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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046105
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/08 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
F01N1/08 H
F01N1/08 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151290
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】太田 和真
(72)【発明者】
【氏名】古屋 智大
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA04
3G004CA11
3G004DA06
(57)【要約】
【課題】マフラにおけるシェルの側壁の振動を抑制する。
【解決手段】
マフラは、シェルと、インレットパイプと、ステーとを備える。インレットパイプは、シェルの側壁における排ガスの入口からシェルの内部に突出する。ステーは、第1及び第2壁部と、第1及び第2接合部とを備える。第1壁部は、インレットパイプにより貫通される穴部を有する。第2壁部は、第1壁部の端部から延出する。第1接合部は、第1壁部の端部に設けられ、第2接合部は、第2壁部の端部に設けられる。第1及び第2接合部は、側壁に接合されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるマフラであって、
筒状の側壁と、前記側壁の両端を閉鎖するプレートとを有するシェルと、
前記側壁に設けられた排ガスの入口から、前記シェルの内部に突出するように設けられるインレットパイプと、
前記インレットパイプを支持するステーと、を備え、
前記ステーは、
前記インレットパイプにより貫通される穴部を有する板状の部位である第1壁部と、
前記第1壁部の端部から延出する板状の部位である第2壁部と、
前記第1壁部における前記第2壁部との境界に対面する端部に設けられた第1接合部と、
前記第2壁部における前記第1壁部との境界に対面する端部に設けられた第2接合部と、を備え、
前記第1及び第2接合部は、前記側壁に接合されている
マフラ。
【請求項2】
請求項1に記載のマフラであって、
前記側壁における軸線に直交する断面は、長手方向に延びる形状であり、
前記側壁において、前記長手方向に沿って延びる部分を大R部とし、前記長手方向に直交する短手方向に延びる部分を小R部とし、
前記ステーにおける前記第1及び第2接合部のうちの少なくとも一方は、前記大R部に接合されている
マフラ。
【請求項3】
請求項2に記載のマフラであって、
前記第1及び第2接合部は、前記大R部に接合されている
マフラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記ステーは、1の母材を変形させることで形成される
マフラ。
【請求項5】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記ステーは、前記第1壁部と前記第2壁部との境界又はその付近に、前記側壁と接合する中間接合部をさらに備える
マフラ。
【請求項6】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記第2壁部は、前記側壁における前記インレットパイプの出口の正面の領域の少なくとも一部を覆う
マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、マフラのシェルの内部に、インレットパイプを支持する板状の部材であるステーを設ける技術が知られている。該シェルにおける筒状の側壁は、断面が長円状であり、該断面の短手方向に延びる部分である2つの小R部と、該断面の長手方向に延びる部分である2つの大R部とを備える。そして、インレットパイプは、小R部に設けられた穴部から斜め上方にシェルの内部へと突出し、ステーを貫通する。また、ステーの両端は、それぞれ、小R部と大R部とに接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-115799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマフラによれば、ステーによりインレットパイプが保持されるため、インレットパイプの振動を抑制できる。しかし、インレットパイプから排出された排ガスがシェルに衝突するため、排ガスの脈動等によりシェルが振動する恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、マフラにおけるシェルの側壁の振動を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載されるマフラであって、シェルと、インレットパイプと、ステーと、を備える。シェルは、筒状の側壁と、側壁の両端を閉鎖するプレートとを有する。インレットパイプは、側壁に設けられた排ガスの入口から、シェルの内部に突出するように設けられる。ステーは、インレットパイプを支持する。また、ステーは、第1壁部と、第2壁部と、第1接合部と、第2接合部と、を備える。第1壁部は、インレットパイプにより貫通される穴部を有する板状の部位である。第2壁部は、第1壁部の端部から延出する板状の部位である。第1接合部は、第1壁部における第2壁部との境界に対面する端部に設けられる。第2接合部は、第2壁部における第1壁部との境界に対面する端部に設けられる。第1及び第2接合部は、側壁に接合されている。
【0007】
上記構成によれば、ステーの第1及び第2接合部がシェルの側壁に接合されている。このため、マフラにおけるシェルの側壁の振動を抑制できる。
本開示の一態様では、側壁における軸線に直交する断面は、長手方向に延びる形状であってもよい。側壁において、長手方向に沿って延びる部分を大R部とし、長手方向に直交する短手方向に延びる部分を小R部としてもよい。ステーにおける第1及び第2接合部のうちの少なくとも一方は、大R部に接合されていてもよい。
【0008】
上記構成によれば、第1及び第2接合部のうちの少なくとも一方は、振動が生じ易い大R部に接合されている。このため、より効果的にシェルの側壁の振動を抑制できる。
本開示の一態様では、第1及び第2接合部は、大R部に接合されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、第1及び第2接合部は、振動が生じ易い大R部に接合されている。このため、より効果的にシェルの側壁の振動を抑制できる。
本開示の一態様では、ステーは、1の母材を変形させることで形成されてもよい。
【0010】
上記構成によれば、ステーを製造する際の歩留まりが向上する。
本開示の一態様は、ステーは、第1壁部と第2壁部との境界又はその付近に、側壁と接合する中間接合部をさらに備えてもよい。
【0011】
上記構成によれば、より効果的にシェルの側壁の振動を抑制できる。
本開示の一態様では、第2壁部は、側壁におけるインレットパイプの出口の正面の領域の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0012】
上記構成によれば、インレットパイプから放出された排ガスが、シェルの側壁に直接衝突するのを抑制できる。このため、より効果的にシェルの側壁の振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のマフラの斜視図である。
図2】第1実施形態のマフラの内部を透過的に示す斜視図である。
図3】第1実施形態のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
図4】第1実施形態のステーの正面図である。
図5】第1実施形態のステーの斜視図である。
図6】第1実施形態における変形例のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
図7】第2実施形態のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
図8】第2実施形態のステーの斜視図である。
図9】第3実施形態のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
図10】第3実施形態のステーの正面図である。
図11】第3実施形態のステーの斜視図である。
図12】第4実施形態のマフラの第2領域における軸線に直交する断面図である。
図13】第4実施形態のステーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0015】
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態のマフラ1は、車両に搭載され、車両のエンジンからの排ガスの流路に設けられる(図1、2参照)。マフラ1は、1本の上流側パイプ30と、2本の下流側パイプ31が接続されており、上流側パイプ30を通過した排ガスがマフラ1に流入すると共に、マフラ1を通過した排ガスは、各下流側パイプ31に流入する。無論、これに限らず、マフラ1には、1本の下流側パイプ31が接続されていても良い。マフラ1は、シェル10と、インレットパイプ14と、2つのセパレータ15と、2本の内部パイプ16と、ステー2とを備える。
【0016】
[(2)シェル]
シェル10は、軸線1Aに沿って延びる筒状の側壁11と、側壁11の両端の開口を閉鎖する2つのエンドプレート12とを備える(図1~3参照)。
【0017】
側壁11における軸線1Aに直交する断面(以後、単に断面と記載)は、長手方向に延びる細長い形状(一例として、楕円形状)を有する。第1実施形態では、一例として、マフラ1は、長手方向が前後方向と一致し、断面における長手方向に直交する短手方向が上下方向と一致し、軸線1Aが左右方向と一致するように、車両に搭載される。無論、これに限らず、側壁11の断面は、例えば、長円状や長方形状であっても良い。また、マフラ1が車両に搭載される際の向きは、上述したものに限らず、マフラ1は、例えば、長手方向が上下方向と一致するように車両に搭載されても良い。
【0018】
以後、側壁11における長手方向に沿って広がる部分を、大R部11Aと記載し、短手方向に沿って広がる部分を、小R部11Bと記載する。換言すれば、大R部11Aは、側壁11の断面における曲率半径が大きい部分であり、小R部11Bは、該断面における曲率半径が小さい部分である。側壁11は、短手方向に対面する2つの大R部11Aと、長手方向に対面する2つの小R部11Bとを備える。
【0019】
なお、第1実施形態は、例えば、断面における曲率半径の大きさの度合いが異なる3つ以上の部位が形成された側壁や、断面の形状が、辺の数が5以上の多角形状である側壁にも適用し得る。この場合、例えば、断面において曲率半径が相対的に大きい部分や、断面において相対的に長い辺を形成する部分が大R部に相当し、断面において曲率半径が相対的に小さい部分や、断面において相対的に短い辺を形成する部分が小R部に相当する。
【0020】
そして、側壁11の小R部11Bにおける一方の大R部11Aに隣接する部分には、マフラ1の内部への排ガスの入口13が設けられている。一例として、入口13は、前側の小R部11Bにおいて下側の大R部11Aに隣接して設けられており、斜め下方を向いている。また、側壁11における入口13の縁部には、入口13を囲み、且つ、外側に向かって突出する壁部13Aが設けられている。上流側パイプ30の端部は、入口13に接続される。
【0021】
一方、各エンドプレート12には、排ガスの出口が設けられており、各出口には、上述した下流側パイプ31の端部が接続される。
[(3)セパレータ及び内部パイプ]
セパレータ15は、マフラ1の内部空間を仕切る板状の部材であり、軸線1Aに直交するように設けられる(図2参照)。第1実施形態では、一例として2つのセパレータ15が設けられており、マフラ1の内部空間は、これらのセパレータ15により第1~第3領域1B~1Dに分割される。各セパレータ15には、複数の穴部15Aが設けられており、各領域1B~1Dの排ガスは、複数の穴部15Aを通過して他の領域に移動する。
【0022】
また、マフラ1の内部空間には、軸線1A方向に延びた状態で、2つの内部パイプ16が配置されている。各内部パイプ16は、第1端が各エンドプレート12の出口に接続され、該出口を介して下流側パイプ31に接続されると共に、該出口から2つのセパレータ15を貫通するように延びる。また、各内部パイプ16の第2端は、それぞれ、各エンドプレート12に隣接する第1、第3領域1B、1Dに位置する。
【0023】
無論、セパレータ15の数や、内部パイプ16の数及び配置態様は、これに限らず、適宜定められ得る。また、マフラ1に、セパレータ15及び/又は内部パイプ16を設けない構成としても良い。また、内部パイプ16と下流側パイプ31とは、一本のパイプとして形成されていても良い。
【0024】
[(4)インレットパイプ]
シェル10の側壁11に設けられた排ガスの入口13は、2つのセパレータ15の間に位置する第2領域1Cに対面するように設けられる(図2~5参照)。そして、入口13に隣接する大R部11Aの反対側に位置する大R部11Aに向かって、第2領域1Cに突出するように、インレットパイプ14が設けられる。第1実施形態では、一例として、入口13は下側の大R部11Aに隣接して設けられているため、インレットパイプ14は、上側の大R部11Aに向かって斜め上方に突出する。
【0025】
インレットパイプ14は、一例として略円筒形状であり、直線状に延びる。また、インレットパイプ14の第1端の開口は、インレットパイプ14の伸長方向に対し直交する向きに平面状に広がる。インレットパイプ14の第1端は、入口13の壁部13Aに接合されている。なお、本明細書における接合は、例えば溶接を含む様々な方法で実現され得る。
【0026】
一方、インレットパイプ14の第2端の開口(以後、出口14A)は、マフラ1の軸線1Aに対し実質的に平行に平面状に広がる。また、出口14Aは、楕円形状であり、インレットパイプ14の伸長方向に対し傾斜する向きに広がる。ここで、出口14Aを囲む縁部のうち、最も第1端に近い部分を近位端14Bとし、最も第1端から離れた部分を遠位端14Cとする。また、インレットパイプ14における径方向に出口14Aと対面する部分を、外側部14Dとする。出口14Aの縁部において、遠位端14Cが上側の大R部11Aに最も近接しており、近位端14Bが上側の大R部11Aから最も離間している。また、外側部14Dにおける遠位端14Cの付近の部分は、近位端14B側に向かって湾曲している。
【0027】
[(5)ステー]
ステー2は、L字状に屈曲した板状の部材であり、マフラ1の内部における第2領域1Cに配置され、インレットパイプ14を支持する(図2~5参照)。ステー2は、略矩形の板状の部位である第1及び第2壁部20、23を備える。第1及び第2壁部20、23は、軸線1Aの方向に略平行に広がる。
【0028】
第1壁部20は、短手方向に対し傾斜し、且つ、入口13に対面する。また、第1壁部20は、中央に穴部21が設けられており、インレットパイプ14は穴部21を貫通する。第1壁部20には、穴部21を囲む部位であって、インレットパイプ14の出口14A側に向かって突出する部位である壁部21Aが設けられており、インレットパイプ14は、摺動可能な状態で壁部21Aにより支持される。なお、壁部21Aは、入口13側に突出していても良い。
【0029】
第2壁部23は、第1壁部20における上側に位置する一辺をなす端部から、第1壁部20が広がる方向とは異なる方向に延出する。つまり、第1及び第2壁部20、23の境界2Aは、ステー2における屈曲部を形成しており、該屈曲部は、軸線1A方向に延びる。また、第2壁部23は、上側の大R部11Aに沿って広がる。また、第2壁部23は、インレットパイプ14の外側部14Dに近接しており、第2壁部23と外側部14Dとの間には隙間が形成されている。
【0030】
[(6)接合部]
第1壁部20における第2壁部23との境界2Aに対面する端部と、第2壁部23における該境界2Aに対面する端部とには、それぞれ、屈曲した部位である第1及び第2接合部22、24が設けられている(図3~5参照)。第1及び第2接合部22、24は、それぞれ、第1及び第2壁部20、23の上記端部を屈曲することで形成される。また、第2壁部23には、該境界2Aの付近に中間接合部25が設けられている。なお、中間接合部25は、第1壁部20における該境界2Aの付近に設けられても良いし、該境界2Aと重なるように第1及び第2壁部20、23に設けられても良い。
【0031】
これらの接合部22、24、25は、細長い形状を有しており、ステー2におけるマフラ1の軸線1A方向の第1端から第2端まで、軸線1A方向に延びる。無論、接合部22、24、25の形状は、これに限らず、適宜定められ得る。
【0032】
第1及び第2接合部22、24は、それぞれ、下側の大R部11Aと上側の大R部11Aとに接合される。一方、中間接合部25は、側壁11における上側の大R部11Aと小R部11Bとの境界2A付近に接合される。なお、中間接合部25は、該境界2Aから離間した位置で、上側の大R部11A又は小R部11Bに接合されてもよい。
【0033】
また、第2接合部24は、大R部11Aにおける長手方向の略中央に接合されている。つまり、第2接合部24は、側壁11にて生じる固有振動の腹の位置に接合される。無論、これに限らず、第2接合部24は、固有振動の腹の位置とは異なる位置に接合されていても良い。また、第1接合部22及び中間接合部25もまた、側壁11における固有振動の腹の位置に接合されていても良い。
【0034】
また、ステー2は、第1及び第2接合部22、24の2箇所で側壁11に接合されても良い。具体的には、例えば、中間接合部25が上側の大R部11Aに当接するようにしつつ、中間接合部25が大R部11Aに接合されていない構成としても良い。また、例えば、中間接合部25を形成せず、ステー2における第1及び第2接合部22、24以外の部分は、側壁11から離間するようにしても良い。中間接合部25を形成しない場合、大R部11Aに対する第2壁部24の傾きを大きくすることができる、換言すれば、大R部11Aに対する第2壁部44の向きを垂直に近付けることができる。これにより、断面2次モーメントが大きくなり、大R部11Aより強固に保持できる。
【0035】
[(7)その他]
ステー2は、1つの板状の母材を例えばプレス成形等により変形させることで製造される。しかし、これに限らず、ステー2は、例えば、第1壁部20を構成する部材と、第2壁部23を構成する部材とを接合することで製造されても良い。このように製造することにより、例えば、マフラ1の組立作業を容易化できる。
【0036】
また、第1及び第2壁部20、23は、一例として略矩形となっているが、第1及び第2壁部20、23の形状は、これに限らず、適宜定められ得る。一例として、第2壁部23は台形状であっても良く、この場合、第2壁部23における長辺をなす端部が第1壁部20との境界2Aに位置し、短辺をなす端部がステー2の端部に位置しても良い。なお、長辺とは、台形における平行な辺のうち、相対的に長い辺を意味し、短辺とは相対的に短い辺を意味する。
【0037】
また、第2壁部23において、第2接合部24及び中間接合部25から離間した位置に、さらに、大R部11Aに接合される接合部が設けられても良い。このような構成によれば、より効果的に側壁11の振動を抑制できる。
【0038】
また、図6に示すように、第2壁部23は、上側の大R部11Aにおけるインレットパイプ14の出口14Aの正面の領域11Cの全体を覆うように配置されても良い。なお、正面の領域11Cとは、例えば、インレットパイプ14の伸長方向、換言すれば、出口14Aにおける排ガスの流れ方向に沿って、出口14Aに対面する領域を意味しても良い。また、第2壁部23は、正面の領域11Cの一部を覆うように配置されても良い。
【0039】
[2.第2実施形態]
第2実施形態のマフラ1は、第1実施形態と同様の構成を有しているが、ステー2における第2壁部23の形状において第1実施形態と相違する(図7、8参照)。以下では、第1実施形態との相違点について説明する。
【0040】
第2壁部23は、マフラ1の軸線1Aに沿って延びる屈曲部26にて屈曲した形状を有しており、屈曲部26がインレットパイプ14に向かって突出するように配置される。このため、第1実施形態に比べ、第2壁部23は、インレットパイプ14の外側部14Dに対しより近接して配置される。
【0041】
また、第2壁部23の屈曲部26の周辺には、インレットパイプ14の反対側に膨らむ湾曲部27がさらに形成されている。湾曲部27は、インレットパイプ14の外側部14Dにおける遠位端14Cの付近の部分に沿って配置され、該部分に適合する形状を有する。
【0042】
そして、湾曲部27は外側部14Dに沿うように配置されており、湾曲部27と外側部14Dとの間には、若干の隙間が形成されている。しかし、これに限らず、湾曲部27と外側部14Dとは当接していても良く、さらに、湾曲部27と外側部14Dとは接合されていても良い。このように湾曲部27と外側部14Dとが当接又は接合されることにより、インレットパイプ14をより強固に支持することができる。
【0043】
[3.第3実施形態]
[(1)概要]
第3実施形態のマフラ1は、第1実施形態と同様の構成を有しているが、ステー4の構成において第1実施形態と相違する(図9~11参照)。以下では、第1実施形態との相違点について説明する。
【0044】
ステー4は、第1実施形態と同様、L字状に屈曲した板状の部材であり、マフラ1の内部における第2領域1Cに配置され、インレットパイプ14を支持する。ステー4は、略矩形の板状の部位である第1及び第2壁部40、44を備え、第1及び第2壁部40、44の境界4Aに形成される屈曲部は、軸線1A方向に延びる。
【0045】
第1壁部40は、短手方向に対し傾斜し、且つ、入口13に対面し、第1実施形態と同様の穴部41及び壁部41Aが設けられている。そして、第1実施形態と同様、インレットパイプ14は穴部41を貫通し、摺動可能な状態で壁部41Aにより支持される。
【0046】
第2壁部44は、第1壁部40における下側に位置する一辺をなす端部から延出し、下側の大R部11Aに沿って広がる。また、第2壁部44は、マフラ1の軸線1Aに沿って延びる屈曲部46にて屈曲した形状を有しており、屈曲部46が上方に向かって突出するように配置される。
【0047】
[(2)接合部]
第1壁部40における第2壁部44との境界4Aに対面する端部には、第1接合部42が設けられている(図9~11参照)。第1接合部42は、L字状に屈曲した部位であり、インレットパイプ14の出口14A側に向かって突出する。また、第1壁部40における該境界4Aの付近には、中間接合部43が設けられている。なお、中間接合部43は、第2壁部44における該境界4Aの付近に設けられても良いし、該境界4Aと重なるように第1及び第2壁部40、44に設けられても良い。また、第2壁部44における該境界4Aに対面する端部には、屈曲した部位である第2接合部45が設けられている。これらの接合部42、43、45は、第1実施形態と同様の形状を有する。
【0048】
第1接合部42は、上側の大R部11Aと小R部11Bとの境界4A付近に接合される。なお、第1接合部42は、該境界4Aから離間した位置で、大R部11A又は小R部11Bに接合されていても良い。一方、中間接合部43及び第2接合部45は、それぞれ、下側の大R部11Aに接合される。なお、第1実施形態と同様、中間接合部43及び第2接合部45は、固有振動の腹の位置に接合されても良く、第1接合部42もまた、固有振動の腹の位置に接合されても良い。
【0049】
また、ステー4は、第1及び第2接合部42、45の2箇所で側壁11に接合されても良い。具体的には、例えば、中間接合部43が下側の大R部11Aに当接するようにしつつ、中間接合部43が大R部11Aに接合されていない構成としても良い。また、例えば、中間接合部43を形成せず、ステー4における第1及び第2接合部42、45以外の部分は、側壁11から離間するようにしても良い。
【0050】
[4.第4実施形態]
[(1)概要]
第4実施形態のマフラ1は、第1実施形態と同様の構成を有しているが、シェル10の構成において第1実施形態と相違する(図12、13参照)。以下では、第1実施形態との相違点について説明する。
【0051】
第4実施形態のシェル10は、第1実施形態と同様、側壁11と2つのエンドプレートとを備える。しかし、第4実施形態のシェル10の側壁11は、断面が円形である点で第1実施形態と相違する。なお、この外にも、第4実施形態のシェル10の側壁11の断面は、例えば、正方形状等であっても良い。
【0052】
また、第4実施形態においても、一例として、第1実施形態と同様にして、2つのセパレータ及び2つの内部パイプが設けられる。そして、第1実施形態と同様、シェル10の側壁11に設けられた排ガスの入口13は、第2領域1Cに対面するように設けられ、入口13から軸線1Aに向かって第2領域1Cに突出するように、インレットパイプ14が設けられる。
【0053】
なお、第4実施形態では、インレットパイプ14の出口14Aは、インレットパイプ14の伸長方向に対し直交する向きに広がっており、該インレットパイプ14には、外側部14Dが設けられていない。
【0054】
また、第4実施形態では、一例として、マフラ1は、入口13が水平方向を向くように車両に搭載されるが、これに限らず、マフラ1が車両に搭載される際の向きは、適宜定められる。
【0055】
[(2)ステー]
第4実施形態のステー5は、第1実施形態と同様、L字状に屈曲した板状の部材であり、マフラ1の内部における第2領域1Cに配置され、インレットパイプ14を支持する(図12、13参照)。ステー5は、略矩形の板状の部位である第1及び第2壁部50、54を備え、第1及び第2壁部50、54の境界5Aに形成される屈曲部は、軸線1A方向に延びる。
【0056】
第1壁部50は、入口13に対面して配置され、第1実施形態と同様の穴部51及び壁部51Aが設けられている。そして、第1実施形態と同様、インレットパイプ14は穴部51を貫通し、摺動可能な状態で壁部51Aにより支持される。
【0057】
第2壁部54は、第1実施形態と同様、第1壁部50の上側に位置する一辺をなす端部から延出する。なお、第2壁部54は、第1壁部50の下側に位置する一辺をなす端部から延出していても良い。また、第2壁部54は、側壁11におけるインレットパイプ14の出口14Aの正面の領域11Cの一部を覆うように配置される。無論、これに限らず、第2壁部54は、正面の領域11Cの全体を覆うように配置されても良い。
【0058】
第1壁部50における第2壁部54との境界5Aに対面する端部には、屈曲した部位である第1接合部52が設けられている。また、第1壁部50における該境界5Aの付近には、中間接合部53が設けられている。なお、中間接合部53は、第2壁部54における該境界5Aの付近に設けられても良いし、該境界5Aと重なるように第1及び第2壁部50、54に設けられても良い。また、第2壁部54における該境界5Aに対面する端部には、屈曲した部位である第2接合部55が設けられている。これらの接合部52、53、55は、第1実施形態と同様の形状を有する。
【0059】
これらの接合部52、53、55は、側壁11に接合される。なお、これらの接合部52、53、55は、第1実施形態と同様、側壁11にて生じる固有振動の腹の位置に接合されても良い。
【0060】
また、ステー5は、第1及び第2接合部52、55の2箇所で側壁11に接合されても良い。具体的には、例えば、中間接合部53が側壁11に当接するようにしつつ、中間接合部53が側壁11に接合されていない構成としても良い。また、例えば、中間接合部53を形成せず、ステー5における第1及び第2接合部52、55以外の部分は、側壁11から離間するようにしても良い。
【0061】
[5.効果]
(1)上記実施形態によれば、ステー2、4、5によりインレットパイプ14が保持されるため、インレットパイプ14の振動を抑制できる。さらに、ステー2、4、5の接合部がシェル10の側壁11に接合されているため、側壁11の振動を抑制できる。したがって、インレットパイプ14から排出された排ガスの衝突により生じる側壁11の振動を抑制でき、さらに、排ガスに脈動が生じている場合であっても、側壁11の振動を好適に抑制できる。また、これにより、マフラ1における放射音の発生を抑制できる。
【0062】
(2)また、上記実施形態によれば、例えば、側壁11の厚みを増加させたり、複数の板材を重ねて配置して側壁11を形成したりすることで、側壁11の剛性を向上させる場合に比べ、低コストで側壁11の振動を抑制できる。
【0063】
さらに、例えば、プラグインハイブリット車等においては、マフラが車両後方に横置きされる場合が多く、このようなマフラでは、シェルの側壁に形成された排ガスの入口に、上流側のパイプが横方向(換言すれば、左右方向)に接続される場合がある。なお、横置きとは、軸線が横方向に延びた状態でマフラが車両に搭載されることを意味する。そして、このようなマフラでは、本開示のようにステーによりインレットパイプを保持する構成が採用される場合が多いと考えられ、本開示によれば、このようなマフラにおいて効果的に側壁の振動を抑制できる。
【0064】
(3)また、ステー2、4、5の形状や位置を変更することで、接合部が側壁11に接合される位置を容易に調整できる。このため、マフラ1の特性に応じて接合部の位置を調整し、好適に側壁11の振動を抑制することができる。
【0065】
また、マフラ1の内部空間にステー2、4、5を設ける場合、例えば、新たなセパレータを設ける場合等に比べ、マフラ1の消音特性に与える影響を抑制できる。また、ステー2、4、5の第1及び第2壁部は、軸線1Aの方向に略平行に配置されるため、排ガスの流れを阻害するのを抑制できる。
【0066】
(4)また、第1、2実施形態では、第2接合部24は、インレットパイプ14の出口14Aの付近で大R部11Aに接合される。このため、インレットパイプ14から排出された排ガスの衝突により生じる側壁11の振動を、効果的に抑制できる。
【0067】
(5)また、第1、2実施形態では、ステー2の両端に位置する第1及び第2接合部22、24が、例えば固有振動により大きな振動が生じ易い大R部11Aに接合される。また、第3実施形態においても、ステー2の一端に位置する第2接合部45が大R部11Aに接合される。このため、側壁11の振動を、より効果的に抑制できる。
【0068】
(6)また、ステー2、4、5は、1の母材を変形させることで形成される。このため、ステー2、4、5を製造する際の歩留まりが向上する。また、部品点数の増加を抑えることができる。また、第1壁部と第2壁部とを接合させる手間を省略できる。
【0069】
(7)また、中間接合部25、43、53を側壁11に接合することで、より効果的に側壁11の振動を抑制できる。
(8)また、第1実施形態の変形例や第4実施形態では、第2壁部は、側壁11おけるインレットパイプ14の出口14Aの正面の領域11Cの少なくとも一部を覆う。このため、インレットパイプ14から放出された排ガスが、側壁11に直接衝突するのを抑制でき、より効果的に側壁11の振動を抑制できる。なお、正面の領域11Cに加えて、又は、これに替えて、第2壁部は、側壁11おける、インレットパイプ14から放出された排ガスが衝突しやすい部分を覆うように配置されても良い。
【0070】
[6.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、排ガスの入口13及びステー2、4、5は、マフラ1の内部空間における第2領域1Cに配置される。しかし、排ガスの入口13及びステー2、4、5は、第1又は第3領域1B、1Dに配置されていても良い。
【0071】
(2)第1~第3実施形態では、排ガスの入口13は、側壁11の小R部11Bにおける下側の大R部11Aに隣接する部分に位置する。しかし、これに限らず、入口13は、小R部11Bにおける短手方向の中央に設けられていても良い。また、入口13は、大R部11Aに設けられていても良い。
【0072】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0073】
[7.本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
車両に搭載されるマフラであって、
筒状の側壁と、前記側壁の両端を閉鎖するプレートとを有するシェルと、
前記側壁に設けられた排ガスの入口から、前記シェルの内部に突出するように設けられるインレットパイプと、
前記インレットパイプを支持するステーと、を備え、
前記ステーは、
前記インレットパイプにより貫通される穴部を有する板状の部位である第1壁部と、
前記第1壁部の端部から延出する板状の部位である第2壁部と、
前記第1壁部における前記第2壁部との境界に対面する端部に設けられた第1接合部と、
前記第2壁部における前記第1壁部との境界に対面する端部に設けられた第2接合部と、を備え、
前記第1及び第2接合部は、前記側壁に接合されている
マフラ。
【0074】
[項目2]
項目1に記載のマフラであって、
前記側壁における軸線に直交する断面は、長手方向に延びる形状であり、
前記側壁において、前記長手方向に沿って延びる部分を大R部とし、前記長手方向に直交する短手方向に延びる部分を小R部とし、
前記ステーにおける前記第1及び第2接合部のうちの少なくとも一方は、前記大R部に接合されている
マフラ。
【0075】
[項目3]
項目2に記載のマフラであって、
前記第1及び第2接合部は、前記大R部に接合されている
マフラ。
【0076】
[項目4]
項目1から項目3のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記ステーは、1の母材を変形させることで形成される
マフラ。
【0077】
[項目5]
項目1から項目4のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記ステーは、前記第1壁部と前記第2壁部との境界又はその付近に、前記側壁と接合する中間接合部をさらに備える
マフラ。
【0078】
[項目6]
項目1から項目5のうちのいずれか1項に記載のマフラであって、
前記第2壁部は、前記側壁における前記インレットパイプの出口の正面の領域の少なくとも一部を覆う
マフラ。
【符号の説明】
【0079】
1…マフラ、1A…軸線、1B~1D…第1~第3領域、10…シェル、11…側壁、11A…大R部、11B…小R部、11C…正面の領域、13…入口、14…インレットパイプ、14A…出口、2…ステー、20…第1壁部、21…穴部、22…第1接合部、23…第2壁部、24…第2接合部、25…中間接合部、4、5…ステー、40、50…第1壁部、41、51…穴部、42、52…第1接合部、43、53…中間接合部、44、54…第2壁部、45、55…第2接合部。
図1
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