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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046055
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240327BHJP
   H01L 21/26 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/26 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151212
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】林 研次
(72)【発明者】
【氏名】中島 往馬
(57)【要約】
【課題】消耗品やメンテナンス部品について適正に期限管理が行われ、かつ、安全に消耗品の交換やメンテナンス部品のメンテナンスが行われる基板処理装置および基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、定期的な交換を要する消耗品と、定期的なメンテナンスを要するメンテナンス部品と、消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する消耗品期限管理データベース35と、メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有するメンテナンス時期管理データベース36と、を記憶する制御部3と、を備える。この基板処理装置1は、消耗品期限管理データベース35でいずれかの消耗品が使用期限を超過している場合には、メンテナンス予定時期であっても、メンテナンス部品のメンテナンスが停止される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
定期的な交換を要する消耗品と、
定期的なメンテナンスを要するメンテナンス部品と、
前記消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する消耗品期限管理データベースと、前記メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有するメンテナンス時期管理データベースと、を記憶する制御部と、を備え、
前記消耗品期限管理データベースでいずれかの前記消耗品が前記使用期限を超過している場合には、前記メンテナンス予定時期であっても、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止される、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記使用期限の前の所定期間が交換準備期間として設定される、基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記交換準備期間に、前記使用期限に近づいていることを知らせる警報を少なくとも1回発報する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記使用期限以降に、前記使用期限を超過したことを知らせる警報を発報する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の基板処理装置において、
前記警報を表示する表示部をさらに備える、基板処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記メンテナンス部品の前記メンテナンス予定時期であっても、前記基板の処理中である場合には、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止される、基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記メンテナンス時期管理データベースは、前記メンテナンス部品のメンテナンスに要するメンテナンス時間の情報をさらに有し、
前記メンテナンス部品の前記メンテナンス予定時期であっても、前記消耗品の前記使用期限までの時間が、前記メンテナンス時間よりも短い場合には、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止される、基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記消耗品の前記使用期限が超過した場合には、前記制御部は、当該基板処理装置の稼働を停止する、基板処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記消耗品の前記使用期限までの時間が、前記基板処理に要する基板処理時間よりも短い場合には、前記基板の当該基板処理装置への搬入が停止される、基板処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記消耗品の前記使用期限が、前記基板の処理が終了する予定時間よりも長く、前記基板が当該基板処理装置で処理中である場合には、前記基板の処理を完了させる、基板処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板に光を照射して前記基板を予備加熱する連続点灯ランプと、前記予備加熱の後に前記基板にフラッシュ光を照射して前記基板をフラッシュ加熱するフラッシュランプと、をさらに備え、
前記消耗品の前記使用期限が、前記基板の処理が終了する予定時間よりも短く、前記基板が当該基板処理装置でフラッシュ加熱前の処理中である場合には、前記基板の処理が停止され、前記基板が再利用されるために回収される、基板処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記消耗品期限管理データベースは、前記消耗品に関連する機器または物と、前記消耗品とを紐付けたデータベースであり、
前記消耗品が危険物に関連する場合には、前記危険物が当該基板処理装置の外部に排出された後、前記消耗品の交換が行われる、基板処理装置。
【請求項13】
基板を処理する基板処理システムであって、
定期的な交換を要する消耗品と、定期的なメンテナンスを要するメンテナンス部品と、を備える基板処理装置と、
前記基板処理装置とリモートアクセス可能なクラウドサーバに記憶され、前記消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する消耗品期限管理データベースと、
前記基板処理装置とリモートアクセス可能なクラウドサーバに記憶され、前記メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有するメンテナンス時期管理データベースと、を備え、
前記消耗品期限管理データベースでいずれかの前記消耗品が前記使用期限を超過している場合に、前記メンテナンス予定時期であっても、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止される、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)を処理する基板処理装置および基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、基板を加熱する基板処理装置が利用される。このような基板処理装置において、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
【0003】
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
【0004】
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
【0005】
一方、フラッシュランプアニールをアンモニア等の反応性ガスの雰囲気中にて行うことも試みられている。例えば、高誘電率ゲート絶縁膜(high-k膜)を形成した半導体ウェハーを収容したチャンバー内を減圧状態に維持しつつアンモニア雰囲気を形成し、当該半導体ウェハーに対してフラッシュ光を照射して加熱することにより、高誘電率ゲート絶縁膜の成膜後熱処理を行うことが開示されている。高誘電率ゲート絶縁膜は、ゲート絶縁膜の薄膜化の進展にともなってリーク電流が増大する問題を解決するために、ゲート電極に金属を用いたメタルゲート電極とともに新たな電界効果トランジスタのスタック構造として開発が進められているものである。
【0006】
ここで、アンモニアガスは、毒性も強く人体に悪影響である。また、アンモニアガスは可燃性を有する。このような危険性の高いアンモニア等の反応性ガスが利用される場合、アンモニアガスの関連機器が適正に稼働することが特に重要である。したがって、アンモニアガスの関連機器(例えば、アンモニアガス検出器)が使用期限を超過しないように交換されることが求められる。
【0007】
特許文献1に開示される基板処理装置では、メンテナンスを必要とする保守部品と当該保守部品についての監視データ上に設定された閾値とが比較される。そして、閾値を超えた場合には、アラート情報が表示部に表示される。このとき、閾値を超えた保持部品で構成されるモジュールの状態が、次動作実行待ち状態等のメンテナンス指定が可能な状態であれば、当該モジュールのみに対してメンテナンスが指示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開2016/157402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の基板処理装置では、保守部品が閾値を超えないための対処法や閾値を超えた場合の対処法が開示されていない。このため、閾値を超えないための対処法や閾値を超えた場合の対処法は操作者の対応に依存する。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、消耗品やメンテナンス部品について適正に期限管理が行われ、かつ、安全に消耗品の交換やメンテナンス部品のメンテナンスが行われる基板処理装置および基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、定期的な交換を要する消耗品と、定期的なメンテナンスを要するメンテナンス部品と、前記消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する消耗品期限管理データベースと、前記メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有するメンテナンス時期管理データベースと、を記憶する制御部と、を備え、前記消耗品期限管理データベースでいずれかの前記消耗品が前記使用期限を超過している場合には、前記メンテナンス予定時期であっても、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記使用期限の前の所定期間が交換準備期間として設定されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記交換準備期間に、前記使用期限に近づいていることを知らせる警報を少なくとも1回発報することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記使用期限以降に、前記使用期限を超過したことを知らせる警報を発報することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、前記警報を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記メンテナンス部品の前記メンテナンス予定時期であっても、前記基板の処理中である場合には、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1の発明において、前記メンテナンス時期管理データベースは、前記メンテナンス部品のメンテナンスに要するメンテナンス時間の情報をさらに有し、前記メンテナンス部品の前記メンテナンス予定時期であっても、前記消耗品の前記使用期限までの時間が、前記メンテナンス時間よりも短い場合には、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項1の発明において、前記消耗品の前記使用期限が超過した場合には、前記制御部は、当該基板処理装置の稼働を停止することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項1の発明において、前記消耗品の前記使用期限までの時間が、前記基板処理に要する基板処理時間よりも短い場合には、前記基板の当該基板処理装置への搬入が停止されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項1の発明において、前記消耗品の前記使用期限が、前記基板の処理が終了する予定時間よりも長く、前記基板が当該基板処理装置で処理中である場合には、前記基板の処理を完了させることを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項1に発明において、前記基板に光を照射して前記基板を予備加熱する連続点灯ランプと、前記予備加熱の後に前記基板にフラッシュ光を照射して前記基板をフラッシュ加熱するフラッシュランプと、をさらに備え、前記消耗品の前記使用期限が、前記基板の処理が終了する予定時間よりも短く、前記基板が当該基板処理装置でフラッシュ加熱前の処理中である場合には、前記基板の処理が停止され、前記基板が再利用されるために回収されることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明は、請求項1の発明において、前記消耗品期限管理データベースは、前記消耗品に関連する機器または物と、前記消耗品とを紐付けたデータベースであり、前記消耗品が危険物に関連する場合には、前記危険物が当該基板処理装置の外部に排出された後、前記消耗品の交換が行われることを特徴とする。
【0023】
また、請求項13の発明は、基板を処理する基板処理システムであって、定期的な交換を要する消耗品と、定期的なメンテナンスを要するメンテナンス部品と、を備える基板処理装置と、前記基板処理装置とリモートアクセス可能なクラウドサーバに記憶され、前記消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する消耗品期限管理データベースと、前記基板処理装置とリモートアクセス可能なクラウドサーバに記憶され、前記メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有するメンテナンス時期管理データベースと、を備え、前記消耗品期限管理データベースでいずれかの前記消耗品が前記使用期限を超過している場合に、前記メンテナンス予定時期であっても、前記メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1ないし請求項13の発明によれば、消耗品期限管理データベースでいずれかの消耗品が使用期限を超過している場合には、メンテナンス予定時期であっても、メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることから、消耗品やメンテナンス部品について適正に期限管理が行われ、かつ、安全に消耗品の交換やメンテナンス部品のメンテナンスが行われる。
【0025】
請求項6の発明によれば、メンテナンス部品のメンテナンス予定時期であっても、基板の処理中である場合には、メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることから、基板の処理を途中で中断させることなく、処理が適正に行われず廃棄される基板を低減できる。
【0026】
請求項7の発明によれば、メンテナンス部品のメンテナンス予定時期であっても、消耗品の使用期限までの時間が、メンテナンス時間よりも短い場合には、メンテナンス部品のメンテナンスが停止されることから、消耗品の使用期限後にメンテナンスが行われない。したがって、常に安全な状態でメンテナンス部品のメンテナンスが行われる。
【0027】
請求項8の発明によれば、消耗品の使用期限が超過した場合には、制御部は、当該基板処理装置の稼働を停止することから、常に安全な状態で基板処理装置が稼働される。
【0028】
請求項9の発明によれば、消耗品の使用期限までの時間が、基板処理に要する基板処理時間よりも短い場合には、基板の当該基板処理装置への搬入が停止されることから、基板処理中に消耗品の使用期限が超過することを回避できる。
【0029】
請求項10の発明によれば、消耗品の前記使用期限までの時間が、前記基板の処理が終了する予定時間よりも長ければ、前記基板が当該基板処理装置で処理中である場合には、前記基板の処理を完了させることから、処理途中で終了して不良品となる基板を低減できる。
【0030】
請求項11の発明によれば、消耗品の使用期限が、基板処理終了予定時間よりも短く、基板が当該基板処理装置でフラッシュ加熱前の処理中である場合には、基板の処理が停止され、基板が再利用されるために回収されることから、処理が適正に行われず廃棄される基板を低減できる。
【0031】
請求項12の発明によれば、消耗品が危険物に関連する場合には、危険物が当該基板処理装置の外部に排出された後、消耗品の交換が行われることから、常に安全な状態で消耗品の交換が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る基板処理装置1の全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係る基板処理装置1を概略的に示す平面図である。
図3】本実施の形態に関する基板処理装置1における熱処理部の構成を概略的に示す断面図である。
図4】保持部の全体外観を示す斜視図である。
図5】サセプタの平面図である。
図6】移載機構の平面図である。
図7】移載機構の側面図である。
図8】複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。
図9】制御部の構成を示すブロック図である。
図10】消耗品期限管理データベースを示す図である。
図11】メンテナンス時期管理データベースを示す図である。
図12】本実施形態における基板処理装置のメンテナンス予定時期の調整のフロー図である。
図13】本実施形態における基板処理装置のメンテナンス予定時期の調整のフロー図である。
図14】本実施形態における基板処理装置のいずれかの消耗品が使用期限を超過する場合のフロー図である。
図15】本実施形態における基板処理装置のいずれかの消耗品が交換準備期間に入った場合のフロー図である。
図16】警報が発報されたときの表示部を示す図である。
図17】警報が発報されたときの表示部を示す図である。
図18】本実施形態における基板処理装置のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
図19】本実施形態における基板処理装置のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
図20】本実施形態における基板処理装置のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
図21】本実施形態における基板処理装置の消耗品の交換のために稼働が停止された場合のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0034】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0035】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0036】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0037】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0038】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0039】
また、以下に記載される説明において、等しい状態であることを示す表現、たとえば、「同一」、「等しい」、「均一」または「均質」などは、特に断らない限りは、厳密に等しい状態であることを示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において差が生じている場合を含むものとする。
【0040】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0041】
また、以下に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0042】
<第1実施形態>
<基板処理装置1の構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明に係る基板処理装置1を概略的に示す平面図である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0043】
図2に示すように、基板処理装置1は、例えば、基板としての円板形状の半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して当該半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズや形状は特に限定されるものではないが、例えば、φ300mmまたはφ450mmの円形である。基板処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWにはゲート絶縁膜として高誘電率膜(high-k膜)が形成されており、基板処理装置1による加熱処理によって高誘電率膜の成膜後熱処理(PDA:Post Deposition Anneal)が実行される。
【0044】
基板処理装置1は、例えば、未処理の半導体ウェハーWを外部から装置内に搬入するとともに、処理済みの半導体ウェハーWを装置外に搬出するためのインデクサ部101と、未処理の半導体ウェハーWの位置決めを行うアライメント部230と、加熱処理後の半導体ウェハーWの冷却を行う2つの冷却部130および冷却部140と、半導体ウェハーWに加熱処理を施す熱処理部160と、冷却部130、冷却部140および熱処理部160に対して半導体ウェハーWの受け渡しを行う搬送ロボット150とを備える。
【0045】
また、基板処理装置1は、上記の各処理部に設けられた動作機構および搬送ロボット150を制御する制御部3と、例えば警報を表示する表示部2とを備える。制御部3は、半導体ウェハーWの加熱処理を進行させる。
【0046】
インデクサ部101は、複数のキャリアC(本実施の形態では2個)を並べて載置するロードポート110と、各キャリアCから未処理の半導体ウェハーWを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの半導体ウェハーWを収納する受渡ロボット120とを備えている。
【0047】
未処理の半導体ウェハーWを収容するキャリアCは、無人搬送車(AGV、OHT)などによって搬送されてロードポート110に載置されるとともに、処理済みの半導体ウェハーWを収容するキャリアCは、無人搬送車によってロードポート110から持ち去られる。
【0048】
また、ロードポート110においては、受渡ロボット120がキャリアCに対して任意の半導体ウェハーWの出し入れを行うことができるように、キャリアCが昇降移動可能に構成されている。
【0049】
なお、キャリアCの形態としては、半導体ウェハーWを密閉空間に収納するfront opening unified pod(FOUP)の他に、standard mechanical inter face(SMIF)ポッド、または、収納された半導体ウェハーWを外気に曝すopen cassette(OC)であってもよい。
【0050】
受渡ロボット120によるキャリアCに対する半導体ウェハーWの出し入れは、ハンド121のスライド移動、および、キャリアCの昇降移動によって行われる。また、受渡ロボット120と、アライメント部230または冷却部130(冷却部140)との半導体ウェハーWの受け渡しは、ハンド121のスライド移動、および、受渡ロボット120の昇降動作によって行われる。
【0051】
アライメント部230は、Y軸方向に沿ったインデクサ部101の側方に接続されて設けられている。アライメント部230は、半導体ウェハーWを水平面内で回転させて加熱に適切な向きに向ける処理部である。アライメント部230は、アルミニウム合金製の筐体であるアライメントチャンバー231の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に支持して回転させる機構、および、半導体ウェハーWの周縁部に形成されたノッチまたはオリフラなどを光学的に検出する機構などを設けて構成される。
【0052】
アライメント部230への半導体ウェハーWの受け渡しは、受渡ロボット120によって行われる。受渡ロボット120からアライメントチャンバー231へは、半導体ウェハーWの中心が所定の位置に位置するように半導体ウェハーWが渡される。
【0053】
アライメント部230では、インデクサ部101から受け取った半導体ウェハーWの中心部を回転中心として鉛直方向軸まわりで半導体ウェハーWを回転させ、ノッチ等を光学的に検出することによって半導体ウェハーWの向きを調整する。向き調整の終了した半導体ウェハーWは、受渡ロボット120によってアライメントチャンバー231から取り出される。
【0054】
搬送ロボット150による半導体ウェハーWの搬送空間として、搬送ロボット150を収容する搬送チャンバー170が設けられている。その搬送チャンバー170の三方に熱処理部160のチャンバー6、冷却部130の第1クールチャンバー131および冷却部140の第2クールチャンバー141が連通接続されている。
【0055】
基板処理装置1の主要部である熱処理部160は、予備加熱(アシスト加熱)を行った半導体ウェハーWにキセノンフラッシュランプFLからの閃光(フラッシュ光)を照射してフラッシュ加熱処理を行う基板処理部である。この熱処理部160の構成についてはさらに後述する。
【0056】
2つの冷却部130および冷却部140は、概ね同様の構成を備える。冷却部130および冷却部140はそれぞれ、アルミニウム合金製の筐体である第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141の内部に、金属製の冷却プレートと、その上面に載置された石英板とを備える(いずれも図示省略)。当該冷却プレートは、ペルチェ素子または恒温水循環によって常温(約23℃)に温調されている。
【0057】
熱処理部160においてフラッシュ加熱処理が施された半導体ウェハーWは、第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141に搬入されて、当該石英板に載置されて冷却される。
【0058】
第1クールチャンバー131および第2クールチャンバー141はともに、インデクサ部101と搬送チャンバー170との間において、それらの双方に接続されている。
【0059】
第1クールチャンバー131および第2クールチャンバー141には、半導体ウェハーWを搬入出するための2つの開口が形設されている。第1クールチャンバー131の2つの開口のうちインデクサ部101に接続される開口は、ゲートバルブ181によって開閉可能とされている。
【0060】
一方、第1クールチャンバー131の搬送チャンバー170に接続される開口は、ゲートバルブ183によって開閉可能とされている。すなわち、第1クールチャンバー131とインデクサ部101とはゲートバルブ181を介して接続され、第1クールチャンバー131と搬送チャンバー170とはゲートバルブ183を介して接続されている。
【0061】
インデクサ部101と第1クールチャンバー131との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う際には、ゲートバルブ181が開放される。また、第1クールチャンバー131と搬送チャンバー170との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う際には、ゲートバルブ183が開放される。ゲートバルブ181およびゲートバルブ183が閉鎖されているときには、第1クールチャンバー131の内部が密閉空間となる。
【0062】
また、第2クールチャンバー141の2つの開口のうちインデクサ部101に接続される開口はゲートバルブ182によって開閉可能とされている。一方、第2クールチャンバー141の搬送チャンバー170に接続される開口はゲートバルブ184によって開閉可能とされている。すなわち、第2クールチャンバー141とインデクサ部101とはゲートバルブ182を介して接続され、第2クールチャンバー141と搬送チャンバー170とはゲートバルブ184を介して接続されている。
【0063】
インデクサ部101と第2クールチャンバー141との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う際には、ゲートバルブ182が開放される。また、第2クールチャンバー141と搬送チャンバー170との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う際には、ゲートバルブ184が開放される。ゲートバルブ182およびゲートバルブ184が閉鎖されているときには、第2クールチャンバー141の内部が密閉空間となる。
【0064】
チャンバー6に隣接して設置された搬送チャンバー170に設けられた搬送ロボット150は、鉛直方向に沿った軸を中心に矢印150Rで示すように旋回可能とされる。搬送ロボット150は、複数のアームセグメントからなる2つのリンク機構を有し、それら2つのリンク機構の先端にはそれぞれ半導体ウェハーWを保持する搬送ハンド151aが設けられている。搬送ハンド151aは、リンク機構によって水平方向に直線的にスライド移動可能とされている。また、搬送ロボット150は、2つのリンク機構が設けられるベースを昇降移動することによって、搬送ハンド151aを昇降移動させる。
【0065】
搬送ロボット150が第1クールチャンバー131、第2クールチャンバー141または熱処理部160のチャンバー6を受け渡し相手として半導体ウェハーWの受け渡し(出し入れ)を行う際には、まず、両搬送ハンド151aが受け渡し相手と対向するように旋回し、その後(または旋回している間に)昇降移動していずれかの搬送ハンドが受け渡し相手と半導体ウェハーWを受け渡しする高さに位置する。そして、搬送ハンド151aを水平方向に直線的にスライド移動させて受け渡し相手と半導体ウェハーWの受け渡しを行う。
【0066】
搬送ロボット150と受渡ロボット120との半導体ウェハーWの受け渡しは冷却部130および冷却部140を介して行うことができる。すなわち、冷却部130の第1クールチャンバー131および冷却部140の第2クールチャンバー141は、搬送ロボット150と受渡ロボット120との間で半導体ウェハーWを受け渡すためのパスとしても機能するものである。具体的には、搬送ロボット150または受渡ロボット120のうちの一方が第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141に渡した半導体ウェハーWを他方が受け取ることによって半導体ウェハーWの受け渡しが行われる。搬送ロボット150および受渡ロボット120によって半導体ウェハーWをキャリアCから熱処理部160にまで搬送する搬送機構が構成される。
【0067】
上述したように、第1クールチャンバー131および第2クールチャンバー141とインデクサ部101との間にはそれぞれゲートバルブ181またはゲートバルブ182が設けられている。また、搬送チャンバー170と第1クールチャンバー131および第2クールチャンバー141との間にはそれぞれゲートバルブ183またはゲートバルブ184が設けられている。さらに、搬送チャンバー170と熱処理部160のチャンバー6との間にはゲートバルブ185が設けられている。基板処理装置1内において半導体ウェハーWが搬送される際には、適宜これらのゲートバルブが開閉される。
【0068】
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置1における熱処理部160の構成を概略的に示す断面図である。
【0069】
図3に例が示されるように、熱処理部160は、基板としての円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによって、その半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。
【0070】
処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、たとえばφ300mmまたはφ450mmである(本実施の形態ではφ300mm)。
【0071】
熱処理部160は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4とを備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。
【0072】
また、熱処理部160は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10とを備える。
【0073】
さらに、熱処理部160は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
【0074】
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。
【0075】
チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英によって形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
【0076】
また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英によって形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
【0077】
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68および反射リング69は、ともに円環状に形成されている。
【0078】
上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68および反射リング69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。
【0079】
チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61、反射リング68および反射リング69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
【0080】
チャンバー側部61に反射リング68および反射リング69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68および反射リング69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。
【0081】
凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68および反射リング69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(たとえば、ステンレススチール)で形成されている。
【0082】
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は、凹部62の外周面に連通接続されている。
【0083】
このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
【0084】
さらに、チャンバー6には、上部放射温度計25および下部放射温度計20の2つの放射温度計が設けられている。上部放射温度計25はサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め上方に設置されるとともに、下部放射温度計20はサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め下方に設けられている。チャンバー側部61には、貫通孔61aおよび貫通孔61bが穿設されている。貫通孔61aは、後述するサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を上部放射温度計25の赤外線センサー29に導くための円筒状の孔である。貫通孔61bは、半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を下部放射温度計20の赤外線センサー24に導くための円筒状の孔である。貫通孔61aおよび貫通孔61bは、それらの貫通方向の軸がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの主面と交わるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。
【0085】
赤外線センサー29は、たとえば、量子型赤外線センサーなどである。また、赤外線センサー24は、たとえば、焦電効果を利用する焦電センサー、ゼーベック効果を利用するサーモパイル、または、熱による半導体の抵抗変化を利用するボロメータなどの熱型赤外線センサーである。なお、本実施の形態では赤外線センサー24はパイロメーターが採用される。
【0086】
貫通孔61aの熱処理空間65に臨む側の端部には、上部放射温度計25が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化カルシウム材料からなる透明窓26が装着されている。また、貫通孔61bの熱処理空間65に臨む側の端部には、下部放射温度計20が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化バリウム材料からなる透明窓21が装着されている。
【0087】
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていてもよい。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。
【0088】
ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。なお、ガス供給管83と処理ガス供給源85との間には、フィルター90が備えられている。フィルター90は、チャンバー6内への不順物質の流入を防止する。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。熱処理部160のチャンバー6には、処理ガス供給源85およびバルブ84を含むガス供給部からアンモニア等の処理ガスが供給される(図3)。
【0089】
緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、たとえば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施の形態では窒素ガス)。
【0090】
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が設けられている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていてもよい。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。
【0091】
なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていてもよいし、スリット状のものであってもよい。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理部160に設けられた機構であってもよいし、熱処理部160が設置される工場のユーティリティであってもよい。
【0092】
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192が開放されると、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体がガス排気管191へと排出される。
【0093】
ガス排気管88とガス排気管191とは、排気部190への経路の途中で合流する。ガス排気管88とガス排気管191とが合流した部位と排気部190との間には排気ガス検知器193が設けられている。本実施形態の排気ガス検知器193は、電解液系を用いたアンモニアの検知器である。排気ガス検知器193は、ガス排気管88およびガス排気管191を流れる気体に含まれるアンモニアを検知する。
【0094】
制御部3の制御下にて、排気部190を作動させつつ、バルブ89,192を適宜に開閉することによって、チャンバー6からの排気を制御することができる。例えば、バルブ89,192を開放した場合、チャンバー6の雰囲気がガス排気管191から排気部190に排出される。
【0095】
また、ガス排気管88とガス排気管191とが合流した部位と排気部190との間には酸素濃度計194が設けられている。酸素濃度計194は、例えば安定化ジルコニアを用いたジルコニア式酸素濃度計である。安定化ジルコニアは、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてのイットリア(Y)を添加したものであり、イオン伝導性に優れ、高温では固体電解質となる。高温(例えば、約700℃)のジルコニア固体電解質の両側で酸素濃度に差があると、高酸素濃度側では還元反応によって酸素イオン(O-)が生成し、その酸素イオンがジルコニア固体電解質内を移動して低酸素濃度側で酸化反応によって酸素(O)となる。ジルコニア固体電解質の両側で生じる酸化・還元反応での電子の授受によって起電力が生じ、その起電力の大きさは酸素濃度差によって規定される。従って、高温のジルコニア固体電解質の片側に酸素濃度が既知の参照ガスを接触させつつ、その反対側に測定対象となるガスを接触させたときの起電力を測定することによって、当該測定対象となるガス中の酸素濃度を測定することができる。酸素濃度計194は、チャンバー6から取り込んだ気体中の酸素濃度をかかる原理を用いて測定することによって、チャンバー6内の酸素濃度を測定することができる。
【0096】
図4は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英で形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英で形成されている。
【0097】
基台リング71は、円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図3を参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施の形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
【0098】
サセプタ74は、基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図5は、サセプタ74の平面図である。
【0099】
サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英で形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は、半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
【0100】
保持プレート75の上面周縁部には、ガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。たとえば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。
【0101】
ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英で形成される。
【0102】
ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしてもよいし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしてもよい。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしてもよい。
【0103】
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の支持ピン77が設けられている。本実施の形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に合計12個の支持ピン77が環状に立設されている。
【0104】
12個の支持ピン77を配置した円の径(対向する支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ210mm~φ280mmである。支持ピン77は、3本以上設けられる。それぞれの支持ピン77は石英で形成されている。
【0105】
複数の支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしてもよいし、保持プレート75と一体に加工するようにしてもよい。
【0106】
図4に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
【0107】
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢で載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーを支持する。
【0108】
12個の支持ピン77の高さ(支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
【0109】
また、半導体ウェハーWは複数の支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
【0110】
また、図4および図5に示されるように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、下部放射温度計20が半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、下部放射温度計20が開口部78およびチャンバー側部61の貫通孔61bに装着された透明窓21を介して半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光して当該半導体ウェハーWの温度を測定する。
【0111】
さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
【0112】
図6は、移載機構10の平面図である。また、図7は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。
【0113】
それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英で形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図7の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図7の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。
【0114】
水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであってもよいし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであってもよい。
【0115】
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置において上昇させると、合計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図4および図5参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置において下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。
【0116】
一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
【0117】
図3に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施の形態では30本)のフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52とを備えて構成される。
【0118】
また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英によって形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。
【0119】
フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
【0120】
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
【0121】
フラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。
【0122】
キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。
【0123】
このようなフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。
【0124】
なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
【0125】
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板で形成されており、その上面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
【0126】
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施の形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する。
【0127】
図8は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。
【0128】
各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
【0129】
また、図8に示されるように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
【0130】
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように合計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
【0131】
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。
【0132】
したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
【0133】
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図3)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
【0134】
上記の構成以外にも熱処理部160は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
【0135】
図9は、制御部3の構成を示すブロック図である。制御部3は、基板処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、記憶部31、演算部32、判定部33、および発報部34を備えている。制御部3の演算部32が所定の処理プログラムを実行することによって基板処理装置1における処理が進行する。記憶部31は、例えば各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMであり、制御用ソフトウェアやデータなどを記憶する。また、記憶部31は、消耗品期限管理データベース35とメンテナンス時期管理データベース36とを記憶する。消耗品期限管理データベース35およびメンテナンス時期管理データベース36についてはさらに後述する。演算部32は、各種演算処理を行う。演算部32は、更新部37と、参照部38と、時期監視部39とを備える。更新部37は、消耗品期限管理データベース35やメンテナンス時期管理データベース36のデータを書き換えて更新する。参照部38は、消耗品期限管理データベース35やメンテナンス時期管理データベース36のデータを参照する。時期監視部39は、消耗品期限管理データベース35やメンテナンス時期管理データベース36の期限や時期が超過していないか否かを監視する。判定部33および発報部34は、制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって実現される機能処理部である。判定部33および発報部34の処理内容についてはさらに後述する。なお、図1においては、インデクサ部101内に制御部3を示しているが、これに限定されるものではなく、制御部3は基板処理装置1内の任意の位置に配置することができる。なお、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリは、フラッシュメモリが集積されたSSD等でもよい。
【0136】
また、制御部3には表示部2、入力部8、スピーカー9、および各処理部120,130,140,150,160が接続されている。制御部3は、表示部2に種々の情報(例えば、消耗品期限管理データベースやメンテナンス時期管理データベースに基づく情報)を表示する。基板処理装置1のオペレータは、表示部2に表示された情報を確認しつつ、入力部8から種々のコマンドやパラメータを入力することができる。入力部8としては、例えばキーボードやマウスを用いることができる。表示部2としては、例えば液晶ディスプレイを用いることができる。本実施形態においては、表示部2および入力部8として、基板処理装置1の外壁に設けられた液晶のタッチパネルを採用して双方の機能を併せ持たせるようにしている(図1参照)。また、制御部3は、スピーカー9から音を出力することもできる。また使用期限以降に、前記使用期限を超過したことを知らせる警報を発報する。
【0137】
次に、本発明に係る基板処理装置1の熱処理部160の処理動作について説明する処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理部160によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。
【0138】
図1および図2に示すように、通常の半導体ウェハーWを処理する場合には、まず、不純物が注入された未処理の半導体ウェハーWがキャリアCAに複数枚収容された状態でインデクサ部101のロードポート110に載置される。そして、受渡ロボット120がキャリアCAから未処理の半導体ウェハーWを1枚ずつ取り出し、アライメント部230のアライメントチャンバー231に搬入する。アライメントチャンバー231では、半導体ウェハーWをその中心部を回転中心として水平面内にて鉛直方向軸まわりで回転させ、ノッチ等を光学的に検知することによって半導体ウェハーWの向きを調整する。
【0139】
次に、搬送ロボット150がアライメントチャンバー231から向きの調整された半導体ウェハーWを取り出し、搬送チャンバー170に搬出される。半導体ウェハーWを取り出した搬送ロボット150は熱処理部160を向くように旋回する。続いて、ゲートバルブ185が熱処理部160と搬送チャンバー170との間を開放し、搬送ロボット150が未処理の半導体ウェハーWを熱処理部160に搬入する。このときに、先行する加熱処理済みの半導体ウェハーWが熱処理部160に存在している場合には、2つの搬送ハンド152のうちどちらか一方によって加熱処理後の半導体ウェハーWを取り出してから未処理の半導体ウェハーWを熱処理部160に搬入してウェハー入れ替えを行う。その後、ゲートバルブ185が熱処理部160と搬送チャンバー170との間を閉鎖する。
【0140】
熱処理部160に搬入された半導体ウェハーWには、ハロゲンランプHLによって予備加熱が行われた後、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によってフラッシュ加熱処理が行われる。このフラッシュ加熱処理により半導体ウェハーWに注入された不純物の活性化が行われる。
【0141】
フラッシュ加熱処理が終了した後、ゲートバルブ185が熱処理部160と搬送チャンバー170との間を再び開放し、搬送ロボット150が熱処理部160からフラッシュ加熱処理後のダミーウェハーRを搬送チャンバー170に搬出する。半導体ウェハーWを取り出した搬送ロボット150は、熱処理部160から第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141に向くように旋回する。また、ゲートバルブ185が熱処理部160と搬送チャンバー170との間を閉鎖する。
【0142】
その後、搬送ロボット150が加熱処理後の半導体ウェハーWを冷却部130の第1クールチャンバー131または冷却部140の第2クールチャンバー141に搬入する。第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141では、フラッシュ加熱処理後の半導体ウェハーWの冷却処理が行われる。熱処理部160から搬出された時点での半導体ウェハーW全体の温度は比較的高温であるため、これを第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141にて常温近傍にまで冷却するのである。
【0143】
所定の冷却処理時間が経過した後、搬送ロボット150が冷却後の半導体ウェハーWを第1クールチャンバー131または第2クールチャンバー141から搬出し、再び搬送チャンバー170に搬入する。搬送チャンバー170へ搬入された半導体ウェハーWは、元のキャリアCAへと返却される。キャリアCAに所定枚数の処理済み半導体ウェハーWが収容されると、そのキャリアCAはインデクサ部101のロードポート110から搬出される。
【0144】
熱処理部160における加熱処理について説明を続ける。熱処理部160への半導体ウェハーWの搬入に先立って、給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89,192が開放されて熱処理部160内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65にアンモニアガス等の処理ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86から熱処理部160内の気体が排気される。これにより、熱処理部160内の熱処理空間65の上部から供給された処理ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
【0145】
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からも熱処理部160内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理部160における半導体ウェハーWの熱処理時には処理ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
【0146】
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、搬送ロボット150により搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWが熱処理部160内の熱処理空間65に搬入される。搬送ロボット150は、未処理の半導体ウェハーWを保持する搬送ハンド152を保持部7の直上位置まで進出させて停止させる。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
【0147】
未処理の半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボット150が搬送ハンド152を熱処理空間65から退出させ、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面として保持部7に保持される。複数の支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
【0148】
半導体ウェハーWが保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの下面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
【0149】
ハロゲンランプHLによる予備加熱を行うときには、半導体ウェハーWの温度が下部放射温度計20によって測定されている。すなわち、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から開口部78を介して放射された赤外光を下部放射温度計20が受光して昇温中のウェハー温度を測定する。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、下部放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。予備加熱温度T1は、半導体ウェハーWに添加された不純物が熱により拡散する恐れのない、600℃ないし800℃程度とされる(本実施の形態では700℃)。
【0150】
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、下部放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
【0151】
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。
【0152】
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接に熱処理部160内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてから熱処理部160内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
【0153】
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、フラッシュ加熱では半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
【0154】
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、下部放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された処理後の半導体ウェハーWが搬送ロボット150の搬送ハンド152により搬出される。搬送ロボット150は、搬送ハンド152をリフトピン12によって突き上げられた半導体ウェハーWの直下位置にまで進出させて停止させる。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWが搬送ハンド152に渡されて載置される。その後、搬送ロボット150が搬送ハンド152を熱処理部160から退出させて処理後の半導体ウェハーWを搬出する。
【0155】
図10は、消耗品期限管理データベース35を示す図である。消耗品期限管理データベース35は、消耗品の少なくとも使用期限の情報を有する。消耗品とは、あらかじめ使用期限が設定されている機器または物である。したがって、消耗品は定期的な交換を要する。本実施形態においては、消耗品期限管理データベース35は、消耗品に関連する機器または物と、消耗品とを紐付けたデータベースである。例えば、上述のフィルター90、排気ガス検知器193、酸素濃度計194等が、消耗品として消耗品期限管理データベース35に格納される。そして、図10に示すように、消耗品期限管理データベース35には、例えば、消耗品を管理対象として、「管理品名」、管理対象の「使用期限」、管理対象の「交換準備期間」、管理対象の「最終交換日」、管理対象と「関連する危険物」、管理対象と「関連する危険物の排出処理方法」、等が格納される。なお、使用期限の前の所定期間が交換準備期間として設定される。交換準備期間は、例えば、発注されてから納品されるまでのリードタイムである。この交換準備期間は、リードタイムに対して消耗品の交換作業時間を加えた期間であっても良い。
【0156】
制御部3の判定部33は、例えば、いずれかの消耗品が交換準備期間に入ったか否か、いずれかの消耗品が使用期限に近づいたか否か、いずれかの消耗品が使用期限を超過したか否か、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス時期に近づいたか否か、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期であるか否か、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス時期を超過したか否か、などの判定を行う。なお、メンテナンス部品とは、定期的なメンテナンスを要する部品である。メンテナンス部品としては、例えば、バルブ84、バルブ89、バルブ192等である。
【0157】
制御部3の発報部34は、例えば、いずれかの消耗品が交換準備期間に入ったこと、いずれかの消耗品が使用期限に近づいたこと、使用期限以降にいずれかの消耗品が使用期限を超過したこと、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス時期に近づいたこと、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期であること、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス時期を超過したこと、などを知らせる警報を発報する。
【0158】
制御部3は、例えば上述のような発報部34による発報を受けて、その旨(警報)を表示部2に表示する。例えば、制御部3の判定部33がいずれかの消耗品が交換準備期間にあると判定すると、表示部2にその旨を表示する。これにより、操作者がどの消耗品が交換準備期間にあるかを把握することができる。したがって、使用期限になる前にスムーズに消耗品が発注されることができる。なお、表示部2の警報の表示とともに、スピーカー9から警報音が発されてもよい。
【0159】
また、いずれかの消耗品が使用期限を超過する場合には、基板処理装置1の内外の安全を確保するために、基板処理装置1自体を停止することが好ましい。したがって、いずれかの消耗品が使用期限を超過してから、消耗品を発注して消耗品を交換するのでは、基板処理装置1の停止の期間が長引いてしまう。これに対し、本実施形態においては、消耗品のリードタイムを考慮して消耗品がスムーズに発注されるので、消耗品の使用期限の超過による基板処理装置1の停止時間(ダウンタイム)の期間を低減できる。また、消耗品の交換作業の前に消耗品に関連する危険物が排出処理されていてもよい。この排出処理は、基板処理装置1に接続される配管からの危険物の排出処理が含まれてもよい。これは交換準備期間中に消耗品の発注と並行して行われることもできる。このように交換準備期間中に消耗品に関連する危険物が排出処理されていることにより、さらにダウンタイムの期間を低減できる。
【0160】
以上のように消耗品の交換作業が行われ、新たな消耗品の交換が行われた時点で、「使用期限」および「最終交換日」が書き換えられて更新される。この更新は、基板処理装置1により自動で行われても、操作者により入力部8から入力されて行われてもよい。基板処理装置1により更新が自動で行われる場合には、まず交換した日が「最終交換日」として更新される。そして、演算部32で「最終交換日」と「使用可能年月」とから次回の「使用期限」が自動演算されて、「使用期限」が更新される。
【0161】
例えば、消耗品が排気ガス検知器193である場合、管理品名は「排気ガス検知器」であり、それに紐付けられる「使用期限」、「交換準備期間」、「最終交換日」、「関連する危険物」が、それぞれ消耗品期限管理データベース35に格納される。具体的には、図10に示すように、使用期限が2023年10月15日、交換準備期間が30日、最終交換日(最後に交換した日)が20XX年XX月XX日、関連する危険物がアンモニアガス、としてそれぞれ格納される。また、「関連する危険物の排出処理方法」も、消耗品期限管理データベース35に格納される。
【0162】
図11は、メンテナンス時期管理データベース36を示す図である。メンテナンス時期管理データベース36は、メンテナンス部品の少なくともメンテナンス予定時期の情報を有する。例えば、上述のバルブ84,89,192の情報が、メンテナンス部品としてメンテナンス時期管理データベース36に格納される。そして、図11に示すように、メンテナンス時期管理データベース36は、例えば、メンテナンス部品を管理対象として、「管理品名」、管理対象の「メンテナンス予定時期」、管理対象の「メンテナンス周期」、管理対象の「最終メンテナンス日」、管理対象の「メンテナンス時の処理方法」、等の情報を有する。また、メンテナンス時期管理データベース36は、メンテナンスに要するメンテナンス時間の情報として「メンテナンス時間」の情報をさらに有してもよい。新たにメンテナンスが行われた時点で、「メンテナンス予定時期」および「最終メンテナンス日」が書き換えられて更新される。この更新は、基板処理装置1により自動で行われても、操作者により入力部8から入力されて行われてもよい。基板処理装置1により更新が自動で行われる場合には、まずメンテナンスした日が「最終メンテナンス日」として更新される。そして、演算部32で「最終メンテナンス日」と「メンテナンス周期」とから次回の「メンテナンス予定時期」が演算されて、「メンテナンス予定時期」が更新される。
【0163】
例えば、メンテナンス部品がバルブ89である場合、管理品名は「バルブ(NO.1)」であり、それに紐付けられる「メンテナンス予定時期」、「メンテナンス周期」、「最終メンテナンス日」が、それぞれメンテナンス時期管理データベース36に格納される。具体的には、図11に示すように、メンテナンス予定時期が2022年11月28日、メンテナンス周期が1年、最終メンテナンス日(最後にメンテナンスした日)が20XX年XX月XX日、としてそれぞれ格納される。また、「メンテナンス時の処理方法」についても、メンテナンス時期管理データベース36に格納される。
【0164】
ここで、消耗品においては使用期限の管理が特に必要であると考えられる。これは、例えば消耗品が危険物(アンモニアガスやオゾンガス)と関連している場合に、消耗品の使用期限の超過により消耗品に不具合が生じて危険物が漏洩することがあり得るためである。そこで、本実施形態の基板処理装置1は、消耗品期限管理データベース35でいずれかの消耗品が使用期限を超過している場合には、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期であっても、メンテナンス部品のメンテナンスが停止される。これにより、例えば、消耗品の使用期限の超過による消耗品の不具合に起因して危険物が漏洩する場合にも、メンテナンス時の操作者の安全が確保される。このとき、表示部2に消耗品の使用期限が超過している旨の表示がされてもよく、スピーカー9から警報音が発されてもよい。
【0165】
以上の本実施形態に係る基板処理装置1によれば、消耗品やメンテナンス部品について適正に期限管理が行われ、かつ、安全に消耗品の交換やメンテナンス部品のメンテナンスが行われる。
【0166】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第2実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第2実施形態が第1実施形態と相違するのは、メンテナンス予定時期の調整である。
【0167】
図12は、本実施形態における基板処理装置1のメンテナンス予定時期の調整のフロー図である。
【0168】
図12に示すとおり、本実施形態における基板処理装置1のメンテナンス予定時期の調整は、まず、メンテナンス時期管理データベース36からいずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期を超過するか否かの判定が行われる(ステップS1)。ステップS1の判定の結果、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期である場合には、基板処理装置1内で半導体ウェハーWが処理されているか否かの判定が行われる(ステップS2)。
【0169】
ステップS2の判定で、半導体ウェハーWが処理されていれば、半導体ウェハーWの処理終了までメンテナンスが停止される。半導体ウェハーWの処理の途中でメンテナンスが行われれば、半導体ウェハーWが不良となる可能性があるからである。一方で、半導体ウェハーWが処理されていなければ、半導体ウェハーWのチャンバー内への搬入が停止される(ステップS3)。具体的には、受渡ロボット120がキャリアCから未処理の半導体ウェハーWを取り出さない。
【0170】
この状態で、メンテナンス予定時期に到達したメンテナンス部品のメンテナンスが行われる(ステップS4)。メンテナンス処理のフローはメンテナンス時期管理データベース36にも格納されている。メンテナンス時期管理データベース36に格納されたメンテナンス処理のフローが制御部3により読み込まれて、メンテナンスが行われる。
【0171】
ステップS4でメンテナンスが行われると、メンテナンス時期管理データベース36に格納される「最終メンテナンス日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終メンテナンス日」と「メンテナンス周期」とが演算されて、次回の「メンテナンス予定時期」が決定される。このように決定された「メンテナンス予定時期」がメンテナンス時期管理データベース36で新たに更新される(ステップS5)。
【0172】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第3実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第3実施形態が第1実施形態と相違するのは、メンテナンス予定時期の調整である。本実施形態においては、メンテナンス部品のメンテナンス予定時期であっても、消耗品の使用期限までの時間が、メンテナンス時間よりも短い場合には、メンテナンス部品のメンテナンスが停止されるように制御される。
【0173】
図13は、本実施形態における基板処理装置1のメンテナンス予定時期の調整のフロー図である。
【0174】
図13に示すとおり、本実施形態における基板処理装置1のメンテナンス予定時期の調整は、まず、メンテナンス時期管理データベース36からいずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期であるか否かの判定が行われる(ステップS11)。ステップS11の判定の結果、いずれかのメンテナンス部品がメンテナンス予定時期である場合には、そのメンテナンス部品のメンテナンス時間(メンテナンスに要する時間)がいずれかの消耗品の使用期限までの時間よりも短いか否かが判定される(ステップS12)。ステップS12の判定の結果、メンテナンス時間が使用期限までの時間よりも長ければ、メンテナンスは行われない。いずれかの消耗品の交換の後にメンテナンス部品のメンテナンスが行われる(ステップS13)。仮に、メンテナンス時間が使用期限までの時間よりも長ければ、メンテナンスの途中で消耗品が使用期限を超過してしまうからである。
【0175】
一方で、ステップS12の判定の結果、メンテナンス時間が使用期限までの時間と同じか短ければ、次に、基板処理装置1内で半導体ウェハーWが処理されているか否かの判定が行われる(ステップS14)。
【0176】
ステップS14の判定で、半導体ウェハーWが処理されていれば、メンテナンス予定時期であっても、メンテナンス部品のメンテナンスが停止される。メンテナンス部品のメンテナンスは、半導体ウェハーWの処理終了まで停止される。半導体ウェハーWの処理の途中でメンテナンスが行われれば、半導体ウェハーWが不良となる可能性があるからである。
【0177】
一方で、半導体ウェハーWが処理されていなければ、半導体ウェハーWのチャンバー内への搬入が停止される(ステップS15)。具体的には、受渡ロボット120がキャリアCから未処理の半導体ウェハーWを取り出さない。
【0178】
この状態で、メンテナンス予定時期に到達したメンテナンス部品のメンテナンスが行われる(ステップS16)。メンテナンス処理のフローはメンテナンス時期管理データベース36にも格納されている。メンテナンス時期管理データベース36に格納されたメンテナンス処理のフローが制御部3により読み込まれて、メンテナンスが行われる。
【0179】
ステップS16でメンテナンスが行われると、メンテナンス時期管理データベース36に格納される「最終メンテナンス日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終メンテナンス日」と「メンテナンス周期」とが演算されて、次回の「メンテナンス予定時期」が決定される。このように決定された「メンテナンス予定時期」がメンテナンス時期管理データベース36で新たに更新される(ステップS17)。
【0180】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第4実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第4実施形態が第1実施形態と相違するのは、いずれかの消耗品の使用期限が超過した場合の基板処理装置1の動作である。
【0181】
図14は、本実施形態における基板処理装置1のいずれかの消耗品が使用期限を超過する場合のフロー図である。
【0182】
図14に示すとおり、本実施形態におけるいずれかの消耗品の使用期限が超過した場合の基板処理装置1の動作は、まず、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS21)。そして、ステップS21において参照した消耗品期限管理データベース35のうちから使用期限が超過している消耗品が存在するか否かの判定を行う(ステップS22)。ステップS22の判定の結果、いずれの消耗品も使用期限が超過していない場合には、基板処理装置1の稼働状態が続行される(ステップS23)。なお、このときに基板処理装置1が停止している場合には、基板処理装置1を稼働させる。
【0183】
一方で、ステップS22の判定の結果、いずれかの消耗品が使用期限を超過している場合には、制御部3は基板処理装置1の稼働を停止する(ステップS24)。このとき、発報部34が警報を発報し、表示部2がいずれかの消耗品の使用期限の超過の旨を表示してもよい。また、スピーカー9から警報音が発せられてもよい。そして、使用期限を超過している消耗品の交換が行われる(ステップS25)。
【0184】
ステップS25で消耗品の交換が行われると、消耗品期限管理データベース35に格納される「最終交換日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終交換日」と「使用可能年月」とが演算されて、次回の「使用期限」が決定される。このように決定された「使用期限」が、消耗品期限管理データベース35で新たに更新される(ステップS26)。そして、基板処理装置1の稼働が再開される(ステップS27)。
【0185】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第5実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第5実施形態が第1実施形態と相違するのは、いずれかの消耗品が交換準備期間に入った場合の基板処理装置1の動作である。本実施形態の基板処理装置1は、交換準備期間に、使用期限に近づいていることを知らせる警報を少なくとも1回発報する。
【0186】
図15は、本実施形態における基板処理装置1のいずれかの消耗品が交換準備期間に入った場合のフロー図である。また、図16および図17は、警報が発報されたときの表示部2を示す図である。
【0187】
図15に示すとおり、本実施形態におけるいずれかの消耗品が交換準備期間に入った場合の基板処理装置1の動作は、まず、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS31)。そして、ステップS31において参照した消耗品期限管理データベース35のうちから交換準備期間に入っている消耗品が存在するか否かの判定を行う(ステップS32)。ステップS32の判定の結果、いずれの消耗品も交換準備期間に入っていない場合には、ステップS31に戻り、制御部3が消耗品期限管理データベースの参照を継続する。
【0188】
一方で、ステップS32の判定の結果、いずれかの消耗品が交換準備期間に入っている場合には、警報が発報される(ステップS33)。警報は、表示部2にいずれかの消耗品の交換準備期間の突入の旨が表示されることにより行われてもよい。また、警報は、スピーカー9から警報音が発せられることにより行われてもよい。
【0189】
表示部2への表示は、図16に示すように、画像により交換準備期間に突入した消耗品の位置が表示されてもよい。この位置の表示は、他の機器よりも目立つ表示態様で表示されてもよい。また、機器名、場所、状態、または使用期限が表示されてもよい。さらに、表示部2への表示は、図17に示すように、少なくとも当該消耗品の交換準備期間が表されたテーブルが表示され、そのテーブル内において他の確認項目よりも当該消耗品の交換準備期間が目立つ表示態様で表示されてもよい。
【0190】
また、表示部2への表示とともに、スピーカー9から警報音が発せられてもよい。そして、交換準備期間に突入している消耗品の発注が行われる。納品の後速やかに当該消耗品の交換が行われる(ステップS34)。
【0191】
当該消耗品の交換の完了が確認されなければ、再び警報が発報される(ステップS33)。前回の警報と再度の警報との間隔は、所定間隔開いていることが好ましい。この所定間隔は、例えば1日や1週間などである。この所定間隔は操作者の任意で設定されることもできる。
【0192】
ステップS34で消耗品の交換が行われると、消耗品期限管理データベース35に格納される「最終交換日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終交換日」と「使用可能年月」とが演算されて、次回の「使用期限」が決定される。このように決定された「使用期限」が、消耗品期限管理データベース35で更新される(ステップS35)。そして、基板処理装置1の稼働が再開される(ステップS36)。
【0193】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第6実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第6実施形態が第1実施形態と相違するのは、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合の基板処理装置1の動作である。本実施形態における「使用期限前の任意の期間」とは、例えば、基板処理装置1において半導体ウェハーWの処理に要する時間(半導体ウェハーWの処理が終了する予定時間までの期間)のことである。なお、半導体ウェハーWの処理に要する時間は、例えば、半導体ウェハーWがチャンバー6内で処理される時間としても、基板処理装置1内で処理される時間としてもよい。本実施形態においては、消耗品の使用期限までの時間が、半導体ウェハーWの処理に要する時間よりも短い場合には、半導体ウェハーWの基板処理装置1への搬入が停止されるように制御される。一方で、消耗品の使用期限までの時間が、半導体ウェハーWの処理に要する時間よりも長い場合で半導体ウェハーWの基板処理装置1内での処理中の場合には、半導体ウェハーWの処理を完了させる。
【0194】
図18は、本実施形態における基板処理装置1のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
【0195】
図18に示すように、本実施形態においては、まず、制御部3が基板処理装置1において処理が予約された半導体ウェハーWの処理の時間(以後、「基板処理時間」という。)を推定する(ステップS41)。また、これとともに、半導体ウェハーWの処理の終了する予定時間(以後、「基板処理終了予定時間」という。)も推定されても良い。次に、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS42)。そして、ステップS42において参照した消耗品期限管理データベース35のうちから使用期限が最も迫っている消耗品を確認する。そして、当該消耗品の使用期限までの時間が演算される。
【0196】
ステップS41において推定された基板処理時間(基板処理終了予定時間までの期間)と、ステップS42において演算された使用期限までの時間とが比較され、使用期限までの時間よりも基板処理時間(基板処理終了予定時間までの期間)の方が短いか否かが判定される(ステップS43)。ステップS43での判定の結果、基板処理時間(基板処理終了予定時間までの期間)の方が短い場合には、半導体ウェハーWの処理が行われる(ステップS44)。
【0197】
一方で、ステップS43の判定の結果、基板処理時間(基板処理終了予定時間までの期間)よりも使用期限までの時間の方が短い場合には、半導体ウェハーWの処理は行われない。そして、基板処理装置1の稼働が停止される(ステップS45)。そして、使用期限が最も迫っている消耗品の交換が行われる(ステップS46)。
【0198】
ステップS46で消耗品の交換が行われると、消耗品期限管理データベース35に格納される「最終交換日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終交換日」と「使用可能年月」とが演算されて、次回の「使用期限」が決定される。このように決定された「使用期限」が、消耗品期限管理データベース35で新たに更新される(ステップS47)。そして、基板処理装置1の稼働が再開される(ステップS48)。その後、予約されていた半導体ウェハーWの処理が行われる(ステップS44)。
【0199】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第7実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第7実施形態が第1実施形態と相違するのは、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合の基板処理装置1の動作である。本実施形態における「使用期限前の任意の期間」とは、例えば、基板処理装置1において半導体ウェハーWの処理に要する時間(基板処理時間)のことである。なお、半導体ウェハーWの処理に要する時間は、例えば、半導体ウェハーWが基板処理装置1内で処理される時間としてもよい。
【0200】
図19は、本実施形態における基板処理装置1のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
【0201】
図19に示すように、本実施形態においては、まず、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS51)。そして、消耗品期限管理データベース35のうちでいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っているか否かが判定される(ステップS52)。ステップS52の判定の結果、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っている場合には、基板処理装置1内への半導体ウェハーWの搬入が停止される(ステップS53)。一方で、ステップS52の判定の結果、いずれの消耗品も使用期限前の任意の期間に入っていない場合には、基板処理装置1の稼働が続行される(ステップS54)。
【0202】
ステップS53で半導体ウェハーWの搬入が停止された後、基板処理装置1内に未処理の半導体ウェハーWがないか否かが判定される(ステップS55)。ステップS55の判定の結果、基板処理装置1内に未処理の半導体ウェハーWがない場合には、基板処理装置1の稼働が停止される(ステップS56)。一方で、ステップS55の判定の結果、基板処理装置1内に半導体ウェハーWがある場合には、基板処理装置1内の未処理の半導体ウェハーWの処理が実行される(ステップS57)。ステップS57において、基板処理装置1内の全ての未処理の半導体ウェハーWの処理が実行されると、基板処理装置1の稼働が停止される(ステップS56)。
【0203】
ステップS56で基板処理装置1の稼働が停止されると、使用期限前の任意の期間に入っている消耗品の交換が行われる(ステップS58)。ステップS58で消耗品の交換が行われると、消耗品期限管理データベース35に格納される「最終交換日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終交換日」と「使用可能年月」とが演算されて、次回の「使用期限」が決定される。このように決定された「使用期限」が、消耗品期限管理データベース35で新たに更新される(ステップS59)。そして、基板処理装置1の稼働が再開される(ステップS60)。
【0204】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について説明する。第8実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第8実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第8実施形態が第1実施形態と相違するのは、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合の基板処理装置1の動作である。本実施形態における「使用期限前の任意の期間」は、例えば、半導体ウェハーWの処理される時間であり、例えば、半導体ウェハーWがチャンバー6内で加熱される時間である。ここで、半導体ウェハーWがチャンバー6内で加熱される時間は、予備加熱およびフラッシュ加熱の両加熱処理を行う時間であってもよく、予備加熱処理を行う時間であってもよい。フラッシュ加熱は、通常1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に行われる。このため、フラッシュ加熱の処理時間は問題とならないことが多い。
【0205】
図20は、本実施形態における基板処理装置1のいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入った場合のフロー図である。
【0206】
図20に示すように、本実施形態においては、まず、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS61)。そして、消耗品期限管理データベース35のうちでいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っているか否かが判定される(ステップS62)。ステップS62の判定の結果、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っている場合には、チャンバー6内で半導体ウェハーWがフラッシュ加熱前の処理中(例えば、予備加熱処理中)であるか否かが判定される(ステップS63)。ステップS63の判定の結果、チャンバー6内で半導体ウェハーWがフラッシュ加熱前の処理中(予備加熱処理中)である場合には、当該処理が停止される(ステップS64)。そして、基板処理装置1内にある全ての半導体ウェハーWがロードポート110に載置されるキャリアCに回収される(ステップS65)。なお、フラッシュ加熱前の処理中の半導体ウェハーWはフラッシュ加熱されていないので、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化していない状態である。このようにフラッシュ加熱前の半導体ウェハーWは基板処理装置1において未処理の半導体ウェハーWとして、引き続き処理可能である。したがって、フラッシュ加熱前の半導体ウェハーWは、再利用されるためにロードポート110に回収される。フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWは、ロードポート110に載置されるキャリアCに回収された後、フラッシュ加熱後の半導体ウェハーWとして後の基板処理に搬送される。このようにフラッシュ加熱後とフラッシュ加熱前との半導体ウェハーWに分けて処理することにより、予備加熱処理された半導体ウェハーWであっても再利用されることが可能となる。つまり、廃棄処分となる半導体ウェハーWの数を低減することが可能となる。
【0207】
一方で、ステップS62の判定の結果、いずれの消耗品も使用期限前の任意の期間に入っていない場合には、基板処理装置1の稼働が続行される(ステップS66)。また、ステップS63の判定の結果、チャンバー6内で半導体ウェハーWが予備加熱処理中ではない場合も、基板処理装置1の稼働が続行される(ステップS66)。
【0208】
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態について説明する。第9実施形態の基板処理装置1の構成は第1実施形態と同様である。また、第9実施形態の基板処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順も第1実施形態と同様である。第9実施形態が第1実施形態と相違するのは、消耗品の交換のために基板処理装置1の稼働が停止された場合の基板処理装置1の動作である。本実施形態においては、消耗品が危険物に関連する場合には、危険物が当該基板処理装置1の外部に排出された後、消耗品の交換が行われるように制御される。なお、本実施形態においては、交換される消耗品が危険物に関連する場合が想定される。危険物は、例えばアンモニアガスなどである。
【0209】
図21は、本実施形態における基板処理装置1の消耗品の交換のために稼働が停止された場合のフロー図である。
【0210】
図21に示すように、本実施形態においては、まず、制御部3が消耗品期限管理データベース35を参照する(ステップS71)。そして、消耗品期限管理データベース35のうちでいずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っているか否かが判定される(ステップS72)。ステップS72の判定の結果、いずれかの消耗品が使用期限前の任意の期間に入っている場合には、基板処理装置1内への半導体ウェハーWの搬入が停止される(ステップS73)。一方で、ステップS72の判定の結果、いずれの消耗品も使用期限前の任意の期間に入っていない場合には、基板処理装置1の稼働が続行される(ステップS74)。なお、ここでの説明では、使用期限前の任意の期間に入っている消耗品は、特に危険物に関連する。消耗品は、例えば、アンモニアガスに関連する消耗品である。
【0211】
ステップS73で半導体ウェハーWの搬入が停止された後、基板処理装置1内に未処理の半導体ウェハーWがないか否かが判定される(ステップS75)。ステップS75の判定の結果、基板処理装置1内に未処理ステップの半導体ウェハーWがない場合には、基板処理装置1の稼働が停止される(ステップS76)。一方で、ステップS75の判定の結果、基板処理装置1内に半導体ウェハーWがある場合には、基板処理装置1内の未処理の半導体ウェハーWの処理が実行される(ステップS77)。ステップS77において、基板処理装置1内の全ての未処理の半導体ウェハーWの処理が実行されると、基板処理装置1の稼働が停止される(ステップS76)。
【0212】
ステップS76で基板処理装置1の稼働が停止されると、基板処理装置1内の危険物の自動排出が行われる(ステップS78)。例えば、使用期限前の任意の期間に入っている消耗品が排気ガス検知器193(図3参照)である場合、排気ガス検知器193に関連する危険物はアンモニアガスである。したがって、アンモニアガスの自動排出が行われる。アンモニアガスの自動排出は、例えば、排気部190を作動させつつ、バルブ89,192を開放することによって、チャンバー6からのアンモニアガスの排気が行われる。また、チャンバー6内だけでなく、基板処理装置1内から危険物が排出されることが好ましい。消耗品の交換のために操作される個所は、チャンバー6内だけでなく、基板処理装置1内に及ぶためである。
【0213】
ステップS78で危険物の自動排出が行われると、使用期限前の任意の期間に入っている消耗品の交換が行われる(ステップS79)。ステップS79で消耗品の交換が行われると、消耗品期限管理データベース35に格納される「最終交換日」が書き換えられて更新される。そして、更新された「最終交換日」と「使用可能年月」とが演算されて、次回の「使用期限」が決定される。このように決定された「使用期限」が、消耗品期限管理データベース35で新たに更新される(ステップS80)。そして、基板処理装置1の稼働が再開される(ステップS81)。
【0214】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態においてリーク判定のために設定されている各閾値は装置の構成や仕様に応じた適宜の値とすることができる。
【0215】
また、上記各実施形態においては、チャンバー6内にアンモニア雰囲気を形成していたが、チャンバー6内にアンモニア等の反応性ガスの雰囲気を形成しない場合(例えば、チャンバー6内が窒素雰囲気とされている場合)であっても、本発明に係る技術を適用することは可能である。もっとも、漏出すると有害な反応性ガスの雰囲気をチャンバー6内に形成する場合の方が本発明に係る技術を好適に適用することができる。
【0216】
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。また、フラッシュ加熱部5やハロゲン加熱部4に代えて、LEDなどの光照射部を備えてもよい。
【0217】
また、上記実施形態においては、基板処理装置1の外壁に設けられた液晶のタッチパネルの表示部2が採用されているが、これに限定されない。表示部2として、例えば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の一種であるスマートグラス(例えば、「GOOGLE GLASS」(登録商標)や「HoloLens」(登録商標)など)であってもよい。
【0218】
また、上記実施形態においては、制御部3が基板処理装置1内に配置される構成が採用されているが、これに限定されない。制御部の一部または全部の機能がクラウドサーバ上に存在し、通信によって処理結果のデータが転送される構成でもよい。例えば、基板処理装置とリモートアクセス可能なクラウドサーバに、消耗品期限管理データベースと、メンテナンス時期管理データベースとが記憶される構成であってもよい。
【0219】
また、基板処理装置1によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。
【0220】
また、本発明に係る技術は、熱処理装置のみならず、消耗品とメンテナンス部品とを備える装置であれば、他の装置に適用することも可能である。特に、消耗品に関連する機器または物と、消耗品とを紐付けたデータベースにより消耗品を管理する装置に適用することが可能である。さらに、消耗品が危険物に関連する装置に好適に適用することが可能である。例えば、危険物として、基板洗浄装置におけるIPA等の液体の有機溶剤、硫酸含有液やフッ酸含有液、CVD装置におけるシランガス等が適用可能である。なお、消耗品であっても危険物に関連する消耗品でなければ、消耗品期限管理データベース35に登録されることを要しない。
【符号の説明】
【0221】
1 基板処理装置
2 表示部
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
8 入力部
9 スピーカー
10 移載機構
11 移載アーム
12 リフトピン
13 水平移動機構
14 昇降機構
20 下部放射温度計
21 透明窓
24 赤外線センサー
25 上部放射温度計
26 透明窓
29 赤外線センサー
31 記憶部
32 演算部
33 判定部
34 発報部
35 消耗品期限管理データベース
36 メンテナンス時期管理データベース
37 更新部
38 参照部
39 時期監視部
41,51 筐体
43,52 リフレクタ
53 ランプ光放射窓
61 チャンバー側部
61a,61b 貫通孔
62 凹部
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
66 搬送開口部
68,69 反射リング
71 基台リング
72 連結部
74 サセプタ
75 保持プレート
75a 保持面
76 ガイドリング
77 支持ピン
78 開口部
79 貫通孔
81 ガス供給孔
82 緩衝空間
83 ガス供給管
84,89 バルブ
85 処理ガス供給源
86 ガス排気孔
87 緩衝空間
88 ガス排気管
90 フィルター
101 インデクサ部
110 ロードポート
120 受渡ロボット
121 ハンド
130 冷却部
131 第1クールチャンバー
140 冷却部
141 第2クールチャンバー
150 搬送ロボット
150R 矢印
152 搬送ハンド
160 熱処理部
170 搬送チャンバー
181,182,183,184,185 ゲートバルブ
190 排気部
191 ガス排気管
192 バルブ
193 排気ガス検知器
194 酸素濃度計
230 アライメント部
231 アライメントチャンバー
W 半導体ウェハー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21