(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046054
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240327BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H04N1/00 912
B41J5/30 Z
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151211
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】近本 忠信
(72)【発明者】
【氏名】塩見 大史
(72)【発明者】
【氏名】星野 元季
(72)【発明者】
【氏名】大濱 貴志
【テーマコード(参考)】
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AD14
2C187BF14
2C187CC04
2C187CD12
2C187CD17
2C187DC07
2C187DC08
2C187FA04
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC08
5C062AC22
5C062AC58
5C062AC65
5C062AC67
5C062AE03
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】メモリ残量不足が発生することを抑制しつつ、拡張性の高い画像データをメモリに記憶させることが可能となる技術を提供する。
【解決手段】CPU101は、読取センサ35,36による読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない読取設定値である第1読取設定値を、NVRAM104に記憶された情報に基づいて決定することができる場合、第1読取設定値を読取設定項目に設定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から画像を読み取る読取センサと、
画像をシートに印刷する印刷機構と、
メモリと、
コントローラと、を備えた画像処理装置であって、
前記メモリには、前記印刷機構による印刷に関する情報及び前記読取センサによる読取に関する情報のうち、少なくとも一方の情報が記憶されており、
前記コントローラは、
前記読取センサによる読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない前記読取設定値である第1読取設定値を、前記メモリに記憶された情報に基づいて決定することができる場合、前記第1読取設定値を前記読取設定項目に設定する一方、前記第1読取設定値を、前記メモリに記憶された情報に基づいて決定することができない場合、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが前記第1読取設定値よりも大きくなる前記読取設定値である第2読取設定値を前記読取設定項目に設定する設定処理と、
前記設定処理により設定された読取設定値に基づいて前記読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する読取処理と、
前記読取処理により取得された画像データを前記メモリに記憶する記憶処理と、
を実行する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記シートを収容する収容部
をさらに備え、
前記メモリに記憶された情報は、前記収容部に収容されたシートのサイズに関する情報であり、
前記コントローラは、前記設定処理では、前記シートのサイズに関する情報に基づいて、前記読取センサにより読み取られる原稿のサイズを決定して設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記読取処理で原稿から読み取られた原稿のサイズを検出する検出処理と、
前記設定処理により設定された読取設定値が示す原稿のサイズが、前記検出処理により検出された原稿のサイズより大きい場合、前記設定された読取設定値を前記検出された原稿のサイズを示す読取設定値に変更する変更処理と、
をさらに実行し、
前記読取処理では、前記変更処理により変更された読取設定値に基づいて前記読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記メモリに記憶された情報は、前記印刷機構の色数に関する印刷モードであり、
前記コントローラは、前記設定処理では、前記印刷モードに基づいて、前記読取センサにより読み取られる画像の色数を決定して設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記メモリに記憶された情報は、前記印刷機構による印刷で使用する着色剤の量に関する印刷モード及び前記シートの種類のうちのいずれか1つであり、
前記コントローラは、前記設定処理では、前記印刷モード又は前記シートの種類に基づいて、前記読取センサにより読み取られる画像の解像度を決定して設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記メモリに記憶された情報は、前記読取センサによる読取の履歴に含まれる原稿の面数に関する設定値であり、
前記コントローラは、前記設定処理では、前記原稿の面数に関する設定値に基づいて、前記読取センサにより読み取られる原稿の面数を決定して設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記メモリに記憶された情報は、前記印刷機構による印刷の履歴に含まれる拡大・縮小に関する設定値であり、
前記コントローラは、前記設定処理では、前記拡大・縮小に関する設定値に基づいて、前記読取センサにより読み取られる画像の解像度を決定して設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原稿から画像を読み取る読取センサと、画像をシートに印刷する印刷機構と、前記印刷機構による印刷に関する情報及び前記読取センサによる読取に関する情報のうち、少なくとも一方の情報を記憶したメモリと、を備えた画像処理装置に、
前記読取センサによる読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない前記読取設定値である第1読取設定値を、前記メモリに記憶された情報に基づいて決定することができる場合、前記第1読取設定値を前記読取設定項目に設定する一方、前記第1読取設定値を、前記メモリに記憶された情報に基づいて決定することができない場合、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが前記第1読取設定値よりも大きくなる前記読取設定値である第2読取設定値を前記読取設定項目に設定する設定処理と、
前記設定処理により設定された読取設定値に基づいて前記読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する読取処理と、
前記読取処理により取得された画像データを前記メモリに記憶する記憶処理と、
を実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、原稿から読み取った画像に係る画像データをメモリに記憶する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動原稿送り装置により複数の原稿を順次送りながら原稿から画像を読み取って画像データを生成し、プレビュー表示する画像処理装置が記載されている。この画像処理装置では、プレビューに必要な最低ページ数分の原稿を読み取ると、読み取った原稿の画像をプレビュー表示するとともにプレビュー表示後も原稿の読み取りを継続し、プレビュー表示画面で読取の設定変更を受け付けることができる。そして、受け付けた設定変更を、受付前に原稿から読み取って生成した画像データにも適用できるよう上位の設定で原稿を読み取り、設定変更があると、上位の設定で読み取って生成した画像データを変更後の設定で画像処理するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像処理装置では、上位の設定で読み取って生成した画像データをメモリに記憶するので、画像データのサイズが大きく、メモリ残量不足が発生する虞がある。
【0005】
本願は、メモリ残量不足が発生することを抑制しつつ、拡張性の高い画像データをメモリに記憶させることが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の画像処理装置は、原稿から画像を読み取る読取センサと、画像をシートに印刷する印刷機構と、メモリと、コントローラと、を備えた画像処理装置であって、メモリには、印刷機構による印刷に関する情報及び読取センサによる読取に関する情報のうち、少なくとも一方の情報が記憶されており、コントローラは、読取センサによる読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない読取設定値である第1読取設定値を、メモリに記憶された情報に基づいて決定することができる場合、第1読取設定値を読取設定項目に設定する一方、第1読取設定値を、メモリに記憶された情報に基づいて決定することができない場合、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが第1読取設定値よりも大きくなる読取設定値である第2読取設定値を読取設定項目に設定する設定処理と、設定処理により設定された読取設定値に基づいて読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する読取処理と、読取処理により取得された画像データをメモリに記憶する記憶処理と、を実行することを特徴とする。
【0007】
これにより、設定処理により、メモリに記憶された情報から、画像のサイズが最大とならない第1読取設定値又は画像のサイズが最大となる第2読取設定値が設定される。そして、第1読取設定値と第2読取設定値とに基づき読取処理を実行することで、メモリ不足を抑制しつつ拡張性の高い(読取後に設定変更がされても再読取せずにすむ)画像データ
をメモリに記憶することが可能となる。したがって、メモリにより多くの画像データを記憶させることができ、より多くのスキャンを行うことができる。
【0008】
また、本願の画像処理装置は、シートを収容する収容部をさらに備え、メモリに記憶された情報は、収容部に収容されたシートのサイズに関する情報であり、コントローラは、設定処理では、シートのサイズに関する情報に基づいて、読取センサにより読み取られる原稿のサイズを決定して設定する、ことを特徴とする。
【0009】
これにより、設定処理において、印刷されるシートのサイズに関する情報に基づいて、読み取られる原稿のサイズが設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0010】
また、コントローラは、読取処理で原稿から読み取られた原稿のサイズを検出する検出処理と、設定処理により設定された読取設定値が示す原稿のサイズが、検出処理により検出された原稿のサイズより大きい場合、設定された読取設定値を検出された原稿のサイズを示す読取設定値に変更する変更処理と、をさらに実行し、読取処理では、変更処理により変更された読取設定値に基づいて読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する、ことを特徴とする。
【0011】
これにより、変更処理によって変更された原稿サイズで次の原稿が読み取られるので、メモリ不足をより抑制することが可能となる。
【0012】
また、メモリに記憶された情報は、印刷機構の色数に関する印刷モードであり、コントローラは、設定処理では、印刷モードに基づいて、読取センサにより読み取られる画像の色数を決定して設定する、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、印刷機構の色数に関する印刷モードに基づいて、読取センサにより読み取られる画像の色数が設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0014】
また、メモリに記憶された情報は、印刷機構による印刷で使用する着色剤の量に関する印刷モード及びシートの種類のうちのいずれか1つであり、コントローラは、設定処理では、印刷モード又はシートの種類に基づいて、読取センサにより読み取られる画像の解像度を決定して設定する、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、印刷で使用する着色剤の量に関する印刷モードやシートの種類に基づいて、読取センサにより読み取られる画像の解像度が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0016】
また、メモリに記憶された情報は、読取センサによる読取の履歴に含まれる原稿の面数に関する設定値であり、コントローラは、設定処理では、原稿の面数に関する設定値に基づいて、読取センサにより読み取られる原稿の面数を決定して設定する、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、設定処理において、読取センサによる読取の履歴に含まれる原稿の面数に関する設定値に基づいて、読取センサにより読み取られる原稿の面数が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0018】
また、メモリに記憶された情報は、印刷機構による印刷の履歴に含まれる拡大・縮小に関する設定値であり、コントローラは、設定処理では、拡大・縮小に関する設定値に基づいて、読取センサにより読み取られる画像の解像度を決定して設定する、ことを特徴とする。
【0019】
これにより、設定処理において、印刷機構による印刷の履歴に含まれる拡大・縮小に関する設定値に基づいて、読取センサにより読み取られる画像の解像度が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0020】
上記目的を達成するため、本願の画像処理プログラムは、原稿から画像を読み取る読取センサと、画像をシートに印刷する印刷機構と、印刷機構による印刷に関する情報及び読取センサによる読取に関する情報のうち、少なくとも一方の情報を記憶したメモリと、を備えた画像処理装置に、読取センサによる読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない読取設定値である第1読取設定値を、メモリに記憶された情報に基づいて決定することができる場合、第1読取設定値を読取設定項目に設定する一方、第1読取設定値を、メモリに記憶された情報に基づいて決定することができない場合、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが第1読取設定値よりも大きくなる読取設定値である第2読取設定値を読取設定項目に設定する設定処理と、設定処理により設定された読取設定値に基づいて読取センサを制御し、原稿から画像を読み取らせて画像データを取得する読取処理と、読取処理により取得された画像データをメモリに記憶する記憶処理と、を実行させる、ことを特徴とする。
【0021】
これにより、設定処理により、メモリに記憶された情報から、画像のサイズが最大とならない第1読取設定値又は画像のサイズが最大となる第2読取設定値が設定される。そして、第1読取設定値と第2読取設定値とに基づき読取処理を実行することで、メモリ不足を抑制しつつ拡張性の高い(読取後に設定変更がされても再読取せずにすむ)画像データをメモリに記憶することが可能となる。したがって、メモリにより多くの画像データを記憶させることができ、より多くのスキャンを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本願の一実施形態に係る複合機の外観を示す図である。
【
図2】
図1の複合機のプリンタ部の内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図1の複合機のスキャナ部の内部構成を示す断面図である。
【
図4】
図1の複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1の複合機における読取メイン処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図5の読取メイン処理に含まれる読取設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図5の読取メイン処理中のプレビュー表示の実行に応じて実行されるプレビュー表示における読取設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図1の複合機のタッチパネルの表示部に表示されたプレビュー表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本願の一実施形態に係る複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)1の
外観を示す斜視図である。複合機1は、画像処理装置の一例であり、プリント機能、コピー機能、スキャン機能、及びファックス機能等を有する。なお、複合機としては、これら全ての機能を備えた複合機に限られるものではなく、例えば、ファックス機能を備えていない複合機であってもよい。以下、
図1の矢印で示されるように、複合機1の上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。
【0025】
複合機1は、印刷部2と、画像読取部3とを備えている。印刷部2は、シートPに画像
を形成するプリント機能を有する。画像読取部3は、原稿Mの画像を読み取って、読み取った画像である読取画像の画像データを生成する機能であるスキャン機能を有する。
【0026】
印刷部2の印刷方式は、本実施形態では、電子写真方式である。なお、印刷部2の印刷方式は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式であってもよい。また、印刷部2は、本実施形態では、カラー画像及びモノクロ画像を印刷可能である。画像読取部3は、本実施形態では、カラー画像及びモノクロ画像の読み取りが可能である。
【0027】
複合機1は、前側に操作パネル110を備えている。操作パネル110には、
図1に示すように、タッチパネル112が設けられている。タッチパネル112は、液晶ディスプレイなどの表示部112A上に感圧式または静電容量式の透明フィルムスイッチなどの受付部112Bを重ねて構成されている(
図4参照)。タッチパネル112の表示部112Aには、各種の情報や操作キーなどの画像が表示される。なお、受付部112Bを有さない液晶ディスプレイを表示部として用いてもよい。また、操作パネル110には、物理キー115も設けられている。物理キー115も、ユーザの入力操作を受け付ける受付部として用いられる。
【0028】
次に、印刷部2の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1に示すように、印刷部2は、筐体20を備えている。筐体20の底部には、給送トレイ21が前後方向に移動可能に設けられている。給送トレイ21は、複数枚のシートPを支持可能に構成されている。筐体20の上部には、排出トレイ22が設けられている。排出トレイ22は、画像が形成されたシートPを支持する。なお、給送トレイ21には、シートPとして、例えばA5サイズからA3サイズまでのいずれかのサイズの普通紙、ボンド紙、OHPフィルム及び再生紙等が収納できる。給送トレイ21に収納されたシートPのサイズは、例えば、ユーザの設定操作に応じて設定され、NVRAM104に記憶される。具体的には、給送トレイ21を筐体20から引き抜き、シートPを収納した後、筐体20に装着すると、複合機1は、ユーザに対して給送トレイ21に収納したシートPのサイズを問い合わせる。これに対して、ユーザがシートPのサイズを指定すると、指定されたサイズをシートPのサイズとして設定する。また、給送トレイ21の数は、適宜変更可能である。
【0029】
図2は、複合機1の印刷部2の内部構成を示す断面図である。
図2に示すように、印刷部2の内部には、給送ローラ23と、搬送路R1と、レジストローラ24と、印刷機構4と、定着器5と、搬送ローラ25,26と、排出ローラ27と、再搬送路R2と、反転ローラ28,29とが設けられている。
【0030】
給送ローラ23は、給送トレイ21に設けられ、給送トレイ21内に収容されたシートPを1枚ずつ給送して搬送路R1へ給送する。搬送路R1は、給送トレイ21から、感光ドラム6Y,6M,6C,6K及び定着器5を経由し、排出口2Aを通過して排出トレイ22へ至る経路である。
【0031】
給送ローラ23、レジストローラ24、搬送ローラ25,26、排出ローラ27、及び反転ローラ28,29は、搬送路R1又は再搬送路R2において、シートPを搬送するローラ群である。レジストローラ24は、シートPの先端の方向を揃えた後、シートPを感光ドラム6Y側へ搬送する。
【0032】
印刷機構4は、転写ユニット40と、4つの感光ドラム6Y,6M,6C,6Kと、4つの現像器7Y,7M,7C,7Kと、露光器8とを有している。4つの感光ドラム6Y,6M,6C,6Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び、ブラック(K)の各色に対応し、シートPの搬送方向上流側から順に、前後方向に互いに間隔を隔てて配置されている。感光ドラム6Y,6M,6C,6Kは、図示しない駆動モータか
らの駆動力により回転駆動される。なお、感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの配置順は、これに限定されず、適宜変更可能である。
【0033】
各感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの表面は、図示しない帯電器によって一様に帯電される。各感光ドラム6Y,6M,6Cの上方には、4つの現像器7Y,7M,7C,7Kがそれぞれ配置されている。各現像器7Y,7M,7C,7Kには、各色に対応したトナーが収容されている。各現像器7Y,7M,7C,7Kの後下端部には、現像ローラ71Y,71M,71C,71Kがそれぞれ配置されている。
【0034】
4つの現像器7Y,7M,7C,7Kの上方には、露光器8が配置されている。露光器8は、感光ドラム6Y,6M,6C,6Kに、画像データに基づくレーザ光Lを照射することにより露光を行う。これにより、シートPに形成される画像データに基づく静電潜像が、各感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの表面に形成される。
【0035】
4つの現像ローラ71Y,71M,71C,71Kは、各感光ドラム6Y,6M,6C,6Kにトナーを供給する。これにより、各感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの表面に形成された静電潜像が現像剤像となる。
【0036】
4つの感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの下方には、転写ユニット40が前後方向に沿って配置されている。転写ユニット40は、無端状のベルト41と、4つの転写ローラ42Y,42M,42C,42Kとを有している。ベルト41の上面は、ベルト41が周回することによって、4つの感光ドラム6Y,6M,6C,6Kに接触しながら、前方から後方に向かって移動する。
【0037】
4つの転写ローラ42Y,42M,42C,42Kは、前後方向に互いに間隔を隔てて配列されている。各転写ローラ42Y,42M,42C,42Kは、対応する各感光ドラム6Y,6M,6C,6Kの下方に位置し、感光ドラム6Y,6M,6C,6Kとの間にベルト41を挟んでいる。
【0038】
定着器5は、転写ユニット40の後方に位置し、ヒータ53を含む加熱ローラ51と、加圧ローラ52とを有している。ヒータ53は、例えばハロゲンヒータからなる。ヒータ53は、加熱ローラ51を介して、シートPを加熱する。定着器5は、加熱ローラ51及び加圧ローラ52により、シートPに現像剤像を定着させる。
【0039】
搬送ローラ25は、搬送路R1において定着器5の下流に配置され、シートPを搬送ローラ26側へ搬送する。搬送ローラ26は、シートPを排出ローラ27側へ搬送する。排出ローラ27は、シートPを排出トレイ22へ排出する。
【0040】
再搬送路R2は、片面に画像が形成されたシートPを、フラップ9を介して通過口2B側へ搬送した後、反転ローラ28,29により搬送方向を反転させ、下方へ向かって搬送して、給送トレイ21の下側から搬送路R1へ供給するための経路である。
【0041】
フラップ9は、搬送ローラ25の後側上方に設けられ、搬送路R1を開放して再搬送路R2を閉鎖する実線で示す排出位置と、搬送路R1を閉鎖して再搬送路R2を開放する仮想線で示す再搬送位置との間を回動可能になっている。
【0042】
次に、画像読取部3の内部構成について、
図3も参照して説明する。
図3は、複合機1の画像読取部3の内部構成を示す断面図である。
図1及び
図3に示すように、画像読取部3は、筐体30と、原稿搬送部31と、原稿カバー32とを有している。
【0043】
原稿搬送部31は、ADF(Auto Document Feeder)であり、原稿トレイ31Aに載置された原稿Mを第1読取センサ35及び第2読取センサ36に向けて搬送するためのものであり、原稿カバー32に一体的に設けられている。原稿トレイ31Aには、原稿Mの表面が上側となるようにして原稿Mが載置される。
【0044】
原稿カバー32は、筐体30に対して回動自在に設けられ、筐体30の上面を開閉する。なお、画像読取部3は、本実施形態では、カラー画像及びモノクロ画像の読み取りが可能である。また、画像読取部3は、本実施形態では、A5サイズからA3サイズまでの原稿Mを読み取ることが可能である。そして、原稿トレイ31Aにセンサ(図示せず)が設けてあり、このセンサにより、原稿Mの幅方向の長さを検出する。一方、後述する原稿Mの搬送路R3に、センサ(図示せず)が設けてあり、このセンサにより、搬送中の原稿Mの搬送方向の長さを検出することで、原稿MがA4サイズであるか、A3サイズであるかを検出する。より具体的には、A4サイズの原稿Mは、原稿トレイ31Aに対して横向き(搬送方向に直交する幅方向の長さが搬送方向の長さより長くなる向き)にセットするようにユーザに指示されるので、センサにより、原稿Mの搬送方向の長さを検出することで、原稿MがA4サイズであるか、A3サイズであるかを検出することができる。
【0045】
筐体30の上面には、第1コンタクトガラス33及び第2コンタクトガラス34が、幅方向に並んで設けられている。原稿カバー32内には、第1読取センサ35が配置されている。筐体30内には、第2読取センサ36が、第1コンタクトガラス33及び第2コンタクトガラス34の下方で左右方向、即ち副走査方向に移動可能に設けられている。
【0046】
第1読取センサ35及び第2読取センサ36は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)である。第1読取センサ35及び第2読取センサ36により画像が読み取られた原稿Mは、原稿搬送部31によって搬送路R3に沿って搬送されて、排出トレイ31Bに排出される。搬送路R3は、原稿トレイ31Aから原稿カバー32の左端部側まで延び、左端部側から下方に湾曲して排出トレイ31Bまで延びている。
【0047】
本実施形態では、ADF方式により原稿Mの片面又は両面の画像を読み取る場合を想定している。具体的には、原稿Mの片面を読み取る場合、原稿搬送部31により搬送された原稿Mの表面の画像を、第2読取センサ36によって読み取る。一方、原稿Mの両面の画像を読み取る場合には、第1読取センサ35及び第2読取センサ36を読取センサとして用いる。
【0048】
図4は、複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、複合機1は、ASIC100と、ROM102と、RAM103と、NVRAM104と、通信インターフェース(I/F)120とを更に備えている。
【0049】
ASIC100には、CPU101が搭載されている。CPU101は、制御部の一例であり、複合機1の各部に対する全般的な制御を行う。ASIC100には、ROM102、RAM103、NVRAM104、ローラ群23~29、印刷機構4、原稿搬送部31、第1読取センサ35、第2読取センサ36、画像処理回路61、タッチパネル112、及び通信I/F120が電気的に接続されている。なお、ASIC100を、制御部として用いてもよい。
【0050】
ROM102には、複合機1を制御するための各種制御プログラムや各種設定等が記憶されている。RAM103は、各種制御プログラムが読み出される作業領域、及び画像データ及びラスタデータ等一時的に記憶する記憶領域として利用される。NVRAM104には、各種情報が予め記憶されている。
【0051】
CPU101は、ROM102から読み出した制御プログラムや各種設定、及びNVRAM104から読み出した各種情報に基づいて、ローラ群23~29、印刷機構4、原稿搬送部31、及び表示部112A等を制御する。
【0052】
CPU101は、図示しないモータを介して、給送ローラ23、レジストローラ24、搬送ローラ25,26、排出ローラ27、反転ローラ28,29を駆動する。CPU101は、タッチパネル112の表示部112Aの表示を制御する。また、CPU101は、ユーザによりタッチパネル112が操作されると、タッチパネル112の操作内容に応じて種々の処理を実行する。
【0053】
通信I/F120は、LAN等のネットワークに接続され、複合機1用のドライバが組み込まれた外部装置との接続を可能にしている。複合機1は、通信I/F120を介して、印刷処理の開始指令を受信可能である。
【0054】
以下、以上のように構成された複合機1が実行する制御処理を、
図5~
図8を参照して詳細に説明する。
【0055】
図5は、ASIC100、特にCPU101が実行する読取メイン処理の手順を示している。この読取メイン処理は、原稿搬送部31に原稿Mが載置された状態で、例えば、タッチパネル112の表示部112Aに表示されたスキャンボタン(図示せず)が押下され、受付部112Bを介してCPU101がスキャンボタンの押下を受け付けたときに開始される。以降、各処理の説明において、ステップを「S」と表記する。
【0056】
図5において、まずCPU101は、読取設定処理を実行する(S10)。読取設定処理は、読取センサによる原稿Mの画像の読取についての各種読取設定項目に読取設定値を設定する処理である。ただし、読取設定処理は、複合機1の各種読取設定項目について実際に設定されている読取設定値と同等あるいはより上位の読取設定値を設定する処理である。なお、「より上位の読取設定値」とは、読取センサにより原稿Mの画像を読み取って生成した画像データのデータサイズがより大きくなる読取設定値を意味する。このような読取設定処理を実行するのは、読取センサによる原稿Mの画像の読取り中あるいは読取り後に、読取設定値の設定変更がなされたときに、変更後の読取設定値で再度原稿Mの画像の読取りを行わずに、変更前の読取設定値で原稿Mの画像を読取り、メモリ(本実施形態では、上記RAM103)に記憶されている画像データを変更後の読取設定値に基づいて画像処理することにより、変更後の読取設定値で原稿Mの画像の読取りを行ったときと同じ画像データを取得するためである。上記特許文献1に記載の画像処理装置も、この読取設定処理と同様の処理を行っているが、上記特許文献1に記載の画像処理装置では、各種読取設定項目にそれぞれ設定可能な読取設定値のうち、いずれの読取設定項目についてもより上位の読取設定値を設定するのに対して、本実施形態の複合機1では、各種読取設定項目にそれぞれ設定可能な読取設定値であっても、複合機1の環境に応じて、設定される可能性が低い読取設定値についてはより上位の読取設定値を設定しない点が異なっている。これにより、複合機1で原稿Mから読み取られた画像データのデータサイズは、上記特許文献1に記載の画像処理装置で原稿Mから読み取られた画像データのデータサイズより小さくなる。このため、画像データを記憶するRAM103の残量不足が発生することを抑制しつつ、拡張性の高い画像データをRAM103に記憶させることが可能となる。なお、読取センサは、第1読取センサ35及び第2読取センサ36を示すが、原稿Mの片面の画像を読み取る場合には、第2読取センサ36のみを示し、原稿Mの両面の画像を読み取る場合には、第1読取センサ35及び第2読取センサ36を示すものとする。以下、同様の意味で用いる。
【0057】
図6は、上記S10の読取設定処理の詳細な手順を示している。
図6において、まずC
PU101は、シートサイズから原稿サイズを設定する(S40)。シートサイズとは、給送トレイ21に入っているシートPのサイズであり、原稿Mから読み取った画像を印刷するシートPのサイズである。シートPのサイズは、上述のようにNVRAM104に記憶されている。そして、原稿サイズとは、各種読取設定項目に含まれる設定項目の1つであり、実際に原稿搬送部31に載置されている原稿Mのサイズではない。つまり、原稿サイズは、原稿Mのサイズと同じサイズである場合も、異なるサイズである場合もある。例えば、シートサイズがA5であれば、原稿サイズをA5に設定する。給送トレイ21には、シートPとして、上述のようにA5サイズからA3サイズまでのシートを収納することができるので、原稿サイズとしては、A5サイズからA3サイズまでの何れかのサイズを設定することができる。しかし、給送トレイ21にA5のシートPが収納されていれば、原稿搬送部31に実際に載置される原稿MもA5サイズとみなして、原稿サイズをA5サイズに設定する。これにより、原稿サイズとしてA5サイズが設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズは、原稿サイズとしてA5サイズより大きい、例えばA4サイズが設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズより小さくなる。本実施形態では、原稿サイズとして設定されるA5サイズが「第1読取設定値」の一例であり、原稿サイズとして設定されるA3サイズが「第2読取設定値」の一例である。
【0058】
次にCPU101は、印刷モードから読取色数を設定する(S42)。ここでの印刷モードは、原稿Mから読み取った画像をシートPにモノクロ印刷するか、カラー印刷するかを指定するモードである。印刷モードは、ユーザの入力操作に応じて指定され、NVRAM104に記憶されるので、CPU101は、NVRAM104に記憶された印刷モードを読み出すことにより、複合機1に現在指定されている印刷モードを知ることができる。印刷モードとして、モノクロ印刷が指定されているときには、読取センサで原稿Mから読み取る読取色数をカラー用の、例えば1677万色カラーにする必要はないので、白黒あるいはグレー用の読取色数に設定する。一方、印刷モードとして、カラー印刷が指定されているときには、カラー用の読取色数を設定する。また、カラー印刷に用いる色のトナーの残量不足により、カラー印刷が指定されていても、モノクロ印刷しかできない場合がある。この場合には、読取センサで原稿Mから読み取る読取色数を白黒あるいはグレー用の読取色数に設定する。このように、読取色数が白黒あるいはグレー用の読取色数に設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズは、読取色数がカラー用の読取色数に設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズより小さくなる。本実施形態では、読取色数として設定される白黒あるいはグレー用の読取色数が「第1読取設定値」の一例であり、読取色数として設定されるカラー用の読取色数が「第2読取設定値」の一例である。
【0059】
次にCPU101は、印刷履歴から読取面数を設定する(S44)。ここでの印刷履歴は、両面読取を設定して両面印刷した数と片面読取を設定して片面印刷した数の履歴である。この履歴は、NVRAM104に記憶されているものとする。CPU101は、この履歴に基づいて、例えば片面読取した数が所定数以上あれば、読取面数を片面に設定する。一方、CPU101は、片面読取した数が所定数未満であれば、読取面数を両面に設定する。また、両面読取を設定して両面印刷した場合、両面読取を設定して片面印刷した場合、片面読取を設定して両面印刷した場合、片面読取を設定して片面印刷した場合、さらには、原稿Mの奇数ページだけ読み取って片面印刷あるいは両面印刷した場合等、いろいろなパターンがある。これらの印刷履歴をNVRAM104に記憶しておき、これらの印刷履歴から読取面数を設定するようにしてもよい。このようにして、読取面数が片面に設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズは、読取面数が両面に設定されたときに、原稿Mから読み取った画像のデータサイズより小さくなる。本実施形態では、読取面数として設定される片面が「第1読取設定値」の一例であり、読取面数として設定される両面が「第2読取設定値」の一例である。
【0060】
次にCPU101は、印刷モード、シート種類及び拡大・縮小設定から読取解像度を設定する(S46)。ここでの印刷モードは、トナー節約モードを示し、ON設定とOFF設定のいずれかを指定することができる。シート種類とは、シートPの種類を示し、例えば、普通紙、光沢紙、OHPフィルム及び再生紙等を挙げることができる。拡大・縮小設定とは、原稿Mから読み取った画像をシートPに拡大して印刷するか、縮小して印刷するかの設定を示している。印刷モード、シート種類及び拡大・縮小設定は、ユーザの入力操作に応じて指定され、NVRAM104に記憶される。例えば、読取センサの読取解像度として、600dpi、300dpi及び150dpiの3種類の読取解像度のうち、いずれか1つの解像度を設定できるとすると、印刷モードとして、トナー節約モードONが指定された場合、CPU101は、読取センサの読取解像度を300dpiに設定する。また、シートPの種類として、例えば光沢紙が設定された場合、光沢紙に対する印刷は記録解像度が高いので、読取センサの解像度を600dpiに設定する。さらに、拡大設定が指定された場合、CPU101は、読取センサの読取解像度を、例えば600dpiに設定し、縮小設定が指定された場合、CPU101は、その読取解像度を、例えば150dpiに設定するようにしてもよい。なお、読取解像度を設定するために参照する項目としては、印刷モード、シート種類及び拡大・縮小設定の3種類の項目をすべて用いてもよいし、3種類の項目の中から任意に選択した1種類又は2種類の項目を用いてもよい。3種類の項目の中から任意に選択する場合、いずれを選択するかは、ユーザが予め決定するようにしもよいし、予め決められた優先順位に従って決定するようにしてもよい。本実施形態では、読取解像度として設定される300dpiあるいは150dpiが「第1読取設定値」の一例であり、読取解像度として設定される600dpiが「第2読取設定値」の一例である。
【0061】
次にCPU101は、読取センサについてのその他の読取設定項目の読取設定値を、選択可能な値の最上位値に設定した(S48)後、読取設定処理を終了する。ここで、最上位値とは、その読取設定項目における読取設定値のうち、原稿Mから読み取った画像のデータサイズが最大になる読取設定値を意味する。
【0062】
図5に戻り、CPU101は、原稿Mを1枚搬送させる指令を原稿搬送部31に送信する(S12)。これに応じて原稿搬送部31は、載置された原稿Mから1枚の原稿Mを読取センサへ搬送する。
【0063】
次にCPU101は、原稿画像の読取り指令を読取センサに送信する(S14)。これに応じて読取センサは、搬送されて来た原稿M上の画像を読み取り、画像データに変換した後、その画像データを一時RAM103に記憶させる。
【0064】
そしてCPU101は、プレビュー表示必要枚数の読取りが完了したか否かを判断する(S16)。ここで「プレビュー表示必要枚数」とは、プレビュー表示させるのに必要な原稿の最小枚数を意味する。原稿画像を読取った後の画像データは、印刷機構4へ供給されシートPへ出力される場合がある。この場合に、2in1印刷や4in1印刷など、複数枚の原稿を縮小して、1枚のシートに印刷する設定を選択することができる。ユーザが、例えば2in1印刷の設定を選択した上で、スキャンボタンを押下すると、CPU101は、2枚の原稿Mから各画像を読み取り、各画像に係る画像データを縮小して、2in1印刷用のプレビュー画像データを生成する。そしてCPU101は、生成した2in1印刷用のプレビュー画像データをタッチパネル112の表示部112Aに出力する。これにより、表示部112A上には、2in1印刷用のプレビュー画面が表示される。したがってこの場合、上記「プレビュー表示必要枚数」は2枚となる。
【0065】
上記S16の判断において、必要枚数の読取りが完了していないと判断される場合(S16:NO)、CPU101は、処理をS12に戻して、原稿の読取りを継続する一方、
必要枚数の読取りが完了したと判断される場合(S16:YES)、CPU101は、処理をS18に進める。
【0066】
S18では、CPU101は、RAM103内に一時的に記憶されている画像データに基づいて、プレビュー表示用の画像データを生成する指示を画像処理回路61に送信する。これに応じて画像処理回路61は、プレビュー表示用の画像データを生成し、生成したプレビュー表示用の画像データを表示部112Aに出力する。これにより、
図8に示すようにプレビュー表示画面150内のプレビュー表示領域150aにプレビュー表示される。プレビュー表示画面150には、プレビュー表示の他に、現在の設定表示領域150bに複合機1の現在の設定状態が表示され、現在の設定状態の変更を指示する設定変更ボタン150c及び現在の設定状態の継続を指示するOKボタン150dも表示される。ここで、現在の設定状態は、上記S10の読取設定処理(
図5参照)で各種読取設定項目に設定された読取設定値ではなく、読取メイン処理の実行前に予めユーザにより指定された読取設定値又はデフォルト値である。
【0067】
プレビュー表示画面150が表示部112Aに表示されると、CPU101は、読取メイン処理と並行して、
図7のプレビュー表示における読取設定処理を起動する。したがって、CPU101は、プレビュー表示における読取設定処理を実行中も、読取メイン処理を継続して実行する。
【0068】
図7において、まずCPU101は、設定変更ボタン150cが押下されたか否かを判断する(S50)。この判断において、設定変更ボタン150cが押下された場合(S50:YES)、CPU101は、処理をS52に進める一方、設定変更ボタン150cが押下されなかった場合(S50:NO)、CPU101は、処理をS58に進める。なお、このプレビュー表示における読取設定処理が起動されるのは、設定変更ボタン150c及びOKボタン150dのいずれかが押下されたときであるので、上記S50の判断で“NO”の場合は、OKボタン150dが押下された場合である。
【0069】
S52では、CPU101は、タッチパネル112の表示部112Aに設定変更画面(図示せず)を表示する。そして、ユーザが設定変更画面から読取設定値の変更を指示すると、CPU101は、そのユーザの指示に応じて読取設定値を変更する(S54)。次にCPU101は、変更後の読取設定値で、RAM103に一時的に記憶されている画像データを画像処理する指令を画像処理回路61に送信する(S56)。これに応じて画像処理回路61は、変更後の読取設定値で画像データを画像処理し、画像処理後の画像データをシートPに印刷したり、通信I/F120を介してネットワーク接続された外部のPC(図示せず)やストレージ(図示せず)等にエクスポートしたりする。また、CPU101は、例えば、プレビュー表示用の画像データを含む不要データの削除も行う。S56の処理が終了すると、CPU101は、処理を読取メイン処理に戻す。
【0070】
一方、S58では、CPU101は、現在の設定状態で、RAM103に一時的に記憶されている画像データを画像処理する指令を画像処理回路61に送信する。ここで、現在の設定状態は、上記S10の読取設定処理(
図5参照)で各種読取設定項目に設定された読取設定値ではなく、現在の設定表示領域150b(
図8参照)に表示された複合機1の現在の設定状態を意味する。RAM103に一時的に記憶されている画像データは、現在の設定状態より上位の読取設定値に基づいて生成されているので、現在の設定状態で画像処理する必要がある。なお、画像処理後の画像データは、シートPに印刷されたり、通信I/F120を介してネットワーク接続された外部のPCやストレージ等にエクスポートされたりする。また、CPU101は、上記不要データの削除も行う。S58の処理が終了すると、CPU101は、処理を読取メイン処理に戻す。
【0071】
CPU101が処理を読取メイン処理に戻したときには、読取メイン処理は、上述のようにプレビュー表示における読取設定処理を実行中も継続して実行されているので、読取メイン処理のS20以降のどの処理に戻るかは、読取メイン処理の実行状況に応じて変動する。
【0072】
今、未スキャンの原稿Mが原稿搬送部31に残っている状態(S20:YES)かつ検出した記憶サイズが設定されているデータサイズ以下である状態(S26:NO)、つまり、読取センサによる原稿Mの読取り動作が停止していない状態(処理がS28に進んでいない状態)で、処理がプレビュー表示における読取設定処理から読取メイン処理に戻った場合、CPU101は、読取センサによる原稿Mの読取り動作を継続する(S22)。ただし、プレビュー表示における読取設定処理において読取設定値が変更された場合(S54)には、CPU101は、変更後の読取設定値に基づいて原稿Mの読取り動作を行う。また、プレビュー表示における読取設定処理において読取設定値が変更されなかった場合(S58)も、CPU101は、現在の設定状態に基づいて原稿Mの読取り動作を行う。
【0073】
次にCPU101は、画像データの記憶サイズを検出する(S24)。ここで検出する記憶サイズは、RAM103に一時的に記憶されている画像データを累積したサイズである。処理がS24に進んだとき、プレビュー表示における読取設定処理から戻った状態であるので、RAM103に一時的に記憶されている画像データは、変更後の読取設定値あるいは現在の設定状態に基づいて画像処理された後の画像データである。そして、CPU101は、検出した記憶サイズが設定されているデータサイズより大きいか否かを判断する(S26)。ここで、「設定されているデータサイズ」とは、RAM103において、画像データを一時的に記憶するために設定されているデータサイズのことである。つまり、RAM103には、画像データの他にも各種データを一時的に記憶する必要があり、RAM103の全記憶領域を、画像データを一時的に記憶する領域として使用することができないので、画像データを一時的に記憶する領域の上限を設定しておく必要がある。
【0074】
上記S26の判断において、検出した記憶サイズが設定されているデータサイズ以下である場合(S26:NO)、CPU101は、処理をS20に進める。一方、検出した記憶サイズが設定されているデータサイズより大きい場合(S26:YES)、CPU101は、読取センサによる原稿Mの読取り動作を停止した(S28)後、処理をS26に戻す。そして、CPU101は、S26において、RAM103に画像データを記憶する領域が空くまで待機する。処理がプレビュー表示における読取設定処理から読取メイン処理に戻ると、RAM103に一時的に記憶されている画像データは、シートPに印刷されたり、通信I/F120を介してネットワーク接続された外部のPCやストレージ等にエクスポートされたりするので、これに応じて、画像データを記憶するRAM103上の領域は空くことになる。
【0075】
上記S20では、CPU101は、未スキャンデータの原稿Mが残っているか否かを判断する。この判断において、未スキャンデータの原稿Mが残っている場合(S20:YES)、CPU101は、処理を上記S22に進め、S22以降の処理を継続する。一方、未スキャンデータの原稿Mが残っていない場合(S20:NO)、CPU101は、読取センサによる原稿Mの読取り動作を終了した(S30)後、読取メイン処理を終了する。
一方、未スキャンの原稿Mが原稿搬送部31に残っている状態(S20:YES)かつ検出した記憶サイズが設定されているデータサイズより大きい状態(S26:YES)、つまり、読取センサによる原稿Mの読取り動作が停止している状態(処理がS28に進んだ状態)で、処理がプレビュー表示における読取設定処理から読取メイン処理に戻った場合、CPU101は、S26において、画像データを一時的に記憶するRAM103上の領域が空くまで待機する。処理がプレビュー表示における読取設定処理から読取メイン処
理に戻ると、RAM103に一時的に記憶されている画像データは、シートPに印刷されたり、通信I/F120を介してネットワーク接続された外部のPCやストレージ等にエクスポートされたりするので、これに応じて、画像データを記憶するRAM103上の領域は空くことになる。
【0076】
そして、S26において、画像データを一時的に記憶するRAM103上の領域が空くと(S26:NO)、CPU101は、読取センサによる原稿Mの読取り動作を継続する(S22)。このとき、CPU101は、プレビュー表示における読取設定処理における変更後の読取設定値あるいは現在の設定状態に基づいて原稿Mの読取り動作を行う。なお、S22に続くS24以降の処理については、上述したので、ここでは繰り返さない。
【0077】
さらに、読取メイン処理が終了した後に、プレビュー表示における読取設定処理が終了する場合がある。この場合、プレビュー表示における読取設定処理で、変更後の読取設定値あるいは現在の設定状態に基づいてRAM103に一時的に記憶されている画像データの画像処理が実行され、画像処理後の画像データは、シートPに印刷されたり、通信I/F120を介してネットワーク接続された外部のPCやストレージ等にエクスポートされたりして完了している。
【0078】
以上説明したように、本実施形態の複合機1は、原稿Mから画像を読み取る読取センサ35,36と、画像をシートPに印刷する印刷機構4と、RAM103及びNVRAM104と、CPU101と、を備えた複合機1であって、NVRAM104には、印刷機構4による印刷に関する情報及び読取センサ35,36による読取に関する情報のうち、少なくとも一方の情報が記憶されている。
【0079】
そして、CPU101は、読取センサ35,36による読取についての読取設定項目に対して設定可能な複数の読取設定値のうち、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが最大とならない読取設定値である第1読取設定値を、NVRAM104に記憶された情報に基づいて決定することができる場合、第1読取設定値を読取設定項目に設定する一方、第1読取設定値を、NVRAM104に記憶された情報に基づいて決定することができない場合、設定された読取設定値に基づいて読み取られる画像のデータサイズが第1読取設定値よりも大きくなる読取設定値である第2読取設定値を読取設定項目に設定する設定処理(S10)と、設定処理により設定された読取設定値に基づいて読取センサ35,36を制御し、原稿Mから画像を読み取らせて画像データを取得する読取処理(S14,S22)と、読取処理により取得された画像データをRAM103に記憶する記憶処理(S14,S22)と、を実行する。
【0080】
このように、本実施形態の複合機1では、設定処理により、NVRAM104に記憶された情報から、画像のサイズが最大とならない第1読取設定値又は画像のサイズが最大となる第2読取設定値が設定される。そして、第1読取設定値と第2読取設定値とに基づき読取処理を実行することで、メモリ不足を抑制しつつ拡張性の高い(読取後に設定変更がされても再読取せずにすむ)画像データをRAM103に記憶することが可能となる。したがって、RAM103により多くの画像データを記憶させることができ、より多くのスキャンを行うことができる。
【0081】
ちなみに、本実施形態において、CPU101は、「コントローラ」の一例である。複合機1は、「画像処理装置」の一例である。RAM103及びNVRAM104は、「メモリ」の一例である。
【0082】
また、複合機1は、シートPを収容する給送トレイ21をさらに備え、NVRAM104に記憶された情報は、シートPに収容されたシートPのサイズに関する情報であり、C
PU101は、設定処理では、シートPのサイズに関する情報に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる原稿のサイズを決定して設定する(S40)。ちなみに、給送トレイ21は、「収容部」の一例である。
【0083】
これにより、設定処理において、印刷されるシートPのサイズに関する情報に基づいて、読み取られる原稿Mのサイズが設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0084】
また、CPU101は、読取処理で原稿Mから読み取られた原稿のサイズを検出する検出処理と、設定処理により設定された読取設定値が示す原稿のサイズが、検出処理により検出された原稿のサイズより大きい場合、設定された読取設定値を検出された原稿のサイズを示す読取設定値に変更する変更処理と、をさらに実行し、読取処理では、変更処理により変更された読取設定値に基づいて読取センサ35,36を制御し、原稿Mから画像を読み取らせて画像データを取得する。
【0085】
これにより、変更処理によって変更された原稿サイズで次の原稿が読み取られるので、メモリ不足をより抑制することが可能となる。
【0086】
また、NVRAM104に記憶された情報は、印刷機構4の色数に関する印刷モードであり、CPU101は、設定処理では、印刷モードに基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の色数を決定して設定する。
【0087】
これにより、印刷機構4の色数に関する印刷モード、具体的にはカラー印刷モード/モノクロ印刷モードに基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の色数が設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0088】
また、NVRAM104に記憶された情報は、印刷機構4による印刷で使用する着色剤の量に関する印刷モード及びシートPの種類のうちのいずれか1つであり、CPU101は、設定処理では、印刷モード又はシートPの種類に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の解像度を決定して設定する。
【0089】
これにより、印刷で使用する着色剤の量に関する印刷モードやシートPの種類(光沢紙の場合、記録解像度が高いため、読取解像度の高く設定する)に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の解像度が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0090】
また、NVRAM104に記憶された情報は、読取センサ35,36による読取の履歴に含まれる原稿の面数に関する設定値であり、CPU101は、設定処理では、原稿の面数に関する設定値に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる原稿の面数を決定して設定する。
【0091】
これにより、設定処理において、読取センサ35,36による読取の履歴に含まれる原稿Mの面数に関する設定値に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる原稿Mの面数が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0092】
また、NVRAM104に記憶された情報は、印刷機構4による印刷の履歴に含まれる拡大・縮小に関する設定値であり、CPU101は、設定処理では、拡大・縮小に関する設定値に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の解像度を決定して設定する。
【0093】
これにより、設定処理において、印刷機構4による印刷の履歴に含まれる拡大・縮小に関する設定値に基づいて、読取センサ35,36により読み取られる画像の解像度が決定され設定されるので、メモリ不足を抑制することが可能となる。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0095】
(1)上記実施形態では、画像処理装置の一例として複合機1を挙げたが、画像処理装置としては、複合機1に限らず、単体のコピー機であってもよい。
【0096】
(2)上記実施形態では、原稿Mから読み取られた画像データを一時的に記憶するメモリとしてRAM103を用い、印刷機構4による印刷に関する情報及び読取センサ35,36による読取に関する情報を記憶するメモリとしてNVRAM104を用いるようにしたが、NVRAM104に上記情報に加えて、原稿Mから読み取られた画像データを一時的に記憶するようにしてもよい。
【0097】
(3)上記実施形態では、
図6の読取設定処理において、原稿サイズ、読取色数、読取面数及び読取解像度の読取設定項目のすべてについて読取設定値を設定するようにしたが、これに限らず、これら4種類の読取設定項目の中から任意に選択した1~3種類の読取設定項目について読取設定値を設定するようにしてもよい。また、読取設定項目の種類数も、4種類に限らず、3種類以下であっても、5種類以上であってもよい。
【0098】
(4)上記実施形態では、コントローラの一例として、1つのCPU101を用いているが、これに限らず、複数のCPUからなるものを用いてもよいし、複数のコアからなるCPUを含むものでもよい。
【0099】
(5)上記実施形態では、
図6の読取設定処理のS40において、シートPのサイズに関する情報に基づいて、原稿のサイズを決定して設定した。しかし、これに限らず、CPU101は、
図5のS14の読取により生成された画像データについて、原稿Mの端部を検出するエッジ検出処理を行い、検出された原稿Mの端部の長さに基づき原稿サイズを検出してもよい。そして、S40において設定された原稿のサイズが、画像データに基づき検出された原稿サイズよりも大きい場合、S40において設定された読取設定値を、画像データに基づき検出された原稿サイズを示す読取設定値に変更してもよい。その後の読取動作では、変更された読取設定値に基づき読取動作を実行する。
【符号の説明】
【0100】
1…複合機、3…画像読取部、4…印刷機構、21…給送トレイ、31…原稿搬送部、31A…原稿トレイ、35…第1読取センサ、36…第2読取センサ、61…画像処理回路、101…CPU、103…RAM、104…NVRAM、112…タッチパネル、112A…表示部、112B…受付部、120…通信I/F、150…プレビュー表示画面、150a…プレビュー表示領域、150b…現在の設定表示領域、150c…設定変更ボタン、150d…OKボタン、M…原稿、P…シート。