(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046089
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】移動検出装置および鞍乗車両
(51)【国際特許分類】
G05G 5/05 20060101AFI20240327BHJP
G05G 25/00 20060101ALI20240327BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20240327BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20240327BHJP
B62K 23/08 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
G05G5/05
G05G25/00 C
G05G1/30 B
G05G1/38
B62K23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151261
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】村田 敏一
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA32
3J070BA09
3J070BA51
3J070BA57
3J070CD13
3J070CD15
3J070DA04
3J070EA13
(57)【要約】
【課題】移動の検出精度を高める。
【解決手段】ベース10がハウジング30に対して相対的に回動すると、第1駆動部11および第2駆動部12は、第1方向F1または第2方向F2に移動する。第1弾性部材S1は駆動部11、12間に配置され、第2弾性部材S2は、第1弾性部材S1と略同じ方向に伸縮するよう配置され、第1押さえ部材21は、第1弾性部材S1および第2弾性部材S2における第2方向F2の端部に配置される。押さえ部材22、23は、第1弾性部材S1における第1方向F1の端部に配置される。中立状態においては、第1押さえ部材21は第1駆動部11とハウジング30とに当接し、第2押さえ部材22は第2駆動部12に当接し且つハウジング30に当接せず、第3押さえ部材23はハウジング30に当接し且つ第2駆動部12に当接しない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
一体に移動する第1駆動部および第2駆動部を含み、中立状態となる位置を含む移動範囲を、前記固定部材に対して相対的に、前記第1、第2駆動部が第1方向と前記第1方向に沿う方向とは反対の第2方向とに移動する移動部材と、
前記固定部材に対する前記移動部材の移動を検出する検出部と、
第1押さえ部材、第2押さえ部材および第3押さえ部材と、
前記移動部材の前記第1駆動部と前記第2駆動部との間に配置され、前記第1駆動部によって前記第1押さえ部材を介して前記第1方向に駆動され、前記第2駆動部によって前記第2押さえ部材を介して前記第2方向に駆動される第1弾性部材と、
前記第1弾性部材と略同じ方向に伸縮するように配置された第2弾性部材と、を有し、
前記第1押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第2方向の端部で且つ前記第2弾性部材における前記第2方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第1駆動部と前記固定部材とに当接し、
前記第2押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第2駆動部に当接し且つ前記固定部材に当接せず、
前記第3押さえ部材は、前記第2弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態において前記固定部材に当接し且つ、前記第2駆動部に当接しない、移動検出装置。
【請求項2】
前記第1押さえ部材、前記第2押さえ部材、前記第3押さえ部材、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材は、同軸上に配置される、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項3】
前記第2押さえ部材は、前記第1弾性部材の伸縮方向において前記第3押さえ部材の被係合部と係合する係合部を含み、前記中立状態においては、前記被係合部と前記係合部とは当接しない、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項4】
前記第1、第2駆動部の前記第2方向への移動中に、前記被係合部に前記係合部が当接することで、前記第2押さえ部材と一緒に前記第3押さえ部材が前記第2方向へ移動する、請求項3に記載の移動検出装置。
【請求項5】
前記被係合部に前記係合部が当接した状態からの前記第1、第2駆動部の前記第2方向への移動中は、前記固定部材によって前記第1押さえ部材の移動が規制されることで、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材が圧縮される、請求項4に記載の移動検出装置。
【請求項6】
前記中立状態からの前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中は、前記被係合部と前記係合部とは当接せず、前記第1押さえ部材は前記第1方向へ移動し、且つ、前記第3押さえ部材は前記第1方向へ移動しない、請求項3に記載の移動検出装置。
【請求項7】
前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中は、前記固定部材によって第3押さえ部材の移動が規制されることで、前記第2弾性部材が圧縮される、請求項6に記載の移動検出装置。
【請求項8】
前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中に、前記第2押さえ部材が前記固定部材に当接すると、前記第2押さえ部材の移動が規制され、且つ、さらに前記第1弾性部材が圧縮される、請求項7に記載の移動検出装置。
【請求項9】
前記移動部材は、回動中心を中心として回動し、
前記検出部は、前記固定部材に対する前記移動部材の回動角度を検出する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項10】
前記中立状態において、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材はいずれも圧縮状態である、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項11】
前記移動部材は、鞍乗車両のシフトペダルの操作によって移動する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の移動検出装置と、
操作されることで前記移動部材を移動させるシフトペダルと、を備える、鞍乗車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、移動検出装置および鞍乗車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定部材と移動部材とを備え、移動部材の移動を検出することで、検出対象の操作等を検出する装置が知られている。例えば、特許文献1は、2つの部材間の相対的な回転角度を検出することで、二輪車のシフトペダルの操作を検出している。
【0003】
特許文献1では、磁石保持部材(固定部材)と、磁気検出手段を保持する検出手段保持部材(移動部材)との間に圧縮コイルバネ(弾性部材)が設けられる。自動二輪車のシフトペダルの操作によって検出手段保持部材が回転し、弾性部材を弾性変形させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、弾性部材の弾性力によって、移動部材がホームポジション(中立位置)に復帰する。しかし、弾性部材は、固定部材と移動部材との間に配置されるので、中立位置でがたつきが生じ、検出精度が低下するおそれがある。
【0006】
本技術は、移動の検出精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本技術の移動検出装置は、固定部材と、一体に移動する第1駆動部および第2駆動部を含み、中立状態となる位置を含む移動範囲を、前記固定部材に対して相対的に、前記第1、第2駆動部が第1方向と前記第1方向に沿う方向とは反対の第2方向とに移動する移動部材と、前記固定部材に対する前記移動部材の移動を検出する検出部と、第1押さえ部材、第2押さえ部材および第3押さえ部材と、前記移動部材の前記第1駆動部と前記第2駆動部との間に配置され、前記第1駆動部によって前記第1押さえ部材を介して前記第1方向に駆動され、前記第2駆動部によって前記第2押さえ部材を介して前記第2方向に駆動される第1弾性部材と、前記第1弾性部材と略同じ方向に伸縮するように配置された第2弾性部材と、を有し、前記第1押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第2方向の端部で且つ前記第2弾性部材における前記第2方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第1駆動部と前記固定部材とに当接し、前記第2押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第2駆動部に当接し且つ前記固定部材に当接せず、前記第3押さえ部材は、前記第2弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態において前記固定部材に当接し且つ、前記第2駆動部に当接しない。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、移動の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】-Z側からみた移動検出装置の要部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本技術の実施の形態を説明する。
【0011】
図1、
図2は、本技術の一実施の形態に係る移動検出装置の主要部の斜視図である。
【0012】
この移動検出装置100は、例えば、鞍乗車両101に備えられる。鞍乗車両101は一例として自動二輪車であるが、これに限定されない。移動検出装置100は、鞍乗車両101のシフトペダル33の操作によって移動する移動部材としてのベース10を有する。移動検出装置100は、ベース10の移動を検出することで、実質的にシフトペダル33の操作、さらにはその操作量を検出する。一例として、クイックシフタでのペダル操作が検出される。以降、各部の方向を、
図1等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。
【0013】
移動検出装置100は、主な構成要素として、第1ハウジング31、第2ハウジング32、ベース10、第1弾性部材S1、第2弾性部材S2、第1押さえ部材21、第2押さえ部材22、第3押さえ部材23、回動軸14、マグネット15、磁気センサ36等を備える。
【0014】
第1ハウジング31と第2ハウジング32とがガスケット(不図示)を介して結合されることで、固定部材としてのハウジング30(
図4~
図6参照)が構成される。センサケース37(
図4~
図5)と第1ハウジング31と第2ハウジング32とがビスで共締め固定されている。第1ハウジング31とセンサケース37とが、移動検出装置100の外装となる。
【0015】
ベース10には回動軸14がスプライン結合されている。回動軸14は、第1ハウジング31と第2ハウジング32とに軸支されている。これにより、ベース10および回動軸14は、ハウジング30に対して相対的に、回動軸14の軸線である回動中心C1を中心として一体に回動(揺動)する。シフトペダル33は、連結部材34を介して、ベース10における+Y側に突出した被接続部13の接続穴に連結されている。シフトペダル33の操作により連結部材34が移動し、ベース10を回動させる。
【0016】
回動軸14内にマグネット15が固定される(
図2)。マグネット15は、円周方向にN極とS極とが交互に現れるように着磁されている。磁気センサ36はセンサケース37に保持され、マグネット15と対向するよう配置される。マグネット15が回動すると磁気センサ36の出力が変化する。磁気センサ36は、ハウジング30に対するベース10の移動(回動角度)を検出する検出部である。磁気センサ36の出力信号は、ハーネス35を通じて車両本体の制御部(不図示)へ供給される。
【0017】
ベース10のうち、被接続部13に対して回動軸14より-Y側の部分は、ハウジング31、32により形成される空間に収容される。当該空間に収容される部分において、ベース10は環状部を有し、環状部のうち-X側の壁部が第1駆動部11で、+X側の壁部が第2駆動部12となっている。被接続部13、駆動部11、12は一体に回動する。
【0018】
ハウジング31、32により形成される空間内で、且つ第1駆動部11と第2駆動部12との間に弾性部材S1、S2が配置される。弾性部材S1、S2は一例としてコイルスプリングであるが、これに限定されない。第1弾性部材S1と第2弾性部材S2とは、略同じ方向(概ねX軸方向)に伸縮するように配置されている。具体的には、第2弾性部材S2の内周側に第1弾性部材S1が配置されている。
【0019】
図3(a)~(c)は、-Z側からみた移動検出装置100の要部の模式図である。回動中心C1を中心とするベース10の回動方向については、-Z側からみて、時計方向をR1方向とし、反時計方向をR2方向とする。
【0020】
シフトペダル33が中立位置にあるとき、弾性部材S1、S2の付勢力によって、ベース10は、
図3(a)に示す中立状態となる。
図3(b)は、ベース10がR1方向に回動した状態を示し、
図3(c)は、ベース10がR2方向に回動した状態を示している。ベース10は、中立状態となる位置を含む移動範囲をハウジング30に対して相対的に回動する。
【0021】
ベース10が回動する際、押さえ部材21、22、23は、弾性部材S1、S2との協働により、ベース10の回動方向に応じた動作をする。以下、
図4~
図6で、押さえ部材21、22、23、弾性部材S1、S2の配置および動作を説明する。
【0022】
図4~
図6は、
図1のA-A線に沿う断面図である。
図4、
図5、
図6は、ベース10の回動位置に関し、
図3(a)、(b)、(c)にそれぞれ対応している。弾性部材S1、S2の中心軸線は共通であり、A-A線は、弾性部材S1、S2の中心軸線を含む。押さえ部材21、22、23、弾性部材S1、S2は、X軸方向に沿って、弾性部材S1、S2の中心軸線上に(同軸上に)配置されている。
【0023】
ベース10が回動することによって、駆動部11、12は第1方向F1または第2方向F2に移動する。第1方向F1は概ね+X方向であり、第2方向F2は、第1方向F1に沿う方向とは反対の概ね-X方向である。方向F1、F2は、回動中心C1を中心とする円の接線方向とほぼ一致するが、ベース10の回動角度によっては接線方向と完全に一致するとは限らない。そこで、ベース10のように回動する部材については、方向F1、F2を、回動中心C1を視点として径方向外側に駆動部11、12を見たときの駆動部11、12の移動方向、すなわち回動中心C1から見た駆動部11、12の移動方向と定義してもよい。
【0024】
駆動部11、12の移動に着目すれば、ベース10がR1方向に回動すると駆動部11、12は第1方向F1に移動し、ベース10がR2方向に回動すると駆動部11、12は第2方向F2に移動する。
【0025】
図4に示すように、第1弾性部材S1は、X軸方向において第1駆動部11と第2駆動部12との間に配置される。押さえ部材21、22、23は、ハウジング30(ハウジング31、32)により形成される空間内で、第1方向F1または第2方向F2に移動可能である。ハウジング30により形成される内壁のうち、-X側にあって+X側を向く面が受け面30aであり、+X側にあって-X側を向く面が受け面30bである。受け面30aを基準面P1とする。
【0026】
第1押さえ部材21は、第2弾性部材S2と受け面30aとの間に介在する。第1押さえ部材21は、第1弾性部材S1における第2方向F2の端部で且つ第2弾性部材S2における第2方向F2の端部に配置される。第1押さえ部材21は、第1弾性部材S1および第2弾性部材S2に固定されているが、これらに固定されることは必須でない。
【0027】
第3押さえ部材23は、第2弾性部材S2と受け面30bとの間に介在する。第3押さえ部材23は、第2弾性部材S2における第1方向F1の端部に配置されている。第3押さえ部材23は、第2弾性部材S2に固定されているが、固定されることは必須でない。
【0028】
第2押さえ部材22は、第1弾性部材S1における第1方向F1の端部に配置されている。第1弾性部材S1は、第1押さえ部材21と第2押さえ部材22とに対して固定されているが、固定されていることは必須でない。中立状態において、弾性部材S1、S2はいずれも圧縮状態である。
【0029】
第1弾性部材S1は、ベース10がR1方向に回動することによって、第1駆動部11によって第1押さえ部材21を介して第1方向F1に駆動される。また、第1弾性部材S1は、ベース10がR2方向に回動することによって、第2駆動部12によって第2押さえ部材22を介して第2方向F2に駆動される。
【0030】
第1押さえ部材21には、第2方向F2の端部に凹部が形成され、当該凹部の底面である対向面21bが第1駆動部11と対向する。第2押さえ部材22には、第1方向F1の端部に凹部が形成され、当該凹部の底面である対向面22bが第2駆動部12と対向する。
【0031】
中立状態においては、第1押さえ部材21は、第1駆動部11とハウジング30の受け面30aとに当接している。第1駆動部11は第1押さえ部材21の対向面21bに当接している。また、第2押さえ部材22は、中立状態においては第2駆動部12に当接し且つ、ハウジング30の受け面30bに当接していない。また、第3押さえ部材23は、第2駆動部12に当接することはなく、且つ、中立状態においては受け面30bに当接する。
【0032】
第2押さえ部材22の対向面22aが受け面30bと対向し、第2押さえ部材22の対向面22bが第2駆動部12と対向する。X軸方向において、受け面30aと受け面30bとの距離L1は固定値である。X軸方向において、第2駆動部12の第2方向F2の端面から受け面30aまでの距離L2は可変値である。X軸方向において、ハウジング30の受け面30bと第2押さえ部材22の対向面22bとの間隔CL1は可変値である。中立状態においては、L2<L1が成立し、且つ間隔CL1が0より大きくなるように設計されている。
【0033】
第2押さえ部材22は、段差形状の係合部22cを含む。第3押さえ部材23は、係合部22cに対応する段差形状の被係合部23bを含む。第2押さえ部材22の係合部22cは、第1弾性部材S1の伸縮方向(X軸方向)において第3押さえ部材23の被係合部23bと係合し、中立状態においては、係合部22cと被係合部23bとは当接しない。すなわち、中立状態においては、X軸方向において、係合部22cと被係合部23bとの間に0より大きい間隔CL2が生じるように設計されている。
【0034】
仮に、第2押さえ部材22と第3押さえ部材23とが一体となった「一体押さえ部材」を設け、且つ、第1弾性部材S1が存在しない構成を考える。この場合、受け面30aと受け面30bとの距離L1と、第1駆動部11と第2駆動部12との間隔とのうち、製造誤差によって短く製造された方によって、中立状態における第2弾性部材S2の状態が決まってしまう。つまり、一体押さえ部材は、多くの場合、中立状態においては受け面30bまたは第2駆動部12のいずれか片方だけに当接する。すると、第1押さえ部材21、第2弾性部材S2および一体押さえ部材は、駆動部11、12間、または受け面30a、30b間のどちらかに対して浮いた状態となる。この場合、第1押さえ部材21および一体押さえ部材に対して、ベース10またはハウジング30のがたつきやブレが生じる。
【0035】
これに対し、本実施の形態では、駆動部11、12間に介在するスプリング(第1弾性部材S1)と、受け面30a、30b間に介在するスプリング(第2弾性部材S2)とが独立しているのでがたつきが生じにくい。すなわち、第1弾性部材S1が、押さえ部材21、22間で独立して圧縮状態で介在し、第2弾性部材S2が、押さえ部材21、23間で独立して圧縮状態で介在する。従って、製造による寸法誤差を考慮して、中立状態において、L2<L1、0<CL1、0<CL2という条件が成立するように設計することで、がたつきを抑制でき、移動の検出精度が高まる。
【0036】
次に、動作を説明する。
【0037】
図5に示すように、中立状態から、駆動部11、12が第1方向F1へ移動する行程においては、第3押さえ部材23は受け面30bに当接していて、第1方向F1への移動が規制されている。一方、第1駆動部11が第1押さえ部材21を第1方向F1へ押す。第1押さえ部材21が第1方向F1へ移動することで、第1弾性部材S1からの付勢力が第2押さえ部材22に作用するので、第2押さえ部材22も第1方向F1へ移動する。やがて、第2押さえ部材22が受け面30bに当接すると、その後、第2押さえ部材22の第1方向F1への移動が規制される。その後は、第2駆動部12は、第2押さえ部材22から離れて第1方向F1へ移動する。また、中立状態から、係合部22cは被係合部23bから一層離れていき、両者が当接することはない。
【0038】
このように、中立状態からの駆動部11、12の第1方向F1への移動中は、被係合部23bは係合部22cとは当接せず、第1押さえ部材21は第1方向F1へ移動し、且つ、第3押さえ部材23は第1方向F1へ移動しない。また、受け面30bによって第3押さえ部材23の移動が規制されることで、第2弾性部材S2が圧縮される。第2押さえ部材22が受け面30bに当接すると、第1方向F1への第2押さえ部材22の移動が規制され、且つ、第1弾性部材S1が圧縮される。
【0039】
従って、第2押さえ部材22が受け面30bに当接した状態から駆動部11、12が第1方向F1へさらに移動する行程においては、第1弾性部材S1および第2弾性部材S2が共に圧縮され、反力が増加する。従って、弾性部材S1、S2の両者から、増加分の反力が第1駆動部11に作用する。
【0040】
図6に示すように、中立状態から、駆動部11、12が第2方向F2へ移動する行程においては、第2駆動部12が第2押さえ部材22を第2方向F2へ押し、やがて係合部22cが被係合部23bと当接する。その後、係合部22cが被係合部23bを押すので、第3押さえ部材23も第2方向F2へ移動する。すなわち、駆動部11、12の第2方向F2への移動中に、係合部22cが被係合部23bに当接することで、第2押さえ部材22と一緒に第3押さえ部材23が第2方向F2へ移動する。
【0041】
一方、中立状態から、駆動部11、12が第2方向F2へ移動する行程において、第1押さえ部材21は受け面30aに当接していて、第2方向F2への移動が規制されている。そのため、第1駆動部11は、第1押さえ部材21から離れて第2方向F2へ移動する。
【0042】
従って、係合部22cが被係合部23bと当接した状態から駆動部11、12が第2方向F2へさらに移動する行程においては、第1弾性部材S1および第2弾性部材S2が共に圧縮され、反力が増加する。従って、弾性部材S1、S2の両者から、増加分の反力が第2駆動部12に作用する。
【0043】
本実施の形態によれば、中立状態においては、第1押さえ部材21は第1駆動部11とハウジング30とに当接し、第2押さえ部材22は第2駆動部12に当接し且つ、ハウジング30に当接せず、第3押さえ部材23はハウジング30に当接し且つ、第2駆動部12に当接しない。すなわち、中立状態において、L2<L1、0<CL1、0<CL2という条件(
図4)が成立することで、ベース10またはハウジング30のがたつきを抑制することができる。その結果、ハウジング30に対するベース10の移動(回動角度)の検出精度を高めることができ、検出対象であるシフトペダル33の操作の検出精度を高めることができる。
【0044】
また、押さえ部材21、22、23、弾性部材S1、S2は、同軸上に配置されたので、スペース効率向上による小型化が可能となる。なお、小型化の効果を求めない場合は、これらが同軸上に配置されることは必須でない。例えば、弾性部材S1、S2は、互いに異なる軸線上に並列に配置されてもよい。あるいは、弾性部材S1、S2は、ベース10の方向F1、F2への揺動に対し、ベース10を中立状態に付勢するように配置されていればよく、並列以外の配置でもよい。また、押さえ部材22が環状に構成されることも必須でなく、押さえ部材22、23が並列に配置されてもよい。
【0045】
また、中立状態においては、係合部22cが被係合部23bとは当接しないので、押さえ部22、23間の製造誤差を吸収することができる。
【0046】
また、駆動部11、12が第1方向F1へ移動する行程においては、第2押さえ部材22が受け面30bと当接した以後、弾性部材S1、S2による増加分の反力が第1駆動部11に作用する。また、駆動部11、12が第2方向F2へ移動する行程においては、係合部22cが被係合部23bと当接した以後、弾性部材S1、S2による増加分の反力が第1駆動部11に作用する。従って、中立状態におけるのがたつきを抑制しつつ、弾性部材S1、S2による荷重変化をF1、F2の双方向の移動行程において作用させることができる。
【0047】
なお、中立状態でのベース10またはハウジング30のがたつきを抑制する観点に限れば、係合部22cおよび被係合部23bを設けることは必須でない。例えば、第3押さえ部材23の内周側で第2押さえ部材22が方向F1、F2に摺動自在に配置されてもよい。この場合、駆動部11、12が第2方向F2へ移動する行程においては、第3押さえ部材23は移動しないので、第2弾性部材S2による反力の増加分は生じない。
【0048】
なお、操作や移動の検出対象としてシフトペダル33を例示したが、これに限定されない。言い換えると、ベース10は、他の検出対象である部材の操作や移動によって移動してもよい。
【0049】
なお、ベース10として、回動移動するものを例示したが、これに限らない。例えば、第1押さえ部材21や第2押さえ部材22を駆動する駆動部11、12の移動方向が直進移動となるようなベース10であってもよい。
【0050】
以上、本技術をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本技術はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この技術の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本技術に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10 ベース、 11 第1駆動部、 12 第2駆動部、 21 第1押さえ部材、 22 第2押さえ部材、 23 第3押さえ部材、 30 ハウジング、 31 第1ハウジング、 32 第2ハウジング、 36 磁気センサ、 F1 第1方向、 F2 第2方向、 S1 第1弾性部材、 S2 第2弾性部材
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
一体に移動する第1駆動部および第2駆動部を含み、中立状態となる位置を含む移動範囲を、前記固定部材に対して相対的に、前記第1、第2駆動部が第1方向と前記第1方向に沿う方向とは反対の第2方向とに移動する移動部材と、
前記固定部材に対する前記移動部材の移動を検出する検出部と、
第1押さえ部材、第2押さえ部材および第3押さえ部材と、
前記移動部材の前記第1駆動部と前記第2駆動部との間に配置され、前記第1駆動部によって前記第1押さえ部材を介して前記第1方向に駆動され、前記第2駆動部によって前記第2押さえ部材を介して前記第2方向に駆動される第1弾性部材と、
前記第1弾性部材と略同じ方向に伸縮するように配置された第2弾性部材と、を有し、
前記第1押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第2方向の端部で且つ前記第2弾性部材における前記第2方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第1駆動部と前記固定部材とに当接し、
前記第2押さえ部材は、前記第1弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態においては前記第2駆動部に当接し且つ前記固定部材に当接せず、
前記第3押さえ部材は、前記第2弾性部材における前記第1方向の端部に配置され、前記中立状態において前記固定部材に当接し且つ、前記第2駆動部に当接しない、移動検出装置。
【請求項2】
前記第1押さえ部材、前記第2押さえ部材、前記第3押さえ部材、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材は、同軸上に配置される、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項3】
前記第2押さえ部材は、前記第1弾性部材の伸縮方向において前記第3押さえ部材の被係合部と係合する係合部を含み、前記中立状態においては、前記被係合部と前記係合部とは当接しない、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項4】
前記第1、第2駆動部の前記第2方向への移動中に、前記被係合部に前記係合部が当接することで、前記第2押さえ部材と一緒に前記第3押さえ部材が前記第2方向へ移動する、請求項3に記載の移動検出装置。
【請求項5】
前記被係合部に前記係合部が当接した状態からの前記第1、第2駆動部の前記第2方向への移動中は、前記固定部材によって前記第1押さえ部材の移動が規制されることで、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材が圧縮される、請求項4に記載の移動検出装置。
【請求項6】
前記中立状態からの前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中は、前記被係合部と前記係合部とは当接せず、前記第1押さえ部材は前記第1方向へ移動し、且つ、前記第3押さえ部材は前記第1方向へ移動しない、請求項3に記載の移動検出装置。
【請求項7】
前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中は、前記固定部材によって第3押さえ部材の移動が規制されることで、前記第2弾性部材が圧縮される、請求項6に記載の移動検出装置。
【請求項8】
前記第1、第2駆動部の前記第1方向への移動中に、前記第2押さえ部材が前記固定部材に当接すると、前記第2押さえ部材の移動が規制され、且つ、さらに前記第1弾性部材が圧縮される、請求項7に記載の移動検出装置。
【請求項9】
前記移動部材は、回動中心を中心として回動し、
前記検出部は、前記固定部材に対する前記移動部材の回動角度を検出する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項10】
前記移動部材には回動軸が結合され、前記回動中心は前記回動軸の軸線と一致し、前記移動部材及び前記回動軸は、前記回動中心を中心として一体に回動し、
マグネットが前記回動軸と同軸に配置される、請求項9に記載の移動検出装置。
【請求項11】
前記移動部材には回動軸が結合され、前記回動中心は前記回動軸の軸線と一致し、前記移動部材及び前記回動軸は、前記回動中心を中心として一体に回動し、
前記回動軸にはマグネットが一体的に設けられる、請求項9に記載の移動検出装置。
移動検出装置。
【請求項12】
前記中立状態において、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材はいずれも圧縮状態である、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項13】
前記移動部材は、鞍乗車両のシフトペダルの操作によって移動する、請求項1に記載の移動検出装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の移動検出装置と、
操作されることで前記移動部材を移動させるシフトペダルと、を備える、鞍乗車両。