(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046117
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A47J27/14 N
A47J27/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151311
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 宏典
(72)【発明者】
【氏名】牟田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰三
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA04
4B054AA17
4B054CE05
4B054CE06
4B054CE11
(57)【要約】
【課題】固形物31及び流動物32を含む被処理物を高効率で処理することが可能な処理装置100を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、被処理物を処理する処理装置100であって、処理槽1と、取付軸2と、保持容器3とを備え、処理槽1は、被処理物を収容するように構成され、取付軸2は、処理槽1内に設けられ、保持容器3は、取付軸2に取り付けられ、保持部4と、蓋部5とを備え、保持部4は、被処理物を投入可能な開口部40を備え、固形物31を内部に保持し流動物32を透過可能に構成され、蓋部5は、開口部40を開閉可能に構成される、処理装置100が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を処理する処理装置であって、
処理槽と、取付軸と、保持容器とを備え、
前記処理槽は、前記被処理物を収容するように構成され、
前記取付軸は、前記処理槽内に設けられ、
前記保持容器は、前記取付軸に取り付けられ、保持部と、蓋部とを備え、
前記保持部は、前記被処理物を投入可能な開口部を備え、固形物を内部に保持し流動物を透過可能に構成され、
前記蓋部は、前記開口部を開閉可能に構成される、処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記取付軸は、前記保持容器と一体的に回転可能に構成される、処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記保持容器の内面には、前記保持容器の内側に向かって突出する突出部が設けられる、処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の処理装置であって、
前記突出部は、長板形状である、処理装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の処理装置であって、
前記取付軸は、前記処理槽内に水平方向に沿って設けられ、
前記保持容器は、前記取付軸が前記保持容器を貫通するように前記取付軸に取り付けられる、処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の調理等を目的として、被処理物を処理槽に収容し加熱又は冷却処理を行う処理装置が用いられている。特許文献1に開示される調理装置においては、処理槽に相当する加熱釜内に収容された食材を、撹拌羽根により撹拌しながら加熱調理し、加熱釜を傾動させることにより調理後の食材を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被処理物が固形物と液体等の流動物を含む場合(例えば、水中で固形物の食材を煮込む場合)、処理中に固形物が液面付近に浮き上がり、加熱又は冷却の効率が低下する場合がある。また、固形物のみを製品として取り出す場合、流動物中から固形物をザル等の道具を用いてすくいとるか、処理槽から流動物を排出する際にザル等の道具で固形物のみを受け止める必要があり、作業が煩雑となる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、固形物及び流動物を含む被処理物を高効率で処理することが可能な処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]被処理物を処理する処理装置であって、処理槽と、取付軸と、保持容器とを備え、前記処理槽は、前記被処理物を収容するように構成され、前記取付軸は、前記処理槽内に設けられ、前記保持容器は、前記取付軸に取り付けられ、保持部と、蓋部とを備え、前記保持部は、前記被処理物を投入可能な開口部を備え、固形物を内部に保持し流動物を透過可能に構成され、前記蓋部は、前記開口部を開閉可能に構成される、処理装置。
[2][1]に記載の処理装置であって、前記取付軸は、前記保持容器と一体的に回転可能に構成される、処理装置。
[3][1]又は[2]に記載の処理装置であって、前記保持容器の内面には、前記保持容器の内側に向かって突出する突出部が設けられる、処理装置。
[4][3]に記載の処理装置であって、前記突出部は、長板形状である、処理装置。
[5][1]から[4]のいずれか1つに記載の処理装置であって、前記取付軸は、前記処理槽内に水平方向に沿って設けられ、前記保持容器は、前記取付軸が前記保持容器を貫通するように前記取付軸に取り付けられる、処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る処理装置は保持容器を備え、保持容器は、固形物を内部に保持し流動物を透過可能に構成された保持部と、保持部の開口部を開閉可能に構成された蓋部とを備える。例えば、被処理物としての固形物を液体等の流動物中で加熱又は冷却処理する場合、固形物を投入した保持容器を処理槽内に設けられた取付軸に取り付けることにより、固形物を保持容器ごと浸漬させて保持部を透過する流動物と接触させながら処理可能であり、固形物の液面付近への浮き上がりを防止することができる。また、処理後は、流動物を処理槽から排出することにより保持容器内に固形物のみが残されるため、固形物の取り出しが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る処理装置100の構成を示す概略図である。
【
図2】処理装置100の保持容器3の斜視図であり、蓋部としての第2部材5を閉じた状態を示す図である。
【
図3】保持部としての第1部材4から第2部材5を外した状態の保持容器3を上方から見た斜視図である。
【
図4】第1部材4から第2部材5を外した状態の保持容器3を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
1.処理装置100の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る処理装置100の構成を示す概略図である。処理装置100は、被処理物の一例である食品を減圧下で撹拌しながら加熱及び冷却処理可能に構成された蒸気釜である。本実施形態の処理装置100は、特に、固形物31及び流動物32を含む被処理物の処理に好適に用いられる。処理装置100は、具体的には、処理槽1と、取付軸2と、保持容器3と、加熱手段6と、ドレン排出手段7と、吸気手段8と、復圧手段9と、制御手段10とを備える。
【0011】
<処理槽1>
処理槽1は、被処理物としての食品を収容するように構成される。本実施形態の処理槽1は、内釜11と、ジャケット12と、蓋材13とを備える。内釜11は、上方へ開口する有底の容器であり、被処理物は開口から内釜11内へ投入可能である。ジャケット12は、内釜11の底面及び側面の少なくとも一部を覆うように設けられ、ジャケット12と内釜11との間には、蒸気を導入可能な空間(蒸気室12a)が設けられる。蓋材13は内釜11の開口を開閉可能に構成され、蓋材13により開口を閉止することで内釜11を密閉可能である。なお、処理槽1の構成は、本実施形態のような真空釜に限定されるものではなく、開放釜や加圧釜であってもよい。
【0012】
処理槽1の側面には、処理槽1を両側から挟み込むように一対の軸部14が設けられる。軸部14は支持部材(不図示)に支持されており、これにより、処理槽1は床面から浮いた状態で配置される。また、処理槽1は、支持部材に接続された傾動機構(不図示)により駆動されて軸部14を中心軸として傾動可能であり、処理槽1を傾動させることで内釜11内の被処理物を取り出すことが可能である。
【0013】
<取付軸2>
取付軸2は、処理槽1内に設けられる。本実施形態の取付軸2は、処理槽1内に水平方向に沿って設けられる。取付軸2は、具体的には、処理槽1の内部において、その水平方向の両端を架け渡すように設けられる。また、本実施形態の取付軸2は、駆動機構(不図示)により回転可能に構成される。
【0014】
<保持容器3>
保持容器3は、取付軸2に取り付けられ、保持部と、蓋部とを備える。
図2に示すように、本実施形態の保持容器3は、全体として中空の略円柱形状を有し、保持部としての第1部材4と、蓋部としての第2部材5とを備える。保持容器3の各構成要素の素材としては、金属や樹脂等を用いることができる。
【0015】
本実施形態の第1部材4及び第2部材5は、保持容器3の円柱形状を、中心軸を通る平面で二分割した全体形状をそれぞれ有し、第1部材4及び第2部材5は当該平面に関して凡そ面対称な構造を有する。本実施形態の説明においては、便宜上、第1部材4を保持部、第2部材5を蓋部とみなして各構成要素の詳細を説明するが、第2部材5を保持部、第1部材4を蓋部とみなしても同様の機構が成立する。
【0016】
図3に示すように、保持部としての第1部材4は、被処理物を投入可能な開口部40を備える。また、開口部40は、蓋部としての第2部材5により開閉可能である。本実施形態では、第1部材4から第2部材5を分離することにより
図3に示すように開口部40を開放し、第1部材4の開口部40と第2部材5の開口部50とが対向するように第1部材4に対して第2部材5を重ね合わせることにより、
図2に示すように開口部40を閉止可能である。
【0017】
図2から
図4に示すように、第1部材4は、側面部41と、2つの端面部42と、鍔部43と、2つの固定部44と、突出部47とを備える。また、第2部材5は、側面部51と、2つの端面部52と、鍔部53と、2つの固定部54と、突出部57とを備える。
【0018】
側面部41,51は、保持容器3の円柱形状の側面に対応する部分である。端面部42,52は、保持容器3の円柱形状の両端面(底面)に対応する部分である。鍔部43,53は、開口部40,50の周縁から外側に張り出すように側面部41,51及び端面部42,52に連続してそれぞれ設けられる。また、固定部44,54は、円柱形状の中心軸に沿って端面部42,52から保持容器3の外方に突出するようにそれぞれ設けられ、半円形状の断面を有する凹部44a,54aと、凹部44a,54aの両側に設けられた平板部44b,54bとを備える。
【0019】
保持部としての第1部材4は、固形物31を内部に保持し流動物32を透過可能に構成される。また、本実施形態では、第2部材5も固形物31を内部に保持し流動物32を透過可能に構成される。本実施形態では、
図2に示すように第1部材4及び第2部材5の側面部41,51に複数の貫通孔41a,51aが形成されており、貫通孔41a,51aを通して流動物32を透過可能である。また、固形物31のサイズに対して貫通孔41a,51aの直径を十分に小さく設定することで、固形物31を保持部の内部に保持することが可能である。第1部材4及び第2部材5の素材としてステンレス等の金属を用いる場合、例えば、パンチングメタルやメッシュメタルを用いて側面部41,51を構成することで、上記のような貫通孔41a,51aを設けることができる。
【0020】
本実施形態の保持容器3は、
図1に示すように、取付軸2が保持容器3を貫通するように取付軸2に取り付けられる。具体的には、保持容器3の挿通孔33(
図2参照)に取付軸2が挿通された状態で、保持容器3が取付軸2に取り付けられている。本実施形態では、第1部材4の固定部44の凹部44aと第2部材5の固定部54の凹部54aとが組み合わさることで挿通孔33が形成される。保持容器3が取付軸2に取り付けられた状態において、保持容器3の円柱形状の中心軸の位置に取付軸2が配置される。
【0021】
また、本実施形態では、取付軸2が保持容器3と一体的に回転可能に構成される。具体的には、保持容器3が固定部44,54において取付軸2に対して固定されており、取付軸2が駆動機構により駆動され回転すると保持容器3が取付軸2と同軸周りに回転する。これにより、保持容器3内の被処理物が撹拌され、固形物31と流動物32の接触が促進される。なお、
図1では保持容器3の全体が流動物32中に浸漬しているが、保持容器3の取付態様はこれに限定されるものではなく、保持容器3の一部が流動物32中に浸漬するように取付軸2に取り付けてもよい。
【0022】
また、本実施形態の保持容器3の内面には、
図3及び
図4に示すように、保持容器3の内側に向かって突出する突出部47,57が設けられる。具体的には、第1部材4及び第2部材5の内面に、長板形状の突出部47,57がそれぞれ設けられる。本実施形態では、第1部材4及び第2部材5の各々において、端面部42,52同士を架け渡すように、中心軸とは非平行な方向に沿って突出部47,57が設けられている。突出部47,57を設けることにより、保持容器3を取付軸2とともに回転させた際に、保持容器3内部の被処理物をより効果的に撹拌することができる。
【0023】
また、突出部47,57を長板形状とすることで、保持容器3内に流れを形成し被処理物をより効果的に撹拌することができる。なお、撹拌効率をさらに向上させる観点から、長板形状の突出部47,57は、保持容器3の円柱形状の中心軸と非平行に(換言すれば、突出部47,57の延在方向が中心軸に対して傾斜するように)設けることが好ましく、中心軸に対して突出部47,57を互いに反対方向に延在するように(換言すれば、突出部47,57の延在方向が中心軸に対して互いに反対方向に傾斜するように)設けることがより好ましい。
【0024】
固形物31の被処理物を保持容器3に収容する際には、まず、第1部材4を取付軸2に取り付ける。具体的には、開口部40を上方に向けた第1部材4を、凹部44aに取付軸2が嵌合するように下方から取付軸2に近づけ、取付軸2に設けられた取付部(不図示)にボルト等の固定部材を用いて平板部44bを取り付ける。そして、取付軸2に取り付けられた第1部材4内に開口部40から固形物31を投入する。
【0025】
固形物31の投入後、開口部50を下方に向けた第2部材5を、凹部54aに取付軸2が嵌合するように上方から取付軸2に近づけ、第1部材4に重ね合わせる。この状態で第1部材4及び第2部材5の平板部44b,54b同士を固定部材で固定することにより、保持容器3を取付軸2に対して固定することができる。本実施形態では、固定部材としてボルト34を用いて、平板部44b,54b同士を8箇所で固定している。さらに、第1部材4及び第2部材5の鍔部43,53同士を固定部材で固定する。本実形態では、固定部材としてボルト35を用いて、鍔部43,53同士を6箇所で固定している。以上の手順で、保持容器3への固形物31の投入が完了する。
【0026】
本実施形態では、挿通孔33の内径が取付軸2の外径と略同一に設定され、第1部材4及び第2部材5の固定部44,54の凹部44a,54aに取付軸2が嵌合されている。これにより、保持容器3を取付軸2に対して強固に固定可能である他、保持容器3を取付軸2に固定した状態において保持容器3の固定箇所からの固形物31の流出を抑制することができる。
【0027】
また、
図2に示すように第1部材4及び第2部材5の鍔部43,53同士を固定した状態において、鍔部43,53の接触面43a,53a同士が密着しているため、第1部材4と第2部材5の境目からの固形物31の流出を抑制することができる。なお、第1部材4及び第2部材5のうちの少なくとも一方の鍔部43,53の接触面43a,53a上に樹脂パッキン等のシール部材を配置してもよい。これにより、第1部材4と第2部材5の境目からの固形物31の流出をより効果的に抑制することができる。
【0028】
<加熱手段6>
加熱手段6は、
図1に示すように、給蒸ライン61を備える。給蒸ライン61は、上流側がボイラ(不図示)に接続され、下流側がジャケット12に接続されており、ボイラから供給された高温高圧の加熱蒸気を蒸気室12a内に供給する。給蒸ライン61には、給蒸弁62が設けられている。本実施形態の加熱手段6は、給蒸ライン61を介して蒸気室12a内に供給される蒸気により、処理槽1内の食品を間接的に加熱する。
【0029】
<ドレン排出手段7>
ドレン排出手段7は、ドレン排出ライン71と、蒸気トラップ72と、ドレン排出弁73とを備える。ドレン排出手段7は、ジャケット12内へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)を外部に排出するよう構成される。ドレン排出ライン71は、その一端がジャケット12に接続される。蒸気トラップ72及びドレン排出弁73は、ドレンの流れに沿って上流側からこの順でドレン排出ライン71に設けられる。
【0030】
<吸気手段8>
吸気手段8は、排気ライン81を介して処理槽1内の気体を外部へ吸引排出することにより、処理槽1内を減圧するように構成される。排気ライン81は、気体の流れに沿って上流側が処理槽1に接続され、下流側がエゼクタ(不図示)及び真空ポンプ(不図示)等を含む吸気系統に接続されている。
【0031】
<復圧手段9>
復圧手段9は、給気ライン91を介して処理槽1内へ外気を導入することにより、処理槽1内を復圧するように構成される。給気ライン91には、外気の流れに沿って上流側からエアフィルタ92と給気弁93とが設けられ、給気ライン91の下流側は蓋材13に接続されている。処理槽1内が減圧された状態で給気弁93を開けると、外気がエアフィルタ92を介して処理槽1内へ導入される。
【0032】
この他、処理装置100には、処理状態を検出するための各種センサ(不図示)が設けられてもよい。当該センサとしては、処理槽1内の被処理物の重量を検出する重量センサ、蒸気室12a内の圧力を検出する圧力センサ、及び処理槽1内の被処理物の温度を検出する温度センサが例示される。センサによる検出信号は、制御手段10へ送られる。
【0033】
<制御手段10>
制御手段10は、所定の手順(プログラム)に従い処理装置100の各構成要素を制御することで、食品の加熱及び冷却のための制御を行う。制御手段10は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段10の上記の各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段10の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0034】
2.被処理物の処理方法
次に、本実施形態の処理装置100を用いた被処理物の処理方法について説明する。本実施形態の処理方法は、収容工程S1、吸気工程S2、加熱工程S3、冷却工程S4、及び取出工程S5を備える。
【0035】
<収容工程S1>
収容工程S1では、処理槽1に被処理物としての食品を収容する。被処理物が固形物31及び流動物32を含む場合、まず、上記の手順で保持容器3の取付軸2への取り付け及び固形物31の保持容器3への投入を行う。固形物31の投入完了後、内釜11の開口から液体等の流動物32を投入する。被処理物の収容が完了した時点で、
図1に示すように、内釜11内において、固形物31を内部に保持した保持容器3の少なくとも一部が流動物32中に浸漬した状態となる。被処理物の収容完了後、蓋材13を閉じて内釜11を密閉する。
【0036】
<吸気工程S2>
収容工程S1の完了後、吸気工程S2では、吸気手段8により内釜11内の気体を外部へ吸引排出し、内釜11内を所定圧力に減圧する。制御手段10は、吸気系統を作動させて処理槽1内の減圧を開始する。食品から発生する蒸気を含む内釜11内の空気は、排気ライン81を介して外部へ排出される。
【0037】
<加熱工程S3>
加熱工程S3では、内釜11内の被処理物を加熱手段6により加熱する。制御手段10は、給蒸弁62を開くことで蒸気室12aへ蒸気を供給する。蒸気室12aに供給された蒸気により内釜11内の食品が加熱される。なお、吸気工程S2と加熱工程S3とは、順次実行してもよく、並行して実行してもよい。
【0038】
また、制御手段10は、取付軸2の駆動機構を作動させて取付軸2を回転させる。これにより、取付軸2に取り付けられた保持容器3が取付軸2と一体的に回転し、保持容器3内部の被処理物が撹拌される。なお、保持容器3の回転による撹拌は、加熱工程S3の間に亘って実行しても良く、一部の時間のみ実行しても良い。また、保持容器3の回転による撹拌は、吸気工程S2の途中や、吸気工程S2の開始前に実行することも可能である。
【0039】
加熱工程S3を終了する際には、制御手段10は、給蒸弁62を閉じることで蒸気室12aへの蒸気の供給を停止する。
【0040】
<冷却工程S4>
加熱工程S3の終了後、冷却工程S4では、吸気手段8により内釜11内を真空に近い状態まで減圧して、内釜11内の食品を冷却する。制御手段10は、吸気系統を制御して内釜11内の圧力を吸気工程S2における所定圧力よりもさらに減圧する。
【0041】
冷却工程S4を終了する際には、制御手段10は、吸気系統を停止し、その後給気弁93を開けて内釜11内を大気圧まで復圧する。
【0042】
<取出工程S5>
内釜11内が大気圧まで復圧した後、取出工程S5では、被処理物を内釜11から取り出す。まず、制御手段10は、傾動機構を作動させ、固形物31を保持容器3内に保持した状態で処理槽1を傾動させる。これにより、内釜11内の流動物32を外部に取り出すことができる。流動物32を取り出した後、制御手段10は傾動機構を再び作動させ、処理槽1を水平状態に戻す。
【0043】
次に、取付軸2を適宜回転させて第1部材4が取付軸2の下側、第2部材5が取付軸2の上側にある状態に保持容器3を配置してから、保持容器3の第2部材5を取り外して第1部材4の開口部40を開放する。そして、第1部材4を取付軸2と一体的に回転させて開口部40を下方に向け、第1部材4内の固形物31を全て内釜11内に落下させる。
【0044】
次に、制御手段10は、傾動機構を作動させて処理槽1を再び傾動させる。これにより、内釜11内の固形物31を外部に取り出すことができる。
【0045】
3.作用効果
【0046】
本実施形態の保持容器3の保持部としての第1部材4は、固形物31を内部に保持し流動物32を透過可能に構成される。このような保持容器3を用いることで、処理槽1内で固形物31を保持容器3ごと流動物32中に浸漬させ、第1部材4を透過する流動物32と接触させながら加熱又は冷却処理を行うことができる。これにより、固形物31の液面付近への浮き上がりを防止し、加熱又は冷却の効率を高めることが可能となる。また、処理後は、流動物32と固形物31を容易に分離して取り出すことが可能である。
【0047】
本実施形態の保持容器3は、取付軸2と一体的に回転可能である。これにより、保持容器3内の被処理物を撹拌し流動物32との接触を促進して、被処理物を均一に処理することができる。撹拌羽根やヘラによる撹拌と比較して固形物31に加わる力が小さいため、比較的柔らかい、又は割れやすい固形物31であっても形状が崩れにくい。
【0048】
本実施形態の保持容器3は、内面に突出部47,57が設けられる。これにより、保持容器3を回転させた際に、内部の被処理物をより効果的に撹拌可能である。被処理物の条件によっては、保持容器3内において固形物31が流動物32中に浮いた状態でほぼ静止し、固形物31の周囲を保持容器3のみが回転し、撹拌効果が低下するおそれがあるが、突出部47,57を設けることで、このような事態を回避することができる。
【0049】
本実施形態では、処理槽内に水平方向に沿って設けられた取付軸2に、保持容器3を貫通させるように取り付けられている。蒸気釜に用いられる一般的形状の処理槽1においては、処理槽1を水平方向に横断するように設けた取付軸2に保持容器3を貫通させることにより、保持容器3をより大容量としても流動物32中に容易に浸漬させることができる。本実施形態では、さらに、保持容器3が全体として円柱形状を有し、第1部材4及び第2部材5が当該円柱形状の中心軸を通る平面で二分割した全体形状を有し、当該中心軸の位置に取付軸2が配置される。これにより、保持容器3を回転させた際に取付軸2に加わる力がより均等化され、より安定的な回転が可能となる。
【0050】
4.変形例
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0051】
保持容器3の第1部材4及び第2部材5の構成は、上記実施形態の例に限定されるものではない。例えば、側面部41及び端面部42と、鍔部43及び固定部44とが別部品となるように第1部材4を構成し、側面部51及び端面部52と、鍔部53及び固定部54とが別部品となるように第2部材5を構成してもよい。このような構成では、鍔部43及び固定部44からなる部品と鍔部53及び固定部54からなる部品と(これらの部品を被取付部材と称する)を取付軸2に設けられた取付部(不図示)にボルト等の固定部材を用いて取り付け、さらに側面部41及び端面部42からなる部品と側面部51及び端面部52からなる部品とを被取付部材に対して取り付けることで、保持容器3を取付軸2に対して固定することができる。
【0052】
上記実施形態では、処理槽1内に水平方向に沿って設けられた取付軸2に保持容器3を取り付けたが、取付軸2の配置はこれに限定されるものではない。例えば、略鉛直方向に沿って設けた取付軸2に保持容器3を取り付ける構成としてもよい。
【0053】
上記実施形態では、取付軸2及び保持容器3を一体的に回転させたが、保持容器3を回転させなくてもよく、被処理物の種類や処理方法によって回転及び非回転を切替可能に構成してもよい。
【0054】
上記実施形態では、保持容器3が全体として略円柱形状を有し、第1部材4及び第2部材5が当該円柱形状を二分割した全体形状を有し、第1部材4から第2部材5を取外すことで第1部材4の開口部40を開放したが、保持容器3の構成はこれに限定されるものではない。保持容器3の全体形状は、例えば、多角柱、箱型、球形等の他の形状であってもよい。また、例えば、略円柱形状の保持容器3が、一方の端面(底面)が開口した円柱形状の保持部と、当該一方の端面に対応する蓋部とを備える構成としてもよい。また、例えば、保持部及び蓋部をヒンジ構造で接続し、蓋部を当該ヒンジ構造により回転させて保持部の開口部を開閉してもよい。
【0055】
上記実施形態では、第1部材4及び第2部材5の内面に長板形状の突出部47,57をそれぞれ設けたが、突出部47,57の構成はこれに限定されるものではない。突出部47,57は、保持容器3の保持部及び蓋部の少なくとも一方の内面に設けられればよい。また、突出部47,57は他の形状でもよく、例えば、保持容器3の内面から内側に向かって突出する柱状の突起でもよく、当該突起は複数設けられてもよい。また、長板形状の突出部47,57は、保持容器3の内側に向かう延出方向に沿った先端が凹凸形状(例えば、波形状)をなしていてもよい。
【0056】
上記実施形態では、第1部材4及び第2部材5の側面部41,51に複数の貫通孔41a,51aを設けたが、流動物32を透過させるための構成は、これに限定されるものではない。例えば、側面部41,51に加え、端面部42,52にも同様の貫通孔を形成し流動物32を透過させてもよい。
【0057】
また、上記実施形態の取付軸2に、着脱可能な撹拌羽根を設けてもよい。このような構成では、撹拌羽根による撹拌と、保持容器3の回転による撹拌とを選択的に実施できる。例えば、被処理物が流動物32のみの場合や、形状が崩れにくい固形物31を含む場合には撹拌羽根を取り付けて撹拌を行い、形状が崩れやすい固形物31を含む場合には保持容器3の回転による撹拌を行う、といった使い分けが可能となる。
【0058】
上記実施形態では、処理装置100を食品の加熱及び冷却処理が可能な構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、処理装置100を食品の加熱処理専用、又は冷却処理専用に構成してもよい。また、加熱及び冷却機構についても、上記実施形態の例に限定されるものではない。例えば、ガスを燃焼させて加熱する構成や、電熱ヒータ又はIHヒータを用いて加熱する構成としてもよいし、蒸気室12aに冷却水を導入することで内釜11内の被処理物を間接的に冷却する構成としてもよい。
【0059】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 :処理槽
2 :取付軸
3 :保持容器
4 :第1部材
5 :第2部材
6 :加熱手段
7 :ドレン排出手段
8 :吸気手段
9 :復圧手段
10 :制御手段
11 :内釜
12 :ジャケット
12a :蒸気室
13 :蓋材
14 :軸部
31 :固形物
32 :流動物
33 :挿通孔
34 :ボルト
35 :ボルト
40 :開口部
41 :側面部
41a :貫通孔
42 :端面部
43 :鍔部
43a :接触面
44 :固定部
44a :凹部
44b :平板部
47 :突出部
50 :開口部
51 :側面部
51a :貫通孔
52 :端面部
53 :鍔部
53a :接触面
54 :固定部
54a :凹部
54b :平板部
57 :突出部
61 :給蒸ライン
62 :給蒸弁
71 :ドレン排出ライン
72 :蒸気トラップ
73 :ドレン排出弁
81 :排気ライン
91 :給気ライン
92 :エアフィルタ
93 :給気弁
100 :処理装置