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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046092
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】展開図作成装置および展開図作成方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
G01C15/00 104A
G01C15/00 103A
G01C15/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151268
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和朋
(72)【発明者】
【氏名】杉山 史典
(72)【発明者】
【氏名】落合 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直樹
(57)【要約】
【課題】トンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能な展開図作成装置を提供する。
【解決手段】
展開図作成装置は、トンネルの中心軌跡を算出する中心軌跡算出部と、トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行う変換部と、変換部により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する展開図生成部とを備える。中心軌跡算出部は、3次元点群データのうちのトンネルの軸方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出し、抽出した区間点群データを基準面に投影し、投影した区間点群データに基づいてトンネルの所定区間毎の中心点を算出し、算出された中心点に基づいて中心軌跡を算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの中心軌跡を算出する中心軌跡算出部と、
前記トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行う変換部と、
前記変換部により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する展開図生成部とを備え、
前記中心軌跡算出部は、
前記3次元点群データのうちの前記トンネルの軸方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出し、
抽出した区間点群データを基準面に投影し、
投影した区間点群データに基づいて前記トンネルの所定区間毎の中心点を算出し、
算出された中心点に基づいて前記中心軌跡を算出する、展開図作成装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記3次元点群データの各々から前記トンネルの中心軌跡に垂線を下ろし、基準位置から垂線の足の位置までの中心軌跡上の通算距離と、垂線の足から基準方向を基準として見た前記3次元点群データの各々の方向角とに基づく2次元平面に配置する座標変換テーブルを生成する、請求項1記載の展開図作成装置。
【請求項3】
前記展開図生成部は、前記座標変換テーブルに基づいて前記3次元点群データに対して各座標軸の座標を2次元平面に配置する座標変換ファイルを生成する、請求項2記載の展開図作成装置。
【請求項4】
前記展開図生成部は、前記トンネルの壁面を撮影して得られた画像の画素のピクセル座標と前記3次元点群データの各々との対応付けを行い、対応する画素値を前記2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する、請求項1記載の展開図作成装置。
【請求項5】
前記3次元点群データは、反射強度値を含み、
前記展開図生成部は、対応する反射強度値を前記2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する、請求項1記載の展開図作成装置。
【請求項6】
前記トンネルの中心軌跡に基づく比較対象となる基準トンネルの3次元点群データを生成するデータ生成部をさらに備え、
前記展開図生成部は、前記データ生成部で生成した基準トンネルの3次元点群データおよび前記変換部により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する、請求項1記載の展開図作成装置。
【請求項7】
トンネルの中心軌跡を算出するステップと、
前記トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行うステップと、
前記座標変換されたデータに基づいて展開図を生成するステップとを備え、
前記中心軌跡を算出するステップは、
前記3次元点群データのうちの前記トンネルの進行方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出するステップと、
抽出した区間点群データを基準面に投影するステップと、
投影した区間点群データに基づいて前記トンネルの所定区間毎の中心点を算出するステップと、
算出された中心点に基づいて前記中心軌跡を算出するステップとを含む、展開図作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トンネル壁面の展開図に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルの維持管理においては、コンクリートの落下や崩落事故を未然に防ぐため、その覆工面におけるクラック(ひび)や浮き形状、剥がれ、荷重による凹凸変位などの変状について把握することが求められている。しかしながら、トンネルの断面サイズは車両が通行できるほどに大きく、天端部も高いため、一断面の調査を行うだけでも困難であり、ましてトンネル全区間に亘る変状の調査には、膨大な手間を要する。そこで、変状箇所を容易に把握するため、トンネル内壁を撮影して得られる画像を利用する技術が提案されている。具体的には、トンネル内を走行する走行車両からトンネル壁面をカメラで撮影し、その画像を合成して得られる展開図によって変状を評価する技術が種々提案されている(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3867025号公報
【特許文献2】特開2012-220471号公報
【特許文献3】特開2019-20348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、トンネル内を走行する走行車両はトンネル内の左右に偏る可能性があるため、トンネル内をバランスよく解析して展開図を作成するに際しトンネルの中心線を正しく設定することは重要である。
【0005】
本開示は、トンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能な展開図作成装置および展開図作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の展開図作成装置は、トンネルの中心軌跡を算出する中心軌跡算出部と、トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行う変換部と、変換部により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する展開図生成部とを備える。中心軌跡算出部は、3次元点群データのうちのトンネルの軸方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出し、抽出した区間点群データを基準面に投影し、投影した区間点群データに基づいてトンネルの所定区間毎の中心点を算出し、算出された中心点に基づいて中心軌跡を算出する。
【0007】
好ましくは、変換部は、3次元点群データの各々からトンネルの中心軌跡に垂線を下ろし、基準位置から垂線の足の位置までのトンネルの中心軌跡上の通算距離と、垂線の足から見た3次元点群データの各々の方向角とに基づく2次元平面に配置する座標変換テーブルを生成する。
【0008】
好ましくは、展開図生成部は、座標変換テーブルに基づいて3次元点群データに対して各座標軸の座標を2次元平面に配置する座標変換ファイルを生成する。
【0009】
好ましくは、展開図生成部は、トンネルの壁面を撮影して得られた画像の画素のピクセル座標と3次元点群データの各々との対応付けを行い、対応する画素値を2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する。
【0010】
好ましくは、3次元点群データは、反射強度値を含む。展開図生成部は、対応する反射強度値を2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する。
【0011】
好ましくは、トンネルの中心軌跡に基づく比較対象となる基準トンネルの3次元点群データを生成するデータ生成部をさらに備える。展開図生成部は、データ生成部で生成した基準トンネルの3次元点群データおよび変換部により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する。
【0012】
本開示の展開図作成方法は、トンネルの中心軌跡を算出するステップと、トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行うステップと、座標変換されたデータに基づいて展開図を生成するステップとを備える。中心軌跡を算出するステップは、3次元点群データのうちのトンネルの進行方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出するステップと、抽出した区間点群データを基準面に投影するステップと、投影した区間点群データに基づいてトンネルの所定区間毎の中心点を算出するステップと、算出された中心点に基づいて中心軌跡を算出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示の展開図作成装置および展開図作成方法は、トンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に従う展開図の概要を説明する図である。
図2】実施形態1に従う展開図作成装置1のハードウェアについて説明する図である。
図3】実施形態1に従う展開図作成装置1の展開図生成処理のフロー図である。
図4】実施形態1に従う計測点について説明する図である。
図5】実施形態1に従うメモリ2に格納されている複数の計測点の情報について説明する図である。
図6】実施形態1に従う中心軌跡算出部12の中心軌跡算出処理について説明するフロー図である。
図7】実施形態1に従う中心軌跡算出処理の具体例について説明する図である。
図8】実施形態1に従う変換部14の座標変換処理について説明するフロー図である。
図9】実施形態1に従う座標変換処理の具体例について説明する図である。
図10】実施形態1に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
図11】実施形態1に従う投影面ファイルの生成の具体例について説明する図である。
図12】実施形態1に従う展開図生成処理の具体例について説明する図である。
図13】実施形態2に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
図14】実施形態2に従う展開図生成処理の具体例について説明する図である。
図15】実施形態3に従うデータ生成部18のデータ生成処理について説明するフロー図である。
図16】実施形態3に従うデータ生成処理の具体例について説明する図である。
図17】実施形態3に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
図18】実施形態3に従う第1投影面ファイルの生成について説明する図である。
図19】実施形態3に従う第2投影面ファイルの生成について説明する図である。
図20】実施形態3に従う展開図(段彩図)について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0016】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に従う展開図の概要を説明する図である。
【0017】
図1(A)を参照して、本例においては、計測車両がトンネルを走行し、走行した際にトンネルの壁面を計測した3次元点群データを取得する。
【0018】
本例においては、取得した3次元点群データ(計測点)に基づいてトンネルの中心軌跡を算出する。
【0019】
展開図は、2次元平面(X軸およびY軸)で構成され、本例における展開図は、算出した中心軌跡の基準位置からの距離をX軸に設定する。
【0020】
図1(B)を参照して、トンネルの横断面が示されている。
【0021】
後述するが展開図は、中心軌跡に直交する水平線を基準とした方向角θをY軸に設定する。一例として水平線の左側方向を基準として時計回り方向を正、反時計回りを負とする場合について説明する。水平線の左側方向を基準となる方向角0°として、真上方向が90°、真下方向が-90°、水平性の右側方向を180°(-180°)とする。
【0022】
図2は、実施形態1に従う展開図作成装置1のハードウェアについて説明する図である。
【0023】
図2を参照して展開図作成装置1は、メモリ2と、表示部4と、通信インタフェース6と、CPU(Central Processing Unit)10とを含む。
【0024】
メモリ2には、トンネル壁面(トンネル内壁)を撮影して得られた画像と、当該トンネル壁面をレーザスキャナ計測して得られたレーザ点群の3次元点群データ(計測点)とを記憶している。また、メモリ2には、各種プログラムが格納されており、当該プログラムに基づいてCPU10は各種の機能ブロックを実現する。なお、レーザ点群の3次元点群データは、複数の計測点のデータであり、後述するように各計測点のデータは、トンネル壁面の座標値及び反射強度値を有している。
【0025】
表示部4は、ディスプレイである。
【0026】
通信インタフェース6は、ネットワークを介して図示しない外部のサーバと通信接続が可能に設けられている。一例として、通信インタフェース6は、メモリ2に格納されているデータについて外部のサーバから取得するようにしてもよい。
【0027】
CPU10は、中心軌跡算出部12と、変換部14と、展開図生成部16と、データ生成部18とを含む。
【0028】
中心軌跡算出部12は、トンネルの中心軌跡を算出する。具体的には、中心軌跡算出部12は、3次元点群データ(計測点)のうちのトンネルの軸方向に対して所定区間毎に含まれる区間点群データを抽出し、抽出した区間点群データを基準面に投影し、投影した区間点群データに基づいてトンネルの所定区間毎の中心点を算出し、算出された中心点に基づいて中心軌跡を算出する。
【0029】
変換部14は、トンネルの壁面を計測した3次元点群データを算出された中心軌跡に基づく2次元平面に配置する座標変換を行う。具体的には、変換部14は、3次元点群データの各々からトンネルの中心軌跡に垂線を下ろし、基準位置から垂線の足の位置までの中心軌跡上の距離と、垂線の足から基準方向を基準として見た3次元点群データの各々の方向角とに基づく2次元平面に配置する座標変換テーブルを生成する。方向角は、基準方向(左側方向)である水平線と垂線との夾角に相当する。
【0030】
展開図生成部16は、変換部14により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する。展開図生成部16は、座標変換テーブルに基づいて3次元点群データに対して各座標軸の座標を2次元平面に配置する座標変換ファイルを生成する。展開図生成部16は、トンネルの壁面を撮影して得られた画像の画素のピクセル座標と3次元点群データの各々との対応付けを行い、対応する画素値を2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する。
【0031】
また、3次元点群データは、反射強度値を含み、展開図生成部16は、対応する反射強度値を2次元平面における対応する位置に割り当てて展開図を生成する。
【0032】
データ生成部18は、トンネルの中心軌跡に基づく比較対象となる基準トンネルの3次元点群データを生成する。
【0033】
展開図生成部16は、データ生成部18で生成した基準トンネルの3次元点群データおよび変換部14により座標変換されたデータに基づいて展開図を生成する。
【0034】
図3は、実施形態1に従う展開図作成装置1の展開図生成処理のフロー図である。
【0035】
図3を参照して、展開図作成装置1は、メモリ2から3次元点群データ(計測点)および画像データを取得する(ステップS2)。
【0036】
次に、展開図作成装置1は、トンネルの中心軌跡を算出する処理を実行する(ステップS4)。当該処理の詳細については後述する。
【0037】
次に、展開図作成装置1は、座標変換処理を実行する(ステップS6)。当該処理の詳細については後述する。
【0038】
次に、展開図作成装置1は、展開図生成処理を実行する(ステップS8)。当該処理の詳細については後述する。
【0039】
そして、処理を終了する(エンド)。
【0040】
図4は、実施形態1に従う計測点について説明する図である。
【0041】
図4を参照して、トンネルの壁面42をレーザスキャナ計測して得られる複数の計測点7が示されている。各計測点7のデータは、トンネルの壁面42の計測点7の位置を示す3次元座標値(x,y,z)と、レーザスキャナ計測時に取得される照度パルスの反射強度値(I)とを有している。反射強度値は、壁面表面計測点のレーザ強度の反射率を表す値であり、可視光の反射率に対応する画像の画素強度と相関を有する。具体的には、高い反射率が得られた計測点7においては、レーザ光の反射強度が高く、かつ、画像が明るくなる。
【0042】
計測車両などの移動体をトンネル内にて走行させながら、周囲の対象空間の3次元形状を取得する3次元形状計測システムであるモービルマッピングシステムによって計測する。モービルマッピングシステムでは、GPS(Global Positioning System)と、ジャイロスコープ等の慣性航法装置と、車速パルスから移動距離算出するオドメトリ装置といった測位機器と、レーザスキャナとを、移動体に搭載して、周囲の地物の座標値を3次元点群データとして取得する。なお、トンネル内ではGPS測位ができないが、慣性航法装置とオドメトリとを用いた測位と、トンネル前後のGPS計測値とを参照することで、トンネル内でも正確な3次元座標値を取得することが可能である。
【0043】
例えば、GPSと慣性航法装置とにより計測車両の位置と姿勢とを正確に計測するとともに、レーザスキャナにより対象物までの変位を計測し、これら計測データを加算することによって、レーザパルスが照射された地点の上述の3次元座標を取得する。この際、レーザスキャナは、距離計測方向であるレーザパルスの照射方向をその回転面内で回転させながら順次照射し、照射方向に存在する物体までの間の距離を計測する。計測車両を進行させながらレーザパルスの照射による計測を実行することで、対象空間にわたる3次元点群データが取得される。なお、他の計測装置、例えば、据え置き型のレーザスキャナやトータルステーションなどの計量機器を用いて3次元点群データを取得するようにしてもよい。
【0044】
図5は、実施形態1に従うメモリ2に格納されている複数の計測点の情報について説明する図である。
【0045】
図5を参照して、ここでは、計測点7はK個あるとし、そのk(k=1,2,… ,K)番目の計測点7(Pk)のデータは、その3次元座標(xk,yk,zk)に反射強度値(Ik)を加えた(xk,yk,zk,Ik)の情報を有するものとする。x,y,zは、例えば平面直角座標系である。
【0046】
図6は、実施形態1に従う中心軌跡算出部12の中心軌跡算出処理について説明するフロー図である。
【0047】
図6を参照して、中心軌跡算出部12は、区間分割処理を実行する(ステップS10)。
【0048】
図7は、実施形態1に従う中心軌跡算出処理の具体例について説明する図である。
【0049】
図7(A)を参照して、計測車両の走行軌跡データと、3次元点群データ(計測点)とが示されている。本例においては、中心軌跡算出部12は、車両の走行軌跡データに基づいて区間を分割する。一例として、所定距離毎に複数区間に分割する。
【0050】
次に、中心軌跡算出部12は、区間に対応してバッファポリゴン領域を生成する(ステップS12)。本例においては、一例として計測車両の走行軌跡データとして所定距離毎に点E1、点E2、点E3と移動した場合が示されている。一例として、点E1と点E2とに基づく区間線を設定する。次に、図7(B)に示されるように区間線を基準とした平行掃引処理によりバッファポリゴン領域を生成する。
【0051】
次に、中心軌跡算出部12は、区間点群データを抽出する(ステップS14)。具体的には、中心軌跡算出部12は、図7(C)に示されるように生成したバッファポリゴン領域に含まれる3次元点群データを区間点群データとして抽出する。当該処理により対象とする3次元点群データを特定することが可能である。
【0052】
次に、中心軌跡算出部12は、基準面に投影する(ステップS16)。具体的には、図7(D)に示されるように中心軌跡算出部12は、区間線に垂直な面を基準面に設定し、当該基準面に区間点群データを投影する。
【0053】
次に、中心軌跡算出部12は、楕円パラメータを算出する(ステップS18)。具体的には、図7(E)に示されるように中心軌跡算出部12は、投影されたデータに対して最小二乗法を用いて楕円パラメータを算出する。この点で、楕円中心点Oと、第一半径R1と、第二半径R2と、回転角θrを算出する。算出された楕円パラメータは、各区間に対応してメモリ2に格納される。
【0054】
次に、中心軌跡算出部12は、中心点を抽出する(ステップS20)。中心軌跡算出部12は、算出した楕円パラメータのうち中心点Oを抽出する。
【0055】
次に、中心軌跡算出部12は、全区間の処理が終了したか否かを判断する(ステップS22)。分割した複数の区間の全区間において同様の処理が終了したか否かを判断する。
【0056】
ステップS22において、中心軌跡算出部12は、全区間の処理が終了していないと判断した場合(ステップS22においてNO)には、ステップS12に戻り、次の区間のバッファポリゴン領域を生成する(ステップS12)。例えば点E2と点E3とに基づく区間線を設定し、区間線を基準とした平行掃引処理によりバッファポリゴン領域を生成する。以降の処理については同様である。
【0057】
一方、ステップS22において、中心軌跡算出部12は、全区間の処理が終了したと判断した場合(ステップS22においてYES)には、中心軌跡を算出する(ステップS24)。具体的には、各区間毎に抽出した中心点Oに基づいて中心軌跡を算出する。
【0058】
次に、処理を終了する(リターン)。
【0059】
図8は、実施形態1に従う変換部14の座標変換処理について説明するフロー図である。
【0060】
図8を参照して、変換部14は、区間分割処理を実行する(ステップS30)。
【0061】
図9は、実施形態1に従う座標変換処理の具体例について説明する図である。
【0062】
図9(A)を参照して、中心軌跡を構成する算出した中心点Oと、計測点とが示されている。本例においては、一例として中心軌跡データとして所定距離毎に点O1、点O2、点O3、点O4が示されている。本例においては、変換部14は、中心点Oに基づいて区間を分割する。一例として、所定距離毎に複数区間に分割する。
【0063】
次に、変換部14は、区間に対応してバッファポリゴン領域を生成する(ステップS32)。一例として、点O1と点O2とに基づく区間線を設定する。図9(B)に示されるように区間線を基準とした平行掃引処理によりバッファポリゴン領域を生成する。本例においては、当該バッファポリゴン領域に計測点P1とP2とが含まれている場合が示されている。
【0064】
次に、変換部14は、区間線に対する垂線を生成する(ステップS34)。具体的には、図9(C)に示されるように計測点P1、P2から区間線への垂線を生成する。
【0065】
次に、変換部14は、垂線と区間線との垂線の足(交点)を算出する(ステップS36)。具体的には、図9(D)に示されるように計測点P1、P2から区間線への垂線による垂線の足(交点)F1、F2を算出する。これにより、垂線の足(交点)F1、F2の3次元座標値(x、y、z)を取得することが可能である。
【0066】
例えば、垂線の足(交点)F1のxy座標は点と直線の距離の公式により算出し、z座標は区間線O1-O2を一辺にもつ直角三角形と、点O1と点F1とを一辺にもつ直角三角形の比により次式により算出する。
【0067】
【数1】
【0068】
【数2】
【0069】
次に、変換部14は、基準位置から垂線の足(交点)までの通算距離Dと方向角θを算出する(ステップS38)。具体的には、変換部14は、図9(E)に示されるように点O1から垂線の足(交点)F1までの通算距離D1および点O1から垂線の足(交点)F2までの通算距離D2を算出する。また、変換部14は、垂線の足(交点)F1、F2から水平線の左側方向を基準として計測点P1、P2を見た方向角θ1、θ2を算出する。
【0070】
次に、変換部14は、垂線の長さTを算出する(ステップS40)。具体的には、変換部14は、図9(E)に示されるように計測点P1から交点F1までの長さT1および計測点P2から交点F2までの長さT2を算出する。
【0071】
次に、変換部14は、座標変換テーブルを生成する(ステップS42)。具体的には、変換部14は、図9(F)に示されるように計測点Pにそれぞれ対応する通算距離D、方向角θ、計測点Pのx座標、計測点Pのy座標、計測点Pのz座標、反射強度値I、垂線の長さTに基づく座標変換テーブルを生成する。なお、本例においては、反射強度値I、垂線の長さTを座標変換テーブルに含める場合について説明するが、当該データを含めないようにしてもよい。
【0072】
次に、変換部14は、全区間において座標変換テーブルの生成の処理を終了したか否かを判断する(ステップS44)。
【0073】
ステップS44において、変換部14は、全区間において座標変換テーブルの生成の処理が終了していないと判断した場合(ステップS44においてNO)には、ステップS32に戻り、次の区間のバッファポリゴン領域を生成する(ステップS32)。例えば点O2と点O3とに基づく区間線を設定し、区間線を基準とした平行掃引処理によりバッファポリゴン領域を生成する。以降の処理については同様である。
【0074】
一方、ステップS44において、変換部14は、全区間において座標変換テーブルの生成の処理が終了したと判断した場合(ステップS44においてYES)には、処理を終了する(リターン)。
【0075】
図10は、実施形態1に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
【0076】
図10を参照して、展開図生成部16は、投影面ファイルを生成する(ステップS50)。
【0077】
図11は、実施形態1に従う投影面ファイルの生成の具体例について説明する図である。
【0078】
図11(A)を参照して、図9(F)で説明した座標変換テーブルが示されている。
【0079】
展開図生成部16は、座標変換テーブルにおいて通算距離D、方向角θ、計測点Pのx座標、計測点Pのy座標、計測点Pのz座標のデータを抽出する。
【0080】
当該抽出したデータに基づいて3次元の各座標軸について2次元平面に配置する投影面ファイルを生成する。ここでは、各座標軸にそれぞれに対応した投影面ファイルを生成する。具体的には、3次元点群データx座標、3次元点群データy座標、3次元点群データz座標にそれぞれ対応した投影面ファイルを生成する。
【0081】
図11(B)を参照して、各座標軸に対応して縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面のマトリックスを生成する。マトリックスの対応する位置に各座標軸の座標を設定する。方向角θの範囲は-180°~180°である。通算距離Dの範囲は点O1を基準位置とした基準位置~点O2までの距離である。
【0082】
次に、図11(C)を参照して、2次元平面のマトリックスに対してグリッド化を行う。本例においては、一例としてメッシュ間隔0.5としてグリッド化を行う場合が示されている。本例においては、2次元平面のマトリックスの一部として通算距離Dの範囲として3.0~4.0、方向角θの範囲として-1.5~1.5のデータがそれぞれ示されている。
【0083】
各区間毎に上記処理を実行して各座標軸について2次元平面に配置する投影面ファイルを生成する。
【0084】
図11(D)に示されるように、各区間毎に生成した投影面ファイルを繋げてトンネル全体の各座標軸についての投影面ファイルを生成するようにしてもよい。
【0085】
その場合、通算距離Dは、点O1を基準位置とした距離として設定することが可能である。
【0086】
次に、展開図生成部16は、処理対象領域を設定する(ステップS51)。
【0087】
図12は、実施形態1に従う展開図生成処理の具体例について説明する図である。
【0088】
図12(A)を参照して、実座標から処理対象領域を設定する。
【0089】
トンネルの壁面を撮影して得られた画像は、画像データに関連付けられた撮影情報を含む。撮影情報は、撮影位置の情報(xc,yc,zc)と、同一の座標系を基準とする3軸の姿勢情報(ω,φ,κ)の情報とを含む。
【0090】
作成した投影面ファイルの実座標と画像の撮影情報とを比較し、最も近い地点から通算距離D、方向角θに任意のバッファを生成し、バッファ内に含まれた領域を処理対象領域として設定する。
【0091】
次に、展開図生成部16は、内挿補完処理を実行する(ステップS52)。
【0092】
図12(B)に示されるように、任意のメッシュ間隔で処理対象領域に対して各座標を内挿する。内挿補間後の実座標xk,yk,zkに対して座標Sk、θkが対応付けられる。
【0093】
次に、展開図生成部16は、対応付け処理を実行する(ステップS53)。
【0094】
図12(C)に示されるように、投影面ファイルの任意の実座標(x,y,z)と、画像の撮影情報(撮影位置の情報(xc,yc,zc)と姿勢情報(ω、φ、κ))とに基づいて、写真測量における次式の共線条件式により、実座標(x,y,z)に対応する画像のピクセル座標(u,v)を算出する対応付け処理を実行する。これにより、実座標(x,y,z)に対応する画像のピクセル座標(u,v)との対応付けができる。なお、fは、焦点距離であり予め設定された定数である。
【0095】
【数3】
【0096】
【数4】
【0097】
【数5】
【0098】
次に、展開図生成部16は、画素値を割り当てる(ステップS54)。
【0099】
図12(D)に示されるように内挿補完処理された処理対象領域の実座標に対応する位置に画像のピクセル座標の画素値を割り当てる。
【0100】
次に、展開図生成部16は、全領域を処理対象領域に設定したか否かを判断する(ステップS55)。
【0101】
ステップS55において、展開図生成部16は、全領域を処理対象領域に設定していないと判断した場合(ステップS55においてNO)には、ステップS51に戻り、次の処理対象領域を設定して、上記処理を繰り返す。
【0102】
一方、ステップS55において、展開図生成部16は、全領域を処理対象領域に設定したと判断した場合(ステップS55においてYES)には、全画像に対してオルソ化処理を実行する(ステップS56)。
【0103】
図12(E)に示されるようにオルソ化処理により正射投影により歪みを補正する。
【0104】
次に、展開図生成部16は、オルソ化処理された全画像を貼り合わせる(ステップS57)。
【0105】
そして、処理を終了する(リターン)。
【0106】
図12(F)に示されるようにオルソ画像を貼り合わせて展開図を生成する。
【0107】
上記処理により、トンネルの中心軌跡を算出して、トンネルの中心線を正しく設定することが可能であるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図(写真画像)を作成することが可能である。
【0108】
また、展開図は、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面である。通算距離Dは点O1を基準位置とした距離であり、標高値も考慮して計算されるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能である。
【0109】
(実施形態2)
上記の実施形態1においては、画像の画素値を割り当てた2次元平面の展開図の生成について説明した。実施形態2においては、反射強度値を割り当てた2次元平面の展開図の生成について説明する。
【0110】
図13は、実施形態2に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
【0111】
図13を参照して、展開図生成部16は、投影面ファイルを生成する(ステップS60)。
【0112】
図14は、実施形態2に従う展開図生成処理の具体例について説明する図である。
【0113】
図14(A)を参照して、図9(F)で説明した座標変換テーブルが示されている。
【0114】
展開図生成部16は、座標変換テーブルにおいて通算距離D、方向角θ、計測点Pの反射強度値Iのデータを抽出する。当該抽出したデータに基づいて2次元平面に配置する投影面ファイルを生成する。
【0115】
図14(B)を参照して、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面のマトリックスを生成する。マトリックスの対応する位置に反射強度値を設定する。方向角θの範囲は-180°~180°である。通算距離Dの範囲は点O1を基準位置とした基準位置~点O2までの距離である。
【0116】
図14(C)を参照して、2次元平面のマトリックスに対してグリッド化を行う。本例においては、一例としてメッシュ間隔0.5としてグリッド化を行う場合が示されている。本例においては、2次元平面のマトリックスの一部として通算距離Dの範囲として3.0~4.0、方向角θの範囲として-1.5~1.5のデータがそれぞれ示されている。
【0117】
各区間毎に上記処理を実行して投影面ファイルを生成する。
【0118】
次に、展開図生成部16は、反射強度値を割り当てる(ステップS62)。
【0119】
具体的には、展開図生成部16は、反射強度値に応じた画素値を割り当てる。
【0120】
次に、展開図生成部16は、全区間の処理を終了したか否かを判断する(ステップS64)。
【0121】
ステップS64において、展開図生成部16は、全区間の処理を終了していないと判断した場合(ステップS64においてNO)には、ステップS60に戻り、次の区間の投影面ファイルを生成する。そして、上記処理を繰り返す。
【0122】
一方、ステップS64において、展開図生成部16は、全区間の処理を終了したと判断した場合(ステップS64においてYES)には、全画像を貼り合わせる(ステップS66)。そして、処理を終了する(リターン)。
【0123】
図14(D)に示されるように反射強度値に応じた画素値の展開図を生成する。
【0124】
上記処理により、トンネルの中心軌跡を算出して、トンネルの中心線を正しく設定することが可能であるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図(反射強度画像)を作成することが可能である。
【0125】
また、展開図は、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面である。通算距離Dは点O1を基準位置とした距離であり、標高値も考慮して計算されるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能である。
【0126】
(実施形態3)
実施形態2においては、反射強度値を割り当てた2次元平面の展開図の生成について説明した。実施形態3においては、トンネル断面の2次元平面の展開図(段彩図)の生成について説明する。
【0127】
図15は、実施形態3に従うデータ生成部18のデータ生成処理について説明するフロー図である。
【0128】
図15を参照して、データ生成部18は、区間毎に算出した楕円パラメータを取得する(ステップS72)。具体的には、メモリ2には、上記した中心軌跡算出処理により各区間毎に算出した楕円パラメータが格納されている。データ生成部18は、当該楕円パラメータである楕円中心点Oと、第一半径R1と、第二半径R2と、回転角θrを取得する。
【0129】
データ生成部18は、楕円パラメータと区間線とに基づいて3次元点群データを生成する(ステップS74)。
【0130】
図16は、実施形態3に従うデータ生成処理の具体例について説明する図である。
【0131】
図16(A)を参照して、楕円周上に3次元点群データを生成した場合が示されている。
【0132】
図16(B)を参照して区間線に沿って楕円パラメータに基づいて3次元点群データを生成した場合が示されている。
【0133】
次に、データ生成部18は、全区間に対する処理を終了したか否かを判断する(ステップS76)。
【0134】
ステップS76において、データ生成部18は、全区間に対する処理を終了していないと判断した場合(ステップS76においてNO)には、ステップS72に戻り、次の区間に対する楕円パラメータを取得して、上記で説明したのと同様の処理を繰り返す。
【0135】
一方、ステップS76において、データ生成部18は、全区間に対する処理を終了したと判断した場合(ステップS76においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
【0136】
当該処理により、展開図(段彩図)を生成する際の比較対象となる基準トンネルの仮想的な3次元点群データが生成される。
【0137】
次に、実施形態1で説明したのと同様に変換部14は、基準トンネルの仮想的な3次元点群データに対して図8のフローに従って座標変換処理を実行する。
【0138】
具体的には、変換部14は、図9(F)で説明したように、基準トンネルの仮想的な3次元点群データである計測点Pにそれぞれ対応する通算距離D、方向角θ、計測点Pのx座標、計測点Pのy座標、計測点Pのz座標、反射強度値I、垂線の長さTに基づく座標変換テーブルを生成する。
【0139】
なお、仮想的な3次元点群データであり、実際の反射強度値Iは測定されていないため初期値0に設定する。
【0140】
図17は、実施形態3に従う展開図生成部16の展開図生成処理について説明するフロー図である。
【0141】
図17を参照して、展開図生成部16は、第1投影面ファイルを生成する(ステップS70)。
【0142】
図18は、実施形態3に従う第1投影面ファイルの生成について説明する図である。
【0143】
図18(A)を参照して、基準トンネルの仮想的な3次元点群データに対する座標変換テーブルが示されている。
【0144】
展開図生成部16は、当該座標変換テーブルにおいて通算距離D、方向角θ、垂線の長さTのデータを抽出する。当該抽出したデータに基づいて2次元平面に配置する投影面ファイルを生成する。
【0145】
図14(B)を参照して、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面のマトリックスを生成する。マトリックスの対応する位置に垂線の長さを設定する。方向角θの範囲は-180°~180°である。通算距離Dの範囲は点O1を基準位置とした基準位置~点O2までの距離である。
【0146】
図14(C)を参照して、2次元平面のマトリックスに対してグリッド化を行う。本例においては、一例としてメッシュ間隔0.5としてグリッド化を行う場合が示されている。本例においては、2次元平面のマトリックスの一部として通算距離Dの範囲として3.0~4.0、方向角θの範囲として-1.5~1.5のデータがそれぞれ示されている。
【0147】
次に、展開図生成部16は、第2投影面ファイルを生成する(ステップS71)。
【0148】
図19は、実施形態3に従う第2投影面ファイルの生成について説明する図である。
【0149】
図19(A)を参照して、実際のトンネルである図9(F)で説明した3次元点群データに対する座標変換テーブルが示されている。
【0150】
展開図生成部16は、当該座標変換テーブルにおいて通算距離D、方向角θ、垂線の長さTのデータを抽出する。当該抽出したデータに基づいて2次元平面に配置する投影面ファイルを生成する。
【0151】
図19(B)を参照して、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面のマトリックスを生成する。マトリックスの対応する位置に垂線の長さを設定する。方向角θの範囲は-180°~180°である。通算距離Dの範囲は点O1を基準位置とした基準位置~点O2までの距離である。
【0152】
図19(C)を参照して、2次元平面のマトリックスに対してグリッド化を行う。本例においては、一例としてメッシュ間隔0.5としてグリッド化を行う場合が示されている。本例においては、2次元平面のマトリックスの一部として通算距離Dの範囲として3.0~4.0、方向角θの範囲として-1.5~1.5のデータがそれぞれ示されている。
【0153】
次に、展開図生成部16は、第1投影面ファイルと第2投影面ファイルの垂線の長さTの差分値を算出する(ステップS72)。
【0154】
次に、展開図生成部16は、段彩値として算出した差分値に応じた画素値を割り当てる(ステップS74)。
【0155】
次に、展開図生成部16は、全区間の処理を終了したか否かを判断する(ステップS76)。
【0156】
ステップS76において、展開図生成部16は、全区間の処理を終了していないと判断した場合(ステップS76においてNO)には、ステップS70に戻り、次の区間の第1および第2投影面ファイルを生成する。そして、上記処理を繰り返す。
【0157】
一方、ステップS76において、展開図生成部16は、全区間の処理を終了したと判断した場合(ステップS76においてYES)には、全画像を貼り合わせる(ステップS78)。そして、処理を終了する(リターン)。
【0158】
図20は、実施形態3に従う展開図(段彩図)について説明する図である。
【0159】
図20に示されるように、比較対象となる基準トンネルの垂線の長さTとの比較に基づいて、実際のトンネルの凹凸を容易に理解することが可能である。
【0160】
上記処理により、トンネルの中心軌跡を算出して、トンネルの中心線を正しく設定することが可能であるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図(段彩図)を作成することが可能である。
【0161】
また、展開図は、縦軸(トンネル横断距離)を方向角θ、横軸(トンネル縦断距離)を通算距離Dとする2次元平面である。通算距離Dは点O1を基準位置とした距離であり、標高値も考慮して計算されるためトンネルの実形状に合わせた精度の高い展開図を作成することが可能である。
【0162】
なお、本例においては、一例として差分値に応じた画素値を設定する場合について説明したが、これに限られず各種の色を用いて描画することも可能である。
【0163】
なお、上記の各実施形態に記載した方法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CDROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。また、記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0164】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0165】
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0166】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0167】
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パーソナルコンピュータ等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0168】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0169】
1 展開図作成装置、2 メモリ、4 表示部、6 通信インタフェース、10 CPU、12 中心軌跡算出部、14 変換部、16 展開図生成部、18 データ生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
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図20