、可動導体バー332bと筐体339の外との温度の均衡を図る。伝熱部材336Bは、第2接点A332が第1接点A331から離間したときの可動導体バー332bに接する。このとき、接触部を介した高い熱伝導性が実現されるように、広い面を介して接触し、かつ、バネ材により可動導体バー332bから伝熱部材336Bに圧力が加えられるように構成されてもよい。
【0028】
伝熱部材336A、336Bは、筐体339の外側に位置するフィンFを有する。フィンFにより、伝熱部材336Bとリレー装置33の周囲の空気との間で熱の交換が促進される。
【0029】
伝熱部材336A、336Bは、絶縁膜で覆われていてもよいし、熱伝導率の高い絶縁部材を介して第1導体331及び第2導体332にそれぞれ接触していてもよい。
【0030】
<作用>
寒冷期において動力源室40は、動力源の駆動によって高熱になる一方、動力源の一時的な停止により急激に温度が低下することがあり、また、動力源の長い停止により氷点下まで温度が低下するなど、過酷な温度環境となる。したがって、このような温度環境に置かれたリレー装置33は、筐体339によって内部空間が密閉されていても、経年に伴って湿気が内部に浸入することがある。
【0031】
そして、湿気が内部に浸入した場合、リレー装置33が高温になることで、リレー装置33内の水分が気化する。その後、電力線32が先に低温になり、第1端子T331及び第2端子T332から電力線32へ多くの熱が吸収されると、筐体339内の空気よりも第1導体331及び第2導体332の温度が先に低下する。そして、仮に、この温度低下が第1接点A331及び第2接点A332に及ぶと、第1接点A331及び第2接点A332に結露が生じてしまう。しかしながら、本実施形態では、伝熱部材336A、336Bを介して動力源室40の空気と第1導体331及び第2導体332との間で熱が伝導される。よって、第1接点A331及び第2接点A332の温度が、筐体339の空気の温度よりも大きく低下してしまうことが抑制される。したがって、第1接点A331及び第2接点A332に結露が生じてしまうことを抑制できる。
【0032】
特に、本実施形態では、伝熱部材336A、336Bは、第1接点A331が固定された第1導体(導体バー)331と、第2接点A332が固定された可動導体バー332bとにそれぞれ接触する。すなわち、伝熱部材336A、336Bが、第1接点A331及び第2接点A332と大きな熱抵抗を介さずに熱伝導可能に接続される。よって、第1接点A331及び第2接点A332の温度が、筐体339の空気の温度よりも大きく低下してしまうことをより抑制でき、第1接点A331及び第2接点A332に結露が生じてしまうことをより抑制できる。
【0033】
また、リレー装置33内の水分が気化するような状況では、筐体339内の空気の温度よりも、動力源室40の空気の温度の方が高くなっている場合が多い。そして、本実施形態では、伝熱部材336A、336Bは、筐体339の外側にフィンFを有する。したがって、伝熱部材336A、336BのフィンFが、高温の空気に晒されることとなり、第1導体331及び第2導体332が筐体339内の空気の温度よりも大きく低下することをより抑制できる。
【0034】
上記のように、第1接点A331及び第2接点A332の結露が生じにくいことから、第1接点A331及び第2接点A332に氷結が生じることが抑制される。よって、外気が氷点下となる寒冷期であっても、多くの状況において、第1接点A331及び第2接点A332に氷結が生じることを未然に防ぐことができる。
【0035】
なお、動力源の一時的な停止又は長い停止により動力源室40全体の温度が低下するような状況では、第1導体331及び第2導体332の温度も低下する。しかし、このような状況では、筐体339内の空気の温度も同様に低下している。したがって、第1接点A331及び第2接点A332に結露が集中して生じることが抑制される。よって、動力源室40の温度が氷点下になっても、第1接点A331及び第2接点A332に氷結が発生しにくい。したがって、外気が氷点下となる寒冷期であっても、多くの状況において、第1接点A331及び第2接点A332に氷結が生じることを未然に防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態のリレー装置33によれば、伝熱部材336A、336Bによって筐体339の外と第1導体331及び第2導体332との温度の均衡が図られる。よって、前述したように、第1接点A331及び第2接点A332に氷結が生じ難いリレー装置33を提供できる。仮に、加熱によって接点の氷結に対処する方式を採用し、接点の氷結を未然に防ぐには、氷結が生じえる期間に継続的に加熱を行う必要があり、また、氷結が生じえる期間を判別するような煩雑な制御が必要となる。しかし、本実施形態では、接点の氷結を避けるために必要な電力消費及び煩雑な制御を少なくすることができる(例えば不要にできる)。
【0037】
なお、本実施形態では、2つの伝熱部材336A、336Bが、第1導体331と第2導体332とにそれぞれ接する例を示した。しかしながら、必ずしも、第1導体331及び第2導体332の両方に伝熱部材が接触しなくてもよい。例えば第1導体331及び第2導体332の一方に連結される電力線34が低温になり難い構造を有するなど、第1導体331及び第2導体332の一方のみが低温になりやすい場合がある。このような場合には、低温になりやすい方の導体(331又は332)のみに伝熱部材(336A又は336B)を接触させるように構成してもよい。
【0038】
さらに、本実施形態のリレー装置33によれば、伝熱部材336A、336Bは、筐体339の外に配置されたフィンFを含む。よって、伝熱部材336A、336Bによる熱伝導により、筐体339外の空気と第1導体331及び第2導体332の温度との均衡を図ることができる。したがって、動力源室40のような室内の空気の温度が高く維持されやすい環境において、第1導体331及び第2導体332の温度低下をより抑制できる。
【0039】
なお、伝熱部材336A、336Bは、フィンFを有さずに、筐体339の外側に面状に広がる構成であってもよい。さらに、本実施形態では、伝熱部材336A、336Bが、筐体339の外において主に空気と熱交換する例を示した。しかしながら、筐体339の外において温度が低下しにくい物体がある場合には、当該物体に伝熱部材を接触させるようにしてもよい。
【0040】
さらに、本実施形態のリレー装置33によれば、伝熱部材336Aは、第1接点A331が固定された導体バー(第1導体331)に接する。したがって、伝熱部材336Aと第1接点A331との間の熱抵抗が低くなり、第1接点A331の温度低下をより抑制することができる。さらに、伝熱部材336Aが、固定された第1導体331に接することで、伝熱部材336Aと第1導体331との熱伝導性の高い接続が可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態のリレー装置33によれば、伝熱部材336Bは、第2接点A332が固定された可動導体バー332bに接する。したがって、伝熱部材336Bと第2接点A332との間の熱抵抗が低くなり、第2接点A332の温度低下をより抑制することができる。さらに、伝熱部材336Bは第2接点A332が第1接点A331から離間したときの可動導体バー332bに接する。したがって、伝熱部材336Bと可動導体バー332bとの接続構造を容易に実現できる。
【0042】
さらに、本実施形態の車両1の電源装置30によれば、動力源室40にリレー装置33が配置される。動力源室40は、室内の空気の温度と比較して、温度が低下しやすい部品が配置される。そして、当該部品とリレー装置の端子とが熱伝導可能に接続された場合に、リレー装置の接点に結露及び氷結が生じる恐れがある。特に、補機バッテリ17と再始動バッテリ23の間で電力線34の電路を開閉するリレー装置33は、エンジン11に近い配置となるため、上記のように結露及び氷結が生じる恐れがある。しかし、本実施形態のリレー装置33が適用されることで、上記のような状況においても、接点の結露及び氷結を抑制し、寒冷期に障害が生じ難い車両の電源装置30を提供できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、リレー装置33が補機バッテリ17と再始動バッテリ23との間の電路を開閉するように接続された例を示した。しかし、リレー装置33が接続される箇所は、上記の箇所に限定されない。例えば、リレー装置33は、補機バッテリ17と電気機器(車両負荷12又は他の機器)との間に接続されてもよいし、走行用バッテリ5の電力線の電路に接続されてもよい。また、リレー装置33が搭載される車両は、上記実施形態の車両1のようにハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)に限られず、エンジン自動車であってもよいし、電気自動車(EV:Electric Vehicle)であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、リレー装置33を車両の電源装置30に搭載する例を示したが、本発明に係るリレー装置は、例えば産業用機械など、様々な装置に搭載されてもよい。当該装置内に過酷な温度環境が生じる箇所があれば、当該箇所に配置されるリレーとして本発明に係るリレー装置を適用することで、本実施形態と同様の効果を奏することができる。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 車両
2 駆動輪
3 走行用モータ
4 インバータ
5 走行用バッテリ
11 エンジン
12 車両負荷
13 スタータモータ
17 補機バッテリ
19 DC/DCコンバータ
21 モータ機能付き発電機
23 再始動バッテリ
26 運転操作部
28 車両コントローラ
30 電源装置
31、32、34 電力線
33 リレー装置
A331 第1接点
A332 第2接点
331 第1導体
332 第2導体
332a 固定導体バー
332b 可動導体バー
332c 接続導体
T331 第1端子
T332 第2端子
336A、336B 伝熱部材
F フィン
40 動力源室