(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046149
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】モータ制御ユニット
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240327BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H02P29/00
H03H7/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151367
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】平塚 良秋
【テーマコード(参考)】
5H501
5J024
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB06
5H501CC01
5H501CC06
5H501HA02
5H501JJ03
5H501KK07
5J024AA01
5J024BA01
5J024CA02
5J024DA01
5J024DA22
5J024DA25
5J024DA35
5J024EA08
5J024KA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができるモータ制御ユニットを提供する。
【解決手段】ノイズ除去回路50は、接地されたグランド部と、電気素子30とコネクタ31とを接続する接続ライン21と、電気素子30とコネクタ31との間で接続ライン21に設けられる第1インダクタ素子51と、電気素子30と第1インダクタ素子51との間の第1接続部21aで接続ライン21と接続され、グランド部まで延びる第1接地ライン52と、第1インダクタ素子51とコネクタ31との間の第2接続部21bで接続ライン21と接続され、グランド部まで延びる第2接地ライン53と、第1接地ライン52に設けられる第1キャパシタ素子52aと、第1接地ライン52に設けられる第2インダクタ素子52bと、第2接地ライン53に設けられる第2キャパシタ素子53aと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を有するモータ制御ユニットであって、
前記基板は、
電気素子と、
他の機器と接続されるケーブルを有するコネクタと、
ノイズ除去回路と、
を備え、
前記ノイズ除去回路は、
接地されたグランド部と、
前記電気素子と前記コネクタとを接続する接続ラインと、
前記電気素子と前記コネクタとの間で前記接続ラインに設けられる第1インダクタ素子と、
前記電気素子と前記第1インダクタ素子との間の第1接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第1接地ラインと、
前記第1インダクタ素子と前記コネクタとの間の第2接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第2接地ラインと、
前記第1接地ラインに設けられる第1キャパシタ素子と、
前記第1接地ラインに設けられる第2インダクタ素子と、
前記第2接地ラインに設けられる第2キャパシタ素子と、を有する、モータ制御ユニット。
【請求項2】
前記第2インダクタ素子のインピーダンスは、前記第1インダクタ素子のインピーダンスと異なる、請求項1に記載のモータ制御ユニット。
【請求項3】
所定周波数未満の周波数帯域を低周波数帯域、前記所定周波数以上の周波数帯域を高周波数帯域としたとき、
前記低周波数帯域において、前記第2インダクタ素子のインピーダンスは、前記第1インダクタ素子のインピーダンスよりも小さく、
前記第2インダクタ素子は、前記高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、前記低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する、請求項1または2に記載のモータ制御ユニット。
【請求項4】
前記第1インダクタ素子は、チョークコイルであり、
前記第2インダクタ素子は、フェライトビーズである、請求項1または2に記載のモータ制御ユニット。
【請求項5】
前記ノイズ除去回路は、前記第2接地ラインに設けられる第3インダクタ素子を有する、請求項1に記載のモータ制御ユニット。
【請求項6】
前記第2インダクタ素子のインピーダンスおよび前記第3インダクタ素子のインピーダンスは、それぞれ、前記第1インダクタ素子のインピーダンスと異なる、請求項5に記載のモータ制御ユニット。
【請求項7】
所定周波数未満の周波数帯域を低周波数帯域、前記所定周波数以上の周波数帯域を高周波数帯域としたとき、
前記低周波数帯域において、前記第2インダクタ素子のインピーダンスおよび前記第3インダクタ素子のインピーダンスは、それぞれ、前記第1インダクタ素子のインピーダンスよりも小さく、
前記第2インダクタ素子および前記第3インダクタ素子は、それぞれ、前記高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、前記低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する、請求項5または6に記載のモータ制御ユニット。
【請求項8】
前記第1インダクタ素子は、チョークコイルであり、
前記第2インダクタ素子および前記第3インダクタ素子は、それぞれ、フェライトビーズである、請求項5または6に記載のモータ制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動を制御するモータ制御ユニットとして、例えば、特許文献1に記載のように、1つのインダクタ素子と2つのキャパシタ素子によって構成されるπ型ノイズフィルタを備えるモータ制御ユニットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の情報機器のデータの高速伝送化に伴って、モータ制御ユニットを介して伝送される信号の周波数が高くなっている。したがって、信号の伝送時に発生するノイズの周波数帯域が広くなっているため、従来のπ型ノイズフィルタでは、広い周波数帯域に亘って発生するノイズを除去することが困難になっている。
【0005】
本発明の一つの態様は、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができるモータ制御ユニットを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータ制御ユニットの一つの態様は、基板を有するモータ制御ユニットであって、前記基板は、電気素子と、他の機器と接続されるケーブルを有するコネクタと、ノイズ除去回路と、を備える。前記ノイズ除去回路は、接地されたグランド部と、前記電気素子と前記コネクタとを接続する接続ラインと、前記電気素子と前記コネクタとの間で前記接続ラインに設けられる第1インダクタ素子と、前記電気素子と前記第1インダクタ素子との間の第1接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第1接地ラインと、前記第1インダクタ素子と前記コネクタとの間の第2接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第2接地ラインと、前記第1接地ラインに設けられる第1キャパシタ素子と、前記第1接地ラインに設けられる第2インダクタ素子と、前記第2接地ラインに設けられる第2キャパシタ素子と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができるモータ制御ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のモータ制御ユニットを示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のモータ制御ユニットにおける制御電流およびノイズを示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の第1インダクタ素子のインピーダンス特性を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の第1キャパシタ素子および第2キャパシタ素子それぞれのインピーダンス特性を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態の第2インダクタ素子のインピーダンス特性を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、第1実施形態の第2インダクタ素子と第1キャパシタ素子との合成インピーダンス特性を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態のモータ制御ユニットを示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のモータ制御ユニットにおける制御電流およびノイズを示す模式図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態のモータ制御ユニットにおける制御信号およびノイズを示す模式図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の第1インダクタ素子のインピーダンス特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のモータ制御ユニット10を示す模式図である。
モータ制御ユニット10は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などの車両に搭載され、当該車両を駆動するモータMを制御する制御ユニットである。モータ制御ユニット10は、モータMおよび他の機器90と接続される。本実施形態において、モータ制御ユニット10は、他の機器90から伝送される制御電流から所定の波形の供給電流を生成するとともに、供給電流をモータMに供給することによってモータMの動作を制御する。また、モータ制御ユニット10は、他の機器90との間で制御信号を受信する。本実施形態において、制御信号は、モータMの動作に関する指令内容を含む信号等である。
【0010】
他の機器90は、車両の動作を制御する制御ユニットである。本実施形態において、他の機器90は、車両全体の動作を制御するマスタ制御ユニットである。なお、他の機器90は、上述のマスタ制御ユニットに接続されるとともに、モータMとは異なる他のモータの動作を制御する他の制御ユニットであってもよい。
【0011】
図1に示すように、モータ制御ユニット10は、基板20を有する。基板20は、絶縁性を有する板状である。基板20は、電気素子30と、コネクタ31と、ノイズ除去回路50と、を備える。図示は省略するが、基板20には、他の機器90との間で高周波信号の送受信を行う信号回路が別途設けられる。係る信号回路で生成される高周波信号の周波数は、30MHz程度である。
【0012】
電気素子30は、基板20に取り付けられる。本実施形態において、電気素子30は、モータMの動作を制御するとともに、モータMおよび他の機器90との間で通信を行う制御コントローラである。本実施形態において、電気素子30は、CPU、マイコン、スイッチング素子等によって構成される。電気素子30の一端は、モータMと接続される。電気素子30の他端は、ノイズ除去回路50の一端と接続される。電気素子30は、ノイズ除去回路50およびコネクタ31を介して、他の機器90と電気的に接続される。
図2に示すように、本実施形態において、電気素子30には、ノイズ除去回路50を介して、他の機器90から制御電流Iが供給される。本実施形態において、制御電流Iは、直流電流である。電気素子30は、制御電流Iから交流電流を生成し、係る交流電流をモータMに伝送することによって、モータMを動作させる。なお、制御電流Iは、図示しない商用電源から供給される交流電流であっても良く、この場合、制御電流Iの周波数は、50Hz程度または60Hz程度である。
【0013】
電気素子30が交流電流を生成する際には、伝導ノイズNcが発生する。伝導ノイズNcは、周波数が0.1MHzから30MHzである低周波の電気ノイズである。伝導ノイズNcは、電気素子30からノイズ除去回路50を伝搬して電気素子30に戻るノーマルモードノイズである。
【0014】
また、上述の図示しない信号回路が高周波信号を生成する際には、放射ノイズNrが発生する。放射ノイズNrは、信号回路が生成する高周波信号の高調波成分である。本実施形態において、放射ノイズNrは、周波数が30MHzから1000MHzである高周波の電気ノイズである。放射ノイズNrは、基板20等を介して、電気素子30に伝搬する。放射ノイズNrは、コネクタ31が有する後述するケーブル32に伝搬し、ケーブル32から放射されて大地を通して電気素子30に戻るコモンモードノイズである。ケーブル32から放射された、放射ノイズNrは、モータ制御ユニット10の周囲に配置される電子機器等の動作に不具合を発生させる虞がある。
上述のように、伝導ノイズNcの周波数帯域は、0.1MHzから30MHzであり、放射ノイズNrの周波数帯域は、30MHzから1000MHzである。よって、本実施形態のモータ制御ユニット10では、電気ノイズが広い周波数帯域に亘って伝搬する。
【0015】
以下の説明において、「所定周波数」は、伝導ノイズNcの周波数帯域と放射ノイズNrの周波数帯域との間の周波数である。本実施形態において、「所定周波数」は30MHzである。
本明細書では、所定周波数未満の周波数帯域を「低周波数帯域」と呼ぶ。本実施形態において、「低周波数帯域」は、30MHz未満の周波数帯域である。伝導ノイズNcの周波数帯域は、低周波数帯域に含まれる。また、所定周波数以上の周波数帯域を「高周波数帯域」と呼ぶ。本実施形態において、「高周波数帯域」は、30MHz以上の周波数帯域である。放射ノイズNrの周波数帯域は、高周波数帯域に含まれる。
以下の説明において、「ノイズを除去する」とは、ノイズを完全に除去することに加えて、ノイズの強度を低減することも含む概念である。
【0016】
図2に示すように、ノイズ除去回路50は、制御電流Iを伝送するとともに、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrを除去するフィルターの役割を担う。
図1に示すように、ノイズ除去回路50の一端は、電気素子30に接続される。ノイズ除去回路50の他端は、コネクタ31の一端と接続される。ノイズ除去回路50は、グランド部Gと、接続ライン21と、第1インダクタ素子51と、第1接地ライン52と、第2接地ライン53と、第1キャパシタ素子52aと、第2インダクタ素子52bと、第2キャパシタ素子53aと、を有する。
【0017】
グランド部Gは、基板20に設けられる。グランド部Gは、例えば銅等の導電性を有する金属によって構成される。グランド部Gは、接地されている。
【0018】
接続ライン21は、電気素子30とコネクタ31とを接続する。本実施形態において、接続ライン21は、制御電流Iを電気素子30に伝送する。また、接続ライン21は、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrが、コネクタ31および他の機器90に伝搬することを抑制する。
図1に示すように、接続ライン21の一端は、電気素子30の他端と接続される。接続ライン21の他端は、コネクタ31の一端と接続される。本実施形態において、接続ライン21には、第1インダクタ素子51が設けられる。
【0019】
第1インダクタ素子51は、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrが、コネクタ31および他の機器90に伝搬することを抑制する。本実施形態において、第1インダクタ素子51は、チョークコイルである。
図3に、第1インダクタ素子51のインピーダンス特性を示す。第1インダクタ素子51のインピーダンスは、周波数が90MHz程度までは周波数が大きくなるにしたがって増加し、周波数が90MHz程度を超えると周波数が大きくなるにしたがって減少する。第1インダクタ素子51は、周波数が0.1MHz以上において、100Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。低周波数帯域(30MHz未満の周波数帯域)において、第1インダクタ素子51は、100Ωから200Ω程度のインピーダンスを有する。高周波数帯域(30MHz以上の周波数帯域)において、第1インダクタ素子51は、200Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。
上述のように、本実施形態の制御電流Iは、直流電流である。そのため、
図2に示すように、第1インダクタ素子51において、制御電流Iは減衰せず、第1インダクタ素子51を通過する。したがって、ノイズ除去回路50は、接続ライン21において、制御電流Iの電流値に影響を与えず、制御電流Iを他の機器90から電気素子30に伝送できる。
【0020】
第1接地ライン52は、伝導ノイズNcを通過させるとともに、放射ノイズNrを減衰させる。
図1に示すように、第1接地ライン52は、接続ライン21とグランド部Gとを繋ぐ。より詳細には、第1接地ライン52の一端は、電気素子30と第1インダクタ素子51との間の第1接続部21aにおいて接続ライン21と接続される。第1接地ライン52の他端は、グランド部Gまで延び、グランド部Gと接続される。第1接地ライン52には、第1キャパシタ素子52aと、第2インダクタ素子52bと、が設けられる。
【0021】
第1キャパシタ素子52aは、第1接地ライン52に設けられる。本実施形態において、第1キャパシタ素子52aの一端は、第1接続部21aと接続される。本実施形態において、第1キャパシタ素子52aは、コンデンサである。
図4Aに第1キャパシタ素子52aのインピーダンス特性を示す。第1キャパシタ素子52aのインピーダンスは、周波数が0.1MHzから1000MHzの間において、0.01Ωから2Ω程度と小さい。
【0022】
図1に示すように、第2インダクタ素子52bは、第1接地ライン52に設けられる。本実施形態において、第2インダクタ素子52bの一端は、第1キャパシタ素子52aの他端と接続される。第2インダクタ素子52bの他端は、グランド部Gと接続される。本実施形態において、第2インダクタ素子52bは、フェライトビーズである。よって、本実施形態によれば、第2インダクタ素子52bを、第1インダクタ素子51よりも安価なインダクタ素子にできる。そのため、ノイズ除去回路50およびモータ制御ユニット10の製造コストが増大することを抑制できる。
【0023】
図4Bに、第2インダクタ素子52bのインピーダンス特性を示す。第2インダクタ素子52bのインピーダンスは、周波数が300MHz程度までは周波数が大きくなるにしたがって増加し、周波数が300MHzを超えると周波数が大きくなるにしたがって減少する。第2インダクタ素子52bの低周波数帯域のインピーダンスは、60Ω以下である。第2インダクタ素子52bの高周波数帯域のインピーダンスは、60Ωから720Ω程度である。つまり、第2インダクタ素子52bは、高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する。また、低周波数帯域において、第2インダクタ素子52bのインピーダンスは、
図3に示す第1インダクタ素子51のインピーダンスよりも小さい。
【0024】
図4Cに、第1キャパシタ素子52aと第2インダクタ素子52bとの合成インピーダンス特性を示す。以下の説明では、第1キャパシタ素子52aと第2インダクタ素子52bとの合成インピーダンス特性を、第1接地ライン52のインピーダンス特性と呼ぶ場合がある。低周波数帯域において、第1接地ライン52は、60Ω以下の小さなインピーダンスを有する。高周波数帯域において、第1接地ライン52は、80Ωから720Ω程度の大きなインピーダンスを有する。
【0025】
なお、第1接地ライン52の構成は、本実施形態に限定されず、第2インダクタ素子52bが、第1接続部21aと第1キャパシタ素子52aとの間に配置されても良い。つまり、第2インダクタ素子52bの一端が第1接続部21aに接続され、第2インダクタ素子52bの他端が第1キャパシタ素子52aの一端と接続され、第1キャパシタ素子52aの他端がグランド部Gと接続されても良い。係る構成においても、第1接地ライン52のインピーダンスは、
図4Cに示すインピーダンス特性と同様のインピーダンス特性を有する。
【0026】
図1に示すように、第2接地ライン53は、接続ライン21とグランド部Gとを繋ぐ。より詳細には、第2接地ライン53の一端は、第1インダクタ素子51とコネクタ31との間の第2接続部21bにおいて接続ライン21と接続される。第2接地ライン53の他端は、グランド部Gまで延び、グランド部Gと接続される。第2接地ライン53には、第2キャパシタ素子53aが設けられる。
【0027】
本実施形態において、第2キャパシタ素子53aの一端は、第2接続部21bと接続される。第2キャパシタ素子53aの他端は、グランド部Gと接続される。本実施形態において、第2キャパシタ素子53aは、コンデンサである。本実施形態において、第2キャパシタ素子53aは、第1キャパシタ素子52aと同一のコンデンサである。よって、第2キャパシタ素子53aのインピーダンス特性は、
図4Aに示す第1キャパシタ素子52aインピーダンス特性と同様である。第2キャパシタ素子53aのインピーダンスは、0.1MHzから1000MHzの間において、0.01Ωから2Ω程度と小さい。なお、第2キャパシタ素子53aは、第1キャパシタ素子52aと異なるコンデンサであってもよい。
【0028】
図1に示すように、コネクタ31は、基板20に取り付けられる。コネクタ31の一端は、ノイズ除去回路50の他端と接続される。コネクタ31は、ケーブル32を有する。ケーブル32は、他の機器90と接続される。これにより、モータMは、電気素子30、接続ライン21、コネクタ31、およびケーブル32を介して、他の機器90と接続される。すなわち、モータMは、モータ制御ユニット10を介して、他の機器90と接続される。
【0029】
次に、本実施形態のノイズ除去回路50における、伝導ノイズNcの除去性能について説明する。
上述のように、第1インダクタ素子51は、周波数が0.1MHz以上において、100Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。そのため、第1インダクタ素子51によって、伝導ノイズNcが接続ライン21を通過することを抑制できる。したがって、第1インダクタ素子51によって、接続ライン21を介してコネクタ31および他の機器90に伝導ノイズNcが伝搬することを抑制できる。
【0030】
上述のように、低周波数帯域(30MHz未満の周波数帯域)における、第1接地ライン52のインピーダンスは、60Ω以下と小さい(
図4C参照)。そのため、第1接地ライン52において、伝導ノイズNcはほとんど減衰せず、グランド部Gに伝搬する。グランド部Gに伝搬した伝導ノイズNcは、グランド部Gを介して、電気素子30に戻る。したがって、本実施形態では、第1接地ライン52において、第1接地ライン52に伝搬される伝導ノイズNcの循環を妨げることなく、伝導ノイズNcを電気素子30に戻すことができる。そのため、第1接地ライン52に伝搬される伝導ノイズNcが、コネクタ31、ケーブル32および他の機器90に伝搬することを抑制できる。これらにより、伝導ノイズNcが他の機器90に伝搬することを抑制できる。したがって、ノイズ除去回路50によって、伝導ノイズNcを好適に除去できる。
【0031】
次に、本実施形態のノイズ除去回路50における、放射ノイズNrの除去性能について説明する。
上述のように、第1インダクタ素子51は、高周波数帯域(30MHz以上の周波数帯域)において、200Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。(
図3参照)。そのため、
図2に示すように、第1インダクタ素子51によって、放射ノイズNrが、接続ライン21を通過することを抑制できる。つまり、放射ノイズNrが、接続ライン21を介して、ケーブル32に伝搬することを抑制できる。放射ノイズNrは、第1接続部21aを介して、第1接地ライン52に伝搬する。
【0032】
上述のように、高周波数帯域において、第1接地ライン52は、80Ωから720Ω程度の大きなインピーダンスを有する。(
図4C参照)。そのため、第1接地ライン52において、放射ノイズNrは大きく減衰して、グランド部Gに伝搬する。グランド部Gに伝搬した放射ノイズNrの一部は、第2接地ライン53に伝搬するが、第1接地ライン52において大きく減衰されるため、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度は十分に小さい。このため、放射ノイズNrが、モータ制御ユニット10の周囲に配置される電子機器等の動作に与える影響は、十分に抑制される。つまり、モータ制御ユニット10は、ノイズ除去回路50によって、放射ノイズNrを好適に除去できる。
【0033】
本実施形態によれば、モータ制御ユニット10は、ノイズ除去回路50を有し、ノイズ除去回路50は、接地されたグランド部Gと、電気素子30とコネクタ31とを接続する接続ライン21と、電気素子30とコネクタ31との間で接続ライン21に設けられる第1インダクタ素子51と、電気素子30と第1インダクタ素子51との間の第1接続部21aで接続ライン21と接続され、グランド部Gまで延びる第1接地ライン52と、第1インダクタ素子51とコネクタ31との間の第2接続部21bで接続ライン21と接続され、グランド部Gまで延びる第2接地ライン53と、第1接地ライン52に設けられる第1キャパシタ素子52aと、第1接地ライン52に設けられる第2インダクタ素子52bと、第2接地ライン53に設けられる第2キャパシタ素子53aと、を有する。よって、
図2に示すように、第1インダクタ素子51によって、接続ライン21を介して、伝導ノイズNcが他の機器90に伝搬することを抑制できる。また、第1インダクタ素子51によって、接続ライン21を介して、放射ノイズNrが、ケーブル32に伝搬することを抑制できる。さらに、第1接地ライン52に設けられる第2インダクタ素子52bによって、放射ノイズNrを大きく減衰させることができるため、第1接地ライン52からグランド部Gおよび第2接地ライン53を介してケーブル32に伝搬し、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度を低減することができる。したがって、ノイズ除去回路50によって、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrを好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0034】
本実施形態によれば、第2インダクタ素子52bのインピーダンスは、第1インダクタ素子51のインピーダンスと異なる。よって、互いに周波数帯域が異なる制御電流I、伝導ノイズNc、および放射ノイズNrに対して、第1インダクタ素子51において、制御電流Iを通過させつつ、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrの通過を抑制できる。そのため、制御電流Iの電流値に影響を与えずに、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrが接続ライン21を介して、ケーブル32および他の機器90に伝搬することを抑制できる。また、第2インダクタ素子52bが設けられる第1接地ライン52において、上述のように、伝導ノイズNcを通過させつつ、放射ノイズNrを大きく減衰させることができる。よって、伝導ノイズNcを、電気素子30および第1接地ライン52において循環させて電気素子30に戻すことができるとともに、ケーブル32に伝搬する放射ノイズNrを大きく減衰させることができる。したがって、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrを好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0035】
本実施形態によれば、低周波数帯域において、第2インダクタ素子52bのインピーダンスは、第1インダクタ素子51のインピーダンスよりも小さく、第2インダクタ素子52bは、高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する。よって、低周波数帯域の伝導ノイズNcが、第1インダクタ素子51を通過することを抑制できる。また、第1接地ライン52において、伝導ノイズNcを通過させることができる。そのため、伝導ノイズNcを、電気素子30、第1接地ライン52およびグランド部Gを循環させて電気素子30に戻すことができ、ノイズ除去回路50によって、伝導ノイズNcを好適に除去できる。一方、高周波数帯域の放射ノイズNrが、第1インダクタ素子51を通過することを抑制できる。また、第1接地ライン52において、放射ノイズNrを大きく減衰させることができる。これらにより、ノイズ除去回路50によって、放射ノイズNrを好適に除去できる。そのため、上述のように、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度を低減できる。したがって、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrを好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0036】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態のモータ制御ユニット210を示す模式図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
本実施形態のモータ制御ユニット210のノイズ除去回路250は、第3インダクタ素子253bを有する。第3インダクタ素子253bは、第2接地ライン253に設けられる。より詳細には、第3インダクタ素子253bの一端は、第2キャパシタ素子53aの他端と接続される。第3インダクタ素子253bの他端は、グランド部Gと接続される。本実施形態において、第3インダクタ素子253bは、フェライトビーズである。よって、本実施形態によれば、第3インダクタ素子253bを、第1インダクタ素子51よりも安価なインダクタ素子にできる。そのため、ノイズ除去回路250およびモータ制御ユニット210の製造コストが増大することを抑制できる。
【0038】
本実施形態において、第3インダクタ素子253bは、
図4Bに示す第2インダクタ素子52bと同様のインピーダンス特性を有する。よって、第2インダクタ素子52bのインピーダンスおよび第3インダクタ素子253bのインピーダンスは、それぞれ、
図3に示す第1インダクタ素子51のインピーダンス特性と異なる。また、
図4Bに示すように、第3インダクタ素子253bの低周波数帯域(30MHz未満の周波数帯域)のインピーダンスは、60Ω以下である。第3インダクタ素子253bの高周波数帯域(30MHz以上の周波数帯域)のインピーダンスは、60Ωから720Ω程度である。つまり、第2インダクタ素子52bおよび第3インダクタ素子253bは、それぞれ、高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する。また、低周波数帯域において、第2インダクタ素子52bのインピーダンスおよび第3インダクタ素子253bのインピーダンスは、それぞれ、
図3に示す第1インダクタ素子51のインピーダンスよりも小さい。なお、第3インダクタ素子253bが上述のインピーダンス特性を有するならば、第3インダクタ素子253bのインピーダンス特性は、第2インダクタ素子52bのインピーダンス特性と異なっていても良い。
【0039】
第2キャパシタ素子53aと第3インダクタ素子253bとの合成インピーダンス特性、すなわち、第2接地ライン253のインピーダンス特性は、
図4Cに示す第1接地ライン52のインピーダンス特性と同様である。
図4Cに示すように、第2接地ライン253は、低周波数帯域において、60Ω以下の小さなインピーダンスを有する。第2接地ライン253は、高周波数帯域において、60Ωから720Ω程度の大きなインピーダンスを有する。なお、第2接地ライン253のインピーダンス特性は、第1接地ライン52のインピーダンス特性と異なっていても良い。
【0040】
なお、第2接地ライン253の構成は、本実施形態に限定されず、第3インダクタ素子253bが、第2接続部21bと第2キャパシタ素子53aとの間に配置されても良い。より詳細には、第3インダクタ素子253bの一端が第2接続部21bに接続され、第3インダクタ素子253bの他端が第2キャパシタ素子53aの一端と接続され、第2キャパシタ素子53aの他端がグランド部Gと接続されても良い。係る構成においても、第2接地ライン253のインピーダンスは、
図4Cに示すインピーダンス特性と同様のインピーダンス特性を有する。
【0041】
次に、本実施形態のノイズ除去回路250における、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrの除去性能について説明する。
ノイズ除去回路250における、伝導ノイズNcの除去性能は、上述の第1実施形態のノイズ除去回路50における、伝導ノイズNcの除去性能と同様である。したがって、
図6に示すように、第1インダクタ素子51によって、伝導ノイズNcが、接続ライン21を介してコネクタ31および他の機器90に伝搬することを抑制できるとともに、第1接地ライン52において、第1接地ライン52に伝搬される伝導ノイズNcを電気素子30に戻すことができる。これらにより、伝導ノイズNcが、コネクタ31および他の機器90に伝搬することを抑制でき、伝導ノイズNcを好適に除去できる。
【0042】
放射ノイズNrは、上述の実施形態1と同様に、第1インダクタ素子51によって、接続ライン21を通過することを抑制され、第1接続部21aを介して、第1接地ライン52に伝搬する。
上述の実施形態1と同様に、高周波数帯域における、第1接地ライン52のインピーダンスは、80Ωから720Ωと大きい(
図4C参照)。そのため、
図6に示すように、第1接地ライン52において、放射ノイズNrは大きく減衰して、グランド部Gに伝搬する。グランド部Gに伝搬した放射ノイズNrは、第2接地ライン53に伝搬する。
上述のように、高周波数帯域における、第2接地ライン253のインピーダンスは、80Ωから720Ωと大きい(
図4C参照)。そのため、第2接地ライン253において、放射ノイズNrをさらに減衰させることができる。
第2接続部21bおよびコネクタ31を介してケーブル32に伝搬した放射ノイズNrは、ケーブル32から放射される。しかしながら、上述のように、本実施形態において、放射ノイズNrは、第1接地ライン52および第2接地ライン253のそれぞれにおいて減衰するため、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度は、第1実施形態においてケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度よりも小さく、モータ制御ユニット210の周囲に配置される電子機器等の動作に与える影響をより好適に抑制できる。つまり、本実施形態のモータ制御ユニット210は、ノイズ除去回路250によって、放射ノイズNrをより好適に除去できる。
【0043】
本実施形態によれば、モータ制御ユニット210のノイズ除去回路250は、第2接地ライン253に設けられる第3インダクタ素子253bを有する。よって、
図6に示すように、第3インダクタ素子253bによって、放射ノイズNrを減衰させることができる。そのため、第1接地ライン52からグランド部Gおよび第2接地ライン253を介してケーブル32に伝搬し、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度をより好適に低減できる。したがって、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能をより好適に高めることができる。
【0044】
また、本実施形態では、第2接地ライン253に設けられる第3インダクタ素子によって、モータ制御ユニット10の外部から、ケーブル32を介して、第2接地ライン253に伝搬される放射ノイズを減衰させることができる。そのため、係る放射ノイズがグランド部Gを介して電気素子30に伝搬されても、電気素子30の動作に不具合が生じることを抑制できる。
さらに、本実施形態では、グランド部Gに接続される他の電気素子から伝搬される放射ノイズ、およびグランド部Gから伝搬される静電気の放射ノイズを、第3インダクタ素子によって、減衰させることができる。これにより、第2接地ライン253を介してケーブル32に伝搬するこれらの放射ノイズの強度を低減でき、ケーブル32から放射される放射ノイズの強度を低減できる。
【0045】
本実施形態によれば、第2インダクタ素子52bのインピーダンスおよび第3インダクタ素子253bのインピーダンスは、それぞれ、第1インダクタ素子51のインピーダンスと異なる。よって、
図6に示すように、互いに周波数帯域が異なる制御電流I、伝導ノイズNc、および放射ノイズNrに対して、第1インダクタ素子51において、制御電流Iの電流値に影響を与えずに、制御電流Iを通過させつつ、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrの通過を抑制できる。また、第1接地ライン52において、伝導ノイズNcを通過させつつ、放射ノイズNrを減衰させることができる。これらに加えて、第2接地ライン253において、放射ノイズNrをさらに減衰させることができる。よって、ケーブル32に伝搬する放射ノイズNrの強度をより低減できる。したがって、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrをより好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0046】
本実施形態によれば、低周波数帯域において、第2インダクタ素子52bおよび第3インダクタ素子253bのインピーダンスは、それぞれ、第1インダクタ素子51のインピーダンスよりも小さく、第2インダクタ素子52bおよび第3インダクタ素子253bは、それぞれ、高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する。よって、伝導ノイズNcが、第1インダクタ素子51を通過することを抑制しつつ、伝導ノイズNcを電気素子30および第1接地ライン52において循環させて電気素子30に戻すことができ、伝導ノイズNcを好適に除去できる。また、放射ノイズNrを、第1接地ライン52および第2接地ライン253において、大きく減衰させることができるため、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度を低減できる。これらにより、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrを好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0047】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態のモータ制御ユニット310の構成を示す図である。以下の説明において、上述の第2実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、本実施形態において、電気素子30には、ノイズ除去回路350を介して、他の機器90から制御信号Sが伝搬される。本実施形態において、制御信号Sは、モータMの動作に関する指令内容を含む信号である。本実施形態において、制御信号Sは、交流電流である。制御信号Sの周波数は、0.1MHzから1MHzである。制御信号Sの周波数帯域は、低周波数帯域に含まれる。なお、制御信号Sは、直流電流であっても良い。また、制御信号Sは、周波数が1MHz以下のパルス波であってもよい。
【0049】
本実施形態のノイズ除去回路350が有する第1インダクタ素子351のインピーダンス特性を
図8に示す。第1インダクタ素子351のインピーダンスは、周波数が90MHz程度までは周波数が大きくなるにしたがって増加し、周波数が90MHz程度を超えると周波数が大きくなるにしたがって減少する。第1インダクタ素子351は、周波数が1MHz以上において、100Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。第1インダクタ素子351は、周波数が1MHz以下において、80Ωから100Ω程度のインピーダンスを有する。低周波数帯域(30MHz未満の周波数帯域)において、第1インダクタ素子351は、80Ωから200Ω程度のインピーダンスを有する。高周波数帯域(30MHz以上の周波数帯域)において、第1インダクタ素子351は、200Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。また、低周波数帯域において、第2インダクタ素子52bおよび第3インダクタ素子253bのインピーダンス(
図4B参照)は、第1インダクタ素子351のインピーダンスよりも小さい。なお、本実施形態において、第1インダクタ素子351は、チョークコイルである。
【0050】
上述のように、第1インダクタ素子351は、周波数が1MHz以下において、80Ωから100Ω程度の小さなインピーダンスを有する。そのため、
図7に示すように、第1インダクタ素子351において、制御信号Sはほぼ減衰せず、第1インダクタ素子351を通過する。したがって、制御信号Sの電流値に影響を与えず、接続ライン321を介して、他の機器90から電気素子30に制御信号Sを伝送できる。
【0051】
次に、本実施形態のノイズ除去回路350における、伝導ノイズNcの除去性能について説明する。上述のように、第1インダクタ素子351は、周波数が1MHz以上において、100Ωから800Ω程度の大きなインピーダンスを有する。そのため、伝導ノイズNcのうち、周波数が1MHzから30MHzのノイズ成分は、第1インダクタ素子351を通過することを抑制される。よって、伝導ノイズNcのうち、周波数が1MHzから30MHzのノイズ成分は、第1接続部21aを介して、第1接地ライン52に伝搬する。また、上述のように、第1インダクタ素子351のインピーダンスは、周波数が0.1MHzから1MHzの間において、80Ωから100Ω程度である。そのため、伝導ノイズNcのうち、周波数が0.1MHzから1MHzのノイズ成分は、第1インダクタ素子351において減衰しつつ、第1インダクタ素子351を通過する。これらにより、第1インダクタ素子351によって、接続ライン321を介してコネクタ31および他の機器90に伝搬する伝導ノイズNcを減衰させることができる。
【0052】
上述の第2実施形態と同様に、低周波数帯域(30MHz未満の周波数帯域)における、第1接地ライン52のインピーダンスは、60Ω以下と小さい(
図4C参照)。そのため、第1接地ライン52において、伝導ノイズNcはほとんど減衰せず、グランド部Gを介して、電気素子30に戻る。これにより、第1接地ライン52に伝搬される伝導ノイズNcが、コネクタ31、ケーブル32および他の機器90に伝搬することを抑制できる。したがって、本実施形態のノイズ除去回路350では、他の機器90に伝搬する伝導ノイズNcの強度を低減できる。すなわち、伝導ノイズNcを好適に除去できる。
【0053】
また、本実施形態のノイズ除去回路350における、放射ノイズNrの除去性能は、上述の第2実施形態のノイズ除去回路250における、放射ノイズNrの除去性能と同様である。すなわち、放射ノイズNrは、第1インダクタ素子351によって、接続ライン321を通過することを抑制され、第1接続部21aを介して、第1接地ライン52に伝搬する。また、放射ノイズNrは、第1接地ライン52において大きく減衰し、グランド部Gを介して、第2接地ライン253に伝搬する。さらに、放射ノイズNrは、第2接地ライン253においてさらに減衰して、第2接続部21bおよびコネクタ31を介してケーブル32に伝搬する。そのため、本実施形態では、ケーブル32から放射される放射ノイズNrの強度を小さくできるため、モータ制御ユニット210の周囲に配置される電子機器等の動作に与える影響をより好適に抑制できる。つまり、ノイズ除去回路350によって、放射ノイズNrをより好適に除去できる。
したがって、本実施形態のモータ制御ユニット310では、伝導ノイズNcおよび放射ノイズNrをより好適に除去でき、広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができる。
【0054】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。広い周波数帯域に亘って発生するノイズの除去性能を高めることができるならば、第1インダクタ素子、第2インダクタ素子、第3インダクタ素子、第1キャパシタ素子、および第2キャパシタ素子それぞれのインピーダンス特性は本実施形態に限定されず、制御電流、制御信号、伝導ノイズ、および放射ノイズそれぞれの周波数帯域によって、適宜定めることができる。また、第1キャパシタ素子のインピーダンスおよび第2キャパシタ素子のインピーダンスは互いに異なるインピーダンスであっても良い。また、第1接地ラインおよび第2接地ラインには、2個以上のキャパシタ素子、または、2個以上のインダクタ素子が設けられても良い。
【0055】
上述の実施形態のノイズ除去回路は、電気素子とモータとの間に設けられても良い。これにより、電気素子からモータに伝搬する伝導ノイズおよび放射ノイズを除去することができ、ノイズによってモータの動作が不安定になることを抑制できるとともに、電気素子とモータとを接続するケーブル等の配線から放射される放射ノイズの強度を低減できる。
【0056】
本実施形態のノイズ除去回路が設けられる制御ユニットは、モータの駆動を制御するモータ制御ユニットに限定されず、電化製品等の動作を制御する制御ユニットに設けられてもよい。
【0057】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0058】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 基板を有するモータ制御ユニットであって、前記基板は、電気素子と、他の機器と接続されるケーブルを有するコネクタと、ノイズ除去回路と、を備え、前記ノイズ除去回路は、接地されたグランド部と、前記電気素子と前記コネクタとを接続する接続ラインと、前記電気素子と前記コネクタとの間で前記接続ラインに設けられる第1インダクタ素子と、前記電気素子と前記第1インダクタ素子との間の第1接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第1接地ラインと、前記第1インダクタ素子と前記コネクタとの間の第2接続部で前記接続ラインと接続され、前記グランド部まで延びる第2接地ラインと、前記第1接地ラインに設けられる第1キャパシタ素子と、前記第1接地ラインに設けられる第2インダクタ素子と、前記第2接地ラインに設けられる第2キャパシタ素子と、を有する、モータ制御ユニット。
(2) 前記第2インダクタ素子のインピーダンスは、前記第1インダクタ素子のインピーダンスと異なる、(1)に記載のモータ制御ユニット。
(3) 所定周波数未満の周波数帯域を低周波数帯域、前記所定周波数以上の周波数帯域を高周波数帯域としたとき、前記低周波数帯域において、前記第2インダクタ素子のインピーダンスは、前記第1インダクタ素子のインピーダンスよりも小さく、前記第2インダクタ素子は、前記高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、前記低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する、(1)または(2)に記載のモータ制御ユニット。
(4) 前記第1インダクタ素子は、チョークコイルであり、前記第2インダクタ素子は、フェライトビーズである、(1)から(3)のいずれか一項に記載のモータ制御ユニット。
(5) 前記ノイズ除去回路は、前記第2接地ラインに設けられる第3インダクタ素子を有する、(1)に記載のモータ制御ユニット。
(6) 前記第2インダクタ素子のインピーダンスおよび前記第3インダクタ素子のインピーダンスは、それぞれ、前記第1インダクタ素子のインピーダンスと異なる、(5)に記載のモータ制御ユニット。
(7) 所定周波数未満の周波数帯域を低周波数帯域、前記所定周波数以上の周波数帯域を高周波数帯域としたとき、前記低周波数帯域において、前記第2インダクタ素子のインピーダンスおよび前記第3インダクタ素子のインピーダンスは、それぞれ、前記第1インダクタ素子のインピーダンスよりも小さく、前記第2インダクタ素子および前記第3インダクタ素子は、それぞれ、前記高周波数帯域の少なくとも一部の周波数帯域において、前記低周波数帯域におけるインピーダンスよりも大きなインピーダンスを有する、(5)または(6)に記載のモータ制御ユニット。
(8) 前記第1インダクタ素子は、チョークコイルであり、前記第2インダクタ素子および前記第3インダクタ素子は、それぞれ、フェライトビーズである、(5)から(7)のいずれか一項に記載のモータ制御ユニット。
【符号の説明】
【0059】
10,210,310…モータ制御ユニット、20…基板、21,321…接続ライン、21a…第1接続部、21b…第2接続部、30…電気素子、31…コネクタ、32…ケーブル、50,250,350…ノイズ除去回路、51,351…第1インダクタ素子、52…第1接地ライン、52a…第1キャパシタ素子、52b…第2インダクタ素子、53,253…第2接地ライン、53a…第2キャパシタ素子、253b…第3インダクタ素子、90…他の機器、G…グランド部