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特開2024-46059画像解析システム、画像解析方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046059
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】画像解析システム、画像解析方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240327BHJP
   G06T 7/11 20170101ALI20240327BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240327BHJP
【FI】
A01K29/00 A
G06T7/11
A01K29/00 D
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151218
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】311001347
【氏名又は名称】ノーリツプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】北 耕次
(72)【発明者】
【氏名】島本 久嗣
【テーマコード(参考)】
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L096FA02
5L096FA06
5L096FA35
5L096FA76
(57)【要約】
【課題】各家畜を個別に認識可能な画像解析システム、画像解析方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像解析システムは、カメラと、コンピュータとを備える。カメラは、複数の家畜を撮影可能な位置に設置される。コンピュータは、カメラによる撮影画像における家畜間の境界を推定するように構成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の家畜を撮影可能な位置に設置されるカメラと、
前記カメラによる撮影画像における家畜間の境界を推定するように構成されたコンピュータとを備える、画像解析システム。
【請求項2】
前記複数の家畜は一方向に並んでおり、
前記カメラは、前記一方向が前記撮影画像の横方向に対応するように設置されており、
前記コンピュータは、前記撮影画像において前記横方向に並ぶ複数の縦長の領域の各々の画素値と相関を有する横プロファイルを生成し、少なくとも前記横プロファイルに基づいて前記境界を推定する、請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項3】
前記複数の縦長の領域の各々は、前記横方向に対して垂直な方向に延びる列である、請求項2に記載の画像解析システム。
【請求項4】
前記複数の縦長の領域は、前記横方向に対して垂直な方向に延びる列に対して傾斜した列を含む、請求項2に記載の画像解析システム。
【請求項5】
前記コンピュータは、前記撮影画像において前記複数の家畜の第1輪郭線及び第2輪郭線を推定し、
前記第1輪郭線は、前記複数の家畜の各々の輪郭の上側部分を含んでおり、
前記第2輪郭線は、前記複数の家畜の各々の輪郭の下側部分を含んでおり、
前記コンピュータは、前記横プロファイル、前記第1輪郭線及び前記第2輪郭線に基づいて前記境界を推定する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項6】
前記複数の家畜は、繋ぎ飼い状態である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項7】
前記カメラは、サーモグラフィーカメラであり、
前記横プロファイルは波形を示し、
前記コンピュータは、前記横プロファイルの谷部分が前記境界であると推定する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の画像解析システム。
【請求項8】
前記第1輪郭線及び前記第2輪郭線の各々は波形を示し、
前記コンピュータは、前記第1輪郭線の谷部分及び前記第2輪郭線の山部分を参照することによって前記境界を推定する、請求項5に記載の画像解析システム。
【請求項9】
前記カメラは、サーモグラフィーカメラであり、
前記カメラは、前記複数の家畜の後方に設置され、
前記コンピュータは、前記撮影画像における前記複数の家畜の各々の尻部の位置を推定し、前記撮影画像における前記尻部の移動状態に基づいて前記複数の家畜の各々の分娩兆候を推定する、請求項6に記載の画像解析システム。
【請求項10】
前記カメラは、前記複数の家畜の前方に設置され、
前記コンピュータは、前記撮影画像における前記複数の家畜の各々に対応する尾根部の位置を推定し、前記撮影画像における前記尾根部の移動状態に基づいて前記複数の家畜の各々の分娩兆候を推定する、請求項6に記載の画像解析システム。
【請求項11】
複数の家畜を撮影可能な位置に設置されたカメラによって生成された撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像における家畜間の境界を推定するステップとを含む、画像解析方法。
【請求項12】
複数の家畜を撮影可能な位置に設置されたカメラによって生成された撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像における家畜間の境界を推定するステップとをコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像解析システム、画像解析方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2015-173605号公報(特許文献1)は、複数の牛(家畜の一例)が飼育されている場合に、各牛を特定する特定方法を開示する。この特定方法においては、牛の側面の画像が取得され、この画像に基づいて牛の特定が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-173605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、カメラによる撮影画像に基づいて複数の家畜の各々の状態を判定するためには、撮影画像に含まれる複数の家畜の各々がコンピュータによって個別に認識される必要がある。しかしながら、例えば、撮影画像において複数の家畜が重なっている場合には、複数の家畜の各々を個別に認識することが容易ではない。上記特許文献1においては、このような問題の解決手段が開示されていない。
【0005】
本発明の目的は、撮影画像において複数の家畜が重なっている場合であっても各家畜を個別に認識可能な画像解析システム、画像解析方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う画像解析システムは、カメラと、コンピュータとを備える。カメラは、複数の家畜を撮影可能な位置に設置される。コンピュータは、カメラによる撮影画像における家畜間の境界を推定するように構成されている。
【0007】
この画像解析システムにおいては、撮影画像における家畜間の境界が推定される。したがって、この画像解析システムによれば、各家畜を個別に認識することができる。
【0008】
上記画像解析システムにおいて、複数の家畜は一方向に並んでいてもよく、カメラは上記一方向が撮影画像の横方向に対応するように設置されていてもよく、コンピュータは、撮影画像において横方向に並ぶ複数の縦長の領域の各々の画素値と相関を有する横プロファイルを生成し、少なくとも横プロファイルに基づいて上記境界を推定してもよい。
【0009】
撮影画像においては、家畜が存在する位置と家畜が存在しない位置とで画素値に差が生じる。すなわち、各縦長の領域(以下、「縦長領域」とも称する。)の画素値と相関を有する横プロファイルは、各縦長領域に占める家畜の領域の大きさと相関を有する。この画像解析システムによれば、各縦長領域に占める家畜の領域の大きさと相関を有する横プロファイルに基づいて家畜間の境界が推定されるため、家畜間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0010】
上記画像解析システムにおいて、複数の縦長の領域の各々は、横方向に対して垂直な方向に延びる列であってもよい。
【0011】
上記画像解析システムにおいて、複数の縦長の領域は、横方向に対して垂直な方向に延びる列に対して傾斜した列を含んでもよい。
【0012】
カメラによる撮影画像においては、カメラに近い部分が広く映り、カメラから遠い部分が狭く映る。例えば、斜め上方から複数の家畜を撮影した場合には、仮に複数の家畜が横方向に並び、各家畜が縦方向に延びるように位置していたとしても、各家畜は消失点に向かって収束する方向に傾いて撮影画像に映る。この画像解析システムによれば、複数の縦長の領域が、横方向に対して垂直な方向に延びる列に対して傾斜した列を含むため、撮影画像における各家畜の傾きを考慮した上で家畜間の境界線を推定することができる。
【0013】
上記画像解析システムにおいて、コンピュータは、撮影画像において複数の家畜の第1輪郭線及び第2輪郭線を推定してもよく、第1輪郭線は、複数の家畜の各々の輪郭の上側部分を含んでおり、第2輪郭線は、複数の家畜の各々の輪郭の下側部分を含んでおり、コンピュータは、横プロファイル、第1輪郭線及び第2輪郭線に基づいて上記境界を推定してもよい。
【0014】
第1輪郭線は複数の家畜の各々の輪郭の上側部分を含み、第2輪郭線は複数の家畜の各々の輪郭の下側部分を含むため、第1輪郭線及び第2輪郭線は、撮影画像における各家畜の位置と相関を有する。この画像解析システムによれば、横プロファイル、第1輪郭線及び第2輪郭線に基づいて家畜間の境界が推定されるため、家畜間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0015】
上記画像解析システムにおいて、複数の家畜は、繋ぎ飼い状態であってもよい。
【0016】
上記画像解析システムにおいて、カメラはサーモグラフィーカメラであり、横プロファイルは波形を示し、コンピュータは、横プロファイルの谷部分が上記境界であると推定してもよい。
【0017】
サーモグラフィーカメラによる撮影画像においては、例えば、高温部分に対応する画素の画素値が低温部分に対応する画素の画素値よりも高くなる。家畜の温度が背景の温度よりも高いため、撮影画像において横方向に並ぶ各列において、家畜に対応する領域の画素値は背景に対応する領域の画素値と比較して高くなる。すなわち、各列の画素値と相関を有する横プロファイルは、各列に占める家畜の領域の大きさと相関を有する。家畜間の境界部分に対応する列における家畜の領域の大きさは、当該列に隣接する列における家畜の領域の大きさよりも小さい傾向がある。すなわち、横プロファイルにおいて、家畜間の境界部分に対応する部分は谷になる傾向がある。この画像解析システムによれば、横プロファイルの谷部分が家畜間の境界であると推定されるため、家畜間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0018】
上記画像解析システムにおいて、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々は波形を示し、コンピュータは、第1輪郭線の谷部分及び第2輪郭線の山部分を参照することによって上記境界を推定してもよい。
【0019】
例えば、撮影画像において一部の家畜が斜めになっている場合に、横プロファイルを参照するのみでは家畜間の境界を正確に認識できないときがある。一方、第1輪郭線の谷部分と第2輪郭線の山部分とを結ぶ線が家畜間の境界を示す可能性がある。この画像解析システムによれば、第1輪郭線の谷部分及び第2輪郭線の山部分を参照することによって家畜間の境界が推定されるため、家畜間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0020】
上記画像解析システムにおいて、カメラは、サーモグラフィーカメラであり、サーモグラフィーカメラは、複数の家畜の後方に設置されてもよく、コンピュータは、撮影画像における複数の家畜の各々の尻部の位置を推定し、撮影画像における尻部の移動状態に基づいて複数の家畜の各々の分娩兆候を推定してもよい。
【0021】
繋ぎ飼いされている家畜においては、頭部の移動が制限されている。一方、尻部の移動は比較的自由である。この画像解析システムによれば、撮影画像における尻部の移動状態に基づいて複数の家畜の各々の分娩兆候が推定されるため、各家畜の分娩兆候を比較的高精度に推定することができる。
【0022】
上記画像解析システムにおいて、カメラは、複数の家畜の前方に設置されてもよく、コンピュータは、撮影画像における複数の家畜の各々に対応する尾根部の位置を推定し、撮影画像における尾根部の移動状態に基づいて複数の家畜の各々の分娩兆候を推定してもよい。
【0023】
繋ぎ飼いされている家畜においては、頭部の移動が制限されている。一方、尾根部(前方から家畜を見た場合に最も盛り上がっている部分)の移動は比較的自由である。この画像解析システムによれば、撮影画像における尾根部の移動状態に基づいて複数の家畜の各々の分娩兆候が推定されるため、各家畜の分娩兆候を比較的高精度に推定することができる。
【0024】
本発明の他の局面に従う画像解析方法は、複数の家畜を撮影可能な位置に設置されたカメラによって生成された撮影画像を取得するステップと、撮影画像における家畜間の境界を推定するステップとを含む。
【0025】
この画像解析方法においては、カメラによる撮影画像における家畜間の境界が推定される。したがって、この画像解析方法によれば、各家畜を個別に認識することができる。
【0026】
本発明の他の局面に従うプログラムは、複数の家畜を撮影可能な位置に設置されたカメラによって生成された撮影画像を取得するステップと、撮影画像における家畜間の境界を推定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0027】
このプログラムがコンピュータによって実行されると、カメラによる撮影画像における家畜間の境界が推定される。したがって、このプログラムによれば、各家畜を個別に認識することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、撮影画像において複数の家畜が重なっている場合であっても各家畜を個別に認識可能な画像解析システム、画像解析方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】画像解析システムの構成を模式的に示す図である。
図2】サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】サーモグラフィーカメラによって生成された撮影画像の一例を模式的に示す図である。
図4図3に示される撮影画像における各牛の位置を説明するための図である。
図5】横プロファイルの一例について説明するための図である。
図6】横プロファイルに基づいて牛間の境界を推定する手順を説明するための図である。
図7】撮影画像における牛間の境界の推定手順を示すフローチャートである。
図8】各牛の分娩兆候の検出手順を示すフローチャートである。
図9】サーモグラフィーカメラによる撮影画像の一部分を模式的に示す図である。
図10】実施の形態2における牛間の境界の推定手順を説明するための図である。
図11】実施の形態2における牛間の境界の推定手順を示すフローチャートである。
図12】複数の列の一部が、サーモグラフィー画像の横方向に対して垂直に延びる列に対して傾斜している例を示す図である。
図13】複数の横プロファイルを用いて牛間の境界線を推定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0031】
[1.実施の形態1]
<1-1.構成>
(1-1-1.システム全体の構成)
図1は、本実施の形態1に従う画像解析システム10の構成を模式的に示す図である。図1に示されるように、画像解析システム10は、サーモグラフィーカメラ100と、サーバ200とを含んでいる。
【0032】
サーモグラフィーカメラ100は、複数の牛(家畜の一例)400を収容する牛房300内に設置される。牛房300においては、例えば、複数の牛400が繋ぎ飼い状態で飼育される。繋ぎ飼いとは、牛房300において各牛400を固定して飼育する方法のことをいう。牛房300において、各牛400は一列に並んだ状態でロープ等を介して棒等に固定される。繋ぎ飼い状態において、各牛400の並び順は変わらない。サーモグラフィーカメラ100は、例えば、複数の牛400を前方斜め上方から撮影可能な位置であり、かつ、複数の牛400の並び方向と撮影画像の横方向とが対応するような位置に設置される。
【0033】
サーモグラフィーカメラ100は、例えば、遠赤外線カメラで構成されており、牛400に関する画像データを生成するように構成されている。より詳細には、サーモグラフィーカメラ100は、撮影範囲における温度分布を示す画像データを生成する。撮影画像においては、例えば、高温部分に対応する画素が低温部分に対応する画素よりも明るく示される。
【0034】
サーモグラフィーカメラ100は、例えば、サーモグラフィー画像を連続的に生成することによって、撮影範囲における温度分布を示す動画像データを生成する。サーモグラフィーカメラ100によって生成される画像データがサーモグラフィー画像のデータであるため、周囲の明るさに拘わらず(昼夜を問わず)画像データに基づいて各牛400の状況を把握することができる。
【0035】
サーモグラフィーカメラ100によって生成された画像データは、ネットワークN1を通じてサーバ200へ送信される。すなわち、サーモグラフィーカメラ100は、通信機能を有している。サーバ200においては、受信された画像データに基づいて、撮影画像に含まれる各牛400の状況が個別に認識される。受信された画像データに基づいて各牛400を個別に認識する方法については後程詳しく説明する。例えば、サーバ200においては、各牛400の分娩兆候が個別に認識され、例えば、分娩兆候のある牛400が検出された場合にユーザの通信端末への通知が行なわれる。
【0036】
(1-1-2.コンピュータの構成)
図2は、サーバ200のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、サーバ200は、制御部210と、記憶部220と、通信モジュール230と、入出力I/F240とを含んでいる。サーバ200に含まれる各構成要素は、バスを通じて電気的に接続されている。
【0037】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211、RAM(Random Access Memory)212及びROM(Read Only Memory)213等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なうように構成されている。
【0038】
記憶部220は、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ等の補助記憶装置である。記憶部220は、例えば、制御プログラム221を記憶するように構成されている。制御プログラム221は、制御部210によって実行されるサーバ200の制御プログラムである。制御部210が制御プログラム221を実行する場合に、制御プログラム221はRAM212に展開される。そして、制御部210は、RAM212に展開された制御プログラム221をCPU211によって解釈及び実行することにより、各構成要素を制御する。
【0039】
通信モジュール230は、外部機器と通信するように構成されており、例えば、サーモグラフィーカメラ100及びユーザの通信端末の各々と通信する。通信モジュール230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)モジュール、有線LANモジュール、又は、LTE(Long Term Evolution)等の他の通信規格に準拠した通信モジュールで構成される。
【0040】
入出力I/F240は、サーバ200における入出力装置である。入出力I/F240は、例えば、キーボード、マウス及びディスプレイで構成される。
【0041】
<1-2.家畜間の境界を認識することの必要性>
上述のように、サーモグラフィーカメラ100によって生成される撮影画像は、温度分布を示す画像である。この撮影画像は可視光カメラで生成されていないため、撮影画像において牛400同士の境界が明確に視認できない場合がある。
【0042】
図3は、サーモグラフィーカメラ100によって生成された撮影画像の一例を模式的に示す図である。図4は、図3に示される撮影画像における各牛400の位置を説明するための図である。図3及び図4を参照して、サーモグラフィー画像(撮影画像)IM1には、領域T1,領域T2及び領域T3が含まれている。領域T1は牛C1に対応し、領域T2は牛C2に対応している。領域T3は、牛C3,C4に対応している。撮影画像において、領域T1,T2,T3の各々は、他の領域(背景に対応する領域)と比較して明るく示されている。例えば、各牛400の温度は背景(地面等)の温度よりも高いことが多いためである。
【0043】
牛C1,C2は、互いに接触していない。高温である牛C1,C2の間には低温である背景が含まれているため、サーモグラフィー画像IM1において牛C1,C2間の境界は明確に表われている。一方、牛C3,C4は、互いに接触している。すなわち、牛C3,C4間には背景が含まれていない。その結果、サーモグラフィー画像IM1においては、牛C3,C4が同化し、牛C3,C4間の境界が不明確になっている。
【0044】
例えば、サーモグラフィー画像IM1に基づいて各牛400の分娩兆候を判定する場合に、サーモグラフィー画像IM1に基づいて各牛400の動きを個別に認識する必要がある。この例においては、領域T1の動きを参照することによって牛C1の動きを認識することができ、領域T2の動きを参照することによって牛C2の動きを認識することができる。一方、領域T3における牛C3,C4間の境界が認識されていない状態においては、領域T3の動きに基づいて牛C3,C4の各々の動きを高精度に認識することができない。
【0045】
画像解析システム10においては、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像における牛400間の境界がサーバ200によって推定される。したがって、画像解析システム10によれば、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像に基づいて各牛400を個別に認識することができる。次に、牛400間の境界の推定方法の一例について説明する。
【0046】
サーバ200の制御部210は、サーモグラフィーカメラ100から受信された撮影画像に基づいて横プロファイルを生成し、横プロファイルに基づいて牛400間の境界を推定する。この例において、横プロファイルは、撮影画像において横方向に並ぶ複数の列(縦長の領域の一例)の各々における縦方向に並ぶ各画素の画素値の平均値によって構成されている。
【0047】
図5は、横プロファイルの一例について説明するための図である。図5を参照して、サーモグラフィー画像IM1は、横方向に並ぶ複数の列R1を含んでいる。制御部210は、各列R1において縦方向に並ぶ複数の画素の画素値の平均値を算出する。横プロファイルは、複数の列R1の各々における画素値の平均値によって構成される。
【0048】
図6は、横プロファイルに基づいて牛400間の境界を推定する手順を説明するための図である。図6を参照して、横プロファイルP1は、各列R1(図5)において縦方向に並ぶ各画素の画素値の平均値をつなぐことによって生成された波形である。牛400間の境界に対応する列R1においては、牛400間の境界以外に対応する列R1と比較して、低温の背景に対応する領域が占める割合が大きいため(高温の牛400に対応する領域が占める割合が小さいため)、縦方向に並ぶ各画素の画素値の平均値が小さくなる傾向がある。制御部210は、このような傾向を考慮して、横プロファイルP1における谷部分に牛400間の境界が存在すると推定する。
【0049】
例えば、サーモグラフィー画像IM1においては、谷部V1に境界線L1が存在すると推定され、谷部V2に境界線L2が存在すると推定され、谷部V3に境界線L3が存在すると推定される。これにより、各牛400に対応する個別の領域が推定される。サーモグラフィー画像IM1が画面表示される場合に、各境界線がサーモグラフィー画像IM1に重畳表示されてもよい。
【0050】
制御部210は、各牛400に対応する領域毎に縦方向において最も上方の位置が各牛400の尾根部であるとみなす。例えば、サーモグラフィー画像IM1においては、位置H1が牛C1(図4)の尾根部と推定され、位置H2が牛C2の尾根部と推定される。また、位置H3が牛C3の尾根部と推定され、位置H4が牛C4の尾根部と推定される。サーモグラフィー画像IM1が画面表示される場合に、尾根部の位置を強調して示すマークがサーモグラフィー画像IM1に重畳表示されてもよい。
【0051】
制御部210は、例えば、各牛400の尾根部の動きに基づいて、各牛400の分娩兆候を推定する。分娩兆候のある牛400が検出された場合に、制御部210は、例えば、ユーザの通信端末へ通知を送信するように通信モジュール230を制御する。
【0052】
<1-3.動作>
図7は、撮影画像における牛400間の境界の推定手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、通信モジュール230を通じてサーモグラフィーカメラ100から画像データが順次受信され、受信された画像データに対応する撮影画像が順次画面表示されている状態で、サーバ200の制御部210によって繰り返し実行される。
【0053】
図7を参照して、制御部210は、受信された画像データに基づいて横プロファイルを生成する(ステップS100)。制御部210は、横プロファイルにおける谷部分を検出し、各谷部分が牛400間の境界であると推定する(ステップS110)。制御部210は、推定された境界線を撮影画像に重畳表示するように入出力I/F240を制御する(ステップS120)。なお、境界線は、必ずしも撮影画像に重畳表示されなくてもよい。
【0054】
図8は、各牛400の分娩兆候の検出手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、通信モジュール230を通じてサーモグラフィーカメラ100から画像データが継続的に受信され、受信された画像データに対応する撮影画像が順次画面表示されている状態で、サーバ200の制御部210によって繰り返し実行される。
【0055】
図8を参照して、制御部210は、受信された画像データに基づいて各牛400の尾根部の位置を推定する(ステップS200)。制御部210は、各牛400の尾根部の位置を強調するマークを撮影画像に重畳表示するように入出力I/F240を制御する(ステップS210)。なお、各牛400の尾根部の位置を強調するマークは、必ずしも撮影画像に重畳表示されなくてもよい。制御部210は、尾根部の動きが所定条件を満たす牛400が存在するか否かを判定する(ステップS220)。所定条件の一例としては、所定時間における尾根部の移動量が所定量を超えることが挙げられる。所定時間及び所定量の各々は、例えば、予め定められている。
【0056】
尾根部の動きが所定条件を満たす牛400が存在しないと判定されると(ステップS220においてNO)、処理はリターンへ移行する。一方、尾根部の動きが所定条件を満たす牛400が存在すると判定されると(ステップS220においてYES)、制御部210は、当該牛400が分娩兆候を有する旨の通知をユーザの通信端末へ送信するように通信モジュール230を制御する(ステップS230)。
【0057】
<1-4.特徴>
以上のように、画像解析システム10においては、撮影画像における牛400間の境界が推定される。したがって、画像解析システム10によれば、各家畜を個別に認識することができる。
【0058】
より詳細には、画像解析システム10においては、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像が用いられる。サーモグラフィーカメラ100による撮影画像は温度分布を示すため、画像解析システム10によれば、昼夜を問わず牛400の状態を認識することができる。一方、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像においては、複数の牛400が重なる場合に複数の牛400に跨がる領域の温度が略同一となるため、隣接する複数の牛400が同化した状態で示されることがある。画像解析システム10においては、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像における牛400間の境界が推定される。したがって、画像解析システム10によれば、昼夜を問わず各牛400を個別に認識することができる。
【0059】
また、撮影画像においては、牛400が存在する位置と牛400が存在しない位置とで画素値に差が生じる。すなわち、各列R1(図5)の画素値と相関を有する横プロファイルP1(図6)は、各列R1に占める牛400の領域の大きさと相関を有する。画像解析システム10によれば、各列R1に占める牛400の領域の大きさと相関を有する横プロファイルP1に基づいて牛400間の境界が推定されるため、牛400間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0060】
より詳細には、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像においては、例えば、高温部分に対応する画素の画素値が低温部分に対応する画素の画素値よりも高くなる。牛400の温度が背景の温度よりも高いため、撮影画像において横方向に並ぶ各列R1において、牛400に対応する領域の画素値は背景に対応する領域の画素値と比較して高くなる。すなわち、各列R1の画素値と相関を有する横プロファイルP1は、各列R1に占める牛400の領域の大きさと相関を有する。牛400間の境界部分に対応する列R1における牛400の領域の大きさは、当該列R1に隣接する列R1における牛400の領域の大きさよりも小さい傾向がある。画像解析システム10によれば、各列R1に占める牛400の領域の大きさと相関を有する横プロファイルP1に基づいて牛400間の境界が推定されるため、牛400間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0061】
また、上述のように、牛400間の境界部分に対応する列R1における牛400の領域の大きさは、当該列R1に隣接する列R1における牛400の領域の大きさよりも小さい傾向がある。すなわち、横プロファイルP1において、牛400間の境界部分に対応する部分は谷になる傾向がある。画像解析システム10によれば、横プロファイルP1の谷部分が牛400間の境界であると推定されるため、牛400間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0062】
また、繋ぎ飼いされている牛400においては、頭部の移動が制限されている。一方、尾根部(前方から牛400を見た場合に最も盛り上がっている部分)の移動は比較的自由である。画像解析システム10によれば、撮影画像における尾根部の移動状態に基づいて複数の牛400の各々の分娩兆候が推定されるため、各牛400の分娩兆候を比較的高精度に推定することができる。
【0063】
[2.実施の形態2]
上記実施の形態1に従う画像解析システム10においては、撮影画像の横プロファイルに基づいて各牛400の境界が推定された。しかしながら、各牛400の境界の推定方法はこれに限定されない。本実施の形態2に従う画像解析システム10Aにおいては、各牛400の境界を推定するために、撮影画像の横プロファイル以外の情報も参照される。以下においては、主に上記実施の形態1と異なる点について説明する。
【0064】
再び図1を参照して、画像解析システム10Aは、サーモグラフィーカメラ100と、サーバ200Aとを含んでいる。サーモグラフィーカメラ100の構成は、上記実施の形態1と同様である。
【0065】
再び図2を参照して、サーバ200Aは、制御部210と、記憶部220Aと、通信モジュール230と、入出力I/F240とを含んでいる。制御部210、通信モジュール230及び入出力I/F240の各々の構成は、上記実施の形態1と同様である。
【0066】
記憶部220Aは、例えば、フラッシュメモリ又はハードディスクドライブ等の補助記憶装置である。記憶部220Aは、例えば、制御プログラム221Aを記憶するように構成されている。制御プログラム221Aは、制御部210によって実行されるサーバ200Aの制御プログラムである。制御部210が制御プログラム221Aを実行する場合に、制御プログラム221AはRAM212に展開される。そして、制御部210は、RAM212に展開された制御プログラム221AをCPU211によって解釈及び実行することにより、各構成要素を制御する。
【0067】
<2-1.境界線の補正の有効性>
図9は、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像の一部分を模式的に示す図である。図9に示されるように、この撮影画像においては、牛C5,C6が同化して領域T4として示されている。
【0068】
図10は、本実施の形態2における牛C5,C6間の境界の推定手順を説明するための図である。図10を参照して、境界線L4は、横プロファイルP2に基づいて推定されたものである。この撮影画像においては、牛C5(図9)が比較的大きく斜めになっているため、境界線L4が領域T4における実際の境界線から大きくずれている。
【0069】
サーバ200Aの制御部210は、牛400間の境界を推定する場合に、横プロファイルP2、第1輪郭線O1及び第2輪郭線O2を参照する。第1輪郭線O1は複数の牛400(牛C5,C6等)の各々の輪郭の上側部分を含み、第2輪郭線O2は複数の牛400の各々の輪郭の下側部分を含む。
【0070】
サーバ200Aの制御部210は、例えば、横プロファイルP2の谷部分が第1輪郭線O1の谷部分及び第2輪郭線O2の山部分のいずれかから横方向において所定画素数以上ずれている場合に境界線L4を補正してもよい。制御部210は、例えば、境界線L4が第1輪郭線O1の谷部分と第2輪郭線O2の山部分とを結ぶ境界線L5になるように境界線L4を補正してもよいし、境界線L4が境界線L5に近付くように境界線L4を傾けることによって境界線L4を補正してもよい。これにより、画像解析システム10Aによれば、より高精度に牛400間の境界を推定することができる。
【0071】
<2-2.動作>
図11は、撮影画像における牛400間の境界の推定手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、通信モジュール230を通じてサーモグラフィーカメラ100から画像データが順次受信され、受信された画像データに対応する撮影画像が順次画面表示されている状態で、サーバ200Aの制御部210によって繰り返し実行される。
【0072】
図11を参照して、制御部210は、受信された画像データに基づいて横プロファイルを生成する(ステップS300)。制御部210は、横プロファイルにおける谷部分を検出し、各谷部分を牛400間の仮の境界線に設定する(ステップS310)。制御部210は、仮の境界線に問題があるか否かを判定する(ステップS320)。制御部210は、例えば、横プロファイルの谷部分が第1輪郭線(複数の牛400の各々の輪郭の上側部分を含む波形)の谷部分及び第2輪郭線(複数の牛400の各々の輪郭の下側部分を含む波形)の山部分のいずれかから横方向において所定画素数以上ずれている場合に仮の境界線に問題があると判定する。なお、以下では、複数の牛400の各々の輪郭の上側部分を含む波形を「第1輪郭線」とも称し、複数の牛400の各々の輪郭の下側部分を含む波形を「第2輪郭線」とも称する。
【0073】
仮の境界線に問題があると判定されると(ステップS320においてNO)、制御部210は、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々を参照することによって仮の境界線を補正する(ステップS330)。仮の境界線に問題がないと判定されると(ステップS320においてYES)、又は、ステップS330において仮の境界線の補正が行なわれると、制御部210は、境界線を撮影画像に重畳表示するように入出力I/F240を制御する(ステップS340)。
【0074】
<2-3.特徴>
以上のように、画像解析システム10Aにおいては、撮影画像における牛400間の境界が推定される。したがって、画像解析システム10Aによれば、各家畜を個別に認識することができる。
【0075】
より詳細には、画像解析システム10Aにおいては、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像が用いられる。サーモグラフィーカメラ100による撮影画像は温度分布を示すため、画像解析システム10Aによれば、昼夜を問わず牛400の状態を認識することができる。一方、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像においては、複数の牛400が重なる場合に複数の牛400に跨がる領域の温度が略同一となるため、隣接する複数の牛400が同化した状態で示されることがある。画像解析システム10Aにおいては、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像における牛400間の境界が推定される。したがって、画像解析システム10Aによれば、昼夜を問わず各牛400を個別に認識することができる。
【0076】
また、第1輪郭線は複数の牛400の各々の輪郭の上側部分を含み、第2輪郭線は複数の牛400の各々の輪郭の下側部分を含むため、第1輪郭線及び第2輪郭線は、撮影画像における各牛400の位置と相関を有する。画像解析システム10Aによれば、横プロファイル、第1輪郭線及び第2輪郭線に基づいて牛400間の境界が推定されるため、牛400間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0077】
また、例えば、撮影画像において一部の牛400が斜めになっている場合に、横プロファイルを参照するのみでは牛400間の境界を正確に認識できないときがある。一方、第1輪郭線の谷部分と第2輪郭線の山部分とを結ぶ線が牛400間の境界を示す可能性がある。画像解析システム10Aによれば、第1輪郭線の谷部分及び第2輪郭線の山部分を参照することによって牛400間の境界が補正されるため、牛400間の境界を比較的高精度に推定することができる。
【0078】
[3.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0079】
<3-1>
上記実施の形態1,2においては、複数の牛400の前方斜め上方にサーモグラフィーカメラ100が設置された。しかしながら、サーモグラフィーカメラ100の設置位置はこれに限定されない。サーモグラフィーカメラ100は、例えば、複数の牛400の後方斜め上方に設置されてもよい。
【0080】
この場合に、制御部210は、サーモグラフィーカメラ100による撮影画像における複数の牛400の各々の尻部の位置を推定してもよい。制御部210は、例えば、複数の牛400の各々に対応する各領域においてより高温の位置を牛400の尻部と推定してもよい。制御部210は、撮影画像における各牛400の尻部の移動状態に基づいて各牛400の分娩兆候を推定してもよい。
【0081】
繋ぎ飼いされている牛400においては、頭部の移動が制限されている。一方、尻部の移動は比較的自由である。この画像解析システムによれば、撮影画像における尻部の移動状態に基づいて複数の牛400の各々の分娩兆候が推定されるため、各牛400の分娩兆候を比較的高精度に推定することができる。
【0082】
<3-2>
上記の説明においては、家畜の一例として牛400が挙げられた。しかしながら、上述の技術は牛400以外の家畜にも適用可能である。上述の技術は、例えば、豚及び鶏の各々にも適用可能である。
【0083】
<3-3>
上記実施の形態1,2において、横プロファイルは、撮影画像において横方向に並ぶ複数の列の各々における縦方向に並ぶ各画素の画素値の平均値に基づいて生成された。しかしながら、横プロファイルの生成方法はこれに限定されない。横プロファイルは、例えば、撮影画像において横方向に並ぶ複数の列の各々における縦方向に並ぶ各画素の画素値の合計に基づいて生成されてもよい。要するに、横プロファイルは、撮影画像において横方向に並ぶ複数の列の各々における画素値と相関を有していればよい。
【0084】
<3-4>
上記実施の形態2において、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々は、仮の境界線を補正するために用いられた。しかしながら、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々は、必ずしも仮の境界線を補正する目的で使用されなくてもよい。例えば、境界線の推定に横プロファイルが用いられず、第1輪郭線及び第2輪郭線の少なくともいずれか一方に基づいて境界線が推定されてもよい。また、横プロファイル、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々に基づいて複数の仮の境界線が推定され、複数の仮の境界線のいずれかが境界線として採用されてもよい。すなわち、第1輪郭線及び第2輪郭線の少なくとも一方が境界推定において補間的に用いられてもよい。
【0085】
<3-5>
また、上記実施の形態1,2においては、カメラの一例としてサーモグラフィーカメラ100が用いられた。しかしながら、サーモグラフィーカメラ100の代わりに可視カメラ(可視光カメラ)が用いられてもよい。この場合であっても、撮影画像において複数の牛400が重なった場合に類似の問題が生じる。例えば、牛400が黒毛牛である場合に、牛400が重なると、牛400の境界が不明確になる。この場合には、牛400の領域における画素値が背景における画素値よりも低くなるため、上記実施の形態1,2における方法を適用するためには、各画素の階調反転が必要になる。また、階調反転を行なわなくても、横プロファイルの山部分が境界であると判定することが可能である。さらに、可視カメラの場合には、背景に様々な物体が写り込みやすいため、撮影画像において背景部分に加工が施されてもよい。また、この場合であっても、第1輪郭線及び第2輪郭線の各々が、仮の境界線の補正に用いられてもよいし、境界線の補正において補間的に用いられてもよい。例えば、境界線の推定において、第1輪郭線の谷部分及び第2輪郭線の山部分が参照されてもよい。
【0086】
<3-6>
また、上記実施の形態1,2においては、各列R1が撮影画像の横方向に対して垂直に延びる列とされた。しかしながら、各列R1は、必ずしも撮影画像の横方向に対して垂直に延びる列でなくてもよい。例えば、複数の列R1は、撮影画像の横方向に対して垂直に延びる列に対して傾斜した列を含んでいてもよい。
【0087】
図12は、複数の列R1の一部が、サーモグラフィー画像IM1の横方向に対して垂直に延びる列に対して傾斜している例を示す図である。図12に示されるように、サーモグラフィー画像IM1の横方向の中央に位置する列R1Xは、サーモグラフィー画像IM1の横方向に対して垂直に延びている。一方、列R1X以外の列R1は、列R1Xに対して傾斜している。この例においては、サーモグラフィー画像IM1の横方向の中央部分から横方向に遠ざかる程、列R1の傾きは大きくなっている。横プロファイルP3は各列R1における画素値に基づいて生成され、境界線L6,L7,L8の各々は横プロファイルP3に基づいて生成される。
【0088】
サーモグラフィーカメラ100による撮影画像においては、サーモグラフィーカメラ100に近い部分が広く映り、サーモグラフィーカメラ100から遠い部分が狭く映る。例えば、斜め上方から複数の牛400を撮影した場合には、仮に複数の牛400が横方向に並び、各牛400が縦方向に延びるように位置していたとしても、各牛400は消失点に向かって収束する方向に傾いて撮影画像に映る。この画像解析システムによれば、複数の列R1が、横方向に対して垂直な方向に延びる列に対して傾斜した列を含むため、撮影画像における各牛400の傾きを考慮した上で牛400間の境界線を推定することができる。
【0089】
また、複数の横プロファイルに基づいて牛400間の境界線が推定されてもよい。ここで用いられる複数の横プロファイルにおいては、横プロファイル生成の前提となる列R1の傾き度合いが互いに異なっていてもよい。
【0090】
図13は、複数の横プロファイルを用いて牛400間の境界線を推定する方法を説明するための図である。図13を参照して、上部に位置する撮影画像においては、列R1が横方向に対して垂直である。各列R1の画素値に基づいて横プロファイルP4が生成されている。中央に位置する撮影画像においては、列R1が第1の傾き度合いで傾斜している。各列R1の画素値に基づいて横プロファイルP5が生成されている。下部に位置する撮影画像においては、列R1が第2の傾き度合いで傾斜している。各列R1の画素値に基づいて横プロファイルP6が生成されている。なお、第2の傾き度合いは、第1の傾き度合いよりも大きい。
【0091】
仮に、横プロファイルP4に基づいて境界線L9,L10が推定され、横プロファイルP5に基づいて境界線L11が推定され、横プロファイルP6に基づいて境界線L12が推定されたとする。この場合に、例えば、境界線L9,L10,L12が牛400間の境界線として採用される。この例においては、境界線L10,L11が横方向において互いに近い位置に存在するので、一方の境界線L10が採用されているが、境界線L10の代わりに境界線L11が採用されてもよい。このような方法によって、牛400間の境界線が推定されてもよい。これにより、各横プロファイルの利点を活かしながら、牛400間の境界を高精度に推定することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0093】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0094】
10,10A 画像解析システム、100 サーモグラフィーカメラ、200,200A サーバ、210 制御部、211 CPU、212 RAM、213 ROM、220,220A 記憶部、221,221A 制御プログラム、230 通信モジュール、240 入出力I/F、300 牛房、400 牛、C1,C2,C3,C4,C5,C6 牛、H1,H2,H3,H4 位置、IM1 サーモグラフィー画像、L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12 境界線、N1 ネットワーク、O1 第1輪郭線、O2 第2輪郭線、P1,P2,P3,P4,P5,P6 横プロファイル、R1,R1X 列、T1,T2,T3,T4 領域、V1,V2,V3 谷部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13