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特開2024-46121コンバインドサイクルプラント、及びその燃料供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046121
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】コンバインドサイクルプラント、及びその燃料供給方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20240327BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20240327BHJP
   F02C 3/22 20060101ALI20240327BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20240327BHJP
   F02C 6/10 20060101ALI20240327BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240327BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240327BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
F01K23/10 X
F02C7/22 B
F02C3/22
F02C6/00 E
F02C6/10
F02C6/18 A
F02C7/00 B
C01B3/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151315
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉徳 光一朗
(72)【発明者】
【氏名】中川 慶一
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸男
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA03
3G081BA14
3G081BC07
(57)【要約】
【課題】アンモニアを熱分解して得られる水素を含む燃料で駆動するコンバインドサイクルプラントで、排熱回収ボイラで発生した蒸気の熱を有効利用する。
【解決手段】コンバインドサイクルプラントは、ガスタービンと、排熱回収ボイラと、最も高温高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービンを含む少なくとも一の蒸気タービンと、アンモニアを熱分解させる熱分解装置と、前記熱分解装置で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービンに供給可能な燃料供給装置と、を備える。熱分解装置は、反応容器と、熱分解用蒸気供給ラインと、を有する。前記反応容器内では、触媒が存在し且つ前記触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下で、前記アンモニアを熱分解させる。前記熱分解用蒸気供給ラインは、前記第一蒸気タービンから抽気された蒸気を前記反応容器内に導入可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービンと、
前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、
前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、
アンモニア供給源からのアンモニアを熱分解させて、水素を生成可能な熱分解装置と、
前記熱分解装置で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービンに供給可能な燃料供給装置と、
を備え、
前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービンを有し、
前記熱分解装置は、
アンモニアが流入可能なアンモニア空間と蒸気が流入可能な蒸気空間とが形成され、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させ、アンモニアを熱分解させることができる反応容器と、
前記アンモニア空間内に配置され、前記アンモニア空間内のアンモニアの分解を促進する触媒と、
前記触媒に電流を流して、前記触媒を含む反応系に電場をかけることが可能な電源回路と、
前記第一蒸気タービンから抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービンから排気され前記復水器に至るまでの蒸気の一部を熱分解用蒸気として前記反応容器の前記蒸気空間内に導入可能に構成されている熱分解用蒸気供給ラインと、
前記反応容器の前記蒸気空間内から蒸気又は液体の水を排出可能に構成されている熱分解用蒸気排出ラインと、
を有する、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記第一蒸気タービンの他に、前記第一蒸気タービンから排気された蒸気を含む蒸気で駆動可能な第二蒸気タービンを有し、
前記熱分解用蒸気供給ラインは、前記第一蒸気タービンから排気され前記第二蒸気タービンに至る前までの蒸気の一部、又は、前記第二蒸気タービンから抽気された蒸気を前記反応容器の前記蒸気空間内に導入可能に構成されている、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項3】
請求項1に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記アンモニア供給源から前記熱分解装置に至るまでのアンモニアを加熱するアンモニア予熱器を備え、
前記アンモニア予熱器は、前記熱分解用蒸気排出ラインを流れる蒸気又は液体の水と前記アンモニア供給源からのアンモニアと熱交換可能に構成されている、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項4】
請求項1に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記熱分解用蒸気よりも高温高圧の蒸気である駆動用蒸気を駆動源として、前記反応容器の前記蒸気空間から排出された蒸気である排出蒸気の一部を自身の内部に吸い込み、前記駆動用蒸気と前記排出蒸気とが混ざった蒸気を前記熱分解用蒸気供給ライン中に供給可能なサーモコンプレッサを備え、
前記熱分解用蒸気排出ラインは、前記反応容器の前記蒸気空間に連通している主ラインと、前記主ラインから分岐し前記熱分解用蒸気供給ラインに接続されている分岐ラインと、を有し、
前記サーモコンプレッサは、前記分岐ライン中に設けられている、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記反応容器は、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気との熱交換で、前記蒸気空間内の蒸気が液体の水になるよう、構成されている、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記燃料供給装置は、前記熱分解装置でのアンモニアの熱分解で得られた水素と窒素とのうち、窒素を除去する窒素除去装置を有する、
コンバインドサイクルプラント。
【請求項7】
水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービンと、
前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、
前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、
を備え、
前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービンを有する、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、
アンモニア供給源からのアンモニアを熱分解して、水素を生成する熱分解工程と、
前記熱分解工程の実行で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービンに供給する燃料供給工程と、
を実行し、
アンモニアの熱分解は、アンモニアが流入可能なアンモニア空間と蒸気が流入可能な蒸気空間とが形成され、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させることができる反応容器内で実行され、
前記熱分解工程は、
前記第一蒸気タービンから抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービンから排気され前記復水器に至るまでの蒸気の一部を前記反応容器の前記蒸気空間内に導く熱分解用蒸気供給工程と、
前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させて、アンモニアの分解を促進する触媒が存在し且つ前記触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下で、前記アンモニアを熱分解させる分解反応工程と、
前記反応容器の前記蒸気空間内から蒸気又は液体の水を排出する熱分解用蒸気排出工程と、
を含む、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法。
【請求項8】
請求項7に記載のコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、
前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記第一蒸気タービンの他に、前記第一蒸気タービンから排気された蒸気を含む蒸気で駆動可能な第二蒸気タービンを有し、
前記熱分解用蒸気供給工程では、前記第一蒸気タービンから排気され前記第二蒸気タービンに至る前までの蒸気の一部、又は、前記第二蒸気タービンから抽気された蒸気を前記反応容器の前記蒸気空間内に導く、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法。
【請求項9】
請求項7に記載のコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、
前記熱分解工程が実行される前に、前記アンモニア供給源からのアンモニアを加熱するアンモニア予熱工程を実行し、
前記アンモニア予熱工程では、前記熱分解用蒸気排出工程で、前記反応容器の前記蒸気空間内から排出された蒸気又は液体と前記アンモニア供給源からのアンモニアと熱交換させる、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、
前記分解反応工程では、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させて、前記蒸気空間内の蒸気を液体の水にし、
前記熱分解用蒸気排出工程では、前記反応容器の前記蒸気空間内から液体の水を排出する、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法。
【請求項11】
請求項7から9のいずれか一項に記載のコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、
前記燃料供給工程は、前記熱分解工程でのアンモニアの熱分解で得られた水素と窒素とのうち、窒素を除去する窒素除去工程を含む、
コンバインドサイクルプラントの燃料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン及び排熱回収ボイラを備えるコンバインドサイクルプラント、及びその燃料供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保全の観点からCO排出量を削減するため、燃焼してもCOを排出しない水素を燃料として利用することが有力な選択肢となっている。
【0003】
以下の特許文献1には、水素を燃料として利用するコンバインドサイクルプラントが開示されている。このコンバインドサイクルプラントは、水素を燃料とするガスタービンと、ガスタービンから排気されて排気ガスの熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラからの蒸気でアンモニアを熱分解させる熱分解装置と、を備える。排熱回収ボイラは、低圧蒸気発生系と、中圧蒸気発生系と、高圧蒸気発生系と、を有する。高圧蒸気発生系は、低圧蒸気発生系、中圧蒸気発生系及び高圧蒸気発生系のうちで、最も高温高圧の蒸気を発生する。熱分解装置は、この高圧蒸気発生系からの蒸気とアンモニアとを触媒環境下で熱分解させる。この熱分解装置でのアンモニアの熱分解で得られた水素は、燃料としてガスタービンに送られる。
【0004】
アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度は、触媒の種類や反応環境圧力等に応じて多少変化するものの、概ね、450℃から600℃程度である。このため、特許文献1に記載の技術では、排熱回収ボイラが発生する複数種類の蒸気のうちで、最も高温高圧の高圧蒸気を熱分解装置に導入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-147481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンバインドサイクルプラントでは、排熱回収ボイラで発生した蒸気の熱を有効利用することが望まれている。
【0007】
そこで、本開示は、アンモニアを熱分解して得られる水素を含む燃料で駆動するコンバインドサイクルプラントで、排熱回収ボイラで発生した蒸気の熱を有効利用できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのコンバインドサイクルプラントは、
水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービンと、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、アンモニア供給源からのアンモニアを熱分解させて、水素を生成可能な熱分解装置と、前記熱分解装置で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービンに供給可能な燃料供給装置と、を備える。前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービンを有する。前記熱分解装置は、アンモニアが流入可能なアンモニア空間と蒸気が流入可能な蒸気空間とが形成され、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させ、アンモニアを熱分解させることができる反応容器と、前記アンモニア空間内に配置され、前記アンモニア空間内のアンモニアの分解を促進する触媒と、前記触媒に電流を流して、前記触媒を含む反応系に電場をかけることが可能な電源回路と、前記第一蒸気タービンから抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービンから排気され前記復水器に至るまでの蒸気の一部を熱分解用蒸気として前記反応容器の前記蒸気空間内に導入可能に構成されている熱分解用蒸気供給ラインと、前記反応容器の前記蒸気空間内から蒸気又は液体の水を排出可能に構成されている熱分解用蒸気排出ラインと、を有する。
【0009】
触媒が存在するものの、反応系に電場がかけられていない環境下で、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度は、概ね、450℃から600℃程度である。一方、本態様のように、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度は、反応系に電場がかけられていない環境下での熱分解反応温度より低くなる。本態様では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、具体的に、概ね、150℃から200℃としている。なお、この環境下であれば、熱分解反応温度を150℃未満にすることも可能であり、熱分解反応温度を200℃以上にすることも可能である。但し、熱分解反応温度を150℃未満にした場合には、アンモニア分解反応で得られる水素のエネルギー量以上に電気エネルギーを消費してしまう。また、熱分解反応温度を200℃以上にすると、電力に変換可能な200℃以上の蒸気をあえてアンモニアの熱分解に使うことにより、発電量が減少してしまう。そこで、本態様では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、前述したように、概ね、150℃から200℃にしている。
【0010】
以上のように、本態様では、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度を下げることができる。そこで、本態様では、第一蒸気タービンに流入する蒸気よりも低温で且つ低圧の蒸気、つまり、第一蒸気タービンから抽気された蒸気、又は第一蒸気タービンから排気され復水器に至るまでの蒸気の一部を反応容器の蒸気空間内に導入して、この蒸気の熱を利用して、アンモニアを熱分解させる。
【0011】
以上のように、本態様では、高温高圧の蒸気をアンモニアの熱分解に利用せず、この高温高圧の蒸気を第一蒸気タービンの駆動に利用するので、高温高圧の蒸気を有効利用することができる。このため、本態様では、コンバインドサイクルプラントの出力を高めることができる。
【0012】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、以下のコンバインドサイクルプラントに適用される。
このコンバインドサイクルプラントは、水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービンと、前記ガスタービンからの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラからの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器と、を備える。前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービンを有する。
このコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法では、アンモニア供給源からのアンモニアを熱分解して、水素を生成する熱分解工程と、前記熱分解工程の実行で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービンに供給する燃料供給工程と、を実行する。アンモニアの熱分解は、アンモニアが流入可能なアンモニア空間と蒸気が流入可能な蒸気空間とが形成され、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させることができる反応容器内で実行される。前記熱分解工程は、前記第一蒸気タービンから抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービンから排気され前記復水器に至るまでの蒸気の一部を前記反応容器の前記蒸気空間内に導く熱分解用蒸気供給工程と、前記アンモニア空間内のアンモニアと前記蒸気空間内の蒸気とを熱交換させて、アンモニアの分解を促進する触媒が存在し且つ前記触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下で、前記アンモニアを熱分解させる分解反応工程と、前記反応容器の前記蒸気空間内から蒸気又は液体の水を排出する熱分解用蒸気排出工程と、を含む。
【0013】
本態様では、前記第一態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、高温高圧の蒸気をアンモニアの熱分解に利用せず、この高温高圧の蒸気を第一蒸気タービンの駆動に利用するので、高温高圧の蒸気を有効利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、アンモニアを熱分解して得られる水素を含む燃料で駆動するコンバインドサイクルプラントで、排熱回収ボイラで発生した蒸気の熱を有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図2】本発明に係る第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法を示すフローチャートである。
図3】本発明に係る第二実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図4】本発明に係る第三実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図5】本発明に係る第三実施形態の第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図6】本発明に係る第三実施形態の第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法を示すフローチャートである。
図7】本発明に係る第三実施形態の第二変形例におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図8】本発明に係る第三実施形態の第二変形例におけるコンバインドサイクルプラントのサーモコンプレッサ周りの系統図である。
図9】本発明に係る第三実施形態の第三変形例におけるコンバインドサイクルプラントの系統図である。
図10】本発明に係る第三実施形態の第三変形例におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のコンバインドサイクルプラントの各種実施形態及び各種変形例について、図面を参照して以下に説明する。
【0017】
「第一実施形態」
コンバインドサイクルプラントの第一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0018】
本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントは、図1に示すように、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ20と、脱硝装置29と、蒸気タービン設備30と、発電機39と、液体アンモニアタンク50と、アンモニアポンプ52と、液体アンモニアを加熱するアンモニア予熱器53と、アンモニアを熱分解する熱分解装置60と、燃料をガスタービンに供給する燃料供給装置70と、を備える。
【0019】
ガスタービン10は、空気を圧縮して圧縮空気CAを生成可能な空気圧縮機11と、圧縮空気CA中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成可能な燃焼器12と、燃焼器12からの燃焼ガスで駆動可能なタービン13と、を有する。空気圧縮機11は、圧縮機ロータ11rと、この圧縮機ロータ11rを覆う圧縮機ケーシング11cと、を有する。タービン13は、タービンロータ13rと、このタービンロータ13rを覆うタービンケーシング13cと、を有する。圧縮機ロータ11rとタービンロータ13rとは、互に接続されてガスタービンロータ14を成す。
【0020】
排熱回収ボイラ20は、ガスタービン10からの排気ガスEGが流れるボイラ枠21と、低圧蒸気発生系22と、中圧蒸気発生系23と、高圧蒸気発生系25と、中圧ポンプ24と、高圧ポンプ26と、を有する。ここで、ボイラ枠21内の排気ガスEGの流れに関する上流側をボイラ上流側とし、その反対側をボイラ下流側とする。ボイラ枠21で最もボイラ下流側の端には、排気ガスEGを大気に排気するスタック28が接続されている。
【0021】
低圧蒸気発生系22は、節炭器22aと、蒸発器22bと、過熱器22cと、を有する。節炭器22aは、水と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱して熱水にする。蒸発器22bは、節炭器22aからの熱水の一部と排気ガスEGとを熱交換させて、水を加熱して水蒸気にする。過熱器22cは、蒸発器22bからの水蒸気と排気ガスEGとを熱交換させて水蒸気を過熱する。節炭器22a、蒸発器22bの少なくとも一部、過熱器22cは、いずれも、ボイラ枠21内に配置されている。節炭器22a、蒸発器22bの少なくとも一部、過熱器22cは、この順序で、ボイラ下流側からボイラ上流側に向かって並んでいる。
【0022】
中圧蒸気発生系23、高圧蒸気発生系25は、図示されていないが、いずれも、低圧蒸気発生系22と同様、節炭器と、蒸発器と、過熱器と、を有する。中圧ポンプ24は、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の一部を昇圧してから、中圧蒸気発生系23の節炭器に送る。高圧ポンプ26は、低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の他の一部を昇圧してから、高圧蒸気発生系25の節炭器に送る。
【0023】
各蒸気発生系22,23,25の過熱器のうち、高圧蒸気発生系25の過熱器は、ボイラ枠21内で、他の過熱器よりボイラ上流側に配置されている。中圧蒸気発生系23の過熱器は、ボイラ枠21内で、高圧蒸気発生系25の過熱器よりボイラ下流側であって、低圧蒸気発生系22の過熱器22cよりボイラ上流側に配置されている。脱硝装置29は、ボイラ枠21内で、例えば、高圧蒸気発生系25と中圧蒸気発生系23との間に配置されている。この脱硝装置29は、アンモニア水を利用して、触媒の働きにより、ガスタービン10からの排気ガスEG中に含まれるNOxを窒素と水蒸気とに分解する。
【0024】
蒸気タービン設備30は、低圧蒸気タービン31と、中圧蒸気タービン32と、高圧蒸気タービン33と、復水器35と、給水ライン36、給水ポンプ37と、を有する。低圧蒸気タービン31は、低圧蒸気タービンロータ31rと、低圧蒸気タービンロータ31rを覆う低圧蒸気タービンケーシング31cとを有する。中圧蒸気タービン32は、中圧蒸気タービンロータ32rと、中圧蒸気タービンロータ32rを覆う中圧蒸気タービンケーシング32cとを有する。高圧蒸気タービン33は、高圧蒸気タービンロータ33rと、高圧蒸気タービンロータ33rを覆う高圧蒸気タービンケーシング33cとを有する。低圧蒸気タービンロータ31r、中圧蒸気タービンロータ32r、及び高圧蒸気タービンロータ33rは、互いに連結されて一つの蒸気タービンロータ34を成す。この蒸気タービンロータ34の一端には、前述のガスタービンロータ14が連結されている。また、この蒸気タービンロータ34の他端には、発電機39が接続されている。
【0025】
本実施形態では、蒸気タービンロータ34とガスタービンロータ14とが互いに連結され、このロータの端に発電機39が接続されている。しかしながら、蒸気タービンロータ34とガスタービンロータ14とが互いに連結されておらず、蒸気タービンロータ34の端に発電機が接続され、ガスタービンロータ14の端にも発電機が接続されていてもよい。
【0026】
高圧蒸気発生系25の過熱器と高圧蒸気タービン33の蒸気入口とは、高圧蒸気ライン43で接続されている。中圧蒸気発生系23の過熱器と中圧蒸気タービン32の蒸気入口とは、中圧蒸気ライン42で接続されている。中圧蒸気タービン32の蒸気入口は、さらに、高圧排気蒸気ライン44で、高圧蒸気タービン33の蒸気出口と接続されている。低圧蒸気発生系22の過熱器22cと低圧蒸気タービン31の蒸気入口とは、低圧蒸気ライン41で接続されている。低圧蒸気タービン31の蒸気入口は、さらに、中圧排気蒸気ライン45で、中圧蒸気タービン32の蒸気出口と接続されている。
【0027】
低圧蒸気タービン31の蒸気出口には、前述の復水器35が接続されている。この復水器35は、低圧蒸気タービン31から排気された蒸気を液相の水に戻す。復水器35と低圧蒸気発生系22の節炭器22aとは、給水ライン36で接続されている。この給水ライン36には、給水ポンプ37が設けられている。
【0028】
液体アンモニアタンク50は、液体アンモニアを貯蔵可能なタンクである。
【0029】
アンモニア予熱器53は、熱媒体と液体アンモニアとを熱交換させて、液体アンモニアを加熱して、この液体アンモニアを気化させ、気体アンモニアを生成可能な熱交換器である。このアンモニア予熱器53のアンモニア入口と液体アンモニアタンク50のアンモニア出口とは、液体アンモニアライン51で接続されている。この液体アンモニアライン51には、アンモニアポンプ52が設けられている。
【0030】
熱分解装置60は、反応容器61と、触媒62と、電源回路63と、熱分解用蒸気供給ライン64と、熱分解用蒸気排出ライン65と、を有する。反応容器61には、アンモニアが流入可能なアンモニア空間61aと、蒸気が流入可能な蒸気空間61sと、アンモニア入口と、分解ガス出口と、蒸気入口と、蒸気出口とが形成されている。この反応容器61は、アンモニア空間61a内のアンモニアと蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させることができる熱交換器である。アンモニア入口は、アンモニア空間61aへのアンモニアの導入口である。このアンモニア入口には、アンモニア予熱器53から延びている気体アンモニアライン54が接続されている。分解ガス出口は、アンモニア空間61a内からの分解ガスの排出口である。蒸気入口は、蒸気空間61sへの蒸気の導入口である。蒸気出口は、蒸気空間61sからの蒸気又は液体の水の排出口である。アンモニア空間61aと蒸気空間61sとを仕切る仕切壁のアンモニア空間61a側の面上には、アンモニアの分解を促進する触媒62が設けられている。
【0031】
触媒62は、活性成分と、この活性成分を担持する担体と、を有する。活性成分としては、金属酸化物からなる半導体がある。活性成分となる半導体としては、例えば、酸化セリウム(CeO)、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、ジルコニア酸化物(ZrO)、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化インジウム(In)、イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化スカンジウムドープ酸化ジルコニウム(ScSZ)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタンガリウム(LaGaO)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ガドリニウムドープ酸化セリウム(Gd-CeO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マンガン(MnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸セリウム(CeTiO)、チタン酸イットリア(YTiO)、チタン酸ランタン(LaTi)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)及びランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、四酸化三コバルト(Co)、酸化コバルトII(CoO)、酸化バナジウム(V)、及びセリア・ジルコニア固溶体(CZO)からなる群から選択される1種以上を含む半導体がある。これらの半導体を使用すると、省エネルギー及びCO2排出量削減に繋がる。また、担体としては、ニッケル、コバルト、白金、ニッケル-亜鉛合金、ニッケル-鉄合金、ニッケル-コバルト合金からなる群から選択される1種以上を含む金属がある。
【0032】
電源回路63は、触媒62に電流を流して、触媒62を含む反応系に電場をかけることが可能である。
【0033】
熱分解用蒸気供給ライン64の一端は、高圧蒸気タービンケーシング33cに接続され、熱分解用蒸気供給ライン64の他端は、反応容器61の蒸気入口に接続されている。このため、この熱分解用蒸気供給ライン64により、高圧蒸気タービンケーシング33c内の高圧蒸気の一部が抽気されて、これが高圧抽気蒸気として反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0034】
熱分解用蒸気排出ライン65の一端は、反応容器61の蒸気出口に接続され、熱分解用蒸気排出ライン65の他端は、低圧蒸気ライン41に接続されている。このため、反応容器61の蒸気空間61s内の蒸気が、熱分解用蒸気排出ライン65、低圧蒸気ライン41を介して、低圧蒸気タービン31に供給される。なお、この熱分解用蒸気排出ライン65の他端は、場合によって、中圧蒸気ライン42に接続されてもよいし、復水器35に接続されてもよい。
【0035】
燃料供給装置70は、燃料供給ライン71と、この燃料供給ライン71を流れる燃料の流量を調節する燃料弁72と、を有する。燃料供給ライン71の一端は、反応容器61の分解ガス出口に接続され、この燃料供給ライン71の他端は、燃焼器12に接続されている。このため、反応容器61内で生成された分解ガスは、燃料として、燃焼器12に供給される。
【0036】
ガスタービン10の空気圧縮機11は、空気を圧縮して圧縮空気CAを生成する。燃焼器12は、この圧縮空気CA中で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービン13に供給されて、このタービン13を駆動する。タービン13を駆動した燃焼ガスである排気ガスEGは、排熱回収ボイラ20のボイラ枠21内に流入する。
【0037】
排熱回収ボイラ20の各蒸気発生系22,23,25では、ボイラ枠21内を流れる排気ガスEGと水とを熱交換させて、液相の水を水蒸気にする。低圧蒸気発生系22の節炭器22aには、給水ポンプ37から水が供給される。節炭器22aでは、この水と排気ガスEGとを熱交換させて、この水を加熱して熱水にする。この熱水の一部は、高圧ポンプ26で昇圧された後、高圧蒸気発生系25に送られる。高圧蒸気発生系25に送られた熱水は、排気ガスEGとの熱交換で高圧蒸気HSになる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気ライン43を介して、高圧蒸気タービン33に供給される。高圧蒸気タービン33は、この高圧蒸気HSにより駆動する。
【0038】
低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水の他の一部は、中圧ポンプ24で昇圧された後、中圧蒸気発生系23に送られる。中圧蒸気発生系23に送られた熱水は、排気ガスEGとの熱交換で中圧蒸気ISになる。この中圧蒸気ISは、中圧蒸気ライン42を介して、中圧蒸気タービン32に供給される。また、高圧蒸気タービン33から排気された蒸気は、高圧排気蒸気ライン44を介して中圧蒸気タービン32に供給される。すなわち、中圧蒸気タービン32には、中圧蒸気発生系23からの中圧蒸気と、高圧蒸気タービン33から排気された蒸気とが供給される。中圧蒸気タービン32は、この中圧蒸気タービン32に供給された蒸気により駆動する。
【0039】
低圧蒸気発生系22の節炭器22aからの熱水のさらに他の一部は、この低圧蒸気発生系22の蒸発器22bで、排気ガスEGにより加熱されて蒸気になる。この蒸気は、この低圧蒸気発生系22の過熱器22cで、排気ガスEGにより過熱されて低圧蒸気LSになる。この低圧蒸気LSは、低圧蒸気ライン41を介して低圧蒸気タービン31に供給される。また、中圧蒸気タービン32から排気された蒸気は、中圧排気蒸気ライン45を介して低圧蒸気タービン31に供給される。すなわち、低圧蒸気タービン31には、低圧蒸気発生系22からの低圧蒸気と、中圧蒸気タービン32から排気された蒸気とが供給される。低圧蒸気タービン31は、この低圧蒸気タービン31に供給された蒸気により駆動する。
【0040】
低圧蒸気タービン31から排気された蒸気は、復水器35で水に戻される。復水器35内の水は、給水ライン36及び給水ポンプ37を介して、低圧蒸気発生系22の節炭器22aに送られる。
【0041】
次に、本実施形態における燃料供給方法について、図2に示すフローチャートに従って説明する。
【0042】
液体アンモニアタンク50内の液体アンモニアは、アンモニアポンプ52により昇圧されてから、液体アンモニアライン51を介して、アンモニア予熱器53に流入する。アンモニア予熱器53は、熱媒体と液体アンモニアとを熱交換させて、液体アンモニアを加熱して、この液体アンモニアを気化させ、気体アンモニアを生成する(アンモニア予熱工程S1)。この気体アンモニアは、気体アンモニアライン54を介して、反応容器61のアンモニア空間61a内に流入する。
【0043】
次に、気体アンモニアを分解して水素を生成する(熱分解工程S2)。次に、熱分解工程S2の実行で得られた水素を含む燃料をガスタービン10に供給する(燃料供給工程S6)。
【0044】
熱分解工程S2は、熱分解用蒸気供給工程S3と、分解反応工程S4と、熱分解用蒸気排出工程S5と、を含む。
【0045】
熱分解用蒸気供給工程S3では、高圧蒸気タービン33から抽気された高圧蒸気である高圧抽気蒸気を反応容器61の蒸気空間61s内に導く。高圧抽気蒸気は、高圧蒸気タービン33から熱分解用蒸気供給ライン64を介して、反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0046】
分解反応工程S4では、アンモニア空間61a内のアンモニアと蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させて、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下で、アンモニアを熱分解させる。この結果、アンモニアの熱分解により、分解ガスが生成される。この分解ガス中には、水素、窒素、残留アンモニアが含まれている。
【0047】
熱分解用蒸気排出工程S5では、アンモニアとの熱交換で冷却された蒸気を蒸気空間61s内から排出する。アンモニアとの熱交換で冷却された蒸気空間61s内の蒸気は、反応容器61の蒸気排出口から排出され、熱分解用蒸気排出ライン65及び低圧蒸気ライン41を介して、低圧蒸気タービン31に送られる。
【0048】
前述の燃料供給工程S6では、熱分解工程S2の実行で得られた水素を含む分解ガスを燃料としてガスタービン10の燃焼器12に供給する。燃料としての分解ガスは、反応容器61から燃料供給ライン71を介して燃焼器12に送られる。
【0049】
燃料としての分解ガスは、燃焼器12内で燃焼する。この燃焼により燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、タービン13を通過して、排気ガスEGとして、ボイラ枠21内に流入する。分解ガスには、前述したように、水素、窒素、残留アンモニアが含まれている。このため、分解ガスを燃焼させると、排気ガスEG中にNOxが含まれることになる。このため、本実施形態では、ボイラ枠21内に、脱硝装置29を配置し、この脱硝装置29で、排気ガスEG中に含まれるNOxを窒素と水蒸気とに分解する。
【0050】
触媒が存在するものの、反応系に電場がかけられていない環境下で、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度は、概ね、450℃から600℃程度である。一方、本実施形態のように、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度は、反応系に電場がかけられていない環境下での熱分解反応温度より低くなる。本実施形態では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、具体的に、概ね、150℃から200℃としている。なお、この環境下であれば、熱分解反応温度を150℃未満にすることも可能であり、熱分解反応温度を200℃以上にすることも可能である。但し、熱分解反応温度を150℃未満にした場合には、アンモニア分解反応で得られる水素のエネルギー量以上に電気エネルギーを消費してしまう。また、熱分解反応温度を200℃以上にすると、電力に変換可能な200℃以上の蒸気をあえてアンモニアの熱分解に使うことにより、発電量が減少してしまう。そこで、本実施形態では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、前述したように、概ね、150℃から200℃にしている。
【0051】
以上のように、本実施形態では、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度を下げることができる。そこで、本実施形態では、高圧蒸気タービン33に流入する高圧蒸気HSよりも低温で且つ低圧の蒸気である高圧抽気蒸気を反応容器61の蒸気空間61s内に導入して、この高圧抽気蒸気の熱を利用して、アンモニアを熱分解させる。
【0052】
また、本実施形態では、高圧蒸気HSをアンモニアの熱分解に利用せず、この高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン(第一蒸気タービン)33の駆動に利用するので、高圧蒸気HSを有効利用して、コンバインドサイクルプラントの出力を高めることができる。なお、ここでのコンバインドサイクルプラントの出力とは、発電機39の出力である。
【0053】
また、本実施形態では、アンモニアとの熱交換で冷えた蒸気を低圧蒸気タービン31に導入するので、この蒸気も有効利用することができる。
【0054】
本実施形態における分解反応工程S4では、アンモニアとの熱交換で冷えた蒸気は気体の蒸気のままである。しかしながら、アンモニアと熱交換した蒸気は液体の水になってもよい。この場合、アンモニアとの熱交換にあたり、蒸気の潜熱を有効利用することができる。このように、アンモニアと熱交換した蒸気を液体の水にする場合、熱分解用蒸気排出工程S5では、蒸気空間61s内の液体の水を、例えば、復水器35へ排出する。
【0055】
「第二実施形態」
コンバインドサイクルプラントの第二実施形態について、図3を参照して説明する。
【0056】
本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントは、第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントと同様、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ20と、脱硝装置29と、蒸気タービン設備30と、発電機39と、液体アンモニアタンク50と、アンモニアポンプ52と、アンモニア予熱器53と、熱分解装置60aと、燃料供給装置70と、を備える。
【0057】
但し、本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの熱分解装置60aの構成が、第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの熱分解装置60の構成と異なる。本実施形態における熱分解装置60aは、第一実施形態における熱分解装置60と同様、反応容器61と、触媒62と、電源回路63と、熱分解用蒸気供給ライン64aと、熱分解用蒸気排出ライン65と、を有する。第一実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64の一端が高圧蒸気タービンケーシング33cに接続され、熱分解用蒸気供給ライン64の他端が反応容器61の蒸気入口に接続されている。一方、本実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64aの一端が中圧蒸気タービンケーシング32cに接続されている。このため、本実施形態では、この熱分解用蒸気供給ライン64aにより、中圧蒸気タービン32から抽気された中圧蒸気である中圧抽気蒸気が反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0058】
よって、本実施形態では、反応容器61内で、アンモニアと中圧抽気蒸気とが熱交換される。反応容器61のアンモニア空間61a内のアンモニアは、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下で、中圧抽気蒸気の熱で熱分解する。
【0059】
以上のように、本実施形態では、高圧蒸気HS及び中圧蒸気ISをアンモニアの熱分解に利用せず、高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン(第一蒸気タービン)33の駆動に利用し、中圧蒸気ISを中圧蒸気タービン(第二蒸気タービン)32に利用するので、高圧蒸気HS及び中圧蒸気ISを有効利用することができる。このため、本実施形態では、コンバインドサイクルプラントの出力を高めることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64の一端を中圧蒸気タービンケーシング32cに接続したが、熱分解用蒸気供給ライン64の一端を高圧排気蒸気ライン44に接続してもよい。この場合、この熱分解用蒸気供給ライン64により、高圧蒸気タービン33から排気され中圧蒸気タービン32に流入する高圧排気蒸気の一部が反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0061】
また、本実施形態における分解反応工程S4でも、アンモニアと熱交換した蒸気は液体に水になってもよい。この場合、アンモニアとの熱交換にあたり、蒸気の潜熱を有効利用することができる。このように、アンモニアと熱交換した蒸気を液体の水にする場合、熱分解用蒸気排出工程S5では、蒸気空間61s内の液体の水を、例えば、復水器35へ排出する。
【0062】
「第三実施形態」
コンバインドサイクルプラントの第三実施形態について、図4を参照して説明する。
【0063】
本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントは、第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントと同様、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ20と、脱硝装置29と、蒸気タービン設備30と、発電機39と、液体アンモニアタンク50と、アンモニアポンプ52と、アンモニア予熱器53と、熱分解装置60bと、燃料供給装置70bと、を備える。
【0064】
但し、本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの熱分解装置60bの構成が、第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの熱分解装置60の構成と異なる。また、本実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給装置70bの構成が、第一実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給装置70の構成と異なる。
【0065】
本実施形態における熱分解装置60bは、第一実施形態における熱分解装置60と同様、反応容器61と、触媒62と、電源回路63と、熱分解用蒸気供給ライン64bと、熱分解用蒸気排出ライン65bと、を有する。第一実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64の一端が高圧蒸気タービンケーシング33cに接続され、熱分解用蒸気供給ライン64の他端が反応容器61の蒸気入口に接続されている。一方、本実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64bの一端が低圧蒸気タービンケーシング31cに接続されている。このため、本実施形態では、この熱分解用蒸気供給ライン64bにより、低圧蒸気タービン31から抽気された低圧蒸気である低圧抽気蒸気が反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0066】
よって、本実施形態では、反応容器61内で、アンモニアと低圧抽気蒸気とが熱交換される。反応容器61のアンモニア空間61a内のアンモニアは、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下で、低圧抽気蒸気の熱で熱分解する。
【0067】
第一実施形態では、熱分解用蒸気排出ライン65の一端が、反応容器61の蒸気出口に接続され、熱分解用蒸気排出ライン65の他端が、低圧蒸気ライン41に接続されている。一方、本実施形態では、熱分解用蒸気排出ライン65bの一端が、反応容器61の蒸気出口に接続され、熱分解用蒸気排出ライン65bの他端が、復水器35に接続されている。このため、本実施形態では、反応容器61の蒸気空間61s内に蒸気又は液体の水は、復水器35に流入する。
【0068】
以上のように、本実施形態では、高圧蒸気HS、中圧蒸気IS及び低圧蒸気LSをアンモニアの熱分解に利用せず、高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン(第一蒸気タービン)33の駆動に利用し、中圧蒸気ISを中圧蒸気タービン32に利用し、低圧蒸気LSを低圧蒸気タービン(第二蒸気タービン)31の駆動に利用するので、高圧蒸気HS、中圧蒸気IS及び低圧蒸気LSを有効利用することができる。このため、本実施形態では、コンバインドサイクルプラントの出力を高めることができる。
【0069】
なお、本実施形態では、熱分解用蒸気供給ライン64の一端を低圧蒸気タービンケーシング31cに接続したが、熱分解用蒸気供給ライン64の一端を中圧排気蒸気ライン45に接続してもよい。この場合、この熱分解用蒸気供給ライン64により、中圧蒸気タービン32から排気され低圧蒸気タービン31に流入する中圧排気蒸気の一部が反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0070】
また、本実施形態における分解反応工程S4でも、アンモニアと熱交換した蒸気は液体に水になってもよい。この場合、アンモニアとの熱交換にあたり、蒸気の潜熱を有効利用することができる。このように、アンモニアと熱交換した蒸気を液体の水にする場合、熱分解用蒸気排出工程S5では、蒸気空間61s内の液体の水を、例えば、復水器35へ排出する。
【0071】
本実施形態における燃料供給装置70bは、第一実施形態における燃料供給装置70と同様、燃料供給ライン71と、燃料弁72と、を有する。本実施形態における燃料供給装置70bは、さらに、燃料タンク73と、燃料圧縮機74と、を有する。本実施形態においても、第一実施形態と同様、燃料供給ライン71の一端は、反応容器61の分解ガス出口に接続され、この燃料供給ライン71の他端は、燃焼器12に接続されている。燃料タンク73及び燃料圧縮機74は、燃料供給ライン71に設けられている。燃料圧縮機74は、燃料供給ライン71中で、燃料タンク73よりも、燃料流れの下流側の位置に設けられている。燃料弁72は、燃料供給ライン71中で、燃料圧縮機74よりも、燃料流れの下流側の位置に設けられている。燃料タンク73には、燃料としての分解ガスが反応容器61から流入し、この分解ガスが一時的に貯蔵される。燃料圧縮機74は、燃料タンク73内の燃料を昇圧して、ガスタービン10の燃焼器12に送る。
【0072】
本実施形態では、燃料供給装置70bが、燃料を一時的に貯蔵する燃料タンク73を有するので、ガスタービン10の起動時やガスタービン10の負荷変動時等、燃焼器12に供給する燃料流量が変化する場合でも、安定して燃焼器12に燃料を供給することができる。
【0073】
なお、第一実施形態及び第二実施形態における燃料供給装置70も、本実施形態における燃料供給装置70bと同様に、燃料タンク73及び燃料圧縮機74を有してもよい。
【0074】
「第一変形例」
コンバインドサイクルプラントの第一変形例について、図5及び図6を参照して説明する。本変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、第三実施形態におけるコンバインドサイクルプラントの変形例である。
【0075】
第三実施形態における熱分解用蒸気排出ライン65の他端は、第一実施形態及び第二実施形態と同様、低圧蒸気ライン41に接続されている。図5に示すように、本変形例における熱分解装置60cの熱分解用蒸気排出ライン65cの他端は、アンモニア予熱器53の熱媒体入口に接続されている。アンモニア予熱器53の熱媒体出口には、熱媒体排出ライン66の一端が接続されている。この熱媒体排出ライン66の他端は、例えば、復水器35に接続されている。
【0076】
本変形例では、アンモニアの熱分解のためにこのアンモニアとの熱交換で冷却された蒸気空間61s内の蒸気が、反応容器61の蒸気排出口から排出され、熱分解用蒸気排出ライン65cを介して、アンモニア予熱器53に流入する。アンモニア予熱器53では、この蒸気と液体アンモニアとが熱交換され、液体アンモニアが加熱されて、この液体アンモニアが気体アンモニアになる。すなわち、図6のフローチャートに示すように、本変形例における熱分解工程S2cの熱分解用蒸気排出工程S5cでは、アンモニアとの熱交換で冷却された蒸気を反応容器61の蒸気空間61s内から排出して、これをアンモニア予熱器53に送る。本変形例におけるアンモニア予熱工程S1cでは、反応容器61の蒸気空間61s内から排出された蒸気である排出蒸気と液体アンモニアとを熱交換させて、液体アンモニアを加熱する。
【0077】
本変形例では、アンモニアの熱分解のためにこのアンモニアとの熱交換で冷却された蒸気を液体アンモニアの加熱のために利用する。よって、本変形例では、排熱回収ボイラ20から発生した蒸気の熱を有効利用することができる。
【0078】
本変形例では、アンモニア予熱工程S1cにおけるアンモニアの加熱に、反応容器61の蒸気空間61s内から排出された蒸気を用いる。しかしながら、アンモニア予熱工程S1cにおけるアンモニアの加熱に、反応容器61の蒸気空間61s内から排出された液体の水を排出蒸気として用いてもよい。
【0079】
本変形例は、前述したように、第三実施形態の変形例である。しかしながら、第一実施形態及び第二実施形態におけるコンバインドサイクルプラントも、本変形例と同様に変形してもよい。すなわち、第一実施形態及び第二実施形態における熱分解用蒸気排出ライン65の他端を、アンモニア予熱器53の熱媒体入口に接続してもよい。
【0080】
「第二変形例」
コンバインドサイクルプラントの第二変形例について、図7及び図8を参照して説明する。本変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントの変形例である。
【0081】
本変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、図7及び図8に示すように、第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントに、サーモコンプレッサ67、及び駆動用蒸気ライン68を追加したプラントである。
【0082】
本変形例における熱分解装置60dの熱分解用蒸気排出ライン65dは、反応容器61の蒸気空間61sに連通している主ライン65mと、主ライン65mから分岐し熱分解用蒸気供給ライン64に接続されている分岐ライン65nと有する。主ライン65mは、アンモニア予熱器53の熱媒体入口に接続されている。サーモコンプレッサ67は、分岐ライン65n中に設けられている。
【0083】
サーモコンプレッサ67は、エジェクター効果を利用して、低圧の蒸気を昇圧して、この蒸気を中圧の蒸気にする装置である。本実施形態におけるサーモコンプレッサ67は、熱分解用蒸気供給ライン64を流れる熱分解用蒸気よりも高温高圧の駆動用蒸気を駆動源として、熱分解用蒸気排出ライン65の主ライン65mを流れる排出蒸気を自身の内部に吸い込み、駆動用蒸気と排出蒸気とが混ざった蒸気を熱分解用蒸気供給ライン64中に排出することができる。この蒸気は、熱分解用蒸気供給ライン64を経て、反応容器61の蒸気空間61s内に流入する。このサーモコンプレッサ67は、駆動用蒸気ライン68により、中圧蒸気ライン42と接続されている。このため、サーモコンプレッサ67には、駆動用蒸気として、中圧蒸気ISが流入する。
【0084】
本変形例は、駆動用蒸気としての中圧蒸気ISを僅かに用いることで、反応容器61からの排出蒸気を熱分解用蒸気として、反応容器61に戻すことができる。このため、本変形例では、低圧蒸気タービン31から熱分解用蒸気供給ライン64を介して反応容器61の蒸気空間61sに導入される、低圧抽気蒸気の流量を抑えることができる。
【0085】
本変形例は、前述したように、第一変形例の変形例である。しかしながら、第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態におけるコンバインドサイクルプラントも、本変形例と同様に変形してもよい。すなわち、第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態におけるコンバインドサイクルプラントにも、サーモコンプレッサ67、及び駆動用蒸気ライン68を追加してもよい。
【0086】
「第三変形例」
コンバインドサイクルプラントの第三変形例について、図9及び図10を参照して説明する。本変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、第二変形例におけるコンバインドサイクルプラントの変形例である。
【0087】
本変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、燃料供給装置のみが、第二変形例におけるコンバインドサイクルプラントと異なる。本変形例における燃料供給装置70eは、第二変形例における燃料供給装置70bに、アンモニア回収装置75及び窒素除去装置76を追加した装置である。
【0088】
反応容器61のアンモニア空間61aから流出した分解ガス中には、前述したように、水素、窒素、残留アンモニアが含まれている。アンモニア回収装置75は、この分解ガス中から残留アンモニアを回収する装置である。分解ガス中から残留アンモニアを回収する方法としては、各種方法がある。ここでは、例えば、吸収塔内に分解ガスを流入させると共に、この吸収塔内に水を散布して、分解ガス中の残留アンモニアを水に吸収させる。この吸収塔からは残留アンモニアが除去されたガスが排出されると共に、アンモニアが溶解している水であるアンモニア水が流出する。アンモニア水は、例えば、分離塔に供給され、この分離塔内で加熱されて水とアンモニアに分離される。アンモニア水から分離したアンモニアは、例えば、反応容器61のアンモニア入口からアンモニア空間61a内に流入する。
【0089】
本変形例において、窒素除去装置76は、アンモニア回収装置75に対して、分解ガスの流れの下流側に配置されている。この窒素除去装置76は、分解ガス中から窒素を除去する装置である。本変形例では、アンモニア回収装置75から排出された分解ガス中から窒素を除去する。分解ガス中から窒素を除去する方法としては、例えば、PVSA(Pressure Vacuum Adsorption)法、PSA(Pressure Swing Adsorption)法、分離膜法、深冷分離法等がある。本実施形態における窒素除去装置76は、以上のいずれかの方法で、分解ガス中から窒素を除去する。
【0090】
燃料タンク73及び燃料圧縮機74は、窒素除去装置76に対して、分解ガスの流れの海流側に配置されている。
【0091】
次に、本変形例における燃料供給方法について、図10に示すフローチャートに従って簡単に説明する。
【0092】
本変形例でも、以上の各実施形態及び各変形例と同様、液体アンモニアタンク50からの液体アンモニアを加熱して、この液体アンモニアを気体アンモニアにする(アンモニア予熱工程S1c)。次に、この気体アンモニアを分解して水素を生成する(熱分解工程S2c)。次に、熱分解工程S2cの実行で得られた水素を含む燃料をガスタービン10に供給する(燃料供給工程S6e)。
【0093】
本変形例の熱分解工程S2cも、以上の各実施形態及び各変形例と同様、熱分解用蒸気供給工程S3、分解反応工程S4、及び熱分解用蒸気排出工程S5cと、を含む。
【0094】
熱分解用蒸気供給工程S3では、低圧蒸気タービン31から抽気された低圧蒸気である低圧抽気蒸気を反応容器61の蒸気空間61s内に導く。低圧抽気蒸気は、低圧蒸気タービン31から熱分解用蒸気供給ライン64を介して、反応容器61の蒸気空間61s内に導入される。
【0095】
分解反応工程S4では、アンモニア空間61a内のアンモニアと蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させて、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下で、アンモニアを熱分解させる。この結果、水素、窒素、残留アンモニアを含む分解ガスが生成される。
【0096】
熱分解用蒸気排出工程S5cでは、アンモニアとの熱交換で冷却された蒸気を蒸気空間61s内から排出する。アンモニアとの熱交換で冷却された蒸気空間61s内の蒸気は、排出蒸気として反応容器61の蒸気排出口から排出される。この排出蒸気の一部は、アンモニア予熱器53に送られ、アンモニア予熱工程S1cにおいて、液体アンモニアの加熱に利用される。また、排出蒸気の他の一部は、サーモコンプレッサ67に送られ熱分解用蒸気供給工程S3において、アンモニアの熱分解用蒸気の一部として利用される。
【0097】
本変形例の燃料供給工程S6eは、アンモニア回収工程S7、及び窒素除去工程S8を含む。アンモニア回収工程S7では、アンモニア回収装置75が、分解反応工程S4の実行で生成された分解ガス中から残留アンモニアを回収し、このアンモニアを分解反応工程S4に戻す。窒素除去工程S8では、窒素除去装置76が、アンモニア回収工程S7の実行で残留アンモニアが除去された分解ガスから窒素を除去する。よって、窒素除去工程S8の実行により、分解ガスの成分は、ほとんどが水素になる。
【0098】
窒素除去工程S8で窒素が除去された分解ガスは、ガスタービン10の燃料として燃料タンク73内に一時的に貯蔵される。燃料圧縮機74は、燃料タンク73内の燃料を昇圧して、ガスタービン10の燃焼器12に送る。
【0099】
以上のように、本変形例では、残留ガス及び窒素を含まないガスを燃料として、ガスタービン10に供給することができる。このため、本変形例では、ボイラ枠21内の脱硝装置29を省略してもよい。
【0100】
本変形例では、第二変形例におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給装置70に、アンモニア回収装置75、及び窒素除去装置76を追加している。しかしながら、アンモニア回収装置75と窒素除去装置76とのうち、いずれか一方のみを追加してもよい。
【0101】
本変形例は、前述したように、第二変形例の変形例である。しかしながら、第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態、及び第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントも、本変形例と同様に変形してもよい。すなわち、第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態、及び第一変形例におけるコンバインドサイクルプラントにも、アンモニア回収装置75、及び/又は窒素除去装置76を追加してもよい。
【0102】
「その他の変形例」
以上の各実施形態及び各変形例における排熱回収ボイラ20は、蒸気の圧力及び温度が互いに異なる三種類の蒸気発生系22,23,25を有する。しかしながら、排熱回収ボイラ20は、蒸気発生系として一種類又は二種類のみ有してもよい。
【0103】
以上の各実施形態及び各変形例における蒸気タービン設備30は、流入蒸気の圧力が互いに異なる三種類の蒸気タービン31,32,33を有する。しかしながら、蒸気タービン設備30は、蒸気タービンとして、一種類の蒸気タービンのみを有してもよい。
【0104】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0105】
「付記」
以上の実施形態及び変形例におけるコンバインドサイクルプラントは、例えば、以下のように把握される。
【0106】
(1)第一態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービン10と、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラ20と、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器35と、アンモニア供給源からのアンモニアを熱分解させて、水素を生成可能な熱分解装置60,60a,60b,60c,60dと、前記熱分解装置60,60a,60b,60c,60dで得られた水素を含む燃料を前記ガスタービン10に供給可能な燃料供給装置70,70b,70eと、を備える。前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービン33を有する。前記熱分解装置60,60a,60b,60c,60dは、アンモニアが流入可能なアンモニア空間61aと蒸気が流入可能な蒸気空間61sとが形成され、前記アンモニア空間61a内のアンモニアと前記蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させ、アンモニアを熱分解させることができる反応容器61と、前記アンモニア空間61a内に配置され、前記アンモニア空間61a内のアンモニアの分解を促進する触媒62と、前記触媒62に電流を流して、前記触媒62を含む反応系に電場をかけることが可能な電源回路63と、前記第一蒸気タービン33から抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービン33から排気され前記復水器35に至るまでの蒸気の一部を熱分解用蒸気として前記反応容器61の前記蒸気空間61s内に導入可能に構成されている熱分解用蒸気供給ライン64,64a,64bと、前記反応容器61の前記蒸気空間61s内から蒸気又は液体の水を排出可能に構成されている熱分解用蒸気排出ライン65,65b,65c,65dと、を有する。
【0107】
触媒62が存在するものの、反応系に電場がかけられていない環境下で、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度は、概ね、450℃から600℃程度である。一方、本態様のように、触媒62が存在し且つこの触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度は、反応系に電場がかけられていない環境下での熱分解反応温度より低くなる。本態様では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、具体的に、概ね、150℃から200℃としている。なお、この環境下であれば、熱分解反応温度を150℃未満にすることも可能であり、熱分解反応温度を200℃以上にすることも可能である。但し、熱分解反応温度を150℃未満にした場合には、アンモニア分解反応で得られる水素のエネルギー量以上に電気エネルギーを消費してしまう。また、熱分解反応温度を200℃以上にすると、電力に変換可能な200℃以上の蒸気をあえてアンモニアの熱分解に使うことにより、発電量が減少してしまう。そこで、本態様では、触媒が存在し且つこの触媒を含む反応系に電場がかけられている環境下での熱分解反応温度を、前述したように、概ね、150℃から200℃にしている。
【0108】
以上のように、本態様では、アンモニアを熱分解反応させるための熱分解反応温度を下げることができる。そこで、本態様では、第一蒸気タービン33に流入する蒸気よりも低温で且つ低圧の蒸気、つまり、第一蒸気タービン33から抽気された蒸気、又は第一蒸気タービン33から排気され復水器35に至るまでの蒸気の一部を反応容器61の蒸気空間61s内に導入して、この蒸気の熱を利用して、アンモニアを熱分解させる。
【0109】
以上のように、本態様では、高温高圧の蒸気をアンモニアの熱分解に利用せず、この高温高圧の蒸気を第一蒸気タービン33の駆動に利用するので、高温高圧の蒸気を有効利用することができる。このため、本態様では、コンバインドサイクルプラントの出力を高めることができる。
【0110】
(2)第二態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
前記第一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおいて、前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記第一蒸気タービン33の他に、前記第一蒸気タービン33から排気された蒸気を含む蒸気で駆動可能な第二蒸気タービン31,32を有し、
前記熱分解用蒸気供給ライン64a,64bは、前記第一蒸気タービン33から排気され前記第二蒸気タービン31,32に至る前までの蒸気の一部、又は、前記第二蒸気タービン31,32から抽気された蒸気を前記反応容器61の前記蒸気空間61s内に導入可能に構成されている。
【0111】
本態様では、アンモニアの熱分解に、第一蒸気タービン33から排気され第二蒸気タービン31,32に至る前までの蒸気の一部、又は、第二蒸気タービン31,32から抽気された蒸気が用いられる。このため、本態様では、排熱回収ボイラ20で発生した蒸気のうちで、第一蒸気タービン33から排気され第二蒸気タービン31,32に至る前までの蒸気よりも高温高圧の蒸気、又は、第二蒸気タービン31,32から抽気された蒸気よりも高温高圧の蒸気を有効利用することができる。
【0112】
(3)第三態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
前記第一態様又は前記第二態様におけるコンバインドサイクルプラントにおいて、
前記アンモニア供給源から前記熱分解装置60c,60dに至るまでのアンモニアを加熱するアンモニア予熱器53を備える。前記アンモニア予熱器53は、前記熱分解用蒸気排出ライン65c,65dを流れる蒸気又は液体の水と前記アンモニア供給源からのアンモニアと熱交換可能に構成されている。
【0113】
本態様では、アンモニアの熱分解のためにこのアンモニアとの熱交換で冷やされた蒸気又は液体の水の熱を、アンモニア供給源から熱分解装置60c,60dに至るまでのアンモニアの加熱に利用する。このため、本態様では、排熱回収ボイラ20から発生した蒸気の熱を有効利用することができる。
【0114】
(4)第四態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおいて、前記熱分解用蒸気よりも高温高圧の蒸気である駆動用蒸気を駆動源として、前記反応容器61の前記蒸気空間61sから排出された蒸気である排出蒸気の一部を自身の内部に吸い込み、前記駆動用蒸気と前記排出蒸気とが混ざった蒸気を前記熱分解用蒸気供給ライン64b中に供給可能なサーモコンプレッサ67を備える。前記熱分解用蒸気排出ライン65dは、前記反応容器61の前記蒸気空間61sに連通している主ライン65mと、前記主ライン65mから分岐し前記熱分解用蒸気供給ライン64bに接続されている分岐ライン65nと、を有する。前記サーモコンプレッサ67は、前記分岐ライン65n中に設けられている。
【0115】
本態様では、熱分解用蒸気よりも高温高圧な駆動用蒸気を僅かに用いることで、反応容器61からの排出蒸気を熱分解用蒸気として、反応容器61に戻すことができる。このため、本態様では、反応容器61の蒸気空間61s内に導入される、第一蒸気タービン33から抽気された蒸気の流量、又は第一蒸気タービン33から排気され復水器35に至るまでの蒸気の一部の流量を抑えることができる。
【0116】
(5)第五態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおいて、前記反応容器61は、前記アンモニア空間61a内のアンモニアと前記蒸気空間61s内の蒸気との熱交換で、前記蒸気空間61s内の蒸気が液体の水になるよう、構成されている。
【0117】
本態様では、アンモニアを蒸気で加熱するにあたり、蒸気の潜熱を有効利用することができる。
【0118】
(6)第六態様におけるコンバインドサイクルプラントは、
前記第一態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントにおいて、前記燃料供給装置70eは、前記熱分解装置60dでのアンモニアの熱分解で得られた水素と窒素とのうち、窒素を除去する窒素除去装置76を有する。
【0119】
本態様では、ガスタービン10に供給される燃料中の窒素分を少なくすることができる。
【0120】
以上の実施形態及び変形例におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、例えば、以下のように把握される。
【0121】
(7)第七態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、以下のコンバインドサイクルプラントに適用される。
このコンバインドサイクルプラントは、水素を含む燃料を燃焼させて、駆動可能なガスタービン10と、前記ガスタービン10からの排気ガスの熱を利用して蒸気を発生可能な排熱回収ボイラ20と、前記排熱回収ボイラ20からの蒸気で駆動可能な少なくとも一の蒸気タービンと、前記少なくとも一の蒸気タービンから排気された蒸気を水に戻すことができる復水器35と、を備える。前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記少なくとも一の蒸気タービンのうちで最も高温で且つ最も高圧の蒸気で駆動可能な第一蒸気タービン33を有する。
このコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法では、アンモニア供給源からアンモニアを熱分解して、水素を生成する熱分解工程S2,S2cと、前記熱分解工程S2,S2cの実行で得られた水素を含む燃料を前記ガスタービン10に供給する燃料供給工程S6,S6eと、を実行する。アンモニアの熱分解は、アンモニアが流入可能なアンモニア空間61aと蒸気が流入可能な蒸気空間61sとが形成され、前記アンモニア空間61a内のアンモニアと前記蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させることができる反応容器61内で実行される。前記熱分解工程S2,S2cは、前記第一蒸気タービン33から抽気された蒸気、又は前記第一蒸気タービン33から排気され前記復水器35に至るまでの蒸気の一部を前記反応容器61の前記蒸気空間61s内に導く熱分解用蒸気供給工程S3と、前記アンモニア空間61a内のアンモニアと前記蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させて、アンモニアの分解を促進する触媒62が存在し且つ前記触媒62を含む反応系に電場がかけられている環境下で、前記アンモニアを熱分解させる分解反応工程S4と、前記反応容器61の前記蒸気空間61s内から蒸気又は液体の水を排出する熱分解用蒸気排出工程S5,S5cと、を含む。
【0122】
本態様では、前記第一態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、高温高圧の蒸気をアンモニアの熱分解に利用せず、この高温高圧の蒸気を第一蒸気タービン33の駆動に利用するので、高温高圧の蒸気を有効利用することができる。
【0123】
(8)第八態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、
前記第七態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、前記少なくとも一の蒸気タービンは、前記第一蒸気タービン33の他に、前記第一蒸気タービン33から排気された蒸気を含む蒸気で駆動可能な第二蒸気タービン31,32を有する。前記熱分解用蒸気供給工程S3では、前記第一蒸気タービン33から排気され前記第二蒸気タービン31,32に至る前までの蒸気の一部、又は、前記第二蒸気タービン31,32から抽気された蒸気を前記反応容器61の前記蒸気空間61s内に導く。
【0124】
本態様では、前記第二態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、排熱回収ボイラ20で発生した蒸気のうちで、第一蒸気タービン33から排気され第二蒸気タービン31,32に至る前までの蒸気よりも高温高圧の蒸気、又は、第二蒸気タービン31,32から抽気された蒸気よりも高温高圧の蒸気を有効利用することができる。
【0125】
(9)第九態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、
前記第七態様又は前記第八態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、前記熱分解工程S2cが実行される前に、前記アンモニア供給源からのアンモニアを加熱するアンモニア予熱工程S1cを実行する。前記アンモニア予熱工程S1cでは、前記熱分解用蒸気排出工程S5cで、前記反応容器61の前記蒸気空間61s内から排出された蒸気又は液体と前記アンモニア供給源からのアンモニアと熱交換させる。
【0126】
本態様では、前記第三態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、アンモニアの熱分解のためにこのアンモニアとの熱交換で冷やされた蒸気又は液体の水の熱を、熱分解工程S2cの実行前のアンモニアの加熱に利用する。このため、本態様でも、排熱回収ボイラ20から発生した蒸気の熱を有効利用することができる。
【0127】
(10)第十態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、
前記第七態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、前記分解反応工程S4では、前記アンモニア空間61a内のアンモニアと前記蒸気空間61s内の蒸気とを熱交換させて、前記蒸気空間61s内の蒸気を液体の水にし、前記熱分解用蒸気排出工程S5,S5cでは、前記反応容器61の前記蒸気空間61s内から液体の水を排出する。
【0128】
本態様では、前記第五態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、アンモニアを蒸気で加熱するにあたり、蒸気の潜熱を有効利用することができる。
【0129】
(11)第十一態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法は、
前記第七態様から前記第十態様のうちのいずれか一態様におけるコンバインドサイクルプラントの燃料供給方法において、前記燃料供給工程S6eは、前記熱分解工程S2cでのアンモニアの熱分解で得られた水素と窒素とのうち、窒素を除去する窒素除去工程S8を含む。
【0130】
本態様では、前記第六態様におけるコンバインドサイクルプラントと同様、ガスタービン10に供給される燃料中の窒素分を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0131】
10:ガスタービン
11:空気圧縮機
11r:圧縮機ロータ
11c:圧縮機ケーシング
12:燃焼器
13:タービン
13r:タービンロータ
13c:タービンケーシング
14:ガスタービンロータ
20:排熱回収ボイラ
21:ボイラ枠
22:低圧蒸気発生系
22a:節炭器
22b:蒸発器
22c:過熱器
23:中圧蒸気発生系
24:中圧ポンプ
25:高圧蒸気発生系
26:高圧ポンプ
28:スタック
29:脱硝装置
30:蒸気タービン設備
31:低圧蒸気タービン(第二蒸気タービン)
32:中圧蒸気タービン(第二蒸気タービン)
33:高圧蒸気タービン(第一蒸気タービン)
34:蒸気タービンロータ
35:復水器
36:給水ライン
37:給水ポンプ
39:発電機
41:低圧蒸気ライン
42:中圧蒸気ライン
43:高圧蒸気ライン
44:高圧排気蒸気ライン
45:中圧排気蒸気ライン
50:液体アンモニアタンク
51:液体アンモニアライン
52:アンモニアポンプ
53:アンモニア予熱器
54:気体アンモニアライン
60,60a,60b,60c,60d:熱分解装置
61:反応容器
61a:アンモニア空間
61s:蒸気空間
62:触媒
63:電源回路
64,64a,64b:熱分解用蒸気供給ライン
65,65b,65c,65d:熱分解用蒸気排出ライン
65m:主ライン
65n:分岐ライン
66:熱媒体排出ライン
67:サーモコンプレッサ
68:駆動用蒸気ライン
70,70b,70e:燃料供給装置
71:燃料供給ライン
72:燃料弁
73:燃料タンク
74:燃料圧縮機
75:アンモニア回収装置
76:窒素除去装置
EG:排気ガス
LS:低圧蒸気
IS:中圧蒸気
HS:高圧蒸気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10