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特開2024-46106交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046106
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20240327BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240327BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W4/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151291
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博己
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067CC04
5K067DD42
5K067DD44
5K067DD45
5K067DD46
5K067EE71
5K067FF16
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】路車間通信及び路路間通信の双方を適切に行うことが可能な交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機を提供する。
【解決手段】一態様に係る交通通信システムは、第1無線路側機と、車両に搭載された車載通信機と、第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムである。前記交通通信システムにおいて、第2無線路側機は、複数のアンテナと、通信相手に応じて、複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いるアンテナを選択する制御部とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線路側機と、
車両に搭載された車載通信機と、
前記第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、前記車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムであって、
前記第2無線路側機は、
複数のアンテナと、
通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択する制御部と、を有する
交通通信システム。
【請求項2】
前記通信相手は、前記第1無線路側機及び前記車載通信機のいずれかである
請求項1記載の交通通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通信相手が前記車載通信機の場合、前記複数アンテナのうち、運用者により定められた第1アンテナを前記送信用アンテナとして選択し、
前記通信相手が前記第1無線路側機の場合、前記第2無線路側機が前記第1無線路側機と前記無線通信を行ったときの無線品質に応じて前記複数のアンテナのうちいずれかを前記送信用アンテナとして選択する
請求項2記載の交通通信システム。
【請求項4】
前記第2無線路側機は、前記無線品質に関する通信履歴情報を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記通信履歴情報に基づいて前記送信用アンテナを選択する
請求項3記載の交通通信システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1無線路側機から受信した無線信号に対する前記アンテナ毎の前記無線品質を前記第1無線路側機に紐づけて、前記通信履歴情報として前記記憶部に記憶し、
前記制御部は、前記通信履歴情報に基づいて、前記第1無線路側機に対する前記無線品質が最も良い前記アンテナを、前記第1無線路側機に対する前記送信用アンテナとして選択する
請求項4記載の交通通信システム。
【請求項6】
前記制御部は、過去に前記無線信号を受信したことがない第3無線路側機への無線送信を行う場合、前記複数のアンテナのうち、運用者により定められたアンテナを前記送信用アンテナとして選択する
請求項3記載の交通通信システム。
【請求項7】
前記無線品質は、少なくとも、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、信号対干渉比(SIR:Signal to Interference Ratio)、信号対干渉雑音比(SINR:Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)、基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)、及び基準信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)のいずれかである
請求項3乃至請求項6のいずかに記載の交通通信システム。
【請求項8】
前記第2無線路側機と前記第1無線路側機との前記無線通信は路路間通信であり、前記第2無線路側機と前記車載通信機との前記無線通信は路車間通信であり、
前記路路間通信と前記路車間通信とは、予め割り当てられた互いに異なるタイムスロットを利用して前記無線通信が夫々行われ、
前記制御部は、前記各タイムスロットを表すタイムスロット番号に基づいて、前記通信相手が前記第1無線路側機及び前記車載通信機のいずれであるかを判定する
請求項2記載の交通通信システム。
【請求項9】
第1無線路側機と、車両に搭載された車載通信機と、前記第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、前記車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムにおける交通通信方法であって、
複数のアンテナを有する前記第2無線路側機が、通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択するステップ、を有する
交通通信方法。
【請求項10】
他の無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車両に搭載された車載通信機と無線通信が可能な無線路側機であって、
複数のアンテナと、
通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択する制御部と、を有する
無線路側機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の危険を回避可能な技術として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が注目されている。非特許文献1には、路側に設けられる基地局である無線路側機と、車両に設けられる移動局である車載通信機とを有する交通通信システムの標準規格について規定されている。
【0003】
交通通信システムにおいて、例えば、以下のような技術がある。すなわち、車載通信機との間で路車間通信を行う無線路側機において、他の無線路側機との無線通信である路路間通信を行う無線路側機がある(例えば、以下の特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ARIB STD-T109 1.3版 「700MHz帯高度道路交通システム」
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5071123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の無線路側機において無線品質を改善する余地があった。
【0007】
本開示は、無線品質が改善され得る交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様に係る交通通信システムは、第1無線路側機と、車両に搭載された車載通信機と、第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムである。前記交通通信システムにおいて、第2無線路側機は、複数のアンテナと、通信相手に応じて、複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いるアンテナを選択する制御部とを有する。
【0009】
第2の態様に係る交通通信方法は、第1無線路側機と、車両に搭載された車載通信機と、第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムにおける交通通信方法である。前記交通通信方法は、複数のアンテナを有する第2無線路側機が、通信相手に応じて、複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いるアンテナを選択するステップを有する。
【0010】
第3の態様に係る無線路側機は、他の無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車両に搭載された車載通信機と無線通信が可能な無線路側機である。前記無線路側機は、複数のアンテナと、通信相手に応じて、複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いるアンテナを選択する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、無線品質が改善され得る交通通信システム、交通通信方法、及び無線路側機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る交通通信システムの構成例を表す図である。
図2図2は、第1実施形態に係るタイムスロットの割り当て例を表す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る無線路側機の構成例を表す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
ITSにおける無線路側機では、車載通信機と路車間通信を行うとともに、他の無線路側機と路路間通信を行う場合がある。
【0014】
車載通信機は車両に搭載されている。そのため、路車間通信に関しては、無線路側機のアンテナは、車両が走行する道路方向に向けて設置されることが好ましい。
【0015】
一方、無線路側機は、信号機など、固定して設置される場合がある。そのため、路路間通信に関しては、無線路側機のアンテナは、他の無線路側機方向へ向けて設置されることが好ましい。
【0016】
しかし、無線路側機では、1本のアンテナを利用して、路車間通信及び路路間通信の双方が行われる場合がある。このようなケースにおいて、路車間通信を考慮して、1本のアンテナを道路方向に向けると、他の路側機に対する無線品質が一定以下となり、他の路側機への無線送信が適切に行われない場合がある。一方、無線路側機において、路路間通信を考慮して、1本のアンテナを他の無線路側機の方向へ向けると、車載通信機に対する無線品質が一定以下となり、車載通信機への無線送信が適切に行われない場合がある。
【0017】
そこで、第1実施形態では、路車間通信及び路路間通信の双方が適切に行われることを目的としている。
【0018】
以下において、一実施形態に係る交通通信システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0019】
(交通通信システムの構成例)
最初に、第1実施形態に係る交通通信システムの構成例について説明する。以下において、非特許文献1の標準規格に基づく無線通信を行う交通通信システムについて主として説明する。しかしながら、第1実施形態に係る交通通信システムでは、この標準規格に限定されるものではなく、例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標。以下同じ。)のV2X(Vehicle-to-Everything)規格に基づく無線通信が行われてもよいし、3GPPのIAB(Integrated Access. Backhaul)規格に基づく無線通信が行われてもよい。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る交通通信システム10の構成例を示す図である。図1に示すように、交通通信システム10は、無線路側機100-1乃至100-3と、車両200-1乃至200-3に夫々搭載された車載通信機250-1乃至250-3とを有する。
【0021】
無線路側機100-1乃至100-3は、道路付近に設置されている。無線路側機100-1乃至100-3は、道路付近に設けられた支柱(又は電柱)に設置されてもよいし、交通信号灯器(例えば、信号機)に設置されてもよい。無線路側機100-1乃至100-3は、通信回線を介してサーバ装置に接続されてもよい。サーバ装置は、中央装置と呼ばれ、無線路側機100-1乃至100-3が受信する情報に基づいて各種の交通情報を収集し、道路交通を管理してもよい。無線路側機100-1乃至100-3を基地局と称する場合がある。なお、以下において、無線路側機100-1乃至100-3を特に区別しない場合は、無線路側機100と称する場合がある。
【0022】
車両200-1乃至200-3は、道路を通行する車両であればよい。車両200-1乃至200-3は、例えば、普通自動車や軽自動車等の自動車、又は自動二輪車(オートバイ)等であってもよい。また、車両200-1乃至200-3は、自動運転車両であってもよい。車両200-1乃至200-3には、車載通信機250-1乃至250-3が夫々設けられている。車載通信機250-1乃至250-3は、車両200-1乃至200-3に夫々固定的に設けられる据置型の通信機であってもよいし、車両200-1乃至200-3にケーブルを介して夫々一時的に接続される可搬型の通信機であってもよい。車載通信機250-1乃至250-3を移動局と称する場合がある。なお、以下において、車両200-1乃至200-3を特に区別しない場合は、車両200と称する場合がある。また、以下において、車載通信機250-1乃至250-3を特に区別しない場合は、車載通信機250と称する場合がある。
【0023】
図1に示す交通通信システム10では、3台の無線路側機100-1乃至100-3について例示されているが、無線路側機100は1台でもよいし、2台でもよいし、4台以上でもよい。また、図1に示す交通通信システム10では、3台の車載通信機250-1乃至250-3について例示されているが、車載通信機250は1台でもよいし、2台でもよいし、4台以上でもよい。
【0024】
図1に示す交通通信システム10において、無線路側機100-1(例えば第2無線路側機)は、無線路側機100-2及び100-3(例えば第1無線路側機)と無線通信が可能であるとともに、車載通信機250と無線通信が可能となっている。すなわち、無線路側機100-1は、無線路側機100-2及び100-3と路路間通信が可能であり、車載通信機250と路車間通信が可能な無線路側機となっている。他の無線路側機100-2及び100-3も、無線路側機100-1と同様に、路路間通信及び路車間通信の双方が可能であってもよい。
【0025】
(路路間通信及び路車間通信)
ここで、路路間通信及び路車間通信について説明する。
【0026】
交通通信システム10では、干渉を考慮して、路車間通信、路路間通信、及び車車間通信が各々時分割で行われる。ここで、路車間通信とは、無線路側機100と車載通信機250との間の通信を表す。また、路路間通信とは、無線路側機100間の通信を表す。更に、車車間通信とは、車載通信機250間の通信を表す。
【0027】
図2は、交通通信システム10で用いられるタイムスロットの割り当て例を表す図である。
【0028】
図2に示すように、路車間通信においては、無線路側機100に対して、路車間通信期間が割り当てられる。路車間通信期間は、「16μs」を1制御単位(「ユニット」と呼ばれる)として、100ms周期(「制御周期」と呼ばれる)中に、制御周期の先頭から390ユニット(6240μs)間隔で、最大「16」個が設定可能である。
【0029】
一方、路路間通信においても、路車間通信期間(又はタイムスロット。以下では、「タイムスロット」と称する場合がある。)を用いて無線通信が行われる。ただし、路路間通信が行われる場合、路車間通信とは別のタイムスロットが割り当てられる。図2の例では、路車間通信用のタイムスロットとして、スロット番号「1」とスロット番号「2」が割り当てられるのに対して、路路間通信用のタイムスロットとして、スロット番号「15」とスロット番号「16」が割り当てられる。
【0030】
図2に示す例は一例であって、路車間通信と路路間通信とで異なるタイムスロットであればよく、他のスロット番号が割り当てられてもよい。すなわち、路車間通信と路路間通信とで、予め割り当てられた互いに異なるタイムスロットが利用されて、無線通信が行われる。なお、割り当て自体は、各通信が行われる前に事前に行われるものとする。
【0031】
一方、車車間通信は、路車間通信期間(又はタイムスロット)以外の期間が用いられる。図2に示す例では、スロット番号「1」から「16」までの期間以外の期間で車車間通信が行われる。
【0032】
(路路間通信及び路車間通信で用いられるメッセージ)
路車間通信では、例えば、無線路側機100は、路車間メッセージをブロードキャスト(報知)で送信する。路車間メッセージは、路車間通信期間に関する情報を含む。路車間メッセージは、例えば、UTMS(Universal Traffic Management System)協会発行の「ITS無線路側機 通信アプリケーション共通規格」に準拠した所定フォーマットを有する。具体的には、無線路側機100は、自身の送信情報として送信時刻及び路車間通信期間情報(転送回数及び路車間通信期間長)を含む路車間メッセージを周囲の車載通信機250に送信(報知)することにより、自身の送信時間を確保する。
【0033】
このような路車間メッセージを受信した車載通信機250は、路車間メッセージに含まれる送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間メッセージに含まれる路車間通信期間情報に基づいて自身の送信を停止し、無線路側機100の送信期間以外のタイミングで送信を行う。具体的には、車載通信機250は、無線路側機100に割り当てられた路車間通信期間以外の時間、及び無線路側機100に未割当の路車間通信期間において、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式により車両情報メッセージをブロードキャスト(報知)する。無線路側機100では、車載通信機250から送信された車両情報メッセージを、路車間通信期間のうち、自身の路車間メッセージの送信に用いなかった路車間通信期間で受信することになる。
【0034】
路路間通信に関しては、例えば、無線路側機100は、路路間メッセージをブロードキャスト(報知)で送信する。路路間メッセージも、例えば、UTMS(Universal Traffic Management System)協会発行の「ITS無線路側機 通信アプリケーション共通規格」に準拠した所定フォーマットを有する。路路間メッセージは、送信元の無線路側機100を識別するための情報である送信元情報(又は識別情報)を含んでもよい。路路間メッセージは、路路間通信期間に関する情報を含む。路路間通信期間に関する情報は、基本的には、路車間通信期間に関する情報と同様であり、対象が路路間通信である点で異なる。具体的には、無線路側機100は、自身の送信情報として送信時刻及び路路間通信期間情報(転送回数及路路間通信期間長)を含む路路間メッセージを、他の無線路側機へブロードキャスト(報知)することにより、自身の送信時間を確保する。他の無線路側機も同様に、路路間メッセージを、無線路側機100へブロードキャストで送信することで、自身の送信時間を確保する。この場合、無線路側機100と他の無線路側機とは、路路間通信用のタイムスロットを共用することになるが、互いに異なるタイムスロット(又はタイムスロット内に含まれる異なるフレーム)を利用して、送信を行うことで、干渉防止を実現することができる。
【0035】
なお、車車間通信では、上述した車両情報メッセージが用いられる。車載通信機250は、無線路側機100に対する送信と同様に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を利用して、車両情報メッセージをブロードキャストで送信する。
【0036】
このように、路車間通信及び車車間通信により、周辺車両の状態、交通情報、歩行者の有無等を認識し、交通事故の危険を回避するための支援を行うことができる。また、路路間通信により、例えば、信号制御に関する情報を隣接する交差点の信号機との間で送受信することで、信号制御を高度化することも可能となり、環境に配慮した運転支援も可能となる。そして、これらの通信を組み合わせることにより、交通流を円滑化させ、安全な交通支援を図ることが可能となる。
【0037】
(無線路側機の構成例)
次に、無線路側機100の構成例について説明する。
【0038】
図3は、無線路側機100の構成例を表す図である。
【0039】
図3に示すように、無線路側機100は、2つのアンテナ110-1及び110-2と、2つの無線回路120-1及び120-2と、制御部130とを有する。
【0040】
アンテナ110-1及び110-2は、いずれも送受信可能なアンテナである。ただし、送信用のアンテナとして、通信相手に応じて、アンテナ110-1及び110-2のうちいずれかが用いられる。通信相手が車載通信機250の場合、アンテナ110-1及び110-2のうち、運用者により定められたアンテナ(例えば第1アンテナ)が送信用アンテナとして用いられる。一方、通信相手が他の無線路側機の場合、無線路側機100が他の無線路側機と無線通信を行ったときの無線品質に応じて、アンテナ110-1及び110-2のうちいずれかが送信用アンテナとして用いられる。路車間通信用の送信アンテナと路路間通信用の送信アンテナとは、同じアンテナでもよいし、異なるアンテナでもよい。
【0041】
無線回路120-1及び120-2は、アンテナ110-1及び110-2で夫々受信した無線信号をベースバンド帯域の受信信号へ変換(ダウンコンバード)し、変換後の受信信号を制御部130へ出力する。また、無線回路120-1及び120-2は、制御部130から出力された送信信号を、無線帯域の無線信号へ変換(アップコンバード)し、変換後の無線信号をアンテナ110-1及び110-2へ夫々出力する。
【0042】
なお、無線回路120-1は、他の無線路側機から送信され、アンテナ110-1で受信した無線信号に対する無線品質を測定してもよい。無線回路120-1は、測定した無線品質を制御部130へ出力する。また、無線回路120-2も、他の無線路側機から送信され、アンテナ110-2で受信した無線信号に対する無線品質を測定してもよい。無線回路120-2も、測定した無線品質を制御部130へ出力する。無線品質は、少なくとも、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、信号対干渉比(SIR:Signal to Interference Ratio)、信号対干渉雑音比(SINR:Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)、基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)、及び基準信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)のいずれかであってもよい。
【0043】
制御部130は、無線路側機100における各種制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのメモリ(又は記憶部)と、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。また、メモリは、無線品質に関する通信履歴情報を記憶してもよい。プロセッサは、メモリに記憶されるプログラムを実行して、各種の機能を実行し、各種の処理を行う。例えば、プロセッサがプログラムを実行することで、制御部130において、無線制御機能部131と、スロット判定機能部132と、受信品質判定機能部133と、送信アンテナ判定機能部134とを実行することができる。無線制御機能部131と、スロット判定機能部132と、受信品質判定機能部133と、送信アンテナ判定機能部134とは、制御部130で実行される機能を表したものであってもよい。
【0044】
無線制御機能部131は、無線路側機100における無線通信を制御する。無線制御機能部131は、ARIB STD-T109(非特許文献1)に準拠した方式で無線通信が行われるように制御を行ってもよい。無線制御機能部131は、路車間通信については、上述したV2X規格により無線通信が行われるように制御を行ってもよいし、路路間通信については、上述したIAB規格により無線通信が行われるように制御を行ってもよい。
【0045】
スロット判定機能部132は、各タイムスロットについて、路車間通信用のタイムスロットであるのか、路路間通信用のタイムスロットであるのかを判定する。例えば、スロット判定機能部132は、各タイムスロットを表すタイムスロット番号に基づいて、路車間通信用のタイムスロット(すなわち、通信相手が車載通信機250)であるのか、路路間通信用のタイムスロット(すなわち、通信相手が他の無線路側機)であるのかを判定する。無線制御機能部131は、スロット判定機能部132で判定した各タイムスロットにおいて、路車間通信を行ったり、路路間通信を行ったりすることが可能となる。
【0046】
受信品質判定機能部133は、路路間通信での無線品質をメモリ(又は記憶部)に記憶する。具体的には、受信品質判定機能部133は、他の無線路側機から受信した無線信号に対するアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質を、当該他の無線路側機の送信元情報(又は識別情報)に紐づけて、通信履歴情報として、メモリ(又は記憶部)に記憶する。例えば、図1の例では、以下となる。すなわち、無線路側機100-1の受信品質判定機能部133は、無線路側機100-2から受信した無線信号に対するアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質を無線路側機100-2の送信元情報(又は識別情報)に紐づけて記憶する。また、無線路側機100-1の受信品質判定機能部133は、無線路側機100-3から受信した無線信号に対するアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質を無線路側機100-3の送信元情報(又は識別情報)に紐づけて記憶する。
【0047】
送信アンテナ判定機能部134は、通信相手に応じて、アンテナ110-1及び110-2のうち送信用アンテナとして用いるアンテナ110-1又は110-2を選択する。具体的には以下となる。
【0048】
第1に、送信アンテナ判定機能部134は、通信相手が車載通信機の場合、複数アンテナ110-1及び110-2のうち、運用者により定められたアンテナ(例えば第1アンテナ)を送信用アンテナとして選択する。
【0049】
第2に、送信アンテナ判定機能部134は、通信相手が他の無線路側機(例えば第1無線路側機)の場合、無線路側機100(例えば第2無線路側機)が他の無線路側機と無線通信を行ったときの無線品質に応じて、複数のアンテナ110-1及び110-2のうちいずれかを送信用アンテナとして選択する。この場合、送信アンテナ判定機能部134は、メモリに記憶された通信履歴情報に基づいて、送信用アンテナを選択する。すなわち、送信アンテナ判定機能部134は、他の無線路側機が通信相手となる場合、当該他の無線路側機に対する無線品質のうち、無線品質が最も良いアンテナ110-1又は110-2を、当該他の無線路側機に対する送信用アンテナとして選択する。
【0050】
送信アンテナ判定機能部134は、スロット判定機能部132で判定されたタイムスロットを利用して、通信相手が、車載通信機250(すなわち路車間通信)であるのか、他の路側機(すなわち路路間通信)であるのかを判定してもよい。そして、無線制御機能部131は、送信アンテナ判定機能部134において通信相手に応じて選択された送信アンテナを利用して、路車間通信又は路路間通信を行うようにしてもよい。
【0051】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0052】
第1実施形態に係る動作例は、無線路側機100-1が他の無線路側機100-2又は100-3から送信された無線信号を受信する無線受信時の動作例(第1動作例)がある。また、第1実施形態に係る動作例は、無線路側機100-1がアンテナ110-1及び110-2のいずれかを送信用アンテナとして選択して、無線送信を行う無線送信時の動作例(第2動作例)がある。最初に第1動作例について説明し、次に、第2動作例について説明する。
【0053】
(1.第1動作例)
図4は、第1動作例を表すフローチャートである。第1動作例では、図1に示す無線路側機100-1が、路路間通信により、無線路側機100-2又は100-3から無線信号を受信する例で説明することにする。
【0054】
図4に示すように、ステップS10において、無線路側機100-1は、第1動作例の処理を開始する。
【0055】
ステップS11において、無線路側機100-1の制御部130は、受信した受信信号が路路間通信により受信した信号が否かを判定する。制御部130(スロット判定機能部132)は、受信信号のタイムスロットのスロット番号に基づいて判定する。具体的には、以下となる。すなわち、制御部130は、当該スロット番号が路路間通信用のタイムスロットであれば、路路間通信により受信した受信信号と判定する。一方、制御部130は、当該スロット番号が路路間通信用のタイムスロットでなければ、路路間通信により受信した受信信号ではないと判定する。制御部130は、制御周期の開始からタイムスロットの期間ごとにスロット番号をカウントすることで、スロット番号を把握してもよい。ステップS11において、受信信号が路路間通信で受信した信号であるとき(ステップS11でYes)、処理はステップS12へ移行する。一方、ステップS11において、受信信号が路路間通信で受信した信号ではないとき(ステップS11でNo)、処理はステップS13へ移行する。
【0056】
ステップS12において、制御部130(受信品質判定機能部133)は、受信信号の無線品質を取得し、送信元情報と無線品質とを紐づけて、メモリに記憶する。例えば、制御部130は、無線路側機100-2からの無線信号を受信したときは、無線路側機100-2の送信元情報(又は識別情報)と、当該無線信号のアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質とを紐づけてメモリに記憶する。また、例えば、制御部130は、無線路側機100-3からの無線信号を受信したときは、無線路側機100-3の送信元情報(又は識別情報)と、当該無線信号のアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質とを紐づけてメモリに記憶する。メモリには、通信履歴情報として、送信元情報と無線品質とが紐づけられて記憶されることになる。なお、制御部130は、受信信号から、各無線路側機100-2及び100-3の送信元情報(又は識別情報)を取得してもよい。
【0057】
ステップS13において、無線路側機100は、第1動作例を終了する。
【0058】
第1動作例により、無線路側機100-1のメモリには、無線路側機100-2に対するアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質と、無線路側機100-3に対するアンテナ110-1及び110-2毎の無線品質とが記憶される。メモリに記憶される無線品質は、無線路側機100-1が他の無線路側機100-2及び100-3から無線信号を受信して無線品質が測定される毎に更新(又は上書き)されてもよい。メモリには、少なくとも最新の無線品質が記憶される。
【0059】
(2.第2動作例)
次に、第2動作例について説明する。
【0060】
図5は、第2動作例を表すフローチャートである。第2動作例は、無線路側機100-1がアンテナ110-1及び110-2のいずれかを路車間通信の送信用アンテナとして選択し、無線路側機100-1がアンテナ110-1及び110-2のいずれかを路車間通信の送信用アンテナとして選択する例で説明する。
【0061】
図5に示すように、ステップS20において、無線路側機100-1は、第2動作例の処理を開始する。
【0062】
ステップS21において、無線路側機100-1の制御部130は、無線送信に用いる送信スロットが路路間通信用の送信スロットか否かを判定する。すなわち、制御部130は、送信スロットのスロット番号を確認することで、路路間通信であるのか(又は通信相手が無線路側機100-2又は100-3であるのか)、路車間通信であるのか(又は通信相手が車載通信機250であるのか)を確認している。制御部130(スロット判定機能部132)は、送信スロットのスロット番号が路路間通信用のスロット番号のときは、路路間通信用のスロット番号であると判定する(ステップS21でYes)。この場合、処理はステップS22へ移行する。一方、制御部130は、送信スロットのスロット番号が路路間通信用のスロット番号以外の番号のときは路路間通信用のスロット番号ではないと判定する(ステップS21でNo)。この場合、処理はステップS26へ移行する。
【0063】
ステップS22において、制御部130は、送信先の無線路側機100(無線路側機100-2又は無線路側機100-3)との通信履歴情報が有るか否かを判定する。例えば、制御部130(受信品質判定機能部133)は、送信先が無線路側機100-2の場合、無線路側機100-2を送信元情報に有する通信履歴情報がメモリに記憶されているか否かを判定する。制御部130(受信品質判定機能部133)は、送信元情報を有する通信履歴情報がメモリに記憶されていれば、送信先の無線路側機100との通信履歴情報が有ると判定する(ステップS22でYes)。この場合、処理はステップS23へ移行する。一方、制御部130(受信品質判定機能部133)は、送信元情報を有する通信履歴情報がメモリに記憶されていなければ、送信先の無線路側機100との通信履歴情報がないと判定する(ステップS22でNo)。この場合、処理はステップS26へ移行する。
【0064】
ステップS23において、制御部130は、送信先の無線路側機100との通信履歴情報に基づいて、無線路側機100との無線通信において、最も無線品質の良いアンテナ110-1又は110-2を選択する。すなわち、制御部130は、通信相手が他の無線路側機100-2又は100-3であり(ステップS21でYes)、送信先となる無線路側機100-2又は100-3との通信履歴情報が有れば(ステップS22でYes)、通信履歴情報に基づいて、送信先となる無線路側機100-2又は100-3との無線通信において、最も無線品質の良いアンテナ110-1又は110-2を選択する。例えば、制御部130(送信アンテナ判定機能部134)は、送信先が無線路側機100-2の場合、無線路側機100-2を送信元情報に有する通信履歴情報に基づいて、無線路側機100-2との無線通信において無線品質が最も良いアンテナ(例えばアンテナ110-1)を選択する。制御部130は、本処理が行われる直近の通信履歴情報を用いて選択することが好ましい。
【0065】
ステップS24において、制御部130(無線制御機能部131)は、選択したアンテナ110-1又は110-2を利用して、送信先となる他の無線路側機100-2又は100-3への無線送信を実施する。
【0066】
そして、ステップS25において、無線路側機100-1は第2動作例を終了する。
【0067】
一方、ステップS26において、制御部130は、運用者により定められたアンテナ110-1又は110-2を利用して、送信先への無線送信を実施する。すなわち、送信スロットが路車間通信のタイムスロットである場合(ステップS21でNo)、言い換えると、通信相手が車載通信機250の場合、制御部130(送信アンテナ判定機能部134)は、運用者により定められたアンテナ(例えばアンテナ110-1)を送信用アンテナとして選択する。また、通信相手が他の無線路側機100であり、当該他の無線路側機100との通信履歴情報がない場合(ステップS22でNo)、言い換えると、無線路側機100-1が過去に無線信号を受信したことがない無線路側機(例えば第3無線路側機)への無線送信を行う場合も、制御部130(送信アンテナ判定機能部134)は、運用者により定められたアンテナ(例えばアンテナ110-2)を送信用アンテナとして選択する。そして、制御部130(無線制御機能部131)は、選択したアンテナを利用して送信先への無線送信を実施することになる。
【0068】
そして、ステップS25において、無線路側機100-1は第2動作例を終了する。
【0069】
(第1実施形態の効果)
例えば、図1の例において、無線路側機100-1のアンテナ110-2が道路方向に向けて設置され、アンテナ110-1はアンテナ110-2よりも無線路側機100-2への距離が近いと仮定する。そして、アンテナ110-2を路車間通信用の送信用アンテナとし、アンテナ110-1を路路間通信用の送信用アンテナとし、夫々固定して運用するケースを仮定する。
【0070】
このようなケースにおいて、アンテナ110-2は、道路方向に向けて設定されているため、車載通信機250に対する無線送信を適切に行うことができる。また、アンテナ110-1も、アンテナ110-2よりも無線路側機100-2に対する距離が近いため、無線路側機100-2に対する無線送信を適切に行うことができる。
【0071】
しかし、無線路側機100-3への路路間通信に関し、アンテナ110-2は道路方向に向けて設置されているものの、アンテナ110-2の方がアンテナ110-1よりも無線路側機100-3への距離が近い。そのため、アンテナ110-2の方が、アンテナ110-1よりも、無線路側機100-3に対する無線品質が良い場合がある。このようなケースにおいて、アンテナ110-1を路路間通信の送信用アンテナとして利用するのは必ずしも適切ではない。
【0072】
第1実施形態では、無線路側機100は通信相手に応じて、送信用アンテナとして用いるアンテナ110-1又は110-2を選択できるようにしている。そのため、無線路側機100-1は、無線路側機100-3に対してアンテナ110-2を送信用アンテナとして選択することができる。また、無線路側機100-1は、車載通信機250(すなわち路車間通信)に対してはアンテナ110-2を送信用アンテナとして選択できる。更に、無線路側機100-1は、無線路側機100-2に対してはアンテナ110-1を送信用アンテナとして選択できる。これにより、無線路側機100-1は、路車間通信及び路路間通信の双方を適切に行うことが可能となる。
【0073】
(第1実施形態の他の例)
第1実施形態では、無線路側機100のアンテナ110-1及び110-2として、2本の例について説明したが、3本以上の場合でも実施可能である。アンテナが3本以上の場合でも、無線路側機100は、通信相手に応じて、送信用アンテナとして用いるアンテナを選択することで、第1実施形態と同様に、路車間通信及び路路間通信の双方を適切に行うことができる。アンテナが3本以上の場合、無線回路120も、アンテナの個数に応じて、3つ以上の無線回路を有することになる。
【0074】
[その他の実施形態]
上述した実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。このような記録媒体は、制御部130に含まれてもよい。制御部130は、記録媒体からプログラムを読み出して、実行することで、上述した実施形態で説明した各機能を実現してもよい。そのため、制御部130は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサ又はコントローラで構成されてもよい。
【0075】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各動作例、又は各処理を組み合わせることも可能である。
【0076】
(付記)
(付記1)
第1無線路側機と、
車両に搭載された車載通信機と、
前記第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、前記車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムであって、
前記第2無線路側機は、
複数のアンテナと、
通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択する制御部と、を有する
交通通信システム。
【0077】
(付記2)
前記通信相手は、前記第1無線路側機及び前記車載通信機のいずれかである
付記1記載の交通通信システム。
【0078】
(付記3)
前記制御部は、
前記通信相手が前記車載通信機の場合、前記複数アンテナのうち、運用者により定められた第1アンテナを前記送信用アンテナとして選択し、
前記通信相手が前記第1無線路側機の場合、前記第2無線路側機が前記第1無線路側機と前記無線通信を行ったときの無線品質に応じて前記複数のアンテナのうちいずれかを前記送信用アンテナとして選択する
付記1又は付記2記載の交通通信システム。
【0079】
(付記4)
前記第2無線路側機は、前記無線品質に関する通信履歴情報を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記通信履歴情報に基づいて前記送信用アンテナを選択する
付記1乃至付記3のいずれかに記載の交通通信システム。
【0080】
(付記5)
前記制御部は、前記第1無線路側機から受信した無線信号に対する前記アンテナ毎の前記無線品質を前記第1無線路側機に紐づけて、前記通信履歴情報として前記記憶部に記憶し、
前記制御部は、前記通信履歴情報に基づいて、前記第1無線路側機に対する前記無線品質が最も良い前記アンテナを、前記第1無線路側機に対する前記送信用アンテナとして選択する
付記1乃至付記4のいずれかに記載の交通通信システム。
【0081】
(付記6)
前記制御部は、過去に前記無線信号を受信したことがない第3無線路側機への無線送信を行う場合、前記複数のアンテナのうち、運用者により定められたアンテナを前記送信用アンテナとして選択する
付記1乃至付記5のいずれかに記載の交通通信システム。
【0082】
(付記7)
前記無線品質は、少なくとも、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、信号対干渉比(SIR:Signal to Interference Ratio)、信号対干渉雑音比(SINR:Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)、基準信号受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)、及び基準信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)のいずれかである
付記1乃至付記6のいずれかに記載の交通通信システム。
【0083】
(付記8)
前記第2無線路側機と前記第1無線路側機との前記無線通信は路路間通信であり、前記第2無線路側機と前記車載通信機との前記無線通信は路車間通信であり、
前記路路間通信と前記路車間通信とは、予め割り当てられた互いに異なるタイムスロットを利用して前記無線通信が夫々行われ、
前記制御部は、前記各タイムスロットを表すタイムスロット番号に基づいて、前記通信相手が前記第1無線路側機及び前記車載通信機のいずれであるかを判定する
付記1乃至付記7のいずれかに記載の交通通信システム。
【0084】
(付記9)
第1無線路側機と、車両に搭載された車載通信機と、前記第1無線路側機と無線通信が可能であるとともに、前記車載通信機と無線通信が可能な第2無線路側機と、を有する交通通信システムにおける交通通信方法であって、
複数のアンテナを有する前記第2無線路側機が、通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択するステップ、を有する
交通通信方法。
【0085】
(付記10)
他の無線路側機と無線通信が可能であるとともに、車両に搭載された車載通信機と無線通信が可能な無線路側機であって、
複数のアンテナと、
通信相手に応じて、前記複数のアンテナのうち送信用アンテナとして用いる前記アンテナを選択する制御部と、を有する
無線路側機。
【符号の説明】
【0086】
10 :交通通信システム 100 :無線路側機
110(110-1,110-2) :アンテナ
120(120-1,120-2) :無線回路
130 :制御部 131 :無線制御機能部
132 :スロット判定機能部 133 :受信品質判定機能部
134 :送信アンテナ判定機能部
200(200-1,200-2,200-3) :車両
250(250-1,250-2,250-3) :車載通信機
図1
図2
図3
図4
図5