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特開2024-46150パイプの支持装置およびパイプの支持装置システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024046150
(43)【公開日】2024-04-03
(54)【発明の名称】パイプの支持装置およびパイプの支持装置システム
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/02 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151368
(22)【出願日】2022-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000131027
【氏名又は名称】株式会社サンポール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】山根 以久子
(72)【発明者】
【氏名】野地元 宏文
(72)【発明者】
【氏名】岡 和輝
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA13
2D101EA02
2D101FA11
2D101FA23
2D101FB04
(57)【要約】
【課題】パイプを回転させることなく地上にパイプを設置する。
【解決手段】パイプの支持装置1は、基部10と、基部10上の台座20と、パイプ2を支持するパイプ支持部40と、台座20とパイプ支持部40との間に介在された回転体30とを備える。回転体30を基部10に締め付けることにより台座20およびパイプ支持部40を固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの支持装置において、
基体を有する基部と、
前記基部上に配置される台座と、
前記台座に連結されるとともにパイプを支持するパイプ支持部と、
前記台座と前記パイプ支持部との間に介在される保持板と、外周板を有し、前記基部の前記基体の外周面に締め付けられる回転体とを備え、
前記回転体を前記基部に締め付けることにより、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座を固定する、パイプの支持装置。
【請求項2】
前記基部の前記基体の外周面に一対の外側傾斜板が設けられ、前記回転体の前記外周板の内周面に前記外側傾斜板と係合する一対の内側傾斜板が設けられている、請求項1記載のパイプの支持装置。
【請求項3】
前記外周板の各内側傾斜板を前記基体の一対の外側傾斜板間に挿入し、前記回転体を回転させることにより、各内側傾斜板が対応する外側傾斜板に当接して、前記回転体が前記基体の外周面に締め付けられて、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座を固定する、請求項2記載のパイプの支持装置。
【請求項4】
前記回転体の締め付け前は、前記パイプ支持部と前記台座は前記保持板に対して、水平方向に移動可能となっており、
前記回転体を締め付けることにより、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座が固定される、請求項1記載のパイプの支持装置。
【請求項5】
請求項1記載のパイプの支持装置と、
鉛直方向に直線状に延びる棒状パイプとを備え、
前記棒状パイプの下端部が前記パイプの支持装置により支持される、パイプの支持装置システム。
【請求項6】
一対の請求項1記載のパイプの支持装置と、
コ字状パイプとを備え、
前記コ字状パイプの各端部が対応する前記パイプの支持装置に支持される、パイプの支持装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路、歩道、公園等に設置される車止め機能を有するパイプ、あるいは建築現場で使用されるサポートパイプ等を支持するためのパイプの支持装置、およびパイプの支持装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路、歩道、公園等において、車両の進入を禁止する目的で車止め機能を有するパイプが設置されている。また建築現場では、作業者用のサポートパイプが設置されている。更に、設置環境(施設出入り口)によっては、脱着を伴うパイプを設置する必要がある。その場合、一般的にはサヤ管埋め込み施工となるが、後付け施工であったり、地面を深掘りできない状況により、浅底施工が必要となる場合がある。
【0003】
このようなパイプは地上にパイプの支持装置により設置される。この場合、パイプはパイプの支持装置に対して回転させて締め付けられたり、あるいはパイプの支持装置に対して横方向からスライドさせながら取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58-149411
【特許文献2】実用新案登録第3206415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述したパイプの中にはコ字状パイプ等回転させて締め付けることができないものがある。あるいはパイプの回転角度および設置位置が予め決められているため、パイプの設置時にパイプを回転させたりスライドさせたりすることができないものがある。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、パイプを回転させたりスライドさせることなく、容易にパイプを地表に安定して設置することができるパイプの支持装置およびパイプの支持装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、パイプの支持装置において、基体を有する基部と、前記基部上に配置される台座と、前記台座に連結されるとともにパイプを支持するパイプ支持部と、前記台座と前記パイプ支持部との間に介在される保持板と、外周板とを有し、前記基部の前記基体の外周面に締め付けられる回転体とを備え、前記回転体を前記基部に締め付けることにより、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座を固定する、パイプの支持装置である。
【0008】
本開示は、前記基部の前記基体の外周面に一対の外側傾斜板が設けられ、前記回転体の前記外周板の内周面に前記外側傾斜板と係合する一対の内側傾斜板が設けられている、パイプの支持装置である。
【0009】
本開示は、前記外周板の各内側傾斜板を前記基体の一対の外側傾斜板間に挿入し、前記回転体を回転させることにより、各内側傾斜板が対応する外側傾斜板に当接して、前記回転体が前記基体の外周面に締め付けられて、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座を固定する、パイプの支持装置である。
【0010】
本開示は、前記回転体の締め付け前は、前記パイプ支持部と前記台座は前記保持板に対して、水平方向に移動可能となっており、前記回転体を締め付けることにより、前記回転体の前記保持板と前記基部の前記基体との間で前記台座が固定される、パイプの支持装置である。
【0011】
本開示は、上記記載のパイプの支持装置と、鉛直方向に直線状に延びる棒状パイプとを備え、前記棒状パイプの下端部が前記パイプの支持装置により支持される、パイプの支持装置システムである。
【0012】
本開示は、一対の上記記載のパイプの支持装置と、コ字状パイプとを備え、前記コ字状パイプの各端部が対応する前記パイプの支持装置に支持される、パイプの支持装置システムである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本開示によれば、パイプを回転させたりスライドさせることなく、容易にパイプを地上に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本開示の第1の実施の形態によるパイプの支持装置を示す分解斜視図。
図2図2はパイプの支持装置を示す回転体を嵌め込む前の拡大図。
図3図3はパイプの支持装置を示す回転体を嵌め込んだ後の拡大図。
図4図4はパイプの支持装置の回転体の締め付け作用を示す締め付け前の斜視図。
図5図5はパイプの支持装置の回転体の締め付け作用を示す締め付け後の斜視図。
図6図6はコ字状パイプをパイプの支持装置に固定する前を示す図。
図7図7はコ字状パイプをパイプの支持装置に固定した後を示す図。
図8図8は地表に設けられた後施工アンカーを示す図。
図9図9は地表に設けられた後施工アンカーに基部を取り付けた図。
図10A図10Aは基部を示す斜視図。
図10B図10Bは基部を示す平面図。
図10C図10Cは基部を示す底面図。
図11A図11Aは台座を示す斜視図。
図11B図11Bは台座を示す平面図。
図11C図11Cは台座を示す底面図。
図12A図12Aは回転体を示す斜視図。
図12B図12Bは回転体を示す平面図。
図12C図12Cは回転体を示す底面図。
図13A図13Aはパイプ支持部を示す斜視図。
図13B図13Bはパイプ支持部を示す平面図。
図13C図13Cはパイプ支持部を示す底面図。
図13D図13Dはパイプとパイプ支持部と台座を連結した状態を示す図。
図14図14は第2の実施の形態によるパイプの支持装置の据え付け前の状態を示す図。
図15図15はパイプ支持装置の据え付け後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。
【0016】
図1乃至図13は本開示の第1の実施の形態を示す図である。
【0017】
図1乃至図3に示すように、本開示によるパイプの支持装置1は、例えば車止め機能を有するコ字状パイプ2(図6および図7参照)を地表G(図8参照)上に支持するものである。
【0018】
このようにパイプの支持装置により支持されたコ字状パイプ2は、例えば道路、歩道、公園等に設置されて車止め機能を発揮する。
【0019】
本明細書において、図1乃至図3に示すように、パイプの支持装置1を配置した状態で、図1乃至図3の上下方向が鉛直方向となり、この鉛直方向に直交する横方向が水平方向となる。
【0020】
パイプの支持装置1は、地表G上に設置され、基体11を有する基部10と、基部10上に配置される台座20と、台座20に連結ボルト25により連結され、コ字状パイプ2の一端部2Aを支持するパイプ支持部40と、台座20とパイプ支持部40との間に介在される保持板31を有するとともに基部の基体11の外周面に締め付けられる回転体30とを備える。
【0021】
このうち基部10は、地表G上に載置される支持板13を有し、基体11はこの支持板13上に配置された円筒体からなる。
【0022】
次に図8乃至図10Cにより基部10について更に述べる。
【0023】
まず、小石6上に設けられたコンクリート5など、十分に強度のある地面の地表Gに対し、雌ねじを有する後施工アンカー3が設けられる。そしてこの後施工アンカー3内に後述するボルト17が挿入されるようになっている。
【0024】
基部10は、図10A乃至図10Cに示すように地表G上に載置される支持板13と、支持板13上に設けられた円筒体からなる基体11とを有し、基体11の外周面に一対の外側傾斜板12,12が設けられている。
【0025】
図10A乃至図10Cのうち、図10Aは基部10を示す斜視図、図10Bは基部10を示す平面図、図10Cは基部10を示す底面図である。
【0026】
図10Bに示すように、基体11の外周面に設けられた各外側傾斜板12,12は基体11の外周面に略90°の円周角度をもって配置され、各外側傾斜板12,12間には外側傾斜板12が形成されない切り欠き部14が形成されている。
【0027】
また基部10の支持板13には、上述したボルト17が挿入されるボルト穴15が設けられ、支持板13のボルト穴15に挿入されたボルト17を後施工アンカー3に対して締め付けることにより、基部10が地表Gに固定される。そして後施工アンカー3に対して締め付けたボルト17は、ボルトカバー16により覆われて外方へ露出しないようになっている。また、基部10の基体11には、後述する台座20の台座本体20Aの底面に形成された一対の凸部28と係合する一対の凹部18が設けられている。
【0028】
次に図11A乃至図11Cにより、台座20について述べる。ここで図11Aは台座20を示す斜視図、図11Bは台座20を示す平面図、図11Cは台座20を示す底面図である。
【0029】
台座20は円盤状の台座本体20Aと、台座本体20Aに設けられた小形部20Bと、台座本体20Aの外面から半径方向外方へ突出するとともに円周方向へ延びる一対の円周突起21とを有する。そして台座本体20Aの外面のうち円周突起21間には円周突起21が形成されない切り欠き部22が形成されている。また、小形部20Bの外面には、半径方向外方へ突出するとともに、円周方向へ延びる一対の円周突起23が設けられ、円周突起23間には、円周突起23が形成されない切り欠き部24が形成されている。
【0030】
また小形部20Bは図11Bに示すように、台座本体20Aの外縁に対して小形の外縁をもつ。また台座本体20Aと小形部20Bとを貫通してボルト穴27が設けられている。さらに、台座本体20Aの底面には、上述した基体11に設けられた一対の凹部18に対応する位置に一対の凸部28が設けられている。そして、基部10の基体11に設けられた一対の凹部18内に、台座20の台座本体20Aに設けられた一対の凸部28を係合させる。このことにより、基部10に対して台座20,および台座20に連結されたパイプ支持部40のおおよその回転方向を定めることができる。なお、この基体11の一対の凹部18および台座本体20Aの一対の凸部28は必ずしも設ける必要はなく、回転体30の締め付け前の状態で、基部10に対して台座20および台座20に連結されたパイプ支持部40を任意の回転位置まで自由に回転可能な構造としてもよい。
【0031】
次に図12A乃至図12Cにより、回転体30について述べる。ここで図12Aは回転体30を示す斜視図、図12Bは回転体30を示す平面図、図12Cは回転体を示す底面図である。
【0032】
回転体30は台座20とパイプ支持部40との間に介在される保持板31と、この保持板31に連結された円筒体からなる外周板33とを有する。そして外周板33の内周面に、基部10の一対の外側傾斜板12に係合する一対の内側傾斜板32が設けられている。また、回転体30の保持板31はリング状をなし、台座20の小形部20Bはリング状の保持板31内に嵌め込まれる。そしてリング状の保持板31の内周面には、小形部20Bの円周突起23に係合する内側突起35が設けられている。そして回転体30を締め付ける前の状態で(図4参照)、回転体30の内側突起35が小形部20Bの円周突起23に当接して、回転体30の締め付け前の回転方向位置が規定される。すなわち、回転体30を緩み方向(反時計方向)へ回転させることにより、回転体30の内側突起35が小形部20Bの円周突起23に当接するため、回転体30を更に緩み方向に回転させることはできない。このため、回転体30は、締め付け方向(時計方向)のみ回転可能となっている。そして回転体30を締め付けることにより、回転体30の内側突起35が小形部20Bの切り欠き部24に沿って回転する。
【0033】
図12Cに示すように、外周板33の内周面に設けられた各内側傾斜板32は、外周板33の内周面に略90°の円周角度をもって配置され、各内側傾斜板32,32間には内側傾斜板32が形成されない切り欠き部34が形成されている。
【0034】
そして基部10の基体11に回転体30の外周板33を外側に嵌め込み、回転体30を回転させることにより、基体11の外側傾斜板12に外周板33の内側傾斜板32が係合し、回転体30が基体11の外周面に締め付けられて、基部10の基体11に回転体30の外周板33が固定される。
【0035】
回転体30の外周板33を基部10の基体11外側に嵌め込む場合、外周板33の内側傾斜板32が、基体11の外側傾斜板12間の切り欠き部14に対応する位置にくるよう基部10と回転体30の位置を合わせる。その後、回転体30を締め付け方向(時計方向)に回転させることにより、基体11の外側傾斜板12に外周板33の内側傾斜板32が係合し、回転体30が基部10側へ締め付けられる。このことにより台座20の台座本体20Aが基部10の基体11と回転体30の保持板31との間で挟持されて固定される。
【0036】
上述のように台座20は、パイプ2を支持するパイプ支持部40に連結ボルト25により、連結されている。このため台座20の台座本体20Aが基部10の基体11と回転体30の保持板31との間で固定されることにより、パイプ支持部40も基部10に堅固に固定されることになる。
【0037】
本実施の形態において、基体11の各外側傾斜板12と、外周板33の各内側傾斜板32はいずれも円周方向に沿って略90°の円周角度をもって配置され、かつ互いに傾斜する傾斜面を有する。そして外側傾斜板12と内側傾斜板32を互いに係合させ回転体30を基部10に対して略90°回転させることにより、回転体30が基部10側に締め付けられ、このことにより、台座20の台座本体20Aを基部10の基体11と回転体30の保持板31との間で挟持され、回転体30の回転が停止する。
【0038】
次にパイプ支持部40について図13A乃至図13Dにより説明する。
【0039】
ここで図13Aはパイプ支持部40を示す斜視図、図13Bはパイプ支持部40を示す平面図、図13Cはパイプ支持部40を示す底面図、図13Dはパイプ支持部40と台座20を連結した状態を示す側断面図である。
【0040】
図13A乃至図13Dに示すように、パイプ支持部40は、パイプ2の一端部2Aが嵌合されこのパイプ2を支持する円筒体41と、円筒体41に連結されたつば部42とを有する。さらにつば部42には台座20のボルト穴27に対応する位置にボルト穴47が設けられている。また、パイプ2の一端部2Aには、予め底板2aが固着されている。
【0041】
このような構成からなるパイプ支持部40の円筒体41内にパイプ2の一端部2Aが嵌合され、パイプ2の一端部2Aが嵌合されたパイプ支持部40は、回転体30の保持板31を介して台座20上に載置される。そして、台座20のボルト穴27とパイプ支持部40のボルト穴47内に連結ボルト25を貫通させ、この連結ボルト25を更にパイプ2の一端部2Aに設けられた底板2aの雌ねじ(図示せず)に係合させる。次に連結ボルト25がパイプ2に設けられた底板2aの雌ねじに締め付けられる。このようにして、連結ボルト25によってパイプ支持部40と、台座20を固定するとともに、同時にパイプ支持部40にパイプ2の一端部2Aを固定することができる(図13D参照)。なお、必ずしも連結ボルト25によってパイプ支持部40と台座20とパイプ2の一端部2Aを一体として固定する必要はなく、例えば、パイプ支持部40にパイプ2の一端部2Aを予め溶接により固定しておき、連結ボルト25によってパイプ支持部40と台座20のみを固定するようにしてもよい。
【0042】
図13Dにおいて、上述のように台座20の小形部20B外周に回転体30の保持板31が介在されている。この回転体30の保持板31は台座20の台座本体20Aとパイプ支持部40のつば部42との間に位置するとともに、台座本体20Aとつば部42との間に、鉛直方向に形成された一定の隙間をもって配置されている。このため回転体30の保持板31は台座本体20Aとつば部42との間で水平方向に移動可能となっている(図13D参照)。
【0043】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。はじめに、車止め機能を有するコ字状パイプ2を一対のパイプの支持装置1により支持する例を示す。
【0044】
まず、小石6上に設けられたコンクリート5など、十分に強度のある地面の地表Gに対し、雌ねじを有する後施工アンカー3が取り付けられる。
【0045】
次にコンクリート5の後施工アンカー3上に支持板13が載置され、支持板13内のボルト穴15内にボルト17が挿入される。次にボルト17を後施工アンカー3に対して締め付けることにより、一方のパイプの支持装置1の基部10が地表Gに固定される。その後、ボルト17はボルトカバー16により覆われる。
【0046】
この間、予め車止め機能を有するコ字状パイプ2が準備され、コ字状パイプ2の一端部2Aが対応するパイプ支持部40の円筒体41内に嵌合され、このようにしてコ字状パイプ2の一端部2Aはパイプの支持装置1のパイプ支持部40に支持される。
【0047】
次に、台座20と、回転体30と、コ字状パイプ2の一端部2Aを支持するパイプ支持部40を重ね合わせる。その後、連結ボルト25を台座20側から、台座20およびパイプ支持部40に貫通させ、連結ボルト25をパイプ2の一端部2Aに設けられ底板2aの雌ねじに係合させて締め付ける。このように連結ボルト25を締め付けることにより、パイプ2の一端部2Aと、パイプ支持部40と、台座20とが、回転体30の保持板31をパイプ支持部40と台座20との間に介在させた状態で互いに連結される。
【0048】
次に地表Gに固定された基部10に対して回転体30を接近させ、回転体30の外周板33が基部10の基体11外側に嵌め込まれる(図2および図3参照)。
【0049】
この場合、回転体30の保持板31は台座本体20Aとつば部42との間で水平方向に移動可能となっているため、回転体30に対してパイプ2を保持するパイプ支持部40および台座20が水平方向に移動できるようになっている。
【0050】
このためコ字状パイプ2が多少歪んでいたり変形していても、基部10に対して回転体30を接近させて、回転体30の外周板33を基部10の基体11外側に嵌め込む際、パイプ2の一端部2Aを支持するパイプ支持部40が回転体30に対して水平方向に移動することにより、コ字状パイプ2の歪みおよび変形を吸収することができる。このため、回転体30を容易かつ確実に基部10の基体11外側に嵌め込むことができる。
【0051】
次に基部10に対して回転体30を嵌め込み回転させる作用について、図4および図5により更に説明する。基部10に対して回転体30を嵌め込む場合、基部10の支持板13に設けられた位置マークM1と、回転体30の保持板31および外周板33に設けられた位置マークM2と、パイプ支持部40のつば部42に設けられた位置マークM3を互いに合わせる(図4参照)。
【0052】
ここで図4および図5は基部10に対して回転体30を嵌め込み回転させる作用を示す図であり、便宜上、パイプ支持部40からパイプ2が取り外されている。
【0053】
図4および図5において、基部10の位置マークM1は基部10の基体に設けられた外側傾斜板12,12間の切り欠き部14に対応して設けられ(図1参照)、回転体30の位置マークM2は外周板33に設けられた内側傾斜板32に対応して設けられ(図1および図12C参照)、パイプ支持部40の位置マークM3は台座本体20Aに設けられた円周突起21間の切り欠き部22に対応して設けられている(図1参照)。
【0054】
この場合、台座20の台座本体20Aに設けられた一対の凸部28が基部10の基体11に設けられた一対の凹部18に係合して、基部10に対する台座20の回転方向位置がおおよそ規定される。このため、基部10の位置マークM1は、台座20に連結されたパイプ支持部40の位置マークM3に対応する位置にくる。また、回転体30を緩み方向(反時計方向)へ回転させることにより、回転体30の内側突起35が小形部20Bの円周突起23に当接して、回転体30の回転方向位置が規定され、回転体30の位置マークM2が基部10の位置マークM1およびパイプ支持部40の位置マークM3に一致する。このように、位置マークM1と、位置マークM2と、位置マークM3とを位置合わせすることにより、回転体30の外周板33の内側傾斜板32が、基体11の外側傾斜板12間の切り欠き部14に対応する位置にくる。このようにして回転体30を基部10の基体11に対して確実に嵌め込むことができ、その後、基部10に対して回転体30を時計方向に回転させて締め付けることにより、基体11の外側傾斜板12に外周板33の内側傾斜板32が係合し、回転体30が基部10側へ締め付けられる(図5参照)。
【0055】
このことにより台座20の台座本体20Aが基部10の基体11と回転体30の保持板31との間で挟持されて固定される。
【0056】
この場合、上述のように台座20は、パイプ2の一端部2Aを支持するパイプ支持部40およびパイプ2の一端部2Aに連結ボルト25により連結されている。このため台座20の台座本体20Aが基部10の基体11と、回転体30の保持板31との間で固定されることにより、パイプ2およびパイプ支持部40も基部10に堅固に固定される。
【0057】
ところで図4および図5に示すように、基部10に対して回転体は90°だけ回転させるだけで台座20の台座本体20Aを基部10の基体11と回転体30の保持板31との間で挟持させることができ、この時点で回転体30の回転が停止する(図5参照)。
【0058】
この場合、図5に示すように位置マークM1と位置マークM3は一致しているが、位置マークM2は位置マークM1,M3から円周方向に略90°離間している。
【0059】
図5に示すように、回転体30の位置マークM2が基部10の位置マークM1およびパイプ支持部40の位置マークM3に対して円周方向へ離間すると、回転体30に設けられた開口35Aが基部10の位置マークM1およびパイプ支持部40の位置マークM3近傍に達する。
【0060】
この場合、回転体30の開口35Aの位置は、回転体30が略90°回転するため回転体30の外周板33に設けられた内側傾斜板32間の切り欠き部34に対応する位置にくる。
【0061】
図5において、基部10に対して回転体30を締め付け固定した後、内側傾斜板32間の切り欠き部34に対応する開口35Aから南京錠38のフック38aを挿入し、この南京錠38のフック38aを開口35A内の係止部35aに引っ掛ける。
【0062】
上述のように回転体30の開口35Aは内側傾斜板32間の切り欠き部34に対応する位置にあり、かつ開口35Aは基部10の外側傾斜板12間の切り欠き部14を示す位置マークM1近傍にくる。
【0063】
このため開口35A内に挿入された南京錠38のフック38aは基部10の外側傾斜板12間の切り欠き部14内に入り込むことになる。このことにより回転体30を基部10から緩めるよう反時計方向へ回転させた場合、南京錠38のフック38aが基部10の外側傾斜板12に当接して回転体30の回転を妨げる。
【0064】
このように南京錠38のフック38aにより、回転体30が基部10から緩められることを防止でき、基部10から回転体30が取り外されることを未然に防ぐことができる。
【0065】
このようにして図6および図7に示すように、コ字状パイプ2の一端部2Aをパイプの支持装置1により容易かつ確実に支持することができる。
【0066】
また図6および図7に示すように、コ字状パイプ2の他端部2Bも、パイプ2の一端部2Aをパイプの支持装置1により支持する作用と同様にして他方のパイプの支持装置1により支持することができる。
【0067】
以上のように、コ字状パイプ2の一端部2Aと他端部2Bをパイプの支持装置1により支持することによって、一対のパイプの支持装置1と、コ字状パイプ2とからパイプの支持装置システム1Aが構成される。
【0068】
以上のように本実施の形態によれば、車止め機能を有するコ字状パイプ2を地表Gに設置する場合、パイプ2を回転させたり水平方向にスライドさせたりする必要はない。パイプ2の一端部2Aおよび他端部2Bをパイプ支持部40に取り付けておき、パイプ支持部40に予め連結された回転体30を対応する基部10に嵌め込み回転させる。このことにより、パイプ2の一端部2Aおよび他端部2Bを容易かつ確実にパイプの支持装置1を介して地表Gに設置することができる。
【0069】
またコ字状パイプ2の形状が歪んでいたり、あるいは変形していた場合でも、各々のパイプの支持装置1において、パイプ支持部40と台座20が回転体30の保持板31に対して水平方向に移動可能となっているため、パイプ支持部40と台座20が回転体30の保持板31に対して水平方向に移動することによりパイプ2の形状の歪みあるいは変形を吸収することができる。このため回転体30を基部10の外側に嵌め込んだり、その後に回転体30を基部10に対して回転させる際の作業に支障が生じることはない。
【0070】
<第2の実施の形態>
次に図14および図15により本開示の第2の実施の形態について説明する。
【0071】
図14および図15に示す第2の実施の形態は、コ字状パイプ2の代わりに、車止め機能を有するとともに、鉛直方向に直線状に延びる棒状パイプ52をパイプの支持装置1により支持したものであり、他の構成は図1乃至図13Dに示す第1の実施の形態と略同一である。
【0072】
図14および図15に示す第2の実施の形態において、図1乃至図13Dに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図14に示すように、棒状パイプ52の一端部52Aがパイプの支持装置1のパイプ支持部40に取り付けられている。また、台座20と、回転体30と、棒状パイプ52の一端部52Aが取り付けられたパイプ支持部40とが互いに重ね合わされ、連結ボルト25により、棒状パイプ52の一端部52Aと、パイプ支持部40とが、回転体30の保持板31を介して台座20に取り付けられる(図13D参照)。
【0074】
次に、棒状パイプ52の一端部52A、パイプ支持部40および台座20に連結された回転体30を、パイプの支持装置1の基部10に嵌め込み回転させる。このようにして棒状パイプ52の一端部52Aをパイプの支持装置1を介して地表Gに設置することができる(図15参照)。
【0075】
図14および図15において、パイプの支持装置1と、棒状パイプ52とによりパイプの支持装置システム1Aが構成される。
【0076】
次に、図15に示すように、棒状パイプ52には係止リング53を介して複数の鎖54が連続して取り付けられ、そしてこれらの鎖54は隣接する棒状パイプ52に連結されて使用される。
【0077】
このため第2の実施の形態において、棒状パイプ52の円周方向位置は、鎖54により規定されることになる。
【0078】
以上のように本実施の形態によれば、車止め機能を有する棒状パイプ52を地表Gに設置する場合、パイプ52を回転させたり水平方向にスライドさせたりする必要はない。パイプ52の一端部52Aをパイプ支持部40に取り付けておき、パイプ支持部40に予め連結された回転体30を対応する基部10に嵌め込み回転させる(図14参照)。このことにより、パイプ52の一端部52Aを容易かつ確実にパイプの支持装置1を介して地表Gに設置することができる(図15参照)。
【0079】
このように棒状パイプ52を地表Gに設置する場合、パイプ52を回転させたり水平方向にスライドさせる必要がないので、例えば棒状パイプ52に隣接する棒状パイプ52との間で連続する鎖54を設けるような使い方をする場合でも、パイプ52を回転させることなく、パイプ52の円周方向位置を維持した状態で、棒状パイプ52をパイプの支持装置1を介して地表Gに設置することができる。このため、棒状パイプ52に、一直線状に並ぶ鎖54を容易に設置することができる。
【0080】
なお、図14および図15に示す第2の実施の形態において、棒状パイプ52が、車止め機能を有する例について、説明したが、これに限らず棒状パイプ52は建築現場で用いられるサポートパイプであってもよい。更に、棒状パイプ52は、設置環境(施設出入り口)に応じて設けられた、脱着を伴うパイプであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 パイプの支持装置
1A パイプの支持装置システム
2 コ字状パイプ
2A 一端部
2B 他端部
3 後施工アンカー
4 開口
5 コンクリート
10 基部
11 基体
12 外側傾斜板
13 支持板
14 切り欠き部
16 ボルトカバー
17 ボルト
18 凹部
20 台座
20A 台座本体
20B 小形部
21 円周突起
22 切り欠き部
23 円周突起
24 切り欠き部
25 連結ボルト
28 凸部
30 回転体
31 保持板
32 内側傾斜板
33 外周板
34 切り欠き部
35 内側突起
35A 開口
35a 係止部
40 パイプ支持部
41 円筒体
42 つば部
52 棒状パイプ
52A 一端部
G 地表
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15