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特開2024-46096債権管理装置、債権管理方法、及び、債権管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046096
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】債権管理装置、債権管理方法、及び、債権管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240327BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151278
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松本 志文
(72)【発明者】
【氏名】森 詠斗
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 智樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】1日に複数回の借入及び返済が行われた場合でも、1日分の利息を計算して債務者に請求可能とする。
【解決手段】繰越未収利息算出部が、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する。データ生成部は、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成する。これにより、1日に複数回の借入及び返済が行われた場合でも、1日分の利息を計算して債務者に請求できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の前記融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出部と、
新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された前記第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成部と、
を有する債権管理装置。
【請求項2】
前記債務者から借入金額の一部の返済が行われた場合、前記第1の融資残高に前記第1の繰越未収利息を加算処理した金額に前記融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した第1の充当利息を算出する充当利息算出部を、さらに備え、
前記データ生成部は、前記第1の融資残高から、返済された前記借入金額を減算処理した第2の融資残高、算出された前記第1の充当利息、及び、返済された前記借入金額から前記第1の充当利息を減算処理した第1の充当元金を含む債権取引データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の債権管理装置。
【請求項3】
前記繰越未収利息算出部は、前記債務者から借入金額の一部の返済が行われた日と同日に、新たな借入が行われた場合、新たな借入金額に前記融資利率を乗算処理し、さらに1日の融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した第2の繰越未収利息を算出し、
前記データ生成部は、新たな借入金額と、新たな借入を行う直前の前記第2の融資残高とを加算処理した第3の融資残高、及び、算出された前記第2の繰越未収利息を含む債権取引データを生成すること、
を特徴とする請求項2に記載の債権管理装置。
【請求項4】
充当利息算出部は、新たな借入が行われた日と同日に、前記債務者から借入金額の一部の返済が行われた場合、この返済前の前記借入時に算出された前記第2の繰越未収利息と同じ金額を第2の充当利息として算出し、
前記データ生成部は、前記第3の融資残高から返済された借入金額を減算処理すると共に、前記第2の充当利息を加算処理した第4の融資残高、前記第2の充当利息、及び、前記債務者から返済された返済金額から前記第2の充当利息を減算処理した充当元金を含む債権取引データを生成すること、
を特徴とする請求項3に記載の債権管理装置。
【請求項5】
繰越未収利息算出部が、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の前記融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出ステップと、
データ生成部が、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された前記第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成ステップと、
を有する債権管理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の前記融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出部と、
新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された前記第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする債権管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権管理装置、債権管理方法、及び、債権管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2022-123439号公報)、利息の管理の容易化を図った情報処理方法が開示されている。この情報処理方法は、ユーザからの借入金の借入の申込を受け付け、申込に対応した貸付を行う時点の、ユーザの前回の借入における借入残高に、借入金を繰り入れ、申込に対応した貸付の元本金額とする処理を実行する。また、申込に対応した貸付を行った時点以降の、前回の借入における借入残高に対する金利をゼロとする処理を実行する。これにより、利息の管理の容易化を図ることができる。
【0003】
ここで、今日において、例えば300万円等の上限枠を設け、この枠内で複数回の借入及び返済を可能とした包括方式のローン商品が知られている。近年は、携帯電話機、タブレット端末装置及びノート型のパーソナルコンピュータ装置等の携帯端末装置の普及により、このような個人向けの包括方式のローン商品が広く利用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-123439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来は、日次又は月次で利息が計算されていたため、上述の包括方式のローン商品のように、1日に複数回の借入及び返済が行われた場合に1日分の利息を計算することは困難であった。このため、借入と返済が同日に複数回実施された場合に、1日分の利息を債務者へ正しく請求することが困難となり、借入と返済が同日の場合は利息を請求しない場合が多かった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、1日に複数回の借入及び返済が行われた場合でも、1日分の利息を計算して債務者に請求可能とした債権管理装置、債権管理方法、及び、債権管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権管理装置は、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出部と、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0008】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権権利方法は、繰越未収利息算出部が、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出ステップと、データ生成部が、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0009】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権管理プログラムは、コンピュータを、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する繰越未収利息算出部と、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、1日に複数回の借入及び返済が行われた場合でも、1日分の利息を計算して債務者に請求することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態の債権管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、参考例における債務者の元の借入に対する債権取引データ、及び、新たな借入が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図3図3は、参考例における債務者により新たな借入が行われた様子を示す模式図である。
図4図4は、参考例における債務者により、同日中に一部の金額の返済が行われた様子を示す模式図である。
図5図5は、参考例において、債務者により同日中に一部の金額の返済が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図6図6は、参考例における債務者により、同日中に、新たな借入が行われた様子を示す模式図である。
図7図7は、参考例において、債務者により同日中に新たな借入が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図8図8は、参考例において、債務者により同日中に一部の金額の返済が行われた様子を示す模式図である。
図9図9は、参考例において、債務者により同日中に一部の金額の返済が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図10図10は、実施の形態の債権管理装置における債務者の元の借入に対する債権取引データ、及び、新たな借入が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図11図11は、債務者により新たな借入が行われた様子を示す模式図である。
図12図12は、債務者により一部の金額の返済が行われた様子を示す模式図である。
図13図13は、債務者により一部の金額の返済が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図14図14は、債務者により、同日中に新たな借入が行われた様子を示す模式図である。
図15図15は、債務者により、同日中に新たな金額の借入が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
図16図16は、債務者により、同日中に一部の金額の返済が行われた様子を示す模式図である。
図17図17は、債務者により、同日中に一部の金額の返済が行われることで更新された債権取引データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施の形態となる債権管理装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、このような実施の形態に本発明が限定されるものではない。
【0013】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の債権管理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この図1に示す債権管理装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0014】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網であるネットワーク30を介して、債務者の携帯端末装置40の無線基地局45、及び、債務者の預金口座を管理している銀行等の預金管理装置50に接続される。債務者の携帯端末装置40としては、携帯電話機、タブレット端末装置、ノート型のパーソナルコンピュータ装置等を用いることができる。なお、債務者の携帯端末装置40の代わりに、パーソナルコンピュータ装置を用いてもよい。
【0015】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、債務者の借入及び返済を管理する債権管理プログラムが記憶されている。実施の形態の債権管理装置1は、この債権管理プログラムにより、債務者の同日中における借入及び返済の利息をそれぞれ算出して請求可能となっている。また、記憶部2には、各債務者の債権番号及び融資利率を含む債権契約データが記憶されている。また、記憶部2には、各債務者の債権番号、取引日、利息精算日、充当元金、充当利息、融資残高及び繰越未収利息を含む債権取引データが記憶されている。なお、利息精算日は「債権取引データ」に保持されており、債権番号をキーにデータを一意に抽出可能となっている。
【0016】
(債権管理装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている債権管理プログラムを実行することで、図1に示すように、通信制御部21、融資返済処理部22、繰越未収利息算出部23、データ生成部24、充当利息算出部25、及び、表示制御部26として機能する。
【0017】
通信制御部21は、債務者の携帯端末装置40と通信を行い、融資又は返済の受け入れを行う。また、預金管理装置50と通信を行い、債務者に対して融資を行い、又は、債務者からの返済を受け入れる。
【0018】
融資返済処理部22は、通信制御部21を介して行う、上述の債務者に対する融資又は返済の処理を行う。
【0019】
繰越未収利息算出部23は、債務者に対して新たに所定金額の融資を行った場合に、元の融資残高に所定の融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理した値を1年間の日数で除算処理した金額と、新たに融資を行った金額に所定の融資利率を乗算処理し、新たに融資を行った当日も1日として数えた融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した金額とを加算処理した第1の繰越未収利息を算出する。
【0020】
データ生成部24は、新たに融資を行った所定金額と元の融資残高とを加算処理した第1の融資残高、及び、算出された第1の繰越未収利息を含む債権取引データを生成する。
【0021】
充当利息算出部25は、債務者から借入金額の一部の返済が行われた場合、第1の融資残高に第1の繰越未収利息を加算処理した金額に融資利率を乗算処理し、さらに融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した第1の充当利息を算出する。
【0022】
また、データ生成部24は、第1の融資残高から、返済された借入金額を減算処理した第2の融資残高、算出された第1の充当利息、及び、返済された借入金額から第1の充当利息を減算処理した第1の充当元金を含む債権取引データを生成する。
【0023】
また、繰越未収利息算出部23は、債務者から借入金額の一部の返済が行われた日と同日に、新たな借入が行われた場合、新たな借入金額に融資利率を乗算処理し、さらに1日の融資日数を乗算処理して1年間の日数で除算処理した第2の繰越未収利息を算出する。この場合、データ生成部24は、新たな借入金額と、新たな借入を行う直前の第2の融資残高とを加算処理した第3の融資残高、及び、算出された第2の繰越未収利息を含む債権取引データを生成する。
【0024】
また、充当利息算出部25は、新たな借入が行われた日と同日に、債務者から借入金額の一部の返済が行われた場合、この返済前の借入時に算出された第2の繰越未収利息と同じ金額を第2の充当利息として算出する。この場合、データ生成部24は、第3の融資残高から返済された借入金額を減算処理すると共に、第2の充当利息を加算処理した第4の融資残高、第2の充当利息、及び、債務者から返済された返済金額から第2の充当利息を減算処理した充当元金を含む債権取引データを生成する。
【0025】
表示制御部26は、債権契約データ及び債権取引データ等を表示部の一例である出力装置7を介して表示する。
【0026】
(参考例となる通常の債権管理動作)
ここで、参考例となる通常の債権管理を説明する。図2(a)は、一例として「2022年1月20日」付けで、「20万円」の融資残高がある債権番号が「100」の債務者の債権取引データである。この状態において、債権番号が「100」の債権者により、図3に示すように、「2022年1月25日」付けで、新たに「50万円」の借入が行われたとする。これにより、債権者の債権取引データの融資残高は、図2(b)に示すように「70万円」に更新される。
【0027】
また、この場合、債務者の債権契約データから、債権番号に基づいて検出された融資利率が「年利5%」であるとすると、「元の繰越未収利息0円+元の融資残高20万円×融資利率5%×5日(1月21日~1月25日)÷365日」の演算により、融資残高に対する5日分の利息金額として、「136円」の繰越未収利息が算出される。なお、閏年の場合は、「365日」の代わりに「366日」が用いられる。
【0028】
次に、この状態で、図4に示すように「2022年2月1日」に、債務者が「20万円」を返済したとする。この場合、「繰越未収利息136円+70万円×融資利率5%×7日(1月26日~2月1日)÷365日」の演算により、「807円」の充当利息が算出され債権取得データに入力される。また、融資残高は「70万円-20万円+807円=50万807円」となる。また、充当元金は、「20万円-807円=19万9193円」となる。
【0029】
なお、この参考例の場合、日単位での利息計算となるため、追加で借り入れた50万円の1/25日分の利息は請求できない。
【0030】
次に、債権番号が「100」の債権者が、図6に示すように、「2022年2月1日」付けで、新たに「100万円」の借入を行ったとする。これにより、債権者の債権取引データの融資残高は、図7に示すように「150万807円」に更新される。
【0031】
また、この場合、「繰越未収利息0円+50万807円×融資利率5%×0日(2月2日~2月1日)÷365日=繰越未収利息0円」の演算が行われる。そして、図7に示すように、債権取引データの繰越未収利息として「0円」が入力される。
【0032】
次に、この状態で、図8に示すように「2022年2月1日(100万円の借入日と同日)」付けで、債務者が「80万円」を返済したとする。この場合、債権取引データの融資残高は、「70万807円」となる。また、充当元金は「80万円」となる。しかし、充当利息は、「0円+150万807円×融資利率5%×0日(2月2日~2月1日)÷365=0円」となる。
【0033】
このように、参考例の場合、同日に複数回、借入及び返済が行われた場合、融資日当日分の利息を請求することが困難となる。
【0034】
(実施の形態の債権管理装置の債権管理動作)
次に、実施の形態の債権管理装置1の債権管理動作を説明する。実施の形態の債権管理装置1の制御部3は、債権管理プログラムに基づいて、通信制御部21~表示制御部26として機能することで、下記の債権管理動作を行う。図10(a)は、一例として「2022年1月20日」付けで、「20万円」の融資残高がある債権番号が「100」の債務者の債権取引データである。この状態において、債権番号が「100」の債権者が、図11に示すように、携帯端末装置40を介して、新たに「50万円」の借入要求を行ったとする。
【0035】
この借入要求は、無性基地局45、ネットワーク30、通信インターフェース部4を介して通信制御部21により取得される。融資返済処理部22は、この「50万円」の借入要求を、通信インターフェース部4及びネットワーク30を介して、債権者の預金口座を管理する預金管理装置50に送信する。これにより、預金管理装置50により、債権者の預金口座に対して新たに50万円の入金が行われる。
【0036】
データ生成部24は、図10(b)に示すように、「2022年1月25日」付けで、債権番号が「100」の債権者の債権取引データの融資残高を、「元の融資残高20万円+新たな借入金額50万円=70万円」に更新する。
【0037】
また、債務者の債権契約データから、債権番号に基づいて検出された融資利率が「年利5%」であるとすると、繰越未収利息算出部23が、「元の繰越未収利息0円+元の融資残高20万円×融資利率5%×5日(1月21日~1月25日)÷365日」の演算を行うことで、元の融資残高20万円に対する「136円」の繰越未収利息を算出する。なお、閏年の場合は、「365日」の代わりに「366日」が用いられる。
【0038】
さらに、繰越未収利息算出部23は、「新たな借入金額50万円×融資利率5%×1日÷365日」の演算を行うことで、新たな借入金額50万円の1日分の繰越未収利息である「68円」を算出する。繰越未収利息算出部23は、各繰越未収利息を加算処理することで(136円+68円=204円)の繰越未収利息を算出する。データ生成部24は、債権取引データの繰越未収利息を、図10(b)に示すように「204円」に更新する。
【0039】
次に、この状態で、図12に示すように「2022年2月1日」に、債務者が上述のように携帯端末装置40を介して「20万円」を返済したとする。この返済要求は、無性基地局45、ネットワーク30、通信インターフェース部4を介して通信制御部21により取得される。融資返済処理部22は、この「20万円」の返済要求を、通信インターフェース部4及びネットワーク30を介して、債権者の預金口座を管理する預金管理装置50に送信する。これにより、預金管理装置50により、債権者の預金口座から返済金額に相当する20万円が引落処理される。
【0040】
この場合、充当利息算出部25により、「繰越未収利息204円+70万円×融資利率5%×7日(1月26日~2月1日)÷365日」の演算が行われ、図13に示すように、データ生成部24により、「875円」の充当利息が債権取得データに入力される。また、データ生成部24は、図13に示すように、「70万円-20万円+807円=50万875円」に、債権取引データの融資残高を更新する。また、データ生成部24は、図13に示すように、「20万円-875円=19万9125円」に、債権取引データの充当元金を更新する。
【0041】
このように、実施の形態の債権管理装置1は、日単位での利息計算を行うことができ、追加で借り入れた50万円の1/25日分の利息を請求できる。
【0042】
次に、債権番号が「100」の債権者が、図14に示すように、「2022年2月1日」付けで、新たに「100万円」の借入を行ったとする。これにより、債権者の債権取引データの融資残高は、データ生成部24により、図15に示すように「150万875円」に更新される。
【0043】
この場合、繰越未収利息算出部23は、「繰越未収利息0円+50万875円×融資利率5%×0日(2月2日~2月1日)÷365日=繰越未収利息0円」の演算を行うことで、前回の「50万875円」の融資残高に対応する繰越未収利息を算出する。さらに、繰越未収利息算出部23は、「今回の借入金額100万円×融資利率5%×1日÷365日=繰越未収利息136円」の演算を行うことで、今回の借入金額100万円の1日分の繰越未収利息を算出する。データ生成部24は、この例の場合「0円+136円=136円」に、債権取引データの繰越未収利息を更新する。
【0044】
次に、この状態で、図16に示すように「2022年2月1日(100万円の借入日と同日)」付けで、債務者が「80万円」を返済したとする。この場合、データ生成部24は、「前回の融資残高150万875円-今回の返済金額80万円+繰越未収利息136円=70万1011円」に、債権取引データを更新する(図17参照)。
【0045】
また、充当利息算出部25は、前回の「136円」の繰越未収利息を充当利息として算出する。データ生成部24は、図17に示すように、充当利息が「136円」となるように、債権取引データを更新する。また、データ生成部24は、「返済金額80万円-充当利息136円=79万9864円」に、債権取引データの充当元金を更新する。
【0046】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の債権管理装置1は、借入又は返済が行われる毎に、「繰越未収利息=今回融資金額×融資利率×1日÷365日(閏年は366日、小数点以下の金額は切捨)」の演算を行う。これにより、借入及び返済が同日中に複数回行われた場合でも、借入毎及び返済毎に1日分の利息を算出して債務者に請求することができる。
【0047】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0050】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0051】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0052】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0053】
また、債権管理装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0054】
例えば、債権管理装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権管理装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0055】
また、この債権管理装置1の債権管理プログラムは、債権管理装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0056】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための債権管理プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0057】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した債権管理装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0058】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0059】
また、債権管理装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0060】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えばノンバンク又はネットバンク等の金融業で利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 債権管理装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
21 通信制御部
22 融資返済処理部
23 繰越未収利息算出部
24 データ生成部
25 充当利息算出部
26 表示制御部
図1
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